【解決手段】TNFファミリー受容体の活性化により生着特性が向上している幹細胞および前駆細胞(SPC)のサブセットの活性化のためのエクスビボの方法であって、前記細胞は、SPC移植を必要とするレシピエントへ移植されることに適しており、前記方法は、SPCの集団を含む、ドナーから得られた生体試料を、TNFスーパーファミリーのうち少なくとも1つのメンバーまたは完全なタンパク質の活性を保持するそれらの何れかの断片とエクスビボで接触させることを含み、前記生着特性の向上は、骨髄系、リンパ系、血小板または赤血球系再構成または活性の向上を含み、前記TNFスーパーファミリーの少なくとも1つのメンバーは、Fasリガンドおよび腫瘍壊死因子αからなる群から選択され、かつ前記生体試料が臍帯血、骨髄、または動員末梢血である、方法。
前記生体試料がUCBであり、かつ前記接触が約18時間から約48時間にわたるか、または前記生体試料が骨髄であり、かつ前記接触が約12時間から約32時間にわたるか、または前記生体試料がmPBであり、かつ前記接触が約3時間から約18時間にわたる、請求項1に記載の方法。
前記TNF−αが10ng/mlから20ng/mlの間の濃度であるか、または前記FasLが10ng/mlから50ng/mlの間の濃度である、請求項1に記載の方法。
前記TNFスーパーファミリーの少なくとも1つのメンバーが表面に結合され、任意に前記表面がビーズであり、任意に前記結合がリンカーを介する、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
前記生体試料がUCBであり、かつ前記接触が約18時間から約48時間にわたるか、または前記生体試料が骨髄であり、かつ前記接触が約12時間から約32時間にわたるか、または前記生体試料がmPBであり、かつ前記接触が約3時間から約18時間にわたる、請求項6に記載の医薬組成物。
前記TNF−αが10ng/mlから20ng/mlの間の濃度であるか、または前記FasLが10ng/mlから50ng/mlの間の濃度である、請求項6に記載の細胞集団を含む医薬組成物。
前記TNFスーパーファミリーの少なくとも1つのメンバーが表面に結合され、任意に前記表面がビーズであり、任意に前記結合がリンカーを介する、請求項6〜9の何れか1項に記載の細胞集団を含む医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、幹細胞および前駆細胞活性化を誘導するためのTNFファミリー受容体シグナル伝達の利用に関する。アポトーシス機構は、殆どの原始幹細胞および前駆細胞を含め、全ての細胞でよく保存されているので、この経路は、栄養性シグナル伝達のために使用される。本発明によれば、造血細胞移植片の後続活性をインビボで誘導するために、造血細胞移植片を移植前にTNFファミリー受容体のリガンドの様々な組み合わせに曝露する。
【0013】
本発明は、幹細胞および前駆細胞(SPC)における、特に造血幹細胞および前駆細胞(hSPC)におけるTNFファミリー受容体の移植前の活性化が、造血前駆細胞生着および再構成を促進することによって移植の結果を改善するという新規の知見に基づく。各個々の受容体は造血幹細胞および前駆細胞の比較的小さな分画で発現されるものの、これらは、新鮮な臍帯血(UCB)前駆細胞のおよそ50%で見出される。したがって、同時活性化は、前駆細胞のうちかなりの割合のものの活性に影響を与えることができる。その結果から、TNFファミリー受容体活性化がインビボでの造血前駆細胞活性の誘導に十分であることが明らかとなる。
【0014】
さらに、TNFファミリー受容体活性化は、比較的短時間に、TNFファミリーリガンドを用いて、さらなるサイトカインおよび増殖因子の非存在下で行われる。このアプローチは、移植片の移植前調製の状態に対して実行可能であり、通常、これは支持および刺激因子を含まない。
【0015】
さらに、本発明は、GvHDに関与するアポトーシス感受性サブセットの除去および残留する悪性細胞の自己移植片からの排除のためにアポトーシスに対する前駆細胞耐性を使用する、移植片調製のアポトーシス介在性機序とは異なる。前駆細胞の移植前の栄養性活性化を達成するための、曝露の時間、リガンドの濃度および活性化受容体の性質は、アポトーシスに対するそれらの非感受性に基づく前駆細胞の機能的な負の選択とは異なる(WO2007/138597)。
【0016】
臍帯血は、造血幹細胞および前駆細胞の豊富な供給源であり、これを使用することは、移植による悪性および非悪性障害の処置において飛躍的に増加する。ドナー細胞供給源としてのUCBの主要な制約は、前駆細胞数が少なく、成人レシピエントの移植で必要とされる閾値を下回り、生着が遅く、無形成および感染に対する宿主曝露の危険な期間が長くなることである。これらの制約の解決策には、数単位の臍帯の同時移植および前駆細胞のエクスビボ増殖が含まれる。発明者らは、アポトーシスに耐性のあるUCB前駆細胞の機能的選択により、表現型マーカー(CD34、CD133)に基づく単離と比較した場合、それらの有効数が増加するということを既に明らかにしている。さらに、アポトーシスに対して感受性となる分化細胞の排除によって、決定を受けていないアポトーシス非感受性前駆体に対して優位性を与えることによりエクスビボでのUCB前駆細胞増殖の収量が改善する。
【0017】
本発明は、前駆細胞の移植前活性化によって生着時間を短縮するためのさらなるアプローチを提供するが、この活性化は持続し、量的および質的造血再構成の加速につながる。
【0018】
造血前駆細胞の別の一般的供給源は、動員末梢血(mPB)であり、動員剤を用いた骨髄刺激後のアフェレーシスによる単核細胞の回収に基づく。発明者らは、mPB移植片からのTおよびBリンパ球の機能的な負の選択によって、GvT活性を保持しながら、GvHDの重症度が顕著に低下することを以前明らかにした[38]。この手順によって、GvHDの潜在的可能性を低下させながらT細胞の移植促進効果を保持することにより、生着効率が顕著に改善する。
【0019】
本発明は、前駆細胞の移植前活性化によって量的および質的mPB細胞生着を促進するためのさらなるアプローチを提供する。
【0020】
アポトーシスおよび抑制シグナルを伝達するTNFファミリーの受容体の発現レベルが低いために前駆細胞がアポトーシスから保護されるということが以前から示唆されている[8−10]。裏付けとなる証拠は、抗体および可溶性FasLをブロックすることにより造血細胞が明らかに保護されることであり[14−16]、これは、Fas三量体化を防ぐことによって抗アポトーシス効果を発揮する[2]。インビトロ実験から、アポトーシスの誘導[19、20]を通じたサイトカイン活性化造血細胞の機能におけるTNF−αの有害効果が明らかになったが[17、18]、これには、その同族受容体との直接的な相互作用[18、21、22]およびFas受容体の間接的な上方制御[8−10]の両方が介在する。全てのこれらの研究において、エクスビボで様々なサイトカインおよびケモカインとともに、TNF−α受容体とのクロストークによる誘導性Fas発現[12、16、18]を含む劇的な表現型および機能変化が付随する条件[23]で、様々な時間にわたり細胞を培養した。細胞機能の変化は、ホーミング障害、細胞周期の誘導および生着潜在力の喪失を引き起こす、TNFファミリー受容体の有害効果に原因があるとされている[24−27]。これらのデータから、FasおよびTNF受容体の中和が、移植片対宿主病においてこの経路が関与するため、特に移植の設定において造血細胞機能にとって有益であり得ることが示唆される。
【0021】
一方で、レシピエント骨髄へのホーミングおよびそこでのシーディング後すぐにドナー細胞においていくつかのTNFファミリー受容体の急激な上方制御が観察される。殆どの原始造血幹細胞および前駆細胞は、ストレス条件下でFas[28]、TNF[29]および腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導性リガンド(TRAIL)受容体[30]をユビキタスに上方制御する。これらの受容体の生理学的意義は、Fas[31]およびTNF受容体[29]を欠く前駆細胞の生着および長期再構成能の欠損により強調されている。
【0022】
細胞活性は、不可逆的な負の制御の主要機序である、活性化および死の機序によって厳密に制御される。細胞生存能を調節するアポトーシス機構は、全ての細胞で発現される、よく保存されている経路であるが、幹細胞および前駆細胞は、受容体介在性アポトーシスに対して殆ど耐性である。移植後にTNFファミリー受容体の発現を上方制御するマウス造血前駆細胞は、アポトーシスシグナル伝達に対して殆ど非感受性であることが明らかになっている[28、29]。これらのデータは、Fas(検討中)、TNF−R1[32]およびTRAIL−R1[30]が介在するアポトーシスに耐性がある、臍帯血(UCB)および動員末梢血(mPB)由来のヒト前駆細胞にまで拡大されている。
【0023】
当技術分野と対照的に、本発明は、移植細胞の少なくとも一部を活性化することによる、移植の結果を改善するための移植前のTNFスーパーファミリーのリガンドへの造血幹細胞および前駆細胞の曝露に関する。理論により縛られることを望むものではないが、この効果は、TNFスーパーファミリー受容体が介在する栄養刺激を含む。Fas−リガンド、TNF−aおよびTRAILに対する受容体のそれぞれ1つまたはそれらの組み合わせの活性化により、量的および質的造血再構成が促進される。エクスビボでのTNFスーパーファミリー受容体の移植前活性化は、インビボでの前駆細胞のその後の挙動の調整能を有しており、早期造血再構成を促進し、移植前の期間および活性化される受容体のタイプに従い特定の細胞系列を育成する。性質、リガンド濃度、組み合わせ、曝露時間は、移植片の供給源、抗原不同性、ドナー接種材料のサイズ(前駆細胞数)、レシピエントの状態および特定の設定における見込まれる病的状態に従い、様々に設定される。リガンドの適用によって、受容体をそれらの活性化前に、またはそれと同時に上方制御し得る。
【0024】
したがって、その態様の第一において、本発明は、幹細胞および前駆細胞(SPC)移植を必要とするレシピエントにおいて幹細胞および前駆細胞(SPC)の生着を促進する方法であって、
a.SPCの集団を含む、ドナーから得られた生体試料をTNFスーパーファミリーまたはそれらの何れかの断片もしくは誘導体のうち少なくとも1つのメンバーとエクスビボで接触させ;
b.前記接触段階(a)の後、前記SPCを前記レシピエントに移植することを含み、
移植されたSPCが、生着向上を示す、
方法を提供する。
【0025】
別の態様において、本発明は、移植の方法における使用のための細胞の集団であって、前記細胞が、生着特性が向上している幹細胞および前駆細胞(SPC)であり、前記生着特性が向上しているSPCの集団が、SPCの集団を含む、ドナーから得られた生体試料をTNFスーパーファミリーまたはそれらの何れかの断片もしくは誘導体のうち少なくとも1つのメンバーとエクスビボで接触させることによって得られる、細胞の集団を提供する。
特定の実施形態において、このSPCは造血幹細胞および前駆細胞(HSPC)である。
【0026】
本明細書中で使用される場合、「幹細胞および前駆細胞(SPC)の生着を促進する」という句は、細胞移植の効率、品質もしくは迅速性の改善または、TNFスーパーファミリーのメンバーによるインビトロ曝露および細胞の活性化の結果であり得る量的および質的造血再構成の加速に関する。例えば、生着促進は、骨髄系、リンパ系、血小板または赤血球系再構成または活性を向上させることを含む。細胞生着を評価するための方法には、例えば、下記で詳述するような、細胞遊走および他のインビトロ技術ならびに生体試料の組織学的、免疫学的および/または放射線学的評価(例えば血液試料)が含まれる。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「エクスビボ」という用語は、生体試料の形態の、生きている生命体(好ましくはヒト)から取り出された細胞が維持され、場合によっては生命体の外部(例えば試験フラスコ中)で増殖させられる過程を指す。
【0028】
本明細書中で使用される場合、「細胞の集団」という句は、細胞の、単離された均一または不均一集団を指す。「SPCまたはHSPCの集団」は、それぞれ幹細胞および前駆細胞または造血幹細胞および前駆細胞の、単離された均一または不均一集団を指す。
【0029】
本明細書中で使用される場合、「幹細胞および前駆細胞」という用語は、組織または身体において細胞塊を生成させるのに寄与する最も早期の再生可能細胞集団および幾分分化が進んでおり、まだ決定が起こっておらず、最も早期の再生可能細胞集団超初期の一部になるように容易に戻すことができる、非常に早期の前駆細胞を指す。
【0030】
本明細書中で使用される場合、「造血幹細胞および前駆細胞」という用語は、全ての血液細胞系列を生成させるのに関与する幹細胞および前駆細胞血液細胞を指す。
【0031】
ある一定の実施形態において、幹細胞は、CD34+、CD34+/CD38−、CD133+、CD34+/Lin−または当技術分野で公知の他の幹細胞マーカーなどの幹細胞マーカーによって同定することができる。
【0032】
SPCの供給源は、臍帯血(UCB)、動員末梢血(mPB),または骨髄であり得る。すなわち、特定の実施形態において、SPCまたはHSPCの集団を含む生体試料は、臍帯血(UCB)、動員末梢血(mPB)または骨髄からなる群から選択される。
【0033】
移植のための細胞の調製の方法は、当技術分野で周知である。滅菌手順を用いて組織(例えば臍帯血および骨髄穿刺)を採取する。移植のために調製した細胞を生理溶液中で維持するか、または懸濁液中もしくは固定基質上で培養することができる。細胞を支持することが可能な適切な培養液としては、HEM、DMEM、RPMI、F−12などが挙げられる。必要に応じて、培地は、グルタミンおよび他のアミノ酸、ビタミン、ミネラル、トランスフェリンなどの、細胞代謝に必要とされる補助剤を含有し得る。培地は、酵母、細菌および真菌による混入を防ぐために、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシンなどの抗生物質も含有し得る。培養において、条件は生理学的条件に近いものであるべきである(好ましくは約6から約8のpHおよび約30℃から約40℃、好ましくは約37℃の温度)。
【0034】
当技術分野で公知の何らかの方法に従い、臍帯血(UCB)から細胞を入手し得、例えば正常な満期産(インフォームドコンセント受領後)後にUCBから細胞を得る。例えばRubinsteinら(PNAS USA 1995;92(22):10119−10122)に従い、分娩後24時間以内に、試料を回収し、凍結し得る。使用前に、2.5%ヒト血清アルブミンを含有するデキストラン緩衝液中で細胞を凍結融解し、Ficoll−Hypaque勾配上に重ね、800xgで30分間遠心し得る。界面層中の単核細胞を回収し、0.5%HSAを含有するリン酸緩衝食塩水(PBS)中で3回洗浄し得る。
【0035】
生体試料を新たに回収、保存または凍結保存し得る。新鮮なまたは培養した細胞調製物は、それらが必要とされるまで、当技術分野で公知の何らかの方法によって凍結保存し得る。特定の凍結保存剤を含有する当張液、好ましくは細胞培養液中で細胞を懸濁し得る。このような凍結保存剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロールなどが挙げられる。移植のための細胞の調製および保存のためのさらなる方法が当技術分野で公知であり、例えばHandbook of Transplantation(KipshidzeおよびSerruys,eds.London,UK,2004)で詳細に開示されている。
【0036】
特定の実施形態において、前記の生着促進は、骨髄系、リンパ系、血小板または赤血球系再構成または活性を上昇させることを含む。
【0037】
「腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリー」は現在、ヒトでは19個のリガンドおよび29個の受容体からなり、3個のさらなるTNFスーパーファミリー受容体がマウスで同定されている。殆どのTNFリガンドは、可溶性サイトカインを生成させるために特異的なメタロプロテイナーゼによって細胞外ドメインが切断され得るII型膜貫通タンパク質である。TNFスーパーファミリーリガンドに対する受容体は、オリゴマー、I型またはIII型膜貫通タンパク質である。TNFスーパーファミリーのメンバーとしては、4−1BB/TNFSF9、APRIL/TNFSF13、BAFF/BLyS/TNFSF13B、CD27リガンド/TNFSF7、CD30リガンド/TNFSF8、CD40リガンド/TNFSF5、EDA/エクトジスプラシン、EDA−A1/エクトジスプラシンA1、EDA−A2/エクトジスプラシンA2、Fasリガンド/TNFSF6、GITRリガンド/TNFSF18、LIGHT/TNFSF14、リンホトキシン、リンホトキシンbeta/TNFSF3、リンホトキシン−alpha/TNF−beta、OX40リガンド/TNFSF4、TL1A/TNFSF15、TNF−α、TRAIL/TNFSF10、TRANCE/TNFSF11/RANK L、TWEAK/TNFSF12が挙げられる。
【0038】
このファミリーにおける全ての受容体およびリガンドは、顕著な構造相同性(〜85%)を示す。しかし、別個の活性末端は、ファミリー内での交差活性化なく、同族受容体へのリガンドの選択的な結合を媒介する。TNFは2個の同族受容体を有し、TRAILは4個の膜結合型受容体および1個の可溶性受容体を有し、これらの3個(可溶性のものを含む。)は、シグナル伝達なくリガンドに結合するデコイ受容体であると考えられる。TNFファミリー内で、Fasはアポトーシスの共通の実行体であると考えられ、Fasは、ファミリーの他のメンバーと比較して、いくつかの別個の特徴を呈する[1、2]。Fasの活性化は、受容体三量体化を必要とし、したがってFasLの活性アイソフォームは、生理的条件下で膜結合性であり、薬理学的使用のためには、オリゴマーを生成させるために結合を必要とする。FasLの可溶性アイソフォームは、三量体化のないFasのライゲーションがアポトーシスシグナル伝達を阻止するので、抗アポトーシス活性を有する。
【0039】
特定の実施形態において、TNFスーパーファミリーの少なくとも1つのメンバーは、Fasリガンド(FasL)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)および腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導性リガンド(TRAIL)からなる群から選択される。
【0040】
特定の実施形態において、前記の生体試料はUCBであり、前記の段階(a)の接触は約18時間から約48時間にわたる。
【0041】
別の特定の実施形態において、前記の生体試料は骨髄であり、前記の段階(a)の接触は約12時間から約32時間にわたる。
【0042】
別の特定の実施形態において、前記の生体試料はmPBであり、前記の段階(a)の接触は約3時間から約18時間にわたる。
【0043】
特定の実施形態において、約10ng/mlから約20ng/mlの間の濃度のTNF−α、および/または約10ng/mlから約50ng/mlの間の濃度のFasLおよび/または約500ng/mlから約1500ng/mlの間の濃度のTRAILとともにSPCを温置する。
【0044】
特定の実施形態において、何らかのさらなるサイトカイン、ケモカインまたは増殖因子なく、TNFスーパーファミリーまたはそれらの何れかの断片もしくは誘導体のうち少なくとも1つのメンバーとともにSPCを温置する。
【0045】
本明細書中で使用される場合、TNFスーパーファミリーのメンバーの「断片または誘導体」という用語は、上記で定められるとおりの生着向上に関して完全なタンパク質の活性を保持する、タンパク質の何らかの部分に関する。
【0046】
特定の実施形態において、前記のTNFスーパーファミリーの少なくとも1つのメンバーは表面、例えばビーズに結合されている。結合はリンカーを介するものであり得る。
【0047】
特定の実施形態において、前記のTNFスーパーファミリーの少なくとも1つのメンバーは、TNFαおよびFasLの組み合わせである。
【0048】
下記の実施例で明らかにされるように、TNFファミリーのリガンドへのマウス骨髄由来前駆細胞の移植前曝露によって、限界希釈条件下でレシピエント生存が改善した。さらに、リガンドのそれぞれ1つでの前駆細胞の活性化によって、実質的に量的および質的造血再構成が改善された。これらのデータから、(TNFファミリーのリガンドへの曝露を介した)TNFファミリー受容体のマウス前駆細胞活性化能および照射を受けたマウスをレスキューするための早期生着促進能が明らかになる。
【0049】
移植前のTNFファミリーリガンドへの移植前曝露によって、ヒトUCBおよびmPB細胞の量的生着が改善される。SCID再構成細胞(SRC)は、ヒト再構成細胞(HRC)に関連する、ヒト細胞に対する最も信頼できる代替アッセイと考えられる。しかしヒト細胞試料間での幅広い変動性および個々のマウスにおける生着の生物学的変動性は、このアッセイの大きな欠点である。さらに、サイトカインおよび増殖因子の部分的マウス−ヒト適合性の条件下でヒト細胞が発生する。したがって、比較的多数のヒト試料(65UCB単位)を用いて、それぞれ1つを3から7レシピエントに移植して、生着におけるデスリガンドの影響の比較分析を行った。下記の実施例で示されるように、TNFファミリー受容体の移植前活性化の結果、新鮮なUCB細胞および凍結保存されたmPB試料の優れた量的生着が得られた。全体的に、TNFスーパーファミリーのリガンドへのヒト細胞の移植前曝露によって、SCID異種キメラにおいて量的ヒト細胞生着が改善される。
【0050】
TNFファミリーリガンドへの移植前曝露によって、ヒトUCBおよびmPB細胞の質的生着が調整される。Bリンパ球および骨髄系細胞は、SCIDマウスにおいてヒト前駆細胞から発生する第一のヒト細胞系列である。実施例で示されるように、Bリンパ球の分画が増強され、TNFファミリーリガンドとともに温置されたUCB細胞のレシピエントにおいて優れた骨髄系生着が明らかになった。したがって、量的生着改善は、早期生着および前駆細胞の機能促進の結果である。さらに、TNFファミリー受容体の移植前活性化の時間によって、造血前駆細胞機能の質が調整される。
【0051】
TNF受容体のライゲーションを通じた造血前駆細胞の活性化は、マウスおよびヒト細胞において共通の経路として進展する。実施例で明らかにされるように、優れた量的および質的生着により強調されるように、活性化はインビボで持続する。この証拠から、TNFスーパーファミリー受容体の活性化が介在する、生着促進および早期前駆細胞活性が指摘される。
【0052】
臍帯血は、骨髄および動員末梢血と比較して、造血前駆細胞の豊富な供給源である。10
7個のmPB細胞と比較して、UCB細胞を移植したマウスにおいてヒトキメラ現象が優れたレベルであることにおいて、SRCが高頻度であることがはっきりと表れている。臍帯血移植の主要な制約は、前駆細胞数が少なく、生着速度が遅いことである。UCB前駆細胞は、それらのナイーブで原始的な性質のため、かつ骨髄間質との相互作用における先行経験がないために、活性の惹起が遅い。耐久性のある多細胞系列ヒト造血再構成に介在するのは、骨髄で生着した前駆細胞のみである。本発明は、両制約に影響を及ぼす能力:より早期の生着および量的再構成改善能を有する。
【0053】
本発明は、あらゆるタイプ、すなわちドナー細胞の異なる供給源および様々なレシピエント条件からの移植における使用に適切である。潜在的な合併症が移植前に推定され得ることが多く、これにより、移植片の移植前調整は臨床的に意義がある。生着までの時間は移植の重要なパラメーターの1つであり、感染症への感受性に著しい影響を及ぼし得、無形成、出血および血小板回復前に処置することができない静脈閉塞性事象の期間中に輸血を行う必要がある。
【0054】
TNFファミリー受容体ライゲーションを通じた前駆細胞の移植前活性化後、G−CSFの移植後投与がドナー細胞生着を促進することにおいてより有効であることが企図される。
【0055】
動員末梢血は、腫瘍学的な移植において幅広い用途がある細胞の到達可能な供給源であり、これは成熟ドナーT細胞が介在する致死の可能性があるGvHDにより制限される。アポトーシス感受性T細胞の機能阻害によるGvHD重症度の軽症化[36、38]に加えて、提案されるアプローチは、生着を向上させることによって移植片対腫瘍反応性に影響を与えると思われる。移植中の免疫抑制期間は、腫瘍細胞の増殖が制限されなくなるので危険である。
【0056】
前駆細胞活性化の真の性質は、二次移植実験により強調される。前駆細胞活性化により課せられる疑問の1つは、それが、短期および長期造血再構成能が与えられる前駆細胞の分化により消退を引き起こすか否かである。Bリンパ球および骨髄系子孫細胞の増加には、一次SCIDレシピエントの骨髄における細胞系列陰性細胞の相反的な減少が付随した。しかし、一次レシピエントにおける優れた量的再構成とともに、連続的な二次レシピエントの再構成も改善された。理論により縛られることを望むものではないが、これらの結果から、消退ではなくむしろ前駆細胞活性化によってTNFファミリー受容体が生着を改善することが示される。
【0057】
前に示されるように、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)および幹細胞因子(SCF)などの刺激因子との相乗作用を通じて、クローン形成活性に関与するよう前駆細胞を誘導する[29、30]。これらのシグナルにはマウス細胞においてFas、TNF−R1およびTRAIL−R2(唯一のマウスTRAIL受容体)が介在する[29−31]。一貫して、培養中に構成的に存在するリガンドの栄養シグナルは、ヒトUCBおよびmPB試料の活性化を刺激するために増殖因子と協同する[36、38]。これらのシグナルには、最初に、Fasの正の影響がより小さいTNF−R1およびTRAIL−R1が介在する。同時に、TNFファミリーリガンドは、最終的に分化した子孫細胞において負の制御因子として作用し、コロニーサイズを縮小させるが、個々の受容体間で顕著な変動がある[29−31]。ヒト細胞のこれらの代理アッセイのある重要な制約は、コロニー発生におけるアポトーシス細胞の負の影響であり、これは、デスリガンドによる感受性細胞でのアポトーシスの誘導により悪化する[29、32]。したがって、精製した前駆細胞を用いて培養が開始される場合でさえも、分化した子孫細胞がアポトーシスに感受性になるので、培養におけるリガンドの真の栄養効果は、内因子により過小評価となる。
【0058】
本発明による幹細胞および前駆細胞活性化の機序は、一次レシピエントの骨髄から回収された細胞の骨髄系コロニー数の増加によって実証される。移植12週間後でさえも、TNF−αで前処理した細胞のレシピエントにおいてクローン形成活性が上昇した。このインビトロアッセイは、インビボでの骨髄系活性促進と一致し、これによってインビボでの骨髄系活性促進が正しいことが確認される。したがって、TNFスーパーファミリー受容体を通じた移植前の前駆細胞活性化は、移植後の結果を維持している。
【0059】
インビボで観察されるTNFファミリー受容体ライゲーションの結果を検証するために、インビトロクローン形成アッセイを行った。半固形メチルセルロース培養におけるクローン形成活性は、SCID再構成細胞と比較した場合、より決定が進んだ前駆細胞サブセットの活性を反映し、これはSCF、IL−3およびGM−CSFなどの増殖因子によって刺激される。クローン形成アッセイによって、主に、UCBおよびmPB細胞のTNFファミリーリガンドとの短期温置後の活性促進が確認される。これらのデータから、TNFファミリー受容体による、決定が起こった造血前駆細胞の刺激が明らかになる。重要なことは、ここで行ったクローン形成アッセイでは、相当な数の死細胞が培養中に含まれたので、TNFファミリー受容体の真の誘導性効果が過小評価される、ということである。死細胞の存在は、セモイソリッド(semoisolid)培養においてクローン形成活性を実質的に阻害する[32]。これらのアッセイは、直接的な栄養効果を明らかにしており、死細胞の除去により達成される生存可能な集団内での前駆細胞頻度の増加とは異なる[33、34]。
【0060】
分化した造血細胞は、成熟の過程に沿ってアポトーシスシグナル伝達に対する感受性を獲得し、TNFファミリー受容体が負の制御の主要なホメオスタシス機序になる。これは、培養中でのデスリガンドの存在下でのコロニーサイズ縮小から明らかであった[29−32]。しかし、下記の実施例で示されるように、TNF−αの誘導性活性は、mPB前駆細胞の予備活性化後の大きなコロニーサイズにおいて明らかであった。リガンドは培養中に存在せず、したがって分化した子孫細胞において負の制御を課さなかった。
【0061】
下記の実施例で示されるように、TNFファミリーリガンドとの短期温置期間の終了時の分析によって前駆細胞の特徴の一部が明らかになった。受容体の活性化は、有糸分裂的に静止状態の細胞の分画に影響しなかった。これらの細胞はSRCサブセットを含有する[24−26]。さらに、受容体の活性化は、CD34
+および細胞系列陰性UCB前駆細胞の増殖を誘導しなかった。これらのデータから、TNFファミリー受容体が、それらの数の増幅または増殖の誘導なしで前駆細胞活性を活性化することが明らかになる。
【0062】
従来の定説[8−10、17−22、27]とは対照的に、造血前駆細胞生存能および機能においてTNFファミリー受容体の活性化が有害な結果を有しないことが強調される。造血細胞機能におけるTNFファミリー受容体の有害効果を報告する先行試験は、増殖因子および補助ケモカインの補給ならびにそれらの消退によってインビトロで前駆細胞を刺激した[12、13、16−21、27、35]。本発明で示されるように、臨床背景を模倣するために実験を設計し、移植前に前駆細胞を刺激せず、補助ケモカインを補給しなかった。先行技術とは対照的に、本発明の発明者らは、前駆細胞におけるTNF受容体活性化の顕著な栄養活性を見出した。このデータから、受容体介在性シグナル伝達が、栄養経路を誘導し、これが、持続性の活性化を伝達し、続く前駆細胞機能を支配することが示される。
【0063】
下記で示されるように、各受容体が新鮮なUCB細胞のごく一部で発現されるにもかかわらず、前駆細胞のおよそ50%が受容体のうち1つを通じたシグナル伝達に反応する。ヒト細胞における栄養受容体は、TNF−R2の未知の活性があるTNF−R1[32]およびTRAIL−R2の拮抗性活性があるTRAIL−R1である[30]。
【0064】
本発明は、次の要素を考慮する:a)活性化の標的受容体、b)リガンドの濃度、c)前駆細胞活性化を達成するための受容体ライゲーションの持続時間、d)受容体発現の調整およびe)適用されるリガンドの組み合わせ。
【0065】
下記の非限定例から、Fas、TNFおよびTRAIL受容体の活性化が示される。これらの受容体のそれぞれ1つは、造血前駆細胞において栄養活性を示す。マウス細胞において、リガンドの最適濃度で3個の受容体の活性化の同様の結果がある。相違において、UCBおよびmPB起源の両方のヒト細胞において、TNF−R1およびTRAIL−R1は、活性誘導においてFasよりも強力である。ヒト前駆細胞活性化に対するリガンドの有効濃度は、FasLが10から50ng/ml、TNF−αが10から20ng/mlおよびTRAILが500から1500ng/ml(1から5x10
7個細胞/mlの懸濁液濃度)の範囲である。
【0066】
リガンドに対する曝露の持続時間は異なる。UCB細胞は、18から48時間にわたり温置し、骨髄細胞は12から32時間、mPBは3から18時間にわたり温置する。栄養シグナル伝達に対する温置時間は様々であり、一般には前駆細胞の機能的な負の選択に対する曝露時間よりも長い。ヒト細胞の移植前温置時間は、これらの細胞が培養中に受ける劇的な表現型変化およびエクスビボ培養3日後の生着能の喪失により制限される。下記の実施例で示されるように、エクスビボ培養72時間後のUCB前駆細胞の生着能の喪失は、TNFファミリー受容体が介在するアポトーシスシグナル伝達と独立している。したがって、一般的な目的は、最小限まで培養時間を短縮することである。上記で詳述されるように、温置の時間も、リンパ系および骨髄系分化の選択的誘導を決定する。
【0067】
TNFファミリーリガンドの組み合わせの使用により、移植前温置条件の構成を目的に合わせて個別化することができるようになる。あるこのような組み合わせがFasLおよびTNF−αに対して与えられ、これは各リガンド単独と同様の栄養活性を示す。
【0068】
アポトーシスに対する前駆細胞の耐性によって、受容体発現の調整によりTNFファミリーリガンドの様々なメンバーに対する反応性のパターンを調整することができるようになる。例えば、FasおよびTNF受容体を同族リガンドの適用前または適用と同時にインターフェロン−γにより上方制御し得る。受容体発現パターンの調整によって前駆細胞の反応を減弱させることが可能である。いくつかのリガンドを使用することによって、生着を促すためのアプローチとして、様々な移植設定下の様々な供給源からの細胞の前処理においてある程度の柔軟性がもたらされる。特に、TNFファミリー受容体とリガンドとの間に交差反応性はなく、各分子はその同族受容体に限定される。
【0069】
同族リガンドによる直接的活性化以外に、誘導性クロストークは、様々な受容体の性質を向上させる。下記の実施例で示されるように、Fas発現におけるTNF−αの特徴がよく分かっている誘導性効果[8、12]には、両TNF受容体が介在する。さらに、さらなる誘導性相互作用が明らかになった:FasはTRAIL−R1の発現を誘導し、TRAILは、TRAIL−R1およびTRAIL−R2の両方の発現を誘導する。受容体クロストークの機能の結果には、Fasクロスリンクに反応してTRAIL−R1およびTRAIL−R2を発現する前駆細胞の増殖の誘導ならびにFasおよびTNF−R2を同時発現する細胞のさらなるアポトーシスが含まれる。しかし、FasおよびTNF−R1またはTRAIL−R1の同時発現は、アポトーシスに対する感受性を向上させない。実際に、CD34
+UCB前駆細胞の〜40%におけるFasのTNFα−誘導性発現およびFasLによるクロスリンクは、半固形培養において骨髄系前駆細胞の刺激を弱めない。要するに、下記で与えられるデータは、造血前駆細胞におけるアポトーシスシグナル伝達とは関係がない、TNFファミリー受容体間での顕著なクロストークを強調する。
【0070】
異なるリガンドでは影響が異なるため、様々な供給源からの造血細胞の特定のサブセットに対して様々な結果を得るために混合物を使用する可能性が出てくる。しかし、移植関連の検討事項の一部の例としての、ドナー−レシピエントHLAミスマッチの程度、ABO不適合性、移植に利用可能な細胞および前駆細胞の絶対数(5x10
6個CD34
+細胞/kgのおよその閾値で)、活動性悪性疾患(急性転化)対微小残存病変(1:10,000悪性細胞)および完全寛解、好中球減少症およびリンパ球減少症の移植後の期間中に再活性化され得る既存の感染症(例えばCMV、EBV、水痘、ヘルペス)、進行中の慢性GvHD(例えば以前の移植失敗後)、急性GvHD(例えばハプロタイプ一致移植)の脅威、生着に対する宿主耐性(例えばファンコニー貧血)など、他の検討事項が、決定されたリガンドの最適の組み合わせに影響を与え得る。主に骨髄系(例えば関節リウマチ)またはリンパ系細胞(例えば1型糖尿病、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、炎症性腸疾患)の異常が原因であるものであり得る自己免疫障害に同様の基準が適用される。
実施例
実施例1:デスリガンドに対するマウス骨髄のエクスビボ曝露によって前駆細胞機能が促進される。
【0071】
この実施例は、マウス骨髄由来前駆細胞生着に対する移植前のTNFファミリー受容体活性化の影響を明らかにする。培地中およびデスリガンドの存在下での18時間の温置後、850rad TBIで前処置したレシピエントマウスに1.5x10
5個の細胞系列陰性同系(CD45.1→CD45.2)前駆細胞を移植した。バルク細胞温置には前駆細胞のクローン形成活性を減少させる死細胞の内容物が混入しているので[29、31]、限界希釈移植前に単離した細胞系列陰性前駆細胞をデスリガンドに曝露した。細胞の境界数、すなわち1.5x10
5個の同系骨髄由来lin
−前駆細胞の移植により、マウスの〜50%の生存率が与えられる。18時間にわたりTRAIL(
図1A)、FasLおよびTNF−α(
図IB)で予め刺激した1.5x10
5個のlin
−前駆細胞の移植の結果、実質的に改善され優れた生存率が得られた。さらに、Fas受容体発現を誘導するためのTNF−αへの同時曝露およびFasLとの受容体クロスリンクの結果、限界希釈移植において同等の優れた生存率が得られた(
図1B)。これらのデータは、デスリガンドでのマウス骨髄細胞の短時間の移植前刺激が、限界希釈条件下での生存率改善度に対して生理学的に意義があることを強調する。
【0072】
いくつかの可能性のある機序の中でも生着における受容体活性化の誘導性効果を検証するために、混合キメラにおいてドナー細胞発生をモニタリングした。デスリガンドのうち1つおよびTNF−αおよびFasLの組み合わせの何れかに予め曝露した細胞のレシピエントは、移植3週間後でドナーキメラ現象のレベル上昇を示した(
図1C)。混合キメラにおける子孫細胞におけるデス受容体活性化の誘導性効果を改良するために、骨髄前駆体の子孫細胞を免疫表現型で分けた。骨髄系生着は移植3週間後に安定であり、これはほぼ確実にこれらの移植条件下での飽和値により引き起こされる(
図1D)。相違において、リンパ球区画は、CD4
+およびCD8
+T細胞両方の中程度の減少およびBリンパ球の顕著な増加を示した。B細胞は移植後に発生する最初のリンパ系細胞系列であるので、これらのデータは前駆細胞機能における受容体活性化の誘導性効果を明らかに示す。
実施例2
デスリガンドへのUCB細胞の移植前のエクスビボ曝露は生着を促進する。
【0073】
UCB細胞の著しい制約は、前駆細胞数が少ないことおよびこれらの骨髄経験がない細胞の生着速度が遅いことである。新鮮な臍帯血単位を培地(ケモカイン補給なし)中で、および50ng/ml FasL、20ng/ml TNF−αおよび1,500ng/ml TRAILとともに様々な時間(1から3日間)にわたり温置した。25μg/gブスルファンを2回投与して前処置した免疫不全NOD.SCIDマウスに同数の最初の細胞を移植した。比較のために、新鮮なものまたは培地温置したものとしての両方で、デスリガンドへの曝露後に、同じUCB単位からの細胞を移植した。マウス骨髄において移植12週間後に読み取りを行った(
図2A)。9個の臍帯単位からの移植実験のまとめ(各臍帯単位は、3実験群中の3から6匹のマウスの移植用となる。)から、培地単独と比較して、24から48時間にわたるFasL、TNF−αおよびTRAILでの移植前曝露後にキメラ現象の上昇傾向が示された(
図2B)。マウス骨髄におけるヒトキメラ現象の例証的な測定をTNF−αとの予備温置に対して示す。ストレプトアビジンが結合したメタロプロテイナーゼ切断部位欠失FasLの短縮アイソフォームにUCB細胞を予め曝露した場合に同様の結果が得られた[28、31、37]。しかし重要なこととして、TNFαは、Fas受容体発現を誘導する(下記参照)が、FasLとの同時温置は、ヒト異種キメラ現象の促進を弱めない。2日間を超えてUB細胞を温置すると、リガンドの存在に関係なく、生着効率が顕著に低下する。これらのデータから、TNFスーパーファミリーのデスリガンドへの移植前曝露により誘導される量的UCB細胞生着促進が明らかになる。
実施例3
デスリガンドへのUCB細胞の移植前曝露は質的骨髄系再構成を促進する。
【0074】
臨床背景における生着までの時間は、感染に対する感受性低下に関連する、末梢循環における顆粒球の安定した存在から決定される(>500個細胞/dl)。インビボでのUCB前駆細胞に対するデスリガンドの影響を評価するために、マウス骨髄におけるヒト造血細胞系列を評価した。TNFαで予め処理した細胞に対して、ヒト細胞ではゲートにおいてBリンパ球子孫が主であり、T細胞発生が少し存在することを示す例が示される(
図3A)。
図2Aで示される条件に従い、マウスに移植した。移植前のデスリガンドへのUCB細胞の予備曝露によって生着パターンが調整され、骨髄性単球子孫が増加し(p<0.05)、Bリンパ球キメラ現象が増加するが、これは、NOD.SCIDマウスにおいて発生する、最初のヒト造血細胞系列である(p<0.01、
図3B)。ヒト前駆細胞活性の誘導は、マウス骨髄における細胞系列陰性ヒト細胞数の相反する減少と一致していた(p<0.005)。特に、UCB細胞の温置48時間後に最も顕著な誘導性効果が観察され、インビボで12週間の長期生着中、持続した(
図3C)。これらのデータから、デスリガンドによる移植前誘導後のインビボでの早期ヒト骨髄系およびBリンパ球前駆細胞活性の促進が明らかになる。SCID再構成細胞(SRC)は、短期ヒト再構成細胞の活性と最良に相関すると考えられる。
実施例4
前駆細胞活性促進は二次的再構成を改善する。
【0075】
SCID再構成細胞の活性化は、ヒト前駆細胞の消退を引き起こし、生着の耐久性を減じ得る。しかし、24および48時間にわたるTNF−αへの予備曝露によって移植12週間後でのマウス骨髄中のヒトCD34
+細胞の絶対含量が、対照培地と比較して、それぞれ34±30%(有意でない。)および21%±24%(有意でない。)増加した。したがって、二次レシピエントでの生着の機能アッセイにおいて、一次レシピエントにおいて生着したヒト細胞をさらに評価した。
図1Aで示される条件に従い、一次レシピエントを移植した。第一段階において、一次レシピエントの骨髄内容物の二次レシピエントへの移植によって、耐久性のある再構成に関与する前駆細胞におけるTNF−αの影響を調べた。移植12週間後に、培地中でおよびTNFαとともに24時間にわたり予備温置したUCB細胞の一次レシピエントの大腿骨の細胞内容物の半分を二次ブスルファン前処理NOD.SCIDマウスに移植した。TNFαとともに予備温置した細胞の一次レシピエントの大腿骨内容物の半分には3.2±1.4x10
5個のヒトCD34
+細胞が含有され、一方で24時間にわたり培地中で予備温置したものは、5.3±3.1x10
5個のヒトCD34
+細胞を含有した(有意でない。)。12週間後に骨髄においてヒト異種キメラ現象を測定した(各群6匹マウスにおいて3UCB単位)。二次NOD.SCIDレシピエントへの大腿骨内容物の半分の移植によって、TNF−αへの予備曝露後のヒトキメラ現象のレベル上昇が示され(p<0.05、
図4A)、ヒト前駆細胞に対するサイトカインの有害効果がないことが検証された。第二段階において、インビボでの骨髄における骨髄系表現型の明らかな増加をインビトロでヒトサイトカインにより刺激したメチルセルロース培養においてさらに評価した。ヒトSCF、IL−3およびGM−CSFで刺激した半固形メチルセルロースアッセイにおいて、実験終了時に一次レシピエントの骨髄由来の同数のCD34
+ヒト前駆細胞を評価した。24時間(n=6から3UCB単位)および48時間(n=7から3UCB単位)にわたり予備温置したUCB細胞のレシピエントのコロニーを、培地中で予備温置した細胞のレシピエントで測定したクローン形成活性に対して正規化した(正規化)。24および48時間にわたるTNF−αへの曝露後の骨髄系クローン形成活性の上昇が明らかになった(
図4B)。前駆細胞数の増加および骨髄系再増殖促進により、TNF−α(例証的なリガンドとして)へのエクスビボ曝露により増大させられるUCB前駆細胞の効果的な自己再生が指摘される。
実施例5
UCB細胞予備温置の影響の特徴
【0076】
次の段階において、発明者らは、移植前温置およびTNFファミリーリガンドへの曝露中にUCB細胞の特徴の一部の評価を行った。UCB細胞におけるリガンドの影響は、同族受容体の発現に依存する。培地中で48時間にわたり温置されたUCB細胞において、全ての受容体が比較的低レベルで発現され、FasLおよびTRAILの影響は変動する(
図5A)。TNF−αの影響を下記で詳述する。リガンドのうち何れか1つへの曝露では増殖が誘導されず、液体培養中のバルク細胞系列陽性UCB細胞と比較して、CD34
+および細胞系列陰性前駆細胞の周期は遅い(
図5B)。同様に、リガンドは周期相に影響を与えず、細胞系列陰性前駆細胞のうちおよそ50%がG0/G1期であることが分かり、一方で、CD34
+前駆細胞のうち有糸分裂的に静止状態であるものはごく僅かである(
図5B)。SRC(およびヒト再構成細胞)活性が有糸分裂的に静止状態の前駆細胞のサブセットに限定されるので、このパターンは生着保持および促進と一致する[24−26]。
実施例6
デスリガンドへのUCB細胞の曝露は半固形培養中で骨髄系前駆細胞活性を促進する。
【0077】
SCF、IL−3およびGM−CSFで刺激した半固形メチルセルロース培養において、骨髄系前駆細胞活性に対する、TNFファミリーリガンドとのUCB細胞予備温置の影響をさらに調べた(
図6A)。UCB細胞を1から3日間にわたり50ng/ml FasL、20ng/ml TNF−αおよび1,500ng/ml TRAILに曝露した。前駆細胞刺激を調べるために、生存能に関わりなく(すなわち死細胞を排除しない。)、同数の総予備温置細胞を半固形メチルセルロース培養に入れた。顆粒球−マクロファージ刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン−3(IL−3)および幹細胞因子(SCF)で培養物を刺激した。48時間にわたる全リガンドへのUCB細胞の曝露は、新鮮な細胞および対照培地中での温置と比較して、半固形培養において骨髄系前駆細胞活性を刺激した(
図6B)。比較分析のために、新鮮試料または対照として、およびリガンドへの曝露後に、同じUCB試料を入れた。ある例外は、SRC活性の顕著な低下にもかかわらず、TRAILでの温置72時間後にクローン形成活性が促進されたことであった(
図2B)。48時間にわたるTNF−αへのUCB細胞の曝露によって、CD34
+UCB前駆細胞の〜50%でFas発現が上方制御される(
図6C)。TNF−αがFas発現の強力な誘導因子であるので、発明者らは、インビトロで前駆細胞活性におけるこの誘導の影響を評価した。50ng/ml FasLおよび20ng/ml TNF−αへのUCB細胞の同時曝露も骨髄系前駆細胞活性化において有効であり、FasLおよびTNF−α単独それぞれの影響に匹敵する(
図6D)。これらのデータから、TNF誘導性Fas発現によって、アポトーシスに対して前駆細胞が増感されないが、それらの効果が相加的または相乗的ではなくむしろ重複していることが明らかになる。これらのインビトロデータは、インビボでの骨髄系前駆細胞活性に対するTNFファミリーリガンドの刺激効果と一致し、これを説明する。
実施例7
TNFファミリー受容体のクロストーク
【0078】
TNFファミリー受容体がクローン形成アッセイにおいて重複した活性を示すにもかかわらず、それらの差次的な影響は、様々な動作を得るために、活性化リガンドの組み合わせの適用を必要とし得る。この実施例において、アポトーシスおよび栄養的影響に対して増感させ得る受容体間の誘導性クロストークの存在を評価した。液体培養中でのデス受容体発現のダイナミクスを調べた。単核UCB細胞を50ng/ml FasL、20ng/ml TNF−αおよび1.5μg/ml TRAILとともに72時間温置し、新鮮な試料中で、および各リガンドとの温置後、CD34
+前駆細胞でのゲーティングにより受容体の発現を調べた。先行研究で強調されるように[8、12]、TNF−αは、CD34
+UCB前駆細胞においてFasの発現を誘導する唯一のリガンドである(
図7A)。TNF受容体の発現に対するリガンドの影響消失とは異なって(
図7B)、FasLは、前駆細胞においてTRAIL−R1の顕著な発現を誘導する(
図7C)。さらに、TRAILはそれ自身の受容体を誘導し、これは72時間の長時間温置後の正の効果の持続に関与し得る(
図6B)。まとめると、両TNF受容体とFasとの間の注目すべきクロストークが観察され(
図7D)、一方でTNFR2誘導性Fasのみによって、FasL介在性アポトーシスが起こり易くなり、TNFR1誘導性Fas発現は殆ど、プロアポトーシス活性がない(
図7F)。別の相互作用は、Fas誘導性TRAIL−R1発現であり(
図7D)、これはプロアポトーシスの帰結および両受容体を発現する細胞における増殖の誘導がない(
図7E)。これらの相互作用は、誘導性クロストークを通じた受容体の活性化が介在する影響の性質を定める。
実施例8
デスリガンドへのmPB細胞の曝露により生着が増強する
【0079】
デスリガンドの影響がUCB細胞の選択的特性ではないことを検証するために、凍結保存動員末梢血(mPB)細胞を用いて実験を行った。凍結保存mPB試料を凍結融解し、50ng/ml FasL、20ng/ml TNFおよび1,500ng/ml TRAILとともに4時間温置した。比較分析のために、同じmPB単位からの細胞を未操作(凍結融解)物として、または培地中での温置後に移植し、リガンドに曝露した。全部で10
7個の細胞(死細胞を排除しない。)をブスルファン前処理NOD.SCIDマウスに移植し(
図2Aで示されるとおり)、12週間後に骨髄を分析した。G−CSFによる5日間の動員およびフェレーシスによる単核細胞の回収によってこれらの試料を得た。DMSOを用いてこれらの試料を凍結し、凍結融解後に〜15%死細胞が含有されていた。ブスルファン前処理NOD.SCIDマウスへの移植(
図2A)から、UCB細胞移植よりも顕著に低いレベルのドナーキメラ現象が示された(
図8A)。しかし、対照培地単独ではなく、FasLおよびTNF−αとの細胞の移植前温置によって、ヒト異種キメラ現象の実質的レベルが向上した。移植12週間後でのマウス骨髄の分析から、FasLおよびTNF−αで前処理した細胞(細胞をリガンドとともに4または16時間予備温置)のレシピエントにおいて、異種キメラにおけるヒト細胞分化の主要な早期細胞系列であるヒトBリンパ球が顕著に増加することが明らかになった(
図8B)。これらのデータから、TNFファミリー受容体のエクスビボ活性化によって、末梢血に動員され、凍結保存されたヒト造血細胞の量的および質的生着が調整されることが明らかとなる。
実施例9
デスリガンドへのmPB細胞の曝露は骨髄系前駆細胞機能を促進する。
【0080】
半固形培養での骨髄系前駆細胞アッセイにおいてデスリガンドの影響のさらなる分析を行った。凍結保存mPB細胞を凍結融解し、デスリガンド(50ng/ml FasLおよび20ng/ml)とともに4および16時間温置した。GM−CSF、IL−3およびSCF(n=5−11)で刺激したメチルセルロース培養において同じ総細胞数(死細胞を排除しない。)で細胞を入れた(
図6A)。FasLおよびTNF−αとの4時間の短時間の温置によってコロニー数の小さな増加が誘導され、これは16時間にわたる温置後に顕著に促進された(
図9A)。骨髄系前駆細胞活性化のさらなる証拠は、TNF−αにより誘導されるコロニーサイズ拡大から明らかであった(
図9B)。前駆体の発生はインビボおよびインビトロの様々な環境による影響であったので、デスリガンドによる前駆細胞活性化の帰結が前駆細胞機能に対して異なる帰結を有したことは驚くことではない。これらのデータから、末梢血へ動員された骨髄系前駆細胞の活性化に対するデスリガンドの栄養効果が明らかとなる。
【0081】
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