【課題】肉体的に特別な負荷を与えることなく、視覚上の錯覚だけを利用して女性用のストッキング、或いはストッキング生地で構成されるスパッツ、レギンス、トレンガ等、の脚部被服体の脚横側部分に他部分と異なる暗色視認の編み組織を施すことで、第三者が外部から見た場合に、脚部被服体の着用者の脚部が細身に見えるようにした、脚線を細身に見せるストキングやレギンス等の脚部被服体を提供する。
【解決手段】女性用の脚部被服体、例えばストッキング1において、このストッキング1着用時の脚の大腿部及び脚脛部の横断外周部に対応する、ストッキング1の脚部2を、略均等に4分割し、それぞれ一方の略四半部に対応する左右の各脚側面四半部αを、それぞれ他方の略四半部に対応する前後の各脚前後面四半部βに比して、視覚上暗色を呈する編みで編成した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の要旨は、女性用のストッキング、或いはストッキング生地で構成されるスパッツ、レギンス、トレンガ等の脚部被服体において、着用時の横断外縁部を略均等の4分割してその内の左右の略四半部に対応する脚側面部を、前後の略四半部に対応する脚前後側面に比し視覚上暗く見えるような編み組織からなる暗色の編みとしたこと、及び、脚前後四半部における所定位置に、脚部被服体の着用時の脚脛部の中心位置(又は中心ライン)を示すマーキングを設けたことにある。
【0017】
以下、この発明の実施形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の脚部被服体の一つであるストッキングを女性が着用した時のそのストッキングの側面図を示しており、
図2は
図1のA−A線における該ストッキングの着用状態の横断面を示す。
【0018】
図2において、10Aは着用者10の脚の大腿部(断面模式図)を示し、その大腿部10Aの周囲に本実施形態の女性用のストッキング1の脚部2が被着されている。
このストッキング1は、
図1に示すように、大略構成として、着用者10の左右各大腿部10A及び脚脛部10Bが入る一対の脚部2と、これら脚部2、2と一体となった、着用者10の臀部10Cが入る腰部3とを有している。
【0019】
なお、本発明のストッキングは、つま先に対応する部分が5本指の全てをまとめて同時に被着する構成であるが、これ以外に5本指ストッキング又は2本指ストッキングなどであってもよい。これにより、ストッキングを装着したあと、足先の動きが軽快となるばかりか、指同士が密着することによるむれの発生等を効果的に防止できる。
また、この実施形態では、ストッキングに適用してあるが、このストッキング生地で構成されるスパッツ又はレギンス(踝(くるぶし)から先の足を覆う部分がない)や、トレンガ(土踏まずの部分に引っ掛ける部分を持ち、爪先(つまさき)と踵(かかと)が露出する)等であっても適用可能である。
【0020】
脚部2は、本実施形態の要部となる部分であって、特に以下の2つの特徴を有する。
即ち、
(1)ストッキング1着用時の横断外周部について、詳細は後述するが、脚部2の側面の方を、脚部2の前後よりも、視覚上暗色となるように編みを異ならせて編成したこと、
(2)脚部2の正面に対応する所定位置に、ストッキング1着用時の着用者10の脚脛部10Bの左右(横)方向での中央位置(ライン)を示すマーキングMを設けたこと。
【0021】
即ち、本実施形態の脚部2は、具体的には、
図2に示すように、ストッキング1着用時の、ストッキング1外周面方向に沿った横断外縁部を略均等の4分割とし、そのうちの略四半部に対応する左右の各一定幅の縦長エリア部分(
図3参照)を脚側面部α(シャドウエリア)とする一方、それぞれ脚側面部αで挟まれた略四半部に対応する脚前後の各一定幅の縦長エリア部分(
図4参照)を脚前後面部β(ハイライトエリア)として構成している。別言すれば、本実施形態のストッキング1の脚部2では、
図1に示すように、大別して脚側面部αと脚前後面部βとの2種類の縦長エリアに4分割されている。
【0022】
本実施形態の脚部2の分割態様としては、
図2に1点鎖線で示すように、脚側面部α及び脚前後面部βが、それぞれ、中心角A〜Dが略90度で横断面略円弧状をなすよう、略均等に4等分したエリアで構成されている。しかしながら、この脚部2の脚側面部αと脚前後面部βとは、特にこの角度割合で4分割させることに限定されるものではなく、同様の効果を奏するものであれば、その角度で4分割させてもよい。
即ち、(左右両側面の中央位置を中心としてその両側に広がる)中心角A、Bの脚側面部αは暗部につながる領域であることから、その中心角A、Bは角度が大きくなる程、他人がストッキング1着用者の脚部1を正面から眺めたときに、明部領域である脚前面部(及び脚後面部)βの視認領域が減り、替わりに脚側面部α(暗部領域)の視覚領域が増大してくる。つまり、ストッキング1着用者の脚部2を正面から眺めたときに、脚部が細く認識されるわけである。
従って、中心角A、Bがより増大した(別言すれば、中心角C,Dがより縮小した)構成のストッキング1を着用することで、正面から眺めた脚部1での暗部領域αの大幅増大に伴うシャドウ効果により、脚部正面に対する視認効果としての大幅な細身化をもたらすことができ、特に脚太な使用者などにとっては好都合である。
【0023】
また、上述したように、脚部2は、
図3に示すような、大略構成として、大腿部10Aに被着する上半部21と、脚脛部10Bに被着する下半部22とからなる縦長形状を呈する。
このうち、上半部21にあっては、特に上半部21での脚側面部αによってもたらされる視覚的なシャドウ効果により、大腿部10Aに対して視覚的な減縮錯覚作用を生じる。なお、この脚側面部αの形成領域は、本実施形態では脚部2の上半部21から下半部22に至る脚部2の縦方向略全体にわたって形成してあるが、着用者の脚の態様やサイズによってきめ細かく対応できる。例えば、大腿部10Aが標準より大きなサイズの着用者には上半部21のみに脚側面部αを設けた構成であったり、脚脹脛が標準より大きなサイズの着用者には下半部22のみに脚側面部αを設けた構成であったりすることで、ユーザの要望にきめ細かく対応できる。
【0024】
図4Aに示すような大腿部が普通サイズの女性に比して大きめの着用者10にあっては、同
図Bに示すような大腿部10Aが普通サイズW´の着用者の場合に比して、上半部21での脚側面部αによる大きなシャドウ効果が発揮できる。
【0025】
即ち、本来ならば通常のストッキングを着用したときには、大腿部10Aとして認識するべきハイライトエリアが正面部分の全てのエリアを専有する。一方、本実施形態では、脚部2の脚前後面部βが、着用者10の大腿部10Aを被着する脚部2の上半部21において、全エリアをハイライトエリアで専有するわけではない。
【0026】
つまり、本実施形態のストッキング1の脚部2は、大腿部サイズが大きめの着用者の場合、
図4Aに実線で示すように、物理的には、着用者10の大腿部10Aの幅Wに合せて、これを反映する幅Wサイズの大きめに広がった状態で被着されている。ところが、その幅Wのうちの両側面部分の特定幅w
1+w
2(=w)のエリアは、脚側面部αに相当して暗部(シャドウエリア)である。つまり、このストッキング1を穿いたときに、着用者10の大腿部10Aの正面部分が確かに実際には大きく存在しているものの、この大腿部10Aの正面部分には暗部(シャドウエリア)である脚側面部αが一部入り込んでいる。このため、大腿部10Aとして視覚的に認識される領域は、
図4Aに破線で示すように、明部(ハイライトエリア)である脚前後面部βのみである。つまり、物理的には顕在化している大腿部10Aであるが、視覚的には実際の幅Wに比して恰もwだけ狭められた細身脚として錯覚される。
【0027】
このように、本実施形態のストッキング1によれば、脚側面部αのシャドウ効果がもたらす視覚的な錯覚作用によって、大腿部10Aを特定幅w
1+w
2(=w)のサイズだけ細く見せる痩身効果を発揮できる。従って、第三者が脚部2を視認したときに、実際よりも大幅縮小された細幅脚として認識される。
しかも、編方を異ならせることによる視覚的な錯覚作用によって細身に見せる構造であって、従来のような、強制的にストッキングの着圧を高くして脚形そのものを細身に見せるように矯正するものでないので、大腿部や脚脛部に過度の圧迫負担を与える虞もない。このため、血流に支障をきたす等の健康上の問題が指摘されてきた従来のストッキングとは異なり、着用者にとっては、着用時に圧迫痛を伴って長時間の着用に耐えられない、といった不都合もなく快適な着用感をもたらす。
なお、ここでは、大腿部に対応する脚部2の上半部21により視覚的な細足錯覚作用について言及したが、同様の作用原理によって、大腿部10Aでなく脚脛部10B(或いは脚脹脛部)に対する細足錯覚効果を期待することもできる。
【0028】
そして、特に、本実施形態では、脚側面部αの方が脚前後面部βよりも視覚上暗く見えるようにするため、編み方を異なるように工夫してある。即ち、
図1に示すように、縦長エリア部分である脚側面部αでは、後述する[表1]に示すように、編み目の構造上、反射率が低いメッシュ編からなる、視覚上暗色の収縮色彩の編み方としている。つまり、本実施形態では、かかるストッキング1の編成に際して、脚部2の両側面部αを前後面部βよりも視覚上暗色の編みとしたものである。このメッシュ編に用いる編み組織としては、縦方向についてのみ伸縮性が大きな編成で構成するのが好ましいものであり、例えば、タック編、パール編、又はゴム編などが好ましい。
【0029】
即ち、本実施形態のストッキング1の脚側面部αと脚前後面部βとの具体的な糸編成においては、上述したように、脚側面部αをタック編、パール編、又はゴム編などのメッシュ編の編み方にすると共に、脚前後面部βを平織などのプレーン編の編み方としている。もちろん、本発明では、これらの編み方に限定されるものではなく、同様の効果を奏するものであればそれでもよい。
【0030】
なお、ここで、タック編とは、あるコースで編目を脱出させず、次のコースで複数ループを脱出させた組織である。つまり1目ずつきちんと編んでいくのではなく、前ループを成形させず、そのままニードル・ループ(編針で作られたループの山)を保持し、次の段階で、2つのニードル・ループをくぐらせ糸を出し、新ループを編成するもので、ループは2列以上離れた緯糸にわたることにある。タックした部分のループが孔のあいたような感じになることで、種々な柄、変化をもたらし、装飾性に富み、しかも通気性があり、比較的厚地であるため、実用的でもある。
【0031】
パール編とは、表目裏目のコース(course)を交互に配列した編方であって、平編の裏目と表目が横方向に順じて入れ替わり表れる。実際には、両面共に裏目の部分がよく表れるので緯筋が付いて見える。弾力性にとみ、縦方向の伸縮性が大きく、横方向の伸縮性は比較的少ない。
ゴム編とは、2列針で表目と裏目のウェール(wale)を交互に配列した編方であって、(ウェール方向にはしる)あばら骨状の隆起に編地の特長があるが、編地としては裏も表もなく、裏表共に同様の外観を示す。リブ編、畦編、リブ・ニット、クチ編ともいう。また弾力性があり、横方向の引っ張りに対して非常に大きな伸縮性を示す。
一方、プレーン編とは、平編みともいい、1列の針で編目をすべて同方向に引き出して編まれたものであって、もっとも単純な配列組織の基礎となり、一番多く用いられる組織である。
【0032】
また、本実施形態では、脚側面部αと脚前後面部βとの編みの境部γ(
図2参照)は、ストッキングの編みの強度を保持するために、脚側面部αと脚前後面部βとの双方の編み方が一方から他方へ段階的に移行しながら網み目を変化させる編み組織である。特に引張り強度は、この段階的な編み目を変化させる処理を施した編成とすることにより、編みの境部γの編成が異なることから生じる編成部分の歪み、偏奇引張り応力から生じる編み糸の歪みやほつれ、などを可及的に防止する。さらに、その脚側面部αと脚前後面部βとの2種の編みが隣接して存在することによってその境界部分がライン状に顕在化して目立ちこれを目にした第三者に対して違和感や不自然さを与える、といったことがない。
【0033】
このように、本発明では、脚側面部では視覚上暗色の収縮色彩の編みとすることで、脚部の脚側面部と脚前後面部との糸の編成の明度の差を生じさせてこの差を利用するものであり、一般的には、糸色そのものに明度の差を生じるような糸を編成に使用することもできるが、本発明では色糸の使用を避け、編成の仕方によって編成から生じる視覚上の錯覚を利用するものである。
【0034】
かかる編みの組み合わせとしたことにより、
図4A、
図4Bに示すように、着用した女性の脚部2が正面方向(或いはや背面方向)から見えたときに、視覚上、大腿部10Aの正面部分の、左右両側の端縁部が収縮しているように感じるので、脚全体を細身に見せる効果をもたらすことができる。
【0035】
なお、ここで、編み方の違いに伴う明暗差について、
図5及び
図6を参照しながら、定性的に説明する。
即ち、ストッキング1の脚部2について、
図5(a)要部Xを拡大した同図(b)に示すように、細部を拡大して断面描像すると、外周面が僅かに略凸形状を呈する平行等厚構造として模式化できる(なお、
図5(b)では曲率半径を拡大して小さな曲率に誇張させてある)。
【0036】
このような構造の脚部2であるので、
図5(b)において、外部からP
1への入射光は、編み組織を構成する脚部2の繊維や着用者の大腿部10A(生体)での吸収がない限り、一部が繊維表面P
1で反射して発散する。また、残りの部分の光は、繊維内部で屈折・透過した後に裏面P
3で反射し、繊維表面P
2にて折曲された外部方向に出射したり、繊維内部を透過して裏面P
3から出射した後に着用者の大腿部10A(生体)表面で反射し、再び繊維内部を屈折・透過して戻り、表面P
4にて折曲した外部方向に出射する。その場合、
図6示すように、屈折率nの大小関係で、入射光線の屈折・透過後の繊維表面での出射位置(方向)が異なる。
【0037】
例えば、ストッキング1の脚部2において、
図6(a)示すように、脚前後面部βでは編みの屈折率がn
1とすると、スネルの法則に従って、入射位置P
1で入射したあとの屈折角θ
2は、次式を満たす。
n
o・sinθ
1=n
1・sinθ
2 ・・・(1)
但し、n
oは空気中の屈折率(n
o≒1)、n
1は脚前後面部βの繊維での屈折率とする。
なお、n
1>1、0<θ
2<π/2、0<θ
1<π/2
従って、屈折角と入射角の間には、次のような関係
θ
2<θ
1
が成り立つ。
【0038】
なお、ここで、脚前後面部βの編み(プレーン編み)の屈折率n
1は、後述する[表1]に示すように、脚側面部αの編み(メッシュ編み)の屈折率n
2より大きい(n
1>n
2)。従って、脚前後面部βの繊維内部へ入射の際の屈折角θ
2は小さく、繊維内部に深い角度で入射する。その結果、脚前後面部βの繊維裏面P
3での反射角度、つまり(π/2)−θ
2(但し、そこでの反射は正反射とする)が、後述する脚側面部αでの反射角度(π/2)−θ
3に比して大きい分、繊維裏面P
3で反射後に透過して戻る光線は、繊維での出射位置P
2が入射位置P
1からそれほど離れていない。つまり、脚前後面部βでの入出射光路を示す同図(a)では、入出射間隔はD
1(=P
1−P
2)である。なお、ここで、編み組織の裏面では、そこでさらに屈折して裏面から外部へ出射し着用者の大腿部10A(生体)表面に向かう光線もあるが、ここではその割合は小さく近似的に無視できるものとする。
【0039】
一方、脚側面部αでの光入出射光路を示す同図(b)では、屈折率n
2が先の屈折率n
1に比して小さい(n
1>n
2)。つまり、次式
n
o・sinθ
1=n
2・sinθ
3 ・・・(2)
が成立する。
【0040】
これにより、(1)、(2)から、
n
1・sinθ
2=n
2・sinθ
3 ・・・(3)
但し、0<θ
3<π/2
従って、n
1>n
2の関係を考慮すれば、(3)式からsinθ
2<sinθ
3であるから、定義域0<θ
2,θ
3<π/2の範囲内では、屈折角度θ
3の方がθ
2より大きく、その分、入出射間隔D
2(=P
1−P
2´)は大きくなり(即ち、D
1<D
2)、入出射間隔D
1に比べてその間隔が粗い。つまり、脚側面部αでの入出射間隔は、脚前後面部βでの場合に比べて拡大する。
【0041】
この結果、単位面積当たり同量の光線が脚前後面部β及び脚側面部αに入射した場合、光出射密度は、前者の方が後者の方より高い。換言すれば、脚前後面部βの方が明るい。つまり、繊維内部で屈折後に繊維内部を透過して戻り再び繊維外部へ向かう光線の単位面積当たりの出射光量密度は脚前後面部βの方が高い。また、繊維内部での屈折を起こさず繊維表面で単純に反射する反射光線については、[表1]に示すように、プレーン編みの方が反射率が高い。従って、単位面積あたりの光量も、脚前後面部βでの反射光量の方が、脚側面部αでの反射光量よりも多い。その結果、脚前後面部βの方が明るく感じる。なお、ここで、脚前後面部β及び脚側面部αに関する反射率、屈折率、明暗、機能などについては、以下の表1にまとめて示す。
【0042】
【表1】
【0043】
なお、この4分割エリアの区域幅については、特に本実施形態のような4エリアともに中心角が略90度に均等に分割・設定されたものに限定するものではなく、例えば着用する脚形(例えば大腿部、脚脛部、脚脹脹脛など)に関する個人的な要望や嗜好に応じて各種タイプの分割パターンなどが設定可能である。即ち、本発明では、脚部の分割エリアを適宜各種脚形タイプに応じて最適な広さ割合に編成したもの、つまり脚形タイプに応じて最適な固有割合に4分割された構成として、編み方を異ならせてもよい。
【0044】
例えば脚部2は、
図2において、左右一対の脚側面部α、αのうち外面側の方の脚側面部αを内面側の脚側面部αよりも中心角が大きくなるように設定することで、その拡大した外面側の脚側面部αでは視覚上大きな暗部(シャドウエリア)を実現できる。これにより、例えばO脚タイプの女性にあってはその脚の特徴にマッチした固有パターンの脚部などを編成することで、O脚タイプの脚部に対する視覚矯正が可能である。
【0045】
腰部3は、
図2において、本実施形態のストッキング1を着用した時に臀部10Cを保護するものであり、例えば、編糸を他の部分よりも混んだ密に編成としたり、その他、適宜の手段、例えば編み方を変えるなどの工夫を凝らして編成することができる。
【0046】
また、本実施形態において、上記した脚側面部αと脚前後面部βとの色彩の明度差を利用した視覚上の錯覚を生起するためには、ストッキング着用時に脚の両側面と前後面とがストッキングの両側面と前後面とに正しく位置するように着用することが必要である。
【0047】
そこで、本実施形態では、
図1乃至
図4Bに示すように、ストッキング1にマーキングMを設けている。マーキングMとして、丸印、逆三角印などの適宜の小さな目印を他人から見えない脚部2上方位置(例えば、大腿部の上部位置)或いは腰部3に形成している。すなわち、このマーキングMは、ストッキング1の基端開口縁部やその下方位置において着用時に衣服から露出しない部分に設けるものであるが、上述した記号のような表示以外に、例えば
図4A、
図4Bに示すような、脚脛部10Bの正面左右方向の中央位置を示す縦線Lや矢印等、同様の効果を奏するもので構成してあってもよい。また、このマーキングMを、その他の適宜方法、例えば編み組織を変化させることによって、色差をつけたり、また、任意の色糸を追加することで、マーキングを目立たせたりする構成としてもよい。
【0048】
ストッキング1によれば、ストッキング1の着用時に、マーキングMを脚脛部10Bの正面中央に位置合わせるように穿き込めば、着床者の正面中央位置にストッキング1中央位置を簡単に正しく合わせることができる。このように、着用者10の脚の大腿部10Aや脚脛部10Bに、左右の略四半部が正対するようにストッキング1の脚部2を正確に位置合せして被着できるので、着用時のストッキング位置のずれ発生を防止でき、明度の差による脚の細身効果を確実に発揮して視認させることができる。
【0049】
なお、本実施形態のストッキング1では、脚部2と腰部3とを備えているが、本発明では、腰部3を備えていない、左右に分離した脚部のみのタイプであっても適用可能である。
また、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。
また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。