【解決手段】本開示の一態様は、焼却装置であって、焼却炉と、制御機構と、ブロアと、投入部と、を備える。焼却炉は、底部に複数の孔を有する。制御機構は、底部において灰の厚みを制御する機能を有する。ブロアは、複数の孔から焼却炉内に空気を導入し、焼却炉における複数の孔よりも上部から焼却炉による排気を表す焼却排気を排出する。投入部は、焼却排気の漏れを抑制する抑制機能を有し、焼却炉内に燃焼の対象物を投入するための構成である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.本開示の構成と実施形態の構成との対応関係]
実施形態での炉部31は、本開示での焼却炉に相当する。また、実施形態での内部回転体36、第1底部32は、本開示での制御機構に相当する。
【0010】
[2.実施形態]
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[2−1.概要]
図1以下に示す本開示の一態様の焼却装置1は、空気が供給される焼却炉にて、対象物を燃焼させる機能を有する装置である。焼却装置1は、低熱分解焼却炉として機能する。つまり、本実施形態中での「燃焼」とは、必ずしも炎が生じる燃焼を意味するわけではなく、炎が生じることなく、対象物が熱分解し、ガス化するような現象を含む。焼却装置1は、小型軽量化の工夫がされており、焼却炉として機能する炉部31の容積は800リットル未満に設定される。
【0011】
焼却装置1で燃焼させる対象物としては、例えば、一般ごみ、生ごみ、廃プラスチック等を採用できる。ただし、対象物は、当該焼却装置1で許容される大きさに収まることが必要である。
【0012】
焼却装置1では、投入部10から対象物が投入されると、対象物は、投入部10の内部を経て、一次燃焼部30にて火の粉の層を形成し、焼却灰に遷移する。一次燃焼部30では、第1底部32及び第2底部37を備える二重底に構成された炉部31に、第1底部32の下方から空気が供給され、この空気は炉部31の上方にて排出される。炉部31の内部では、灰の厚みを制御することによって灰の間を通過する空気量が制御され、良好な燃焼が行われる。その後、この焼却灰は、排出部80に移動し、貯留槽86に排出される。
【0013】
一次燃焼部30では、対象物から可燃性ガスを発生させ、この際、火炎がない状態が維持される。一次燃焼部30は、低温熱分解炉として機能する。つまり、炉部31では、火の粉により対象物の熱分解が促進され、対象物は焼却灰と可燃性ガスとに分解される。対象物がガス化した可燃性ガスは、二次燃焼部50にて燃焼される。二次燃焼部50による燃焼後のガスである二次排気は、冷却部60のうちの空冷部62にて冷却され、水冷部67の熱交換器でさらに冷却され、大気温近くまで温度が下げられる。
【0014】
なお、水冷部67にて生じる結露水は、混合部83にて焼却灰と混合され、その後、牡蠣殻水槽69にて回収される。牡蠣殻水槽69では、結露水が中和及び浄化される。
[2−2.全体構成]
焼却装置1は、
図1〜
図2に示すように、複数のカバー部5と、安全弁7と、投入部10と、配電盤21と、取出口22と、ブロア23(
図4参照)と、バルブレバー24と、一次燃焼部30と、二次燃焼部50と、冷却部60(空冷部62及び水冷部67を含む)と、排出部80と、を備える。これらのうち、一次燃焼部30及び二次燃焼部50以外の構成は必須構成ではない。
【0015】
複数のカバー部5は、
図1に示すように、投入部10、一次燃焼部30、冷却部60、及び二次燃焼部50のうちの大部分の構成を内包した状態で、これらの外部を覆うように配置される。
【0016】
安全弁7は、焼却装置1の上部に配置され、一次燃焼部30における炉部31に繋がる。安全弁7は、炉部31内部の圧力が所定の圧を超えた場合のみに開放され、炉部31の圧力を下げる。
【0017】
配電盤21は、ブロア23及び後述する各モータ11のスイッチ、温度等の表示器等を備え、接続された各機器に電力を供給する。ユーザは、配電盤21を操作することで、当該焼却装置1を駆動制御できる。
【0018】
取出口22は、燃焼させることができなかった対象物をユーザが取り出すための開口部である。取出口22は、焼却装置1の運転停止時にのみ解放されうる。
ブロア23は、
図4及び
図6に示すように、水冷部67付近に配置され、炉部31の内部を負圧にするために排気を吸引する。ブロア23は、水冷部67にて冷却後の排気を吸い出して排気口67Bから放出させる。なお、ブロア23が排気を吸い出すと、炉部31の内部の気圧が低下するため、後述する空気導入部38及び吸気口52から、炉部31及び燃焼管54等に外気が導入される。ブロア23は、炉部31内に空気を導入し、炉部31の上部から、炉部31での排気を表す焼却排気(可燃性ガス)を二次燃焼部50に誘導する。
【0019】
バルブレバー24は、炉部31と二次燃焼部50との流路を開放するか遮断するかをユーザが切り替えるためのレバーである。バルブレバー24は、焼却装置1の運転時に流路を開放する位置に設定され、焼却装置1の運転停止時に流路を遮断する位置に設定される。
【0020】
[2−3.投入部10]
投入部10は、ユーザによって対象物が投入される部位であり、投入された対象物を一次燃焼部30に供給する機能を有する。投入部10は、焼却排気の漏れを抑制する抑制機能を備える。本実施形態では、回動部14が投入口12を閉塞する構成、及び蓋部13が投入口12を閉塞する構成によって抑制機能を実現する。
【0021】
投入部10は、
図2及び
図3に示すように、投入モータ11と、投入口12と、蓋部13と、回動部14と、分離レバー15と、リンク部16と、跳上レバー17と、跳上板18と、接続口19とを備える。
【0022】
投入口12は、焼却装置1の側面に位置する開口であり、投入口12から炉部31までの通路の一部を構成する。投入口12から炉部31までの通路には、投入口12に加えて、回転空間14D及び接続口19が含まれる。投入口12は回転空間14Dに隣接する。
【0023】
回転空間14Dは、回動軸16Aを中心に回転する回動部14が回転するための空間である。回転空間14Dは、接続口19に隣接する。接続口19は、回転空間14Dよりも炉部31側の空間である。
【0024】
蓋部13は、投入口12の側面に位置し、投入口12を開閉可能に構成される。蓋部13は、対象物が投入されるとき以外は閉塞された状態にされる。ユーザは、蓋部13が投入口12を開放する際に、対象物を回転空間14D内に投入可能であり、蓋部13は、対象物が投入された後は再び閉塞された状態に戻されることが好ましい。
【0025】
回動部14は、回転空間14D内を回転する回転体である。回動部14は、投入モータ11によって回転駆動される。回動部14は、中心軸14Aと、突出部14Bとを備える。
中心軸14Aは、回動部14の回転中心となる軸である。突出部14Bは、中心軸14Aから外周側、すなわち回転空間14D周囲の壁面に向けて突出する部位である。突出部14Bの先端部は、回転空間14Dの内周面に沿って、ほとんど隙間なく回転する。つまり、回転空間14Dは、略円筒形に構成される。
【0026】
本実施形態では、中心軸14Aを挟んで対向するように2つの突出部14Bを備える。突出部14Bの数は、回転空間14Dに対象物を投入可能なスペースが残されていれば、3以上であってもよい。突出部14Bのうちの回転方向(
図3では右回り)前側の面は、投入口12から投入された対象物と接触し、この対象物を接続口19側に押して移動させる押出部14Cとして構成される。
【0027】
ここで、
図3に示すように、回転空間14Dにおいて、回動部14から見て投入口12側の開口の長さであって、回動部14の周方向に沿った長さをL1とする。また、回動部14から見て接続口19側の開口の長さであって、回動部14の周方向に沿った長さをL2とする。
【0028】
回動部14において、突出部14Bの周方向に沿った先端部の長さL0は、L1及びL2よりも大きく設定されている。つまり、回動部14が、投入口12及び接続口19を密閉できるように構成されている。
【0029】
分離レバー15は、
図2及び
図3に示すように、蓋部13の斜め上方に配置されており、回動軸16Aを中心に上下に移動可能に支持されている。リンク部16は、回動軸16Aと分離刃16Bとを備える。
【0030】
分離レバー15の回動軸16Aを隔てた反対側の位置には、錘15Aに接続されている。この構成では、分離レバー15が下向きに操作されると、錘15Aは上向きに移動する。
分離レバー15は、回動軸16Aに、回動軸16Aの回転と連動するように接続され、また、分離刃16Bは、回動軸16Aに、回動軸16Aの回転と連動するように接続される。つまり、分離レバー15、錘15A、分離刃16Bは、連動するように構成される。
【0031】
分離刃16Bは、回転空間14Dの上部に位置し、回転空間14D側の端部が、常時、回動部14に触れるように構成される。
ここで、回動部14が
図3の二点鎖線にて示す位置まで回転し、突出部14Bが接続口19を通過すると、分離刃16Bは、突出部14Bに触れた状態が維持されるように、突出部14Bの形状に沿って回転空間14Dの内部に移動する。このとき、分離刃16Bには自重だけでなく、錘15Aによるモーメントも加わる。また、分離刃16Bに位置に応じて分離レバー15が動くため、ユーザは分離レバー15を目視すれば分離刃16Bの位置を認識できる。
【0032】
分離刃16Bは、押出部14Cに押されて移動する対象物が、接続口19に移動しやすくする機能を有する。対象物は、押出部14Cに押されて接続口19に到達しても、押出部14Cから分離しない場合がある。しかし、本実施形態の構成では、分離刃16Bが対象物に接触し、対象物が押出部14Cから分離することを支援する。なお、突出部14Bが二点鎖線で示す位置に移動したときであっても、回動部14は、投入口12から炉部31までの通路を閉塞する。
【0033】
さらに回動部14が回転すると、分離刃16Bは、押出部14Cに押されて、元の位置、すなわち
図3の実線で示す位置に戻る。なお、分離刃16Bが、ごみ等の対象物の引っ掛かり等によって、元の位置に戻らなかった場合には、回動部14を逆転させる必要があり、この際、ユーザは分離レバー15を操作して分離刃16Bの位置を上部に移動させることができる。
【0034】
接続口19は、跳上板18が配置されている。跳上板18は跳上レバー17が操作されることで、
図3の破線にて示すように、回動軸17Bを中心に跳ね上げられる。
跳上レバー17は、分離レバー15の下部に位置し、ユーザによる押し引きする操作に応じて変位する。跳上レバー17は、変位される操作に応じて、複数の部材が連結されて構成されるリンク機構17Aを介して、回動軸17Bを回転させる。
図3に示す例では、ユーザが跳上レバー17を引く操作を行うと、回動軸17Bが左回りに回転し、この回動軸17Bに連動する跳上板18が跳ね上がる。ユーザが跳上レバー17を押す操作を行うと、跳上板18は元の位置に戻る。
【0035】
なお、ユーザによる跳上レバー17の操作は、必要に応じて行われればよい。また、投入口12、回動部14、回転空間14D、及び接続口19における、厚み方向(
図3では紙面奥行方向)の長さは、概ね一定に設定されており、
図2及び
図3では図示しない複数の板状の部材で覆われている。この複数の板状の部材は、回動部14の厚み方向の両側面(紙面手前側及び奥側)を覆う。
【0036】
そして、複数の板状の部材は、回動部14の中心軸14Aとは垂直に、回動部14の両側面に沿って配置される。複数の板状の部材の一方は、分離レバー15と分離刃16Bとの間、かつ跳上レバー17と跳上板18との間に配置される。
【0037】
[2−4.一次燃焼部30]
一次燃焼部30は、対象物を燃焼させる機能を備える。一次燃焼部30は、
図4に示すように、炉部31と、 空気導入部38と、バーナ39と、を備える。
【0038】
炉部31は、投入部10に接続された焼却炉である。炉部31は、第1底部32と、円錐部35と、内部回転体36と、第2底部37とを備える。
炉部31は、第1底部32及び第2底部37を備える二重底に構成される。第2底部37が炉部31の最も下側に位置し、第1底部32は上げ底を構成する。そして、第1底部32は、さらに二重に構成される。すなわち、第1底部32は、上側部材33と、下側部材34と、を備える。
【0039】
上側部材33及び下側部材34は、
図4及び
図5に示すように、円形の板状に構成され、同心円状に、それぞれ多数の孔33A,34Aが形成されている。上側部材33には、対象物が載置されるため、対象物の荷重に耐えられるような厚みを有する板部材が採用される。これに対して、下側部材34は、上側部材33よりも荷重がかからないため、上側部材33よりも薄い板部材が採用される。
【0040】
下側部材34に形成された孔34Aは、上側部材33及び下側部材34を鉛直方向上側から見たときに、上側部材33の孔33Aと重複しない位置に、複数の孔34Aを備える。換言すれば、同心円の中心から上側部材33にて孔33Aが形成される位置までの距離は、同心円の中心から下側部材34に形成された孔34Aが形成される位置までの距離とは異なる距離になるように設定される。
【0041】
また、下側部材34は、上側部材33に対して鉛直方向下側に予め設定された距離だけ隔てて配置される。
円錐部35及び内部回転体36は、前述した同心円の中心を回転の中心として配置される。円錐部35及び内部回転体36は、図示しないモータにて駆動される。内部回転体36は、互いに連動するように構成された上部プロペラ36Aと、下部プロペラ36Bと、を備える。円錐部35は、内部回転体36とともに回転するように、上部プロペラ36Aの上部に組み付けられる。
【0042】
円錐部35は、鉛直方向上方に向かうにつれて細くなる円錐形状であり、対象物が同心円の中心付近に留まることを抑制する機能を有する。
上部プロペラ36A及び下部プロペラ36Bは、上側部材33と同程度の厚みを有する板状の部材である。上部プロペラ36Aは、上側部材33の上面に沿って回転し、焼却灰が上側部材33の孔33Aから落下することを促進する。
【0043】
下部プロペラ36Bは、第2底部37の上面に沿って回転する。第2底部37には、排出口37Aが形成されている。下部プロペラ36Bは、第2底部37に堆積する焼却灰を排出口37Aから炉部31の外部に落下させる。
【0044】
排出口37Aには、排出管81(
図6参照)が接続されている。排出管81は内部が側方に向けて分岐しており、この分岐部分が空気導入部38として機能する。空気導入部38からは、炉部31内に空気が供給される。
【0045】
バーナ39は、炉部31における第1底部32付近の側面に配置されている。バーナ39は、対象物への点火を行う際に利用される。バーナ39には、LPガス等の燃料及び空気が供給される。なお、バーナ39には、点火プラグ39Aを備え、点火プラグ39Aよって燃料に点火される。
【0046】
このような一次燃焼部30において、内部回転体36、第1底部32は、第1底部32において焼却灰の厚みを制御する機能を有する。すなわち、下側部材34に堆積する焼却灰の厚みは、上側部材33と下側部材34との距離に維持される。
【0047】
詳細には、下側部材34に堆積する焼却灰の隙間には、ブロア23によって空気導入部38からの空気が供給され、空気によって焼却灰が動かされることで、下側部材34の孔34Aから適度に焼却灰が落下する。しかし、落下した焼却灰を補うように、新たな焼却灰が供給されるので、下側部材34での焼却灰の厚みは概ね一定に維持される。このように一次燃焼部30では、灰の厚みを良好に制御しつつ維持できるので、炉部31での燃焼状態を適切に制御しやすくすることができる。
【0048】
[2−5.二次燃焼部50]
二次燃焼部50は、一次燃焼部30で生じる可燃性ガス及び有害物質を完全燃焼させることで処理するための構成である。二次燃焼部50は、
図2に示すように、第1導通管51と、吸気口52と、バーナ53と、燃焼管54と、発熱体55と、を備える。
【0049】
二次燃焼部50は、主要部が炉部31上方の空間に配置される。特に、バーナ53、燃焼管54、及び発熱体55は、炉部31の上部にてU字状になるように並べて配置されている。二次燃焼部50の配置は、焼却装置1の小型化及び省スペース化に寄与する。
【0050】
第1導通管51は、炉部31の内部と、燃焼管54とを接続する管として構成される。炉部31と燃焼管54とは、バルブレバー24で遮断できるように構成される。
吸気口52は、開閉可能に構成されており、開状態のときに、燃焼管54と外気とが連通した状態になる。閉状態のときには、外気が遮断される。吸気口52は、燃焼管54において第1導通管51が接続される部位付近に設けられる。吸気口52には図示しないバルブが配置されており、吸気口52の開度は、このバルブにて調整できる。吸気口52の開度は、二次燃焼部50での必要空気量と炉部31での必要空気量とのバランスに応じて設定される。
【0051】
バーナ53は、燃焼管54近傍に配置される。バーナ53は、外部から供給される燃料を燃焼管54内で燃焼させることで発熱体55を加温する。また、バーナ53は、炉部31にて生じる可燃性ガスを完全燃焼させることができる。なお、バーナ53には、図示しない点火プラグを備え、この点火プラグよって燃料に点火される。
【0052】
発熱体55は、内部に排気の流路が形成されたセラミック製の部材である。発熱体55は、金属製に構成される場合よりも蓄熱することができる。バーナ53で二次燃焼部50を予熱してあれば、炉部31にて生じる可燃性ガスを、バーナ53を点火させることなく、自然発火により完全燃焼させることができる。
【0053】
[2−6.冷却部60]
冷却部60は、二次燃焼部50からの排気、すなわち二次排気を冷却する機能を有する。
冷却部60は、
図2及び
図6に示すように、第2導通管61と、空冷部62と、ラジエタ63と、複数のファン64と、水タンク65と、導水管66(
図4参照)と、水冷部67と、を備える。
【0054】
第2導通管61は、二次排気を空冷部62に誘導する管である。空冷部62は、燃焼管54等による燃焼後の排気を空気との熱交換によって冷却する機能を有する。空冷部62は、空冷フィン62Aと、空冷管62Bと、を備える。空冷管62Bは外部に空冷フィン62Aを備える管である。第2導通管61から空冷管62Bに排気が導入され、空冷管62B内の排気は、空冷フィン62Aを通過する空気によって冷却される。
【0055】
ラジエタ63は、空冷部62の下部であって、投入部10のさらに下部に位置する。投入部10の下部は、用途がないデッドスペースになりがちであるが、本実施形態では、ラジエタ63を配置することで、省スペース化を実現する。
【0056】
ラジエタ63は、水冷部67を循環する冷却水を冷却する機能を有する。ラジエタ63は、熱交換パネルの長手方向が鉛直方向になるように配置され、水平方向に空気を通過可能に構成された、図示しない多数の熱交換フィンを備える。
【0057】
複数のファン64としては、本実施形態では2つのファン64が備えられる。複数のファン64は、いずれもラジエタ63の炉部31側に位置し、ラジエタ63側から炉部31側に向けて送風する。ファン64の作動によって、ラジエタ63を通過する空気がファン64にて吸い込まれ、ファン64による風は、炉部31の周囲を通過した後に、空冷部62を下方から上方に向けて通過し、焼却装置1の外部に排出される。つまり、焼却装置1では、ラジエタ63から空冷部62までの風の通路が形成されており、ファン64は、この通路におけるラジエタ63及び空冷部62ラジエタ63の間に配置される。このため、ファン64は、空冷部62及びラジエタ63の両方において熱交換の効率を向上させることに寄与する。
【0058】
水タンク65は、ラジエタ63及び水冷部67を循環する冷却水を貯留するリザーブタンクとして機能する。
導水管66(
図4参照)は、内部に冷却水を導通可能な管であり、ラジエタ63、水タンク65、及び水冷部67を互いに接続する。なお、冷却水は、ポンプ66Aによって循環させられる。
【0059】
水冷部67は、空冷部62による冷却後の排気が第3導通管67Aを介して導入され、この排気を冷却水との熱交換によって冷却する。水冷部67にて冷却後の二次排気は、ブロア23によって吸引され、
図6では水冷部67の背面側を通過する配管を通り、排気口67Bから大気に放出される。
【0060】
[2−7.排出部80]
排出部80は、焼却灰を結露水で冷却し、外部に排出する機能を有する。排出部80は、
図6に示すように、排出管81と、結露水管82と、混合部83と、撹拌プロペラ84と、接続管85と、貯留槽86と、処理水管87と、を備える。
【0061】
排出管81は、管として構成され、排出口37Aから落下する焼却灰が内部を通過する。排出管81は、混合部83に接続されている。
結露水管82は、水冷部67にて熱交換の際に生じる結露水が通過する管である。なお、結露水は、水冷部67の下部にて一時的に貯留され、この結露水によって、二次排気が外気と連通することを抑制する。また、結露水管82は、貯留された結露水のオーバーフローを混合部83に流れ落とすように設定される。
【0062】
混合部83は、炉部31及び排出管81の真下に配置され、上部が開口した円筒状に構成される。混合部83の内部には、撹拌プロペラ84が備えられる。撹拌プロペラ84は、撹拌モータ84Aにて駆動される。
【0063】
撹拌プロペラ84は、冷却部60にて生成された結露水、及び炉部31から排出される焼却灰を混ぜ合わせる機能を有する。つまり撹拌プロペラ84は、酸性の結露水とアルカリ性の灰とを混合させることで、焼却装置1による生成物を中和し、生成物の有害性を緩和させる。焼却灰に結露水が混合された泥状の物質を泥状物と呼ぶ。
【0064】
接続管85は、泥状物を貯留槽86に移動させるための管である。接続管85は、混合部83の側面に配置される。接続管85の先端は、貯留槽86の内部に位置するように設定される。
【0065】
貯留槽86は、泥状物を一時的に貯留する容器である。貯留槽86には、牡蠣殻水槽69に繋がる処理水管87が接続されており、図示しないポンプにて、泥状物のうちの水分のみが牡蠣殻水槽69に供給される。貯留槽86に残った泥状物は、ユーザによって処理される。
【0066】
牡蠣殻水槽69は、泥状物に含まれる水分を無害化する機能を有する。牡蠣殻水槽69は、泥状物を軽量化することに寄与する。牡蠣殻水槽69は、
図6に示すように、ろ過部69Aと、浄化部69Bと、沈殿部69Cとを備える。
【0067】
ろ過部69Aは、砂礫、活性炭フィルタ等を含むろ過装置である。ろ過部69Aには、処理水管87から牡蠣殻水槽69に導入される水分が最初に導入される。
浄化部69Bは、牡蠣殻等の中和剤が投入された水槽を複数備えて構成される。浄化部69Bには、ろ過部69Aを通過した水分が導入される。
【0068】
沈殿部69Cは、円筒状の水槽として構成される。沈殿部69Cには、浄化部69Bを通過して浄化された水分が貯留される。沈殿部69Cには、必要に応じて配水管が接続され、貯留された水分が排出される。
【0069】
[2−8.作動例]
焼却装置1の作動例を説明する。
まず、ユーザが投入部10の投入口12に対象物を投入する。この状態で、投入モータ11を作動させ、必要に応じて、ユーザは各種レバーを操作し、対象物を炉部31内に移動させる。
【0070】
続いて、円錐部35及び内部回転体36を作動させ、対象物の偏りを是正し、対象物の厚みを均一化する。続いて、ブロア23を作動させ、二次燃焼部50のバーナ53を点火し、発熱体55内部の温度をセ氏約830度にする。
【0071】
その後、一次燃焼部30のバーナ39にて対象物に着火し、炉部31内の温度が上昇すると、一次燃焼部30のバーナ39を停止させる。この際、ユーザは、バルブレバー24を操作して、炉部31と二次燃焼部50と間の流路を遮断するバルブを開放させる。
【0072】
続いて、発熱体55内部の温度がセ氏約830度になると、二次燃焼部50のバーナ53を停止させる。このとき、一次燃焼部30で生じる可燃性ガスに空気が混合されることで二次燃焼部50では、可燃性ガスの自然発火によって自然燃焼が継続する。
【0073】
対象物の燃焼が終了すると、ユーザは、バルブレバー24を操作して、バルブを閉塞する。二次燃焼部50の温度がセ氏約100度以下になると、ブロア23を停止させ、運転を停止する。
【0074】
[2−9.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(2a)本開示の一態様は、焼却装置1であって、炉部31と、制御機構(内部回転体36、第1底部32)と、ブロア23と、投入部10と、を備える。炉部31は、第1底部32に複数の孔33A,34Aを有する。
【0075】
制御機構は、第1底部32において灰の厚みを制御する機能を有する。ブロア23は、複数の孔33A,34Aから炉部31内に空気を導入し、複数の孔33A,34Aよりも上部から炉部31による排気を表す焼却排気を排出する。投入部10は、焼却排気の漏れを抑制する抑制機能を有し、炉部31内に燃焼の対象物を投入する。
【0076】
このような構成によれば、灰の厚みを制御し、ブロア23によって、その灰の間から空気が供給されるように構成できるので、ブロア23によって燃焼に最適な空気量になるように制御でき、対象物を完全燃焼させることができる。また、投入部10では、抑制機能が焼却排気の漏れを抑制するので、対象物の連続投入が可能となる。よって、このような構成では、小型で搬送可能な焼却装置1であって、かつ対象物を連続投入可能な焼却装置1を提供することができる。
【0077】
(2b)本開示の一態様では、第1底部32は、制御機構の一部として機能する。また、第1底部32は、上側部材33と、下側部材34と、を備える。上側部材33は、第1の複数の孔33Aを有し、板状に構成される。下側部材34は、上側部材33に対して鉛直方向下側に予め設定された距離だけ隔てて配置され、鉛直方向上側から見たときに、第1の複数の孔33Aと重複しない位置に、第2の複数の孔34Aを有し、板状に構成される。
【0078】
このような構成では、対象物が燃焼することによって生じる灰は、上側部材33の第1の複数の孔33Aから落下して、下側部材34に堆積する。この際、下側部材34に堆積する灰の厚みは、上側部材33と下側部材34との距離に維持される。この構成によって、これらの隙間からブロア23によって空気が供給され、空気によって灰が動かされることで、下側部材34の孔からは適度に灰が落下し、下側部材34に堆積する灰の厚みが概ね一定に維持される。よって、灰の厚みを良好に制御しつつ維持できるので、炉部31での燃焼状態を適切に制御しやすくすることができる。
【0079】
(2c)本開示の一態様では、投入部10は、投入口12から炉部31までの通路に、中心軸14Aを中心に回転する回動部14をさらに備える。回動部14は、中心軸から周囲に突出する複数の突出部14Bを備える。
【0080】
通路において、回動部14から見て投入口12側の開口の長さであって、回動部14の周方向に沿った長さをL1、回動部14から見て炉部31側の開口(接続口19)の長さであって、回動部14の周方向に沿った長さをL2とする。突出部14Bの周方向に沿った先端部の長さL0は、L1及びL2よりも大きく設定される。ただし、投入口12及び接続口19の厚み方向の長さは、回動部14の厚み方向の長さ以下に設定される。厚み方向とは、回動部14の回転面に対して垂直な方向を示す。
【0081】
このような構成によれば、突出部14Bが回転する際に、投入口12及び炉部31に繋がる通路を遮断することができる。よって、排気が投入口12から漏れ出にくくすることができる。
【0082】
(2d)本開示の一態様では、二次燃焼部50は、炉部31からの排気及び空気が導入され、バーナ53を有する。
このような構成によれば、炉部31において生じる可燃性ガスを、バーナ53で完全燃焼させることができる。また、バーナ53で二次燃焼部50を予熱しておけば、その後、炉部31において生じる可燃性ガスを、バーナ53を点火させることなく、自然発火により完全燃焼させることもできる。
【0083】
(2e)本開示の一態様では、冷却部60は、二次燃焼部50による排気を表す二次排気を冷却する。混合部83は、冷却部60にて生成された結露水、及び炉部31から排出される灰を混ぜ合わせる。
【0084】
このような構成によれば、アルカリ性の灰と、酸性の結露水とを混合させることで、排出物を中和し、有害性を緩和することができる。
(2f)本開示の一態様は、冷却部60は、空冷部62と、水冷部67と、をさらに備える。空冷部62は、二次排気を空気との熱交換によって冷却する。水冷部67は、空冷部62による冷却後の排気を、冷却水との熱交換によって冷却する。
【0085】
このような構成によれば、空冷によって排気の体積を減少させてから水冷を行うので、水冷による冷却の効率を向上させることができる。また、空冷後の排気を直接水に導入して冷却する場合、高温の排気が直接水に触れることによる悪影響を抑制することができる。
【0086】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0087】
(3a)上記実施形態では、回動部14が投入口12を閉塞する構成、及び蓋部13が投入口12を閉塞する構成の両方によって抑制機能を実現したが、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態のようにブロア23が炉部31を減圧させる構成であれば、蓋部13が投入口12を閉塞する構成のみを備えていてもよい。炉部31を減圧されており、投入口12から焼却排気が漏れにくいからである。
【0088】
(3b)上記実施形態では、可燃性ガスを自然燃焼させたが、必要に応じて点火プラグ等によって点火してもよい。
【0089】
(3c)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0090】
(3d)前述した焼却装置1の他、当該焼却装置1を構成要素とするシステム、炭化方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。