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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-60334(P2021-60334A)
(43)【公開日】2021年4月15日
(54)【発明の名称】センサ素子
(51)【国際特許分類】
   G01L 15/00 20060101AFI20210319BHJP
   G01L 13/00 20060101ALI20210319BHJP
   G01L 9/00 20060101ALI20210319BHJP
【FI】
   G01L15/00
   G01L13/00 Z
   G01L9/00 303N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-185768(P2019-185768)
(22)【出願日】2019年10月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】東條 博史
(72)【発明者】
【氏名】米田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】徳田 智久
(72)【発明者】
【氏名】津嶋 鮎美
(72)【発明者】
【氏名】木田 のぞみ
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA39
2F055BB01
2F055BB05
2F055CC02
2F055DD05
2F055EE14
2F055FF49
2F055GG11
2F055HH05
(57)【要約】
【課題】複数の圧力を同時に計測することができるセンサ素子を提供する。
【解決手段】センサ素子1は、圧力を受けることによりそれぞれ変位するダイアフラム32,33と、ダイアフラム32,33のそれぞれに同一または異なる圧力を伝達する複数の圧力導入路(貫通孔21,37、溝42および凹陥部40,41からなる第1の圧力導入路、貫通孔20、溝36および凹陥部30からなる第2の圧力導入路)とを備える。複数の圧力導入路それぞれには、圧力を伝達することが可能な圧力伝達媒体が満たされ、ダイアフラム32,33それぞれには、複数の圧力導入路のうちの一部または全部から圧力が印加される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を受けることによりそれぞれ変位する、複数のダイアフラムと、
複数の前記ダイアフラムのそれぞれに同一または異なる圧力を伝達する複数の圧力導入路と、
対応する前記ダイアフラムの変位に応じた信号をそれぞれ出力する、複数の検出回路と、
を備え、
複数の前記圧力導入路それぞれには、圧力を伝達することが可能な圧力伝達媒体が満たされ、
前記ダイアフラムそれぞれには、複数の前記圧力導入路のうちの一部または全部から圧力が印加される、センサ素子。
【請求項2】
前記ダイアフラムそれぞれは、絶対圧を受けることにより変位し、または、差圧を受けることにより変位する、請求項1に記載のセンサ素子。
【請求項3】
複数の前記ダイアフラムには、絶対圧を受けることにより変位する前記ダイアフラムと、差圧を受けることにより変位する前記ダイアフラムとが、含まれる、請求項2に記載のセンサ素子。
【請求項4】
全ての前記ダイアフラムは、絶対圧を受けることにより変位し、または、差圧を受けることにより変位する、請求項2に記載のセンサ素子。
【請求項5】
前記検出回路それぞれは、絶対圧を受けた前記ダイアフラムの変位に応じた信号、または、差圧を受けた前記ダイアフラムの変位に応じた信号を、出力する、請求項1または2に記載のセンサ素子。
【請求項6】
複数の前記検出回路には、絶対圧を受けた前記ダイアフラムの変位に応じた信号を出力する前記検出回路と、差圧を受けた前記ダイアフラムの変位に応じた信号を出力する前記検出回路とが含まれる、請求項5に記載のセンサ素子。
【請求項7】
全ての前記検出回路は、絶対圧を受けた前記ダイアフラムの変位に応じた信号を出力し、または、差圧を受けた前記ダイアフラムの変位に応じた信号を出力する、請求項5に記載のセンサ素子。
【請求項8】
複数の前記ダイアフラムには、サイズが異なる前記ダイアフラムが含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のセンサ素子。
【請求項9】
全ての前記ダイアフラムのサイズは、同一である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のセンサ素子。
【請求項10】
前記圧力導入路、および前記ダイアフラムは、シリコンで形成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載のセンサ素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、差圧あるいは圧力を検出する圧力センサとして、感圧部である半導体ダイアフラムにピエゾ抵抗を形成した半導体ピエゾ抵抗式圧力センサが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2015−512046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1には、相対圧センサまたは差圧センサとして機能する微小機械測定素子が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術を用いたとしても、異種または同種の複数の圧力を、同時に計測することはできない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、複数の圧力を同時に計測することができるセンサ素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセンサ素子は、圧力を受けることによりそれぞれ変位する、複数のダイアフラムと、複数の前記ダイアフラムのそれぞれに同一または異なる圧力を伝達する複数の圧力導入路と、対応する前記ダイアフラムの変位に応じた信号をそれぞれ出力する、複数の検出回路と、を備え、複数の前記圧力導入路それぞれには、圧力を伝達することが可能な圧力伝達媒体が満たされ、前記ダイアフラムそれぞれには、複数の前記圧力導入路のうちの一部または全部から圧力が印加されるものである。
また、本発明のセンサ素子の1構成例において、前記ダイアフラムそれぞれは、絶対圧を受けることにより変位し、または、差圧を受けることにより変位するものである。
また、本発明のセンサ素子の1構成例において、複数の前記ダイアフラムには、絶対圧を受けることにより変位する前記ダイアフラムと、差圧を受けることにより変位する前記ダイアフラムとが、含まれる。
また、本発明のセンサ素子の1構成例において、全ての前記ダイアフラムは、絶対圧を受けることにより変位し、または、差圧を受けることにより変位するものである。
【0007】
また、本発明のセンサ素子の1構成例において、前記検出回路それぞれは、絶対圧を受けた前記ダイアフラムの変位に応じた信号、または、差圧を受けた前記ダイアフラムの変位に応じた信号を、出力するものである。
また、本発明のセンサ素子の1構成例において、複数の前記検出回路には、絶対圧を受けた前記ダイアフラムの変位に応じた信号を出力する前記検出回路と、差圧を受けた前記ダイアフラムの変位に応じた信号を出力する前記検出回路とが含まれる。
また、本発明のセンサ素子の1構成例において、全ての前記検出回路は、絶対圧を受けた前記ダイアフラムの変位に応じた信号を出力し、または、差圧を受けた前記ダイアフラムの変位に応じた信号を出力するものである。
また、本発明のセンサ素子の1構成例において、複数の前記ダイアフラムには、サイズが異なる前記ダイアフラムが含まれる。
また、本発明のセンサ素子の1構成例において、全ての前記ダイアフラムのサイズは、同一である。
また、本発明のセンサ素子の1構成例において、前記圧力導入路、および前記ダイアフラムは、シリコンで形成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の圧力を同時に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1の実施例に係るセンサ素子の平面図である。
図2図2は、本発明の第1の実施例に係るセンサ素子の断面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施例に係るセンサ素子の断面図である。
図4図4は、本発明の第2の実施例に係るセンサ素子の平面図である。
図5図5は、本発明の第2の実施例に係るセンサ素子の断面図である。
図6図6は、本発明の第2の実施例に係るセンサ素子の断面図である。
図7図7は、本発明の第3の実施例に係るセンサ素子の平面図である。
図8図8は、本発明の第3の実施例に係るセンサ素子の断面図である。
図9図9は、本発明の第3の実施例に係るセンサ素子の断面図である。
図10図10は、本発明の第4の実施例に係るセンサ素子の平面図である。
図11図11は、本発明の第4の実施例に係るセンサ素子の断面図である。
図12図12は、本発明の第4の実施例に係るセンサ素子の断面図である。
図13図13は、本発明の第5の実施例に係るセンサ素子の平面図および断面図である。
図14図14は、本発明の第5の実施例に係るセンサ素子の断面図である。
図15図15は、本発明の第5の実施例に係るセンサ素子の断面図である。
図16図16は、本発明の第5の実施例に係るセンサ素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施例に係るセンサ素子の平面図、図2図1のA−A線断面図、図3図1のB−B線断面図である。センサ素子1は、平板状のセンサチップ10から構成される。センサチップ10は、ガラスからなる平板状の基台2と、基台2と接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材3と、感圧部材3と接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材4とから構成される。
【0011】
基台2には、裏面(下面)から表面(上面)まで基台2を貫く圧力導入路となる2つの貫通孔20,21が形成されている。
感圧部材3の基台2と向かい合う裏面には、感圧部材3の表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の2つの凹陥部30,31(圧力導入室)が形成されている。感圧部材3の凹陥部30,31が形成された領域の表面側に残った部分が、ダイアフラム32,33となる。また、感圧部材3の裏面には、一端が凹陥部30と連通し、基台2と感圧部材3とが接合されたときに他端が貫通孔20と連通する圧力導入路となる溝36が形成されている。
【0012】
また、感圧部材3の蓋部材4と向かい合う表面のうち、凹陥部30,31の領域の表面側に形成されたダイアフラム32,33の周縁部には、例えば不純物拡散またはイオン打ち込みの技術によりピエゾ抵抗素子として機能する歪みゲージ34−1〜34−4,35−1〜35−4が形成されている。歪みゲージ34−1〜34−4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム32の4辺の中点付近に形成されている。同様に、歪みゲージ35−1〜35−4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム33の4辺の中点付近に形成されている。
【0013】
さらに、感圧部材3には、基台2と感圧部材3とが接合されたときに貫通孔21と連通する位置に、裏面から表面まで感圧部材3を貫く圧力導入路となる貫通孔37が形成されている。
【0014】
蓋部材4の感圧部材3と向かい合う裏面には、感圧部材3と蓋部材4とが接合されたときにダイアフラム32,33に覆いをする位置に、蓋部材4の表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の2つの凹陥部40,41(圧力導入室)が形成されている。また、蓋部材4の裏面には、一端が凹陥部40と連通し、他端が凹陥部41と連通し、感圧部材3と蓋部材4とが接合されたときに中途部分が貫通孔37と連通する圧力導入路となる溝42が形成されている。
【0015】
貫通孔20,21,37と凹陥部30,31,40,41と溝36,42とは、エッチング技術によって容易に形成できることは言うまでもない。以降の実施例の貫通孔と凹陥部と溝についても同様にエッチング技術によって容易に形成することができる。
【0016】
貫通孔21,37、溝42および凹陥部40,41は、ダイアフラム32,33の第1の主面(上面)に第1の圧力を伝達する第1の圧力導入路を構成している。貫通孔20、溝36および凹陥部30は、ダイアフラム32の第2の主面(下面)に第2の圧力を伝達する第2の圧力導入路を構成している。第1、第2の圧力導入路内には、後述のようにオイルが封入されている。
【0017】
基台2と感圧部材3とは、基台2の貫通孔20と感圧部材3の溝36とが連通するように、直接接合によって接合される。
感圧部材3と蓋部材4とは、蓋部材4の凹陥部40,41が感圧部材3のダイアフラム32,33を覆い、感圧部材3の貫通孔37と蓋部材4の溝42とが連通するように、直接接合によって接合される。
【0018】
ダイアフラム32,33の上面には、貫通孔21,37、溝42および凹陥部40,41を介して第1のオイル(圧力伝達媒体)が到達可能となっている。第1のオイルは、印加された第1の圧力をダイアフラム32,33の上面に伝達する。また、ダイアフラム32の下面には、貫通孔20、溝36および凹陥部30を介して第2のオイル(圧力伝達媒体)が到達可能となっている。第2のオイルは、印加された第2の圧力をダイアフラム32の下面に伝達する。また、ダイアフラム33の下面の凹陥部31は、真空状態で密封されている。
【0019】
蓋部材4の平面形状は感圧部材3の平面形状よりも小さくなっており、感圧部材3の表面が露出するようになっている。図1では図示していないが、感圧部材3の露出した表面に、各歪みゲージ34−1〜34−4,35−1〜35−4とそれぞれ電気的に接続された8つの電極パッドを形成することで、歪みゲージ34−1〜34−4,35−1〜35−4を外部の回路と結線できるようになっている。歪みゲージと外部の回路との結線方法は、以降の実施例についても同様である。
【0020】
歪みゲージ34−1〜34−4は、外部の回路と共に差圧計測用のホイートストンブリッジ回路、すなわち差圧を受けたダイアフラム32の変位に応じた信号を出力する検出回路を構成する。差圧計測用のホイートストンブリッジ回路により、ダイアフラム32の上面に印加される第1の圧力とダイアフラム32の下面に印加される第2の圧力の差圧を計測することができる。
【0021】
歪みゲージ35−1〜35−4は、外部の回路と共に絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路、すなわち絶対圧を受けたダイアフラム33の変位に応じた信号を出力する検出回路を構成する。絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路により、ダイアフラム33の上面に印加される第1の圧力の絶対圧を計測することができる。
なお、ホイートストンブリッジ回路の構成については周知の技術であるので、詳細な説明は省略する。
【0022】
こうして、本実施例では、差圧と絶対圧とを同時に高感度に計測することができる。また、本実施例では、基台2と感圧部材3と蓋部材4の内部に微細加工技術により圧力導入路と圧力導入室とを形成することにより、圧力導入室(凹陥部30,31,40,41)のサイズを従来のmmオーダーからμmオーダーに縮小することが可能になる。そして、本実施例では、第1のオイルの導入用の圧力導入路と圧力導入室の体積(貫通孔21,37と溝42と凹陥部40の合計の体積)と、第2のオイルの導入用の圧力導入路と圧力導入室の体積(貫通孔20と溝36と凹陥部30の合計の体積)との差を従来よりも小さくすることができ、第1のオイルの量と第2のオイルの量の差を小さくすることができるので、温度変化によるオイル膨張・収縮による特性変化(差圧のゼロ点のシフト)を低減することができる。
【0023】
また、本実施例では、隣接する2つのダイアフラム32,33を1チップに集積していることで、ダイアフラム32,33の感度を揃えることが可能となり、校正を簡略化することができる。
【0024】
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図4は本発明の第2の実施例に係るセンサ素子の平面図、図5図4のA−A線断面図、図6図4のB−B線断面図である。本実施例は、2つの差圧を同時に計測するものである。
【0025】
本実施例のセンサ素子1aは、平板状のセンサチップ10aから構成される。センサチップ10aは、ガラスからなる平板状の基台2と、基台2と接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材3aと、感圧部材3aと接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材4とから構成される。基台2と蓋部材4については第1の実施例で説明したとおりである。
【0026】
感圧部材3aには、第1の実施例と同様に、2つの凹陥部30,31と2つのダイアフラム32,33と8つの歪みゲージ34−1〜34−4,35−1〜35−4と貫通孔37とが形成されている。
さらに、感圧部材3aの裏面には、一端が凹陥部30と連通し、他端が凹陥部31と連通し、基台2と感圧部材3aとが接合されたときに中途部分が貫通孔20と連通する圧力導入路となる溝36aが形成されている。
【0027】
貫通孔21,37、溝42および凹陥部40,41は、ダイアフラム32,33の第1の主面(上面)に第1の圧力を伝達する第1の圧力導入路を構成している。貫通孔20、溝36aおよび凹陥部30,31は、ダイアフラム32,33の第2の主面(下面)に第2の圧力を伝達する第2の圧力導入路を構成している。第1、第2の圧力導入路内には、後述のようにオイルが封入されている。
【0028】
基台2と感圧部材3aとは、基台2の貫通孔20と感圧部材3aの溝36aとが連通するように、直接接合によって接合される。
感圧部材3aと蓋部材4とは、蓋部材4の凹陥部40,41が感圧部材3aのダイアフラム32,33を覆い、感圧部材3aの貫通孔37と蓋部材4の溝42とが連通するように、直接接合によって接合される。
【0029】
第1の実施例と同様に、ダイアフラム32,33の上面には、貫通孔21,37、溝42および凹陥部40,41を介して第1のオイル(圧力伝達媒体)が到達可能となっている。第1のオイルは、印加された第1の圧力をダイアフラム32,33の上面に伝達する。また、ダイアフラム32,33の下面には、貫通孔20、溝36aおよび凹陥部30,31を介して第2のオイル(圧力伝達媒体)が到達可能となっている。第2のオイルは、印加された第2の圧力をダイアフラム32,33の下面に伝達する。
【0030】
歪みゲージ34−1〜34−4は、外部の回路と共に、第1の圧力と第2の圧力の差圧計測用のホイートストンブリッジ回路、すなわち差圧を受けたダイアフラム32の変位に応じた信号を出力する検出回路を構成する。歪みゲージ35−1〜35−4は、外部の回路と共に、差圧計測用の別のホイートストンブリッジ回路、すなわち差圧を受けたダイアフラム33の変位に応じた信号を出力する検出回路を構成する。
こうして、本実施例では、第1の実施例と同様に、第1のオイルの量と第2のオイルの量の差を小さくすることができるので、温度変化によるオイル膨張・収縮による特性変化(差圧のゼロ点のシフト)を低減することができる。
【0031】
なお、第1の実施例および本実施例では、ダイアフラム32,33のサイズを同一としているが、本実施例では、2つのダイアフラム32,33で同一の差圧を計測するので、ダイアフラム32,33のサイズを変えて、ダイアフラム32,33による差圧の計測の感度を変えるようにしてもよい。
【0032】
[第3の実施例]
次に、本発明の第3の実施例について説明する。図7は本発明の第3の実施例に係るセンサ素子の平面図、図8図7のA−A線断面図、図9図7のB−B線断面図である。本実施例は、2つの差圧を同時に計測する別の例である。
【0033】
本実施例のセンサ素子1bは、平板状のセンサチップ10bから構成される。センサチップ10bは、ガラスからなる平板状の基台2と、基台2と接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材3bと、感圧部材3bと接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材4bとから構成される。基台2については第1の実施例で説明したとおりである。
【0034】
感圧部材3bには、第1の実施例と同様に、2つの凹陥部30,31と2つのダイアフラム32,33と8つの歪みゲージ34−1〜34−4,35−1〜35−4と貫通孔37とが形成されている。
また、感圧部材3bには、基台2と感圧部材3bとが接合されたときに貫通孔20と連通する位置に、裏面から表面まで感圧部材3bを貫く圧力導入路となる貫通孔38が形成されている。
【0035】
さらに、感圧部材3bの裏面には、一端が凹陥部30と連通し、他端が貫通孔37と連通する圧力導入路となる溝50と、一端が凹陥部31と連通し、他端が貫通孔38と連通する圧力導入路となる溝51とが形成されている。このように、2つの溝50,51は、一端が異なる凹陥部30,31とそれぞれ連通して、他端が異なる貫通孔37,38とそれぞれ連通する。
【0036】
蓋部材4bには、第1の実施例と同様に、2つの凹陥部40,41が形成されている。また、蓋部材4bの裏面には、一端が凹陥部40と連通し、感圧部材3bと蓋部材4bとが接合されたときに他端が貫通孔38と連通する圧力導入路となる溝43と、一端が凹陥部41と連通し、感圧部材3bと蓋部材4bとが接合されたときに他端が貫通孔37と連通する圧力導入路となる溝44とが形成されている。このように、2つの溝43,44は、一端が異なる凹陥部40,41とそれぞれ連通して、他端が異なる貫通孔37,38とそれぞれ連通する。
【0037】
貫通孔20,38、溝43,51および凹陥部40,31は、ダイアフラム32の第1の主面(上面)およびダイアフラム33の第1の主面(下面)に第1の圧力を伝達する第1の圧力導入路を構成している。貫通孔21,37、溝44,50および凹陥部30,41は、ダイアフラム32の第2の主面(下面)およびダイアフラム33の第2の主面(上面)に第2の圧力を伝達する第2の圧力導入路を構成している。第1、第2の圧力導入路内には、後述のようにオイルが封入されている。
【0038】
基台2と感圧部材3bとは、基台2の貫通孔20,21と感圧部材3bの貫通孔38,37とが連通するように、直接接合によって接合される。
感圧部材3bと蓋部材4bとは、蓋部材4bの凹陥部40,41が感圧部材3bのダイアフラム32,33を覆い、感圧部材3bの貫通孔37と蓋部材4bの溝44とが連通し、感圧部材3bの貫通孔38と蓋部材4bの溝43とが連通するように、直接接合によって接合される。
【0039】
ダイアフラム32の上面には、貫通孔20,38、溝43および凹陥部40を介して第1のオイル(圧力伝達媒体)が到達する。ダイアフラム33の下面には、貫通孔20、溝51および凹陥部31を介して第1のオイルが到達する。第1のオイルは、印加された第1の圧力をダイアフラム32の上面およびダイアフラム33の下面に伝達する。
【0040】
また、ダイアフラム32の下面には、貫通孔21、溝50および凹陥部30を介して第2のオイルが到達する。ダイアフラム33の上面には、貫通孔21,37、溝44および凹陥部41を介して第2のオイル(圧力伝達媒体)が到達する。第2のオイルは、印加された第2の圧力をダイアフラム32の下面およびダイアフラム33の上面に伝達する。
【0041】
歪みゲージ34−1〜34−4は、外部の回路と共に、第1の圧力と第2の圧力の差圧計測用のホイートストンブリッジ回路、すなわち差圧を受けたダイアフラム32の変位に応じた信号を出力する検出回路を構成する。歪みゲージ35−1〜35−4は、外部の回路と共に、差圧計測用の別のホイートストンブリッジ回路、、すなわち差圧を受けたダイアフラム33の変位に応じた信号を出力する検出回路を構成する。
こうして、本実施例では、第1の実施例と同様に、第1のオイルの量と第2のオイルの量の差を小さくすることができるので、温度変化によるオイル膨張・収縮による特性変化(差圧のゼロ点のシフト)を低減することができる。
【0042】
本実施例では、ダイアフラム32,33のサイズを同一としているが、第2の実施例と同様に、ダイアフラム32,33のサイズを変えて、ダイアフラム32,33による差圧の計測の感度を変えるようにしてもよい。
【0043】
[第4の実施例]
次に、本発明の第4の実施例について説明する。図10は本発明の第4の実施例に係るセンサ素子の平面図、図11図10のA−A線断面図、図12図10のB−B線断面図である。本実施例は、絶対圧とゲージ圧を同時に計測するものである。
【0044】
本実施例のセンサ素子1cは、平板状のセンサチップ10cから構成される。センサチップ10cは、ガラスからなる平板状の基台2cと、基台2cと接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材3cと、感圧部材3cと接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材4とから構成される。蓋部材4については第1の実施例で説明したとおりである。
【0045】
基台2cには、裏面から表面まで基台2cを貫く圧力導入路となる貫通孔21が形成されている。
感圧部材3cには、第1の実施例と同様に、2つの凹陥部30,31と2つのダイアフラム32,33と8つの歪みゲージ34−1〜34−4,35−1〜35−4と貫通孔37とが形成されている。
また、感圧部材3cの裏面には、一端が凹陥部31と連通し、他端が感圧部材3cの側面に開口する圧力導入路となる溝52が形成されている。
【0046】
貫通孔21,37、溝42および凹陥部40,41は、ダイアフラム32,33の第1の主面(上面)に圧力を伝達する第1の圧力導入路を構成している。溝52と凹陥部31とは、ダイアフラム33の第2の主面(下面)に大気圧を導入する第2の圧力導入路を構成している。第1の圧力導入路内には、後述のようにオイルが封入されている。
【0047】
基台2cと感圧部材3cとは、基台2cの貫通孔21と感圧部材3cの貫通孔37とが連通するように、直接接合によって接合される。
感圧部材3cと蓋部材4とは、蓋部材4の凹陥部40,41が感圧部材3cのダイアフラム32,33を覆い、感圧部材3cの貫通孔37と蓋部材4の溝42とが連通するように、直接接合によって接合される。
【0048】
ダイアフラム32,33の上面には、貫通孔21,37、溝42および凹陥部40,41を介して第1のオイル(圧力伝達媒体)が到達可能となっている。ダイアフラム32の下面の凹陥部30は、真空状態で密封されている。ダイアフラム33の下面には、溝52および凹陥部31を介して大気圧が伝達される。
【0049】
歪みゲージ34−1〜34−4は、外部の回路と共に絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路、すなわち絶対圧を受けたダイアフラム32の変位に応じた信号を出力する検出回路を構成する。絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路により、ダイアフラム32の上面に印加される第1の圧力の絶対圧を計測することができる。
【0050】
歪みゲージ35−1〜35−4は、外部の回路と共にゲージ圧計測用のホイートストンブリッジ回路、すなわちゲージ圧を受けたダイアフラム33の変位に応じた信号を出力する検出回路を構成する。ゲージ圧計測用のホイートストンブリッジ回路により、ダイアフラム33の上面に印加される第1の圧力のゲージ圧を計測することができる。
こうして、本実施例では、絶対圧とゲージ圧を同時に高精度に計測することができる。
【0051】
[第5の実施例]
次に、本発明の第5の実施例について説明する。図13は本発明の第5の実施例に係るセンサ素子の平面図、図14図13のA−A線断面図、図15図13のB−B線断面図、図16図13のC−C線断面図である。本実施例は、4つのダイアフラムを有するものである。
【0052】
本実施例のセンサ素子1dは、平板状のセンサチップ10dから構成される。センサチップ10dは、ガラスからなる平板状の基台2dと、基台2と接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材3dと、感圧部材3と接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材4dとから構成される。
【0053】
基台2dには、裏面から表面まで基台2を貫く圧力導入路となる2つの貫通孔20d,21dが形成されている。
感圧部材3dの基台2dと向かい合う裏面には、感圧部材3dの表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の4つの凹陥部30,31,60,61(圧力導入室)が形成されている。感圧部材3dの凹陥部30,31,60,61が形成された領域の表面側に残った部分が、ダイアフラム32,33,62,63となる。
【0054】
また、感圧部材3dの裏面には、一端が凹陥部30と連通し、他端が凹陥部31と連通し、基台2dと感圧部材3dとが接合されたときに中途部分が貫通孔20dと連通する圧力導入路となる溝36dが形成されている。
また、感圧部材3dには、基台2dと感圧部材3dとが接合されたときに貫通孔21dと連通する位置に、裏面から表面まで感圧部材3dを貫く圧力導入路となる貫通孔37dが形成されている。
【0055】
さらに、感圧部材3dの蓋部材4dと向かい合う表面のうち、凹陥部30,31,60,61の領域の表面側に形成されたダイアフラム32,33,62,63の周縁部には、例えば不純物拡散またはイオン打ち込みの技術によりピエゾ抵抗素子として機能する歪みゲージ34−1〜34−4,35−1〜35−4,64−1〜64−4,65−1〜65−4が形成されている。
【0056】
歪みゲージ34−1〜34−4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム32の4辺の中点付近に形成されている。歪みゲージ35−1〜35−4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム33の4辺の中点付近に形成されている。歪みゲージ64−1〜64−4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム62の4辺の中点付近に形成されている。歪みゲージ65−1〜65−4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム63の4辺の中点付近に形成されている。
【0057】
また、感圧部材3dの裏面には、一端が凹陥部61と連通し、他端が感圧部材3dの側面に開口する圧力導入路となる溝52dが形成されている。
【0058】
蓋部材4dの感圧部材3dと向かい合う裏面には、感圧部材3dと蓋部材4dとが接合されたときにダイアフラム32,33,62,63に覆いをする位置に、蓋部材4dの表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の4つの凹陥部40,41,70,71(圧力導入室)が形成されている。
【0059】
また、蓋部材4dの裏面には、中央の分岐点から4つに分岐した形状で、4つの先端がそれぞれ凹陥部40,41,70,71と連通し、感圧部材3dと蓋部材4dとが接合されたときに中央の分岐点の部分が貫通孔37dと連通する圧力導入路となる溝42dが形成されている。
【0060】
貫通孔21d,37d、溝42dおよび凹陥部40,41,70,71は、ダイアフラム32,33,62,63の第1の主面(上面)に第1の圧力を伝達する第1の圧力導入路を構成している。貫通孔20d、溝36dおよび凹陥部30,31は、ダイアフラム32,33の第2の主面(下面)に第2の圧力を伝達する第2の圧力導入路を構成している。溝52dと凹陥部61とは、ダイアフラム63の第2の主面(下面)に大気圧を導入する第3の圧力導入路を構成している。第1、第2の圧力導入路内には、後述のようにオイルが封入されている。
【0061】
基台2dと感圧部材3dとは、基台2dの貫通孔20dと感圧部材3dの溝36dとが連通し、基台2dの貫通孔21dと感圧部材3dの貫通孔37dとが連通するように、直接接合によって接合される。
感圧部材3dと蓋部材4dとは、蓋部材4dの凹陥部40,41,70,71が感圧部材3dのダイアフラム32,33,62,63を覆い、感圧部材3dの貫通孔37dと蓋部材4dの溝42dとが連通するように、直接接合によって接合される。
【0062】
ダイアフラム32,33,62,63の上面には、貫通孔21d,37d、溝42dおよび凹陥部40,41,70,71を介して第1のオイル(圧力伝達媒体)が到達可能となっている。第1のオイルは、印加された第1の圧力をダイアフラム32,33,62,63の上面に伝達する。また、ダイアフラム32,33の下面には、貫通孔20d、溝36dおよび凹陥部30,31を介して第2のオイル(圧力伝達媒体)が到達可能となっている。第2のオイルは、印加された第2の圧力をダイアフラム32,33の下面に伝達する。ダイアフラム62の下面の凹陥部60は、真空状態で密封されている。ダイアフラム63の下面には、溝52dおよび凹陥部61を介して大気圧が伝達される。
【0063】
歪みゲージ34−1〜34−4は、外部の回路と共に、第1の圧力と第2の圧力の差圧計測用のホイートストンブリッジ回路、すなわち差圧を受けたダイアフラム32の変位に応じた信号を出力する検出回路を構成する。歪みゲージ35−1〜35−4は、外部の回路と共に、差圧計測用の別のホイートストンブリッジ回路、すなわち差圧を受けたダイアフラム33の変位に応じた信号を出力する検出回路を構成する。歪みゲージ64−1〜64−4は、外部の回路と共に絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路、すなわち絶対圧を受けたダイアフラム62の変位に応じた信号を出力する検出回路を構成する。歪みゲージ65−1〜65−4は、外部の回路と共にゲージ圧計測用のホイートストンブリッジ回路、すなわちゲージ圧を受けたダイアフラム63の変位に応じた信号を出力する検出回路を構成する。
【0064】
こうして、本実施例では、第1の圧力と第2の圧力の差圧と、第1の圧力の絶対圧と、第1の圧力のゲージ圧とを同時に高精度に計測することができる。
なお、本実施例では、2つのダイアフラム32,33で同一の差圧を計測するので、どちらか一方のダイアフラムのみを使用してもよいし、ダイアフラム32,33のサイズを変えて、ダイアフラム32,33による差圧の計測の感度を変えるようにしてもよい。
【0065】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明した。しかしながら、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、様々な変形例に想到しうることは明らかであり、これらの変形例についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0066】
1,1a〜1d…センサ素子、2,2c,2d…基台、3,3a〜3d…感圧部材、4,4b,4d…蓋部材、10,10a〜10d…センサチップ、20,20d,21,21d,37,37d,38…貫通孔、30,31,40,41,60,61,70,71…凹陥部、32,33,62,63…ダイアフラム、36,36a,36d,42,42d,43,44,50〜52,52d…溝、34−1〜34−4,35−1〜35−4,64−1〜64−4,65−1〜65−4…歪みゲージ。
図1
図2
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図4
図5
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図7
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図10
図11
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図16