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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-60335(P2021-60335A)
(43)【公開日】2021年4月15日
(54)【発明の名称】センサ素子
(51)【国際特許分類】
   G01L 15/00 20060101AFI20210319BHJP
   G01L 13/00 20060101ALI20210319BHJP
【FI】
   G01L15/00
   G01L13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-185769(P2019-185769)
(22)【出願日】2019年10月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】徳田 智久
(72)【発明者】
【氏名】米田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】東條 博史
(72)【発明者】
【氏名】津嶋 鮎美
(72)【発明者】
【氏名】木田 のぞみ
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB01
2F055BB03
2F055BB05
2F055CC02
2F055DD05
2F055EE14
2F055FF49
2F055GG22
2F055GG49
(57)【要約】
【課題】複数の圧力を同時に計測することができるセンサ素子を提供する。
【解決手段】センサ素子のセンサチップ10aは、第1の圧力と第2の圧力の差圧計測用のダイアフラム42と、第2の圧力の絶対圧計測用またはゲージ圧計測用のダイアフラム43と、ダイアフラム42に第1の圧力を伝達する第1の圧力導入路(貫通孔21,31,47、溝35,53および凹陥部33,50)と、ダイアフラム42,43に第2の圧力を伝達する第2の圧力導入路(貫通孔20,30,46、溝32,54および凹陥部40,51)とを備えている。ダイアフラム42,43への第1、第2の圧力の伝達を等価回路によって表したときに、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路は対称である。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサチップとこのセンサチップの一面に接合されるダイアフラムベースから構成されるセンサ素子であって、
前記センサチップは、
第1の圧力と第2の圧力の差圧計測用の第1のダイアフラムと、
前記第2の圧力の絶対圧計測用またはゲージ圧計測用の第2のダイアフラムと、
前記第1のダイアフラムに前記第1の圧力を伝達する第1の圧力導入路と、
前記第1のダイアフラムと前記第2のダイアフラムに前記第2の圧力を伝達する第2の圧力導入路とを備え、
前記ダイアフラムベースは、
前記第1の圧力を有する計測対象の流体を直接受ける第3のダイアフラムと、
前記第2の圧力を有する計測対象の流体を直接受ける第4のダイアフラムと、
前記第1の圧力導入路と連通して前記第3のダイアフラムが受けた前記第1の圧力を前記第1の圧力導入路および前記第1のダイアフラムへと伝達する第3の圧力導入路と、
前記第2の圧力導入路と連通して前記第4のダイアフラムが受けた前記第2の圧力を前記第2の圧力導入路および前記第2のダイアフラムへと伝達する第4の圧力導入路とを備え、
前記第1の圧力導入路から前記第3の圧力導入路には、前記第1のダイアフラムに前記第1の圧力を伝達することが可能な第1の圧力伝達媒体が封入され、前記第2の圧力導入路から前記第4の圧力導入路には、前記第1のダイアフラムと前記第2のダイアフラムに前記第2の圧力を伝達することが可能な第2の圧力伝達媒体が封入されるとともに、
前記第1および第2の圧力伝達媒体の移動量を電荷によってモデル化し、前記第1および第2の圧力伝達媒体の流速を電流によってモデル化し、前記第1の圧力と前記第2の圧力を電圧によってモデル化し、前記第1〜第4のダイアフラムのコンプライアンスをキャパシタンスでモデル化し、前記第1〜第4の圧力導入路の流路抵抗を電気抵抗によってモデル化して、前記第1および第2のダイアフラムへの前記第1、第2の圧力の伝達を等価回路によって表したときに、前記第1の圧力の伝達経路と前記第2の圧力の伝達経路が対称である、センサ素子。
【請求項2】
前記第2の圧力が伝達される前記絶対圧計測用またはゲージ圧計測用の第2のダイアフラムの第1の主面と反対側の第2の主面に配設された基準室と、
前記基準室を間に挟んで前記絶対圧計測用またはゲージ圧計測用の第2のダイアフラムと対向するように配設された第5のダイアフラムとをさらに備え、
前記第1の圧力導入路は、前記第5のダイアフラムの前記基準室と向かい合う第1の主面と反対側の第2の主面に前記第1の圧力を伝達し、
前記第1、第2および第5のダイアフラムへの前記第1、第2の圧力の伝達を前記等価回路によって表したときに、前記第1の圧力の伝達経路と前記第2の圧力の伝達経路が対称である、請求項1記載のセンサ素子。
【請求項3】
前記第2の圧力が伝達される前記絶対圧計測用またはゲージ圧計測用の第2のダイアフラムの第1の主面と反対側の第2の主面に配設された第1の基準室と、
前記差圧計測用の第1のダイアフラムに前記第1の圧力を伝達する前記第1の圧力導入路を間に挟んで前記差圧計測用の第1のダイアフラムと対向するように配設された第6のダイアフラムと、
前記第6のダイアフラムの前記第1の圧力導入路と向かい合う第1の主面と反対側の第2の主面に配設された第2の基準室とをさらに備え、
前記第1、第2および第6のダイアフラムへの前記第1、第2の圧力の伝達を前記等価回路によって表したときに、前記第1の圧力の伝達経路と前記第2の圧力の伝達経路が対称である、請求項1記載のセンサ素子。
【請求項4】
前記第1の圧力導入路に満たされる前記第1の圧力伝達媒体の量と、前記第2の圧力導入路に満たされる前記第2の圧力伝達媒体の量が同一である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセンサ素子。
【請求項5】
前記第1の圧力伝達媒体の量と前記第2の圧力伝達媒体の量とが同じになるように、前記第1の圧力導入路の途中に設けられた液量調整室をさらに備える、請求項4記載のセンサ素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、差圧あるいは圧力を検出する圧力センサとして、感圧部である半導体ダイアフラムにピエゾ抵抗を形成した半導体ピエゾ抵抗式圧力センサが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2015−512046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された圧力センサでは、差圧のみ、または絶対圧のみを測定対象としており、差圧と絶対圧など複数の圧力を同時に計測する構造は知られていなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、複数の圧力を同時に、高精度に計測することができる小型のセンサ素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセンサ素子は、センサチップとこのセンサチップの一面に接合されるダイアフラムベースから構成されるセンサ素子であって、前記センサチップは、第1の圧力と第2の圧力の差圧計測用の第1のダイアフラムと、前記第2の圧力の絶対圧計測用またはゲージ圧計測用の第2のダイアフラムと、前記第1のダイアフラムに前記第1の圧力を伝達する第1の圧力導入路と、前記第1のダイアフラムと前記第2のダイアフラムに前記第2の圧力を伝達する第2の圧力導入路とを備え、前記ダイアフラムベースは、前記第1の圧力を有する計測対象の流体を直接受ける第3のダイアフラムと、前記第2の圧力を有する計測対象の流体を直接受ける第4のダイアフラムと、前記第1の圧力導入路と連通して前記第3のダイアフラムが受けた前記第1の圧力を前記第1の圧力導入路および前記第1のダイアフラムへと伝達する第3の圧力導入路と、前記第2の圧力導入路と連通して前記第4のダイアフラムが受けた前記第2の圧力を前記第2の圧力導入路および前記第2のダイアフラムへと伝達する第4の圧力導入路とを備え、前記第1の圧力導入路から前記第3の圧力導入路には、前記第1のダイアフラムに前記第1の圧力を伝達することが可能な第1の圧力伝達媒体が封入され、前記第2の圧力導入路から前記第4の圧力導入路には、前記第1のダイアフラムと前記第2のダイアフラムに前記第2の圧力を伝達することが可能な第2の圧力伝達媒体が封入されるとともに、前記第1および第2の圧力伝達媒体の移動量を電荷によってモデル化し、前記第1および第2の圧力伝達媒体の流速を電流によってモデル化し、前記第1の圧力と前記第2の圧力を電圧によってモデル化し、前記第1〜第4のダイアフラムのコンプライアンスをキャパシタンスでモデル化し、前記第1〜第4の圧力導入路の流路抵抗を電気抵抗によってモデル化して、前記第1および第2のダイアフラムへの前記第1、第2の圧力の伝達を等価回路によって表したときに、前記第1の圧力の伝達経路と前記第2の圧力の伝達経路が対称である。
【0007】
また、本発明のセンサ素子の1構成例は、前記第2の圧力が伝達される前記絶対圧計測用またはゲージ圧計測用の第2のダイアフラムの第1の主面と反対側の第2の主面に配設された基準室と、前記基準室を間に挟んで前記絶対圧計測用またはゲージ圧計測用の第2のダイアフラムと対向するように配設された第5のダイアフラムとをさらに備え、前記第1の圧力導入路は、前記第5のダイアフラムの前記基準室と向かい合う第1の主面と反対側の第2の主面に前記第1の圧力を伝達し、前記第1、第2および第5のダイアフラムへの前記第1、第2の圧力の伝達を前記等価回路によって表したときに、前記第1の圧力の伝達経路と前記第2の圧力の伝達経路が対称である。
また、本発明のセンサ素子の1構成例は、前記第2の圧力が伝達される前記絶対圧計測用またはゲージ圧計測用の第2のダイアフラムの第1の主面と反対側の第2の主面に配設された第1の基準室と、前記差圧計測用の第1のダイアフラムに前記第1の圧力を伝達する前記第1の圧力導入路を間に挟んで前記差圧計測用の第1のダイアフラムと対向するように配設された第6のダイアフラムと、前記第6のダイアフラムの前記第1の圧力導入路と向かい合う第1の主面と反対側の第2の主面に配設された第2の基準室とをさらに備え、前記第1、第2および第6のダイアフラムへの前記第1、第2の圧力の伝達を前記等価回路によって表したときに、前記第1の圧力の伝達経路と前記第2の圧力の伝達経路が対称である。
【0008】
また、本発明のセンサ素子の1構成例は、前記第1の圧力導入路に満たされる前記第1の圧力伝達媒体の量と、前記第2の圧力導入路に満たされる前記第2の圧力伝達媒体の量が同一である。
また、本発明のセンサ素子の1構成例は、前記第1の圧力伝達媒体の量と前記第2の圧力伝達媒体の量とが同じになるように、前記第1の圧力導入路の途中に設けられた液量調整室をさらに備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の圧力を同時に、高精度に計測でき、しかもセンサ素子の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の原理を説明するセンサ素子の断面図である。
図2図2は、図1のセンサ素子のセンサチップの平面図である。
図3図3は、図1のセンサ素子のセンサチップの断面図である。
図4図4は、図1のセンサ素子のセンサチップの断面図である。
図5図5は、図1のセンサ素子の等価回路図である。
図6図6は、本発明の第1の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの平面図である。
図7図7は、本発明の第1の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの断面図である。
図8図8は、本発明の第1の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの断面図である。
図9図9は、本発明の第1の実施例に係るセンサ素子の等価回路図である。
図10図10は、本発明の第2の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの平面図である。
図11図11は、本発明の第2の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの断面図である。
図12図12は、本発明の第2の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの断面図である。
図13図13は、本発明の第3の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの平面図である。
図14図14は、本発明の第3の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの断面図である。
図15図15は、本発明の第3の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの断面図である。
図16図16は、本発明の第3の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの別の構成を示す平面図である。
図17図17は、本発明の第3の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの別の構成を示す断面図である。
図18図18は、本発明の第3の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの別の構成を示す断面図である。
図19図19は、本発明の第4の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの平面図である。
図20図20は、本発明の第4の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの断面図である。
図21図21は、本発明の第4の実施例に係るセンサ素子のセンサチップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[発明の原理]
図1は本発明の原理を説明するセンサ素子の断面図、図2図1のセンサ素子のセンサチップの平面図、図3図2のA−A線断面図、図4図2のB−B線断面図である。センサ素子1は、ダイアフラムベース7と、ダイアフラムベース7上に搭載されたセンサチップ10とから構成される。
【0012】
センサチップ10は、ガラスからなる平板状の基台2と、基台2と接合されたシリコンからなる平板状の流路部材3と、流路部材3と接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材4と、感圧部材4と接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材5とから構成される。
【0013】
基台2には、裏面から表面まで基台2を貫く圧力導入路となる2つの貫通孔20,21が形成されている。
流路部材3には、基台2と流路部材3とが接合されたときに貫通孔20,21と連通する位置に、裏面から表面まで流路部材3を貫く圧力導入路となる貫通孔30,31が形成されている。また、流路部材3の感圧部材4と向かい合う表面には、一端が貫通孔30と連通し、流路部材3と感圧部材4とが接合されたときに他端が後述する凹陥部40と連通する圧力導入路となる溝32が形成されている。
【0014】
感圧部材4の流路部材3と向かい合う裏面には、感圧部材4の表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の2つの凹陥部40,41(圧力導入室)が形成されている。感圧部材4の凹陥部40,41が形成された領域の表面側に残った部分が、ダイアフラム42,43となる。
【0015】
また、感圧部材4の蓋部材5と向かい合う表面のうち、凹陥部40,41の領域の表面側に形成されたダイアフラム42,43の周縁部には、例えば不純物拡散またはイオン打ち込みの技術によりピエゾ抵抗素子として機能する歪みゲージ44−1〜44−4,45−1〜45−4が形成されている。歪みゲージ44−1〜44−4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム42(第1のダイアフラム)の4辺の中点付近に形成されている。同様に、歪みゲージ45−1〜45−4は、それぞれ平面視正方形のダイアフラム43(第2のダイアフラム)の4辺の中点付近に形成されている。
【0016】
さらに、感圧部材4には、流路部材3と感圧部材4とが接合されたときに貫通孔30,31と連通する位置に、裏面から表面まで感圧部材4を貫く圧力導入路となる貫通孔46,47が形成されている。
【0017】
蓋部材5の感圧部材4と向かい合う裏面には、感圧部材4と蓋部材5とが接合されたときにダイアフラム42,43に覆いをする位置に、蓋部材5の表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の2つの凹陥部50,51(圧力導入室)が形成されている。また、蓋部材5aの裏面には、感圧部材4と蓋部材5aとが接合されたときに一端が貫通孔47と連通し、他端が凹陥部50と連通する圧力導入路となる溝53が形成されている。さらに、蓋部材5の裏面には、感圧部材4と蓋部材5とが接合されたときに一端が貫通孔46と連通し、他端が凹陥部51と連通する圧力導入路となる溝54が形成されている。
【0018】
貫通孔20,21,30,31,46,47と凹陥部40,41,50,51と溝32,53,54とは、エッチング技術によって容易に形成できることは言うまでもない。以降の実施例の貫通孔と凹陥部と溝についても同様にエッチング技術によって容易に形成することができる。
【0019】
基台2と流路部材3とは、基台2の貫通孔20,21と流路部材3の貫通孔30,31とが連通するように、直接接合によって接合される。流路部材3と感圧部材4とは、流路部材3の貫通孔30,31と感圧部材4の貫通孔46,47とが連通し、流路部材3の溝32と感圧部材4の凹陥部40とが連通するように、直接接合によって接合される。感圧部材4と蓋部材5とは、蓋部材5の凹陥部50,51が感圧部材4のダイアフラム42,43を覆い、感圧部材4の貫通孔46と蓋部材5の溝54とが連通し、感圧部材4の貫通孔47と蓋部材5の溝53とが連通するように、直接接合によって接合される。
【0020】
ダイアフラムベース7は、計測対象の流体の圧力をセンサチップ10に導くための金属材料からなる。金属材料としては、ステンレス鋼(SUS)を例示することができる。図1に示すように、ダイアフラムベース7は、主面7aとその反対側の主面7bとを有する。ダイアフラムベース7には、主面7aと主面7bとを貫通する圧力導入路となる貫通孔70,71が形成されている。貫通孔70,71の主面7a側の開口部には、2つの凹陥部72,73が形成されている。凹陥部72は、第2の圧力を有する計測対象の流体を直接受けるバリアダイアフラム74(第4のダイアフラム)によって覆われている。同様に、凹陥部73は、第1の圧力を有する計測対象の流体を直接受けるバリアダイアフラム75(第3のダイアフラム)によって覆われている。バリアダイアフラム74,75は、例えばステンレス鋼(SUS)から構成されている。
【0021】
センサチップ10とダイアフラムベース7とは、センサチップ10の貫通孔20,21とダイアフラムベース7の貫通孔70,71とが連通するように、接着剤によって接合される。
【0022】
センサチップ10のダイアフラム42の上面には、ダイアフラムベース7の凹陥部73と貫通孔71とセンサチップ10の貫通孔21,31,47,52と溝53と凹陥部50とを介して第1のオイル(第1の圧力伝達媒体)が到達可能となっている。第1のオイルは、バリアダイアフラム75に印加された第1の圧力をダイアフラム42の上面に伝達する。ダイアフラム42の下面には、ダイアフラムベース7の凹陥部72と貫通孔70とセンサチップ10の貫通孔20,30と溝32と凹陥部40とを介して第2のオイル(第2の圧力伝達媒体)が到達可能となっている。第2のオイルは、バリアダイアフラム74に印加された第2の圧力をダイアフラム42の下面に伝達する。
【0023】
センサチップ10のダイアフラム43の上面には、ダイアフラムベース7の凹陥部72と貫通孔70とセンサチップ10の貫通孔20,30,46と溝54と凹陥部51とを介して第2のオイルが到達可能となっている。第2のオイルは、バリアダイアフラム74に印加された第2の圧力をダイアフラム43の上面に伝達する。ダイアフラム43の下面の凹陥部41(基準室)は、真空状態で密封されている。
【0024】
図1図4では図示していないが、例えば感圧部材4の平面形状を蓋部材5の平面形状よりも大きくして、感圧部材4の露出した表面に、各歪みゲージ44−1〜44−4,45−1〜45−4とそれぞれ電気的に接続された8つの電極パッドを形成することで、歪みゲージ44−1〜44−4,45−1〜45−4を外部の回路と結線できるようになっている。歪みゲージと外部の回路との結線方法は、以降の実施例についても同様である。
【0025】
歪みゲージ44−1〜44−4は、外部の回路と共に差圧計測用のホイートストンブリッジ回路を構成する。差圧計測用のホイートストンブリッジ回路により、ダイアフラム42の上面に印加される第1の圧力とダイアフラム42の下面に印加される第2の圧力の差圧を計測することができる。
【0026】
歪みゲージ45−1〜45−4は、外部の回路と共に絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路を構成する。絶対圧計測用のホイートストンブリッジ回路により、ダイアフラム43の上面に印加される第2の圧力の絶対圧を計測することができる。
ホイートストンブリッジ回路の構成については周知の技術であるので、詳細な説明は省略する。
【0027】
以上のようなセンサ素子1の等価回路を図5に示す。図5において、キャパシタC1はバリアダイアフラム75のコンプライアンス、キャパシタC2はバリアダイアフラム74のコンプライアンス、キャパシタC3はダイアフラム42のコンプライアンス、キャパシタC4はダイアフラム43のコンプライアンスをモデル化したものである。
【0028】
抵抗器R1は第1のオイルが封入された凹陥部73と貫通孔71の流路抵抗、抵抗器R2は第2のオイルが封入された凹陥部72と貫通孔70の流路抵抗、抵抗器R3は第1のオイルが封入された貫通孔21,31,47と溝53と凹陥部50の流路抵抗、抵抗器R4は第2のオイルが封入された貫通孔20,30と溝32と凹陥部40の流路抵抗、抵抗器R5は第2のオイルが封入された貫通孔20,30,46と溝54と凹陥部51の流路抵抗である。
【0029】
図5の等価回路では、オイルの移動量を電荷によってモデル化し、オイルの流速を電流によってモデル化し、圧力を電圧によってモデル化している。第1の圧力と第2の圧力の差圧は、キャパシタC3の両端電圧として得られ、第2の圧力の絶対圧は、キャパシタC4の両端電圧として得られる。なお、図5の等価回路では、オイルの圧縮性は無視している。
【0030】
図5から分かるように、図1のセンサ素子1では、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路が非対称となるため、以下の(A)、(B)のような問題を生じる。機器の小型化のためにダイアフラム74,75のアスペクト比(径/膜厚の比)が小さく(コンプライアンスが小さく)なればなる程、またセンサの高感度化のためダイアフラム42,43のアスペクト比が大きく(コンプライアンスが大きく)なればなるほど(A)、(B)の問題の影響は大きくなる。
(A)静圧印加時の過渡差圧の発生。
(B)静圧印加時のゼロ点シフト。
【0031】
(A)、(B)の問題を、図5の等価回路を用いて説明する。センサ素子1に静圧が加わった場合、図5の等価回路では、キャパシタC1側(以下、1次側とする)とキャパシタC2側(以下、2次側とする)に同じ電圧が同時に加わったことになる。絶対圧センサ(キャパシタC4と抵抗器R5)が無い場合には、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路とが対称となるので、1次側と2次側に同じ電圧が同時に加わったとしても、キャパシタC3に電荷が蓄積されることはないため、キャパシタC3の両端に電圧が発生することはない。すなわち、静圧印加時の過渡差圧が発生することはない。
【0032】
しかし、図5の等価回路では、絶対圧センサがあることにより、キャパシタC4に電荷が蓄積されることになる。1次側については電圧が遅れなくキャパシタC3に印加されるが、2次側についてはキャパシタC3の電圧上昇に遅れが発生する。すなわち、過渡的に差圧が発生することになる。
【0033】
2次側のキャパシタC4に電荷が流れ、同じ2次側のキャパシタC2にも電荷が蓄積されるため、キャパシタC2に電圧が発生する。1次側については印加された電圧(第1の圧力)がそのままキャパシタC3に加わるが、2次側については印加された電圧(第2の圧力)から、キャパシタC2で発生した電圧を引いた電圧がキャパシタC3に印加される。したがって、静圧によるゼロ点シフトが発生することになる。
【0034】
次に、(A)、(B)の問題を定性的に説明する。センサ素子1に静圧が加わった場合、絶対圧センサがなければ、1次側と2次側は対称なので、封入オイルの圧縮分のみ1次側、2次側共にバリアダイアフラム74,75は同じだけ変位する。この場合、1次側、2次側で差圧は発生しないため、差圧を計測するダイアフラム42は変位しない。
【0035】
しかし、図1のセンサ素子1では、絶対圧センサがあることにより、ダイアフラム43が変位する。この変異に要する時間分だけ、2次側はダイアフラム42への圧力伝達が遅れる。したがって、過渡的に差圧が発生することになる。また、ダイアフラム43が変位すると、2次側のバリアダイアフラム74もその分だけ1次側のバリアダイアフラム75よりも大きく変位する。バリアダイアフラム74,75は、その変位量に応じて反力が大きくなる。バリアダイアフラム74,75の変位の差により反力にも差が出るため、反力の差の分だけ内圧差が生じる。したがって、静圧によるゼロ点シフトが発生することになる。
【0036】
上記の説明では、絶対圧センサによる差圧センサへの影響について説明しているが、反対に差圧センサによる絶対圧センサへの影響も発生する。
以上のように、図1のセンサ素子1では、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路が非対称となるため、(A)、(B)のような問題があった。本発明では、以下のように第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路を対称構造とすることにより、(A)、(B)の問題を解決する。
【0037】
[第1の実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図6は本発明の第1の実施例に係るセンサ素子の平面図、図7図6のA−A線断面図、図8図6のB−B線断面図である。本実施例のセンサ素子1aは、ダイアフラムベースと、ダイアフラムベース上に搭載されたセンサチップ10aとから構成される。ダイアフラムベースについては、図1で説明したとおりであるので、記載を省略し、図1の符号を用いて説明する。
【0038】
センサチップ10aは、ガラスからなる平板状の基台2と、基台2と接合されたシリコンからなる平板状の流路部材3aと、流路部材3aと接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材4と、感圧部材4と接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材5とから構成される。基台2と感圧部材4と蓋部材5については図1図4で説明したとおりである。
【0039】
流路部材3aには、基台2と流路部材3aとが接合されたときに貫通孔20,21と連通する位置に、裏面から表面まで流路部材3aを貫く圧力導入路となる貫通孔30,31が形成されている。また、流路部材3aの基台2と向かい合う裏面には、流路部材3aの表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の凹陥部33(圧力導入室)が形成されている。流路部材3aの凹陥部33が形成された領域の表面側に残った部分が、ダイアフラム43と同一のコンプライアンスを有するダミーダイアフラム34(第5のダイアフラム)となる。
【0040】
また、流路部材3aの裏面には、一端が貫通孔31と連通し、他端が凹陥部33と連通する圧力導入路となる溝35が形成されている。さらに、流路部材3aの感圧部材4と向かい合う表面には、一端が貫通孔30と連通し、流路部材3aと感圧部材4とが接合されたときに他端が感圧部材4の凹陥部40と連通する圧力導入路となる溝32が形成されている。
【0041】
貫通孔21,31,47、溝53および凹陥部50は、ダイアフラム42の第1の主面(上面)に第1の圧力を伝達する第1の圧力導入路を構成している。貫通孔20,30,46、溝32,54および凹陥部40,51は、ダイアフラム42の第2の主面(下面)およびダイアフラム43の第1の主面(上面)に第2の圧力を伝達する第2の圧力導入路を構成している。
【0042】
基台2と流路部材3aとは、基台2の貫通孔20,21と流路部材3aの貫通孔30,31とが連通するように、直接接合によって接合される。流路部材3aと感圧部材4とは、感圧部材4の凹陥部41が流路部材3aのダミーダイアフラム34を覆い、流路部材3aの貫通孔30,31と感圧部材4の貫通孔46,47とが連通し、流路部材3aの溝32と感圧部材4の凹陥部40とが連通するように、直接接合によって接合される。感圧部材4と蓋部材5とは、蓋部材5の凹陥部50,51が感圧部材4のダイアフラム42,43を覆い、感圧部材4の貫通孔46と蓋部材5の溝54とが連通し、感圧部材4の貫通孔47と蓋部材5の溝53とが連通するように、直接接合によって接合される。
【0043】
図1と同様に、センサチップ10aとダイアフラムベース7とは、センサチップ10aの貫通孔20,21とダイアフラムベース7の貫通孔70,71とが連通するように、接着剤によって接合される。
ダイアフラムベース7の凹陥部73と貫通孔71とは、前記第1の圧力導入路と連通してダイアフラム75が受けた第1の圧力を前記第1の圧力導入路およびダイアフラム42へと伝達する第3の圧力導入路を構成している。ダイアフラムベース7の凹陥部72と貫通孔70とは、前記第2の圧力導入路と連通してダイアフラム74が受けた第2の圧力を前記第2の圧力導入路およびダイアフラム43へと伝達する第4の圧力導入路を構成している。
【0044】
本実施例のセンサ素子1aの等価回路を図9に示す。図9において、キャパシタC1はバリアダイアフラム75のコンプライアンス、キャパシタC2はバリアダイアフラム74のコンプライアンス、キャパシタC3はダイアフラム42のコンプライアンス、キャパシタC4はダイアフラム43のコンプライアンス、キャパシタC5はダミーダイアフラム34のコンプライアンスをモデル化したものである。
【0045】
抵抗器R1は第1のオイルが封入された凹陥部73と貫通孔71の流路抵抗、抵抗器R2は第2のオイルが封入された凹陥部72と貫通孔70の流路抵抗、抵抗器R3は第1のオイルが封入された貫通孔21,31,47と溝53と凹陥部50の流路抵抗、抵抗器R4は第2のオイルが封入された貫通孔20,30と溝32と凹陥部40の流路抵抗、抵抗器R5は第2のオイルが封入された貫通孔20,30,46と溝54と凹陥部51の流路抵抗、抵抗器R6は第1のオイルが封入された貫通孔21,31と溝35と凹陥部33の流路抵抗である。
【0046】
図5と同様に、図9の等価回路では、オイルの移動量を電荷によってモデル化し、オイルの流速を電流によってモデル化し、圧力を電圧によってモデル化している。図9の等価回路では、オイルの圧縮性は無視している。
図9から分かるように、本実施例のセンサ素子1aでは、溝35と凹陥部33とダミーダイアフラム34とを設けたことにより、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路が対称構造となる。したがって、本実施例では、上記の(A)、(B)の問題を抑制しつつ、差圧と絶対圧とを同時に高感度に計測することができ、センサ素子の小型化が可能となる。
【0047】
なお、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路とを完全な対称構造とするため、キャパシタC1の値(バリアダイアフラム75のコンプライアンス)とキャパシタC2の値(バリアダイアフラム74のコンプライアンス)とを等しくし、キャパシタC4の値(ダイアフラム43のコンプライアンス)とキャパシタC5の値(ダミーダイアフラム34のコンプライアンス)とを等しくすることが望ましい。また、抵抗器R1の値(凹陥部73と貫通孔71の流路抵抗)と抵抗器R2の値(凹陥部72と貫通孔70の流路抵抗)とを等しくし、抵抗器R3の値(貫通孔21,31,47と溝53と凹陥部50の流路抵抗)と抵抗器R4の値(貫通孔20,30と溝32と凹陥部40の流路抵抗)とを等しくし、抵抗器R5の値(貫通孔20,30,46と溝54と凹陥部51の流路抵抗)と抵抗器R6の値(貫通孔21,31と溝35と凹陥部33の流路抵抗)とを等しくすることが望ましい。
【0048】
また、本実施例では、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路が対称構造であるという前提条件の下で、ダイアフラムベース7の凹陥部73と貫通孔71とセンサチップ10aの貫通孔21,31,47と溝35,53と凹陥部33,50とに封入される第1のオイルの量と、ダイアフラムベース7の凹陥部72と貫通孔70とセンサチップ10aの貫通孔20,30,46と溝32,54と凹陥部40,51とに封入される第2のオイルの量とを同じにすることがより望ましい。
【0049】
図1図4に示した構造では、ダイアフラム43の下面の凹陥部41に第1のオイルを導入しないため、第2のオイルよりも第1のオイルの量が少なくなってしまう。このようにオイル量の差があると、オイル量の差に起因して温度による圧力のゼロ点のシフトが大きくなるという問題がある。
【0050】
本実施例では、溝35と凹陥部33とに第1のオイルを導入するため、第1のオイルの量と第2のオイルの量を同一、もしくは第1のオイルの量と第2のオイルの量の差を小さくすることができ、温度変化によるオイル膨張・収縮による特性変化(差圧のゼロ点のシフト)を低減することができる。
【0051】
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図10は本発明の第2の実施例に係るセンサ素子の平面図、図11図10のA−A線断面図、図12図10のB−B線断面図である。本実施例のセンサ素子1bは、ダイアフラムベースと、ダイアフラムベース上に搭載されたセンサチップ10bとから構成される。ダイアフラムベースについては、図1で説明したとおりであるので、記載を省略し、図1の符号を用いて説明する。
【0052】
センサチップ10bは、ガラスからなる平板状の基台2と、基台2と接合されたシリコンからなる平板状の流路部材3と、流路部材3と接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材4と、感圧部材4と接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材5bと、蓋部材5bと接合されたシリコンからなる平板状の対称性調整部材6とから構成される。基台2と流路部材3と感圧部材4については図1図4で説明したとおりである。
【0053】
蓋部材5bの感圧部材4と向かい合う裏面には、感圧部材4と蓋部材5bとが接合されたときにダイアフラム42,43に覆いをする位置に、蓋部材5bの表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の2つの凹陥部50b,51(圧力導入室)が形成されている。また、蓋部材5bには、感圧部材4と蓋部材5bとが接合されたときに貫通孔47と連通する位置に、裏面から表面まで蓋部材5bを貫く圧力導入路となる貫通孔55が形成されている。
【0054】
また、蓋部材5bの裏面には、一端が貫通孔55と連通し、他端が凹陥部50bと連通する圧力導入路となる溝53bが形成されている。さらに、蓋部材5bの裏面には、感圧部材4と蓋部材5bとが接合されたときに一端が貫通孔46と連通し、他端が凹陥部51と連通する圧力導入路となる溝54が形成されている。蓋部材5bの凹陥部50bが形成された領域の表面側に残った部分が、ダイアフラム43と同一のコンプライアンスを有するダミーダイアフラム56(第6のダイアフラム)となる。
【0055】
対称性調整部材6の蓋部材5bと向かい合う裏面には、蓋部材5bと対称性調整部材6とが接合されたときにダミーダイアフラム56に覆いをする位置に、対称性調整部材6の表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の凹陥部60(第2の基準室)が形成されている。また、対称性調整部材6の裏面には、対称性調整部材6の表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の凹陥部61(液量調整室)が形成されている。さらに、対称性調整部材6の裏面には、蓋部材5bと対称性調整部材6とが接合されたときに一端が貫通孔55と連通し、他端が凹陥部61と連通する圧力導入路となる溝62が形成されている。
【0056】
貫通孔21,31,47,55、溝53bおよび凹陥部50bは、ダイアフラム42の第1の主面(上面)およびダミーダイアフラム56の第1の主面(下面)に第1の圧力を伝達する第1の圧力導入路を構成している。貫通孔20,30,46、溝32,54および凹陥部40,51は、ダイアフラム42の第2の主面(下面)およびダイアフラム43の第1の主面(上面)に第2の圧力を伝達する第2の圧力導入路を構成している。
【0057】
感圧部材4と蓋部材5bとは、蓋部材5bの凹陥部50b,51が感圧部材4のダイアフラム42,43を覆い、感圧部材4の貫通孔46と蓋部材5bの溝54とが連通し、感圧部材4の貫通孔47と蓋部材5bの貫通孔55とが連通するように、直接接合によって接合される。蓋部材5bと対称性調整部材6とは、対称性調整部材6の凹陥部60が蓋部材5bのダミーダイアフラム56を覆い、蓋部材5bの貫通孔55と対称性調整部材6の溝62とが連通するように、直接接合によって接合される。凹陥部41(第1の基準室)と同様に、凹陥部60(第2の基準室)は、真空状態で密封されている。
【0058】
図1と同様に、センサチップ10bとダイアフラムベース7とは、センサチップ10bの貫通孔20,21とダイアフラムベース7の貫通孔70,71とが連通するように、接着剤によって接合される。
【0059】
本実施例においても、センサ素子1bの等価回路は図9のようになる。キャパシタC1〜C4は第1の実施例と同じである。キャパシタC5は、ダミーダイアフラム56のコンプライアンスをモデル化したものとなる。抵抗器R1,R2,R4,R5は第1の実施例と同じである。R3,R6は第1のオイルが封入された貫通孔21,31,47,55と溝53bと凹陥部50bの流路抵抗となる。
【0060】
本実施例のセンサ素子1bでは、溝53bと凹陥部50b,60とダミーダイアフラム56とを設けたことにより、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路が対称構造となる。したがって、本実施例では、上記の(A)、(B)の問題を抑制しつつ、差圧と絶対圧とを同時に高感度に計測することができ、センサ素子の小型化が可能となる。
【0061】
第1の実施例と同様に、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路とを完全な対称構造とするため、キャパシタC1の値(バリアダイアフラム75のコンプライアンス)とキャパシタC2の値(バリアダイアフラム74のコンプライアンス)とを等しくし、キャパシタC4の値(ダイアフラム43のコンプライアンス)とキャパシタC5の値(ダミーダイアフラム56のコンプライアンス)とを等しくすることが望ましい。また、抵抗器R1の値(凹陥部73と貫通孔71の流路抵抗)と抵抗器R2の値(凹陥部72と貫通孔70の流路抵抗)とを等しくし、抵抗器R3の値(貫通孔21,31,47,55と溝53bと凹陥部50bの流路抵抗)と抵抗器R4の値(貫通孔20,30と溝32と凹陥部40の流路抵抗)とを等しくし、抵抗器R5の値(貫通孔20,30,46と溝54と凹陥部51の流路抵抗)と抵抗器R6の値(貫通孔21,31,47,55と溝53bと凹陥部50bの流路抵抗)とを等しくすることが望ましい。
【0062】
また、本実施例では、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路が対称構造であるという前提条件の下で、ダイアフラムベース7の凹陥部73と貫通孔71とセンサチップ10bの貫通孔21,31,47,55と溝53b,62と凹陥部50b,61とに封入される第1のオイルの量と、ダイアフラムベース7の凹陥部72と貫通孔70とセンサチップ10bの貫通孔20,30,46と溝32,54と凹陥部40,51とに封入される第2のオイルの量とを同じにすることがより望ましい。
【0063】
本実施例では、溝62と凹陥部61とに第1のオイルを導入するため、第1のオイルの量と第2のオイルの量を同一、もしくは第1のオイルの量と第2のオイルの量の差を小さくすることができ、温度変化によるオイル膨張・収縮による特性変化(差圧のゼロ点のシフト)を低減することができる。
【0064】
[第3の実施例]
次に、本発明の第3の実施例について説明する。図13は本発明の第3の実施例に係るセンサ素子の平面図、図14図13のA−A線断面図、図15図13のB−B線断面図である。本実施例のセンサ素子1cは、ダイアフラムベースと、ダイアフラムベース上に搭載されたセンサチップ10cとから構成される。ダイアフラムベースについては、図1で説明したとおりであるので、記載を省略し、図1の符号を用いて説明する。
【0065】
センサチップ10cは、ガラスからなる平板状の基台2と、基台2と接合されたシリコンからなる平板状の流路部材3と、流路部材3と接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材4と、感圧部材4と接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材5cと、蓋部材5cと接合されたシリコンからなる平板状の対称性調整部材6cとから構成される。基台2と流路部材3と感圧部材4については図1図4で説明したとおりである。
【0066】
蓋部材5cの感圧部材4と向かい合う裏面には、感圧部材4と蓋部材5cとが接合されたときにダイアフラム42,43に覆いをする位置に、蓋部材5cの表面側が残るように裏面側を除去して形成された正方形の2つの凹陥部50c,51(圧力導入室)が形成されている。また、蓋部材5cの裏面には、感圧部材4と蓋部材5cとが接合されたときに一端が貫通孔47と連通し、他端が凹陥部50cと連通する圧力導入路となる溝53cが形成されている。さらに、蓋部材5cの裏面には、感圧部材4と蓋部材5cとが接合されたときに一端が貫通孔46と連通し、他端が凹陥部51と連通する圧力導入路となる溝54が形成されている。蓋部材5cの凹陥部50cが形成された領域の表面側に残った部分が、ダイアフラム43と同一のコンプライアンスを有するダミーダイアフラム56となる。
【0067】
対称性調整部材6cの蓋部材5cと向かい合う裏面には、第2の実施例と同様に凹陥部60が形成されている。
貫通孔21,31,47、溝53cおよび凹陥部50cは、ダイアフラム42の第1の主面(上面)およびダミーダイアフラム56の第1の主面(下面)に第1の圧力を伝達する第1の圧力導入路を構成している。貫通孔20,30,46、溝32,54および凹陥部40,51は、ダイアフラム42の第2の主面(下面)およびダイアフラム43の第1の主面(上面)に第2の圧力を伝達する第2の圧力導入路を構成している。
【0068】
感圧部材4と蓋部材5cとは、蓋部材5cの凹陥部50c,51が感圧部材4のダイアフラム42,43を覆い、感圧部材4の貫通孔46と蓋部材5cの溝54とが連通し、感圧部材4の貫通孔47と蓋部材5cの溝53cとが連通するように、直接接合によって接合される。蓋部材5cと対称性調整部材6cとは、対称性調整部材6cの凹陥部60が蓋部材5cのダミーダイアフラム56を覆うように、直接接合によって接合される。
【0069】
図1と同様に、センサチップ10cとダイアフラムベース7とは、センサチップ10cの貫通孔20,21とダイアフラムベース7の貫通孔70,71とが連通するように、接着剤によって接合される。
【0070】
本実施例においても、センサ素子1cの等価回路は図9のようになる。キャパシタC1〜C4は第1の実施例と同じである。キャパシタC5は、ダミーダイアフラム56のコンプライアンスをモデル化したものとなる。抵抗器R1,R2,R4,R5は第1の実施例と同じである。R3,R6は第1のオイルが封入された貫通孔21,31,47と溝53cと凹陥部50cの流路抵抗となる。
【0071】
本実施例のセンサ素子1cでは、溝53cと凹陥部50c,60とダミーダイアフラム56とを設けたことにより、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路が対称構造となる。したがって、本実施例では、上記の(A)、(B)の問題を抑制しつつ、差圧と絶対圧とを同時に高感度に計測することができ、センサ素子の小型化が可能となる。
【0072】
第1の実施例と同様に、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路とを完全な対称構造とするため、キャパシタC1の値(バリアダイアフラム75のコンプライアンス)とキャパシタC2の値(バリアダイアフラム74のコンプライアンス)とを等しくし、キャパシタC4の値(ダイアフラム43のコンプライアンス)とキャパシタC5の値(ダミーダイアフラム56のコンプライアンス)とを等しくすることが望ましい。また、抵抗器R1の値(凹陥部73と貫通孔71の流路抵抗)と抵抗器R2の値(凹陥部72と貫通孔70の流路抵抗)とを等しくし、抵抗器R3の値(貫通孔21,31,47と溝53cと凹陥部50cの流路抵抗)と抵抗器R4の値(貫通孔20,30と溝32と凹陥部40の流路抵抗)とを等しくし、抵抗器R5の値(貫通孔20,30,46と溝54と凹陥部51の流路抵抗)と抵抗器R6の値(貫通孔21,31,47と溝53cと凹陥部50cの流路抵抗)とを等しくすることが望ましい。
【0073】
また、本実施例では、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路が対称構造であるという前提条件の下で、ダイアフラムベース7の凹陥部73と貫通孔71とセンサチップ10cの貫通孔21,31,47と溝53cと凹陥部50cとに封入される第1のオイルの量と、ダイアフラムベース7の凹陥部72と貫通孔70とセンサチップ10cの貫通孔20,30,46と溝32,54と凹陥部40,51とに封入される第2のオイルの量とを同じにすることがより望ましい。
【0074】
ただし、本実施例では、第2の実施例と異なり、対称性調整部材6cに溝62と凹陥部61とが無いため、第1のオイルの量と第2のオイルの量を同一にすることは難しい。
そこで、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路が対称構造であるという前提条件が成立するのであれば、図16図17に示すように、基台2の貫通孔21の径を貫通孔20の径よりも大きくして、第1のオイルの量と第2のオイルの量が同一になるか、もしくは第1のオイルの量と第2のオイルの量の差が小さくなるようにしてもよい。図17図16のB−B線断面図である。
【0075】
また、第1の圧力の伝達経路と第2の圧力の伝達経路が対称構造であるという前提条件が成立するのであれば、図18に示すように、蓋部材5cの凹陥部50cの容積を大きくして、第1のオイルの量と第2のオイルの量が同一になるか、もしくは第1のオイルの量と第2のオイルの量の差が小さくなるようにしてもよい。
【0076】
図16図18の構造は、第1、第2の実施例に適用することも可能である。図18の構造を第1、第2の実施例に適用する場合には、第1のオイルの量と第2のオイルの量が同一になるか、もしくは第1のオイルの量と第2のオイルの量の差が小さくなるように、凹陥部50,50bの容積を大きくすればよい。
【0077】
[第4の実施例]
第2、第3の実施例では、第2の圧力のゲージ圧を計測することも可能である。図19は本発明の第4の実施例に係るセンサ素子の平面図、図20図19のA−A線断面図、図21図19のB−B線断面図である。本実施例のセンサ素子1dは、ダイアフラムベースと、ダイアフラムベース上に搭載されたセンサチップ10dとから構成される。ダイアフラムベースについては、図1で説明したとおりであるので、記載を省略し、図1の符号を用いて説明する。
【0078】
センサチップ10dは、ガラスからなる平板状の基台2と、基台2と接合されたシリコンからなる平板状の流路部材3と、流路部材3と接合されたシリコンからなる平板状の感圧部材4dと、感圧部材4dと接合されたシリコンからなる平板状の蓋部材5bと、蓋部材5bと接合されたシリコンからなる平板状の対称性調整部材6とから構成される。基台2と流路部材3と蓋部材5bと対称性調整部材6については第2の実施例で説明したとおりである。
【0079】
感圧部材4dは、第2の実施例の感圧部材4において、一端が凹陥部41と連通し、他端が感圧部材4dの側面に開口する圧力導入路となる溝48を裏面に形成したものである。本実施例では、ダイアフラム43に形成された歪みゲージ45−1〜45−4は、外部の回路と共にゲージ圧計測用のホイートストンブリッジ回路を構成する。ゲージ圧計測用のホイートストンブリッジ回路により、ダイアフラム43の上面に印加される第2の圧力のゲージ圧を計測することができる。その他の構成は第2の実施例で説明したとおりである。
【0080】
こうして、本実施例では、差圧とゲージ圧を同時に高精度に計測することができる。本実施例では、ゲージ圧計測用の構造を第2の実施例に適用したが、第3の実施例に適用してもよいことは言うまでもない。
【0081】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明した。しかしながら、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、様々な変形例に想到しうることは明らかであり、これらの変形例についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0082】
1a〜1d…センサ素子、2…基台、3,3a…流路部材、4…感圧部材、5,5b,5c…蓋部材、6,6c…対称性調整部材、7…ダイアフラムベース、10a〜10d…センサチップ、20,21,30,31,46,47,55,70,71…貫通孔、32,35,48,53,53b,53c,54,62…溝、33,40,41,50,50b,50c,51,60,61,72,73…凹陥部、34,56…ダミーダイアフラム、42,43…ダイアフラム、44−1〜44−4,45−1〜45−4…歪みゲージ、74,75…バリアダイアフラム。
図1
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