特開2021-61113(P2021-61113A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2021-61113蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス、二次電池、リチウムイオンキャパシタ、空気電池及び全固体電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-61113(P2021-61113A)
(43)【公開日】2021年4月15日
(54)【発明の名称】蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス、二次電池、リチウムイオンキャパシタ、空気電池及び全固体電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20210319BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20210319BHJP
   H01G 11/50 20130101ALI20210319BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20210319BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20210319BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20210319BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20210319BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20210319BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20210319BHJP
   H01M 12/08 20060101ALI20210319BHJP
   H01M 10/054 20100101ALN20210319BHJP
【FI】
   H01M4/13
   H01G11/06
   H01G11/50
   H01G11/86
   H01M4/134
   H01M10/0566
   H01M10/052
   H01M10/0562
   H01M10/0565
   H01M12/08 K
   H01M10/054
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-183202(P2019-183202)
(22)【出願日】2019年10月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今野 真
(72)【発明者】
【氏名】東條 暁典
【テーマコード(参考)】
5E078
5H029
5H032
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA11
5E078AB03
5E078AB06
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM12
5H029AM16
5H029BJ04
5H029BJ13
5H029DJ06
5H029EJ05
5H029EJ08
5H029EJ12
5H032AA02
5H032AS02
5H032AS05
5H032AS11
5H032CC01
5H032CC11
5H032CC16
5H032CC17
5H032EE01
5H032EE04
5H050AA15
5H050AA19
5H050BA15
5H050BA16
5H050BA17
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA04
5H050DA09
5H050EA12
5H050EA14
5H050EA23
5H050FA04
(57)【要約】
【課題】蓄電デバイスの製造や、蓄電デバイス用電極の保管又は運搬の際に、空気中で取り扱ったとしても、空気中の水分とリチウムやナトリウムなどのイオン化傾向の大きな金属とが反応せず、安全な蓄電デバイス用電極及びこれを用いた蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】蓄電デバイス用電極10は、金属イオン供給源となる電極層30と、電極層30に接して配置され、電極層30に電気を給電する集電体20と、電極層30を外部から隔離する外装体40と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属イオン供給源となる電極層と、
前記電極層に接して配置され、前記電極層に電気を給電する集電体と、
前記電極層を外部から隔離する外装体と、
を備えることを特徴とする蓄電デバイス用電極。
【請求項2】
前記外装体は、金属イオンを通過する固体電解質からなる、請求項1に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項3】
前記固体電解質は、セラミック系固体電解質及び高分子系固体電解質の少なくとも一方からなる、請求項2に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項4】
前記集電体は板状であって、前記電極層は、前記集電体の片面又は両面に存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項5】
前記外装体は、前記集電体の一部又は全体を前記外部から隔離するものであり、
前記電極層は、前記外装体の内部に収容されるものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項6】
前記金属イオンはリチウムイオンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項7】
前記金属イオン供給源は、金属リチウム及びリチウムイオンを吸蔵する活物質の少なくとも一方からなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項8】
正極と、
負極と、
前記正極又は前記負極に金属イオンを供給する金属イオン供給極と、
前記正極、前記負極及び前記金属イオン供給極をそれぞれ分離するセパレータと、
前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記金属イオン供給極を収容する蓄電パッケージと、
前記蓄電パッケージに封入された電解液と、備える蓄電デバイスであって、
前記金属イオン供給極は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極であることを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項9】
正極と、
負極と、
前記正極又は前記負極に金属イオンを供給する金属イオン供給極と、
前記正極、前記負極及び前記金属イオン供給極をそれぞれ分離するセパレータと、
前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記金属イオン供給極を収容する蓄電パッケージと、
前記蓄電パッケージに封入された電解液と、備える二次電池であって、
前記金属イオン供給極は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極であることを特徴とする二次電池。
【請求項10】
正極と、
負極と、
前記正極又は前記負極に金属イオンを供給する金属イオン供給極と、
前記正極、前記負極及び前記金属イオン供給極をそれぞれ分離するセパレータと、
前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記金属イオン供給極を収容する蓄電パッケージと、
前記蓄電パッケージに封入された電解液と、備えるリチウムイオンキャパシタであって、
前記金属イオン供給極は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極であることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
【請求項11】
正極と、
負極と、
前記正極及び前記負極の間に配置される固体電解質と、
前記正極、前記負極及び前記固体電解質を収容する蓄電パッケージと、
前記蓄電パッケージの正極側に封入された水系電解液と、を備える空気電池であって、
前記負極は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極であることを特徴とする空気電池。
【請求項12】
正極と、
負極と、
前記正極及び前記負極を分離し、かつ、これらと接する固体電解質と、
前記正極、前記負極及び前記固体電解質を収容する蓄電パッケージと、備える全固体電池であって、
前記負極は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極であることを特徴とする全固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイス用電極、並びに前記蓄電デバイス用電極を備える蓄電デバイス、二次電池、リチウムイオンキャパシタ、空気電池及び全固体電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム等のイオン化傾向の大きな金属を用いた蓄電デバイスは、大容量のエネルギーを蓄えられるため、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両用駆動源をはじめとして、多くの分野で利用されている。
【0003】
このような蓄電デバイスの製造方法として、特許文献1には、貫通孔を有する正極集電体上に形成された、アニオンを挿入、脱離し得る層状構造を有する炭素質材料を正極活物質として含む正極と、貫通孔を有する負極集電体上に形成された、リチウムイオンを挿入、脱離し得る層状構造を有する炭素質材料を負極活物質として含む負極と、正極や負極にリチウムイオンを供給するリチウムイオン供給源と、リチウム塩を含む非水電解液と、を有する蓄電デバイスの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−211950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された製造方法によれば、蓄電デバイスのセル内に、セパレータを介して正極と、負極と、リチウムイオン供給源とを配置すると共に、非水電解液を注入する蓄電デバイス用セル製作工程と、正極とリチウムイオン供給源との間で充放電を行う充放電工程と、負極とリチウムイオン供給源との間で電気化学的接触を行い、負極にリチウムイオンを吸蔵させる吸蔵工程と、を含んでいる。
【0006】
ここでリチウムやナトリウムなどのイオン化傾向の大きな金属は、水と反応すると酸化が起こるという問題がある。特許文献1のリチウムイオン供給源は、金属リチウムが圧着又は貼り合わされた銅箔やニッケル箔等の金属箔である。そのため、金属リチウムが外部へ露出しており、蓄電デバイスを製造する際や、蓄電デバイス用電極の保管又は運搬の間に、空気中の水分と接触するおそれがある。
【0007】
本発明では、上記課題に鑑み、蓄電デバイスの製造や、蓄電デバイス用電極の保管又は運搬の際に、空気中で取り扱ったとしても、空気中の水分と活性な金属や活物質とが反応せず、安全な蓄電デバイス用電極及びこれを用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係る蓄電デバイス用電極は、下記(1)に示す構成を有する。
【0009】
(1)金属イオン供給源となる電極層と、
前記電極層に接して配置され、前記電極層に電気を給電する集電体と、
前記電極層を外部から隔離する外装体と、
を備えることを特徴とする蓄電デバイス用電極。
【0010】
本発明に係る蓄電デバイス用電極は、外装体が金属イオン供給源となる電極層を外部から隔離しているため、電極層が外部と接触することがなく、空気中の水分と活性な金属、活物質とが反応することがない。このため、蓄電デバイスの製造や、蓄電デバイス用電極の保管又は運搬の際に、空気中で取り扱ったとしても安全であり、製造、保管又は運搬時の煩雑さを改善することができる。なお、金属イオン供給源となる電極層は、活性な金属又は金属イオンがドープされた活物質からなる。
【0011】
また、本発明に係る蓄電デバイス用電極は、下記(2)〜(7)の態様であることが好ましい。
【0012】
(2)前記外装体は、金属イオンを通過する固体電解質からなる、上記(1)に記載の蓄電デバイス用電極。
【0013】
外装体が金属イオンを通過することにより、金属イオン供給源となる電極層から正極又は負極に金属イオンを供給(ドープ)することができる。
【0014】
(3)前記固体電解質は、セラミック系固体電解質及び高分子系固体電解質の少なくとも一方からなる、上記(2)に記載の蓄電デバイス用電極。
【0015】
セラミック系固体電解質又は高分子系固体電解質は、水を全く、又は殆ど通過しないため、外装体として特に好適である。
【0016】
(4)前記集電体は板状であって、前記電極層は、前記集電体の片面又は両面に存在する、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用電極。
【0017】
電極層は外装体で外部から隔離されていれば、板状の集電体の片面のみ、又は両面に存在していてもよく、電極の構造が多様になる。
【0018】
(5)前記外装体は、前記集電体の一部又は全体を前記外部から隔離するものであり、
前記電極層は、前記外装体の内部に収容されるものである、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用電極。
【0019】
電極層は外装体の内部に収容されて外部から隔離されていればよく、電極の構造が多様になる。
【0020】
(6)前記金属イオンはリチウムイオンである、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用電極。
【0021】
リチウムイオンは、イオン化傾向が大きく、大きなエネルギーを蓄えるのに適した金属イオンである。
【0022】
(7)前記金属イオン供給源は、金属リチウム及びリチウムイオンを吸蔵する活物質の少なくとも一方からなる、上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用電極。
【0023】
金属イオン供給源が、金属リチウム及びリチウムイオンを吸蔵する活物質の少なくとも一方であるため、電極層は、イオン化傾向が大きく、大きなエネルギーを蓄えるのに適したリチウムイオンを供給することができる。
【0024】
また、上記課題を解決するための本発明に係る蓄電デバイスは、下記(8)に示す構成を有する。
【0025】
(8)正極と、
負極と、
前記正極又は前記負極に金属イオンを供給する金属イオン供給極と、
前記正極、前記負極及び前記金属イオン供給極をそれぞれ分離するセパレータと、
前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記金属イオン供給極を収容する蓄電パッケージと、
前記蓄電パッケージに封入された電解液と、備える蓄電デバイスであって、
前記金属イオン供給極は、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用電極であることを特徴とする蓄電デバイス。
【0026】
上記したように、外装体により電極層が外部と接触することがない蓄電デバイス用電極を備えることにより、本発明に係る蓄電デバイスは、その製造の際に、空気中で取り扱ったとしても安全であり、製造時の煩雑さを改善することができる。
【0027】
また、上記課題を解決するための本発明に係る二次電池は、下記(9)に示す構成を有する。
【0028】
(9)正極と、
負極と、
前記正極又は前記負極に金属イオンを供給する金属イオン供給極と、
前記正極、前記負極及び前記金属イオン供給極をそれぞれ分離するセパレータと、
前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記金属イオン供給極を収容する蓄電パッケージと、
前記蓄電パッケージに封入された電解液と、備える二次電池であって、
前記金属イオン供給極は、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用電極であることを特徴とする二次電池。
【0029】
上記したように、外装体により電極層が外部と接触することがない蓄電デバイス用電極を備えることにより、本発明に係る二次電池は、その製造の際に、空気中で取り扱ったとしても安全であり、製造時の煩雑さを改善することができる。
【0030】
また、上記課題を解決するための本発明に係るリチウムイオンキャパシタは、下記(10)に示す構成を有する。
【0031】
(10)正極と、
負極と、
前記正極又は前記負極に金属イオンを供給する金属イオン供給極と、
前記正極、前記負極及び前記金属イオン供給極をそれぞれ分離するセパレータと、
前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記金属イオン供給極を収容する蓄電パッケージと、
前記蓄電パッケージに封入された電解液と、備えるリチウムイオンキャパシタであって、
前記金属イオン供給極は、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用電極であることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
【0032】
上記したように、外装体により電極層が外部と接触することがない蓄電デバイス用電極を備えることにより、本発明に係るリチウムイオンキャパシタは、その製造の際に、空気中で取り扱ったとしても安全であり、製造時の煩雑さを改善することができる。
【0033】
また、上記課題を解決するための本発明に係る空気電池は、下記(11)に示す構成を有する。
【0034】
(11)正極と、
負極と、
前記正極及び前記負極の間に配置される固体電解質と、
前記正極、前記負極及び前記固体電解質を収容する蓄電パッケージと、
前記蓄電パッケージの正極側に封入された水系電解液と、を備える空気電池であって、
前記負極は、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用電極であることを特徴とする空気電池。
【0035】
上記蓄電デバイスと同様に、外装体により電極層が外部と接触することがない蓄電デバイス用電極を備えることにより、本発明に係る空気電池は、その製造の際に、空気中で取り扱ったとしても安全であり、製造時の煩雑さを改善することができる。
【0036】
また、上記課題を解決するための本発明に係る全固体電池は、下記(12)に示す構成を有する。
【0037】
(12)正極と、
負極と、
前記正極及び前記負極を分離し、かつ、これらと接する固体電解質と、
前記正極、前記負極及び前記固体電解質を収容する蓄電パッケージと、備える全固体電池であって、
前記負極は、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用電極であることを特徴とする全固体電池。
【0038】
上記蓄電デバイスと同様に、外装体により電極層が外部と接触することがない蓄電デバイス用電極を備えることにより、本発明に係る全固体電池は、その製造の際に、空気中で取り扱ったとしても安全であり、製造時の煩雑さを改善することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る蓄電デバイス用電極は、外装体が金属イオン供給源となる電極層を外部から隔離しているため、電極層が外部と接触することがなく、空気中の水分と活性な金属、活物質とが反応することがない。このため、蓄電デバイスの製造や、蓄電デバイス用電極の保管又は運搬の際に、空気中で取り扱ったとしても安全であり、製造、保管又は運搬時の煩雑さを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、本発明に係る蓄電デバイス用電極の一例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明に係る蓄電デバイス用電極の他の例を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本発明に係る蓄電デバイスの一例を模式的に示す断面図である。
図4図4は、本発明に係る空気電池の一例を模式的に示す断面図である。
図5図5は、本発明に係る全固体電池の一例を模式的に示す断面図である。 [発明の詳細な説明] 以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は下記に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0041】
<蓄電デバイス用電極>
図1は、本発明に係る蓄電デバイス用電極の一例を模式的に示す断面図である。図示されるように、蓄電デバイス用電極10は、集電体20の片面の一部に、金属イオン供給源となる電極層30を備え、更に電極層30を包囲する外装体40を備える。
【0042】
また、図示は省略するが、電極層30は集電体20の両面に形成されてもよく、両面に形成することにより集電体20の反りが発生することを防止することができる。その際、集電体20の両側の電極層30は、同じ厚さ及び同じ面積にして同等にするのが好ましい。
【0043】
電極層30には、集電体20を通じて電気が給電される。
【0044】
また、蓄電デバイス用電極10は、図2に示すように、集電体20を外装体40で包囲し、外装体40の内部に電極層30を収容する構成とすることもできる。
【0045】
集電体20の材料には制限はないが、銅、ステンレス鋼、貴金属等が挙げられる。これらの中では、銅又はステンレス鋼であることが好ましい。
【0046】
銅は、入手しやすい上に充分な導電性を有する。そのため、集電体が銅からなると、充分な導電性を確保することができる。
【0047】
ステンレス鋼は、入手しやすい上に腐食耐性が高く、高い弾性率を有する。そのため、集電体がステンレス鋼からなると、集電体は腐食に強く、反りやシワが発生しにくい。また、ステンレス鋼は、電気抵抗率が高い。そのため、集電体の電気抵抗率も高くなる。しかし、正極及び/又は負極にリチウムイオンなどの金属イオンを供給する際に集電体に大電流を流す必要はないため、集電体の電気抵抗率が少し高くても、充分にドープすることができる。
【0048】
また、ステンレス鋼の中でもオーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。マルテンサイト系ステンレス鋼は硬度が高く、集電体がマルテンサイト系ステンレス鋼を含有していると、集電体を固く高強度にすることができる。そのため、集電体に、反りやシワが発生することを防止しやすくなる。
【0049】
また、集電体20には、必要に応じて貫通孔を形成してもよい。貫通孔を形成する方法は、特に限定されず、エッチング法、パンチング法、レーザー加工法等を挙げることができる。これらの中ではエッチング法が好ましく、エッチング法で貫通孔を形成することにより多くの貫通孔を同時に形成しテーパ状の貫通孔を形成することができる。
【0050】
なお、集電体20の一般的な厚さは、5〜30μmである。
【0051】
電極層30は、金属リチウム、又は、リチウムイオンを吸蔵する活物質の少なくとも一方からなる。なお、リチウムイオンを吸蔵する活物質とは、リチウムイオンがドープされた状態であるともいう。金属イオン供給源が、金属リチウム及びリチウムイオンを吸蔵する活物質の少なくとも一方であるため、電極層30は、イオン化傾向が大きく、大きなエネルギーを蓄えるのに適したリチウムイオンを供給することができる。金属イオンと合金化したり、インターカレートすることにより金属イオンを吸蔵していることが好ましく、活物質と、活物質同士を結着するとともに、集電体20との密着性を高めるバインダーとを有することが好ましい。
【0052】
活物質としては、黒鉛等の炭素や、シリコンを挙げることができる。特に、シリコンが好ましい。シリコンは、金属イオンと合金化することにより金属イオンを吸蔵することができる。そのため、炭素のように金属イオンをインターカレーションにより吸蔵する物質に比べ、多くの金属イオンを吸蔵することができる。
【0053】
金属イオンは、特に限定されないが、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のイオンであることが好ましく、リチウムイオン又はナトリウムイオンであることがより好ましい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、イオン化傾向が大きい。すなわち、酸化還元電位が低い。そのため、活物質がアルカリ金属及びアルカリ土類金属を吸蔵する場合、大きなエネルギーを蓄えることができる。特に、リチウムイオンは、イオン化傾向が大きく、大きなエネルギーを蓄えるのに適した金属イオンである。
【0054】
バインダーも制限されることはないが、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を挙げることができる。これらの中では、ポリイミド樹脂が好ましい。ポリイミド樹脂は、耐熱性があり、強度がある化合物である。そのため、活物質がポリイミド樹脂からなるバインダーで結合されていると、充放電により活物質の体積が変化したとしても、集電体20から剥離しにくくすることができる。
【0055】
なお、バインダーは、炭素やシリコンのような活物質との重量割合で、活物質:バインダー=70:30〜90:10であることが好ましい。
【0056】
また、電極層30には、導電性を向上させるために導電助剤が配合されてもよい。導電助剤は、特に限定されないが、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。これらの中では、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックは、少量で導電性を確保することができる。また、カーボンブラックの平均粒子径は、3〜500nmが好ましい。
【0057】
なお、バインダーに対する導電助剤の重量割合は、20〜50質量%であることが好ましい。
【0058】
続いて、外装体40は、電極層30に含まれる活性な金属や活物質が外部と接触することを防ぐ作用を有する。上記したように、リチウムが空気中の水分と反応することを防ぐことができる。
【0059】
また、外装体40は、リチウムイオン等の金属イオンを通過し、水分子を通過しない固体電解質であることが好ましい。外装体40が金属イオンを通過することにより、金属イオン供給源となる電極層30から正極又は負極に金属イオンを供給(ドープ)することができるとともに、水分子を通過しないことにより、空気と接触しても空気中の水分と反応することを抑制できる。
【0060】
好ましい固体電解質としては、セラミック系固体電解質又は高分子系固体電解質を挙げることができる。セラミック系固体電解質又は高分子系固体電解質は、水を全く、又は殆ど透過しないため、外装体として特に好適である。水を全く遮断できることから、特にセラミック系固体電解質が好ましい。
【0061】
セラミック系固体電解質としては、特に限定されないが、8LiO・67LiS・25P、LiS、P、LiS‐SiS、LiI‐LiS‐SiS、LiI‐LiS‐P、LiI‐LiS‐B等の硫化物系非晶質固体電解質や、LiO‐B‐P、LiO‐SiO等の酸化物系非晶質固体電解質や、Li1.3Al0.3Ti0.7(PO、Li1+x+yTi2‐xSi3‐y12(Aは、Al又はGa、0≦x≦0.4、0<y≦0.6)等の結晶質酸化物を挙げることができる。
【0062】
高分子系固体電解質としては、特に限定されないが、ポリエチレンオキシド系やポリプロピレンオキシド系、ポリスルホン系、ポリ塩化ビニリデン系、N‐アルコキシメチルナイロン系、ピリノン・ピロール系、ポリホスファゼン系等を挙げることができる。
【0063】
上記した本発明の蓄電デバイス用電極10を製造するには、例えば下記の製造方法を挙げることができる。
【0064】
まず、活物質、バインダー及び導電助剤を含有するスラリーを調製しておき、集電体20に塗布する。このスラリーは、塗工性の観点から、粘度が1〜10Pa・sであることが好ましい。なお、スラリーの粘度はB型粘度計を用い、1〜10rpmとなる条件で測定する。また、必要に応じて増粘剤等により粘度を調整してもよい。
【0065】
次いで、スラリーを集電体20の片面又は両面に塗布する。塗布するスラリーの量は、特に限定されないが、加熱乾燥後に0.1〜10mg/cmであることが好ましい。
【0066】
次いで、スラリーが塗布された集電体20をプレス加工する。プレス加工の圧力は、特に限定されないが、塗布液が平坦になるように押さえることができれば充分である。
【0067】
次いで、スラリーが塗布された集電体20を加熱し、スラリーに含まれるバインダーを硬化させる。加熱条件は、使用するバインダーの種類に応じて決定することができるが、例えばバインダーがポリイミド樹脂の場合には、加熱温度は250〜350℃であることが好ましい。また、加熱時の雰囲気は、窒素ガス雰囲気等の不活性雰囲気であることが好ましい。
【0068】
このようにして電極層30を形成した後、電極層30を包囲するように固体電解質からなる外装体40を形成する。固体電解質として、セラミック系固体電解質又は高分子系固体電解質を挙げることができるが、それぞれ公知の形成方法に従うことができる。
【0069】
なお、本発明の蓄電デバイス用電極10の外装体40の形態は、外装体40が電極層30を外部と隔離することができればよい。例えば、積層状、シート状、容器状、袋状である。外装体40と、集電体20及び電極層30のリチウムを伝達する良好な界面形成は、積層、接着、加圧、加熱、焼結から選択することができる。
また、外装体40を形成する前後で、電極層30の活物質に金属イオンをドープする。ドープは、電解液を介してイオン伝導させてドープしてもよいし、プレス、加熱などの公知の方法でドープすることができる。
【0070】
また、活物質を使用することなく、リチウム、ナトリウムなどの活性な金属を直接金属イオン供給源として使用する場合には、活物質を集電体20に形成する代わりに、集電体20に活性な金属を圧着することで集電体20の表面に電極層30を形成することができる。
【0071】
<蓄電デバイス>
図3は、本発明に係る蓄電デバイスの一例を模式的に示す断面図である。図示されるように、蓄電デバイス100は、正極101と、負極102と、正極101又は負極102に金属イオンを供給する金属イオン供給極として機能する蓄電デバイス用電極10と、正極101、負極102及び金属イオン供給極(蓄電デバイス用電極10)をそれぞれ分離するセパレータ103と、正極101、負極102、セパレータ103及び金属イオン供給極(蓄電デバイス用電極10)を収容する蓄電パッケージ104と、蓄電パッケージに封入された電解液105と備える。
【0072】
蓄電デバイス用電極10は、正極101や負極102への金属イオンの供給源(ドープ源)として機能し、蓄電デバイスを長期にわたり安定に作動させることができる。なお、上記蓄電デバイス用電極10を、正極101や負極102への金属イオンの供給源(ドープ源)として機能させるための具体的方法については、例えば、特開2018−22608号に記載の方法を採用することができる。
【0073】
上記蓄電デバイス100として、例えばリチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタを挙げることができるが、これらに限定されず、また、蓄電デバイス用電極10以外の構成部材は、いずれも公知のもので構わない。その際、蓄電デバイス用電極10において、電極層30が外装体40により外部から遮断されているため、リチウムが空気中の水分と反応することがなく、上記蓄電デバイス100は、その製造の際に、空気中で取り扱ったとしても安全であり、製造時の煩雑さを改善することができる。
【0074】
<空気電池>
図4は、本発明に係る空気電池の一例を模式的に示す模式図である。図示されるように、空気電池200は、正極201と、上記蓄電デバイス用電極10からなる負極と、正極201及び負極(蓄電デバイス用電極10)の間に配置される固体電解質203と、正極201、負極(蓄電デバイス用電極10)及び固体電解質203を収容する蓄電パッケージ204と、蓄電パッケージ204の正極側に封入された水系電解液205aを備えている。また、正極201の一部は蓄電パッケージ204から露出しており、更に、蓄電パッケージ204の負極側には、有機電解液205bが封入されている。
【0075】
負極となる蓄電デバイス用電極10において、電極層30には金属イオンがドープされている。金属イオンとしてはリチウムイオンが好ましいが、電極層30が外装体40により外部から遮断されているため、上記空気電池200は、その製造の際に、空気中で取り扱ったとしても安全であり、製造時の煩雑さを改善することができる。
【0076】
なお、蓄電デバイス用電極10以外の構成部材は、いずれも公知のもので構わない。また、上記空気電池の一例は、正極201と負極(蓄電デバイス用電極10)の間に固体電解質203が配置されるとともに、蓄電パッケージ204の正極側には水系電解液205aが封入され、かつ、蓄電パッケージ204の負極側には有機電解液205bが封入される構成であるが、例えば、特開2018−22608号の図7で示すような、正極と負極をセパレータで隔てるとともに、蓄電パッケージ全体に有機電解液を収容するような構成を採用してもよい。
【0077】
また、空気電池200は、放電とともに、負極側では金属イオン供給源の金属イオンが減少し、正極側では水系電解液の金属イオン濃度が上昇する。このため、負極となる蓄電デバイス用電極10を交換し、水系電解液を入れ替えることにより充電に代えることができる。このため、負極を本発明の蓄電デバイス用電極10とすることにより、安全に扱うことができる。
【0078】
<全固体電池>
図5は、本発明に係る全固体電池の一例を模式的に示す模式図である。図示されるように、全固体電池300は、正極301と、負極である蓄電デバイス用電極10と、正極301及び負極(蓄電デバイス用電極10)を分離し、かつ、これらと接する固体電解質303と、正極301、負極(蓄電デバイス用電極10)及び固体電解質303を収容する蓄電パッケージ304とを備える。
【0079】
負極となる蓄電デバイス用電極10において、電極層30には金属イオンがドープされている。金属イオンとしてはリチウムイオンが好ましいが、電極層30が外装体40により外部から遮断されているため、上記全固体電池300は、その製造の際に、空気中で取り扱ったとしても安全であり、製造時の煩雑さを改善することができる。
【0080】
なお、蓄電デバイス用電極10以外の構成部材は、いずれも公知のもので構わない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る蓄電デバイス用電極は、電極層が水を透過しない外装体で覆われている。そのため、蓄電デバイス用電極の製造や、蓄電デバイスの保管又は運搬の際に、空気中で取り扱ったとしても安全であり、製造、保管又は運搬時の煩雑さを改善することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 蓄電デバイス用電極
20 集電体
30 電極層
40 外装体
100 蓄電デバイス
101 正極
102 負極
103 セパレータ
104 蓄電パッケージ
105 電解液
200 空気電池
201 正極
203 固体電解質
204 蓄電パッケージ
205a 水系電解液
205b 有機電解液
300 全固体電池
301 正極
303 固体電解質
304 蓄電パッケージ
図1
図2
図3
図4
図5