特開2021-61295(P2021-61295A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イビデン株式会社の特許一覧
特開2021-61295配線基板、及び、配線基板における懸念配線の検出方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-61295(P2021-61295A)
(43)【公開日】2021年4月15日
(54)【発明の名称】配線基板、及び、配線基板における懸念配線の検出方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20210319BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20210319BHJP
【FI】
   H05K3/46 Z
   H05K3/46 Q
   H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-183763(P2019-183763)
(22)【出願日】2019年10月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太長根 修
(72)【発明者】
【氏名】吉川 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】保科 和成
(72)【発明者】
【氏名】川村 洋一郎
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA06
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA35
5E316AA43
5E316BB02
5E316BB11
5E316BB15
5E316CC08
5E316CC32
5E316EE31
5E316FF04
5E316FF45
5E316HH07
5E316HH11
5E316JJ02
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB75
5E338CC01
5E338CD02
5E338CD12
5E338CD32
5E338EE11
5E338EE28
(57)【要約】
【課題】配線基板における断線の抑制。
【解決手段】実施形態の配線基板は、部品実装領域Aを有する表層導体層を含む少なくとも3つの導体層の導体パターンのいずれも平面視において含まない第1領域R1と、少なくとも3つの導体層のうちの一の導体層の導体パターンを含んでいて少なくとも3つの導体層の他の導体層の導体パターンを含まない第2領域R2と、を有している。第1及び第2の領域R1、R2は、部品実装領域Aの縁部AEと重なる部分を有し、少なくとも3つの導体層のいずれかに含まれていて第2領域R2において縁部AEと重なっている導体パターンは、縁部AEと重なっている部分の最小長さとして所定の長さよりも長い第1長さL1を有し、所定の長さ以下の第2長さL2を配線幅として有する配線パターン115が、導体層のいずれかにおいて縁部AEと重ならないように形成されている。
【選択図】図3D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装領域を有する表層導体層を含む3以上の複数の導体層と、
前記複数の導体層それぞれの間に介在する絶縁層と、を備える配線基板であって、
前記配線基板は、互いに隣接していて前記表層導体層を含む少なくとも3つの導体層のそれぞれの導体パターンのいずれも平面視において含まない第1領域と、
前記少なくとも3つの導体層のうちの一の導体層の導体パターンを平面視において含んでいて前記一の導体層以外の前記少なくとも3つの導体層それぞれの導体パターンのいずれも平面視において含まない第2領域と、
を有し、
前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、前記部品実装領域の縁部と重なる部分を有し、
前記少なくとも3つの導体層のいずれかに含まれる導体パターンであって前記第2領域において前記縁部と重なっている導体パターンは、前記縁部と重なっている部分の最小長さとして所定の長さよりも長い第1長さを有し、
前記所定の長さ以下の第2長さを配線幅として有する配線パターンが、前記複数の導体層のいずれかにおいて前記縁部と重ならないように形成されている。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記少なくとも3つの導体層のいずれかが、前記縁部と交差する配線パターンを含んでいる。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、前記少なくとも3つの導体層のいずれかが、前記部品実装領域のコーナー部と重なる配線パターンを含んでいる。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、前記少なくとも3つの導体層のいずれかが、前記第2長さを配線幅として有していて前記第1及び第2領域以外の領域において前記部品実装領域の縁部と重なる配線パターンを含んでいる。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、前記第2長さは、前記複数の導体層のいずれかに含まれる配線パターンが有する配線幅の最小長さである。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、前記所定の長さは15μmである。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、前記絶縁層は補強材を含まない樹脂によって形成されている。
【請求項8】
請求項1記載の配線基板であって、前記少なくとも3つの導体層それぞれの厚さは、10μm以上、25μm以下であり、前記絶縁層の厚さは、20μm以上、35μm以下である。
【請求項9】
配線基板における懸念配線の検出方法であって、前記方法は、
配線基板を構成すべき複数の導体層それぞれの導体パターンを示すパターン像を互いに重ねて観察し、絶縁層を介して隣接すべき少なくとも3つの導体層のいずれにも導体パターンのない第1領域を捜索することと、
前記捜索により検出された前記第1領域に囲まれている導体パターン、及び、2つの前記第1領域を分断している導体パターンのうち、所定の条件を満たす配線パターンを断線懸念配線として識別することと、
を含み、
前記少なくとも3つの導体層は、部品実装領域を有する表層導体層を含んでおり、
前記所定の条件は、前記断線懸念配線として識別される配線パターンに関して、
前記少なくとも3つの導体層のうちの一の導体層に含まれていて前記少なくとも3つの導体層のうちの前記一の導体層以外のいずれの導体層の導体パターンとも重なっていない、
平面視で前記部品実装領域の縁部と重なっている、及び、
前記縁部に沿う所定の長さ以下の配線幅を有している、
を含んでいる。
【請求項10】
請求項9記載の懸念配線の検出方法であって、前記所定の長さは15μmである。
【請求項11】
請求項9記載の懸念配線の検出方法であって、前記所定の条件は、前記断線懸念配線として識別される配線パターンに関して、前記部品実装領域のコーナー部と重なっている、をさらに含んでいる。
【請求項12】
請求項9記載の懸念配線の検出方法であって、前記第1領域を捜索することは、
前記パターン像を重ね合わせることによって形成される画像を、前記画像を構成する複数の画素のうちの一群の画素ごとに観察することと、
前記少なくとも3つの導体層のいずれにも導体パターンのない空き領域が前記一群の画素それぞれによって示される領域において所定の比率以上を占める場合に、前記空き領域を前記第1領域として識別することと、
を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、及び、配線基板における懸念配線の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コア基板と、コア基板の上面側及び下面側それぞれに交互に積層されている配線層及び層間絶縁層とを含む配線基板が開示されている。配線基板の表面には、半導体素子の接続端子と接続される接続パッドが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−4833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の配線基板では、配線基板の使用時に半導体素子が接続パッドに実装された状態で配線基板が温度変化に晒されると、半導体素子の熱膨張率と配線基板の熱膨張率との違いのために、半導体素子の周縁部の配線層や層間絶縁層に歪みが生じることがある。そのため、半導体素子の周縁部の配線層や層間絶縁層にストレスが加わり、層間絶縁層にクラックが生じたり、そのクラックに伴って配線層の配線パターンが断線したりすることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、部品実装領域を有する表層導体層を含む3以上の複数の導体層と、前記複数の導体層それぞれの間に介在する絶縁層と、を備えている。そして、前記配線基板は、互いに隣接していて前記表層導体層を含む少なくとも3つの導体層のそれぞれの導体パターンのいずれも平面視において含まない第1領域と、前記少なくとも3つの導体層のうちの一の導体層の導体パターンを平面視において含んでいて前記一の導体層以外の前記少なくとも3つの導体層それぞれの導体パターンのいずれも平面視において含まない第2領域と、を有し、前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、前記部品実装領域の縁部と重なる部分を有し、前記少なくとも3つの導体層のいずれかに含まれる導体パターンであって前記第2領域において前記縁部と重なっている導体パターンは、前記縁部と重なっている部分の最小長さとして所定の長さよりも長い第1長さを有し、前記所定の長さ以下の第2長さを配線幅として有する配線パターンが、前記複数の導体層のいずれかにおいて前記縁部と重ならないように形成されている。
【0006】
本発明の配線基板における懸念配線の検出方法は、配線基板を構成すべき複数の導体層それぞれの導体パターンを示すパターン像を互いに重ねて観察し、絶縁層を介して隣接すべき少なくとも3つの導体層のいずれにも導体パターンのない第1領域を捜索することと、前記捜索により検出された前記第1領域に囲まれている導体パターン、及び、2つの前記第1領域を分断している導体パターンのうち、所定の条件を満たす配線パターンを断線懸念配線として識別することと、を含んでいる。そして、前記少なくとも3つの導体層は、部品実装領域を有する表層導体層を含んでおり、前記所定の条件は、前記断線懸念配線として識別される配線パターンに関して、前記少なくとも3つの導体層のうちの一の導体層に含まれていて前記少なくとも3つの導体層のうちの前記一の導体層以外のいずれの導体層の導体パターンとも重なっていない、平面視で前記部品実装領域の縁部と重なっている、及び、前記縁部に沿う所定の長さ以下の配線幅を有している、を含んでいる。
【0007】
本発明の実施形態によれば、配線基板に含まれる導体パターンの断線を抑制し得ることがある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
図2】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す平面図。
図3A】一実施形態の配線基板における第1導体層の導体パターンの一例を部分的に示す平面図。
図3B】一実施形態の配線基板における第2導体層の導体パターンの一例を部分的に示す平面図。
図3C】一実施形態の配線基板における第3導体層の導体パターンの一例を部分的に示す平面図。
図3D図3A図3Cに示される各導体パターンを重ねて示す平面図。
図4A】一実施形態の配線基板の製造工程におけるコア基板の形成後の状態の一例を示す断面図。
図4B】一実施形態の配線基板の製造工程における配線基板の完成状態を示す断面図。
図5】本発明の一実施形態の懸念配線の検出方法の手順を示すフローチャート。
図6A】本発明の一実施形態の懸念配線の検出方法における第1領域の捜索方法の一例を示す図。
図6B】本発明の一実施形態の懸念配線の検出方法における第1領域の捜索方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。図1及び図2には、一実施形態の配線基板の一例である配線基板1の断面図及び平面図がそれぞれ示されている。図1は、図2に示されるI−I線に沿ったI−I線付近の切断線での断面図である。
【0010】
図1及び図2に示されるように、配線基板1は、部品実装領域Aを有する表層導体層(第1導体層11)を含む複数の導体層(第1〜第3の導体層11〜13、及び導体層14〜17)と、この複数の導体層それぞれの間に介在する複数の絶縁層(絶縁層21〜26)と、を備えている。本実施形態の配線基板には3以上の導体層が備えられる。図1の例の配線基板1は、全部で10層の導体層と、各導体層の間に介在する全部で9層の絶縁層とを備えている。配線基板1は、絶縁層26と、絶縁層26の表裏面の一方(第1面26a)に積層されている導体層16と、絶縁層26の表裏面の他方(第2面26b)に積層されている導体層17とによって構成されるコア基板10を含んでいる。絶縁層26の第1面26a上及び導体層16上に、絶縁層24、導体層14、絶縁層23、第3導体層13、絶縁層22、第2導体層12、絶縁層21、及び第1導体層11が順に積層されている。また、絶縁層26の第2面26b上及び導体層17上に、4つの絶縁層25のそれぞれと、4つの導体層15のそれぞれとが、交互に積層されている。
【0011】
なお、配線基板1の説明では、配線基板1の厚さ方向において絶縁層26から遠い側は「上側」もしくは「上方」、又は単に「上」とも称され、絶縁層26に近い側は「下側」もしくは「下方」、又は単に「下」とも称される。さらに、各導体層及び各絶縁層において、絶縁層26と反対側を向く表面は「上面」とも称され、絶縁層26側を向く表面は「下面」とも称される。また、各実施形態の説明において配線基板の厚さ方向は、単に「Z方向」とも称される。
【0012】
配線基板1は、第1領域R1及び第2領域R2を有している。図1の例のように、配線基板1は、それぞれ1以上の第1領域R1及び第2領域R2を有し得る。第1領域R1は、互いに隣接していて表層導体層を含む少なくとも3つの導体層、すなわち、図1の例において第1〜第3の導体層11〜13のそれぞれの導体パターンのいずれも平面視において含まない領域である。互いに隣接していて表層導体層を含む少なくとも3つの導体層(図1の例において第1〜第3の導体層11〜13)は、「対象導体層群」とも称される。なお「平面視」は、配線基板1をZ方向に沿った視線で見ることを意味する。
【0013】
第2領域R2は、対象導体層群、すなわち、図1の例において第1〜第3の導体層11〜13のうちの一の導体層に含まれる導体パターンを平面視において含んでいる領域である。加えて、第2領域R2は、この一の導体層以外の対象導体層群の導体層の導体パターンのいずれも平面視において含まない領域である。換言すると、第2領域R2は、対象導体層群の導体層に関して、そのうちの一つの導体層内の導体パターンだけを含む領域である。なお、第1領域R1及び第2領域R2は、いずれも、対象導体層群以外の導体層に含まれる任意の導体パターンを含み得る。
【0014】
第1領域R1及び第2領域R2それぞれは、部品実装領域Aの縁部と重なる部分を有している。図1の例のように、それぞれ複数の第1領域R1及び第2領域R2が存在する場合、少なくともそのいずれかが、部品実装領域Aの縁部と重なっている。部品実装領域Aの縁部と、第1領域R1及び第2領域R2内の各導体層の導体パターンとの位置関係は後述される。図1及び図2を参照して配線基板1の全体構造の説明が続けられる。
【0015】
配線基板1は、コア基板10の両面それぞれに絶縁層と導体層とを積層することによって形成された多層配線基板である。図1の例では、配線基板1は10層の導体層を備えているが、配線基板1は、少なくとも3つの導体層と、各導体層の間に介在する絶縁層を備えていればよい。また、配線基板1は、コア基板10を含まない、所謂コアレス基板であってもよい。
【0016】
絶縁層21〜26は、任意の絶縁性樹脂によって形成される。絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)又はフェノール樹脂などが例示される。これら絶縁性樹脂を用いて形成される各絶縁層は、シリカなどの無機フィラーを含んでいてもよい。また、コア基板10を構成する絶縁層26は、適切な剛性を有するように、好ましく、ガラス繊維、アラミド繊維、ガラス不織布、及びアラミド不織布などで構成される補強材(図示せず)を含んでいてもよい。
【0017】
絶縁層21〜25も、同様に補強材を含んでいてもよい。しかし、各導体層形成時におけるめっき密着性などの観点から、絶縁層21〜25は、補強材を含まない樹脂によって形成されてもよい。本実施形態では、後述されるように、例えば温度変化によって部品実装領域Aの周囲で各絶縁層に万一歪みが生じても、部品実装領域Aを含む又はその近傍の対象導体層群内の配線パターンに断線が生じ難い。従って、本実施形態は、各絶縁層、特に、対象導体層群の各導体層間に介在する絶縁層21〜22、及び対象導体層群の直ぐ下層に位置する絶縁層23が補強材を含んでいない場合に特に有益である。
【0018】
第1〜第3の導体層11〜13、及び導体層14〜17は、それぞれ、例えば、銅、ニッケル、銀、又はパラジウムなどを含む金属箔、蒸着膜、又はめっき膜単独で、又はこれらの積層体で形成され得る。例えば、各導体層は、銅箔、銅の無電解めっきやスパッタリングなどによって形成されて電解めっきの給電層として用いられるめっき下地膜、及び、銅の電解めっき膜を含み得る。
【0019】
各導体層は任意の導体パターンを含み得る。平面視における対象導体層群内の導体層それぞれの導体パターンの有無に基づいて、第1領域R1及び第2領域R2が特定される。
【0020】
図1の例では、第1導体層11は、部品C、例えば配線基板1の外部の電気部品に接続される接続パッド11aを含んでいる。図1の例において、部品Cは、例えばはんだや銅などからなる導電性バンプCBを介して、接続パッド11aに接続されている。部品Cは、例えば、マイコン、ゲートアレイ、特定用途向け集積回路装置、デジタル系若しくはアナログ系の任意の汎用集積回路装置などの任意の半導体集積回路装置、トランジスタなどの個別半導体素子、又は、コンデンサ、コイル若しくは電気抵抗などの任意の受動回路部品である。
【0021】
また、4つの導体層15のうちの最も下側の導体層15は、部品、例えば、配線基板1の外部の基板(例えば配線基板1が用いられる電子機器のマザーボード)との接続パッド15aを含んでいる。
【0022】
絶縁層21〜25それぞれにはビア導体31が形成され、絶縁層26にはスルーホール導体32が形成されている。各ビア導体31及びスルーホール導体32は、それぞれ、自身が含まれる絶縁層を挟んでいる導体層同士を電気的に接続している。図1の例では、各ビア導体31は、コア基板10に向って外径(幅)が細くなるテーパー形状を有している。また、スルーホール導体32は、導体層16側及び導体層17側それぞれからコア基板10の厚さ方向の中央部に向って細くなる外径(幅)を有し、コア基板10の厚さ方向の中央部にくびれを有している。
【0023】
各ビア導体31は、自身を包含する絶縁層を貫く貫通孔を導電体で埋めることによって形成されている所謂フィルドビアである。各ビア導体は、銅やニッケルなどの任意の金属によって自身の上側の導体層と一体的に形成されており、無電解めっき膜又は蒸着膜、及び電解めっき膜を含み得る。スルーホール導体32は、銅やニッケルなどの任意の金属によって導体層16及び導体層17と一体的に形成されており、無電解めっき膜又は蒸着膜、及び電解めっき膜を含み得る。
【0024】
対象導体層群(第1〜第3の導体層11〜13)、及び導体層14〜17は、それぞれ任意の厚さを有し得る。例えば、これらの導体層は、10μm以上、100μm以下の厚さを有し得る。しかし、これら各導体層、例えば第1〜第3の導体層11〜13の厚さは、ファインピッチの配線パターンが各導体層に形成され得るように、10μm以上、25μm以下の厚さであってもよい。
【0025】
また絶縁層21〜26は、それぞれ任意の厚さを有し得る。例えばコア基板10を構成する絶縁層26は、50μm以上、2000μm以下程度の厚さを有し得る。また、絶縁層21〜25は、それぞれ、20μm以上、100μm以下の厚さを有し得る。しかし、各絶縁層、例えば対象導体層群の各導体層間に介在する絶縁層21〜22及び対象導体層群の直ぐ下層の絶縁層23の厚さは、20μm以上、35μm以下であってもよい。配線基板1の薄型化、及び/又は、各絶縁層内への小径ビア導体の形成の容易化に寄与し得ることがある。
【0026】
対象導体層群の各導体層11〜13、及び、これらの導体層に隣接する絶縁層21〜23の厚さが薄いと、部品実装領域Aに実装される電子部品などと配線基板1との間の熱膨張率差によって生じる応力による歪みが各導体層及び各絶縁層に生じ易い。しかし、後述されるように、本実施形態では、部品実装領域Aの周囲で各絶縁層などに万一歪みが生じても、対象導体層群内の各導体層において配線パターンの断線は生じ難い。従って、本実施形態は、対象導体層群の各導体層の厚さ、及び、これらの導体層に隣接する絶縁層の厚さが薄い場合に、特に有益である。
【0027】
図1の配線基板1は、さらに、第1導体層11上にソルダーレジスト層41を備え、4つの導体層15のうちの最表層の導体層15上にソルダーレジスト層42を備えている。ソルダーレジスト層41、42は、絶縁性を有する任意の材料を用いて形成され得る。ソルダーレジスト層41、42は、例えばエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを主原料とする感光性樹脂を用いて形成される。ソルダーレジスト層41は、接続パッド11aを露出させる開口41aを備えている。図1の例において、複数の接続パッド11aは、一括して一つの開口41a内に露出している。開口41aは、各接続パッド11aに対して個別に設けられてもよい。なお、ソルダーレジスト層42は、接続パッド15aを露出させる開口42aを備えている。
【0028】
第1導体層11は、接続パッド11aに接続される部品Cに関する部品実装領域Aを備えている。本開示において「部品実装領域」は、概して、部品C及び配線基板1それぞれにおける膨張及び収縮による変化が相手方に伝えられる領域である。例えば、部品Cが、接続パッド11aに接続される場合は、複数の接続パッド11a全体を囲む最小の枠(図2の二点鎖線A1)の内部の領域が部品実装領域である。また、図1に示されるように部品Cの配線基板1への実装においてアンダーフィル材UFが用いられる場合は、配線基板1においてアンダーフィル材UF及び部品Cによって占有される領域が部品実装領域である。また、部品Cが、例えばその裏面の全面を配線基板1に接続される場合(例えば、半導体チップがその接続パッドを実装面と反対方向に向けて、所謂フェイスアップで実装される場合)は、配線基板1において部品Cに占有される領域が部品実装領域である。なお、配線基板1は、複数の部品実装領域を有していてもよい。
【0029】
部品実装領域Aを有する表層導体層を含む対象導体層群内の導体層では、部品Cと配線基板1との間の熱膨張率の違いによって歪みが生じ易く、そのストレスによって、配線パターンが断線することがある。この断線は、熱膨張率の違いによる応力が集中し易い部品実装領域Aの縁部AEにおいて生じ易く、また、配線パターンにおいて縁部AEに沿う方向の配線幅が比較的細い場合に生じ易いと考えられる。
【0030】
本実施形態の配線基板1では、対象導体層群内の導体層には、第2領域R2において部品実装領域Aの縁部AEと平面視で重なっていて、その縁部AEに沿う方向において所定の長さ以下の配線幅を有する配線パターンは、存在しない。すなわち、対象導体層群内のいずれかの導体層に含まれる配線パターンであって、対象導体層群内の導体層の他のいずれの導体層の導体パターンとも重ならない所定の長さ以下の配線幅を有する配線パターンは、部品実装領域Aの縁部AEと交差する位置には存在しない。そのため、例えば配線基板1の使用時に、部品Cと配線基板1との熱膨張率の違いによって部品実装領域Aの縁部AEにおいて対象導体層群の各導体層に万一歪みが生じても、配線パターンの断線は生じ難い。従って、実施形態の配線基板1は信頼性の高い配線基板となり得る。
【0031】
本実施形態において「所定の長さ」は、対象導体層群内の各導体層の厚さ、絶縁層21〜26(主に絶縁層21〜23)の弾性率、及び、部品Cと配線基板1との間の熱膨張率の差分に応じて選択される。例えば、所定の長さは、10μm以上、25μm以下である。所定の長さとしては、10μm、15μm、20μm、及び25μmが例示される。以下、本実施形態の配線基板1において各導体パターンの長さ、特に配線パターンの配線幅に関する「所定の長さ」は、他の部位に関する所定の長さと明確に区別するため、所定の長さLp(図示せず)とも表記される。
【0032】
また、部品実装領域Aの「縁部」は、3mm以上、15mm以下の幅を有する、部品実装領域Aの外縁に沿った部分である。縁部AEの幅は、部品Cの大きさや、部品Cと配線基板1との間の熱膨張率の差分に応じて選択される。
【0033】
図3A図3Dを参照して、本実施形態の配線基板1の対象導体層群に含まれる導体パターンの配置例が説明される。図3A図3Dは、概して、図2のIII部に示される部品実装領域Aのコーナー部の周辺の部分を示している。図3Aは、第1導体層11に形成されている導体パターンを示し、図3Bは、第2導体層12に形成されている導体パターンを示し、図3Cは、第3導体層13に形成されている導体パターンを示している。図3A図3Cでは、見易さのために、各導体パターンにハッチングが付されている。また、図3Dは、図3A図3Cそれぞれに示される第1導体層11〜第3導体層13の導体パターンを重ねて示している。図3A図3Dには、部品実装領域Aの外縁が破線で示され、部品実装領域Aの縁部AEが、部品実装領域の外縁を挟む二つの二点鎖線で示されている。
【0034】
図1に示されるように、第1導体層11は、前述した接続パッド11aを含むと共に、第1〜第5の配線パターン111〜115を含んでいる。第1配線パターン111は、第1長さL1を配線幅として有し、部品実装領域Aの縁部AEと交差している。第1長さL1は、前述のように例えば10μm以上、25μm以下の長さから選択される所定の長さLpよりも長い。
【0035】
第2配線パターン112は、第2長さL2を配線幅として有し、部品実装領域Aの縁部AEと交差している。第2長さL2は、所定の長さLp以下の長さである。
【0036】
第3配線パターン113も第2長さL2を配線幅として有している。第3配線パターン113は、部品実装領域Aのコーナー部CPと重なっている。部品実装領域Aの「コーナー部」は、部品実装領域Aが多角形(図3A図3Dの例では四角形)の形状を有する場合に、部品実装領域Aの隣接する二辺の接点(多角形の頂点)から第3長さL3以内の部分である。第3長さL3は、部品Cの大きさや、部品Cと配線基板1との間の熱膨張率の差分に応じて選択される。第3長さL3は、例えば、3mm以上、15mm以下である。
【0037】
第4配線パターン114は、第4長さL4を配線幅として有している。第4配線パターン114は、部品実装領域Aの縁部AEに沿って延びている。第4長さL4は、第1長さL1よりも短く、第2長さL2よりも長い。第4長さL4は、所定の長さLpよりも短くてもよく、長くてもよい。第4長さL4が所定の長さLpであってもよい。
【0038】
第5配線パターン115は、第2配線パターン112と同様に、所定の長さLpよりも短い第2長さL2を有している。しかし、第2配線パターン112は、部品実装領域Aの縁部AEと重ならないように形成されている。
【0039】
第1導体層11は、さらに、導体パターン11pを含んでいる。また、配線パターン111〜115は、それぞれの端部において、ビア導体31(図1参照)に応じて設けられるビアパッドに接続されている。
【0040】
図3Bに示されるように、第2導体層12は、導体パターン12pと第6配線パターン126を含んでいる。第6配線パターン126は、第5配線パターン115と同様に、所定の長さLpよりも短い第2長さL2を配線幅として有しており、部品実装領域Aの縁部AEと重ならないように形成されている。
【0041】
図3Cに示されるように、第3導体層13は、導体パターン13pと共に、第7配線パターン137及び第8配線パターン138を含んでいる。第7配線パターン137及び第8配線パターン138は、第5配線パターン115と同様に、所定の長さLpよりも短い第2長さL2を配線幅として有している。第7配線パターン137は、部品実装領域Aの縁部AEと重ならないように形成されている。一方、第8配線パターン138は、部品実装領域Aの縁部AEと交差している。
【0042】
第1〜第3の導体層11〜13は、それぞれ、図3A図3Cに示される導体パターン以外に任意の導体パターンを有し得る。しかし、第1〜第3の導体層11〜13のいずれも、第1〜第3の導体層11〜13のうちの他のいずれの導体層の導体パターンとも重ならない所定の長さLp以下の配線幅を有する配線パターンを、部品実装領域Aの縁部AEと交差する位置には有しない。その点が、図3Dを参照してさらに説明される。
【0043】
図3Dには、第1領域と第2領域との識別が可能な態様で、図3A図3Cに示される各導体パターンが重ねて示されている。図3Dでは、第2領域に斜線のハッチングが付され、第1及び第2の領域のいずれでもない第3領域(対象導体層群内の2つ以上の導体層それぞれに含まれる導体パターンが重なっている領域)にドット(点)ハッチングが付されている。そして、ハッチングが付されていない領域が第1領域である。
【0044】
図3Dに示されるように、本実施形態において、第1領域及び第2領域それぞれは、部品実装領域Aの縁部AEと重なる部分を有している。また、対象導体層群の導体層のいずれかに含まれる導体パターンであって第1領域に挟まれた第2領域において部品実装領域Aの縁部AEと重なっている導体パターンは、縁部AEと重なっている部分の最小長さとして第1長さL1を有している。
【0045】
具体的には、図3Dの例では、第1配線パターン111が、縁部AEと重なっている第2領域において、第1長さL1を配線幅として有している。第1長さL1は、対象導体層群の導体層のいずれかに含まれる導体パターンにおいて第2領域で縁部AEと重なっている部分の最小の長さである。そして、第1長さL1は、前述のように所定の長さLpよりも長い。すなわち、対象導体層群(第1〜第3の導体層11〜13)のいずれにも、第2領域において部品実装領域Aの縁部AEと平面視で重なっていて、その部品実装領域Aの縁部AEに沿う方向において所定の長さLp以下の配線幅を有する配線パターンは存在しない。
【0046】
一方、所定の長さLp以下の第2長さL2を配線幅として有する配線パターンが、対象導体層群の各導体層において、部品実装領域Aの縁部AEと重ならないように形成されている。具体的には、それぞれ第2長さL2を配線幅として有する、第5配線パターン115、第6配線パターン126、及び第7配線パターン137が、部品実装領域Aの縁部AEと重ならないように形成されている。所定の長さLp以下の長さを配線幅として有していて部品実装領域Aの縁部AEと重ならない配線パターンは、対象導体層群のいずれか1つだけに形成されていてもよく、また、対象導体層群以外の他の導体層(例えば図1の例の導体層14)に形成されていてもよい。
【0047】
このように本実施形態では、対象導体層群の各導体層において、対象導体層群内の他の導体層の導体パターンと重ならずに単独で配置される所定の長さ以下の配線幅を有する配線パターンは、部品実装領域Aの縁部AEと重なる位置には配置されない。そのため、部品C(図1参照)と配線基板1との間の熱膨張率の差などによって引き起こされ得る配線パターンの断線が生じ難い。また、本実施形態では、対象導体層群に含まれる導体パターンであって第2領域において部品実装領域Aの縁部AEと重なる配線パターンは、縁部AEに沿う方向において所定の長さLpよりも長い配線幅(第1長さL1)を有している。そのため、配線パターンの断線が生じ難い。
【0048】
そして、本実施形態では、所定の長さLp以下の第2長さL2を配線幅として有する配線パターン(第5配線パターン115など)は、部品実装領域Aの縁部AEと重ならないように形成されている。そのため、本実施形態の配線基板1では、部品C(図1参照)と配線基板1との間の熱膨張率の差などによる配線パターンの断線が生じ難く、しかも、部品実装領域Aの縁部AE以外の領域において、ファインピッチ配線が実現され得る。第5配線パターン115などが有する第2長さL2は、配線基板1に含まれる複数の導体層のいずれかに含まれる配線パターンが有する配線幅の最小長さ、すなわち、配線基板1において用いられる配線ルールにおける最小配線幅であってもよい。
【0049】
図3Dに示される例では、第1〜第4の配線パターン111〜114、及び第8配線パターン138は、部品実装領域Aの縁部AEと重なっている。このうち、第2、第3及び第8の配線パターン112、113、138は、所定の長さLp以下の第2長さL2を配線幅として有している。しかも、第3配線パターン113は、部品実装領域Aのコーナー部と重なっている。部品実装領域Aのコーナー部には、部品実装領域Aに実装される部品と配線基板1との間の熱膨張率の違いなどによる応力が集中し易く対象導体層群の各導体層においてもこのコーナー部において歪みが生じ易いと考えられる。しかし、図3Dの例において、第2、第3及び第8の配線パターン112、113、138は、いずれも第3領域(図3Dにおいてドットのハッチングを付されている領域)に位置している。そのため、これら各配線パターンの断線は生じ難い。
【0050】
また、第1配線パターン111は、第2領域R2に位置しているが、前述のように、所定の長さLpよりも長い第1長さL1を配線幅として有している。そのため、第1配線パターン111の断線は生じ難い。
【0051】
一方、第4配線パターン114は、第1長さL1よりも短い長さを配線幅として有し、しかも部品実装領域Aの縁部AEと第2領域において重なっている。しかし、第4配線パターン114は、部品実装領域Aの縁部AEと重なっている部分において縁部AEに沿って、第5長さL5を有している。第5長さL5は、第1長さL1と略同等で、所定の長さLpよりも長い。そのため、第4配線パターン114においても、断線は生じ難い。
【0052】
このように、本実施形態では、対象導体層群の導体層のいずれか1つ以上が、部品実装領域Aの縁部AEと交差する配線パターンを含んでいてもよく、部品実装領域Aのコーナー部と重なる配線パターンを含んでいてもよい。さらに、対象導体層群の導体層のいずれかが、第2長さL2を配線幅として有していて第1領域及び第2領域以外の領域(第3領域)において、部品実装領域Aの縁部AEと重なる配線パターンを含んでいてもよい。すなわち、そのような配線パターンが所定の長さ以上の配線幅を有するか、第1領域及び第2領域のいずれでもない領域に位置していれば、配線パターンの断線は生じ難い。
【0053】
以上の説明では、3つの導体層(第1〜第3の導体層11〜13)が対象導体層群を構成する例を参照して本実施形態の配線基板1が説明された。しかし、互いに隣接する導体層であって表層導体層を含む4つ以上の導体層が対象導体層群と見做されてもよい。より確実に配線パターンの断線を防ぎ得ることがある。
【0054】
次に、図1の配線基板1が製造される場合を例に、一実施形態の配線基板を製造する方法の一例が、図4A及び図4Bを参照して説明される。
【0055】
図4Aに示されるように、まず、配線基板1のコア基板10が形成される。コア基板10の形成では、例えば、両面銅張積層板が用意され、その両面から炭酸ガスレーザー光を照射することによって、スルーホール導体32の形成位置に貫通孔32aが形成される。貫通孔32aの内壁及び両面銅張積層板の両面に、次工程の電解めっきの給電層となる銅などからなるめっき下地膜が無電解めっきなどによって形成される。そしてこのめっき下地膜上に、電解めっきによって電解めっき膜が形成される。それに伴って貫通孔32a内が電解めっき膜で充填され、スルーホール導体32が形成される。その後、両面銅張積層板の両面の銅箔、めっき下地膜及び電解めっき膜の不要部分が、適切な開口を有するマスクを用いたエッチングによって除去される。その結果、それぞれ所望の導体パターン含む導体層16及び導体層17、並びにこの両導体層に挟まれた絶縁層26を有するコア基板10が形成される。
【0056】
図4Bに示されるように、絶縁層26の第1面26a上及び導体層16上に、絶縁層24、導体層14、絶縁層23、第3導体層13、絶縁層22、第2導体層12、絶縁層21、及び第1導体層11が順に積層される。また、絶縁層26の第2面26b上及び導体層17上に、4つの絶縁層25のそれぞれと、4つの導体層15のそれぞれとが、交互に積層される。各絶縁層及び各導体層の積層には、例えば、一般的なビルドアップ基板の製造方法が用いられるが、各絶縁層及び各導体層の積層には任意の方法が用いられ得る。
【0057】
一例として、セミアディティブ法(SAP法)が用いられる。すなわち、絶縁層26の第1面26a上及び導体層16上に、補強材を含まないフィルム状の絶縁性樹脂(例えばエポキシ樹脂)が熱圧着され、絶縁層24が形成される。絶縁層24におけるビア導体31の形成箇所に、例えば炭酸ガスレーザー光の照射によって貫通孔が形成される。貫通孔の内壁上及び絶縁層24の表面上に、無電解めっき又はスパッタリングなどによって銅などの導体からなるめっき下地膜が形成される。この下地膜を給電層として用いると共に、適切な開口を有するめっきレジストを用いる電解めっきによって、所望の導体パターンを有する導体層14、及び、ビア導体31が形成される。
【0058】
さらに、絶縁層24、導体層14、及び絶縁層24内のビア導体31の形成方法と同様の方法で、絶縁層23、第3導体層13、及び絶縁層23内のビア導体31、絶縁層22、第2導体層12、及び絶縁層22内のビア導体31、並びに、絶縁層21、第1導体層11、及び絶縁層21内のビア導体31が、順に形成される。また、絶縁層24、導体層14、及び絶縁層24内のビア導体31の形成方法と同様の方法で、絶縁層26の第2面26b側に、好ましくは第1面26a側の各絶縁層及び各導体層の形成と同時に、4つの絶縁層25と、4つの導体層15と、各絶縁層25内のビア導体31が形成される。
【0059】
第1〜第3の導体層11〜13の形成では、第2領域R2において部品実装領域Aの縁部と平面視で重なっていて、その縁部に沿う方向において所定の長さ以下の配線幅を有する配線パターンは形成されない。一方、前述した、第5〜第7の配線パターンなどが形成される。各導体層の形成時の電解めっきにおいて適切な位置に開口を有するめっきレジストを用いることによって、所望の導体パターン(配線パターン)を含む導体層を形成することができる。
【0060】
その後、第1導体層11及び絶縁層21上に開口41aを有するソルダーレジスト層41が形成され、絶縁層26の第2面26b側の最表層の導体層15及び最表層の絶縁層25上に開口42aを有するソルダーレジスト層42が形成される。ソルダーレジスト層41、42は、例えば、感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを含む樹脂層の形成と、適切な開口パターンを有するマスクを用いた露光及び現像とによって形成される。開口41a内に露出する接続パッド11a、及び開口42a内に露出する接続パッド15aには、無電解めっき、半田レベラ、又はスプレーコーティングなどによって、Au、Ni/Au、Ni/Pd/Au、はんだ、又は耐熱性プリフラックスなどからなる表面保護膜(図示せず)が形成されてもよい。例えば、以上の工程を通じて配線基板1を製造することができる。
【0061】
次に、本発明の一実施形態の配線基板における懸念配線の検出方法が、図5図6A及び図6Bを参照して説明される。本実施形態の配線基板における懸念配線の検出方法は、単に「本実施形態の方法」とも称される。本実施形態の方法は、例えば、前述の一実施形態の配線基板1の設計において用いられる。以下の説明では、一実施形態の配線基板1が、本実施形態の方法の対象配線基板であるものとして、本実施形態の方法が説明される。そのため、一実施形態の配線基板1の説明において用いられた各構成要素の参照符号が用いられる。以下の説明において特に言及がなくても、前述の配線基板1の説明において参照した各図面を参照することによって、本実施形態の方法がよりよく理解されると考えられる。
【0062】
図5には、本実施形態の方法の手順を示すフローチャートが示されている。図5のステップS1に示されるように、本実施形態の方法は、配線基板1を構成すべき複数の導体層それぞれの導体パターンを示すパターン像を互いに重ねて観察することを含んでいる。本実施形態の方法は、その観察において、絶縁層を介して隣接すべき少なくとも3つの導体層のいずれにも導体パターンのない領域(第1領域)を捜索することを含んでいる。そして、本実施形態の方法は、ステップS1の捜索により検出された第1領域に囲まれている導体パターン、及び、2つの第1領域を分断している導体パターンのうち、所定の条件を満たす配線パターンを断線懸念配線として識別することを含んでいる(ステップS2)。
【0063】
図6Aには、本実施形態の方法における第1領域の捜索方法の一例が示されている。図6Aに示されるように、配線基板1を構成すべき複数の導体層それぞれの導体パターンを示すパターン像11b、12b、13bが互いに重ねて観察される。なお、図6Aでは、パターン像11b、パターン像12b及びパターン像13bだけが示されているが、3つよりも多い導体層それぞれのパターン像が重ねられて観察されてもよい。パターン像の重ね合わせ、及びその観察は、例えば、配線基板1の各導体層のパターン設計に用いられるCADシステムの画面上で行われる。パターン像の観察は、これに限らず、任意の方法で行われ得る。
【0064】
図6Aに例示の観察を通じて、部品実装領域を有する表層導体層を含む、絶縁層を介して隣接すべき少なくとも3つの導体層(対象導体層群)のいずれにも導体パターンのない第1領域が捜索される。配線基板1の設計において懸念配線の検出が行われる場合は、少なくとも第1〜第3の導体層の導体パターンを示すパターン像が重ねて観察され、第1領域が捜索される。
【0065】
図6Bには、第1領域の捜索方法のより具体的な一例が示されている。図6Bは、先に参照した図3Dに示される配線基板1の第1〜第3の導体層の導体パターンを例に、観察対象となる、各導体層のパターン像を重ね合わせることによって形成される画像(観察対象画像)を示している。但し、図6Bでは、第2領域と第3領域とは区別されず、これら両領域は一括して示されていてドットによるハッチングが付されている。そしてドットハッチングの付されていない領域が第1領域R1である。なお、図6Bには、先に参照した図3Cに示される第3導体層13が導体パターン13pを含んでいないものとして、観察対象画像が示されている。また、図6Bには、図3Dと同様に部品実装領域の縁部AEが示されている。
【0066】
第1領域R1の捜索では、図6Bに示されるように、観察対象画像を構成する複数の画素Pxのうちの一群の画素Pxgごとに、観察対象画像が観察されてもよい。図6Bの例では、4つの画素Pxからなる一群の画素Pxg毎に観察が行われている。そして、一群の画素Pxgそれぞれによって示される領域において、少なくとも3つの導体層(配線基板1では第1〜第3の導体層)のいずれにも導体パターンのない空き領域(導体空白領域)が所定の比率以上を占める場合に、その空き領域が第1領域R1として識別されてもよい。
【0067】
例えば、図6Bの例において、画素群Pxg1では、画素群Pxg1によって示される領域の60%程度が導体空白領域(ドットによるハッチングが付されていない領域)によって占められているので、画素群Pxg1内の導体空白領域が第1領域R1として識別される。一方、画素群Pxg2では、画素群Pxg2内に導体空白領域が存在するものの、画素群Pxg2に占める導体空白領域の比率は僅かであるため、画素群Pxg2内の導体空白領域は、第1領域R1として識別されない。
【0068】
「所定の比率」は、例えば、10%〜50%の範囲から選択される。「所定の比率」としては、20%、30%、及び、40%が例示される。「所定の比率」としてこれらの値を選択することによって、断線の可能性の低い配線パターンを懸念配線として過剰に検出することや、断線のおそれのある配線パターンを見逃してしまうことを少なくすることができる。
【0069】
図6Bに示されるように画素群毎に観察対象画像を観察すると共に第1領域R1を捜索することによって、観察対象を隈なく観察することができると共に、効率的に第1領域R1を捜索することができる。また、所定の比率を適切に設定することによって、微小な導体空白領域を第1領域R1として識別することによる懸念配線の過検出を防止できることがある。
【0070】
実施形態の方法では、前述したように、第1領域R1に囲まれているか、2つの第1領域R1を分断している配線パターンが、断線懸念配線の候補となり得る。図6Bの例では、第1〜第5の配線パターン111〜115、第6配線パターン126、及び、第7配線パターン137が、第1領域R1に囲まれているか、2つの第1領域R1を分断しているため、断線懸念配線の候補となり得る。なお、第8配線パターン138は、第1領域R1に囲まれておらず、第1領域R1を分断してもいないので断線懸念配線の候補にはなり得ない。
【0071】
そして本実施形態の方法では、このような断線懸念配線の候補であって所定の条件を満たす配線パターンが、断線懸念配線として検出される。「所定の条件」は、条件1:「断線懸念配線として識別されるべき配線パターンは、対象導体層群のうちの一の導体層に含まれていて、対象導体層群のうちの他のいずれの導体層の導体パターンとも重なっていない」を含んでいる。「所定の条件」は、条件2:「断線懸念配線として識別されるべき配線パターンは、平面視で部品実装領域の縁部AEと重なっている」、及び/又は、条件3「断線懸念配線として識別されるべき配線パターンは、部品実装領域の縁部AEに沿う所定の長さ以下の配線幅を有している」を含んでいてもよい。
【0072】
このような所定の条件に基づいて断線懸念配線を検出することによって、断線の懸念のある配線パターンを適切に検出することができる。すなわち、部品実装領域を含む導体層及びその導体層に隣接する導体層を含む対象導体層群において、対象導体層群内の他の導体層の導体パターンと重ならずに単独で配置されている配線パターンを、上記条件1に基づいて検出することができる。また、部品実装領域の縁部AEと重なる位置に配置されていて縁部AEに沿う方向に所定の長さ以下の配線幅を有する配線パターンを、上記条件2及び上記条件3に基づいて検出することができる。「所定の条件」は、少なくとも上記条件1を含み、好ましくは、上記条件1〜3の全てを含んでいる。
【0073】
「所定の条件」は、さらに、条件4:「断線懸念配線として識別されるべき配線パターンは、部品実装領域のコーナー部と重なっている」を含んでいてもよい。前述したように、部品実装領域のコーナー部には、実装される部品と配線基板1との間の熱膨張率の違いなどにより生じる応力が集中しやすい。上記条件4を採用し、断線懸念配線として識別される配線パターンをこのような部品実装領域のコーナー部と重なっている配線パターンに絞り込むことによって、断線が懸念される配線パターンを検出可能にしながら、断線懸念配線の過検出を抑制できることがある。
【0074】
上記条件3の「所定の長さ」は、配線基板1の配線パターンの配線幅に関する所定の長さLpと同様に、対象導体層群内の各導体層の厚さ、各導体層に隣接する絶縁層の弾性率、及び、部品実装領域に実装される部品と配線基板1との間の熱膨張率の差分になどに応じて選択される。本実施形態の方法においても、「所定の長さ」は、例えば、10μm以上、25μm以下であり、10μm、15μm、20μm、及び25μmが「所定の長さ」として例示される。
【0075】
なお、本実施形態の方法における「部品実装領域」、部品実装領域の「縁部」、及び部品実装領域の「コーナー部」には、配線基板1の説明において、それぞれに対して述べられた定義、説明、根拠、及び数値例が適用され得る。これらについての重複となる説明は省略される。
【0076】
前述したように図6Bの例では、第1〜第5の配線パターン111〜115、第6配線パターン126、及び、第7配線パターン137が、断線懸念配線の候補となり得る。例えば条件1〜条件3を含む「所定の条件」で断線懸念配線が識別されると、第5配線パターン115、第6配線パターン126、及び第7配線パターン137は、条件2を満たさないため、いずれも懸念配線として識別されない。また、第1配線パターン111、及び、第4配線パターン114は、配線基板1の説明で述べられた通り、「所定の長さ」よりも長い第1長さ又は第5長さを、部品実装領域の縁部AEに沿って有している。従って、第1配線パターン111及び第4配線パターン114は、条件3を満たしておらず、断線懸念配線として識別されない。
【0077】
一方、第2配線パターン112及び第3配線パターン113は、配線基板1の説明で述べられたように「所定の長さ」以下の第2長さを配線幅として有しているため条件3を満たし、図6Bでは、条件1及び条件2も満たしている。そのため、図6Bの例において第2配線パターン112及び第3配線パターン113は、断線懸念配線として識別される。
【0078】
このように断線懸念配線が検出されると、断線懸念配線として識別された配線パターン(図6Bの例において第2及び第3の配線パターン112、113)の断線を回避すべく、好ましくは、いずれかの導体層の導体パターンが変更される。例えば、第3導体層13に導体パターン13p(図3C参照)が追加される。その結果、第2配線パターン112及び第3配線パターン113は、導体パターン13pと重なる配線パターンとなり、断線の可能性が低下する。また、断線懸念配線として識別された配線パターンの配線幅が、所定の長さLpを超える長さに拡げられてもよい。また、断線懸念配線として識別された配線パターンが、部品実装領域の縁部AEと重ならない位置に、若しくは、対象導体層群以外の導体層に移されてもよい。例えばこのような導体パターンの変更を行うことによって、配線パターンの断線を回避することができる。なお、このような導体パターンの変更後の配線基板1を対象に本実施形態の方法で断線懸念配線の検出が行われると、第2及び第3の配線パターン112、113は、条件1を満たさないため断線懸念配線として識別されない。
【0079】
以上のように、本実施形態の方法によれば、断線の懸念がある配線パターンを適切に検出することができると考えられる。検出された配線に関する適切な改善措置をとり得ることがある。従って、配線パターンの断線を未然に防ぎ得ることがある。
【0080】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示された構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。例えば、ビア導体31及びスルーホール導体32は必ずしも形成されていなくてもよく、ソルダーレジスト層41、42も必ずしも設けられなくてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 配線基板
11 第1導体層
111〜115 第1〜第5の配線パターン
11a 接続パッド
11b、12b、13b パターン像
12 第2導体層
126 第6配線パターン
13 第3導体層
137、138 第7及び第8の配線パターン
14〜17 導体層
21〜26 絶縁層
A 部品実装領域
AE 縁部
C 部品
CP 部品実装領域のコーナー部
L1 第1長さ
L2 第2長さ
Px 画素
Pxg 一群の画素
R1 第1領域
R2 第2領域
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6A
図6B