【解決手段】複数のチップが与えられた転写基板を被転写基板の上に設ける手順と、ラインビームを放出する手順と、前記ラインビームの経路に設けられたマスクを用いて、前記ラインビームから複数のパターンビームを整形する手順と、前記パターンビームを前記転写基板に照射して、前記転写基板から複数のチップを引き離す手順と、前記転写基板から引き離された複数のチップを前記被転写基板に載置する手順と、を含むチップ転写方法、及びここに適用されるチップ転写装置。
前記マスクに形成された複数のパターンのうち、前記複数のチップのそれぞれと大きさが対応するパターンに前記ラインビームを通過させて前記パターンビームに整形できるように、前記マスクの位置を変更するパターン取り替え手順をさらに含む請求項2に記載のチップ転写方法。
同じラインビームを用いて、前記パターンビームを整形する手順と、前記マーカビームを整形する手順と、を同時に行うが、前記ラインビームの一部分から前記マーカビームを整形し、その残りの部分から前記パターンビームを整形する請求項4に記載のチップ転写方法。
前記複数のパターンのうち、前記転写基板に取り付けられた前記複数のチップと大きさが合致するパターンに前記ラインビームを通過させるように前記マスク支持部を制御して前記マスクの位置を変更するパターン取り替え部をさらに備える請求項13に記載のチップ転写装置。
前記複数のパターンは、それぞれ複数本のパターン孔を備え、前記ラインビームの幅方向に同一線の上に並べられたパターン孔は、形状、大きさ及び配列が同様であり、前記ラインビームの幅方向と交わる向きに並べられたパターン孔は、形状、大きさ及び配列が異なる請求項13に記載のチップ転写装置。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。本発明を説明するに当たって、同じ構成要素に対しては同じ参照符号を付し、図面は、本発明の実施形態を正確に説明するために大きさが部分的に誇張されてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0032】
本発明の実施形態に係るチップ転写方法及び装置は、パターンの形成されたマスクを用いて、被転写基板上の定められた位置に複数のチップを一括して転写し得る技術的な特徴を提示する。
【0033】
また、本発明の実施形態に係るチップ転写方法及び装置は、互いに異なる複数のパターンが形成された一枚のマスクを用いて基板の上に互いに異なる複数の大きさのチップを転写し得る技術的な特徴を提示する。
【0034】
本発明の実施形態に係るチップ転写方法及び装置は、レーザビームを用いたマイクロLEDチップの転写工程に使用可能である。
【0035】
言うまでもなく、本発明の実施形態に係るチップ転写方法及び装置は、レーザビームを用いて様々な電子素子を犠牲基板から狙いの基板へと転写する各種の工程にも活用可能である。
【0036】
以下、マイクロLEDチップの転写工程を基準として、本発明の実施形態に係るチップ転写方法及び装置について詳しく説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施形態に係るチップ転写装置の概略図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る複数のパターンが形成されたマスクの概略図である。なお、
図3から
図7は、本発明の実施形態に係るチップ転写方法及び装置を用いたマイクロLEDチップの転写工程の工程手順図である。
【0038】
図1から
図7に基づいて、本発明の実施形態に係るチップ転写装置について説明する。一方、チップ転写装置をマイクロLEDチップの転写装置と称することがある。
【0039】
本発明の実施形態に係るチップ転写装置は、転写基板S’から被転写基板Sへと複数のチップ、例えば、複数のマイクロLEDチップ1を転写するチップ転写装置であって、ラインビームLからパターンビームL’を整形して転写基板S’に照射できるようにパターンPが形成されるマスク10と、マスク10を移動及び回転自在に支持するマスク支持部20と、複数のマイクロLEDチップ1を転写できるようにマスク10に向かってラインビームLを放出するレーザ光源部30を備える。なお、チップ転写装置は、マスク10を通過しながら整形された複数のパターンビームL’を転写基板S’に反射させる反射ミラー部40を備えていてもよい。
【0040】
このとき、マスク10には、大きさの異なる複数のパターンPが形成されてもよい。さらに詳しくは、マスク10には、形状、大きさ及び配列が互いに異なる複数のパターンPが形成されてもよい。なお、複数のパターンPのうちのいずれか一つのパターンは、複数のマイクロLEDチップ1のそれぞれと大きさが対応していてもよい。
【0041】
ここで、「大きさが対応していて」とは、マイクロLEDチップ10の一つの大きさと、パターンビームL’の一本の大きさと、が予め定められた所定の誤差値内において一致することをいう。このとき、マイクロLEDチップ10の一つの大きさよりも、パターンビームの一本の大きさの方が誤差値内において相対的にさらに大きくてもよい。一方、誤差値は、余裕もしくはマージンとも呼ばれる。
【0042】
また、複数のパターンPのうちのいずれか一つのパターンは、複数のマイクロLEDチップ1のそれぞれと形状及び配列が一致してもよい。
【0043】
さらに、チップ転写装置は、複数のパターンPのうち、転写基板S’に取り付けられた複数のマイクロLEDチップ1と大きさが合致するパターンにラインビームLを通過させるようにマスク支持部20を制御してマスク10の位置を変更するパターン取り替え部50をさらに備えていてもよい。
【0044】
チップは、マイクロLEDチップ1であってもよい。いうまでもなく、チップは、マイクロLEDチップ1に加えて、様々な電子素子チップを備えていてもよい。
【0045】
マイクロLEDチップ1は、サファイアもしくはシリコン基板の上にAl、Ga、N、P、As及びInなどの無機物材質の薄膜を成長させる方式により製造されてもよい。マイクロLEDチップ1は、例えば、10〜100マイクロメートルの大きさであってもよい。マイクロLEDチップ1は、青色、緑色及び赤色のマイクロLEDチップを備えていてもよい。製造済みのマイクロLEDチップ1は、サファイアもしくはシリコン基板から引き離され、転写基板S’に取り付けられてもよい。一方、マイクロLEDチップ1は、転写基板S’の上にAl、Ga、N、P、As及びInなどの無機物材質の薄膜を成長させる方式により直接的に製造されてもよい。
【0046】
転写基板S’は、複数のマイクロLEDチップ1がアレイ状に配置されて取り付けられたウェハであってもよい。いうまでもなく、転写基板S’において複数のマイクロLEDチップ1を直接的に成長させてもよい。転写基板S’を一時基板と称することもある。
【0047】
以下では、説明のしやすさのために、被転写基板を略して基板Sと称することもある。
【0048】
基板Sは、ガラスであってもよい。基板Sには、各種の配線と薄膜トランジスタが形成されてもよい。チップ転写装置を用いて、転写基板S’から基板Sの画素領域へと青色、緑色及び赤色のマイクロLEDチップを転写してもよい。いうまでもなく、基板Sの種類と材質は種々に変更可能である。一方、基板Sをターゲット基板と称することもある。基板S及び基板Sの上に形成された各種の配線と薄膜トランジスタは、例えば、透明な材質であってもよい。
【0049】
転写基板S’は、第1のステージ(図示せず)に支持されてもよく、基板Sは、第2のステージ(図示せず)に支持されてもよい。第1及び第2のステージは、チャンバ(図示せず)の内部に収容されてもよく、上下方向Yに互いに対向してもよい。
【0050】
第1のステージは、例えば、四角い板状もしくは円板状に形成されてもよく、中心部に開口が配備されてもよい。第1のステージの面積は、転写基板S’の面積よりも大きく形成され、開口の面積は、転写基板S’の面積よりも小さく形成されてもよい。
【0051】
第1のステージは、下部に吸着器(図示せず)が配備されてもよい。吸着器は、開口の周りに沿って並べられてもよい。転写基板S’は、吸着器により第1のステージの下部に吸着されて支持されてもよい。このとき、開口を介して転写基板S’の上部面の一部が外部に露出されてもよい。このため、開口を介してパターンビームL’が転写基板S’に照射されることが可能になる。一方、第1のステージの形状及び第1のステージが転写基板S’を支持する方式は種々に変更可能である。
【0052】
第2のステージは、第1のステージの下側に配置されてもよい。第2のステージは、基板Sを支持する役割を果たす。第2のステージは、例えば、四角い形状であってもよい。第2のステージの上面に基板Sが載置されて支持されてもよい。第2のステージの上面の面積は、基板Sの面積よりも大きく形成されてもよい。一方、第2のステージの構造と形状は種々に変更可能である。
【0053】
第1のステージに転写基板S’が載置され、第2のステージに基板Sが載置されることにより、転写基板S’と基板Sとが上下方向に互いに対向することができる。
【0054】
チップ転写装置は、第1及び第2の駆動部(図示せず)をさらに備えていてもよい。第1及び第2の駆動部により第1及び第2のステージがそれぞれ別々に移動及び回転することができる。したがって、第1及び第2の駆動部を用いて第1及び第2のステージをそれぞれ別々に移動させて、転写基板S’と基板Sとを上下方向Yに位置合わせすることができる。
【0055】
第1の駆動部は、第1のステージを前後方向Z、左右方向X及び上下方向Yに移動させることができ、上下方向Yを中心として回転させることができる。なお、第2の駆動部は、第2のステージを前後方向Z、左右方向X及び上下方向Yに移動させることができ、上下方向Yを中心として回転させることができる。このための第1及び第2の駆動部の構成と方式は種々に変更可能である。
【0056】
マスク10は、マスク支持部20に支持されてもよく、反射ミラー部40とレーザ光源部30との間に配置されてもよい。このため、マスク10は、レーザ光源部30から反射ミラー部40へと進むラインビームLをマスク10に配備されたパターンPに通過させてパターンPの形状に整形することができる。パターンPの形状が整形されたパターンビームL’は、反射ミラー部40において反射されて転写基板S’に照射されることが可能になる。
【0057】
マスク10は、プレート状に形成されてもよい。マスク10には、パターンPが形成されてもよい。パターンPは、複数本のパターン孔を備えていてもよい。複数本のパターン孔は、ラインビームLの幅方向に並べられてもよく、一本の列をなしてもよく、ラインビームLを通過させてパターンPの形状に整形する役割を果たす。
【0058】
いうまでもなく、マスク10には、複数のパターンPが形成されてもよい。これらの複数のパターンPは、ラインビームLを通過させてパターンの形状に整形する役割を果たす。複数のパターンPは、上下方向Yに並べられてもよい。
【0059】
複数のパターンPを複数本の列rのパターンPと称することもある。ここで、複数本の列rは、例えば、第1の列r1、第2の列r2、第3の列r3、第4の列r4及び第5の列r5を含んでいてもよい。複数のパターンPは、各列に沿って形成され、第1の列パターンP1、第2の列パターンP2、第3の列パターンP3、第4の列パターンP4及び第5の列パターンP5を含んでいてもよい。いうまでもなく、複数本の列の本数は種々に変更可能である。
【0060】
複数のパターンPは、それぞれ複数本のパターン孔を備えていてもよい。左右方向Xに同一線の上に並べられた複数本のパターン孔が一本の列をなしながら一つのパターンPを形成してもよい。
【0061】
複数本のパターン孔は、ラインビームLを通過させ、ラインビームLの形状をパターン孔の形状に整形することができる。すなわち、マスク10に達したラインビームLの一部が複数本のパターン孔を通過してパターンビームL’に整形されることが可能であり、残りはマスク10を通過できないことがある。このため、複数本のパターン孔を通過したパターンビームL’は、転写基板S’の上に複数本のパターン孔の形状と同じパターンの形状に照射されることが可能になる。
【0062】
ラインビームLの幅方向、例えば、左右方向Xに同一線の上に並べられて一つのパターンPを形成する複数本のパターン孔は、その形状、大きさ及び配列が互いに同一であってもよい。すなわち、同一の列rをなすパターン孔は、その形状と大きさと配列とが互いに同一である。ここで、配列とは、パターン孔同士の左右の間隔のことをいう。このように、左右方向Xに同一の形状、大きさ及び配列のパターン孔が並べられて一本のラインを形成することができる。
【0063】
また、ラインビームLの幅方向と交わる向き、例えば、高さ方向Yに並べられたパターン孔は、形状、大きさ及び配列のうちの少なくともいずれか一つが互いに異なっていてもよい。すなわち、列rが異なると、パターン孔の形状、大きさ及び配列のうちの少なくともいずれか一つが互いに異なっていてもよい。例えば、上下方向Yに互いに異なる形状や大きさや配列のパターン孔を有するラインが並べられてもよい。
【0064】
すなわち、第1の列r1に沿って形成された第1の列パターンP1のパターン孔と、第2の列r2に沿って形成された第2の列パターンP2のパターン孔は、その形状、大きさ及び配列のうちの少なくともいずれか一つが互いに異なる。これと同様に、第1の列パターンP1のパターン孔と第3の列パターンP3のパターン孔もまた、その形状、大きさ及び配列のうちの少なくともいずれか一つが互いに異なる。すなわち、各列rに沿って形成されたパターンのパターン孔は、その形状、大きさ及び配列のうちの少なくともいずれか一つが互いに異なる。このため、マスク10は、パターンPの数に見合う分だけ様々にパターンビームL’を整形することができる。すなわち、ラインビームLを通過させるパターンPの形状、大きさ及び配列に応じて、転写基板S’に照射されるパターンビームL’の形状、大きさ及び配列が決定され得る。
【0065】
ラインビームLの幅方向に複数のパターンPの両側には複数のアラインマーカMがそれぞれ形成されてもよい。複数のアラインマーカMは、例えば、第1の列アラインマーカM1、第2の列アラインマーカM2、第3の列アラインマーカM3、第4の列アラインマーカM4及び第5の列アラインマーカM5を含んでいてもよい。これらのアラインマーカMは、ラインビームの幅方向に複数のパターンPと互いに同一線の上にそれぞれ並べられてもよい。
【0066】
例えば、第1の列に位置するパターンとアラインマーカとが左右方向Xに同一線の上に位置してもよい。残りの列も同様に、各列に位置するパターンとアラインマーカとが左右方向Xに同一線の上に位置してもよい。アラインマーカをアライン孔と称することがある。アラインマーカは、十字状に形成されてもよい。このため、アラインマーカを通過しながら整形されたマーカビームL
M は、転写基板S’に十字状に表示されることが可能になる。いうまでもなく、アラインマーカの形状は種々に変更可能である。
【0067】
左右方向Xに延びた形状のラインビームLは、複数本の列のうちのいずれか一本の列に形成されたパターン孔及びアラインマーカを通過しながら複数のパターンビームL’とマーカビームL
M に整形されることが可能であり、転写基板S’に複数の点状に照射され得る。このとき、ラインビームLが通過する列のパターン孔の形状及び大きさに応じて、転写基板Sに照射されるパターンビームの形状及び大きさが決定され得る。一方、転写基板S’に照射された十字状のマーカビームL
M の形状及び位置を観察して、転写基板S’に対するマスク10の位置合わせ具合を確認してもよい。
【0068】
マスク支持部20は、マスク10を移動及び回転自在に支持してもよい。例えば、マスク支持部20は、マスク10を左右方向X、前後方向Z及び上下方向Yに移動自在に支持してもよい。このとき、マスク支持部20は、マスク10の上下左右の4つの隅角部を前後方向Zに互いに異なる距離だけそれぞれ移動自在に支持してもよい。なお、マスク支持部20は、マスク10を前後方向Zを中心として回転可能なように支持してもよい。
【0069】
マスク支持部20は、転写基板S’が支持された第1のステージから上側へと離れてもよく、レーザ光源部30と反射ミラー部40との間に位置してもよい。マスク支持部20は、上下方向Y及び左右方向Xに延びて所定の面積を有していてもよく、前後方向Zに所定の厚さを有していてもよい。マスク支持部20は、例えば、中心部が開口された四角いプレート状であってもよい。いうまでもなく、マスク支持部20の形状は種々に変更可能である。マスク支持部20は、マスク10を支持する役割を果たす。
【0070】
マスク支持部20は、マスク10の周縁を支持してもよい。マスク支持部20の中心部の開口を介して、マスク10の中心部に形成された複数のパターンP及びアラインマーカMがレーザ光源部30に露出されてもよい。
【0071】
マスク支持部20には、駆動体(図示せず)が配備されてもよい。駆動体は、前後駆動体(図示せず)、左右駆動体(図示せず)、上下駆動体(図示せず)及び回転駆動体(図示せず)のうちの少なくとも一つを備えていてもよい。駆動体にマスク10が支持されてもよい。マスク支持部20は、駆動体を用いて、マスク10の位置及び勾配を複数の方向に調節してもよい。
【0072】
マスク支持部20は、転写基板Sに取り付けられたマイクロLEDチップ1の大きさ、形状及び配列に合致するパターンPをラインビームLが通過できるように、マスク10の位置を変更してもよい。すなわち、マスク支持部20は、複数のパターンPのうち、ラインビームLを通過させるべきパターンPを選択できるように、複数の方向にマスク10を移動及び回転させてもよい。したがって、マスク10は、複数のパターンPのうち、転写基板S’に取り付けられた複数のマイクロLEDチップ1と形状、大きさ及び配列が合致するいずれか一本の列のパターンにラインビームLを通過させることができる。このため、転写基板S’に照射すべきパターンビームL’の形状、大きさ及び配列をマイクロLEDチップ1と形状、大きさ及び配列に合致するように選択することができる。
【0073】
レーザ光源部30は、マスク10と、例えば、前後方向Zに互いに離れていてもよく、マスク10に向かってレーザビームを、例えば、ラインビームLの形状に放出してもよい。ラインビームLは、左右方向Xに延びてもよく、前後方向Zに放出されてもよい。レーザ光源部30のレーザ源は種々に変更可能である。
【0074】
反射ミラー部40は、転写基板S’の上側に離れ、マスク10と前後方向Zに向かい合っていてもよい。反射ミラー部40は、マスク10を通過しながら整形された複数のパターンビームL’を転写基板S’に反射させてもよい。反射ミラー部40は、パターンビームL’の進行方向とは45°だけ傾くように配置されてもよい。
【0075】
反射ミラー部40は、複数のマイクロLEDチップと大きさが合致するパターンを通過した複数のパターンビームL’、及び複数のマイクロLEDチップと大きさが合致するパターンの両側に位置する一対のアラインマーカを通過した一対のマーカビームL
M を転写基板S’に反射させてもよい。このため、複数のパターンビームL’及び一対のマーカビームL
M が転写基板S’に同時に照射されることが可能になる。
【0076】
パターンビームL’及びマーカビームL
M は、マスク10と反射ミラー部40との間において前後方向Zに進んでもよく、反射ミラー部40において下側に反射され、転写基板S’に向かって上下方向に進んでもよい。
【0077】
パターン取り替え部50は、複数のパターンPのうち、転写基板S’に取り付けられた複数のマイクロLEDチップ1と大きさが合致するパターンにラインビームLを通過させるようにマスク支持部20を制御してマスク10の位置を変更してもよい。
【0078】
パターン取り替え部50は、マイクロLEDチップの転写工程を行う工程制御器(図示せず)から転写基板S’に取り付けられたマイクロLEDチップ1の大きさ、形状及び配列に関する情報を入力され、入力されたマイクロLEDチップ1の大きさ、形状及び配列に合致するパターンを選択し、選択したパターンにラインビームLを通過させるようにマスク支持部20を制御してマスク10の位置を変更してもよい。
【0079】
一方、本発明の実施形態に係るマイクロLEDチップの転写装置は、第1のアラインモニタリング部60と、第1のアライン調節部70と、第2のアラインモニタリング部80及び第2のアライン調節部90を備えていてもよい。
【0080】
第1のアラインモニタリング部60は、光学カメラであってもよい。第1のアラインモニタリング部60は、転写基板S’の上側に複数配置されてもよい。第1のアラインモニタリング部60は、転写基板S’に照射されたマーカビームL
M を撮影してマーカビーム画像を生成してもよい。第1のアラインモニタリング部60で転写基板S’の上にマーカビームL
M が照射される位置と形状を確認してもよい。
【0081】
第1のアライン調節部70は、転写基板S’の上側から下方へと転写基板S’に照射された一対のマーカビームL
M により転写基板S’に形成された一対の位置合わせマークが、マーカビームL
M に対応するように転写基板S’に表示された目安マークと一致するようにマスク支持部20を制御してラインビームLの進行方向と交わる向きにマスクの位置及び勾配を変更してもよい。第1のアライン調節部70は、第1のアラインモニタリング部60からマーカビーム画像を入力されてもよく、マーカビーム画像に表示された位置合わせマークの位置と形状に応じてマスク支持部20を制御してマスク10の位置合わせ具合を調節してもよい。
【0082】
第1のアラインモニタリング部60及び第1のアライン調節部70を用いて、転写基板S’上の目安マークの位置と位置合わせマークの位置とを確認して位置合わせマークが目安マークの位置に移動するようにマスク10の位置合わせ具合を調節することにより、転写基板S’に対するマスク10の位置を1次アラインすることができる。
【0083】
第2のアラインモニタリング部80は、ビームプロファイルカメラであってもよい。第2のアラインモニタリング部80は、基板Sの下側に移動自在に設けられてもよい。第2のアラインモニタリング部80は、転写基板S’を透過したパターンビームL’の焦点画像を撮影してパターンビーム画像として生成してもよい。第2のアラインモニタリング部80で転写基板S’の上に照射されたパターンビームL’の焦点の形状及び特性を確認してもよい。ここで、パターンビームL’の特性は、パターンビームL’の焦点のエネルギープロファイル及びコントラストを含んでいてもよい。このとき、エネルギープロファイルからパターンビームL’のエネルギー密度及び均一度を確認してもよく、パターンビームL’のコントラストから鮮明度を確認してもよい。
【0084】
第2のアライン調節部90は、転写基板S’の上側から下方へと転写基板S’を透過した複数のパターンビームL’の焦点画像から寄せ集められたパターンビームの特性が目安特性と一致するようにマスク支持部20を制御してラインビームLの進行方向にマスク10の位置及び勾配を変更してもよい。このために、第2のアライン調節部90は、第2のアラインモニタリング部80からパターンビーム画像を入力されてもよく、パターンビーム画像から確認されるパターンビームのエネルギープロファイル及びコントラストのうちの少なくともいずれか一方が目安エネルギープロファイル及び目安コントラストのうちの少なくともどちらか一方と一致するようにマスク支持部20を制御してマスク10の位置合わせ具合を調節してもよい。
【0085】
第2のアラインモニタリング部80及び第2のアライン調節部90を用いて、転写基板S’の上にパターンビームL’が照射された具合を確認して、パターンビームのエネルギープロファイルが目安エネルギープロファイルに一致し、かつ、パターンビームのコントラストが目安コントラストに一致するように、マスク10の位置合わせ具合を調節することにより、転写基板S’に対するマスク10の位置を2次アラインすることができる。このため、パターンビームL’の歪みを防ぐことができる。
【0086】
転写基板S’に対するマスク10の位置がアラインされれば、転写基板S’に取り付けられたマイクロLEDチップ1と転写基板S’との接着面にパターンビームL’が正確に照射されることが可能であり、マイクロLEDチップ1を転写基板S’から円滑に引き離して基板S上の所望の位置にマイクロLEDチップ1を正確に落下させることができる。
【0087】
上述したところによれば、本発明の実施形態に係るチップ転写装置は、パターンの形成されたマスクを用いて、被転写基板上の定められた位置に複数のチップを一括して転写することができる。
【0088】
すなわち、パターンの形成されたマスクを用いることにより、パターン単位でマイクロLEDチップの転写が行われることが可能になる。
【0089】
また、本発明の実施形態に係るチップ転写装置は、複数のパターンが形成されたマスクを用いて、被転写基板上の定められた位置に複数の大きさのマイクロLEDチップを転写することができる。より具体的に、本発明の実施形態によれば、複数の異なるパターンが形成された一枚のマスクを用いて、被転写基板上の定められた位置に複数の大きさのうち所望の大きさのマイクロLEDチップを簡単に転写することができる。
【0090】
すなわち、たとえ生産型番が変更されてマイクロLEDチップの大きさが変更されたとしても、マスクを取り替えなくても済み、単にマスクを移動させてレーザラインビームが通過するパターンを取り替えることにより、パターンを通過した複数のレーザパターンビームの大きさ、形状及び間隔をマイクロLEDチップの変更済みの大きさに合致するように調節して複数のマイクロLEDチップと転写基板との貼り合わせ面に照射することができるので、様々な大きさのマイクロLEDチップを被転写基板上の定められた位置に簡単に転写することができる。
【0091】
したがって、マスクの取り替えにかかる時間を節約して工程時間を短縮することができ、マスクの取り替えによる作業者の業務への負担を減らすことができ、マスクの取り替えの際に発生し得るアライン不良を根源的に防いで安定的なレーザビームの品質を確保することができる。これにより、マイクロLEDチップの転写工程の生産性を向上させることができる。
【0092】
図8は、本発明の実施形態に係るチップ転写方法の手順図である。
【0093】
以下、本発明の実施形態に係るチップ転写方法について説明する。
【0094】
本発明の実施形態に係るチップ転写方法は、複数のチップ、例えば、複数のマイクロLEDチップ1が与えられた転写基板S’を被転写基板(以下、基板Sと称する)の上に設ける手順と、ラインビームLを放出する手順と、ラインビームLの経路に設けられたマスク10を用いて、ラインビームLから複数のパターンビームL’を整形する手順と、パターンビームL’を転写基板S’に照射して、転写基板S’から複数のマイクロLEDチップ1を引き離す手順と、転写基板S’から引き離された複数のチップを基板Sに載置する手順と、を含む。
【0095】
また、転写基板S’を基板Sの上に設ける手順とラインビームLを放出する手順との間に、マスク10に形成された複数のパターンPのうち、複数のマイクロLEDチップ1のそれぞれと大きさが対応するパターンにラインビームLを通過させてパターンビームL’に整形できるようにマスク10の位置を変更するパターン取り替え手順をさらに含んでいてもよい。
【0096】
ここで、「大きさが対応する」とは、予め定められた所定の誤差値内において大きさが互いに一致することを意味する。例えば、マイクロLEDチップ1の一つの大きさ(「面積」とも称する)とパターンビームL’の一本の焦点の大きさとが所定の余裕、例えば、マージンをもって互いに一致してもよい。このとき、パターンビームの大きさの方が相対的にさらに大きくてもよい。したがって、パターンビームをマイクロLEDチップと転写基板S’との貼り合わせ面に照射するとき、貼り合わせ面の中心部から周縁までまんべんなく均一にパターンビームを照射することができる。
【0097】
さらに、ラインビームLを放出する手順とマイクロLEDチップ1を引き離す手順との間に、ラインビームLの経路に設けられたマスク10を用いてラインビームLからマーカビームL
M を整形する手順と、マーカビームL
M を転写基板S’に照射し、転写基板S’上のマーカビームL
M を撮影してマーカビーム画像を生成する手順と、マーカビーム画像を用いて転写基板S’に対するマスク10の位置をアラインする1次アライン手順と、をさらに含んでいてもよい。このとき、マーカビームL
M を整形する手順は、パターンビームL’を整形する手順と同時に行われてもよい。
【0098】
さらに詳しくは、マーカビームL
M を整形する手順とパターンビームL’を整形する手順は、同一のラインビームLを用いてラインビームLの幅方向に同一線の上において同時に行われてもよい。
【0099】
すなわち、同一の一本のラインビームLからマーカビームL
M とパターンビームL’とを同時に整形してもよい。このとき、ラインビームLの一部分をマーカビームL
M に整形してもよく、ラインビームLの残りの部分をパターンビームL’に整形してもよい。すなわち、ラインビームLの両側の周縁の部分からマーカビームL
M を整形し、ラインビームLの残りの部分からパターンビームL’を整形してもよい。
【0100】
さらにまた、1次アライン手順とマイクロLEDチップ1を引き離す手順との間に、パターンビームL’を転写基板S’に照射し、転写基板S’を透過したパターンビームL’を撮影してパターンビーム画像を生成する手順と、パターンビーム画像を用いて、マスク10を通過して転写基板S’に照射されるパターンビームのフォーカシングのために転写基板S’に対するマスク10の勾配及び距離をアラインする2次アライン手順と、を含んでいてもよい。
【0101】
本発明の実施形態に係るチップ転写方法は、転写基板S’から基板Sへと複数のマイクロLEDチップ1を転写してもよい。本発明の実施形態に係るチップ転写方法をマイクロLEDチップの転写方法と称することもある。
【0102】
S100:まず、
図1を参照すると、複数のマイクロLEDチップ1が与えられた転写基板S’を基板Sの上に設ける。このとき、複数のマイクロLEDチップ1は、転写基板S’上において製造された複数のマイクロLEDチップ1であってもよい。あるいは、別途の犠牲基板において製造された複数のマイクロLEDチップ1が転写基板S’に取り付けられてもよい。
【0103】
上下方向Yに互いに対向した第1及び第2のステージ(図示せず)を用意し、第1のステージの下面に転写基板S’を支持させ、第2のステージの上面に基板Sを載置してもよい。このとき、第1及び第2の駆動部(図示せず)を用いて第1及び第2のステージをそれぞれ複数の方向に移動及び回転させて上下方向Yに転写基板S’と基板Sとを位置合わせしてもよい。
【0104】
このとき、上下方向Yに転写基板S’と基板Sとを位置合わせする方式は種々に変更可能である。転写基板S’と基板Sとを位置合わせすることを基板アライン手順と称することもある。
【0105】
S200:次いで、マスク10に形成された複数のパターンPのうち、複数のマイクロLEDチップ1と大きさが合致するパターンにラインビームLを通過させてパターンビームL’に整形できるように、マスク10の位置を変更してパターンを取り替える。
【0106】
図3は、第3の列r3に形成されたパターンにラインビームLを通過させる様子を示すマイクロLEDチップの転写工程の工程手順図である。また、
図4は、第1の列r1に形成されたパターンにラインビームLを通過させるためにマスク10を移動させる様子を示すマイクロLEDチップの転写工程の工程手順図である。
【0107】
図3及び
図4を参照すると、マスク10を上下方向Yに移動させて複数本の列のパターンPのうちのいずれか一本の列のパターンにラインビームLが通過できるようにする。このとき、転写基板S’に対するマスク10のアラインメントがずれることもある。
【0108】
S300:転写基板S’に向かってラインビームLを放出する。ラインビームLは、レーザ光源部30から転写基板S’に向かって放出され、レーザ光源部30と転写基板S’との間の経路に置かれたマスク10と反射ミラー部40とを経て転写基板S’に照射されてもよい。
【0109】
S410:ラインビームLの経路に設けられたマスク10を用いて、ラインビームLからマーカビームL
M を整形する。例えば、複数のパターンPの両側にそれぞれ形成された複数のアラインマーカMのうち、複数のマイクロLEDチップ1と大きさが合致するパターンの両側に形成された一対のアラインマーカにラインビームLを通過させてパターンビームL’の両側に一対のマーカビームL
M を形成する。一対のマーカビームL
M は、一対のアラインマーカを通過しながらアラインマーカの形状、例えば、十字状に整形され、反射ミラー部40に向かって前後方向Zに進んでもよい。
【0110】
S420:次いで、マーカビームL
M を転写基板S’に照射し、転写基板S’上のマーカビームL
M を撮影してマーカビーム画像を生成する。すなわち、反射ミラー部40に向かって前後方向Zに進む一対のマーカビームL
M を反射ミラー部40において反射させて転写基板S’に進ませ、転写基板S’の上側から下方へと転写基板S’に照射された一対のマーカビームL
M により転写基板S’に形成された一対の位置合わせマークを第1のアラインモニタリング部60で撮影する。このとき、マーカビーム画像には、転写基板S’に予め表示された目安マークが一緒に撮影されてもよい。あるいは、マーカビームL
M に対応するように転写基板S’に表示された目安マークの座標(0,0)を目安にして、位置合わせマークを撮影した画像に目安マークを挿入してもよい。
【0111】
図5は、マスク10の1次アラインの際にマスク10の位置及び勾配を調節する様子を示すマイクロLEDチップの転写工程の工程手順図である。
【0112】
S430:次いで、マーカビーム画像を用いて、転写基板S’に対するマスク10の位置を1次アラインする。具体的に、第1のアラインモニタリング部60から第1のアライン調節部70へと入力されたマーカビーム画像から目安マークに対する位置合わせマークのオフセット(Δx,Δy,Δθ)を算出し、第1のアラインモニタリング部60でマスク支持部20を制御して、転写基板S’上の位置合わせマークを目安マークに一致できるように、ラインビームLの進行方向と交わる向きである左右方向X及び上下方向Yに上述したオフセットに見合う分だけマスク10を移動及び回転させてマスク10の位置及び勾配を調節する(
図4及び
図5参照)。ここで、勾配とは、X−Z平面に対するマスク10の勾配もしくは回転角度のことをいう。
【0113】
次いで、転写基板S’上において位置合わせマークが目安マークに一致するように上述したマーカビーム画像を生成する手順と1次アライン手順とを繰り返し行ってもよい。これらの手順によりマスク10の1次アラインが完了することができ、転写基板S’の上にマーカビームL
M が所望の位置に照射されることが可能であり、このため、マーカビームL
M の間に位置するパターンビームL’もまた転写基板S’上における所望の位置に正確に照射されることが可能になる。
【0114】
S510:ラインビームLの経路に設けられたマスク10を用いて、ラインビームLから複数のパターンビームL’を整形する。このとき、この手順は、前述したラインビームLからマーカビームL
M を整形する手順と並行して行われてもよい。例えば、ラインビームLがレーザ光源部30からマスク10に放出され、マスク10を通過しながらパターンビームL’に整形される。
【0115】
図6は、第2のアラインモニタリング部80で転写基板S’をスキャンしながら転写基板S’を透過したパターンビームL’の焦点画像を撮影する様子を示すマイクロLEDチップの転写工程の工程手順図である。
【0116】
S520:次いで、パターンビームL’を転写基板Sに照射し、転写基板Sを透過したパターンビームL’を撮影してパターンビーム画像を生成する。すなわち、マスク10を通過したパターンビームL’を反射ミラー部40に進ませ、反射ミラー部40において反射させて転写基板S’に照射する。そして、第2のアラインモニタリング部80で転写基板S’を透過して転写基板S’とマイクロLEDチップ1との貼り合わせ面の上に焦点が形成されたパターンビームL’を撮影してパターンビーム画像を生成する(
図6参照)。
【0117】
このとき、転写基板S’の上側から下方へと転写基板S’を透過した複数のパターンビームL’が並べられた方向に沿って転写基板S’をスキャンしながら複数のパターンビームの焦点画像を撮影する。このような手順は、1次アライン手順と複数のマイクロLEDチップを引き離す手順との間に行う。すなわち、1次アラインが完了したマスク10を通過したパターンビームL’を撮影してパターンビーム画像を生成する。
【0118】
図7は、マスク10の2次アラインの際にマスク10の位置及び勾配を調節する様子を示すマイクロLEDチップの転写工程の工程手順図である。
【0119】
S530:次いで、第2のアライン調節部90を用いて、パターンビーム画像を用いて、転写基板S’の上に照射されるパターンビームL’のフォーカシングのための転写基板S’に対するマスク10の勾配及び距離を2次アラインする。すなわち、第2のアラインモニタリング部80において撮影された焦点画像からパターンビームの特性を寄せ集める。焦点画像から寄せ集められるパターンビームの特性は、パターンビームのエネルギープロファイル及びコントラストのうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。次いで、第2のアライン調節部90を用いて、寄せ集められた特性を目安特性と対比し、寄せ集められた特性が目安特性と一致するようにマスク支持部20を制御してラインビームLの進行方向、例えば、前後方向Zにマスク10の位置及び勾配を調節する。このとき、位置は、前後方向Zに対する位置であり、勾配は、X−Y平面に対する勾配を意味する。
【0120】
このとき、マスク10の上下左右の4つの隅角部を前後方向Zにそれぞれ互いに異なる距離ΔZ1〜ΔZ4だけ移動させる、あるいは、互いに同じ距離で移動させるなどしてもよい(
図7参照)。例えば、レーザ光源部30に向かって、マスク10を前後方向Zに引っ張ったり押したりすると、パターンビームL’の焦点が鮮やかになり、このとき、引っ張ったり押したりする方向に応じてエネルギープロファイルが増加もしくは減少しながら所望の値を有することができる。
【0121】
このような手順で、パターンビームL’の焦点画像の乱れを補正することができ、焦点画像の乱れが所望のレベルまで補正できるように上述したパターンビーム画像を生成する手順と2次アライン手順とを繰り返し行ってもよい。このため、マスク10と転写基板S’とのアラインメントが完了することができる。
【0122】
S600:次いで、1次及び2次アラインが完了したマスク10を通過しながら整形されたパターンビームL’を転写基板S’に照射して、転写基板S’とマイクロLEDチップ1との貼り合わせ面に熱エネルギーを加え、転写基板S’から複数のマイクロLEDチップ1を引き離す。具体的に、転写基板S’から引き離すべき複数のマイクロLEDチップ1に複数のパターンビームをそれぞれ対応させながら同時に照射してもよい。ここで、「対応させながら照射して」とは、一つのマイクロLEDチップ1に一本のパターンビームを照射することを意味する。この手順において、パターン単位で複数のマイクロLEDチップ1を基板S、すなわち、被転写基板Sに一括して転写することができる。
【0123】
このとき、マスク10と転写基板S’とのアラインメントがとられ、転写基板S’と基板Sとのアラインメントがとられた状態であるので、転写基板S’から複数のマイクロLEDチップ1を円滑に引き離すことができ、後述する手順において基板Sの上にマイクロLEDチップ1を正確な位置に載置することができる。
【0124】
次いで、転写基板S’から引き離された複数のマイクロLEDチップ1を基板S上の所望の位置に精度よく載置する。このとき、転写基板S’から引き離される複数のマイクロLEDチップ1の自重を用いて転写基板S’の下方に複数のマイクロLEDチップ1を落下させる。この手順において、マイクロLEDチップ1が基板Sに転写されることが可能になる。
【0125】
このとき、基板Sにおけるチップの貼り合わせ部分とマイクロLEDチップ1における基板の貼り合わせ部分とを貼り合わせながら電気的に接続できるように、基板Sには、上面にボンディング材質の薄膜層(図示せず)が配備されてもよい。
【0126】
ボンディング材質の薄膜層は、異方導電性フィルム(ACF:Anisotropically Conductive Film)層であってもよい。ボンディング材質の薄膜層は、その内部に多数の伝導性粒子が分散されることが可能であり、所定の粘着性を有することができる。ボンディング材質の薄膜層を導電物質層もしくは異方導電性フィルムと称することもある。
【0127】
パターンビームL’を転写基板S’に沿って前後方向にスキャンしながらチップを引き離す手順と、引き離されたチップを被転写基板に転写する手順と、を繰り返し行い、転写基板S’から基板Sへと複数のマイクロLEDチップ1をいずれも引き離し、かつ、転写したら、次の転写基板S’を第1のステージに搬入して次回の転写工程を行ってもよい。
【0128】
次いで、基板S、例えば、被転写基板Sの所望のすべての位置に複数のマイクロLEDチップ1を転写して画素の形成を完了したら、基板Sを次の工程場所に運んで後続工程を行ってもよい。
【0129】
後続工程は、例えば、レーザビームを用いて、基板Sに転写されたマイクロLEDチップ1と基板Sとの貼り合わせ面に熱を加えることにより、基板Sの上に配備されたボンディング材質の薄膜層にマイクロLEDチップ1を貼り合わせ、これらを電気的に接続する工程であってもよい。
【0130】
上述したところによれば、本発明の実施形態に係るチップ転写方法及び装置が適用されたチップ転写工程においては、たとえ生産型番が変更されて転写基板S’上のマイクロLEDチップ1の大きさが異なっていたとしても、マスク10を取り替えることなく、マスク10を移動させてパターン位置のみを変更することができる。
【0131】
具体的に、マイクロLEDディスプレイ装置は、生産型番に応じて、ピクセルを構成するマイクロLEDチップの大きさが異なっていてもよい。このため、工程設備において生産しようとするマイクロLEDディスプレイ装置の生産型番が変更される場合であっても、マスク10を取り替えることなく、マスク10を移動させてパターン位置のみを変更することができる。
【0132】
すなわち、本発明の実施形態によれば、たとえ生産型番が変更されたとしても、マスク10を取り替えることが不要になるので、作業者が工程設備を停止させて既存のマスクを変更済みのマイクロLEDチップの大きさに合致するパターンが形成された新たなマスクに取り替えた後、レーザパターンビームの大きさ、形状及び間隔を新たに調節しなくても済む。これにより、全体の工程時間を短縮することができる。
【0133】
また、本発明の実施形態によれば、パターンの取り替え後に1次及び2次アラインを段階的に行うことにより、安定的なレーザ品質を確保することができる。したがって、マイクロLEDチップを転写する転写工程の生産性を均一に向上させることができる。
【0134】
さらに、転写基板S’からマイクロLEDチップ1を引き離すとき、レーザラインビームをマスク10のパターンPに通過させて互いに離れた複数のレーザパターンビームに加工し、加工された複数のレーザパターンビームL’を複数のマイクロLEDチップと転写基板との貼り合わせ面に照射することにより、複数のマイクロLEDチップを一括して引き離すことができ、複数のマイクロLEDチップ1を被転写基板S上の広い面積にわたって一括して転写することができる。このため、工程速度が速くなる。
【0135】
本発明の前記実施形態は本発明の説明のためのものであり、本発明の制限のためのものではない。本発明の前記実施形態に開示されている構成と方式は、互いに結合したり交差したりして種々の形態に変形される筈であり、これらの変形例もまた、本発明の範囲に収まるものとみなせるということに留意すべきである。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及びこれと均等な技術的思想の範囲内において互いに異なる種々の形態に具体化される筈であり、本発明が該当する技術分野における業者は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の実施例が可能であるということが理解できる筈である。