【解決手段】実施形態のスマホ用レンズカバー10では、アッパーカバー20及びロアカバー30の離隔間隔が広くなる方向への両カバー20,30の移動が、ロックユニット50により阻止されている。スマホ用レンズカバー10は、スマホ90に一旦装着されると、スマホ90から取り外すことが難しく、しかもアッパーカバー20やロアカバー30によりスマホ90のフロントカメラ95やリアカメラ97のレンズ部96,98が覆われるので、それらのカメラ機能は有効に機能しない。したがって、スマホ90のカメラ95,97を使用しようとしても、カメラ機能が事実上有効に働かないため、このようなカメラ付きのスマホ90による秘密情報の盗撮を十分に防止することができる。
前記両カバー部が前記携帯情報端末から取り外し不能に装着された状態においても、前記携帯情報端末の少なくとも一部の操作が可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末用レンズカバー。
前記ロック機構部は、所定の解除操作により前記離隔間隔が広くなる方向に前記第1カバー部及び/又は前記第2カバー部が移動することを許容する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯情報端末用レンズカバー。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の携帯情報端末用レンズカバーの一実施形態を各図を用いて説明する。まず、
図1〜
図4を参照して本実施形態のスマホ用レンズカバー10の構成について説明する。
図1及び
図2に示すように、スマホ用レンズカバー10は、フロントカメラ95やリアカメラ97を有するスマホ90に装着することによって、これらのカメラ95,97による秘密情報の盗撮を十分に防止し得るものである。フロントカメラ95やリアカメラ97のレンズ部96,98は、例えば、スマホ90の一端部90aに設けられている。
【0017】
スマホ用レンズカバー10は、主に、アッパーカバー20、ロアカバー30、連結プレート40及びロックユニット50により構成されている。アッパーカバー20及びロアカバー30は、光学的に不透明な合成樹脂製の樹脂成形部材であり、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂や熱可塑性ウレタン(TPU)等により構成されている。本実施形態では、スマホ90にスマホ用レンズカバー10が装着された状態においては(
図1参照)、アッパーカバー20がスマホ90の一端部90aを覆い、ロアカバー30が他端部90bを保持し得るように構成されている。
【0018】
このため、スマホ用レンズカバー10が装着されても、液晶画面が設けられているスマホ90の表面(正面)はその全面が覆われることはないため、使用者は、インターネット検索やスケジュール管理等の機能に関するスマホ90の操作を行うことが可能になる。尚、スマホ用レンズカバー10が装着された状態で可能なスマホ90の操作は、スマホ用レンズカバー10が装着されていない状態でのスマホ90の操作に比べて、一部でも全部でもよい。また、レンズ部96,98がアッパーカバー20やロアカバー30に覆われているため、フロントカメラ95やリアカメラ97を使用する操作が含まれていてもよい。
【0019】
図3に示すように、アッパーカバー20は、リアパネル部21、フロントパネル部22及びジョイント部23により構成され、本実施形態ではこれらが一体に成形されている。リアパネル部21とフロントパネル部22は、スマホ90の裏面(背面)から表面(正面)に亘る一端部90aの全部又は一部を覆うように、ジョイント部23を介して連続に形成されている。また、アッパーカバー20の幅方向W(
図2参照)の両側は、塞がれることなく外側空間に開放された形状に形成されている。
【0020】
このため、例えば、スマホ90に手帳型のスマホケースが取り付けられている場合においても、スマホケースの表カバー部分をこのような両側を介して外方向に突出させることができるので、手帳型のスマホケースを取り付けたままでもスマホ用レンズカバー10を装着できるようにしている。尚、ロアカバー30のサイド部37のような側部がアッパーカバー20に形成されている場合には、当該側部にスリット状の幅が小さい隙間を設け、その隙間からスマホケースの表カバー部分を外方向に突出可能に構成してもよい。
【0021】
リアパネル部21は、その先端部(アッパーカバー20の一端部20aに相当する部分)が凸状にやや湾曲させた形状(以下「凸状やや湾曲形状」という)に形成され、後端部(他端部20bに相当する部分)に向かって一旦、直線上に延びた後、両側間隔が緩やかに狭くなる、カヌー等のパドルのブレードのような形状に形成されている。より具体的には、このようなパドルブレードに近い形状であって、装着時のスマホ90の背面に対してT字形状に接し得る厚肉部21aと、スマホ90の背面と隙間を保持して厚肉部21aから連続して拡がる薄肉部21bと、を一方の面に備えている。
【0022】
また、リアパネル部21の他方の面には、幅方向Wの略中央において長手方向L(
図2参照)に延びるように形成されている凹状の案内部21dと、この案内部21dよりも厚肉に形成されて案内部21dの形成範囲以外に拡がる平坦部21cと、を備えている。この案内部21dは、アッパーカバー20とロアカバー30を連結し得る連結プレート40の摺動を案内するガイド溝である。そのため、案内部21dの溝幅は、連結プレート40の短手方向長さ(板幅)よりも僅かに広く設定され、また溝深さは、連結プレート40の板厚よりも僅かに大きい深さに設定されている。
【0023】
また、
図4(A)や(B)に示すように、案内部21dには、後述するロックユニット50の取付位置を決める円柱形状の位置決めボス24が2箇所に形成されていると共に、この位置決めボス24の径方向中心には貫通穴24aが形成されている。さらに位置決めボス24の裏側には、貫通穴24aの開口周囲に環状に形成される凹部24bが設けられている。凹部24bは、いわゆる「深座ぐり」であり、後述のボルト61のねじ頭が収容される。
【0024】
フロントパネル部22は、上底が凸状やや湾曲形状の逆台形(上底>下底)を有し、一方の面(平坦部22a)及び他方の面のいずれも略平らに形成されている。このフロントパネル部22は、スマホ90の一端部90aを所定範囲に亘って覆う役割を担っており、逆台形状の上底から下底までの距離が一端部90aを長手方向Lに覆う先端部22bまでの長さを決定している。本実施形態では、スマホ90のフロントカメラ95のレンズ部96を十分に覆い得る長さとして、例えば、この長さを約2cmに設定している。
【0025】
ジョイント部23は、その外側形状がアッパーカバー20の一端部20aを形成し、リアパネル部21に形成されている案内部21dと、幅方向Wの両側に形成されている厚肉の平坦部21cとを、そのまま略垂直(直角)に立ち上がらせてフロントパネル部22に接続した形状に形成されている。そのため、ジョイント部23の幅方向Wの中央付近には、案内部21dに繋がった凹部23aが形成されている。これに対して、ジョイント部23の内側、つまり当接部25は、リアパネル部21やフロントパネル部22の先端形状と同様に凸状やや湾曲形状に形成されている。即ち、当接部25は、幅方向両側の端部25bに比べて中央部25aが窪むように形成されている。
【0026】
これにより、ジョイント部23の当接部25にスマホ90の一端部90a(一般的に直線状に形成されている)が当接したときには、両者を積極的に2箇所の点で当接させることが可能になる。そのため、当接部25とスマホ90の一端部90aが当接部25において1箇所の点で当接する場合に比べて、アッパーカバー20によりスマホ90の一端部90a側を安定して保持することが可能になる。尚、当接部25とスマホ90の一端部90aとの間に、スポンジ、発泡ウレタン、シリコンゴム等のクッション材(緩衝部材)が介在するように当接部25にクッション材を取り付けてもよい。さらにガタツキが抑えられるため安定性が高まり、当接部25やスマホ90の一端部90aに傷等が付き難くなる。
【0027】
一方、ロアカバー30は、リアパネル部31及びホールド部33により構成されており、本実施形態ではこれらが一体に成形されている。リアパネル部31は、スマホ90の他端部90bの裏面(背面)を覆い、ホールド部33は、他端部90bの全部又は一部を覆うようにリアパネル部31から立ち上がるように連続して形成されている。
【0028】
リアパネル部31は、スマホ90の他端部90b側の裏面両側部分を覆う平坦部31aと、他端部90bの裏面中央部分を覆う収納部31bとにより構成されている。収納部31bは、連結プレート40の他端部40bを収容且つ固定する必要から、平坦部31aに比べて厚肉に構成されており、他端部40bを収容し得る凹部31cが形成されている(
図4(D)参照)。
【0029】
本実施形態では、凹部31cは、スマホ90の裏面側に開口している。そのため、この開口を覆うカバープレート32が収納部31bの一部分として別体に構成されており、組付け時においては、連結プレート40の他端部40bを覆った状態でこのカバープレート32がリアパネル部31に接着される。
【0030】
図4(A)や(D)に示すように、本実施形態では、リアパネル部31の収納部31bに形成されている凹部31cには複数の線条凸部31dが設けられており、またカバープレート32にも線条凸部32bを有する凹部32aが形成されている。さらに連結プレート40の他端部40bには貫通孔43が形成されている。線条凸部31d,32bは、リアパネル部31や連結プレート40の幅方向に形成されているため、リアパネル部31とカバープレート32により連結プレート40の他端部40bを挟み込んだ状態でこれらが接着剤により接着されると、連結プレート40が固定される。
【0031】
即ち、接着剤が、リアパネル部31の凹部31cとカバープレート32の凹部32aとにより形成される隙間Sや連結プレート40の貫通孔43に入り込んだ状態で硬化すると、その後は貫通孔43内の接着剤が「抜け止め」として機能する。さらに隙間Sに充填されて連結プレート40の他端部40bに固着した接着剤が線条凸部31d、32bにも固着したり係止されたりすることで連結プレート40がさらに抜け難くなる。これにより、他端部40bが抜けないように連結プレート40をロアカバー30に強固に固定することが可能になる。
【0032】
図3に示すように、ホールド部33は、ボトム部34、フロント部35及びサイド部37により構成されている。ボトム部34は、スマホ用レンズカバー10がスマホ90に装着された場合にスマホ90の他端部90bを保持する部分であり、その内側には当接部38が形成されている。当接部38は幅方向Wに二分割されてはいるものの、これらを合わせた形状は、ジョイント部23の内側の当接部25と同様に凸状やや湾曲形状を有する。即ち、当接部38は、幅方向Wの両側の端部38bに比べて中央側部38aが窪むように形成されている。
【0033】
これにより、ボトム部34の当接部38にスマホ90の他端部90b(一般的に直線状に形成されている)が当接したときには、両者を積極的に2箇所の点で当接させることが可能になる(
図1や
図2参照)。そのため、当接部38とスマホ90の他端部90bが当接部38において1箇所の点で当接する場合に比べて、ロアカバー30によりスマホ90の他端部90b側を安定して保持することが可能になる。尚、当接部25と同様に当接部38とスマホ90の他端部90bとの間にスポンジ等のクッション材(緩衝部材)が介在するように当接部38にクッション材を取り付けてもよい。さらに安定性が高まり、また当接部38やスマホ90の他端部90bに傷等が付き難くなる。
【0034】
本実施形態では、ボトム部34に切欠き部34aが形成されている。この切欠き部34aは、スマホ用レンズカバー10がスマホ90に装着された状態でも、他端部90bのコネクタ部(図略)を利用可能にするものである。このようなボトム部34から連続してスマホ90の表面(正面)を僅かに覆うようにフロント部35が形成されている。フロント部35の両側には切欠き部35aが形成されており、これに繋がってさらにサイド部37が形成されている。幅方向Wの両側のサイド部37は、リアパネル部31にも接続されており、スマホ90の他端部90bをその両側から包み込むように保持可能にしている。
【0035】
一般的なスマホ90には、他端部90b側の幅方向Wのほぼ中央に操作ボタンが設けられていることが多い。操作ボタンは、例えば、スマホ90にホーム画面を表示させる場合に使用するタッチ式や押下式のスイッチであり、スマホ90の基本的な操作を行うために必須なものである。そのため、本実施形態では、ボトム部34の切欠き部34aと同様にフロント部35においても切欠き部35bを形成することで、このような操作ボタンが設けられ得る他端部90bの中央部分を覆わないようにしている。これにより、スマホ90にスマホ用レンズカバー10が装着されていても、このような他端部90bの操作ボタンの操作を行うことができる。
【0036】
尚、サイド部37にスリット状の幅が小さい隙間を設けてもよい。これにより、例えば、スマホ90に手帳型のスマホケースが取り付けられている場合においても、スマホケースの表カバー部分をこのようなスリット状の隙間を介して外方向に突出させることができる。そのため、手帳型のスマホケースが取り付けられているスマホであっても、そのようなスマホケースを取り外すことなく、スマホケースと共にスマホ用レンズカバー10に装着することが可能になる。
【0037】
連結プレート40は、短冊形状を有する金属板であり、長手方向に撓み難い厚さや材質(例えばステンレス鋼や炭素鋼)のものが用いられる。本実施形態では、例えば、板厚1mmのステンレス鋼板により構成されている。連結プレート40には、短手方向中央において長手方向に一端部40aから他端部40bに延びる長穴42や、前述したリアパネル部31とカバープレート32に挟まれる他端部40bに貫通孔43が形成されている。
【0038】
連結プレート40の長穴42は、アッパーカバー20に取り付けられたロックユニット50が連結プレート40のプレート表面41を移動可能にするために設けられるガイド穴である。長穴42の溝幅は、ロックユニット50の固定部53の幅Rwよりも僅かに大きく設定されている。また長穴42の長さは、スマホ90に対しスマホ用レンズカバー10を着脱する際に両カバー20,30の離隔距離が十分に得られる一端部40a側位置と、両カバー20,30の最接近時にアッパーカバー20の他端部20bとロアカバー30の一端部30aとが接触しない他端部40b側位置と、の間をロックユニット50が移動可能なものに設定されている。
【0039】
尚、リアパネル部21の一端部20aから他端部20bまでの長さ、ロアカバー30の一端部30aから他端部30bまでの長さ、連結プレート40の一端部40aから他端部40bまでの長さは、スマホ用レンズカバー10の装着を予定しているスマホ90のサイズにより決定される。例えば、長さ方向Lのサイズが最も小さい(短い)「最短スマホ」の長さや、長さ方向Lのサイズが最も大きい(長い)「最長スマホ」の長さに対して、アッパーカバー20の長さが次のように設定される。
【0040】
即ち、連結プレート40により連結されたアッパーカバー20とロアカバー30が最も近づいた状態において「最短スマホ」にスマホ用レンズカバー10が装着できる長さ、且つ、アッパーカバー20とロアカバー30が最も離れた状態において「最長スマホ」にスマホ用レンズカバー10が装脱できる長さに、アッパーカバー20、ロアカバー30や連結プレート40の長さが設定されている。また、アッパーカバー20とロアカバー30が最も近づいた状態においては、連結プレート40の一端部40aがアッパーカバー20の一端部20aから外側に向けて突出しない長さに、連結プレート40の長さが設定されている。
【0041】
続いて、
図5及び
図6も参照しながら、ロックユニット50の構成や作動を説明する。
図4〜
図6に示すように、ロックユニット50は、ハウジング51、ロックバー58及びコイルばね59により構成されている。本実施形態のスマホ用レンズカバー10においては、アッパーカバー20に取り付けられたロックユニット50が連結プレート40のプレート表面41を移動可能に構成されている。尚、
図2、
図5や
図6に一点鎖線で表されている移動方向軸Jは、ロックユニット50が連結プレート40に対して相対移動し得る方向を表している。
【0042】
ハウジング51は、横長矩形の蓋のない薄箱形状を有する収納部52と、収納部52の幅方向Wの中心に直交する固定部53と、により構成される金属部品である。ハウジング51は、例えば、炭素鋼やアルミニウム合金製であり、切削や鋳造により収納部52や固定部53、さらにはこれらを構成する機構室54、ばね室55、スロープ部56、掛止ポスト57等が成形されている。尚、ハウジング51には蓋がなく、後述する解除口51dやピン通路51eが形成される範囲を除いて、周囲を囲む外壁51aや内壁51bの高さ方向端が開口している。つまり、ハウジング51は、その底部の反対側が開口部51cにより開口している。
【0043】
収納部52は、ロックバー58が収容される機構室54と、コイルばね59が収容されるばね室55と、により構成されている。機構室54は、ロックバー58が収容される空間であり、固定部53を直交するように形成されると共にその底部にはスロープ部56が設けられている。また、機構室54の移動方向軸Jの一端側Jaには後端壁54bが形成され、また機構室54の移動方向軸Jの他端側Jbには前端壁54aが形成されている。
【0044】
固定部53は、平面視が略長円形状を有する厚肉部材である。本実施形態では、固定部53を横切るようにスロープ部56を有する機構室54が形成されているため、長円形状の一部が矩形に切り取られたような形状を成している。つまり、固定部53は、前端壁54aに接続されている前端部と、後端壁54bに接続されている後端部とに二分割されている。固定部53のこれら両端部の半円形状部には、雌ねじ穴53aが螺刻される凹部53bが形成されている。この凹部53bの内径は、前述したアッパーカバー20の位置決めボス24の外径よりも僅かに大径に設定されているため、凹部53b内に位置決めボス24を収容し得るように構成されている。つまり、この凹部53bは、アッパーカバー20に対するロックユニット50の位置決め穴として機能し得る。
【0045】
スロープ部56は、機構室54の底部として、前端壁54aと後端壁54bの間に形成される斜面であり、本実施形態では、前端壁54aに近づくほど開口部51cとの距離が大きくなり、後端壁54bに近づくほど開口部51cとの距離が小さくなるように傾斜している(
図5(D)参照)。そのため、ロックユニット50がアッパーカバー20に取り付けられて連結プレート40のプレート表面41を移動可能な状態においては、スロープ部56の斜面とプレート表面41との間隔は、前端壁54aに近づく位置ほど大きくなり、後端壁54bに近づく位置ほど小さくなる(
図4(B),(C)参照)。
【0046】
ばね室55は、コイルばね59を収容する空間である。本実施形態では、固定部53を中心に両側にばね室55が形成されており、それぞれのばね室55に、コイルばね59の一端部59aを掛止可能な掛止ポスト57が形成されている。尚、固定部53の後端部を挟んでその両側には、解除口51dと機構室54を連通するピン通路51eが形成されており、さらにピン通路51eとばね室55の間には、外壁51aに繋がる内壁51bが形成されている。解除口51dは、後述する解除キー70の挿入ピン73を受け入れる穴部であり、ピン通路51eは、挿入ピン73を機構室54に導く案内通路である。
【0047】
ロックバー58は、スロープ部56の幅方向長さとほぼ同じ軸長を有する円柱部58aと、この円柱部58aの両端に形成されコイルばね59の他端部59bを掛止可能な掛止部58bとにより構成されている。円柱部58aは、その中身がない中空の円筒部で構成してもよい。円柱部58aの直径は、スロープ部56のうち、前端壁54aに近傍の斜面から開口部51cに至るまでの距離よりも小さく、後端壁54bに近傍の斜面から開口部51cに至るまでの距離よりも大きくなるように設定されている。
【0048】
コイルばね59は、引っ張りコイルスプリングであり、その一端部59aは掛止ポスト57に掛止され、他端部59bはロックバー58の掛止部58bに掛止されている。そのため、本実施形態では、コイルばね59による引っ張り方向(後端壁54b方向、移動方向軸Jの一端側Ja方向)の付勢力(引張力)によって、ロックバー58は後端壁54bに当接するまで引っ張られる。したがって、ハウジング51の開口部51cが開放されている場合においては、外部から力が加えられない限り、ロックバー58は後端壁54bに当接した状態を保ち続ける。
【0049】
このようにロックユニット50を構成することによって、ロックバー58は、次に説明するように機能する。例えば、
図6に示すように、ロックユニット50は、被摺動部Kの摺動面Ksに対して相対的に移動できるように図略の被固定部に取り付けられる。ロックユニット50のロックバー58は、ハウジング51内においてコイルばね59による引張力Ftにより移動方向軸Jの一端側Ja(後端壁54b側)に常に付勢されている。そのため、ロックバー58は、円柱部58aの外周面がスロープ部56と摺動面Ksの両方に接触するまで一端側Jaに移動してその状態を維持する(
図6(A),(C)参照)。
【0050】
この状態から、ロックユニット50が取り付けられた図略の被固定部が、移動方向軸Jの一端側Jaに移動する場合には、被摺動部Kは、相対的に他端側Jbに移動することになるので、ハウジング51内のロックバー58は、それに接触している被摺動部Kと一緒に他端側Jbに僅かに(又は前端壁54aに当接するまで)移動する。すると、ロックバー58が接触しているスロープ部56の斜面は、他端側Jbに向かうほど摺動面Ksから離れるように傾斜しているため、他端側Jbに移動したロックバー58’はそれまで接触していた被摺動部Kから離れて円柱部58aの外周面と摺動面Ks(又はスロープ部56)との間に隙間が生じる。これにより、当該被固定部は、一端側Jaへの移動が阻止されることなく連続的な移動も許容される。
【0051】
尚、この場合におけるロックバー58の他端側Jbへの移動量は、コイルばね59の引張力Ftの強さにより左右される。即ち、コイルばね59の引張力Ftが強いほどロックバー58の移動量が小さくなり、引張力Ftが弱いほどロックバー58の移動量が大きくなる。本実施形態では、コイルばね59の引張力Ftは、例えば、ロックバー58の他端側Jbの移動量がロックバー58の半径程度の大きさになるように設定されている。
【0052】
一方、当該被固定部が他端側Jbに移動する場合には、被摺動部Kは、相対的に一端側Jaに移動することになるが、ロックバー58は、それに接触している被摺動部Kと一緒に一端側Jaに移動しようとしても、円柱部58aの外周面が既にスロープ部56と摺動面Ksのいずれにも接触している。そのため、当該被固定部は、これ以上、一端側Jaには移動することができない。つまり、ロックユニット50は、それが取り付けられた当該被固定部の他端側Jbへの移動を阻止する機能(ロック機能)を有する。
【0053】
もし、ロックユニット50を無理に他端側Jbに移動させた場合には、スロープ部56と被摺動部Kの間にロックバー58”が噛み込んでしまう。そのため、当該被固定部からロックユニット50が外れてしまったり、ハウジング51が変形してしまったりして、ロックユニット50を備えた機器装置等の破損を招くおそれがある。
【0054】
尚、噛み込んだロックバー58”の円柱部58aの外周面と、連結プレート40のプレート表面41との間に生じる摩擦力が小さいために円柱部58aがプレート表面41上を滑り得るときには、ロックユニット50によるロック機能が十分に働かない場合がある。そのため、このような摩擦力を十分に発生させるため、円柱部58aの外周面及び/又はプレート表面41は、例えば、粗面加工が施されていることが望ましい。
【0055】
このようにロックユニット50は、それが取り付けられた当該被固定部が一方向(一端側Ja)だけに移動することを許容し、他方向(他端側Jb)へ移動することを阻止するロック機能を有する。しかし、他方向(他端側Jb)への移動も必要になる場合がある。即ち、ロックユニット50のロック機能を解除して当該被固定部を他方向(他端側Jb)に移動させる手段も必要になる。
【0056】
そこで、本実施形態では、ロックユニット50のハウジング51に形成されている解除口51dに2本の細長い棒状部材(挿入ピン)を差し込んで、コイルばね59の引張力Ft(付勢力)よりも大きい押圧力Fpでハウジング51内のロックバー58を前端壁54a側(他端側Jb)に押し返す操作(所定の解除操作)を可能にしている。これにより、当該被固定部が移動方向軸Jの一端側Jaに移動する場合と同様に、他端側Jbに移動したロックバー58の円柱部58aの外周面は、スロープ部56の傾斜により被摺動部Kの摺動面Ks(又はスロープ部56)から離れて両者間に隙間が生じるため、当該被固定部は一端側Jaへの移動が許容される。
【0057】
即ち、解除口51dに挿入されてピン通路51eに案内された棒状部材(挿入ピン)がロックバー58を他端側Jbに押し返している期間中においては、ロックユニット50のロック機能が解除されて一端側Jaへの当該被固定部の移動が可能になる。本実施形態では、解除口51dに挿入される棒状部材(挿入ピン)の操作方向(ロックバー58を押し返す方向)と、この操作によりロック機能が解除された場合に当該被固定部が移動可能になる方向は、いずれも他端側Jbであり、両方向は一致する。そのため、このような所定の解除操作と、ロックが解除された当該被固定部の移動操作とをほぼ同時に行ったり一連動作として続けて行ったりすることが可能になる。
【0058】
ここで、
図7にこのような棒状部材(挿入ピン)の一例として、解除キー70が図示されているので、ここからは
図7に基づいて解除キー70の構成例について説明する。
図7に示すように、解除キー70は、例えば、ABS樹脂製であり、主に、本体部71と、2本の挿入ピン73とにより構成されている。解除キー70はアルミニウム等の金属製でもよい。本実施形態では、本体部71と挿入ピン73は一体に成形されている。本体部71には、挿入ピン73の基端部が接続されていると共に高さ方向に立ち上がる部分には、解除キー70の短手方向に扁平した略台形状の開口部を有する穴部75が形成されている。この穴部75には、例えば、紛失防止用のワイヤーループ等が取り付けられる。
【0059】
2本の挿入ピン73は、所定のピン長さPa、ピン幅Pb及びピン厚さPdを有する細長い棒状部材である。本実施形態では、ピン長さPaは、ロックユニット50の解除口51dに挿入した挿入ピン73の先端部76がロックバー58の円柱部58aを押圧すると共に、押圧されたロックバー58をハウジング51の前端壁54aに当接させることが可能な軸長に設定されている。ピン幅Pb及びピン厚さPdは、ハウジング51に形成された解除口51dの開口幅(<ピン幅Pb)や開口高さ(<ピン厚さPd)よりも僅かに小さくなるようにそれぞれ設定されている。またこれらの挿入ピン73のピン間隔Pcは、2つの解除口51dの離隔距離とほぼ同様に設定されている。
【0060】
尚、本実施形態では、2本の挿入ピン73の基端部側に当たる本体部71の短手方向ほぼ中央には、凹状の半円形状に窪む円弧部77が形成されている。この円弧部77は、ロックユニット50のハウジング51を構成する固定部53の両端半円形状の半円弧よりも僅かに大径の半円弧形状に形成されている。そのため、ロックユニット50に解除キー70を挿入した場合には、当該円弧部77がハウジング51の固定部53に当接する位置まで挿入ピン73を解除口51dに挿入することが可能になる。これにより、挿入ピン73の長さと共に円弧部77の半径の大きさにより、解除キー70の挿入可能深度(深さ)を管理することが可能になる。
【0061】
続いて、
図1、
図2、
図4及び
図8に基づいて、スマホ用レンズカバー10のアッパーカバー20に取り付けられるロックユニット50の組付例とロックユニット50の作動例を説明する。尚、
図8においては、説明の便宜から、前述した解除キー70がロックユニット50に挿入された状態がグレーに着色されて図示されているが、解除キー70は、ロックユニット50のロック機能を解除するときだけに用いられることに注意されたい。
【0062】
図4(A)〜(C)に示すように、本実施形態では、上述したロックユニット50は、そのハウジング51の収納部52とアッパーカバー20との間に連結プレート40を挟み込むようにして、ハウジング51の固定部53がアッパーカバー20に取り付けられる。ハウジング51の固定部53は、厚肉部21aが形成されるリアパネル部21の一方の面、即ちスマホ90に装着された場合にスマホ90の裏面(背面)に対向する面、から厚肉部21aの貫通穴24aに通した2本のボルト61によって、アッパーカバー20にねじ締結される。ねじ締結は、ボルト61が固定部53の雌ねじ穴53aに螺合することにより行われる。
【0063】
このようにボルト61をリアパネル部21の一方の面から通して固定部53の雌ねじ穴53aにねじ締結させることで、ボルト61のねじ頭がリアパネル部21の凹部24b内に収容される。そのため、スマホ用レンズカバー10にスマホ90が装着されている状態においては、ボルト61のねじ頭は、凹部24bを塞ぐスマホ90の裏側に隠れることから、このような状態では、ボルト61のねじ頭に触れることすらできない。そのため、ボルト61を緩めてアッパーカバー20からロックユニット50を取り外すことは不可能になり、ロックユニット50のロック機能を無効にするロックの解除行為を防止することが可能になる。尚、市販の工具(ドライバーやレンチ等)では、ねじ締結を緩めることが困難な「特殊ねじ」をボルト61に用いることにより、このような解除行為をさらに効果的に防止することが可能になる。
【0064】
このようにロックユニット50がアッパーカバー20に組み付けられることによって、スマホ用レンズカバー10では、ロックユニット50は次のように機能する。即ち、
図8に示すように、アッパーカバー20にねじ締結されているロックユニット50は、アッパーカバー20との間に挟み込む連結プレート40のプレート表面41上を移動することが可能である。ロックユニット50のロックバー58は、ハウジング51内においてコイルばね59により移動方向軸Jの一端側Jaに常に付勢されていることから、ロックバー58は、円柱部58aがスロープ部56とプレート表面41との両方に接触する位置で停止する(
図8(C)参照)。
【0065】
このため、アッパーカバー20が移動方向軸Jの一端側Jaに移動する場合には、連結プレート40は、相対的に他端側Jbに移動することになるため、スロープ部56の傾斜によってアッパーカバー20と共に他端側Jbに移動したロックバー58とスロープ部56(又はプレート表面41)との間には隙間が生じる。これにより、アッパーカバー20は、一端側Jaへの移動が阻止されることなく連続的な移動も可能となる。つまり、アッパーカバー20とロアカバー30の離隔距離が小さくなる方向に、アッパーカバー20やロアカバー30を連続的に移動させることが可能になる。
【0066】
したがって、
図2に示すようにアッパーカバー20とロアカバー30の間が拡げられた状態のスマホ用レンズカバー10に対してスマホ90をセットした後、
図1に示すようにスマホ90の一端部90aと他端部90bにアッパーカバー20とロアカバー30がそれぞれ当接するまで両カバー20,30の間隔を狭める操作に対しては、ロックユニット50のロック機能が働かない。そのため、スマホ90にスマホ用レンズカバー10を装着する操作(装着操作)は、スムーズに行うことができる。
【0067】
このようにスマホ90にスマホ用レンズカバー10が装着されている状態においても、ロックユニット50のロックバー58は、ハウジング51内でコイルばね59により移動方向軸Jの一端側Jaに常に付勢されているため、ロックバー58は、円柱部58aがスロープ部56とプレート表面41の両方に接触する位置で停止している(
図8(C)参照)。そのため、アッパーカバー20を他端側Jbに移動させようとすると、連結プレート40は、相対的に一端側Jaに移動することとなり、連結プレート40と一緒に一端側Jaに移動しようとするロックバー58がスロープ部56と連結プレート40の間に噛み込む。これにより、アッパーカバー20は、他端側Jbへの移動が阻止されるため、アッパーカバー20とロアカバー30の離隔距離が大きくなる方向には、アッパーカバー20やロアカバー30を移動させることができない。
【0068】
つまり、スマホ用レンズカバー10の装着状態においては、両カバー20,30の間隔を拡げる操作に対しては、ロックユニット50のロック機能が働くため、一旦、スマホ用レンズカバー10が装着された後は、スマホ90からスマホ用レンズカバー10を取り外そうとしても、スマホ90の使用者は、そのようなスマホ用レンズカバー10の装脱操作を行うことができない。
【0069】
これにより、スマホ用レンズカバー10の装着状態では、フロントカメラ95やリアカメラ97のレンズ部96,98はアッパーカバー20に覆われるため(
図1参照)、たとえ被写体にレンズ部96,98が向けられても、被写体とレンズ部96,98の間には、アッパーカバー20が介在する。そのため、アッパーカバー20により光学的に遮られたレンズ部96,98では、その被写体画像を結像させることができないことから、フロントカメラ95やリアカメラ97が光学的、機械的や電気的に正常に機能しても、それらのカメラ機能は有効に機能しない。つまり、スマホ90の使用者がそのフロントカメラ95やリアカメラ97を使用しようとしても、カメラ機能が事実上有効に働かない。したがって、カメラ付きのスマホ90による秘密情報の盗撮を十分に防止することができる。
【0070】
尚、「カメラ機能が事実上有効に働かない」と「カメラ機能を事実上無効にする」は、同じことを意味しており、本明細書では、カメラのレンズ部を光学的に遮うる障害物(本実施形態ではアッパーカバー20のリアパネル部21やフロントパネル部22)が当該レンズ部の一部又は全部を覆うことによって、たとえ被写体にカメラのレンズ部が向けられていたとしても、当該レンズ部がその被写体画像を撮像素子(CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等)等に結像させることができないため、カメラが光学的、機械的や電気的に正常に機能しても、そのカメラ機能が有効に機能しないことをいう。
【0071】
本実施形態のスマホ用レンズカバー10では、アッパーカバー20に組み付けられるロックユニット50のハウジング51に解除口51dが設けられている。そのため、前述した解除キー70を解除口51dに差し込むことにより、ロックユニット50のロック機能を解除することができる(
図8参照)。
【0072】
即ち、
図8(C)に示すように、スマホ90にスマホ用レンズカバー10が装着されている状態において、ハウジング51内でロックバー58の円柱部58aがスロープ部56とプレート表面41の両方に接触する位置で停止している場合には、ロックユニット50のロック機能が働く。そのため、アッパーカバー20とロアカバー30の離隔距離が大きくなる方向にアッパーカバー20やロアカバー30を移動させることができない。
【0073】
しかし、ロックユニット50の解除口51dに解除キー70を差し込むことによって、解除キー70に設けられている2本の挿入ピン73の先端部76をロックバー58に当接させることができる。そのため、ロックバー58を移動方向軸Jの一端側Jaに引っ張っているコイルばね59の付勢力(引張力Ft)に対抗して解除キー70’をさらに押し込むようにロックバー58を他端側Jbに押圧する(
図8(D)参照)。
【0074】
すると、ロックバー58が挿入ピン73に押されて他端側Jbに移動するため、移動したロックバー58の円柱部58aとスロープ部56(又はプレート表面41)との間には隙間が生じる。これにより、アッパーカバー20は、一端側Jaへの移動が阻止されることなく連続的な移動も可能となる。つまり、ロックユニット50のロック機能が解除される。そのため、アッパーカバー20とロアカバー30の離隔距離が大きくなる方向に、アッパーカバー20やロアカバー30を連続的に移動させることが可能になる。
【0075】
本実施形態のスマホ用レンズカバー10では、ロックユニット50の解除口51dに差し込んだ解除キー70によってロックバー58を押し返す操作(所定の解除操作)の方向と、この操作によりロック機能が解除された場合にアッパーカバー20が移動可能になる方向とは、いずれも他端側Jbであり一致する。そのため、このような所定の解除操作とロック解除中のアッパーカバー20の移動操作とを殆ど同時に行うことが可能になるので、このような各操作が互いに逆方向である場合に比べて、スマホ90からスマホ用レンズカバー10を取り外す(装脱する)作業をワンタッチで行うことが可能になる。
【0076】
以上説明したように本実施形態のスマホ用レンズカバー10では、アッパーカバー20及びロアカバー30がスマホ90から取り外し不能に一旦装着されると、離隔間隔が広くなる方向にこれらの両カバー20,30の少なくとも一方を移動させない限り、スマホ90から取り外すことが難しく、しかも離隔間隔が広くなる方向への両カバー20,30の移動がロックユニット50により阻止されている。そのため、スマホ90の使用者がフロントカメラ95やリアカメラ97を使用するためにスマホ用レンズカバー10からスマホ90を外そうとしてもそれができない。
【0077】
これにより、スマホ90は、スマホ用レンズカバー10が一旦装着されると、その後はアッパーカバー20及びロアカバー30を付けた状態でしか操作ができなくなり、またこれらの両カバー20,30の少なくとも一方がフロントカメラ95やリアカメラ97のレンズ部96,98を覆う状態を維持する。つまり、スマホ用レンズカバー10が装着された状態においては、スマホ90は、アッパーカバー20やロアカバー30によってレンズ部96,98が覆われているので、そのカメラ機能は有効に機能しない。そのため、使用者がスマホ90のフロントカメラ95やリアカメラ97を使用しようとしても、カメラ機能が事実上有効に働かない。したがって、このようなカメラ付きのスマホ90による秘密情報の盗撮を十分に防止することができる。
【0078】
尚、
図9(A)や(B)に示すように、本実施形態のスマホ用レンズカバー10の構成を模式的に表すと理解できるように、スマホ用レンズカバー10が装着される前のスマホ90においては(
図9(A))、スピーカ穴93、センサ部94やレンズ部96がアッパーカバー20に覆われていないが、スマホ用レンズカバー10が装着された後のスマホ90’では(
図9(B))、これらが全てアッパーカバー20に覆われてしまう。尚、
図9には図示されていないが、スマホ用レンズカバー10が装着されたスマホ90では、リアカメラ97のレンズ部98もアッパーカバー20に覆われる。また、
図9では、図面表現上の便宜から、スマホ90,90’の液晶ディスプレイ91部分がグレー着色されている(
図10においても同様である)。
【0079】
このため、スピーカ穴93がアッパーカバー20により覆われると、スマホ90の電話機能を使用する場合に通話相手の音声等が聞き難くなり得る。また、照度センサ等のセンサ部94がアッパーカバー20により覆われると、正確な明るさ情報を照度センサが検知することが困難になることから、液晶ディスプレイ91を適切な明るさに自動的に設定することができなくなり得る。尚、ロアカバー30においては、切欠き部34a,35bを設けることにより、コネクタ部99や操作ボタン92の使用を可能にしている。
【0080】
そこで、
図9(C)や(D)に示すように、本実施形態の変形例として、スマホ用レンズカバー100を構成してもよい。即ち、幅方向Wからスマホ90の両側部を挟み込むように覆い得るコ字形状のサイドカバー101,102と、サイドカバー101,102を接続する連結プレート105と、サイドカバー101,102の離隔間隔が狭くなる方向にサイドカバー101,102が移動することを許容し、離隔間隔が広くなる方向にサイドカバー101,102が移動することを阻止するロックユニット107と、によりスマホ用レンズカバー100を構成する。
【0081】
これらのサイドカバー101,102は、スマホ用レンズカバー100が装着されたスマホ90’において、レンズ部96,98を覆う一方で、操作ボタン92、スピーカ穴93、センサ部94やコネクタ部99は覆わない寸法形状に設定され、また液晶ディスプレイ91も可能な限り覆わない寸法形状に設定されている(
図9(D)参照)。これにより、スマホ用レンズカバー100を装着したスマホ90’であっても、通話相手の音声等が聞き難くなったり、液晶ディスプレイ91の明るさが適切でなかったりするような場合が減るので、スマホ用レンズカバー100が装着されたスマホ90’であっても快適に利用することが可能になる。
【0082】
また、
図10(A)や(B)に示すように、本実施形態の改変例1として、スマホ用レンズカバー110を構成してもよい。即ち、1つの対角方向からスマホ90の両角部を挟み込むように覆い得るL字形状のコーナーカバー111,112と、コーナーカバー111,112を接続する連結プレート115と、コーナーカバー111,112の離隔間隔が狭くなる方向にコーナーカバー111,112が移動することを許容し、離隔間隔が広くなる方向にコーナーカバー111,112が移動することを阻止するロックユニット117と、によりスマホ用レンズカバー110を構成する。
【0083】
これらのコーナーカバー111,112も、スマホ用レンズカバー110が装着されたスマホ90’において、レンズ部96やその裏側のレンズ部98を覆う一方で、操作ボタン92、スピーカ穴93、センサ部94やコネクタ部99は覆わない寸法形状に設定され、また液晶ディスプレイ91も可能な限り覆わない寸法形状に設定されている(
図10(B)参照)。この例では、
図10(A)や(B)において、スマホ90の右上角と左下角に対してコーナーカバー111,112で覆う構成にしたが、スマホ90の左上角と右下角に対してそれぞれコーナーカバーで覆う構成にしてもよい。
【0084】
このようなスマホ用レンズカバー110では、スマホ90の角部を中心にフロントカメラ95のレンズ部96を必要最低限の範囲で覆う構成を採用したため、前述した実施形態のスマホ用レンズカバー10や変形例のスマホ用レンズカバー100に比べて、スマホ90の各機能の操作等に必要な液晶ディスプレイ91、操作ボタン92、スピーカ穴93、センサ部94やコネクタ部99等が殆ど覆われない。これにより、スマホ用レンズカバー110を装着したスマホ90’であっても、通話相手の音声等が聞き難くなったり、液晶ディスプレイ91の明るさが適切でなかったり、液晶ディスプレイ91のタッチ操作等が妨げられたりするような場合が減るので、スマホ用レンズカバー110が装着されたスマホ90’であってもさらに快適な利用が可能になる。
【0085】
さらに、
図10(C)や(D)に示すように、本実施形態の改変例2として、スマホ用レンズカバー120を構成してもよい。例えば、改変例1のスマホ用レンズカバー110のコーナーカバー111,112で覆う対角に加えて、もう一つの対角も覆い得るコーナーカバーを追加してもよい。即ち、2つの対角方向からスマホ90の全角部を挟み込むように覆い得るL字形状のコーナーカバー111,112,121,122と、コーナーカバー111,112,121,122をX字形状に接続する連結プレート125と、コーナーカバー111,112,121,122の離隔間隔が狭くなる方向にコーナーカバー111,112,121,122が移動することを許容し、離隔間隔が広くなる方向にコーナーカバー111,112,121,122が移動することを阻止するロックユニット127と、によりスマホ用レンズカバー120を構成する。
【0086】
このようなスマホ用レンズカバー120では、例えば、リアカメラ97のレンズ部98がフロントカメラ95のレンズ部96に近い角部ではなく、幅方向Wの反対側の角部付近に設けられている場合にコーナーカバー121でレンズ部98を覆うことが可能になる。コーナーカバー121,122についても、スマホ用レンズカバー120が装着されたスマホ90’において、レンズ部98を覆う一方で、操作ボタン92、スピーカ穴93、センサ部94やコネクタ部99は覆わない寸法形状に設定され、また液晶ディスプレイ91も可能な限り覆わない寸法形状に設定されている(
図10(D)参照)。
【0087】
これにより、角部にフロントカメラ95のレンズ部96やリアカメラ97のレンズ部98が存在するスマホ90であれば、これらのレンズ部96,98を両角部のコーナーカバー111,121(又はコーナーカバー121,122)により覆うことが可能になる。その一方で、このようなスマホ用レンズカバー120が装着されたスマホ90’でも、通話相手の音声等が聞き難くなったり、液晶ディスプレイ91の明るさが適切でなかったり、液晶ディスプレイ91のタッチ操作等が妨げられたりするような場合が減るので、さらに快適な利用が可能になる。
【0088】
尚、上述したロックユニット50の構成を技術的思想の創作として把握すると、次の[他の発明1]〜[他の発明3]として表現することができる。
【0089】
[他の発明1]
内部に第1平坦面を有すると共にこの第1平坦面に対向する外部の第2平坦面に対して相対移動可能なハウジングと、
前記ハウジング内において前記第1,第2平坦面の間を前記相対移動の方向に往復動可能な可動部と、
前記移動方向を表す軸(以下「移動方向軸」という)の一端側に前記ハウジング内で前記可動部を付勢する付勢部と、備え、
前記第1,第2平坦面の間隔であって前記移動方向軸の一端側の間隔が前記第1,第2平坦面の対向方向の前記可動部の高さサイズよりも小さく且つ前記移動方向軸の他端側の間隔が前記可動部の高さサイズよりも大きくなるように、前記第1平坦面が傾斜している、ことを特徴とするロック装置。
[他の発明2]
前記他の発明1において、前記ハウジングは、前記付勢部の付勢力に抗して前記可動部を前記移動方向軸の他端側に移動させ得るロック解除部材を外部から挿入可能な穴部を有する、ことを特徴とするロック装置。
[他の発明3]
前記他の発明1又は他の発明2において、前記可動部は、前記移動方向軸に対して直交方向を軸とする円柱形状又は円筒形状を有する、ことを特徴とするロック装置。
【0090】
上記他の発明1では、ハウジング、可動部及び付勢部を備えており、ハウジング内の第1平坦面と、ハウジング外の第2平坦面との一方又は両方が傾斜している。この傾斜は、第1,第2平坦面の間隔であって移動方向軸の一端側の間隔が第1,第2平坦面の対向方向の可動部の高さサイズよりも小さくなるように、且つ、第1,第2平坦面の間隔であって移動方向軸の他端側の間隔が可動部の高さサイズよりも大きくなるようになっている。
【0091】
これにより、移動方向軸の他端から一端の方向に向かって可動部が移動する(移動方向軸の一端から他端の方向に向かってハウジングが移動する)場合には、第1,第2平坦面の間隔が可動部の高さサイズよりも小さくなる位置において、可動部が第1,第2平坦面の間に噛み込むように入り込むため、第1,第2平坦面により当該可動部の移動が阻止される。つまり、可動部が第1,第2平坦面の間に噛み込む位置で、移動方向軸の他端側へのハウジングの移動が阻まれる。
【0092】
一方、移動方向軸の一端から他端の方向に向かって可動部が移動する(移動方向軸の他端から一端の方向に向かってハウジングが移動する)場合には、第1,第2平坦面の間隔は、可動部の高さサイズよりも大きい(小さくならない)ため、可動部は、ハウジング内で移動可能な範囲で当該可動部の移動が許容される。つまり、第2平坦面が存在する範囲内で又は他の手段による移動阻止が生じるまで移動方向軸の一端側へのハウジングの移動が許される。
【0093】
したがって、このようなロック装置を、第2平坦面を有する被摺動部に対して相対移動可能に被固定部に取り付けることにより、簡素な構成であっても、前記被摺動部を一方向だけに移動することを許容し、他方向へ移動することを阻止するロック機能を実現することが可能になる。
【0094】
上記他の発明2では、ハウジングが有する穴部に外部からロック解除部材を挿入することによって、付勢部の付勢力に抗して可動部を移動方向軸の他端側に移動させ得る。これにより、可動部は、ハウジング内で移動可能な範囲で当該可動部の移動が許容される。したがって、このようなロック装置を、第2平坦面を有する被摺動部に対して相対移動可能に被固定部に取り付けることにより、第2平坦面が存在する範囲内で又は他の手段による移動阻止が生じるまで移動方向軸の一端側への前記被固定部の移動が許される。
【0095】
上記他の発明3では、可動部は、移動方向軸に対して直交方向を軸とする円柱形状又は円筒形状を有することから、第1平坦面や第2平坦面に対して、線又は複数の点で接することが可能になる。したがって、例えば、可動部が1点で接し得る球体や長球体である場合に比べて、ロック機能が十分に働くために必要な摩擦力を容易に得ることが可能になるため、安定したロック機能を実現することが可能になる。
【0096】
尚、従来より、一方向だけに移動することを許容し、他方向へ移動することを阻止する機能を有するロック装置として、例えば、特開2007−245820号公報(他の先行技術文献)に開示される「スライド機構のロック装置」がある。ところが、この他の先行技術文献に開示されるロック装置は、それを構成する機構が複雑であり部品点数も多い。そのため、故障発生率が高まり製造コストの増大にも繋がり易いという問題があった。
【0097】
これに対して、上記の他の発明1〜3に係るロック装置は、その構成が簡素であり、また部品点数も3点(ハウジング、可動部及び付勢部)と少ない。したがって、故障発生率も低く、しかも製造コストも抑制することが可能になる。
【0098】
尚、上述した実施形態では、カバープレート32を収納部31bの一部分として別体に構成したが、カバープレート32を設けることなく、連結プレート40の他端部40bを嵌入可能なスリット状の深溝等をリアパネル部31に設けてもよい。この場合には、接着剤を充填した深溝等に連結プレート40を嵌入して組み付けたり、連結プレート40の貫通孔43に一度挿入されると抜き取りが困難な「返し付き凸部」等をリアパネル部31の深溝等の内部に設けたりすることによって、嵌入後の連結プレート40をロアカバー30に固定することが可能になる。
【0099】
また、上述の実施形態では、ロアカバー30と連結プレート40を別体に構成したが、例えば、ロアカバー30及び連結プレート40の両方を金属板を加工して形成してこれらを一体に構成してもよい。これにより、部品点数を削減することが可能になる。また両者の組付工程が必要なくなるので、組付工数を減少しコストの低減が可能になる。
【0100】
さらに、上述の実施形態では、スマホ用レンズカバー10が装着されたスマホ90のレンズ部96,98を光学的に不透明なアッパーカバー20のリアパネル部21やフロントパネル部22で覆うことにより、被写体とレンズ部96,98の間をアッパーカバー20で光学的に遮る構成を採用したが、例えば、アッパーカバー20を透光性を有する光学的に透明な樹脂材料(例えば、無色透明なポリカーボネート)で構成してもよい。この場合には、レンズ部96,98を覆い得るリアパネル部21の所定範囲の内側に遮光シールを貼付したり遮光塗料を塗布したりする。
【0101】
これにより、被写体とレンズ部96,98の間を光学的に遮ることが可能になり、またレンズ部96,98部分以外の範囲は透明で光が透過する。そのため、例えば、アッパーカバー20で覆われている液晶ディスプレイの一部分に表示される画像や文字の情報についてもそれらを視覚的に把握することが可能になり、また液晶ディスプレイの明るさを自動的に設定するために必要な明るさ情報を検知する照度センサが正常に機能するため、液晶ディスプレイを適切な明るさに保つことが可能になる。
【0102】
また、アッパーカバー20を網目の細かいメッシュ樹脂で構成してもよい。メッシュ樹脂は、網目を構成する格子部材がレンズ部96,98を線状に覆うものであって、リアパネル部21やフロントパネル部22の形状を維持できるものであればよい。このようなメッシュ樹脂からなるアッパーカバー20は、被写体とレンズ部96,98の間を光学的に面状に遮ることはできないものの、メッシュ樹脂の格子部材がレンズ部96,98を光学的に線状に遮る。そのため、メッシュ樹脂の存在が被写体画像の結像の障害になり被写体を鮮明に撮影することを妨げることが可能になる。
【0103】
また、上述の実施形態では、一般的なスマホ90は他端部90bの略中央にコネクタ部が設けられているため、ボトム部34の幅方向Wの略中央に切欠き部34aを設ける構成にしたが、その他のスマホのハードウェア仕様に合わせて、例えば、サイド部37の一部に切欠き部34aと同様の切欠き部を設けてもよい。
【0104】
また、上述の実施形態では、ロックユニット50に解除口51dを2箇所に設けたが、ハウジング51の幅方向Wの中心に解除口51dを近づけて解除口51dを1箇所に設ける構成を採用してもよい。この場合には、解除キー70は、挿入ピン73が1本の構成になる。これにより、ハウジング51や解除キー70の構成がシンプルになる。これとは逆に、解除口51dを3箇所以上に設けてもよい。
【0105】
また、上述の実施形態では、ロックユニット50のハウジング51に解除口51dを設けたが、ロックユニット50によるロック機能を解除する必要がない場合には、このような解除口51dをハウジング51に設けなくてもよい。この場合には、スマホ用レンズカバー10のアッパーカバー20や、ロックユニット50が取り付けられている図略の被固定部は、移動方向軸Jの一端側Jaにしか移動させることができない。
【0106】
また、上述の実施形態では、アッパーカバー20にロックユニット50を取り付けてロアカバー30に連結プレート40を取り付けたが、これとは逆に、アッパーカバー20に連結プレート40を取り付けてロアカバー30にロックユニット50を取り付ける構成を採ってもよい。この場合には、アッパーカバー20とアッパーカバー20の離隔距離が小さくなったときに連結プレート40の一端部40aのロアカバー30の他端部30bから突出しないようにする必要から、長さ方向Lの関係が上述の実施形態と逆になるようにアッパーカバーよりもロアカバーの方を長くする必要がある。
【0107】
また、上述の実施形態では、スマホ用レンズカバー10を標準的な形状を有するスマホに装着可能な形状に構成したが、例えば、タブレットタイプのスマホやパソコンに装着可能な形状に構成してもよい。
【0108】
また、上述の実施形態では、ロックユニット50のハウジング51内に収容される可動部として、円柱部58a(中空の円筒でもよい)を有するロックバー58を用いたが、スロープ部56(第1平坦面)と、連結プレート40のプレート表面41又は被摺動部Kの摺動面Ks(第2平坦面)との間をハウジング51内で移動方向軸Jの方向に往復動可能であれば、円柱形状に限られない。ロックバー58の円柱部58aに代えて、例えば、球形状、楕円体形状や長球形状のものを有する構成を採用してもよい。また、可動部として、このような球形状を複数箇所に有する構成を採ってもよい。