【課題】処方箋により指示された薬を薬品棚から取り出して患者に手渡す際に、薬剤師が間違えることなく正確に薬を調剤するとともに、薬品棚に保管されている薬品の在庫管理や発注・入庫をミスなく行うことを可能にする薬剤管理システムを提供する。
【解決手段】処方箋により指示された薬を調剤および管理する調剤管理システム110が、薬品棚10から取り出された薬品のバーコードと、処方箋薬品情報表示装置101に表示されている選択された薬品名の薬品とを照合する薬品情報照合装置103による照合がすべて完了すると、処方された薬品すべてが準備された旨を受付表示装置104に表示し、受付表示装置に表示された薬品について最終受付薬品照合装置105による照合がすべて完了すると、処方された薬品を患者に手渡してよい旨を受付表示装置に表示するなどにより、発注、入荷、収納、選択、手渡しの5段階で薬品の照合を行う。
【背景技術】
【0002】
病院等において医師により処方された薬を患者が受け取る際には、患者が処方箋を持って薬局に行き、その処方箋により指示された薬を、薬剤師が処方箋を見ながら薬品棚(薬品箱)から取り出して揃える、という方式が一般的である。近年では、薬品棚の薬品ケースとして複数の透明アクリルケースが用いられ、例えば
図1に示すように、何百個もの透明アクリルケースからなる薬品棚が使用されていることが多い。
【0003】
しかし、薬の種類は非常に多く、処方箋を見ながら何百個もの、一見では区別がしづらい透明アクリルケースからなる薬品棚から、正確かつ迅速に薬を取り揃えるのは多大な困難を伴う。薬の名称は似通っているものが多く、また、同一の名称の薬剤でも、1mg、5mgなど量が異なるものがあり、取り違える可能性を高めている。
【0004】
これらの問題を解決するために、従来より、薬品棚から薬を提供する作業の自動化や効率化を図ることができる装置が望まれており、例えば特許文献1には、薬箱の払い出し業務全般の効率化を図ることができる薬箱払い出し装置が開示されている。
【0005】
また、本願出願人は、例えば特許文献1に開示されている従来の装置のように、大がかりな装置を必要とせず、従来から使用している薬品棚にも適用でき、かつ、薬剤師が間違えることなく薬を取り揃えることを可能にする薬品棚点灯装置および薬品棚点灯システムを発明し、出願している(特願2019−026048)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明は、処方箋により指示された薬を調剤および管理する調剤管理システムに関するものである。
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
実施の形態1.
図1は、透明アクリルケースなどの透明な薬品ケースからなる薬品棚の一例を示す図である。この
図1に示すように、近年では、薬品棚10の薬品ケースとして複数の透明アクリルケース1(1−1,1−2,1−3,・・・)が用いられ、何百個もの透明アクリルケースからなる薬品棚が使用されていることが多い。なお、それぞれの薬品ケース(透明アクリルケース)1の前面には、そのケースに保管されている薬品の名称等(薬品の名称とグラム数などの量)を示す名札等が貼り付けられていたり、その名称等が記載されている。
【0015】
しかし、薬の種類は非常に多く、処方箋を見ながら何百個もの、一見では区別がしづらい薬品ケース(透明アクリルケース)1からなる薬品棚から、正確かつ迅速に薬を取り揃えるのは多大な困難を伴う。薬の名称は似通っているものが多く、また、同一の名称の薬剤でも、1mg、5mgなど量が異なるものがあり、取り違える可能性を高めている。また、新しいシステムを導入する際には、従来から使用している薬品棚がすべて無駄になってしまうという課題もあった。
【0016】
また、薬品棚に保管されている薬品の在庫管理や発注・入庫に関する人為的ミスも多く、薬剤を発注する際に間違った薬品を発注してしまう、間違った薬品が入荷した際そのまま受け取って入庫してしまう、正しい薬品を受け取っていても間違った薬品棚に収容してしまうなど、薬品の発注・入庫の際の問題が発生し得る、という課題もあった。
【0017】
そして、上記のような薬品の(1)発注、(2)入荷、(3)収納、(4)選択、(5)手渡し、という、人的ミスが起こり得る工程のいずれかにおいてミスが発生した場合には、その解明に多大な時間と労力を要することになる。
そこで、この実施の形態1では、処方箋により指示された薬を薬品棚の薬品ケースから取り出す際に、薬剤師が間違えることなく薬を選択して調剤し、それを照合確認しながら患者に手渡すとともに、薬品棚に保管されている薬品の在庫管理や発注・入庫をミスなく行うことを可能にする調剤管理システムを提供することを目的とする。
【0018】
図2は、この発明の実施の形態1における調剤管理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、この発明の調剤管理システム100は、処方箋薬品情報表示装置101、薬品棚明示装置102、薬品情報照合装置103、受付表示装置104、最終受付薬品照合装置105を備えており、処方箋により指示された薬を調剤および管理するシステムである。
【0019】
処方箋薬品情報表示装置101は、患者の処方箋に記載されている薬品情報を取得して表示する表示装置である。具体的には、例えば、処方箋入力装置3から入力された、患者の処方箋を読み取って、その処方箋に記載されている薬品情報を取得して表示するものである。薬品情報には、処方された薬品の名称等(薬品の名称とグラム数などの量)と、服用する数量と服用時間帯などの情報が含まれている。処方箋入力装置3は、処方箋薬品情報表示装置101が取得して表示するための薬品情報が入力される装置であり、医師が診断の際に入力するカルテ用の入力装置であってもよいし、医師による処方箋を見て薬剤師が薬局において薬品情報を入力する装置であってもよい。
【0020】
薬品棚明示装置102は、処方箋薬品情報表示装置101に表示された薬品情報のうち、選択された薬品名の薬品が保管されている薬品棚を明示する明示装置である。具体的には、例えば、薬品の名称等(薬品の名称とグラム数などの量)と、その薬品が保管されている透明な薬品ケース(透明アクリルケース)と、その薬品ケースに対応するLED等の明示部とが対応づけられた薬品保管情報が保存されているデータベース(記憶部)を備え、処方箋薬品情報表示装置101が取得して表示した薬品情報のうち、選択された薬品の名称等と、自身が保存している薬品保管情報とを比較して、処方箋薬品情報表示装置101において選択された薬品に対応するLED等を判別して、当該LED等を点灯させることにより、対応する薬品ケース(薬品棚)を明示するものである。
【0021】
図3は、この発明の実施の形態1における薬品棚明示装置102の一例を示す一部拡大外観斜視図である。
図3に示すように、この実施の形態1における薬品棚明示装置102は、複数の透明な薬品ケース1を備えた薬品棚10の背面(後面)、すなわち、複数の透明アクリルケース1(1−1,1−2,1−3,・・・)の背面(後面)に、複数のLED2(2−1,2−2,2−3,・・・)が取り付けられたLED付きバー20が設置されている。すなわち、この薬品棚明示装置102は、複数の透明な薬品ケース1を備えた薬品棚10と、その薬品棚10の背面(後面)に配置されたLED付きバー20とを備えている。
【0022】
複数のLED2は、各透明な薬品ケース(透明アクリルケース)1に対してそれぞれ1つのLED2が対応するように設置されている。この
図3においては、薬品ケース1−4および1−5は図示せず、その背面(後面)に設置されたLED2−4および2−5が視認できる状態としている。また、
図2において、透明な薬品ケース1越しに見えているLEDやバーなどは破線で記載するとともに、LED2−1,2−2には符号を記載せず、LED2−3にのみ符号も記載している。すなわち、LED付きバー20には、複数の透明な薬品ケース(透明アクリルケース)1の各々に対応する位置に、それぞれLED2が設置されている。
【0023】
薬品情報照合装置103は、薬品棚明示装置102により明示された薬品棚から取り出された薬品のバーコードと、処方箋薬品情報表示装置101に表示されている選択された薬品名の薬品とを照合する照合装置である。具体的には、例えば、薬品棚明示装置102により明示された薬品棚から薬品を取り出して、すなわち、LED2が点灯した位置に対応する薬品ケース1から薬品を取り出して、その薬品のパッケージに付与されているバーコードをバーコードリーダー等で読み取ることにより、その薬品が、処方箋薬品情報表示装置101に表示されている選択された薬品名の薬品と同じかどうかの判断を行い、同じであった場合には、その薬品について照合結果が合っていた旨を処方箋薬品情報表示装置101の表示画面に表示する。また、処方箋薬品情報表示装置101に表示された薬品すべてについて照合結果が合っていた場合に、その患者の処方箋に記載されている薬品情報すべてについて、薬品情報照合装置103による薬品の照合が完了した旨を、処方箋薬品情報表示装置101の表示画面に表示するとともに、受付表示装置104にも、その患者の処方箋に記載されていた薬品情報が通知される。
【0024】
受付表示装置104は、処方箋に記載されている薬品情報すべてについて、薬品情報照合装置103による薬品の照合が完了すると、その患者に対して処方された薬品すべてが準備された旨を表示する表示装置である。具体的には、前述のとおり、薬品情報照合装置103による薬品の照合が完了した旨が、処方箋薬品情報表示装置101の表示画面に表示されると、照合が完了したすべての薬品をその患者に手渡す準備ができたということ、および、その患者の処方箋に記載されていた薬品情報が、受付端末等の受付表示装置に表示されるとともに、その照合が完了したすべての薬品(その患者に対して処方されたすべての薬品)が薬を患者に手渡す薬剤師の元に届けられる。
【0025】
最終受付薬品照合装置105は、受付表示装置104に表示された患者に対して処方された薬品すべてについて、それぞれの薬品のバーコードと、受付表示装置104に表示されている薬品名の薬品とを照合する照合装置である。具体的には、薬を患者に手渡す薬剤師の元に届けられた薬品のパッケージに付与されているバーコードをバーコードリーダー等で読み取ることにより、その薬品が、受付表示装置104に表示されているその患者に対して処方された薬品と同じかどうかの判断を行い、同じであった場合には、その薬品について照合結果が合っていた旨を受付表示装置104に表示する。
【0026】
そして、その患者の処方箋に記載されている薬品情報すべてについて、最終受付薬品照合装置105による薬品の照合が完了すると、患者に対して処方された薬品をその患者に手渡してよい旨が受付表示装置104に表示される。具体的には、その患者の処方箋に記載されている薬品情報すべてについて、すなわち、受付表示装置104に表示された、その患者に対して処方された薬品すべてについて、最終受付薬品照合装置105による薬品の照合が完了した旨が、受付表示装置104の表示画面に表示されると、照合が完了したすべての薬品をその患者に手渡してよい旨が、受付端末等の受付表示装置104に表示され、これが表示されると最終的に、薬剤師は患者に薬品を手渡すことができる。
【0027】
このように、何段階にも薬品の照合を行っているため、処方箋により指示された薬を薬品棚から取り出して患者に手渡す際に、万一、薬品棚に似た名称や量の異なる薬品が配置されている等の不具合があったとしても、薬剤師が不具合に気づくことができるので、薬剤師が間違えることなく正確に処方された薬を調剤することが可能となる。また、薬剤師が間違えることがないため、ミスした際に生じる余計な手間や時間を削減することができる。
【0028】
図4は、この発明の実施の形態1における調剤管理システム100の動作を示すフローチャートである。まず初めに、ある患者の処方箋が処方箋入力装置3から入力されると(ステップST1のYESの場合)、処方箋薬品情報表示装置101が、その処方箋を読み取って、そこに記載されている薬品情報を取得して表示する(ステップST2)。
【0029】
次に、処方箋薬品情報表示装置101に表示された薬品情報のうち、いずれか1つの薬品が選択されると(ステップST3のYESの場合)、薬品棚明示装置102が、ステップST3で選択された薬品名の薬品が保管されている薬品棚を明示する(ステップST4)。例えば、
図3に示すように、薬品棚明示装置102が、複数の透明な薬品ケース1を備えた薬品棚の背面(後面)、すなわち、複数の透明アクリルケース1(1−1,1−2,1−3,・・・)の背面(後面)に、複数のLED2(2−1,2−2,2−3,・・・)が取り付けられたLED付きバー20が設置されているタイプのものである場合には、薬品棚明示装置102は、ステップST3で選択された薬品情報と、薬品棚10に保管されている薬品保管情報とを比較して、ステップST3で選択された薬品情報に含まれる薬品に対応するLEDがどのLEDであるかを判別して、その対応するLED2を点灯させることにより薬品棚を明示する。
【0030】
次に、薬品情報照合装置103が、ステップST4で明示された薬品棚から取り出された薬品のバーコードと、処方箋薬品情報表示装置101に表示されている選択された薬品名の薬品とを照合した結果が合っているかどうかを判断する(ステップST5)。この結果が合っていなかった場合(ステップST5のNOの場合)には、その薬品名の薬品が保管されるべき薬品棚(薬品ケース)に正しい薬品が保管されていなかったということになるので、薬剤師が正しい薬品を探して対応する薬品棚(薬品ケース)に保管するとともに、その探し出した薬品のバーコードと、処方箋薬品情報表示装置101に表示されている選択された薬品名の薬品とを照合する。
【0031】
このようにして、処方箋薬品情報表示装置101に表示された薬品情報すべてについて、すなわち、その患者に対して処方された薬品すべてについて照合が完了するまで(ステップST6のNOの場合)、ステップST3〜ステップST5の処理を繰り返し行う。
【0032】
そして、患者に対して処方されたすべての薬品について照合が完了すると(ステップST6のYESの場合)、薬品情報照合装置103による薬品の照合が完了した旨を、処方箋薬品情報表示装置101の表示画面に表示する(ステップST7)。また、受付表示装置104にも、その患者に対して処方された薬品すべてが準備された旨、および、患者の処方箋に記載されていた薬品情報を通知する(ステップST8)。
【0033】
この際に、照合が完了したすべての薬品(その患者に対して処方されたすべての薬品)が薬を患者に手渡す薬剤師の元に届けられるので、最終受付薬品照合装置105は、受付表示装置104に表示された患者に対して処方された薬品すべてについて、それぞれの薬品のバーコードと、受付表示装置104に表示されている薬品名の薬品とを照合した結果が合っているかどうかを判断し(ステップST9)、受付表示装置104に表示された薬品情報すべてについて、すなわち、その患者に対して処方された薬品すべてについて照合が完了するまで(ステップST10のNOの場合)、ステップST9の処理を繰り返し行う。
【0034】
そして、患者に対して処方されたすべての薬品について照合が完了すると(ステップST10のYESの場合)、最終受付薬品照合装置105による薬品の照合が完了した旨を、受付表示装置104の表示画面に表示する(ステップST11)。これで最終的に、照合が完了したすべての薬品をその患者に手渡してよい旨が、受付表示装置104に表示され、薬剤師は患者に薬品を手渡すことができる。
【0035】
このように、何段階にも薬品の照合を行っているため、すなわち、薬品情報照合装置103による薬品の選択(4)、最終受付薬品照合装置105による薬品の手渡し(5)という、人的ミスが起こり得るところではすべてバーコードを用いた照合により二重のチェックを行っているため、処方箋により指示された薬を薬品棚から取り出して患者に手渡す際に、万一、薬品棚に似た名称や量の異なる薬品が配置されている等の不具合があったとしても、薬剤師が不具合に気づくことができるので、薬剤師が間違えることなく正確に処方された薬を調剤することが可能となる。また、薬剤師が間違えることがないため、ミスした際に生じる余計な手間や時間を削減することができる。
【0036】
また、この実施の形態1における調剤管理システム100は、薬品棚明示装置102により明示された薬品棚から取り出した薬品のパッケージに付与されているバーコードによる照合を行うので、どの薬品棚からどの薬品が使用されたか(処方されて患者に渡されたか)を認識することができる。そのため、薬品棚に保管されている薬品の在庫管理も自動的に行うことができる。また、その薬品棚に残っている薬品の数が所定の数量以下になったら、自動的に発注を行うようにすることも可能である。
【0037】
図5は、この発明の実施の形態1における調剤管理システムの機能構成の別の例を示すブロック図であり、この調剤管理システム110は、
図2に示すブロック図に加えて、在庫管理発注装置106、入荷薬品照合装置107、入庫薬品棚決定装置108をさらに備えている。
【0038】
在庫管理発注装置106は、最終受付薬品照合装置105により、患者に対して処方された薬品すべてについての照合が完了すると、その薬品情報を取得して、どの薬品が使用されたか(処方されて患者に渡されたか)を認識し、薬品棚に残っている薬品の在庫を更新するとともに、当該薬品棚に残っている薬品の数が所定の数量以下になった場合に、薬品問屋に対して自動的にその薬品の発注を行う管理発注装置である。
【0039】
入荷薬品照合装置107は、在庫管理発注装置106が発注した薬品が薬品問屋から入荷された際に、その入荷された薬品のバーコードと、先に発注された薬品とが同じものである(正しい)か否かの照合を行う照合装置であり、同じ(正しい薬品である)場合にはその旨を入庫薬品棚決定装置108に伝え、間違っている場合にはその旨を在庫管理発注装置106に伝える。
【0040】
入庫薬品棚決定装置108は、入荷薬品照合装置107から入荷した薬品の情報を受け取ると、その入荷した薬品を収納すべき薬品棚を決定して明示する決定装置である。
【0041】
従来では、薬剤師が手作業で薬品の在庫の確認をしたり、残っている薬品の数量の管理をコンピュータ上で行っていたとしても、発注についてはやはり、薬剤師が手間をかけて行うしかなかったり、薬剤を発注する際に間違った薬品を発注してしまう、間違った薬品を入荷した場合にそのまま受け取って入庫してしまう、受け取った薬品を間違った薬品棚に収納してしまうなど、薬品の発注・入庫の際のミスについては防ぐことが難しかった。
【0042】
しかし、この調剤管理システム110のように在庫管理発注装置106、入荷薬品照合装置107、入庫薬品棚決定装置108をさらに備えることにより、実際に患者に手渡された薬品を在庫管理発注装置106から間違いなく発注されるため、間違った薬品を発注してしまうことはなく、また、入庫の際にも、入荷された薬品のバーコードと、発注された薬品とを入荷薬品照合装置107が照合することにより、間違った薬品を入荷した場合にそのまま受け取ってしまうというミスもなく、さらに、入庫薬品棚決定装置108が、入荷された薬品のバーコードを用いて、その薬品を収納する薬品棚を決定して明示することにより、受け取った薬品を間違った薬品棚に収納してしまうというミスも防ぐことができる。すなわち、薬品棚に保管されている薬品の在庫管理や発注・入庫をミスなく行うことが可能になり、手間を省いて効率よく調剤管理を行うことができる。
【0043】
図6は、この発明の実施の形態1における調剤管理システム110の動作の一部を示すフローチャートである。ある患者の処方箋が処方箋入力装置3から入力され、その処方箋に記載された薬品を患者に手渡すところまでは、調剤管理システム100の動作を示す
図4のフローチャートと同じであるが、調剤管理システム110は、さらに在庫管理発注装置106、入荷薬品照合装置107、入庫薬品棚決定装置108をさらに備えるものであるので、それらの構成による薬品の発注、入荷、収納の動作について説明する。
【0044】
前述のとおり、
図4のステップST11において、照合が完了したすべての薬品をその患者に手渡してよい旨が受付表示装置104に表示され、薬剤師は患者に薬品を手渡すことができるが、その結果、その薬品の在庫が所定の数量以下になった場合、すなわち、薬品棚内のその薬品が所定の数量以下になった場合(ステップST21のYESの場合)、在庫管理発注装置106が、その薬品を薬品問屋に発注する(ステップST22)。
【0045】
次に、その発注した薬品が入荷された場合(ステップST23のYESの場合)、入荷薬品照合装置107が、その入荷した薬品のバーコードと、ステップST22で発注された薬品とが同じものであるか否かの照合を行い、同じ(正しい薬品)であれば(ステップST24のYESの場合)、入庫薬品棚決定装置108が、その入荷した薬品を収納すべき薬品棚を決定して明示する(ステップST25)。
【0046】
一方、入荷した薬品が間違った薬品であった場合(ステップST24のNOの場合)には、入荷薬品照合装置107が、在庫管理発注装置106に対して、入荷された薬品が発注した薬品とは違っていたことを伝え、在庫管理発注装置106がその旨を薬品問屋に伝えて発注し直す(ステップST22)ところから繰り返す。
【0047】
このようにして、在庫管理発注装置106、入荷薬品照合装置107、入庫薬品棚決定装置108により、薬品の発注、入荷、収納についても、何段階にも照合を行っているため、すなわち、在庫管理発注装置106による薬品の発注(1)、入荷薬品照合装置107による薬品の入荷(2)、入庫薬品棚決定装置108による薬品の収納(3)という、人的ミスが起こり得るところではすべてバーコードを用いた照合により二重のチェックを行っているため、薬品の発注・入庫や在庫管理をミスなく行うことができ、発注・入庫や在庫管理にかかる手間を大幅に削減することができる。
【0048】
この結果、在庫管理発注装置106による薬品の発注(1)、入荷薬品照合装置107による薬品の入荷(2)、入庫薬品棚決定装置108による薬品の収納(3)、薬品情報照合装置103による薬品の選択(4)、最終受付薬品照合装置105による薬品の手渡し(5)という、5段階の人的ミスが起こり得る工程すべてにおいて、バーコードを用いた照合により二重のチェックを行っているため、すべての工程においてミスなく処理を行うことができ、薬品の発注・入庫や在庫管理、および、薬品の選択や手渡しにかかる手間を大幅に削減することができる。
【0049】
以上のように、この実施の形態1における調剤管理システム100または110によれば、薬品棚から取り出された薬品のバーコードと、処方箋薬品情報表示装置101に表示されている選択された薬品名の薬品とを照合する薬品情報照合装置103による照合がすべて完了すると、処方された薬品すべてが準備された旨を受付表示装置104に表示し、さらに、受付表示装置104に表示された薬品について、それぞれの薬品のバーコードと照合する最終受付薬品照合装置105による照合がすべて完了すると、処方された薬品を患者に手渡してよい旨が受付表示装置に表示される、というように、何段階にも薬品の照合を行っているため、処方箋により指示された薬を薬品棚から取り出して患者に手渡す際に、薬剤師が間違えることなく正確に処方された薬を調剤することが可能となる。また、薬剤師が間違えることがないため、ミスした際に生じる余計な手間や時間を削減することができる。
【0050】
さらに、調剤管理システム110のように、さらに在庫管理発注装置106、入荷薬品照合装置107、入庫薬品棚決定装置108も備えるようにすれば、どの薬品棚からどの薬品が取り出されたのかも自動的にわかるため、薬品の発注・入庫や在庫管理をミスなく行うことができ、発注・入庫や在庫管理にかかる手間を大幅に削減することができる。
【0051】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。