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特開2021-62368ASCの前にSCR触媒を備えるシステム内でDOCとして作用するASCを有する、DOCを伴わない排気システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-62368(P2021-62368A)
(43)【公開日】2021年4月22日
(54)【発明の名称】ASCの前にSCR触媒を備えるシステム内でDOCとして作用するASCを有する、DOCを伴わない排気システム
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/76 20060101AFI20210326BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20210326BHJP
   B01J 37/30 20060101ALI20210326BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20210326BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20210326BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20210326BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20210326BHJP
【FI】
   B01J29/76 AZAB
   B01J35/10 301F
   B01J37/30
   B01D53/94 400
   B01D53/94 222
   B01D53/94 228
   B01D53/94 280
   F01N3/08 B
   F01N3/20 H
   F01N3/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】44
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2020-206887(P2020-206887)
(22)【出願日】2020年12月14日
(62)【分割の表示】特願2017-565202(P2017-565202)の分割
【原出願日】2016年6月17日
(31)【優先権主張番号】62/181,278
(32)【優先日】2015年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ラーション, ミーケル
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AB02
3G091AB05
3G091AB13
3G091AB15
3G091BA01
3G091BA14
3G091BA15
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3G091HA12
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4G169ZA42A
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4G169ZC07
4G169ZD01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ASCの前にSCR触媒を備えるシステム内でDOCとして作用するASCを有する、DOCを伴わない排気システムを提供する。
【解決手段】第1のSCR触媒を含む第1のゾーンと、アンモニアスリップ触媒(ASC)を含む第2のゾーンとを有する触媒物品であって、アンモニアスリップ触媒が第2のSCR触媒と酸化触媒とを含み、かつ、DOC機能性を有し、第1のゾーンは基材の入口側に配置され、第2のゾーンは基材の出口側に配置されている触媒物品が開示されている。この触媒物品は、排気ガス中のNOxの選択的触媒還元(SCR)、アンモニアスリップの量の削減、及び有機残留物の酸化において有用である。触媒物品を含む排気システム及び、アンモニアスリップの量が減少し、炭化水素がASC触媒によって酸化されるSCRプロセスにおいて触媒物品を使用する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口端及び出口を含む基材と、第1のSCR触媒を含む第1のゾーンと、アンモニアスリップ触媒(ASC)を含む第2のゾーンとを含む触媒物品であって、アンモニアスリップ触媒が第2のSCR触媒と酸化触媒とを含み、かつ、DOC機能性を有し、第1のゾーンは基材の入口側に配置され、第2のゾーンは基材の出口側に配置されている、触媒物品。
【請求項2】
第1のゾーン及び第2のゾーンが同じ基材上に配置され、かつ、第1のゾーンが基材の入口側に配置され、第2のゾーンが基材の出口側に配置されている、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項3】
第2の基材をさらに含み、第1のゾーンが第1の基材上に配置され、第2のゾーンは第2の基材上に配置され、かつ、第1の基材が第2の基材の上流に配置されている、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項4】
第1の片部と第2の片部とを含み、第1のゾーンが第1の片部に配置され、第2のゾーンは第2の片部に配置され、かつ、第1の片部が第2の片部の上流に配置されている、請求項3に記載の触媒物品。
【請求項5】
ASCが、酸化触媒を含む最下層と第2のSCR触媒を含む最上層とを有する二重層である、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項6】
最上層がパラジウムをさらに含む、請求項5に記載の触媒物品。
【請求項7】
第2のゾーンが酸化触媒と第2のSCR触媒とのブレンドを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項8】
ブレンドがMnO上にPd、Nb−Ce−Zr又はNbをさらに含む、請求項7に記載の触媒物品。
【請求項9】
酸化触媒が、担体上、好ましくは低アンモニア貯蔵を有する担体上に白金を含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項10】
低アンモニア貯蔵を有する担体が珪酸質担体である、請求項9に記載の触媒物品。
【請求項11】
珪酸質担体が、(a)少なくとも100、(b)少なくとも200、(c)少なくとも250、(d)少なくとも300、(e)少なくとも400、(f)少なくとも500、(g)少なくとも750、及び(h)少なくとも1000のうちの少なくとも1つのシリカ対アルミナ比を有するシリカ又はゼオライトを含む、請求項10に記載の触媒物品。
【請求項12】
珪酸質担体が、BEA、CDO、CON、FAU、MEL、MFI又はMWWを含む、請求項10又は11に記載の触媒物品。
【請求項13】
低アンモニア貯蔵を有する担体上の白金の量に対するSCR触媒の量の比率が、これらの成分の重量に基づいて、(a)0:1〜300:1、(b)3:1〜300:1、(c)7:1〜100:1、及び(d)10:1〜50:1(比の各端点を含む)のうちの少なくとも1つの範囲内にある、請求項9から12のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項14】
白金が、白金の担体の重量+白金の重量+ブレンド中の第1のSCR触媒の重量の(a)0.01−0.3%、(b)0.03−0.2%、(c)0.05−0.17%、及び(d)0.07−0.15%のうちの少なくとも1つとして存在する、請求項9から13のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項15】
酸化触媒が白金族金属を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項16】
酸化触媒が白金若しくはパラジウム又はこれらの混合物を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項17】
Ptが約0.1g/ftから約20g/ftの量でASCゾーンに存在する、請求項16に記載の触媒物品。
【請求項18】
Pdが約0.1g/ftから約20g/ftの量でASCゾーンに存在する、請求項16又は請求項17に記載の触媒物品。
【請求項19】
PtとPdが約1:0.01から約1:10の重量比で存在する、請求項16から18のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項20】
第1のSCR触媒が卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はこれらの混合物である、請求項1から19のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項21】
卑金属が、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、セリウム(Ce)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びジルコニウム(Zr)、並びにこれらの混合物からなる群より選択される、請求項20に記載の触媒物品。
【請求項22】
少なくとも1種の卑金属促進剤をさらに含む、請求項20又は請求項21に記載の触媒製品。
【請求項23】
モレキュラーシーブ又は金属交換モレキュラーシーブが小細孔、中細孔、大細孔又はこれらの混合物である、請求項20から22のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項24】
第1のSCR触媒が、アルミノシリケートモレキュラーシーブ、金属置換アルミノシリケートモレキュラーシーブ、アルミノホスフェート(AlPO)モレキュラーシーブ、金属置換アルミノホスフェート(MeAlPO)モレキュラーシーブ、シリコアルミノホスフェート(SAPO)モレキュラーシーブ及び金属置換シリコアルミノホスフェート(MeSAPSO)モレキュラーシーブ、並びにこれらの混合物からなる群より選択される小細孔モレキュラーシーブを含む、請求項20から23のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項25】
第1のSCR触媒が、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択される小細孔モレキュラーシーブを含む、請求項20から24のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項26】
第1のSCR触媒が、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、SFW、KFI、DDR、及びITEからなる骨格型の群より選択される小細孔モレキュラーシーブを含む、請求項20から25のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項27】
SCR触媒が、AEL、AFO、AHT、BOF、BOZ、CGF、CGS、CHI、DAC、EUO、FER、HEU、IMF、ITH、ITR、JRY、JSR、JST、LAU、LOV、MEL、MFI、MFS、MRE、MTT、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、OBW、PAR、PCR、PON、PUN、RRO、RSN、SFF、SFG、STF、STI、STT、STW、SVR、SZR、TER、TON、TUN、UOS、VSV、WEI及びWEN、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択される中細孔モレキュラーシーブを含む、請求項20から24のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項28】
第1のSCR触媒が、AFI、AFR、AFS、AFY、ASV、ATO、ATS、BEA、BEC、BOG、BPH、BSV、CAN、CON、CZP、DFO、EMT、EON、EZT、FAU、GME、GON、IFR、ISV、ITG、IWR、IWS、IWV、IWW、JSR、LTF、LTL、MAZ、MEI、MOR、MOZ、MSE、MTW、NPO、OFF、OKO、OSI、RON、RWY、SAF、SAO、SBE、SBS、SBT、SEW、SFE、SFO、SFS、SFV、SOF、SOS、STO、SSF、SSY、USI、UWY及びVET、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択される大細孔モレキュラーシーブを含む、請求項20から24のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項29】
第2のSCR触媒がCu−SCR触媒、Fe−SCR触媒、卑金属、卑金属の酸化物若しくは混合酸化物又はバナジウム触媒である、請求項1から28のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項30】
Cu−SCR触媒が銅及びモレキュラーシーブを含み、Fe−SCR触媒が鉄及びモレキュラーシーブを含む、請求項29に記載の触媒物品。
【請求項31】
モレキュラーシーブがアルミノシリケート、アルミノホスフェート(AlPO)、シリコアルミノホスフェート(SAPO)又はこれらの混合物である、請求項30に記載の触媒物品。
【請求項32】
モレキュラーシーブが、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択される、請求項30又は31に記載の触媒物品。
【請求項33】
モレキュラーシーブが、AEI、AFX、CHA、DDR、ERI、ITE、KFI、LEV及びSFWからなる骨格型の群より選択される、請求項30から32のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項34】
基材がコーディエライト、高多孔性コーディエライト、金属基材、押出SCR、ウォールフロー型フィルター、フィルター又はSCRFである、請求項1から33のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項35】
第1のSCR触媒が第1のコーティングとして存在し、低アンモニア貯蔵を有する担体上の白金が第2のコーティングに存在し、NHを含むガスが第2のコーティングを通過する前に第1のコーティングを通過する比較構成を含む触媒と比較して、約250℃から約350℃の温度でのアンモニアからのN収率の改善をもたらす、請求項1から34のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項36】
第1のSCR触媒が第1のコーティングとして存在し、担持された白金が第2のコーティングに存在し、NHを含むガスが第2のコーティングを通過する前に第1のコーティングを通過する比較構成を含む触媒と比較して、(a)約350℃から約450℃の温度でのアンモニアからのN収率の改善、及び(b)約350℃から約450℃の温度でのNO生成の低減のうちの少なくとも1つをもたらす、請求項1から35のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項37】
第1のSCR触媒が第1のコーティングとして存在し、担持された白金が第2のコーティングに存在し、NHを含むガスが第2のコーティングを通過する前に第1のコーティングを通過する比較構成を含む触媒と比較して、NHからのNOの生成を低減させる、請求項1から36のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項38】
発熱を生じる、請求項1から37のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項39】
請求項1から38のいずれか一項に記載の触媒物品と、排気ガス中にNHを生成するか又は排気ガスにNHを導入するための第1の手段とを備える排気システムであって、排気ガス中にNHを生成するか又は排気ガスにNHを導入するための第1の手段が触媒物品の前に配置されている、排気システム。
【請求項40】
CSF又はSCRFをさらに備え、CSF又はSCRFが触媒物品の下流に配置され、前記システムがSCRFを備える場合、排気ガス中にNHを生成するか又は排気ガスにNH3を導入するための第2の手段が触媒物品とSCRFとの間に配置されている、請求項38又は請求項39に記載の排気システム。
【請求項41】
CSFがCSFの前方に高PGM担持量を含む、請求項40に記載の排気システム。
【請求項42】
請求項1に記載の触媒物品と、排気ガス中にNHを生成するか又は排気ガスにNHを導入するための手段とを備える排気システムを含むエンジン。
【請求項43】
炭化水素を含む排気ガスを請求項1から38のいずれか一項に記載の触媒物品と接触させることを含む、排気ガス中の炭化水素排出物を制御する方法。
【請求項44】
炭化水素を含む排気ガスを請求項1から38のいずれか一項に記載の触媒物品と接触させることを含む、排気ガス中の炭化水素排出物を処理する触媒において発熱を生じさせる方法。
【請求項45】
NO又はNHを含む排気ガスを請求項1から38のいずれか一項に記載の触媒物品と接触させることを含む、排気ガス中のNO排出物を制御する方法。
【請求項46】
NO又はNHを含む排気ガスを請求項1から38のいずれか一項に記載の触媒物品と接触させることを含む、排気ガス中のNO排出物を制御する方法。
【請求項47】
請求項1から38のいずれか一項に記載の触媒物品が、DOCを含む排気システムの一部ではない、請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアスリップ触媒(ASC)、アンモニアスリップ触媒を含有する物品、並びにアンモニアスリップを減少させるためにそのような物品を製造及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン、固定ガスタービン及びその他のシステムにおける炭化水素の燃焼は、NO(一酸化窒素)及びNO(二酸化窒素)を含む窒素酸化物(NOx)を除去するために処理しなければならない排気ガスを生成する(生成するNOxの大部分はNOである)。NOxは、人々の健康問題を多く引き起こすだけでなく、スモッグや酸性雨の形成を含む多くの有害な環境影響を引き起こすことが知られている。排気ガス中のNOのヒト及び環境への影響を軽減するためには、これらの望ましくない成分を、好ましくは他の有害又は毒性物質を生成しないプロセスによって、排除することが望ましい。
【0003】
リーンバーン及びディーゼルエンジンで発生する排気ガスは、一般に酸化性である。NOxを元素窒素(N)と水に変換する選択的触媒還元(SCR)として知られている方法において、触媒及び還元剤を用いてNOxを選択的に還元する必要がある。SCRプロセスでは、ガス状還元剤、典型的には無水アンモニア、アンモニア水又は尿素が、排気ガスが触媒と接触する前に排気ガス流に添加される。還元剤は触媒上に吸着され、NOは触媒された基材の中又は上を通過する際に還元される。NOxの変換率を最大にするためには、化学量論量より多いアンモニアをガス流に添加することがしばしば必要である。しかし、過剰のアンモニアを大気中に放出することは、人々の健康及び環境に有害であろう。さらに、アンモニアは、特に水溶液形態で苛性である。排気管下流の排気管の領域におけるアンモニア及び水の凝縮は、排気システムを損傷し得る腐食性の混合物を生じる可能性がある。したがって、排気ガス中のアンモニアの放出は止めるべきである。従来型の排気システムの多くでは、アンモニア酸化触媒(アンモニアスリップ触媒又は「ASC」としても知られている)がSCR触媒の下流に設置されており、排気ガス中のアンモニアを窒素に変換することによってアンモニアを除去する。アンモニアスリップ触媒の使用は、典型的なディーゼル走行サイクルにわたって90%を超えるNO変換率を可能にし得る。
【0004】
SCRによるNOx除去と窒素への選択的アンモニア変換の両方を提供する触媒を有することが望ましく、アンモニア変換は車両の駆動サイクル中に広い温度範囲にわたって起こり、最小の窒素酸化物及び亜酸化窒素副生成物が形成される。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様では、本発明は、入口端及び出口を含む基材と、第1のSCR触媒を含む第1のゾーンと、アンモニアスリップ触媒(ASC)を含む第2のゾーンとを含む触媒物品に関し、この場合、アンモニアスリップ触媒は第2のSCR触媒と酸化触媒とを含み、かつ、DOC機能性を有し、第1のゾーンは基材の入口側に配置され、第2のゾーンは基材の出口側に配置されている。
【0006】
別の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の触媒物品と、NHを排気ガス中に生成するための手段とを備える排気システムに関する。
【0007】
さらに別の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の触媒物品と、NHを排気ガス中に生成するための手段とを備える排気システムを含むエンジンに関する。
【0008】
さらに別の態様では、本発明は、炭化水素を含む排気ガスを本発明の第1の態様の触媒物品と接触させることを含む、排気ガス中の炭化水素排出物を制御する方法に関する。
【0009】
別の態様では、本発明は、炭化水素を含む排気ガスを本発明の第1の態様の触媒物品と接触させることを含む、排気ガス中の炭化水素排出物を処理する触媒中に発熱を生じさせる方法に関する。
【0010】
なお別の態様では、本発明は、炭化水素を含む排気ガスを本発明の第1の態様の触媒物品に接触させることを含む、排気ガス中の炭化水素排出物を処理する触媒中に発熱を生じさせる方法に関する。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、NOx又はNHを含む排気ガスを本発明の第1の態様の触媒物品と接触させることを含む、排気ガス中のNOx排出物を制御する方法に関する。
【0012】
さらなる態様では、本発明は、NOx又はNHを含む排気ガスを本発明の第1の態様の触媒物品と接触させることを含む、排気ガス中のNO排出物を制御する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】SCRがASCの前の排気ガス流中に配置されている構成を示す。
図2】SRCが、酸化触媒を含む最下層の上に第2のSCR触媒を有する最上層を含む二重層触媒の前の排気ガス流中に配置されている構成を示す。
図3】SCRが、SCR触媒と酸化触媒とのブレンドを含むASCの前排気ガス流中に配置されている構成を示す。
図4】フレッシュ触媒を用いたNH変換率、NO選択率、及びNO選択率を示すグラフである。
図5】エイジング触媒を用いたNH変換率、NO選択率、及びNO選択率を示すグラフである。
図6】フレッシュ触媒を用いたNO変換率を示すグラフである。
図7】エイジング触媒を用いたNO変換率を示すグラフである。
図8】フレッシュ触媒を用いたCO変換率を示すグラフである。
図9】エイジング触媒を用いたCO変換率を示すグラフである。
図10】フレッシュな参照触媒を用いた炭化水素(HC)変換率を示すグラフである。
図11】1:5のPt:Pd比率を有するフレッシュ触媒を用いた炭化水素(HC)変換率を示すグラフである。
図12】2:1のPt:Pd比率を有するフレッシュ触媒を用いた炭化水素(HC)変換率を示すグラフである。
図13】エイジングさせた参照触媒を用いた炭化水素(HC)変換率を示すグラフである。
図14】1:5のPt:Pd比率を有するエイジング触媒を用いた炭化水素(HC)変換率を示すグラフである。
図15】2:1のPt:Pd比率を有するエイジング触媒を用いた炭化水素(HC)変換率を示すグラフである。
図16】唯一のPGMとしてPtを有する参照触媒を含有する排気システム内の、さまざまな地点での温度を示すグラフである。
図17】PtとPdを1:5の担持量で有する参照触媒を含有する排気システム内のさまざまな地点での温度を示すグラフである。
図18】PtとPdを2:1の担持量で有する参照触媒を含有する排気システム内のさまざまな地点の温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈から判断して明らかにそうでないと分かる以外は、複数の指示物を含む。したがって、例えば「触媒(a catalyst)」と言えば、2つ以上の触媒の混合物などを含む。
【0015】
「アンモニアスリップ」という用語は、SCR触媒を通過する未反応アンモニアの量を意味する。
【0016】
用語「担体」とは、触媒が固定されている材料を意味する。
【0017】
用語「低アンモニア貯蔵を有する担体」とは、担体1m当たり0.001mmol未満のNHを貯蔵する担体を意味する。低アンモニア貯蔵を有する担体は好ましくは、AEI、ANA、ATS、BEA、CDO、CFI、CHA、CON、DDR、ERI、FAU、FER、GON、IFR、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRY、ISV、ITE、ITG、ITN、ITR、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JOZ、LTA、LTF、MEL、MEP、MFI、MRE、MSE、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWW、NON、NSI、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFS、SFV、SGT、SOD、SSF、SSO、SSY、STF、STO、STT、SVR、SVV、TON、TUN、UOS、UOV、UTL、UWY、VET、VNIからなる群より選択される骨格型を有するモレキュラーシーブ又はゼオライトである。モレキュラーシーブ又はゼオライトは、より好ましくはBEA、CDO、CON、FAU、MEL、MFI、及びMWWからなる群より選択される骨格型を、さらに一層好ましくはBEA及びMFIからなる群より選択される骨格型を有する。
【0018】
用語「か焼する」又は「か焼」とは、空気中又は酸素中で材料を加熱することを意味する。この定義は、IUPACのか焼の定義と一致するものである。この定義は、IUPACのか焼の定義と一致するものである。(IUPAC. Compendium of Chemical Terminology, 第2版(「Gold Book」). A. D. McNaught及びA. Wilkinsonによる編纂。Blackwell Scientific Publications, Oxford (1997). XMLオンライン改訂版: http://goldbook.iupac.org (2006-)、M. Nic, J. Jirat, B. Kosataにより作成; A. Jenkinsにより更新版が編纂される。ISBN 0-9678550-9-8. doi:10.1351/ goldbook.)金属塩を分解し、触媒内の金属イオンの交換を促進し、触媒を基材に接着させるために、か焼が行われる。か焼に用いられる温度は、か焼する材料中の成分によって決まり、通常、およそ1から8時間で約400℃から約900℃の間である。場合によっては、か焼は、約1200℃までの温度で実施することができる。本明細書に記載の方法を含む用途では、か焼は、通常約400℃から約700℃の温度でおよそ1から8時間、好ましくは約400℃から約650℃の温度でおよそ1から4時間実施される。
【0019】
用語「約」は、おおよそを意味し、この用語が結び付けられている値の、任意選択的に±25%、好ましくは±10%、さらに好ましくは±5%、又は最も好ましくは±1%の範囲を指す。
【0020】
さまざまな数値要素の1つ又は複数の範囲が提供される場合、その1つ又は複数の範囲は、別記されない限り、その値を含めることができる。
【0021】
用語「N選択性」は、アンモニアの窒素への変換率を意味する。
【0022】
「ディーゼル酸化触媒」(DOC)という用語は、燃焼プロセスからの炭化水素を含有する排気ガスを処理するために使用される触媒のタイプを記述するために用いられる、当該技術分野でよく知られている用語である。
【0023】
用語「白金族金属」又は「PGM」は、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、及びイリジウムを指す。白金族金属は好ましくは、白金、パラジウム、ルテニウム又はロジウムである。
【0024】
用語「活性成分担持量」は、白金の担体の重量+白金の重量+ブレンド中の第1のSCR触媒の重量を指す。白金は、約0.01〜約0.25重量%(境界値も含む)の活性成分担持量の触媒中に存在し得る。好ましくは、白金は、0.04〜0.2重量%(境界値も含む)の活性成分担持量の触媒中に存在し得る。より好ましくは、白金は、0.07〜0.17重量%(境界値も含む)の活性成分担持量の触媒中に存在し得る。最も好ましくは、白金は、0.05〜0.15重量%(境界値も含む)の活性成分担持量の触媒中に存在し得る。
【0025】
用語「下流」及び「上流」は、排気ガスの流れが基材又は物品の入口端から出口端に向かう触媒又は基材の配向を表す。
【0026】
「第1」、「第2」という用語は、本明細書において一般的に使用され、同じ名前を有する特徴を区別するためのラベルであり、このような各特徴の数ついては、文脈がそうでないことを示さない限り、数値限定されない。
【0027】
本明細書で使用される「DOC機能性」という表現は、典型的にはディーゼルエンジンなどのリーンバーンエンジンにより生じる排気ガス中の一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を処理するための酸化触媒を指す。
【0028】
本発明の第1の態様では、触媒物品は、入口端及び出口端を含む基材と、第1のSCR触媒を含む第1のゾーンと、アンモニアスリップ触媒(ASC)を含む第2のゾーンとを含み、この場合、アンモニアスリップ触媒は第2のSCR触媒と酸化触媒とを含み、ASCはDOC機能性を有し、第1のゾーンは基材の入口側に(例えば入口端に)配置され、第2のゾーンは基材の出口側に(例えば出口端に)配置されている。触媒物品は、発熱を生じさせることができる。
【0029】
第1のゾーン及び第2のゾーンは、同じ基材上に配置することができ、好ましくはこの場合、第1のゾーンが基材の入口側に配置され、第2のゾーンが基材の出口側に配置される。
【0030】
触媒物品は、第2の基材をさらに含むことができ、この場合第1のゾーンは第1の基材上に配置され、第2のゾーンは第2の基材上に配置され、第1の基材が第2の基材の上流に配置される。触媒物品は、第1の片部と第2の片部とを含むことができ、この場合第1のゾーンは第1の片部に配置され、第2のゾーンは第2の片部に配置され、第1の片部が第2の片部の上流に配置される。
【0031】
第1のゾーンは、第1のSCR触媒を含む。第2のゾーンは、酸化触媒と第2のSCR触媒とを含むASC触媒を含む。
【0032】
ASCは、酸化触媒を含む最下層と第2のSCR触媒を含む最上層とを有する二重層であってよい。
【0033】
ASC触媒は、酸化触媒と第2のSCR触媒とのブレンドを含む単一層であってもよい。
【0034】
SCR触媒
この組成物は、2つのSCR触媒、すなわち第1のゾーン(例えばSCRゾーン)の第1のSCR触媒と、アンモニアスリップ触媒(ASC)の一部としての第2のSCR触媒とを含む。
【0035】
第1のSCR触媒は、後述するような異なる活性成分を含むことにより、異なる担持量の活性成分を含むことにより、又はその両方により第2のSCR触媒とは異なるものであり得る。
【0036】
第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒の各々における活性成分又はSCR組成物は、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ、及びこれらの混合物からなる群より独立に選択することができる。
【0037】
卑金属は、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、セリウム(Ce)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びジルコニウム(Zr)、並びにこれらの混合物からなる群より選択することができる。
【0038】
アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア及びそれらの組み合わせなどの耐火性金属酸化物上に担持されたバナジウムからなるSCR組成物は、周知であり、自動車用途で商業的に広く使用されている。典型的な組成物は、米国特許第4010238号及び第4085193号に記載されており、これらの特許の全内容は参照により本明細書に援用される。商業的に、特に自動車用途において使用される組成物は、TiOであってその上にWO及びVが各々5〜20重量%及び0.5〜6重量%の範囲の濃度で分散されているTiOを含む。SCR触媒は、MnO上にNb−Ce−Zr又はNbを含んでもよい。これらの触媒は、結合剤及び促進剤として作用する、SiO及びZrOなどの他の無機材料を含んでもよい。
【0039】
SCR触媒が卑金属である場合、触媒物品は、少なくとも1種の卑金属促進剤をさらに含んでもよい。本明細書で使用される場合、「促進剤」は、触媒に添加されたときに触媒の活性を増加させる物質を意味すると理解される。
【0040】
卑金属促進剤は、金属、金属の酸化物、又はこれらの混合物の形態であってもよい。
【0041】
少なくとも1種の卑金属促進剤又は卑金属触媒促進剤は、ネオジム(Nd)、バリウム(Ba)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、タンタル(Ta)、ストロンチウム(Sr))、及びこれらの酸化物から選択することができる。
【0042】
少なくとも1種の卑金属促進剤又は卑金属触媒促進剤は、好ましくはMnO、Mn、Fe、SnO、CuO、CoO、CeO、及びこれらの混合物であり得る。
【0043】
少なくとも1種の卑金属触媒促進剤は、水溶液中の塩、例えば硝酸塩又は酢酸塩などの形態で触媒に添加してもよい。
【0044】
少なくとも1種の卑金属促進剤又は卑金属触媒促進剤及び少なくとも1種の卑金属触媒(例えば銅)は、酸化物担体材料上に水溶液から含浸されてもよく、酸化物担体材料を含むウオッシュコートに添加されてもよく、ウオッシュコートで予めコーティングされた担体に含浸されてもよい。
【0045】
SCR触媒は、モレキュラーシーブ又は金属交換モレキュラーシーブを含んでもよい。本明細書で使用されるように、「モレキュラーシーブ」とは、ガス又は液体の吸着剤として使用することができる、適切かつ均一なサイズの小さな細孔を含む準安定物質を意味すると理解される。細孔を通過するのに十分小さい分子は吸着され、大きい分子は吸着されない。モレキュラーシーブは、ゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ、又はこれらの混合物であってもよい。
【0046】
ゼオライトモレキュラーシーブは、国際ゼオライト協会(International Zeolite Association(IZA))が発表しているDatabase of Zeolite Structures(ゼオライト構造のデータベース)に列挙されている骨格構造のいずれか1つを有する微多孔アルミノシリケートである。骨格構造には、CHA、FAU、BEA、MFI、MOR型のものが含まれるが、これらに限定されない。これらの構造を有するゼオライトの非限定的な例には、チャバサイト、フージャサイト、ゼオライトY、超安定Y型ゼオライト、ベータゼオライト、モルデナイト、シリカライト、X型ゼオライト、及びZSM−5が含まれる。アルミノシリケートゼオライトは、少なくとも約5、好ましくは少なくとも約20のシリカ/アルミナモル比(SAR)(SiO/Alと定義される)を有することができ、有効測定範囲は約10〜200である。
【0047】
第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒の各々は、小細孔、中細孔又は大細孔モレキュラーシーブ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0048】
「小細孔モレキュラーシーブ」は、四面体原子8個の最大環サイズを含むモレキュラーシーブである。「中細孔モレキュラーシーブ」は、四面体原子10個の最大環サイズを含むモレキュラーシーブである。「大細孔モレキュラーシーブ」は、四面体原子12個の最大環サイズを有するモレキュラーシーブである。
【0049】
第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒の各々は、アルミノシリケートモレキュラーシーブ、金属置換アルミノシリケートモレキュラーシーブ、アルミノホスフェート(AlPO)モレキュラーシーブ、金属置換アルミノホスフェート(MeAlPO)モレキュラーシーブ、シリコアルミノホスフェート(SAPO)モレキュラーシーブ及び金属置換シリコアルミノホスフェート(MeAPSO)モレキュラーシーブ、並びにこれらの混合物からなる群より選択される小細孔モレキュラーシーブを独立に含み得る。
【0050】
第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒の各々は、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SFW、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG、及びZON、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択される小細孔モレキュラーシーブを独立に含み得る。好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、SFW、KFI、DDR、及びITEからなる骨格型の群より選択される。
【0051】
第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒の各々は、AEL、AFO、AHT、BOF、BOZ、CGF、CGS、CHI、DAC、EUO、FER、HEU、IMF、ITH、ITR、JRY、JSR、JST、LAU、LOV、MEL、MFI、MFS、MRE、MTT、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、OBW、PAR、PCR、PON、PUN、RRO、RSN、SFF、SFG、STF、STI、STT、STW、SVR、SZR、TER、TON、TUN、UOS、VSV、WEI及びWEN、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択される中細孔モレキュラーシーブを独立に含み得る。好ましくは、中細孔モレキュラーシーブは、MFI、FER及びSTTからなる骨格型の群より選択される。
【0052】
第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒の各々は、AFI、AFR、AFS、AFY、ASV、ATO、ATS、BEA、BEC、BOG、BPH、BSV、CAN、CON、CZP、DFO、EMT、EON、EZT、FAU、GME、GON、IFR、ISV、ITG、IWR、IWS、IWV、IWW、JSR、LTF、LTL、MAZ、MEI、MOR、MOZ、MSE、MTW、NPO、OFF、OKO、OSI、RON、RWY、SAF、SAO、SBE、SBS、SBT、SEW、SFE、SFO、SFS、SFV、SOF、SOS、STO、SSF、SSY、USI、UWY及びVET、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択される大細孔モレキュラーシーブを独立に含み得る。好ましくは、大細孔モレキュラーシーブは、MOR、OFF及びBEAからなる骨格型の群より選択される。
【0053】
金属交換モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブの外面又はチャネル、キャビティ若しくはケージ内の余分な骨格部位に堆積した、周期表のVB、VIB、VIIB、VIIIB、IB又はIIB族のうちの1つからの少なくとも1種の金属を有してもよい。この金属は、0価の金属原子又はクラスター、単離されたカチオン、単核又は多核オキシカチオンを含むがこれらに限定されないいくつかの形態のうちの1つの形態で存在しても、又は拡大された(extended)金属酸化物として存在してもよい。好ましくは、金属は、鉄、銅、及びこれらの混合物又は組み合わせであってよい。
【0054】
金属は、適切な溶媒中の金属前駆体の混合物又は溶液を用いて、ゼオライトと組み合わせることができる。用語「金属前駆体」は、ゼオライト上に分散されて触媒活性金属成分をもたらすことができる任意の化合物又は錯体を意味する。溶媒は、他の溶媒を使用することの経済面及び環境面の双方に因り、好ましくは水である。好ましい金属である銅を使用する場合、好適な錯体又は化合物には、限定されないが、無水及び水和硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、銅アセチルアセトネート、酸化銅、水酸化銅、及び銅アミンの塩(例えば[Cu(NH2+)が含まれる。本発明は、特定の種類、組成又は純度の金属前駆体に限定されない。モレキュラーシーブを金属成分の溶液に添加して懸濁液を形成し、その後これを反応させて金属成分をゼオライト上に分散させることができる。金属は、モレキュラーシーブの外面だけでなく細孔チャネルにも分散されてもよい。金属は、イオン形態で、又は金属酸化物として分散されてもよい。例えば、銅は、銅(II)イオン、銅(I)イオン又は酸化銅として分散されてもよい。金属を含有するモレキュラーシーブを、懸濁液の液相から分離し、洗浄し、乾燥させることができる。その後、得られた金属含有モレキュラーシーブをか焼して、モレキュラーシーブ中に金属を固定することができる。
【0055】
好ましくは、第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒のそれぞれは、Cu−SCR、Fe−SCR、バナジウム、混合酸化物、促進Ce−Zr又は促進MnOを独立に含み得る。
【0056】
金属交換モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブの外面又はチャネル、キャビティ若しくはケージ内の余分な骨格部位に配置されている、周期表のVB、VIB、VIIB、VIIIB、IB又はIIB族を約0.10重量%〜約10重量%の範囲で含有してもよい。好ましくは、余分な骨格金属は、約0.2重量%〜約5重量%の範囲の量で存在し得る。
【0057】
金属交換モレキュラーシーブは、触媒の総重量の約0.1重量%〜約20重量%の銅(Cu)又は鉄(Fe)を有する、銅又は鉄担持モレキュラーシーブであってもよい。より好ましくは、銅又は鉄は、触媒の総重量の約0.5%〜約15%存在する。最も好ましくは、銅又は鉄は、触媒の総重量の約1%〜約9%存在する。
【0058】
第2のSCR触媒は、Cu−SCR触媒、Fe−SCR触媒、卑金属、卑金属の酸化物若しくは混合酸化物又はバナジウム触媒であってもよい。
【0059】
Cu−SCR触媒は、銅及び小細孔モレキュラーシーブを含み、Fe−SCR触媒は、鉄及び小細孔モレキュラーシーブを含む。
【0060】
小細孔モレキュラーシーブは、アルミノシリケート、アルミノホスフェート(AlPO)、シリコアルミノホスフェート(SAPO)又はこれらの混合物であり得る。
【0061】
小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択することができる。
【0062】
好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、AEI、AFX、CHA、DDR、ERI、ITE、KFI、LEV、及びSFWからなる骨格型の群より選択することができる。
【0063】
低アンモニア貯蔵を有する担体上の白金の量に対する第1のSCR触媒の量の比率は、これらの成分の重量に基づいて、(a)0:1〜300:1、(b)3:1〜300:1、(c)7:1〜100:1、及び(d)10:1〜50:1(端点を含む)のうちの少なくとも1つの範囲内にあってよい。
【0064】
白金は、白金の担体の重量+白金の重量+ブレンド中の第1のSCR触媒の重量の(a)0.01−0.3%、(b)0.03−0.2%、(c)0.05−0.17%、及び(d)0.07−0.15%のうちの少なくとも1つで存在し得る。
【0065】
アンモニアスリップ触媒
アンモニアスリップ触媒は、酸化触媒を含む最下層と第2のSCR触媒を含む最上層とを有する二重層であってよい。
【0066】
アンモニアスリップ触媒は、酸化触媒と第2のSCR触媒とのブレンドを含む単一層であってもよい。
【0067】
この酸化触媒は、好ましくは白金族金属、好ましくは白金若しくはパラジウム又はこれらの混合物である。
【0068】
白金は、約0.1g/ftから約20g/ftの量でASCゾーンに存在し得る。
【0069】
白金は、約0.1g/ftから約20g/ftの量でASCゾーンに存在し得る。
【0070】
白金とパラジウムの双方がASCゾーンに存在する場合、Pt及びPdは、約1:0.01から約1:10の重量比で存在する。
【0071】
二重層アンモニアスリップ触媒は好ましくは、白金を含最下層と、銅ゼオライト、好ましくは銅チャバザイトを含む最上層とを含み、この場合パラジウムも最下層若しくは最上層又は最上層と最下層の双方に存在する。最上層は、パラジウムをさらに含むことができる。パラジウムは、最上層に存在する場合、好ましくは銅ゼオライトとのブレンド中に存在し、ここでパラジウムは、ブレンドを形成している銅ゼオライトと混合して担体上にある。これらの組成物は、触媒の発熱性能を改善するのに役立ち得る。
【0072】
第2のゾーンが酸化触媒と第2のSCR触媒とのブレンドを含む場合、酸化触媒は、白金を担体上、好ましくは低アンモニア貯蔵を有する担体上に含むことができる。低アンモニア貯蔵を有する担体は、珪酸質担体であり得る。
【0073】
珪酸質担体は、(a)少なくとも100、(b)少なくとも200、(c)少なくとも250、(d)少なくとも300、(e)少なくとも400、(f)少なくとも500、(g)少なくとも750、及び(h)少なくとも1000のうちの少なくとも1つのシリカ対アルミナ比を有するシリカ又はゼオライトを含み得る。
【0074】
珪酸質担体は、BEA、CDO、CON、FAU、MEL、MFI又はMWW骨格型を有するモレキュラーシーブを含み得る。
【0075】
低アンモニア貯蔵を有する担体上の白金の量に対するSCR触媒の量の比は、これらの成分の重量に基づいて、0:1〜300:1、好ましくは3:1〜300:1、より好ましくは7:1〜100:1、最も好ましくは10:1〜50:1の範囲(比の各端点を含む)であってよい。
【0076】
ブレンドは、MnO上にPd、Nb−Ce−Z又はNbをさらに含むことができる。
【0077】
本明細書に記載の触媒は、様々なエンジンからの排気ガスのSCR処理において使用することができる。珪酸質担体上の白金と第1のSCR触媒とのブレンドを含む触媒の特性の一つは、第1のSCR触媒がCu−SCR又はFe−SCR触媒である場合、第1のSCR触媒が第1の層として存在し、アンモニアを貯蔵する層に担持された白金が第2のコーティングに存在し、NHを含むガスが第2のコーティングを通過する前に第1の層を通過する比較構成を含む触媒と比較して、約250℃から約350℃の温度でのアンモニアからのN収率の改善をもたらし得ることである。低アンモニア貯蔵を有する担体上の白金と第1のSCR触媒とのブレンドを含む触媒の別の特性は、第1のSCR触媒がCu−SCR触媒又はFe−SCR触媒である場合、第1のSCR触媒が第1の層として存在し、アンモニアを貯蔵する担体に担持された白金が第2のコーティングに存在し、NHを含むガスが第2のコーティングを通過する前に第1の層を通過する比較構成を含む触媒と比較して、NHからのNO生成を低減し得ることである。
【0078】
本発明の一態様では、低アンモニア貯蔵を有する担体上の白金と第1のSCR触媒とのブレンドを含む触媒のさまざまな構成を調製することができる。アンモニアを貯蔵しない担体上の白金と第1のSCR触媒とのブレンドを含む触媒の部分は、以下に説明する図において「ブレンド」と表示される。
【0079】
第1の構成では、触媒物品は、入口及び出口を有する基材と、SCR触媒を含む第1のゾーンと、アンモニアスリップ触媒(ASC)を含む第2のゾーンとを含み、第1のゾーンは基材の入口側に配置され、第2のゾーンが第1のゾーンの下流及び基材の出口側に配置されている。図1は、SCRが排気ガス流内で物品の入口に配置され、ASCが物品の出口に配置されている構成を示す。
【0080】
第2の構成では、触媒物品は、入口及び出口を有する基材と、第1のSCR触媒を含む第1のゾーンと、アンモニアスリップ触媒(ASC)を含む第2のゾーンとを含み、ASCは第2のSCR触媒を含む最上層と酸化触媒を含む最下層とを有する二重層を含み、第1のゾーンは基材の入口側に配置され、第2のゾーンは第1のゾーンの下流及び基材の出口側に配置されている。この構成は、第2のSCR触媒を含む最上層と酸化触媒を含む最下層とを有する二重層であるASCを備えた第1の構成と類似している。図2は、第1のゾーンが排気ガス流内で物品の入口に配置され、第2のSCR触媒を含む最上層と酸化触媒を含む最下層とを有する二重層を含むASCを含む第2のゾーンが第1のゾーンの下流及び物品の出口に配置されている構成を示す。最上層は、第2のSCR触媒に加えてパラジウムを含むことができる。
【0081】
第3の構成では、触媒物品は、入口及び出口を有する基材と、第1のSCR触媒を含む第1のゾーンと、アンモニアスリップ触媒(ASC)を含む第2のゾーンとを含み、アンモニアスリップ触媒は第2のSCR触媒と酸化触媒とのブレンドを含み、第1のゾーンは基材の入口側に配置され、第2のゾーンは第1のゾーンの下流及び基材の出口側に配置されている。この構成は、第2のSCR触媒と酸化触媒とのブレンドであるASCを備えた第1の構成と類似している。図3は、第1のSCR触媒を含むSCRゾーンが排気ガス流内で基材の入口に配置され、ACSゾーンが第2のSCR触媒と酸化触媒とのブレンドからなり、物品の出口にあるSCRゾーンの下流に配置されている構成を示す。
【0082】
上記構成の各々において、各ゾーンは同じ基材上に配置することができ、又は各基材上に1つ以上のゾーンを有する2つ以上の基材があってもよい。排気システムにおいて、2つ以上の基材が使用される場合、1つ以上の基材が1つのハウジング又はケーシング内に、又は異なるハウジング又はケーシング内に配置され得る。
【0083】
触媒物品の第2のゾーンが酸化触媒と第2のSCR触媒とのブレンドを含む場合、触媒物品は、N収率、NO生成の低減、及びNO生成の低減に関連する1つ以上の特性を有することができる。触媒物品は、第1のSCR触媒が第1のコーティングとして存在し、低アンモニア貯蔵を有する担体上の白金が第2のコーティングに存在し、NHを含むガスが第2のコーティングを通過する前に第1のコーティングを通過する比較構成を含む触媒と比較して、約250℃から約350℃の温度でのアンモニアからのN収率の改善をもたらし得る。触媒物品は、第1のSCR触媒が第1のコーティングとして存在し、担持された白金が第2のコーティングに存在し、NHを含むガスが第2のコーティングを通過する前に第1のコーティングを通過する比較構成を含む触媒と比較して、(a)約350℃から約450℃の温度でのアンモニアからのN収率の改善、及び(b)約350℃から約450℃の温度でのNO生成の低減のうちの少なくとも1つをもたらし得る。触媒物品は、第1のSCR触媒が第1のコーティングとして存在し、担持された白金が第2のコーティングに存在し、NHを含むガスが第2のコーティングを通過する前に第1のコーティングを通過する比較構成を含む触媒と比較して、アンモニアからのNO生成の低減をもたらし得る。
【0084】
触媒のための基材は、ハニカム構造、押出担体、金属基材又はSCRFなど、フロースルー又はフィルター構造を含む自動車用触媒を調製するために典型的に使用される任意の材料であってよい。基材は好ましくは、流路が流体の流れに対して開いているようにするため、基材の入口から出口面まで延在する微細で平行な複数のガス流路を有する。このようなモノリス担体は、断面積1平方インチ当たり約700以上の流路(又は「セル」)を含むことができるが、これよりはるかに少ないものを使用してもよい。例えば、担体は、約7〜600、より通常では約100〜400個のセル/平方インチ(「cpsi」)を有することができる。通路(流体入口から流体出口への実質的に真っ直ぐな通路)は、通路を流れるガスが触媒材料と接触するようにSCR触媒が「ウオッシュコート」としてコーティングされている壁によって画定される。モノリス基材の流路は、台形、長方形、正方形、三角形、正弦曲線、六角形、楕円形、円形等の任意の適切な断面形状とすることができる薄壁チャンネルである。本発明は、特定の基材の種類、材質又は形状に限定されない。
【0085】
セラミック基材は、例えばコーディエライト、コーディエライト−αアルミナ、α−アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、スポジュメン、アルミナ−シリカマグネシア、ケイ酸ジルコニウム、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト、アルミノシリケート、及びこれらの混合物等の任意の適切な耐火材料で作られていてもよい。
【0086】
ウォールフロー基材は、例えばコーディエライト及び炭化ケイ素から形成されるものなど、セラミック繊維複合材料から形成することもできる。このような材料は、排気流を処理する際に遭遇する環境、特に高温に耐えることができる。
【0087】
基材は、高多孔性基材であってもよい。「高多孔性基材」という用語は、約40%から約80%の空隙率を有する基材を指す。高多孔性基材は、好ましくは少なくとも約45%、より好ましくは少なくとも約50%の空隙率を有し得る。高多孔性基材は、好ましくは約5%未満、より好ましくは約70%未満の空隙率を有し得る。本明細書で使用される用語「空隙率」は、好ましくは水銀ポロシメトリーで測定した場合の、総空隙率を指す。
【0088】
好ましくは、基材は、高多孔性コーディエライト、金属基材、押出SCR、フィルター又はSCRFである。
【0089】
低アンモニア貯蔵を有する担体上、好ましくは珪酸質担体上の白金と第1のSCR触媒とのブレンドを含むウオッシュコート(ここで好ましくは、第1のSCR触媒はCu−SCR触媒又はFe−SCR触媒である)を、当該技術分野で既知の方法を用いて基材の入口側に適用することができる。ウオッシュコートの適用後、組成物を乾燥及びか焼してもよい。組成物が第2のSCRを含む場合、第2のSCRは、上述のように、最下層を有するか焼物品に、別個のウオッシュコート中で適用することができる。第2のウオッシュコートを適用した後、それを第1のコーティングに使うために乾燥及びか焼してもよい。
【0090】
層を含む白金を有する基材を、300℃から1200℃、好ましくは400℃から700℃、さらに好ましくは450℃から650℃の範囲の温度で乾燥及びか焼してもよい。か焼は、好ましくは乾燥条件下で行われるが、水熱的に、すなわち、ある程度の水分含量の存在下で実施されてもよい。か焼は、約30分〜約4時間、好ましくは約30分〜約2時間、より好ましくは約30分〜約1時間実施することができる。
【0091】
排気システムは、本発明の第1の態様の触媒物品と、排気ガスにNHを導入するか又は排気ガス中にNHを生成するための第1の手段とを備えることができ、ここで、排気ガスにNHを導入するか又は排気ガス中にNHを生成するための第1の手段は、触媒物品の前に配置されている。
【0092】
排気システムにおいて、2つ以上の基材が使用される場合、1つ以上の基材が1つのハウジング又はケーシング内に、又は異なるハウジング又はケーシング内に配置され得る。
【0093】
排気システムは、触媒化スートフィルター(CSF)又はSCRF(フィルター上のSCR)をさらに備えることができ、CSF又はSCRFは、触媒物品の下流に配置される。システムがSCRFを備える場合、排気ガスにNHを導入するか又は排気ガス中にNHを生成するための第2の手段は、触媒物品とSCRFとの間に配置され得る。
【0094】
触媒化スートフィルターは、フィルターの前方に高PGM担持量を含むことができる。高PGM担持量とは、フィルターのほぼ前方5〜50mmにおいて、デューティーディーゼルエンジンでは少なくとも5g/ft、ライトデューティーディーゼルエンジンでは約10g/ft〜約205g/ftの担持量を意味する。
【0095】
エンジンは、本発明の第1の態様の触媒物品と、NHを排気ガス中に生成するか又はNHを排気ガスに導入するための手段とを備える排気システムを含む。エンジンは、車両のディーゼルエンジン、固定発生源のディーゼルエンジン、又は船などの船舶のディーゼルエンジンであり得る。
【0096】
本発明の別の態様において、排気ガス中の炭化水素排出物を制御する方法は、炭化水素を含む排気ガスを本発明の第1の態様の触媒物品と接触させることを含む。
【0097】
本発明のさらに別の態様において、排気ガス中の炭化水素排出物を処理する触媒中に発熱を生じさせる方法は、炭化水素を含む排気ガスを本発明の第1の態様の触媒物品と接触させることを含む。
【0098】
本発明のなお別の態様において、排気ガス中のNOx排出物を制御する方法は、NOx又はNHを含む排気ガスを本発明の第1の態様の触媒物品と接触させることを含む。
【0099】
本発明のさらなる態様において、排気ガス中のNO排出物を制御する方法は、NOx又はNHを含む排気ガスを本発明の第1の態様の触媒物品と接触させることを含む。好ましくは、本発明の第1の態様の触媒物品は、DOCを備える排気システムの一部ではない。
【0100】
以下の実施例は本発明の単なる例示であり、当業者は本発明の精神及び特許請求の範囲内にある多くのバリエーションを認識するであろう。
【実施例】
【0101】
実施例1
アルミナ上のPGMを含むウオッシュコートを最初に基材上に配置して最下層を形成し、その後ウオッシュコートを乾燥させることにより、触媒物品をコージエライト基材(400cpsi)上に調製した。銅チャバザイト(Cu−CHA)(120g/ftCu)を含むウオッシュコートを適用し、その後最上層を乾燥させることにより、最上層を最下層の上に配置した。最上層が乾いた後、物品をか焼した。
【0102】
3g/ftの担持量で、PGMとして白金のみを含有する参照触媒物品を調製した。PGMとしてPtとPdを含む試料を、1:5のPt:Pd比で、18g/ftの総PGM担持量で調製した。PGMとしてPtとPdを含む試料を、2:1のPt:Pd比で、18g/ftの総PGM担持量で調製した。
【0103】
試料はフレッシュな状態で試験し、かつ、100時間580℃での水熱エイジング後にも試験した。
【0104】
試料の1”x 1”コアは、温度が室温から150℃に上昇するにつれて、最初にNガスを通過させた。すると、NH=500ppm、CO=4.5%、HO=5%、CO=200ppm、O=12%を含有し、残部がNであるガスが、SV=150000h−1で試料の上にあり、一方、温度は10℃/分の速度で150℃から500℃に上昇した。NH、NO、NO、CO、及びCOの濃度は、システムの出口でFTIRによって測定した。
【0105】
図4及び図5は、フレッシュ及びエイジング試料における200℃から500℃の温度での、3つの試料のNH変換率、NO選択率及びNOx選択率を示している。2:1の比のPtとPdを含む触媒は、Ptのみを有する参照触媒よりも、良好な低温NH変換を示した一方、1:5の比のPtとPdを含む触媒は、約350℃未満でNH変換を示した。2:1の比のPtとPdを含む触媒は、Ptのみを有する参照触媒又は1:5の比のPtとPdを含む触媒のいずれよりも、高いNO選択率を示した。3つの触媒は、同様のNOx選択率を示した。これらの結果は、フレッシュ及びエイジング試料の双方に当てはまる。
【0106】
図6及び図7は、フレッシュ及びエイジング試料における150℃から500℃の温度での、3つの試料のNO変換率を示している。ここでも、Pt:Pdが2:1の混合物を用いたフレッシュ及びエイジング試料は同様の結果を示し、PGMとしてPtのみを有する参照触媒と同じかそれ以上の変換率であった。
【0107】
図8及び図9は、フレッシュ及びエイジング試料における150℃から500℃の温度での、3つの試料のCO変換率を示している。ここでも、Pt:Pdが2:1の混合物を用いたフレッシュ及びエイジング試料は同様の結果を示し、PGMとしてPtのみを含む参照触媒と同じかそれ以上の変換であった。
【0108】
図10〜12及び13〜15は、それぞれフレッシュ及びエイジング試料で150℃から500℃の温度での、3つの試料のHC変換率を示す。ここでも、フレッシュ及びエイジング試料は、同様の結果を示した。PGMとしてPtのみを含有する参照試料は、約450℃〜500℃で約70%の最大HC変換率を有した。しかし、PtとPdとの混合物を含有する両試料は、約375℃で約70%のHC変換率と、500℃で90%以上のHC変換率を示した。これは、ASC中のPtとPdとの混合物が、Pt単独の使用よりもはるかに多くの炭化水素を酸化することができることを実証している。
【0109】
実施例2
実施例1に記載のとおりに調製された触媒の試料を、ディーゼル酸化触媒(DOC)及び触媒化スートフィルター(CSF)と共に排気システムに配置した。触媒は、SCR:ASC:DOC:CSFの順序で排気システムに配置した。排気システムをエンジンに接続し、尿素をSCR触媒の前の排気ストリームに注入した。燃料噴射器の出口はまた、SCRの前のシステム内に配置されていた。450℃で1時間エンジンを運転させることによりシステムを調整し、その後、エンジン速度を低下させて、エンジン温度を約300℃で安定させた。温度が安定した後、SCR触媒の前の排気システムに燃料を注入し、CSFの後ろの温度を約450℃に上昇させた。CSFの後ろの温度を約15分間維持した後、排気システムへの燃料添加を停止し、温度を約300℃に戻した。
【0110】
SCRの入口、並びにASC、DOC及びCSFの出口の温度を測定した。これらの温度は、それぞれ、Ptのみを含有する参照触媒、1:5のPt:Pd担持量で18g/ftのPGMを含む触媒、及び2:1のPt:Pd担持量で18g/ftのPGMを含む触媒について、図16−18に示されている。図16は、PGMとしてPtのみを含有する触媒の使用により、ASCの出口温度が約1250秒で最大約350℃に達し、その後約1600秒で約300℃に低下したことを示している。しかし、PtとPdの組み合わせを使用する両システムでは、ASCの出口温度は、約1250秒で最大約390℃に達し、この温度は約2200秒まで約390℃にとどまり、これら両触媒が発熱を生じたことを示している。この安定した発熱は、PGMとしてPtのみを含有する参照触媒では観察されなかった。このことは、ASCの前のSCRを使用した場合、SCRが安定した発熱を生じなかったことを実証している。
【0111】
実施例3 - システムからのDOC触媒の除外
フロースルー基材の入口端から延在する第1のゾーンにバナジウムを含むウオッシュコートを配置することによって、触媒物品を調製する。ウオッシュコート中のバナジウムの担持量は、好ましくは0.5〜5重量%(境界値も含む)である。フロースルー基材の出口端から延在する第2のゾーンを、最初にフロースルー基材上に白金を含むウオッシュコートを配置して第1の層を形成し、その後第1の層上にCu−CHAを含むウオッシュコートを配置することによって形成する。好ましくは、銅はチャバサイトの中/上に1〜5重量%(境界値も含む)の量で存在し、Cu−CHAは層中に約60g/ft〜約300g/ftの量で存在する。白金は、ASCゾーンにおいて約10g/ft〜約20g/ftの量で層中に存在する。
【0112】
触媒物品は、CSFの前の排気後処理システム内に最初に配置され、前記システムはDOCを含有しない。
【0113】
実施例4 - システムからのDOC触媒の除外
フロースルー基材の入口端から延在する第1のゾーンにバナジウムを含むウオッシュコートを配置することによって、触媒物品を調製する。フロースルー基材の出口端から延在する第2のゾーンを、最初にフロースルー基材上に白金を含むウオッシュコートを配置して第1の層を形成し、その後第1の層上にCu−CHAを含むウオッシュコートを配置することによって形成する。使用することができるバナジウム、銅、及びチャバザイトの量は、実施例3に記載されている。
【0114】
触媒物品は、SCSFの前の排気後処理システム内に最初に配置され、前記システムはDOCを含有しない。
【0115】
実施例5 - システムからのDOC触媒の除外
フロースルー基材の入口端から延在する第1のゾーンにバナジウムを含むウオッシュコートを配置することによって、触媒物品を調製する。フロースルー基材の出口端から延在する第2のゾーンを、最初にフロースルー基材上に白金及びパラジウムを含むウオッシュコートを配置して第1の層を形成し、その後第1の層上にCu−CHAを含むウオッシュコートを配置することによって調製する。白金及びパラジウムは、PtとPdが1:1〜1:10の重量比で存在するASCゾーンにおいて、合わせて10g/ft〜20g/ftの量で層中に存在する。使用することができるバナジウム、銅、及びチャバザイトの量は、実施例3に記載されている。
【0116】
触媒物品は、CSFの前の排気後処理システム内に最初に配置され、前記システムはDOCを含有しない。
【0117】
実施例6 - システムからのDOC触媒の除外
実施例5に記載のとおりに触媒物品を調製し、パラジウムも第1の層の上に配置されたCu−CHAを含むウオッシュコート中に存在する。
【0118】
実施例7 - システムからのDOC触媒の除外
フロースルー基材の入口端から延在する第1のゾーンにバナジウムを含むウオッシュコートを配置することによって、触媒物品を調製する。フロースルー基材の出口端から延在する第2のゾーンを、最初にフロースルー基材上に白金及びパラジウムを含むウオッシュコートを配置して第1の層を形成し、その後第1の層上にCu−CHAを含むウオッシュコートを配置することによって調製する。白金及びパラジウムは、PtとPdが1:1〜1:10の重量比で存在するASCゾーンにおいて、合わせて10g/ft〜20g/ftの量で層中に存在する。使用することができるバナジウム、銅、及びチャバザイトの量は、実施例3に記載されている。
【0119】
触媒物品は、SCSFの前の排気後処理システム内に最初に配置され、前記システムはDOCを含有しない。
【0120】
実施例8 - システムからのDOC触媒の除外
実施例7に記載のとおりに触媒物品を調製し、パラジウムも第1の層の上に配置されたCu−CHAを含むウオッシュコート中に存在する。
【0121】
実施例9 - システムからのDOC触媒の除外
フロースルー基材の入口端から延在する第1のゾーンにバナジウムを含むウオッシュコートを配置することによって、触媒物品を調製する。フロースルー基材の出口端から延在する第2のゾーンは、フロースルー基材上に白金とCu−CHAとの混合物(ブレンド)を含むウオッシュコートを配置して層を形成するように調製される。白金は、ASCゾーンにおいて10g/ft〜20g/ftの量で層中に存在する。使用することができるバナジウム、銅、及びチャバザイトの量は、実施例3に記載されている。
【0122】
触媒物品は、CSFの前の排気後処理システム内に最初に配置され、前記システムはDOCを含有しない。
【0123】
実施例10 - システムからのDOC触媒の除外
フロースルー基材の入口端から延在する第1のゾーンにバナジウムを含むウオッシュコートを配置することによって、触媒物品を調製する。フロースルー基材の出口端から延在する第2のゾーンは、フロースルー基材上に白金とCu−CHAとの混合物(ブレンド)を含むウオッシュコートを配置することによって層を形成するように調製される。白金は、ASCゾーンにおいて10g/ft〜20g/ftの量で層中に存在する。使用することができるバナジウム、銅、及びチャバザイトの量は、実施例3に記載されている。
【0124】
触媒物品は、SCSFの前の排気後処理システム内に最初に配置され、前記システムはDOCを含有しない。
【0125】
実施例11 - システムからのDOC触媒の除外
フロースルー基材の入口端から延在する第1のゾーンにバナジウムを含むウオッシュコートを配置することによって、触媒物品を調製する。フロースルー基材の出口端から延在する第2のゾーンは、フロースルー基材上に白金、パラジウム及びCu−CHAの混合物(ブレンド)を含むウオッシュコートを配置することによって層を形成するように調製される。白金及びパラジウムは、PtとPdが約1:1〜約1:10の重量比で存在するASCゾーンにおいて、合わせて約10g/ft〜約20g/ftの量で層中に存在する。使用することができるバナジウム、銅、及びチャバザイトの量は、実施例3に記載されている。
【0126】
触媒物品は、CSFの前の排気後処理システム内に最初に配置され、前記システムはDOCを含有しない。
【0127】
実施例12 - システムからのDOC触媒の除外
フロースルー基材の入口端から延在する第1のゾーンにバナジウムを含むウオッシュコートを配置することによって、触媒物品を調製する。フロースルー基材の出口端から延在する第2のゾーンは、フロースルー基材上に白金、パラジウム及びCu−CHAの混合物(ブレンド)を含むウオッシュコートを配置することによって層を形成するように調製される。白金及びパラジウムは、PtとPdが約1:1〜約1:10の重量比で存在するASCゾーンにおいて、合わせて約10g/ft〜約20g/ftの量で層中に存在する。使用することができるバナジウム、銅、及びチャバザイトの量は、実施例3に記載されている。
【0128】
触媒物品は、SCSFの前の排気後処理システム内に最初に配置され、前記システムはDOCを含有しない。
【0129】
比較実施例1
比較システムにおいては、DOCは、ASCの後ろ、残りの後処理システムの前に配置されている。
【0130】
実施例3〜12の触媒物品は、DOCなしのシステムにおいて使用される。DOCを除外することで、DOCが除外されるため、コストの削減と必要なスペースの削減が実現する。以下の追加の利点は、実施例3〜12に記載された物品の使用からもたらされることもある。
【0131】
貴金属を比較的多く担持することは、所望の発熱を生じさせるのに資する。
【0132】
実施例5〜8、11及び12では、PdをPtともにASCに組み込むことにより、発熱を生じさせるのにPtのみを使用している物品と比較して、NH酸化への影響が少ない発熱が生じやすくなる。
【0133】
改善された発熱特性を提供することにより、触媒物品は、炭化水素も還元する。
【0134】
ASCに1種以上のPGMを使用すると、NOの生成が増加し、DOCの必要性が減る。
【0135】
ASCゾーンの最上層の厚さを減じることによって、最下層における発熱を生じやすくさせることができる。これは、NOの生成が改善され得る。
【0136】
実施例9〜12において、ASCとしての1種以上のPGMとSCR触媒との混合物(ブレンド)を含む単一層の使用は、発熱性能をさらに改善し、コストを削減し、NOの生成を改善することができる。
【0137】
最上層にPdを使用すると、物品の発熱特性も改善され、NOの生成も改善され、炭化水素排出物も削減される。
【0138】
実施例に記載のシステムは、DOCの使用を排除することによって、NOの生成を低減させることができる。従来のシステムにDOCが存在する場合、NHがDOCの上流にあるシステムからスリップしてNO生成の原因になる可能性がある。
【0139】
実施例13 - ゾーン化システム
実施例3〜10に記載されたシステムは、ASC内のゾーニングを提供するように変更されており、ASCの出口端でPGM担持量がより多い。このゾーニングは、出口に最も近いゾーン内の1種以上のPGMのレベルを増加させながら、隣接する2つ以上のウオッシュコートを配置することによって、実施例3〜6に記載したような層状システム又は実施例7〜10の組み合わせた単一層のいずれかにおいて作られる。
【0140】
実施例3〜10に記載したシステムは、二重層ASCゾーンが使用される場合、ASCゾーン内の異なる最上層の厚さを提供するように変更することができる。
【0141】
実施例3〜10に記載したシステムにおけるASCの組成は、触媒物品の端部の出口端に向かって最上層に1種以上のPGMを含むように変更することができる。
【0142】
先の実施例は単に例示として意図されており、以下の特許請求の範囲により本発明の範囲が規定されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2021年1月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口端及び出口を含む基材と、第1のSCR触媒を含む第1のゾーンと、アンモニアスリップ触媒(ASC)を含む第2のゾーンとを含む触媒物品であって、ASCが第2のSCR触媒と酸化触媒とを含み、ASCが酸化触媒を含む最下層と第2のSCR触媒を含む最上層とを有する二重層であり、第1のゾーンは基材の入口側に配置され、第2のゾーンは基材の出口側に配置され、かつ第1のSCR触媒は、異なる活性成分を含むことにより、異なる担持量の活性成分を含むことにより、又はその両方により第2のSCR触媒と異なる、触媒物品。
【請求項2】
第1のゾーン及び第2のゾーンが同じ基材上に配置され、かつ、第1のゾーンが基材の入口側に配置され、第2のゾーンが基材の出口側に配置されている、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項3】
第2の基材をさらに含み、第1のゾーンが第1の基材上に配置され、第2のゾーンは第2の基材上に配置され、かつ、第1の基材が第2の基材の上流に配置されている、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項4】
第1の片部と第2の片部とを含み、第1のゾーンが第1の片部に配置され、第2のゾーンは第2の片部に配置され、かつ、第1の片部が第2の片部の上流に配置されている、請求項3に記載の触媒物品。
【請求項5】
最上層がパラジウムをさらに含み、好ましくは、第2のSCR触媒が銅ゼオライトであり、かつ、最上層が第2のSCR触媒と担体上のパラジウムとのブレンドを含む、請求項に記載の触媒物品。
【請求項6】
酸化触媒が、担体上、好ましくは低アンモニア貯蔵を有する担体上に白金を含む、請求項からのいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項7】
低アンモニア貯蔵を有する担体が珪酸質担体である、請求項に記載の触媒物品。
【請求項8】
珪酸質担体が、(a)少なくとも100、(b)少なくとも200、(c)少なくとも250、(d)少なくとも300、(e)少なくとも400、(f)少なくとも500、(g)少なくとも750、及び(h)少なくとも1000のうちの少なくとも1つのシリカ対アルミナ比を有するシリカ又はゼオライトを含む、請求項に記載の触媒物品。
【請求項9】
珪酸質担体が、BEA、CDO、CON、FAU、MEL、MFI又はMWWを含む、請求項又はに記載の触媒物品。
【請求項10】
担体上、好ましくは低アンモニア貯蔵を有する担体上の白金の量に対するSCR触媒の量の比率が、これらの成分の重量に基づいて、(a)0:1〜300:1、(b)3:1〜300:1、(c)7:1〜100:1、及び(d)10:1〜50:1(比の各端点を含む)のうちの少なくとも1つの範囲内にある、請求項からのいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項11】
白金が、白金の担体の重量+白金の重量+ブレンド中の第1のSCR触媒の重量の(a)0.01−0.3%、(b)0.03−0.2%、(c)0.05−0.17%、及び(d)0.07−0.15%のうちの少なくとも1つとして存在する、請求項から10のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項12】
酸化触媒が白金族金属を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項13】
酸化触媒が白金若しくはパラジウム又はこれらの混合物を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項14】
Ptが約0.1g/ftから約20g/ftの量でASCゾーンに存在する、請求項13に記載の触媒物品。
【請求項15】
Pdが約0.1g/ftから約20g/ftの量でASCゾーンに存在する、請求項13又は請求項14に記載の触媒物品。
【請求項16】
PtとPdが約1:0.01から約1:10の重量比で存在する、請求項13から15のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項17】
第1のSCR触媒が卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はこれらの混合物である、請求項1から16のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項18】
卑金属が、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、セリウム(Ce)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びジルコニウム(Zr)、並びにこれらの混合物からなる群より選択される、請求項17に記載の触媒物品。
【請求項19】
少なくとも1種の卑金属促進剤をさらに含む、請求項17又は請求項18に記載の触媒製品。
【請求項20】
モレキュラーシーブ又は金属交換モレキュラーシーブが小細孔、中細孔、大細孔又はこれらの混合物である、請求項17から19のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項21】
第1のSCR触媒が、アルミノシリケートモレキュラーシーブ、金属置換アルミノシリケートモレキュラーシーブ、アルミノホスフェート(AlPO)モレキュラーシーブ、金属置換アルミノホスフェート(MeAlPO)モレキュラーシーブ、シリコアルミノホスフェート(SAPO)モレキュラーシーブ及び金属置換シリコアルミノホスフェート(MeSAPSO)モレキュラーシーブ、並びにこれらの混合物からなる群より選択される小細孔モレキュラーシーブを含む、請求項17から20のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項22】
第1のSCR触媒が、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択される小細孔モレキュラーシーブを含む、請求項17から21のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項23】
第1のSCR触媒が、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、SFW、KFI、DDR、及びITEからなる骨格型の群より選択される小細孔モレキュラーシーブを含む、請求項17から22のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項24】
SCR触媒が、AEL、AFO、AHT、BOF、BOZ、CGF、CGS、CHI、DAC、EUO、FER、HEU、IMF、ITH、ITR、JRY、JSR、JST、LAU、LOV、MEL、MFI、MFS、MRE、MTT、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、OBW、PAR、PCR、PON、PUN、RRO、RSN、SFF、SFG、STF、STI、STT、STW、SVR、SZR、TER、TON、TUN、UOS、VSV、WEI及びWEN、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択される中細孔モレキュラーシーブを含む、請求項17から21のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項25】
第1のSCR触媒が、AFI、AFR、AFS、AFY、ASV、ATO、ATS、BEA、BEC、BOG、BPH、BSV、CAN、CON、CZP、DFO、EMT、EON、EZT、FAU、GME、GON、IFR、ISV、ITG、IWR、IWS、IWV、IWW、JSR、LTF、LTL、MAZ、MEI、MOR、MOZ、MSE、MTW、NPO、OFF、OKO、OSI、RON、RWY、SAF、SAO、SBE、SBS、SBT、SEW、SFE、SFO、SFS、SFV、SOF、SOS、STO、SSF、SSY、USI、UWY及びVET、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択される大細孔モレキュラーシーブを含む、請求項17から21のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項26】
第2のSCR触媒がCu−SCR触媒、Fe−SCR触媒、卑金属、卑金属の酸化物若しくは混合酸化物又はバナジウム触媒である、請求項1から25のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項27】
Cu−SCR触媒が銅及びモレキュラーシーブを含み、Fe−SCR触媒が鉄及びモレキュラーシーブを含む、請求項26に記載の触媒物品。
【請求項28】
モレキュラーシーブがアルミノシリケート、アルミノホスフェート(AlPO)、シリコアルミノホスフェート(SAPO)又はこれらの混合物である、請求項27に記載の触媒物品。
【請求項29】
モレキュラーシーブが、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択される、請求項27又は28に記載の触媒物品。
【請求項30】
モレキュラーシーブが、AEI、AFX、CHA、DDR、ERI、ITE、KFI、LEV及びSFWからなる骨格型の群より選択される、請求項27から29のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項31】
基材がコーディエライト、高多孔性コーディエライト、金属基材、押出SCR、ウォールフロー型フィルター、フィルター又はSCRFである、請求項1から30のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項32】
第1のSCR触媒が第1のコーティングとして存在し、低アンモニア貯蔵を有する担体上の白金が第2のコーティングに存在し、NHを含むガスが第2のコーティングを通過する前に第1のコーティングを通過する比較構成を含む触媒と比較して、約250℃から約350℃の温度でのアンモニアからのN収率の改善をもたらす、請求項1から31のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項33】
第1のSCR触媒が第1のコーティングとして存在し、担持された白金が第2のコーティングに存在し、NHを含むガスが第2のコーティングを通過する前に第1のコーティングを通過する比較構成を含む触媒と比較して、(a)約350℃から約450℃の温度でのアンモニアからのN収率の改善、及び(b)約350℃から約450℃の温度でのNO生成の低減のうちの少なくとも1つをもたらす、請求項1から32のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項34】
第1のSCR触媒が第1のコーティングとして存在し、担持された白金が第2のコーティングに存在し、NHを含むガスが第2のコーティングを通過する前に第1のコーティングを通過する比較構成を含む触媒と比較して、NHからのNOの生成を低減させる、請求項1から33のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項35】
発熱を生じる、請求項1から34のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項36】
請求項1から35のいずれか一項に記載の触媒物品と、排気ガス中にNHを生成するか又は排気ガスにNHを導入するための第1の手段とを備える排気システムであって、排気ガス中にNHを生成するか又は排気ガスにNHを導入するための第1の手段が触媒物品の前に配置されている、排気システム。
【請求項37】
CSF又はSCRFをさらに備え、CSF又はSCRFが触媒物品の下流に配置され、前記システムがSCRFを備える場合、排気ガス中にNHを生成するか又は排気ガスにNH3を導入するための第2の手段が触媒物品とSCRFとの間に配置されている、請求項35又は請求項36に記載の排気システム。
【請求項38】
CSFがCSFの前方に高PGM担持量を含む、請求項37に記載の排気システム。
【請求項39】
請求項1に記載の触媒物品と、排気ガス中にNHを生成するか又は排気ガスにNHを導入するための手段とを備える排気システムを含むエンジン。
【請求項40】
炭化水素を含む排気ガスを請求項1から35のいずれか一項に記載の触媒物品と接触させることを含む、排気ガス中の炭化水素排出物を制御する方法。
【請求項41】
炭化水素を含む排気ガスを請求項1から35のいずれか一項に記載の触媒物品と接触させることを含む、排気ガス中の炭化水素排出物を処理する触媒において発熱を生じさせる方法。
【請求項42】
NO又はNHを含む排気ガスを請求項1から35のいずれか一項に記載の触媒物品と接触させることを含む、排気ガス中のNO排出物を制御する方法。
【請求項43】
NO又はNHを含む排気ガスを請求項1から35のいずれか一項に記載の触媒物品と接触させることを含む、排気ガス中のNO排出物を制御する方法。
【請求項44】
請求項1から35のいずれか一項に記載の触媒物品が、DOCを含む排気システムの一部ではない、請求項43に記載の方法。
【外国語明細書】
2021062368000001.pdf