(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-62953(P2021-62953A)
(43)【公開日】2021年4月22日
(54)【発明の名称】粉粒体輸送装置及び輸送方法
(51)【国際特許分類】
B65G 53/16 20060101AFI20210326BHJP
【FI】
B65G53/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-188490(P2019-188490)
(22)【出願日】2019年10月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000185961
【氏名又は名称】太平洋エンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504005781
【氏名又は名称】株式会社日立プラントメカニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】都甲 浩二
(72)【発明者】
【氏名】板垣 隆俊
(72)【発明者】
【氏名】小高 好男
(72)【発明者】
【氏名】菊地 祐一
【テーマコード(参考)】
3F047
【Fターム(参考)】
3F047AA13
3F047AB02
3F047AB04
3F047CA02
(57)【要約】
【課題】嵩比重が異なる粉粒体を安定して効率よく空気圧送する。
【解決手段】粉粒体P1を貯留する粉粒体貯留装置2と、粉粒体貯留装置の下端出口に設けた加速室3と、粉粒体貯留装置に貯留した粉粒体を加速室から空気圧送する空気圧送装置(空気供給機4等)と、粉粒体貯留装置から加速室へ供給する粉粒体P2と、空気圧送に用いる圧送空気A4の混合比を調整する混合比調整装置(空気量調整自動弁7等)とを備える粉粒体輸送装置1。粉粒体貯留装置の上流側に粉粒体貯留装置に貯留する粉粒体の嵩比重を測定する嵩比重測定装置11を備え、混合比調整装置は嵩比重測定装置によって測定された嵩比重に応じて混合比を調整することができる。粉粒体貯留装置に貯留した粉粒体を流動化させるための空気を供給する流動化空気供給装置(粉粒体貯留装置空気供給弁9等)を備え、嵩比重測定装置によって測定された嵩比重に応じて流動化空気量を調整することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を貯留する粉粒体貯留装置と、
該粉粒体貯留装置の下端出口に設けた加速室と、
前記粉粒体貯留装置に貯留した粉粒体を前記加速室から空気圧送する空気圧送装置と、
前記粉粒体貯留装置から前記加速室へ供給する粉粒体と、前記空気圧送に用いる圧送空気の混合比を調整する混合比調整装置とを備えることを特徴とする粉粒体輸送装置。
【請求項2】
前記粉粒体貯留装置の上流側に、該粉粒体貯留装置に貯留する粉粒体の嵩比重を測定する嵩比重測定装置を備え、前記混合比調整装置は、前記嵩比重測定装置によって測定された嵩比重に応じて前記混合比を調整することを特徴とする請求項1に記載の粉粒体輸送装置。
【請求項3】
前記粉粒体貯留装置に貯留した粉粒体を流動化させるための空気を供給する流動化空気供給装置を備え、前記嵩比重測定装置によって測定された嵩比重に応じて、前記流動化空気供給装置から前記粉粒体貯留装置に供給する空気の量を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の粉粒体輸送装置。
【請求項4】
前記粉粒体貯留装置は単胴形又は双胴形であって、単数又は複数の該粉粒体貯留装置を備えることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の粉粒体輸送装置。
【請求項5】
粉粒体貯留装置に貯留した粉粒体を、該粉粒体貯留装置の下端出口に設けた加速室から空気圧送する粉粒体輸送方法において、
前記粉粒体貯留装置から前記加速室へ供給する粉粒体と、前記空気圧送に用いる圧送空気の混合比を調整することを特徴とする粉粒体輸送方法。
【請求項6】
前記粉粒体貯留装置に貯留する粉粒体の嵩比重に応じて前記混合比を調整することを特徴とする請求項5に記載の粉粒体輸送方法。
【請求項7】
前記粉粒体貯留装置に貯留する粉粒体の嵩比重に応じて、前記粉粒体貯留装置に貯留した粉粒体を流動化させるための空気の量を調整することを特徴とする請求項5又は6に記載の粉粒体輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体輸送装置及び輸送方法に関し、特に、嵩比重が異なる粉粒体を空気圧送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フライアッシュ等の粉粒体をタンク等の貯留装置に貯留し、貯留装置内にリング状のパイプ等を介して流動化空気を吹き込んで粉粒体を流動化させ、貯留装置の下端出口に設けた加速室(エゼクタ)から粉粒体を空気圧送することが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、フライアッシュ等は、状況によって嵩比重が大きく異なる。そのため、加速室から粉粒体を空気圧送する際の輸送効率が低下して輸送に長時間を要するなど、種々の課題があった。
【0004】
そこで、本発明は、嵩比重が異なる粉粒体であっても、安定して効率よく空気圧送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、粉粒体輸送装置であって、粉粒体を貯留する粉粒体貯留装置と、該粉粒体貯留装置の下端出口に設けた加速室と、前記粉粒体貯留装置に貯留した粉粒体を前記加速室から空気圧送する空気圧送装置と、前記粉粒体貯留装置から前記加速室へ供給する粉粒体と、前記空気圧送に用いる圧送空気の混合比を調整する混合比調整装置とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、混合比調整装置によって、粉粒体貯留装置から加速室へ供給する粉粒体と、空気圧送に用いる圧送空気の混合比を調整することで、圧送空気量の不足による輸送トラブルを回避すると共に、圧送空気の過剰供給による輸送効率の低下を防止して安定かつ効率よく粉粒体を輸送することができる。
【0007】
前記粉粒体輸送装置において、前記粉粒体貯留装置の上流側に、該粉粒体貯留装置に貯留する粉粒体の嵩比重を測定する嵩比重測定装置を設け、前記混合比調整装置は、前記嵩比重測定装置によって測定された嵩比重に応じて前記混合比を調整することで、嵩比重が異なる粉粒体を取り扱う場合でも、安定かつ効率的に粉粒体を輸送することができる。
【0008】
また、前記粉粒体貯留装置に貯留した粉粒体を流動化させるための空気を供給する流動化空気供給装置を設け、前記嵩比重測定装置によって測定された嵩比重に応じて、前記流動化空気供給装置から前記粉粒体貯留装置に供給する空気の量を調整することができる。これによって、粉粒体貯留装置内の粉粒体を十分に流動化させると共に、流動化空気の過剰供給による粉粒体貯留装置からの抽出トラブル等を回避することができる。
【0009】
さらに、前記粉粒体貯留装置を単胴形又は双胴形とし、単数又は複数の該粉粒体貯留装置を設けることができる。これによって、単胴形又は双胴形粉粒体貯留装置を備えた単一又は複数ラインの粉粒体輸送装置を構成することができる。
【0010】
また、本発明は、粉粒体貯留装置に貯留した粉粒体を、該粉粒体貯留装置の下端出口に設けた加速室から空気圧送する粉粒体輸送方法において、前記粉粒体貯留装置から前記加速室へ供給する粉粒体と、前記空気圧送に用いる圧送空気の混合比を調整することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、粉粒体貯留装置から加速室へ供給する粉粒体と、空気圧送に用いる圧送空気の混合比を調整することで、圧送空気量の不足による輸送トラブルを回避すると共に、圧送空気の過剰供給による輸送効率の低下を防止して安定かつ効率よく粉粒体を輸送することができる。
【0012】
前記粉粒体輸送方法において、前記粉粒体貯留装置に貯留する粉粒体の嵩比重に応じて前記混合比を調整することで、嵩比重が異なる粉粒体を取り扱う場合でも、安定かつ効率的に粉粒体を輸送することができる。
【0013】
また、前記粉粒体貯留装置に貯留する粉粒体の嵩比重に応じて、前記粉粒体貯留装置に貯留した粉粒体を流動化させるための空気の量を調整することで、粉粒体貯留装置内の粉粒体を十分に流動化させると共に、流動化空気の過剰供給による粉粒体貯留装置からの抽出トラブル等を回避することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、嵩比重が異なる粉粒体であっても、安定して効率よく空気圧送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る粉粒体輸送装置の一実施の形態を示す全体構成図である。
【
図2】
図1の粉粒体輸送装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図3】
図1の粉粒体輸送装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る粉粒体輸送装置の一実施の形態を示し、この粉粒体輸送装置1は、受け入れた粉粒体を貯留する粉粒体貯留装置2と、粉粒体貯留装置2の下端出口に設けられた加速室3と、粉粒体貯留装置2の内部及び加速室3に空気を供給するための空気供給機(圧縮機)4、空気貯留容器5、ドレン分離機6、空気量調整自動弁(混合比調整装置)7、加速室空気供給弁8、粉粒体貯留装置空気供給弁9及びリングパイプ16、17と、粉粒体貯留装置2の上流側に、粉粒体貯留装置2に貯留する粉粒体P1の嵩比重を測定する嵩比重測定装置11等を備える。
【0018】
粉粒体貯留装置2は、単胴形、双胴形その他の形式ものが用いられ、この粉粒体貯留装置2の上部には、粉粒体P1の受入弁12と、逃気弁13と、レベルスイッチ(LS)14とが設けられる。
【0019】
嵩比重測定装置11は、粉粒体貯留装置2に貯留する粉粒体P1の嵩比重を自動計測するために設けられ、測定された粉粒体P1の嵩比重に応じて空気量調整自動弁7の開度を20%〜100%に自動調整し、粉粒体貯留装置2から加速室3へ供給する粉粒体P2と、空気圧送に用いる圧送空気A4の混合比及び流動化空気A3の量を所望の値又は範囲に調整する。
【0020】
上記構成以外に、図示を省略するが、粉粒体貯留装置2の内部の圧力、温度を測定する圧力計や温度計等が適宜配置される。
【0021】
次に、上記構成を有する粉粒体輸送装置1の動作について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0022】
図2のステップS1において、粉粒体輸送装置を起動し、ステップS16において、空気量調整自動弁7を初期開度設定による開度とし、ステップS17において空気供給機4を起動し、ステップS18において、空気貯留容器5に空気A1を流入させ、ドレン分離機6及び空気貯留容器5のドレンを排出する。
【0023】
粉粒体貯留装置2に粉粒体P1を受け入れるため、ステップS2で逃気弁13を開き、ステップS3で受入弁12を開いて嵩比重測定装置11を介して粉粒体P1を粉粒体貯留装置2に供給する。ステップS4で粉粒体貯留装置2のレベルスイッチ14が満杯であることを検出すると、ステップS5で粉粒体貯留装置2の逃気弁13を閉じ、ステップS6で受入弁12を閉じる。これによって、粉粒体貯留装置2に粉粒体P1が満杯に貯留される。
【0024】
次に、粉粒体貯留装置2に貯留した粉粒体P2を圧送する動作について説明する。
【0025】
ステップS7で粉粒体貯留装置2の粉粒体貯留装置空気供給弁9を開き、ステップS8で加速室空気供給弁8を開き、ステップS9で空気量調整自動弁7を開くと、ステップS10において、空気貯留容器5の内部の空気A2がドレン分離機6を通過した後、粉粒体貯留装置2及び加速室3に流入する(空気A3、A4)。
【0026】
粉粒体貯留装置2に流入した空気A3は、リングパイプ16、17から粉粒体貯留装置2の内部に噴出し、貯留した粉粒体P2を流動化させる。
【0027】
ステップS11で、空気量調整自動弁7の開度を調整することで、粉粒体貯留装置2から加速室3へ供給する粉粒体P2と、空気圧送に用いる圧送空気A4の混合比と、粉粒体P2の輸送量を調整しながら、圧送空気A4によって粉粒体P2を圧送する。この際、ステップS20において、嵩比重測定装置11によって粉粒体P1の嵩比重を自動計測し、計測された嵩比重の値により空気量調整自動弁7の開度を指示することで、嵩比重に応じて圧送空気A4の量を調整することができ、圧送空気量の不足による輸送トラブルを回避すると共に、圧送空気の過剰供給による輸送効率の低下を防止して安定かつ効率よく粉粒体を輸送することができる。
【0028】
ステップS12で圧送を完了すると、ステップS13で粉粒体貯留装置空気供給弁9を閉じ、ステップS14で加速室空気供給弁8を閉じ、ステップS15でステップS2に戻り、この運転を繰り返す。
【0029】
次に、払い出し時の動作について、
図1及び
図3を参照しながら説明する。上記
図2に示した動作を繰り返し、ステップS21で最後の圧送が完了すると(ステップS21の前までの動作は、
図1のステップS1〜S20の動作と同じ)、ステップS22で空気供給機4を停止し、ステップS23で粉粒体貯留装置空気供給弁9を閉じ、ステップS24で加速室空気供給弁8を閉じ、ステップS25で空気量調整自動弁7を開き、ステップS26で粉粒体輸送装置を停止し、すべての動作が完了する。
【0030】
尚、上記実施の形態では、一つの粉粒体貯留装置2を設置した場合を例示したが、粉粒体貯留装置2を複数設置して複数ラインとすることもでき、各々の粉粒体貯留装置2に上記加速室3、空気量調整自動弁7、加速室空気供給弁8、粉粒体貯留装置空気供給弁9及びリングパイプ16、17及び嵩比重測定装置11を設置することができる。
【0031】
また、上記実施の形態で示した構成は一例であって、粉粒体貯留装置2から加速室3へ供給する粉粒体P2と、空気圧送に用いる圧送空気A4の混合比及び流動化空気A3の量を所望の値又は範囲に調整することができれば、他の装置を採用することもできる。
【0032】
さらに、空気量調整自動弁7を設けた配管及び空気量調整自動弁7は、32A〜250A等のサイズにすることができ、複数ラインとした場合には、各々のラインで必要なサイズのものを設置することができる。さらに、空気量調整自動弁7は手動弁に置き換えることもできるが、空気量調整自動弁7を設けることで粉粒体輸送量の増加を見込むことができる。
【0033】
以上のように、従来、粉粒体の圧送式空気輸送装置において、空気圧送する際に粉粒体貯留装置へ吹き込む空気量及び粉粒体と粉粒体貯留装置下部の加速室空気入り口側の圧送空気量の混合比を調整する手段は存在せず、両部位への空気量は成り行き任せとなっていたが、本発明によれば、この混合比を調整することで、圧送空気量の不足による輸送トラブルを回避すると共に、圧送空気の過剰供給による輸送効率の低下を防止して安定かつ効率よく粉粒体を輸送することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 粉粒体輸送装置
2 粉粒体貯留装置
3 加速室
4 空気供給機
5 空気貯留容器
6 ドレン分離機
7 空気量調整自動弁
8 加速室空気供給弁
9 粉粒体貯留装置空気供給弁
11 嵩比重測定装置
12 受入弁
13 逃気弁
14 レベルスイッチ
16、17 リングパイプ