(D)トリメチルグリシン、高重合ポリエチレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド及びポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルから選択される1種又は2種以上
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0009】
本発明に用いられる成分(A)ナイアシンアミドは、ニコチン酸(ビタミンB3/ナイアシン)のアミド化合物である。ナイアシンアミドは水溶性ビタミンで、ビタミンB群の一つである公知の物質であり、天然物(米ぬかなど)から抽出されたり、あるいは公知の方法によって合成することができる。具体的には、第17改正日本薬局方に収載されているものを用いることが出来る。
【0010】
本発明における成分(A)の含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましく、3〜9質量%が最も好ましい。成分(A)の含有量が0.1%未満であると、ナイアシンアミドによる美白、シワ改善効果が十分でない場合があり、10%を超えると、塗布時のべたつき感が強く、使用感が悪い場合がある。
【0011】
本発明に用いられる成分(B)D−パンテノールは、D−パントテン酸(ビタミンB5)の前駆体である。D−パンテノールは、通常皮膚外用剤として使用可能であれば、その規格を問わない。
【0012】
本発明における成分(B)の含有量は、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.3〜1質量%が最も好ましい。
【0013】
本発明に用いられる成分(C)アクリル酸系水溶性高分子は、アクリル基構造を有しているもので、皮膚外用剤として使用可能であればよく、特に限定されない。例えば、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー、カルボマー、ポリアクリルアミド化合物などが挙げられる。
【0014】
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマーの市販例としては、ルーブリゾール社製のPEMULEN TR−1、PEMULEN TR−2、カーボポール 1342、カーボポール ETD2020、カーボポール ULTREZ−20、カーボポール ULTREZ−22、住友精化社製のAQUPEC HV−501ER、AQUPEC HV−701EDR、AQUPEC HV−801ERK、AQUPEC HV−803ERK、AQUPEC SW−703ER、AQUPEC SR−705ER等が挙げられる。
【0015】
カルボマーの市販例としては、ルーブリゾール社製のカーボポール934、カーボポール940、カーボポール941、カーボポールETD2050、住友精化社製のAQUPEC HV−501E、AQUPEC HV−505E、AQUPEC HV−505ED、AQUPEC HV−801EG−300、AQUPEC HV−805EG−300、和光純薬社製のハイビスワコー103、ハイビスワコー104、ハイビスワコー105等が挙げられる。
【0016】
ポリアクリルアミド化合物は、アクリルアミドならびにそれらの誘導体のホモポリマーまたはコポリマーの群から選ばれる1種又は2種以上のポリマーである。ポリアクリルアミド化合物には、ポリアクリルアミド、アクリルアミドコポリマーが含まれる。アクリルアミドコポリマーとしては、アクリルアミド及び/又はアクリロイルジメチルタウリンを構成単位として含むコポリマーが挙げられる。
【0017】
ポリアクリルアミド及びそのコポリマーとしては、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン)コポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸Na、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー等が挙げられる。
【0018】
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーとしては、例えばSEPPIC社のセピノブEMT10もしくは複合原料であるSEPPIC社のSIMULGEL NS((アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、スクワラン、ポリソルベート60、水;(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを35〜40質量%含有)を用いることができる。
【0019】
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン)コポリマーとしては、例えば、SEPPIC社の複合原料であるSIMULGEL EG((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン)コポリマー、イソヘキサデカン、ポリソルベート80、水;(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン)コポリマーを37.5質量%含有)、SIMULGEL EPG((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン)コポリマー、ポリイソブテン、(カプリリル/カプリル)グルコシド、水)等を用いることができる。
【0020】
ポリアクリルアミドとしては、例えば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の架橋コポリマーが挙げられ、例えばSEPPIC社の複合原料であるセピゲル305(ポリアクリルアミド、水添ポリイソブテン、ラウレス−7、水;ポリアクリルアミドを40質量%含有)、セピゲル501(ポリアクリルアミド、ポリソルベート85、ミネラルオイル、イソパラフィン;ポリアクリルアミドを20質量%含有)を用いることができる。
【0021】
(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマーとしてはSEPPIC社の複合原料であるSEPIPLUS 265((アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、ポリイソブテン、ポリソルベート20、水)等を用いることができる。
【0022】
これらのポリアクリルアミド化合物としては、より好ましくはポリアクリルアミド又はアクリルアミドコポリマーであり、特に好ましくは(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーである。
【0023】
本発明における成分(C)の含有量は、0.001〜1質量%が好ましく、0.05〜0.8質量%がより好ましい。
【0024】
本発明に用いられる成分(D)は、トリメチルグリシン、高重合ポリエチレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド及びポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルから選択される1種又は2種以上である。
【0025】
トリメチルグリシンはアミノ酸グリシンにメチル基が3個結合した保湿剤であり、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。
【0026】
高重合ポリエチレングリコールとしては、化粧品表示名称でPEG−100、PEG135、PEG−150、PEG−180、PEG−200、PEG−220、PEG−240、PEG−350、PEG−400、PEG−450、PEG−800、PEG−2M、PEG−5M、PEG−7M、PEG−9M、PEG−14M、PEG−18M、PEG−20M、PEG−23M、PEG−25M、PEG−45M、PEG−65M、PEG−90Mなどが例示される。これらのポリエチレングリコールのなかでも、本発明の効果の点からPEG−200、PEG−220、PEG−240、PEG−350、PEG−400、PEG−450、PEG−800、PEG−2Mから選択される1種又は2種以上を用いることが好ましく、PEG−240、PEG−350、PEG−400、PEG−450、PEG−800から選択される1種又は2種以上を用いることがより好ましい。
【0027】
ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドとしては、例えば、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される1種又は2種のアルキレンオキサイドを、アルキルグルコシドに付加したものを使用することができ、その平均付加モル数としては、1〜30モル程度が好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドにおけるアルキル基としては、炭素数1〜4のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が好ましい例である。ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドの好ましい具体例としては、ポリオキシアルキレンメチルグルコシドが挙げられ、より具体的には、POE(10)メチルグルコシド、POE(20)メチルグルコシド、POP(10)メチルグルコシド及びPOP(20)メチルグルコシド等が挙げられる。これらのポリオキシアルキレンアルキルグルコシドとしては、肌なじみの良さの観点からPOE(20)メチルグルコシドを用いることが最も好ましい。なお、本明細書において、ポリオキシエチレンをPOEと略記し、ポリオキシプロピレンをPOPと略記し、かっこ内の数はその平均付加モル数である。このようなポリオキシアルキレンアルキルグルコシドは、商業的に容易に入手することができる。
【0028】
市販品としてはマクビオブライドMG−10E、マクビオブライドMG−20E、マクビオブライドMG−10P(いずれも日油社製)、GLUCAME E−10 LFG、GLUCAME P−10(いずれもLUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製)等を用いることも可能である。
【0029】
ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルは、グリセリンのアルキレンオキシド誘導体であり、グリセリンに、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが共重合したものである。共重合の順番や形態には、特に制限はなく、形態としては、ブロック共重合、ランダム共重合又はこれらの組み合わせを挙げることができる。これらの中でもPEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン(化粧品表示名称)を用いるのが好ましい。市販品としては、ウィルブライドS−753D(日油社製)等を挙げることができる。
【0030】
本発明における成分(D)の含有量は、0.001〜10質量%であり、0.05〜5質量%が好ましい。
【0031】
本発明のシワ改善用皮膚外用剤には、成分(E)として、炭素数3〜8のアルカンジオールを2種以上含有することが好ましい。本発明のシワ改善用皮膚外用剤に炭素数3〜8のアルカンジオールを2種以上配合することにより、抗菌効果を付与することが期待される。
【0032】
炭素数3〜8のアルカンジオールとして、具体的には、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、イソペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,3−ヘプタンジオール、1,4−ヘプタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2,4−ヘプタンジオール、3,4−ヘプタンジオール、4−オキサ−2,6−ヘプタンジオール、2−(2−ヒドロキシ-プロポキシ)−プロパン−1−オール、2−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エトキシ)プロパン−1−オール、1,2−オクタンジオール、2,3−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール等が挙げられる。中でも入手のし易さ、臭い、配合のし易さ等の問題から、4−オキサ−2,6−ヘプタンジオール、2−(2−ヒドロキシ-プロポキシ)−プロパン−1−オール、2−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エトキシ)プロパン−1−オールの混合物であるジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールから選択される2種以上を好ましく用いることができる。
【0033】
本発明のシワ改善用皮膚外用剤には、上述の必須成分、任意成分の他に、必要に応じて通常シワ改善用皮膚外用剤に配合される、水性成分、油性成分、上記以外の保湿剤、色素、界面活性剤、増粘剤、美容成分、香料、高分子物質、防菌防黴剤、アルコール類、粉体、スクラブ剤、生体由来成分等を適宜配合することができる。
【0034】
本発明のシワ改善用皮膚外用剤の剤型は、特に限定されず、水系、乳化型等いずれの剤型でもよい。
【0035】
本発明のシワ改善用皮膚外用剤は、通常の製造方法により製造することができる。
【0036】
本発明のシワ改善用皮膚外用剤は、例えば、ローション剤、乳剤、軟膏の剤型で用いることができる。
【0037】
本発明のシワ改善用皮膚外用剤は、通常の製造方法により製造することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り配合量は質量%で示す。
【0039】
[使用感評価]
官能評価専門員3名が、実施例及び比較例にかかるシワ改善用皮膚外用剤をそれぞれ独立して使用し、合議により下記の評価を行った。
【0040】
[評価基準]べたつき
べたつきがない:◎
ほとんどべたつきがない:〇
ややべたつく:△
べたつく:×
[評価基準]浸透感
浸透感が非常に良好である:◎
浸透感が良好である:〇
浸透感があまりよくない:△
浸透感がない:×
【0041】
表1に示す処方にて、本発明の実施例及び比較例となるシワ改善用皮膚外用剤を常法により調製した。
【0042】
【表1】
【0043】
表1に示した通り、本願発明のシワ改善用皮膚外用剤は、べたつきが少なく、浸透感が良好な使用感であった。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】
【表10】
【0053】
【表11】
【0054】
【表12】
【0055】
【表13】
【0056】
【表14】
【0057】
【表15】
【0058】
【表16】
【0059】
実施例65:水中油乳化型美容液
(1)(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10 1.5
(2)トリプロピレングリコール 15.0
(3)ナイアシンアミド 4.0
(4)D−パンテノール 0.5
(5)1,3−ブチレングリコール 3.5
(6)ジプロピレングリコール 0.5
(7)精製水 残量
(8)グリセリン 2.0
(9)POE(20)メチルグルコシド(注5) 2.0
(10)メチルパラベン 0.1
(11)イソステアリン酸ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油 0.2
(12)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2
(13)エタノール 5.0
(14)L−メントール 0.02
(15)ミリスチン酸イソプロピル 0.3
(16)ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/
ステアリル/ベヘニル) 0.2
(27)トリオレイン酸ソルビタン 0.2
(28)トコトリエノール 0.02
(29)カルボマー 1%水溶液(注1) 2.0
(30)((アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))
クロスポリマー1%水溶液(注6) 2.0
(31)水酸化ナトリウム 適量
【0060】
実施例66:水中油型乳液
(1)1,3−ブチレングリコール 5.0
(2)ジプロピレングリコール 5.0
(3)精製水 残量
(4)ナイアシンアミド 3.0
(5)D−パンテノール 0.3
(6)水酸化ナトリウム2%水溶液 0.2
(7)N−ミリストイル−L−グルタミン酸 0.2
(8)ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 0.2
(9)マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 1.0
(10)トリ(カプリル酸/カプリル酸)グリセリル 0.2
(11)トコフェロールニコチン酸エステル 0.01
(12)天然ビタミンE 0.1
(13)コメ胚芽油 0.01
(14)酢酸トコフェロール 0.01
(15)ステアリルアルコール 0.5
(16)1,2−ペンタンジオール 0.1
(17)カルボマー 1%水溶液(注1) 0.2
(18)PEG/PPG/ポリブチレングリコール
−8/5/3グリセリン(注4)グリセリン 1.0
(19)エタノール 5.0
(20)香料 0.1
【0061】
実施例67:化粧水
(1)エタノール 15.0
(2)ポリオキシエチレン(40E.O.)硬化ヒマシ油 0.3
(3)香料 0.1
(4)精製水 残量
(5)クエン酸 0.02
(6)クエン酸ナトリウム 0.1
(7)グリセリン 1.0
(8)((アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))
クロスポリマー1%水溶液(注6) 10.0
(9)PEG−400(注3) 1.0
(10)POE(20)メチルグルコシド(注5) 1.0
(11)PEG/PPG/ポリブチレングリコール
−8/5/3グリセリン(注4)グリセリン 1.0
【0062】
以上、本願発明の実施例にかかるシワ改善用皮膚外用剤は、シワ改善効果に優れ、べたつきが少なく、浸透感の良好な使用感であった。