特開2021-63363(P2021-63363A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-63363(P2021-63363A)
(43)【公開日】2021年4月22日
(54)【発明の名称】吊り枠体
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20210326BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20210326BHJP
【FI】
   E04G21/12 105D
   E04G21/16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-188177(P2019-188177)
(22)【出願日】2019年10月11日
(11)【特許番号】特許第6679124号(P6679124)
(45)【特許公報発行日】2020年4月15日
(71)【出願人】
【識別番号】313001930
【氏名又は名称】山本建設 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】山本 英昭
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA03
2E174CA12
(57)【要約】
【課題】吊りワイヤーが捻じれたり曲がったりすることを抑制できる吊り枠体を提供する。
【解決手段】この吊り枠体1は、複数本の長尺の枠部材11が接続されて構成され、枠部材11の複数個所に吊り金具12が着脱可能に取り付けられており、吊り金具12は、枠部材11に固定されそれを保持可能な保持体121と、第1回動中心線C1のまわりに回動可能であって、第1回動中心線C1が枠部材11の長手方向に対して垂直方向になるように保持体121に回動可能に取り付けられている第1回動体122と、第1回動中心線C1に対して垂直方向の第2回動中心線C2のまわりに回動可能であって、第1回動体122に回動可能に取り付けられており、吊りワイヤーの下端が連結される第2回動体123と、を有している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の長尺の枠部材が接続されて構成され、該枠部材の複数個所に吊り金具が着脱可能に取り付けられており、
前記吊り金具は、
前記枠部材に固定されそれを保持可能な保持体と、
第1回動中心線のまわりに回動可能であって、該第1回動中心線が前記枠部材の長手方向に対して垂直方向になるように前記保持体に回動可能に取り付けられている第1回動体と、
前記第1回動中心線に対して垂直方向の第2回動中心線のまわりに回動可能であって、前記第1回動体に回動可能に取り付けられており、吊りワイヤーの下端が連結される第2回動体と、
を有していることを特徴とする吊り枠体。
【請求項2】
請求項1に記載の吊り枠体において、
前記保持体は、略Uの字の側面形状でありその内側に前記枠部材を収容する収容部材と、
該枠部材の上面を被覆する被覆部材と、
該被覆部材を前記収容部材に固定する被覆部材固定具と、
前記保持体を前記枠部材に固定する枠部材固定具と、
を有していることを特徴とする吊り枠体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋仮組体をクレーン等によって吊り下げるときに用いる吊り枠体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の横筋(例えば、帯筋や横拘束筋など)を仮組した鉄筋仮組体を、吊り枠体を用いてクレーン等によって吊り下げ、建設施工現場まで移動させて複数の横筋を主筋などの縦筋に結合させることが行われている(例えば、特許文献1など)。このとき、吊り枠体は、鉄筋仮組体を保持する複数個の支柱をワイヤーを介して支持し、その一方、複数本の吊りワイヤーにより支持される。複数本の吊りワイヤーは、それらの上端がまとめて保持治具に保持される。保持治具は、クレーン等によって吊り上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−104404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、鉄筋仮組体から吊り枠体に負荷される荷重(例えば、約十数トン)は、鉛直方向である。一方、吊りワイヤーによって吊り枠体が支持される力は、斜めの方向である。このため、吊りワイヤーは、曲げモーメントにより捻じれたり曲がったりし易く、その結果、損傷し易くもなる。
【0005】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、吊りワイヤーが捻じれたり曲がったりすることを抑制できる吊り枠体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の吊り枠体は、複数本の長尺の枠部材が接続されて構成され、該枠部材の複数個所に吊り金具が着脱可能に取り付けられており、前記吊り金具は、前記枠部材に固定されそれを保持可能な保持体と、第1回動中心線のまわりに回動可能であって、該第1回動中心線が前記枠部材の長手方向に対して垂直方向になるように前記保持体に回動可能に取り付けられている第1回動体と、前記第1回動中心線に対して垂直方向の第2回動中心線のまわりに回動可能であって、前記第1回動体に回動可能に取り付けられており、吊りワイヤーの下端が連結される第2回動体と、を有していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の吊り枠体は、請求項1に記載の吊り枠体において、前記保持体は、略Uの字の側面形状でありその内側に前記枠部材を収容する収容部材と、該枠部材の上面を被覆する被覆部材と、該被覆部材を前記収容部材に固定する被覆部材固定具と、前記保持体を前記枠部材に固定する枠部材固定具と、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願発明の吊り枠体によれば、吊りワイヤーが捻じれたり曲がったりすることを抑制可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る吊り枠体とその上下の部材を示す斜視図である。
図2】同上の吊り枠体とその上下の部材を示すものであって、(a)が吊り枠体の少し下側から上方の正面図であり、(b)は平面図である。
図3A】同上の吊り枠体の吊り金具を示す正面図である。
図3B】同上の吊り枠体の吊り金具を示す右側面図である。
図3C】同上の吊り枠体の吊り金具を示す平面図である。
図3D】同上の吊り枠体の吊り金具を示す図3CのA−A線で示す切断面で切断した右側面視断面図である。
図4】同上の吊り枠体に連結される吊りワイヤーの下端の状態を示す正面図である。
図5】同上の吊り枠体に連結される吊りワイヤーの上端の状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて説明する。本発明の実施形態に係る吊り枠体1は、図1及び図2(a)、(b)に示すように、鉄筋仮組体Sを保持する複数個の支柱2をワイヤー3を介して支持し、その一方、吊り枠体1は、複数本の吊りワイヤー4により支持される。ワイヤー3は、ワイヤー接続具3Aによって吊り枠体1に接続される(図2(a)参照)。複数本の吊りワイヤー4は、それらの上端がまとめて保持治具5に保持される。保持治具5は、クレーン等によって吊り上げられる。
【0011】
吊り枠体1は、複数本の長尺の枠部材11が接続されて構成される。例えば、吊り枠体1は、一方向(図2(a)、(b)における左右方向)を長手方向とする複数本の長尺の枠部材11と、それに垂直な方向(図2(b)における上下方向)を長手方向とする複数本の長尺の枠部材11と、が固定金具11Aによって互いに接続されて構成される。枠部材11は、例えば、断面がH形状のH鋼である(図3(b)参照)。なお、吊り枠体1を構成する枠部材11の本数は、特に限定はされない。
【0012】
吊り枠体1は、枠部材11の複数個所に、吊り金具12が着脱可能に取り付けられている。吊り金具12は、図3A図3B図3C図3Dに示すように、保持体121と第1回動体122と第2回動体123を有する。
【0013】
保持体121は、枠部材11に固定されそれを保持可能である。保持体121は、詳細には、収容部材121aと被覆部材121bと被覆部材固定具121cと枠部材固定具121dを有している。収容部材121aは、図3Bに示すように、略Uの字の側面形状であり、その内側に枠部材11を収容する。被覆部材121bは、枠部材11の上面を被覆する。被覆部材固定具121cは、被覆部材121bを収容部材121aに固定するものであって、4本のボルトとすることができる。枠部材固定具121dは、保持体121を枠部材11に固定するものである。枠部材固定具121dは、4本のボルトとすることができ、被覆部材121bの下面に固着されたナット121d’に上からねじ込まれるようにすることができる。そうすると、枠部材11を押圧することにより、枠部材11に保持体121(つまり、吊り金具12)を固定することができる。
【0014】
枠部材11に対する吊り金具12の固定位置を調整するときは、枠部材固定具121dによる枠部材11の押圧を解除することにより、保持体121を枠部材11の長手方向に摺動させることができる。
【0015】
第1回動体122は、第1回動中心線C1のまわりに回動可能であって、第1回動中心線C1が枠部材11の長手方向(図3AにおけるX軸方向)に対して垂直方向(図3AにおけるZ軸方向)になるように保持体121に回動可能に取り付けられている。
【0016】
第2回動体123は、吊りワイヤー4の下端が連結されるものである。第2回動体123は、略Uの字の形状を逆さにした形状とすることができる(図3B参照)。第2回動体123は、例えば、吊りワイヤー4の下端に設けられた留め金具40を介して連結される(図4参照)。
【0017】
第2回動体123は、第1回動中心線C1に対して垂直方向の第2回動中心線C2のまわりに回動可能であって、第1回動体122に回動可能に取り付けられている。従って、第2回動中心線C2は、第1回動体122の回動に応じて、第1回動中心線C1に対して垂直な任意方向(つまり、X軸とY軸が作る面内の任意方向)になり得る。そして、第2回動体123は、その第2回動中心線C2のまわりに回動可能である。
【0018】
よって、図4に示すように、鉄筋仮組体Sから吊り枠体1に鉛直方向に荷重(図においてW1で示す)が負荷されたとき、第2回動体123は、それに連結される吊りワイヤー4によって3次元におけるどの方向から牽引(図においてT1で示す)されても、その方向に向くことができる。そうすると、吊りワイヤー4が、その下端近傍において捻じれたり曲がったりすることを抑制でき、その結果、吊りワイヤー4の損傷を防ぐことが可能になる。
【0019】
なお、通常、枠部材11の長手方向(図3AにおけるX軸方向)が水平方向となり、第1回動中心線C1の方向(図3A及び図3BにおけるZ軸方向)が鉛直方向となり、第2回動中心線C2は、水平方向であって第1回動体122の回動に応じた方向となる。
【0020】
吊り金具12は、吊りワイヤー4による支持の適正化のために、上述したように、その保持体121を枠部材11の長手方向に摺動させることによって固定位置を調整したり、或いは、あらたに枠部材11に追加したりすることが可能である。そのような場合、どの固定位置であっても、吊りワイヤー4が、その下端近傍において捻じれたり曲がったりすることを抑制でき、その結果、吊りワイヤー4の損傷を防ぐことが可能になる。
【0021】
次に、吊りワイヤー4の上端近傍についても述べておく。吊りワイヤー4は、上述したように、それらの上端がまとめて保持治具5に保持される。詳細は、以下のようにすることができる。保持治具5は、図5に示すように、保持治具本体50とその下方に取り付けられたフック51とその下に連結されたリング52を有する。吊りワイヤー4は、吊りワイヤー4の上端のアイ41、シャックル42、及び、保持治具5のリング52を介して、保持治具5のフック51に吊り下げられるように構成されている。吊りワイヤー4のリング状のアイ41は、シャックル42のピン42aに対して、その中心線CL1のまわりに回動可能に取り付けられている。ピン42aは、ボルトであってもよい。シャックル42は、リング52に、リング52の最下部の中心線CL2のまわりに回動可能に取り付けられている。リング52は、フック51に、リング52の最上部の中心線CL3のまわりに回動可能に取り付けられている。すなわち、吊りワイヤー4は、保持治具5に対して、中心線CL1のまわりの回動、中心線CL2のまわりの回動、及び中心線CL3のまわりの回動により、3次元におけるどの方向にも向くことができる。よって、吊りワイヤー4は、その上端近傍において捻じれたり曲がったりすることを抑制でき、その結果、吊りワイヤー4の損傷を防ぐことが可能になっている。
【0022】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限定されることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲でのさまざまな設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 吊り枠体
11 枠部材
11A 枠部材を接続する固定金具
12 吊り金具
121 吊り金具を構成する保持体
121a 保持体の収容部材
121b 保持体の被覆部材
121c 保持体の被覆部材固定具
121d 保持体の枠部材固定具
121d’ 保持体の枠部材固定具用のナット
122 吊り金具を構成する第1回動体
123 吊り金具を構成する第2回動体
2 支柱
3 ワイヤー
3A ワイヤー接続具
4 吊りワイヤー
40 吊りワイヤーの下端の留め金具
41 吊りワイヤーの上端のアイ
42 吊りワイヤーの上端のシャックル
42a シャックルのピン
5 保持治具
50 保持治具の保持治具本体
51 保持治具のフック
52 保持治具のリング
C1 第1回動中心線
C2 第2回動中心線
CL1、CL2、CL3 回動中心線
S 鉄筋仮組体
T1 牽引方向
W1 荷重
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2020年3月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の長尺の枠部材が接続されて構成され、該枠部材の複数個所に吊り金具が着脱可能に取り付けられており、
前記吊り金具は、
前記枠部材に固定されそれを保持可能な保持体と、
第1回動中心線のまわりに回動可能であって、前記枠部材の長手方向が水平方向のとき該第1回動中心線の方向が鉛直方向となるよう、該第1回動中心線が前記枠部材の前記長手方向に対して垂直方向になるように前記保持体に回動可能に取り付けられている第1回動体と、
2回動中心線のまわりに回動可能であって、前記枠部材の前記長手方向が水平方向のとき該第2回動中心線が水平方向であって前記第1回動体の回動に応じた方向となるよう、該第2回動中心線が前記第1回動中心線に対して垂直方向になるように前記第1回動体に回動可能に取り付けられており、吊りワイヤーの下端が連結される第2回動体と、
を有しており、
前記保持体は、略Uの字の側面形状でありその内側に前記枠部材を収容する収容部材と、
該枠部材の上面を被覆する被覆部材と、
該被覆部材を前記収容部材に固定する被覆部材固定具と、
前記保持体を前記枠部材に固定する枠部材固定具と、
を有していることを特徴とする吊り枠体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋仮組体をクレーン等によって吊り下げるときに用いる吊り枠体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の横筋(例えば、帯筋や横拘束筋など)を仮組した鉄筋仮組体を、吊り枠体を用いてクレーン等によって吊り下げ、建設施工現場まで移動させて複数の横筋を主筋などの縦筋に結合させることが行われている(例えば、特許文献1など)。このとき、吊り枠体は、鉄筋仮組体を保持する複数個の支柱をワイヤーを介して支持し、その一方、複数本の吊りワイヤーにより支持される。複数本の吊りワイヤーは、それらの上端がまとめて保持治具に保持される。保持治具は、クレーン等によって吊り上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−104404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、鉄筋仮組体から吊り枠体に負荷される荷重(例えば、約十数トン)は、鉛直方向である。一方、吊りワイヤーによって吊り枠体が支持される力は、斜めの方向である。このため、吊りワイヤーは、曲げモーメントにより捻じれたり曲がったりし易く、その結果、損傷し易くもなる。
【0005】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、吊りワイヤーが捻じれたり曲がったりすることを抑制できる吊り枠体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の吊り枠体は、複数本の長尺の枠部材が接続されて構成され、該枠部材の複数個所に吊り金具が着脱可能に取り付けられており、前記吊り金具は、前記枠部材に固定されそれを保持可能な保持体と、第1回動中心線のまわりに回動可能であって、前記枠部材の長手方向が水平方向のとき該第1回動中心線の方向が鉛直方向となるよう、該第1回動中心線が前記枠部材の前記長手方向に対して垂直方向になるように前記保持体に回動可能に取り付けられている第1回動体と、2回動中心線のまわりに回動可能であって、前記枠部材の前記長手方向が水平方向のとき該第2回動中心線が水平方向であって前記第1回動体の回動に応じた方向となるよう、該第2回動中心線が前記第1回動中心線に対して垂直方向になるように前記第1回動体に回動可能に取り付けられており、吊りワイヤーの下端が連結される第2回動体と、を有しており、前記保持体は、略Uの字の側面形状でありその内側に前記枠部材を収容する収容部材と、該枠部材の上面を被覆する被覆部材と、該被覆部材を前記収容部材に固定する被覆部材固定具と、前記保持体を前記枠部材に固定する枠部材固定具と、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願発明の吊り枠体によれば、吊りワイヤーが捻じれたり曲がったりすることを抑制可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る吊り枠体とその上下の部材を示す斜視図である。
図2】同上の吊り枠体とその上下の部材を示すものであって、(a)が吊り枠体の少し下側から上方の正面図であり、(b)は平面図である。
図3A】同上の吊り枠体の吊り金具を示す正面図である。
図3B】同上の吊り枠体の吊り金具を示す右側面図である。
図3C】同上の吊り枠体の吊り金具を示す平面図である。
図3D】同上の吊り枠体の吊り金具を示す図3CのA−A線で示す切断面で切断した右側面視断面図である。
図4】同上の吊り枠体に連結される吊りワイヤーの下端の状態を示す正面図である。
図5】同上の吊り枠体に連結される吊りワイヤーの上端の状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて説明する。本発明の実施形態に係る吊り枠体1は、図1及び図2(a)、(b)に示すように、鉄筋仮組体Sを保持する複数個の支柱2をワイヤー3を介して支持し、その一方、吊り枠体1は、複数本の吊りワイヤー4により支持される。ワイヤー3は、ワイヤー接続具3Aによって吊り枠体1に接続される(図2(a)参照)。複数本の吊りワイヤー4は、それらの上端がまとめて保持治具5に保持される。保持治具5は、クレーン等によって吊り上げられる。
【0010】
吊り枠体1は、複数本の長尺の枠部材11が接続されて構成される。例えば、吊り枠体1は、一方向(図2(a)、(b)における左右方向)を長手方向とする複数本の長尺の枠部材11と、それに垂直な方向(図2(b)における上下方向)を長手方向とする複数本の長尺の枠部材11と、が固定金具11Aによって互いに接続されて構成される。枠部材11は、例えば、断面がH形状のH鋼である(図3(b)参照)。なお、吊り枠体1を構成する枠部材11の本数は、特に限定はされない。
【0011】
吊り枠体1は、枠部材11の複数個所に、吊り金具12が着脱可能に取り付けられている。吊り金具12は、図3A図3B図3C図3Dに示すように、保持体121と第1回動体122と第2回動体123を有する。
【0012】
保持体121は、枠部材11に固定されそれを保持可能である。保持体121は、詳細には、収容部材121aと被覆部材121bと被覆部材固定具121cと枠部材固定具121dを有している。収容部材121aは、図3Bに示すように、略Uの字の側面形状であり、その内側に枠部材11を収容する。被覆部材121bは、枠部材11の上面を被覆する。被覆部材固定具121cは、被覆部材121bを収容部材121aに固定するものであって、4本のボルトとすることができる。枠部材固定具121dは、保持体121を枠部材11に固定するものである。枠部材固定具121dは、4本のボルトとすることができ、被覆部材121bの下面に固着されたナット121d’に上からねじ込まれるようにすることができる。そうすると、枠部材11を押圧することにより、枠部材11に保持体121(つまり、吊り金具12)を固定することができる。
【0013】
枠部材11に対する吊り金具12の固定位置を調整するときは、枠部材固定具121dによる枠部材11の押圧を解除することにより、保持体121を枠部材11の長手方向に摺動させることができる。
【0014】
第1回動体122は、第1回動中心線C1のまわりに回動可能であって、第1回動中心線C1が枠部材11の長手方向(図3AにおけるX軸方向)に対して垂直方向(図3AにおけるZ軸方向)になるように保持体121に回動可能に取り付けられている。
【0015】
第2回動体123は、吊りワイヤー4の下端が連結されるものである。第2回動体123は、略Uの字の形状を逆さにした形状とすることができる(図3B参照)。第2回動体123は、例えば、吊りワイヤー4の下端に設けられた留め金具40を介して連結される(図4参照)。
【0016】
第2回動体123は、第1回動中心線C1に対して垂直方向の第2回動中心線C2のまわりに回動可能であって、第1回動体122に回動可能に取り付けられている。従って、第2回動中心線C2は、第1回動体122の回動に応じて、第1回動中心線C1に対して垂直な任意方向(つまり、X軸とY軸が作る面内の任意方向)になり得る。そして、第2回動体123は、その第2回動中心線C2のまわりに回動可能である。
【0017】
よって、図4に示すように、鉄筋仮組体Sから吊り枠体1に鉛直方向に荷重(図においてW1で示す)が負荷されたとき、第2回動体123は、それに連結される吊りワイヤー4によって3次元におけるどの方向から牽引(図においてT1で示す)されても、その方向に向くことができる。そうすると、吊りワイヤー4が、その下端近傍において捻じれたり曲がったりすることを抑制でき、その結果、吊りワイヤー4の損傷を防ぐことが可能になる。
【0018】
なお、通常、枠部材11の長手方向(図3AにおけるX軸方向)が水平方向となり、第1回動中心線C1の方向(図3A及び図3BにおけるZ軸方向)が鉛直方向となり、第2回動中心線C2は、水平方向であって第1回動体122の回動に応じた方向となる。
【0019】
吊り金具12は、吊りワイヤー4による支持の適正化のために、上述したように、その保持体121を枠部材11の長手方向に摺動させることによって固定位置を調整したり、或いは、あらたに枠部材11に追加したりすることが可能である。そのような場合、どの固定位置であっても、吊りワイヤー4が、その下端近傍において捻じれたり曲がったりすることを抑制でき、その結果、吊りワイヤー4の損傷を防ぐことが可能になる。
【0020】
次に、吊りワイヤー4の上端近傍についても述べておく。吊りワイヤー4は、上述したように、それらの上端がまとめて保持治具5に保持される。詳細は、以下のようにすることができる。保持治具5は、図5に示すように、保持治具本体50とその下方に取り付けられたフック51とその下に連結されたリング52を有する。吊りワイヤー4は、吊りワイヤー4の上端のアイ41、シャックル42、及び、保持治具5のリング52を介して、保持治具5のフック51に吊り下げられるように構成されている。吊りワイヤー4のリング状のアイ41は、シャックル42のピン42aに対して、その中心線CL1のまわりに回動可能に取り付けられている。ピン42aは、ボルトであってもよい。シャックル42は、リング52に、リング52の最下部の中心線CL2のまわりに回動可能に取り付けられている。リング52は、フック51に、リング52の最上部の中心線CL3のまわりに回動可能に取り付けられている。すなわち、吊りワイヤー4は、保持治具5に対して、中心線CL1のまわりの回動、中心線CL2のまわりの回動、及び中心線CL3のまわりの回動により、3次元におけるどの方向にも向くことができる。よって、吊りワイヤー4は、その上端近傍において捻じれたり曲がったりすることを抑制でき、その結果、吊りワイヤー4の損傷を防ぐことが可能になっている。
【0021】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限定されることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲でのさまざまな設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 吊り枠体
11 枠部材
11A 枠部材を接続する固定金具
12 吊り金具
121 吊り金具を構成する保持体
121a 保持体の収容部材
121b 保持体の被覆部材
121c 保持体の被覆部材固定具
121d 保持体の枠部材固定具
121d’ 保持体の枠部材固定具用のナット
122 吊り金具を構成する第1回動体
123 吊り金具を構成する第2回動体
2 支柱
3 ワイヤー
3A ワイヤー接続具
4 吊りワイヤー
40 吊りワイヤーの下端の留め金具
41 吊りワイヤーの上端のアイ
42 吊りワイヤーの上端のシャックル
42a シャックルのピン
5 保持治具
50 保持治具の保持治具本体
51 保持治具のフック
52 保持治具のリング
C1 第1回動中心線
C2 第2回動中心線
CL1、CL2、CL3 回動中心線
S 鉄筋仮組体
T1 牽引方向
W1 荷重