(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-63418(P2021-63418A)
(43)【公開日】2021年4月22日
(54)【発明の名称】オーガーを用いる地中掘削用ケーシングにおける安全回転駆動方法
(51)【国際特許分類】
E21B 7/20 20060101AFI20210326BHJP
E02D 7/20 20060101ALI20210326BHJP
【FI】
E21B7/20
E02D7/20
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-201053(P2019-201053)
(22)【出願日】2019年10月15日
(71)【出願人】
【識別番号】519230329
【氏名又は名称】有限会社三友機工
(72)【発明者】
【氏名】柳川 宏治
【テーマコード(参考)】
2D050
2D129
【Fターム(参考)】
2D050CB03
2D050CB23
2D050DA03
2D050EE14
2D050EE29
2D129AB23
2D129BA02
2D129BA05
2D129BB03
2D129DA11
2D129DC01
2D129DC11
2D129DC34
2D129DC42
2D129EA02
2D129EA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オーガーとケーシングを用いる地中掘削時におけるケーシングの倒れを防止して、作業者の安全の確保を提供する。
【解決手段】ケーシング1をオーガー5にて回転駆動させ、ケーシング1下端の刃部にて地中掘削する場合において、適宜部材をオーガー5およびケーシング1に設け、該部材間をワイヤー50にて接続することにより、オーガー5とケーシング1が破損分離した場合においても、オーガー5にケーシング1が吊下されることにより、掘削中のケーシング1の倒れを防止するよう構成したことを特徴とする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングをオーガーにて回転駆動させ、ケーシング下端の刃部にて地中掘削する場合において、適宜部材をオーガーおよびケーシングに設け、該部材間をワイヤーにて接続することにより、オーガーとケーシングが破損分離した場合においても、オーガーにケーシングが吊下されることにより、掘削中のケーシングの倒れを防止するよう構成してなる、オーガーを用いる地中掘削用ケーシングにおける安全回転駆動方法。
【請求項2】
ワイヤーに代えて有孔板体を用いてなる請求項1記載のオーガーを用いる地中掘削用ケーシングにおける安全回転駆動方法。
【請求項3】
ワイヤーに代えてチェーンを用いてなる請求項1記載のオーガーを用いる地中掘削用ケーシングにおける安全回転駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オーガーを用いて地中掘削する場合において、オーガーに接続されるケーシングの不意の倒れを防止するための手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オーガーにてケーシングを回転させて地中掘削することが多用されているが、本発明にて示すように、このケーシングの不意の倒れを防止する手段は現在のところ見当たらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
杭打ち等のために地中掘削をするとき、ケーシングが多用されている。
このケーシングは、鉄製筒体の下端に刃部を設けて、ケーシングの上端にオーガーを接続し、このオーガーを回転させることにて、地面上に立てられたケーシングが回転して掘削する仕組みである。
ケーシング上端には六角柱が立設され、オーガー下端には六角穴が設けられて、この六角柱を六角穴に挿入し、ピンで固定してオーガーとケーシングは接続される。
掘削時においては、六角柱に回転トルクが加えられるが、土中には石ころがあったり堅い箇所があったりし、またケーシングが地面に対して正しく鉛直でない場合もしばしばあり、このような理由で掘削中にこの六角柱が破損することもある。
あるいは長年の使用による金属疲労が破損の原因となることもある。
この六角柱が破損すると、オーガーに対するケーシングの固定は解除されて、掘削初期ではケーシングは地中に支えられないために倒れることとなり、極めて危険である。
本発明は以上に鑑み、オーガーとケーシングが分離してもケーシングが倒れることのない新規かつ有用なる手段を提供することを目的として開発されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は以下の構成とした。
すなわち、ケーシングをオーガーにて回転駆動させ、ケーシング下端の刃部にて地中掘削する場合において、適宜部材をオーガーおよびケーシングに設け、該部材間をワイヤーにて接続することにより、オーガーとケーシングが破損分離した場合においても、オーガーにケーシングが吊下されることにより、掘削中のケーシングの倒れを防止するよう構成する。
本発明は以上の構成よりなる、オーガーを用いる地中掘削用ケーシングにおける安全回転駆動方法である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、オーガーに対してケーシングがワイヤー等にて吊下可能に接続されるので、万一にでもオーガーとケーシングが掘削作業中に分離しても、ケーシングは吊下されるので、不意の転倒事故を防止することのできる有用な手段を得ることができる。
なお、ワイヤーに代えて,有孔板体やチェーン等を用いても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図12】本発明の使用説明図(直づけワイヤー接続部使用)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図において、1はケーシングで、鉄製筒体を主要部として形成される。2は角孔で,掘削により中に詰まる土の圧力を逃がす役割を有している。3はケーシング端に設けられる刃部、4はケーシング他端に設けられる六角柱である。5は公知のオーガーで、その下部には六角穴が設けられている。このオーガーは重機にジョイント接続される。
オーガーには側面に孔が穿設され、前記六角柱には半円形溝が形成され、オーガーを六角柱に差し込んだとき、この孔と溝の位置は一致して、ここにピンを圧入することにて、オーガーとケーシングは一体化する。
以上が公知技術としての構成である。
【0008】
10はオーガー円柱部側面に対称形に突設される板状のワイヤー接続部、11は該ワイヤー接続部に穿設される接続孔である。20はケーシングに固定される挟持体で、その中央に円弧部21を有する金属板体で一対が使用される。非円弧部には
図4にて示すように、ボルト挿通孔22と接続孔23が穿設される。
30は市販のシャックルである。U形の端部は膨大してここに孔が設けられており、この孔にボルト31が挿通され、ナット32にて締め込まれる。
また、一般のケーシングには鍔部はないが、本発明にて用いるケーシングには上部鍔部40と下部鍔部41がケーシングに溶接固定され、これらは金属製環体板である。
【0009】
次に本発明を使用する手順について説明する。
1.地上に寝かせた状態のケーシング端に、環状板体よりなる上部鍔部を溶着し、この上 部鍔部より若干の距離を有して下部鍔部を溶着する。
2.一対の挟持体を、上部鍔部と下部鍔部との間にあてがい、ボルトとナットにて締め込 んで、この挟持体をケーシングに固定する。
3.挟持体の接続孔にシャックルを取り付け、オーガーの接続孔にも同様にシャックルを 取り付ける。
4.ケーシングの六角柱にオーガーの六角穴を挿入し、双方のシャックル間に、両端に環 状部を有するワイヤーを取り付ける。
以上にて準備が完了する。
この状態にて掘削を開始するが、六角柱が破損してオーガーとケーシングが分離しても、ケーシングはワイヤーにてオーガーに吊下されるので、ケーシングの倒れは防止される。
なお、双方の鍔部にて,ケーシングに取り付けた挟持体位置は安定する。
【0010】
図10から
図12は本発明の他例を示すものである。
図10は、ワイヤーに代えてチェーンを用いた例、
図11は接続板体52を用いた例である。接続板体は
図8に示すように、細長板体の両端近傍に長穴53を穿設し、この長穴にシャックルを挿通して用いる。
図12は既例のような挟持体を用いず、ケーシングに板状有孔の直づけワイヤー接続部54を設けた例である。なお、既述の例ではワイヤー等を2本用いたが、簡略手段として片側1本として用いることもできる。また、ワイヤー等を使用の度にケーシングに取り付けるのではなく、ケーシングに常時取り付けておいてもよい。
以上記したように、本発明はオーガーとケーシングをワイヤー等にて接続することにより、オーガーに対するケーシングの接続部としての六角柱の折れ等による破損時でも、ケーシングは吊下されているので,従来手段でありがちであったケーシングの倒れを防止して、作業者の安全を確保することのできる、有用なる手段を提供することができる。
なお、既述例は実施の一例であって、近似の他の構成としてもよい。
以上のごとく、本発明によって、地中掘削作業における作業者の安全を得ることができる。
【符号の説明】
【0011】
1 ケーシング
2 角孔
3 刃部
4 六角柱
5 オーガー
6 ジョイント
10 ワイヤー接続部
11 接続孔
20 挟持体
21 円弧部
22 挿通孔
23 接続孔
30 シャックル
31 ボルト
32 ナット
40 上部鍔部
41 下部鍔部
50 ワイヤー
51 チェーン
52 接続板体
53 長穴
54 直づけワイヤー接続部
55 重機