特開2021-6363(P2021-6363A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-6363(P2021-6363A)
(43)【公開日】2021年1月21日
(54)【発明の名称】記録装置、記録方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20201218BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20201218BHJP
【FI】
   B41J2/01 103
   B41J2/01 451
   B41J2/01 401
   B41J2/01 303
   B41J2/01 305
   B41J2/01 501
   B41J2/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-120447(P2019-120447)
(22)【出願日】2019年6月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕充
(72)【発明者】
【氏名】梶原 祐人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 文孝
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EA13
2C056EB13
2C056EB45
2C056EB58
2C056EC26
2C056EC28
2C056EE10
2C056EE18
2C056FA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】両面記録において耐擦過性が低いインクを用いた場合でも良好な画質の記録画像を得ることができる記録装置を提供する。
【解決手段】第1のインクと、耐擦過性が低い第2のインクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、接解した記録媒体を搬送するローラーと、を有し、記録ヘッドによって記録媒体の両面に記録を行うことが可能な記録装置であって、記録媒体の一方の面に記録を行うための第1記録データと、裏の他方の面に記録を行うための第2記録データに基づき第2のインクの量に関する情報を取得し、第2のインクの量が多い方を後に記録する方法を有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のインクと、記録媒体上に記録した場合に前記第1のインクよりも耐擦過性が低い第2のインクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
記録媒体と接触し、前記記録媒体を搬送するローラーと、を有し、前記記録ヘッドによって前記記録媒体の両面に記録を行うことが可能な記録装置において、
前記記録媒体の一方の面に記録を行うための第1記録データに基づいて、前記一方の面に記録される前記第2のインクの量に関する情報を取得し、かつ、前記記録媒体の前記一方の面の裏の他方の面に記録を行うための第2記録データに基づいて、前記他方の面に記録される、前記第2のインクの量に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記一方の面についての前記情報と前記他方の面についての前記情報に基づいて、記録される前記第2のインクの量が多い方の面を後に記録するように記録順序を設定する設定手段と、を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記取得手段が取得する前記情報は、前記記録媒体に記録する画像の前記第2のインクの総量を示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記取得手段が取得する前記情報は、前記記録媒体に画像を記録したときに前記第2のインクが表面に露出するように形成される前記第2のインクの量を示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記取得手段が取得する前記情報は、記録媒体を前記搬送手段によって搬送する際に前記ローラーと接触する前記記録媒体の領域に吐出される前記第2のインクの量を示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記取得手段が取得する前記情報は、前記記録媒体を前記搬送手段によって搬送する際に前記ローラーと接触する前記記録媒体の領域に吐出される前記第2のインクのうち、記録したときに第2のインクが表面に露出するように形成される前記第2のインクの量を示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記情報が示す前記第1記録データと前記第2記録データの第2のインクの量の差が所定量未満であった場合には、前記第2のインクの記録密度が所定密度より高い領域の大きさが大きい方を後に記録するように記録順序を設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記第2のインクは、金属粒子を含むメタリックインクであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記第1のインクは、色材を含むカラーインクであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
記録媒体の種類の入力を受け付ける受付手段を有し、
前記設定手段は、前記受付手段が受け付けた記録媒体の種類が第1の種類である場合に、前記情報が示す前記第2のインクの量が前記第1記録データよりも前記第2記録データの方が多い場合には前記第1記録データの後に前記第2記録データの記録を行うように記録順序を設定し、前記記録媒体の種類が第1の種類である場合に、前記情報が示す前記第2のインクの量が前記第2記録データよりも前記第1記録データの方が多い場合には前記第2記録データの後に前記第1記録データの記録を行うように記録順序を設定し、前記記録媒体の種類が第2の種類である場合には、前記情報が示す前記第2のインクの量に関わらず前記第1記録データの後に前記第2記録データを記録することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
外部装置から前記記録データを受け付け、保持する保持手段を有し、
前記設定手段が設定した前記記録データの記録順序が、前記保持手段が受け付けた記録データの記録順序から変更している場合には、ユーザーに記録順序が変更されたことを通知手段に通知させる通知制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項11】
第1のインクと、記録媒体上に記録した場合に前記第1のインクよりも耐擦過性が低い第2のインクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、記録媒体と接触し、前記記録媒体を搬送するローラーと、を有し、前記記録ヘッドによって前記記録媒体の両面に記録を行うことが可能な記録装置を用いた記録方法であって、
前記記録媒体の一方の面に記録を行うための第1記録データに基づいて、前記一方の面に記録される前記第2のインクの量に関する情報を取得し、
前記記録媒体の前記一方の面の裏の他方の面に記録を行うための第2記録データに基づいて、前記他方の面に記録される、前記第2のインクの量に関する情報を取得し、
取得した前記一方の面についての前記情報と、前記他方の面についての前記情報に基づいて、記録される前記第2のインクの量が多い方の面を後に記録する記録装置を用いた記録方法。
【請求項12】
前記一方の面についての前記情報と、前記他方の面についての前記情報は、前記記録媒体に記録する画像の前記第2のインクの総量を示す情報であることを特徴とする請求項11に記載の記録方法。
【請求項13】
前記一方の面についての前記情報と、前記他方の面についての前記情報は、前記記録媒体に画像を記録したときに前記第2のインクが表面に露出するように形成される前記第2のインクの量を示す情報であることを特徴とする請求項11に記載の記録方法。
【請求項14】
前記一方の面についての前記情報と、前記他方の面についての前記情報は、記録媒体を前記ローラーによって搬送する際に前記搬送手段と接触する前記記録媒体の領域に吐出される前記第2のインクの量を示す情報であることを特徴とする請求項11に記載の記録方法。
【請求項15】
コンピュータに、第1のインクと、記録媒体上に記録した場合に第1のインクよりも耐擦過性が低い第2のインクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、記録媒体と接触し、前記記録媒体を搬送するローラーと、を有し、前記記録ヘッドによって前記記録媒体の両面に記録を行うことが可能な記録装置において記録される記録データの生成を実行させるプログラムであって、
前記記録媒体の一方の面に記録を行うための第1記録データに基づいて、前記一方の面に記録される前記第2のインクの量に関する情報を取得し、かつ、前記記録媒体の前記一方の面の裏の他方の面に記録を行うための第2記録データに基づいて、前記他方の面に記録される、前記第2のインクの量に関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記一方の面についての前記情報と前記他方の面についての前記情報に基づいて、記録される前記第2のインクの量が多い方の面を後に記録するように記録順序を設定する設定ステップと、を含むことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、記録方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体の両面に画像を記録することが可能な記録装置が知られている。特許文献1には、表面への画像の記録が終了すると、搬送路において記録媒体の裏表が反転し、記録ヘッドの元に搬送されることで裏面への画像の記録を行い、両面記録を行うことが記載されている。このとき、記録媒体はローラー等の搬送部によって搬送されながらインクを付与されることで記録される。裏面の記録を行う際には、画像が記録された表面が搬送部に接触して搬送される。
【0003】
また、近年、金属粒子を含有し、インクジェット記録装置等で記録媒体上に記録することが可能なメタリックインクが現れている。メタリックインクを使うことで印刷物に金属光沢を付与することができる。特許文献2には、銀粒子を含有したメタリックインクを用いた印刷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−059318号公報
【特許文献2】特開2016−55463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メタリックインクなどのインクの中には耐擦過性が低いものがある。耐擦過性が低いインクを用いて記録された部分は、他のインクを用いて記録された部分よりも圧力や擦れによって画像が損なわれやすく、これは画質面での懸念事項となる。両面記録を行う際に、先に記録された表面が耐擦過性が低いインクを用いて記録された場合、記録された画像が搬送部と接触して擦れてしまい記録された画像が損なわれる虞がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、両面記録において耐擦過性が低いインクを用いた場合でも良好な画質の記録画像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のインクと、記録媒体上に記録した場合に前記第1のインクよりも耐擦過性が低い第2のインクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、記録媒体と接触し、前記記録媒体を搬送するローラーと、を有し、前記記録ヘッドによって前記記録媒体の両面に記録を行うことが可能な記録装置において、前記記録媒体の一方の面に記録を行うための第1記録データに基づいて、前記一方の面に記録される前記第2のインクの量に関する情報を取得し、かつ、前記記録媒体の前記一方の面の裏の他方の面に記録を行うための第2記録データに基づいて、前記他方の面に記録される、前記第2のインクの量に関する情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記一方の面についての前記情報と前記他方の面についての前記情報に基づいて、記録される前記第2のインクの量が多い方の面を後に記録するように記録順序を設定する設定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、両面記録において耐擦過性が低いインクを多く用いる面を後に記録することによって、耐擦過性が低いインクを用いて記録された画像の画質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態における記録システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態における記録装置の記録部の構成を説明するための図である。
図3】第1の実施形態における記録装置の搬送部の構成を説明するための図である。
図4】第1の実施形態における記録ヘッドのノズル列の構成を示す図である。
図5】第1の実施形態で用いる画像データの一例を示す図である。
図6】第1の実施形態における記録データ生成処理を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態における、画像の記録を行っている様子を説明するための模式図である。
図8】第1の実施形態における記録媒体上のメタリックインク層、カラーインク層の形成状態を模式的に示す図である。
図9】第1の実施形態における記録順序の設定処理を示すフローチャートである。
図10】第1の実施形態における記録処理を示すフローチャートである。
図11】第1の実施形態で記録する画像の一例を示す図である。
図12】第1の実施形態におけるインクジェット記録装置の自動両面ユニットの構成を説明するための図である。
図13】第2の実施形態における記録順序の設定処理を示すフローチャートである。
図14】第2の実施形態における記録処理を示すフローチャートである。
図15】第2の実施形態における記録媒体上のメタリックインク層、カラーインク層の形成状態を模式的に示す図である。
図16】第3の実施形態における記録順序の選択処理を示すフローチャートである。
図17】第3の実施形態における記録順序の設定処理を示すフローチャートである。
図18】第4の実施形態における特定領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。また、実施形態に記載されている構成要素の相対配置、形状等は、あくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1の実施形態]
<記録システムについて>
図1は、本実施形態における記録システムの一例を示す図である。記録システムは、インクジェット記録装置(以下、単に記録装置とも言う)1と、画像処理装置2と、画像供給装置3とを有する。画像供給装置3は、画像データを画像処理装置2に供給する。画像処理装置2は、画像供給装置3から供給された画像データに所定の画像処理を施すことで記録データを作成し、作成した記録データを記録装置1に送信する。記録装置1は、画像処理装置2から送信された記録データに基づき、インクを用いて記録媒体に画像を記録する。
【0012】
記録装置1の主制御部11は、CPU、ROM、RAM等によって構成され、記録装置1全体を統括的に制御する。例えば、主制御部11のCPUは、後述する図6のフローチャートに示す記録データ生成処理を実行する。データバッファ16は、インターフェース(I/F)15を通じて画像処理装置2から受信した画像データを一時的に格納する。記録部13に転送される記録データは、ラスターデータとして記録データバッファ12に一時的に格納される。操作部17は、ユーザーがコマンド操作を行うための機構であり、タッチパネルおよび操作ボタン等を適用することができる。給排紙制御部14は、記録媒体の給紙及び排紙を制御する。
【0013】
記録部13は、インクジェット方式の記録ヘッドを備え、この記録ヘッドは、インク滴を吐出可能な複数のノズルから成るノズル列を複数有する。記録部13は、記録データバッファ12に格納された記録データに基づき、各記録ノズルからインクを吐出することで、記録媒体に画像を記録する。本実施形態では、記録ヘッドが、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色のカラーインクとメタリック(Me)インクの計4つの記録ノズル列を有するケースを例に挙げて説明する。
【0014】
本実施形態で使用されるメタリックインク(Meインク)は、銀粒子を含有する。金属粒子の融点は、物質の種類と粒子のサイズとに依存しており、粒径が小さいほど、融点が低くなる。Meインクに含まれる数〜数百nm程度の粒径の小さな銀粒子は、記録媒体の記録面に着弾した後、水分の減少とともに分散状態が破壊され、近くの銀粒子と融着し銀の融着膜を形成する。このように銀の融着膜が記録媒体上に形成されることで、光沢感を有する記録画像が形成される。
【0015】
なお、記録装置1は、画像処理装置2から供給された画像データのほか、メモリカードなどの記憶媒体に記憶されている画像データまたはデジタルカメラからの画像データを直接受信して記録することもできる。
【0016】
画像処理装置2の主制御部21は、画像供給装置3から供給された画像に対し様々な処理を行って記録装置1が記録可能な画像データを生成するためのものであり、CPU、ROM、RAM等を備えている。I/F22は、記録装置1との間でデータ信号の授受を行う。外部接続I/F24は、外部に接続された画像供給装置3との間で、画像データなどの送受信を行う。表示部23は、ユーザーに対し様々な情報を表示するものであり、例えばLCDなどを適用することができる。操作部25は、ユーザーがコマンド操作を行うための機構であり、例えばキーボードおよびマウスを適用することができる。判定部27は、記録する画像にメタリック画像データが存在するかどうかを判定する。
【0017】
<記録装置の記録部について>
図2は、本実施形態における記録部13を構成する記録ヘッド130を説明する図である。記録ヘッド130は、キャリッジ131と、ノズル列132と、光学センサ133とを有する。4つのノズル列132と光学センサ133とを搭載したキャリッジ131は、ベルト134を介して伝達されるキャリッジモ−タの駆動力によって、図中X方向(所謂、主走査方向)に沿って往復移動可能である。キャリッジ131が記録媒体に対し相対的にX方向に移動する最中、ノズル列132の各ノズルカラーインクが記録データに基づいて重力方向(図中−Z方向)に吐出される。これにより、プラテン135上に配された記録媒体に主走査1回分の画像が記録される。1回分の主走査が完了すると、記録媒体は主走査1回分の幅に対応する距離だけ搬送方向に沿って(図中−Y方向に)搬送される。このような主走査と搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に徐々に画像が形成される。光学センサ133は、キャリッジ131とともに移動しながら検出動作を行うことにより、プラテン135上に記録媒体が存在するか判定する。
【0018】
<記録装置の搬送部について>
図3は、本実施形態における記録装置1をX方向から見た断面図である。図3を用いて給排紙制御部14が制御する記録媒体の動作を説明する。ここで示す記録装置1はユーザーが手動で記録媒体を反転することで両面印刷を行う記録装置である。給紙台4上に載置された記録媒体2の先端部分を紙送りローラー3によって引き出し、記録媒体2を+Y方向に搬送する。このとき、複数枚の記録媒体が搬送されることを防ぐために紙送りローラー3と対向する位置に給紙パッド8が配置されている。記録媒体2の先端が記録ヘッド130の搬送方向上流に配置されたレジストローラー5a、5bに到達すると、紙送りローラー3によって記録媒体2の先端をレジストローラー5aと5bの谷間に突き当てる。突き当てることによって記録媒体2の斜行が矯正され、記録ヘッド130に対する記録媒体先端の位置決めを行う。位置決めが終わると、記録媒体2はレジストローラー5a、5bによって記録ヘッド130と対向する位置に搬送され、記録ヘッド130と対向する面にインクが吐出されることにより画像の記録が行われる。記録ヘッド130はX方向に走査しながらインクの吐出を行い、記録が終了するとレジストローラー5a、5bによって次の記録領域が記録ヘッド130と対向するように搬送される。その後、記録された記録媒体2は排紙ローラー6a、6bによって、排紙トレイ9上に排出される。以上により記録媒体2の第1面である表面への画像の記録が終了する。表面の記録が終了すると、ユーザーは記録媒体の裏表を反転させ、第2面である裏面が表に出ているようにして給紙台4上に再セットする。そして上述した表面を記録した動作と同様な動作によって裏面が記録され、排紙トレイ9上に排出される。以上のような動作により両面記録が行われる。本実施形態において、レジストローラー5a、5bと、排紙ローラー6a、6bは、それぞれ複数個のローラーがX方向において記録媒体の幅の長さに亘って配されている。
【0019】
また、両面記録を行う記録装置は、ユーザーが記録媒体を反転させて給紙台4に再セットするような手動の両面記録を行う装置ではなく、記録装置が自動で記録媒体を反転させる自動の両面記録を行う装置であってもよい。図12に、記録装置に適用可能な記録媒体を自動で反転させる自動反転部(自動両面記録ユニット)の一例を示す。自動反転部は、給紙用搬送路94と搬送ローラー36と記録装置1の後方の反転ユニット90とから構成される。ここで、反転ユニット90は、用紙抑えローラー95と反転用小ローラー92とループ状の反転用搬送路93と反転用大ローラー91とから構成されている。搬送ローラー36は、モータによって正方向および逆方向に回転駆動が可能である。搬送ローラー36を正方向送りで通過させることで給紙部2から給紙された記録媒体の一方の面を記録する。その後、搬送ローラー36を逆方向送りして、給紙用搬送路94にある記録媒体を反転用搬送路93に送り、反転させた後、再度記録ヘッド130で他方の面の記録を行うようになっている。ここで、記録媒体は、図12に示すようにA→B→C→E→F→Gの順で反転用搬送路93を通り、反転が行われる。
【0020】
<記録ヘッドについて>
図4は、記録ヘッド130を装置仮面(Z方向)から見た場合のノズル列の配置を示す図である。記録ヘッド130には、4つのノズル列が配置されている。即ち、Cインクに対応するノズル列132C、Mインクに対応するノズル列132M、Yインクに対応するノズル列132Y、Meインクに対応するノズル列132Meが、X方向における位置が異なるように配置されている。ノズル列132CのノズルからCインクが、ノズル列132MのノズルからMインクが、ノズル列132YのノズルからYインクが、ノズル列132MeからMeインクが、それぞれ吐出される。各ノズル列において、インク滴を吐出するための複数のノズルが所定のピッチでY方向に沿って配列されている。図4では、各ノズル列において、16個のノズルが1200dpiのピッチで配列されている。
【0021】
<画像データについて>
以下、本実施形態で用いる画像データについて、図5を用いて説明する。図5は、画像供給装置3が画像処理装置2に送信する画像データの一例を示す図である。図5(a)に示す画像のデータが記録媒体の片面(ページ)を記録するための第1画像データ、図5(b)に示す画像のデータがもう一方の面(ページ)を記録するための第2画像データを示す。ここで、1ページ用の画像データとは、記録媒体の片面を記録するための画像のデータであり、例えば2ページ分の画像を縮小して1ページに記録する場合には2ページ分の画像を合わせた画像のデータが1ページ用の画像データである。
【0022】
本実施形態では、画像処理装置2は、2種類の画像データを画像供給装置3から受信する。具体的には、図5に示すような、CMYの3色のカラーインク用の画像のデータ(以下、カラー画像データとも呼ぶ)と、メタリックインク用の画像のデータ(以下、メタリック画像データとも呼ぶ)である。カラー画像データは、sRGB等の規格化された色空間を表現するための複数の色成分の値を各画素が持つ画像データであり、メタリック画像データは、カラー画像データと同一サイズのグレースケール画像データである。カラー画像データとメタリック画像データとによって記録される領域のうち、重なる領域(図5では、星型の領域3つ)が、金属光沢を伴う色であるメタリックカラーとして表現される領域である。以下、カラー画像データは、各画素が3チャンネルの値、具体的には、RGBのチャンネル毎に8ビットの値を持つ画像データであり、メタリック画像データは、各画素が8ビットの値を持つ画像データであるものとして説明する。
【0023】
<記録データ生成処理について>
図6は、本実施形態における、画像処理装置2の主制御部21によって実行される、画像データに基づいて記録データを生成する処理(記録データ生成処理とする)について説明するフローチャートである。画像処理装置2の主制御部21に搭載されたCPUが、ROMに格納されたプログラムをRAMに展開し、該展開したプログラムを実行する。これにより、図6の各処理が実行される。あるいはまた、図6におけるステップの一部または全部の機能をASICおよび電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0024】
ステップS100において、主制御部21は、画像供給装置3から送信された、カラー画像データとメタリック画像データとを取得する。尚、以下では、「ステップS〜」を単純に「S〜」と略記する。
【0025】
S101において、主制御部21は、S100で取得したカラー画像データを、記録装置1の色再現域に対応した画像データに変換する処理(色補正処理とする)を実行する。例えば、本ステップにより、各画素がRGBのチャンネル毎に8ビットの値を持つ画像データが、各画素がR´G´B´のチャンネル毎に12ビットの値を持つ画像データに変換される。本ステップにおける変換では、マトリクス演算処理や、予めROM等に格納された3次元ルックアップテーブル(以下、3DLUT)を参照する等といった公知の手法を用いて良い。尚、S100で取得したメタリック画像データに対しては、記録装置1が8ビットのグレースケール画像に対応するものとし、本ステップにおける色補正処理を施さない。
【0026】
S102において、主制御部21は、S101で導出した画像データを、インク色毎の画像データに分解する処理(インク色分解処理とする)を実行する。例えば、本ステップにより、各画素がR´G´B´のチャンネル毎に12ビットの値を持つ画像データが、記録装置1で用いるインク色毎の画像データ(即ち、C、M、Yそれぞれの16ビット階調データ)に分解される。尚、本ステップでもS101と同様に、予めROM等に格納された3次元ルックアップテーブル(以下、3DLUT)を参照する等といった公知の手法を用いて良い。なお、S100で取得したメタリック画像データに対しては、記録装置1が8ビットのグレースケール画像に対応するものとし、本ステップに相当する色分解処理を施さない。
【0027】
S103において、主制御部21は、各インクに対応する階調データに対し所定の量子化処理を行うことで、階調データを数ビットの量子化データに変換する。具体的には、各インクの信号値を、単位面積辺りのインク吐出量を規定する吐出レベルに変換する。例えば、3値に量子化する場合、本ステップにより、C、M、Y、Meそれぞれの階調データは、各画素が吐出レベル0〜2の何れかの値を持つ2ビットデータに変換される。
【0028】
S104において、主制御部21は、S103で導出した吐出レベルに基づくインデックス展開処理を実行する。インデックス展開処理とは例えば、600dpi×600dpiの画像における1画素を、1200dpi×1200dpiの画像における2×2画素のビットマップパターンに展開する処理である。具体的には、600dpi×600dpiの画像における1画素が持つ各インク色の吐出レベルの値に基づき、1200dpi×1200dpiの画像における2×2画素の画素値を決定することでビットマップパターンを生成する。本ステップの処理は、公知の手法を用いて実行して良い。例えば、吐出レベルに応じたドット配置をテーブルとして予め記憶しておき、S103で導出した吐出レベルに応じたテーブルを用いてドット配置を決定しても良い。本ステップにより、記録媒体上への最終的なドット配置先が決定され、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、Me(メタリック)の各インクに対応する、2値のドットデータ(記録データとも称する)が生成される。第1画像データから第1記録データが、第2画像データから第2記録データが生成される。例えば、記録ヘッド130が記録媒体上に1200dpi×1200dpiの解像度でドットを配置可能な場合、記録媒体を1200dpi×1200dpiの格子に区切った各画素に対し、ドットを配置するか否かが決定される。
【0029】
以上説明した記録データ生成処理により、記録データが生成される。生成された記録データは主制御部21のRAMに記憶される。尚、ここでは、図6の各処理を画像処理装置2の主制御部21が実行するものとして説明したが、本実施形態はこのような形態に限定されない。具体的には、図5の処理の全部または一部を、記録装置1の主制御部11が実行しても良い。以上が本実施形態における記録データ生成処理の内容である。
【0030】
<記録動作について>
図7は、記録ヘッド130における各インクのノズル列の配置、及び、実際にインクを吐出するノズルにより記録動作が行われている様子を模式的に示す図である。本実施形態ではメタリックカラー表現を実現するために、記録媒体の同一領域上にカラーインクとメタリックインクとを異なるタイミングで吐出する。また、そのタイミングに留意する必要がある。具体的には、メタリックインクを先に吐出し、その後、一定値以上の時間差を設けた上で、カラーインクを吐出する。このように時間差を設けることで、Meインクに含まれる水性溶媒の記録媒体への浸透および蒸発と銀粒子の融着とを確実に行い、そのようなMeインク上にカラーインクを重ねることで良好なメタリックカラーとなるのである。尚、以下では、説明を簡単にするため、1パス(往路又は復路)で画像形成する場合を例に挙げて説明する。
【0031】
画像を形成する際、記録ヘッド130を主走査方向(X方向)に沿って走査させながら各インクを吐出させる。そして、1回分の主走査が完了した場合、記録媒体を副走査方向(−Y方向)に沿って所定量搬送する。このような記録ヘッド130による主走査と、記録媒体の搬送動作とを繰り返すことにより、記録媒体上に段階的に画像が形成されていく。尚、以上説明したインクの吐出と搬送動作とを合わせて「記録走査」と呼ぶ。
【0032】
本実施形態では、メタリックインクを吐出するノズル列132Meの中で画像を形成するために使用するノズルは、図中に黒塗りで示すように−Y側から4ノズルとする。また、C、M、Yの各カラーインクを吐出するノズル列132C、132M、132Yについて、画像を吐出するために使用するノズルは、図中に斜線で示すように+Y側から4ノズルとする。尚、各ノズル列において、中心より+Y側に存在するノズルを搬送方向上流側ノズルと呼ぶ(単純に上流側ノズルとも呼ぶ)。一方、中心より−Y側に存在するノズルを搬送方向下流側ノズルと呼ぶ(単純に下流側ノズルとも呼ぶ)。本実施形態では、記録動作における記録媒体の搬送量を4ノズル分ずつにすることで、メタリックインクを吐出した後にカラーインクを吐出することを可能としている。
【0033】
図7において、記録媒体600上の黒塗りの部分は、メタリックインクが吐出された領域を表す。一方、斜線で示す部分は、メタリックインクで記録された後、カラーインクが吐出された領域を表している。メタリックインクを上流側ノズルから吐出させ、カラーインクを下流側ノズルから吐出させることで、記録媒体600の同一領域上に異なるタイミングで2種類のインクを付与する。
【0034】
また、本実施形態では図7に示すように、メタリックインクを吐出するノズル(上流側4ノズル)と、カラーインクを吐出するノズル(下流側の4ノズル)との間に存在する8個のノズルは、インクを吐出しないよう制御される。このような、メタリックインクとカラーインクとのどちらも吐出されない領域を「ブランクノズル領域」と呼ぶ。ブランクノズル領域を設けることで、メタリックインクとカラーインクとを十分な時間差をもって付与することができる。図7に示すケースでは、メタリックインクを付与してからカラーインクを付与するまでの間に、少なくとも主走査2回分に相当する時間差が設けられることとなる。これにより、記録媒体上に付与されたメタリックインクが乾燥するのに充分な時間を確保することができる。この結果、記録媒体上にメタリックインク層とカラーインク層とを確実に形成し、光沢性と彩度とが良いメタリックカラー表現を実現することが可能となる。
【0035】
尚、使用するノズルの数、搬送量は、前述のものに限られない。他の一例として、メタリックインクが速乾性のため、必要な時間差がより短い場合を考える。この場合、例えば、メタリックインクのノズル列においてメタリックインクを吐出するノズルを上流側の6ノズルと設定し、各カラーインクのノズル列において各カラーインクを吐出するノズルを下流側の6ノズルと設定しても良い。このとき、記録媒体の搬送量を6ノズル分とすることで、生産性を向上させることが可能である。
【0036】
また、他の一例として、メタリックインクが遅乾性のため、必要な時間差がより長い場合を考える。この場合、例えば、メタリックインクのノズル列においてメタリックインクを吐出するノズルを上流側の3ノズルと設定し、各カラーインクのノズル列において各カラーインクを吐出するノズルを下流側の3ノズルと設定しても良い。このとき、記録媒体の搬送量を3ノズル分とすることで、時間差をより長くすることが可能となる。
【0037】
他にも、メタリックインクのノズル列においてメタリックインクを吐出するノズルを上流側の3ノズルと設定し、各カラーインクのノズル列において各カラーインクを吐出するノズルを下流側の6ノズルと設定しても良い。このとき、記録媒体の搬送量を3ノズル分とすることで、吐出可能なカラーインクのノズルの走査回数を増やすことができ、同一領域により多くのカラーインクを吐出することが可能となる。
【0038】
<メタリックインク層の形成と表面の堅牢性について>
カラーメタリック画像を形成する為に、記録媒体上にメタリックインク層を形成し、その上に色材を含むカラーインク層を形成するメカニズムを説明する。記録媒体は、主に写真を印刷する用途で使用される光沢紙であるとして説明をする。本実施形態で使用する光沢紙は、光沢紙の受容層にある微小な細孔の大きさに対し、メタリックインクの粒子サイズが大きいものとする。
【0039】
記録媒体に、金属粒子を含むメタリッククインクを記録ヘッド130によって付与する。記録媒体に付与されたメタリックインクの金属粒子同士が融着を開始し、さらに水性媒体や溶剤が浸透や蒸発することで記録媒体表面にメタリックインク層を形成する。図8(a)は記録媒体上にメタリックインク層が形成された状態を模式的に示す図である。図8(a)に示すように、メタリックインクに含まれる金属粒子は記録媒体内部にほとんど浸透せずに表面で層を形成する。メタリックインク内の水性溶媒、溶剤等は受容層に浸透する。
【0040】
カラーメタリックを記録する場合には、メタリックインクが表面で充分な時間が経過することにより定着したのちに色材を含むカラーインクを付与する。この時カラーインクは前記形成されたメタリックインク層上に積み重なる形で形成される。図8(b)は記録媒体上にメタリックインク層が形成され、その上にカラーインクが形成された状態を模式的に示す図である。メタリックインク層の上のカラーインク層は多少メタリックインク層に浸透するものの、メタリックインク層の上に積層した状態で形成されている。
【0041】
図8(c)は記録媒体上にカラーインク層のみが形成された状態を模式的に示す図である。図8(c)に示すように、カラーインクのみの場合、カラーインク層は比較的平滑で薄い膜として形成されている。さらにカラーインクに含まれる色材の結合による凝集性、および記録媒体に対する吸着性は、メタリックインクに含まれる金属粒子同士の結合による凝集性、記録媒体に対する吸着性よりも高い。そのため、記録媒体上に直接形成されたカラーインク層よりも、記録媒体上に直接形成されたメタリックインク層のほうが、外部からの圧力等によって劣化を起こしやすい。つまり、カラーインクよりもメタリックインクは耐擦過性が低い。具体的には、記録媒体に力が加わると、メタリックインク層に傷つきや、一部の領域に剥がれが生じてしまうことによる画質低下が起こる虞がある。このような画質低下は、記録中においては紙送りローラー3、レジストローラー5a、5b、排紙ローラー6a、6b等の搬送ローラーに接触することによって起こる。特に搬送ローラーとの接触回数が多い場合に起こりやすい。また、図8(a)のようにメタリックインク層が表面に露出しているよりも、図8(b)のようにメタリックインク層をカラーインク層で覆っている方が耐擦過性が高く、外部からの圧力等による画質の低下を引き起こしにくい。
【0042】
上述した説明は、本実施形態で使用するメタリックインク、カラーインク、記録媒体における堅牢性について示すものである。堅牢性は、記録媒体との吸着性能を大幅に向上させる材料を添加する、インク層表面の摩擦を低減させる材料を添加する等の調整を実施することで高めることも可能である。
【0043】
上述したメカニズムをもとに、本実施形態ではカラーメタリック画像の堅牢性について、カラーメタリック画像を記録するメタリックインクに対応するドットデータをもとに、各ページにおけるメタリックインク量が多い方が堅牢性が低いと判断する。このとき、各ページにおけるカラーインク量の大小については考慮しない。さらに、各ページのメタリックインク量の差が所定量より小さく、ほぼ同等の場合については、別の基準によって堅牢性についての判断を行ってもよい。例えば、インクを付与する記録密度が所定の密度より高い領域の面積和が大きい、すなわち単位面積当たりのインクドット量が多い領域が多く存在するページのほうがより堅牢性が低いという判断を行ってもよい。詳細は、後に説明する他の判断方法と同様の形態を取ることができる。
【0044】
また、さらに所定の密度を超える領域の数もほぼ同等であった場合には、領域の配置によって堅牢性を判断してもよい。例えば、所定の密度を超える領域は、離散的な配置よりも固まって配置されている方が堅牢性が低いと判断することができる。他にも、領域の数がほぼ同等の場合には、より密度の高い領域が多いページを堅牢性が低いと判断してもよい。
【0045】
堅牢性については、実際の印刷物を用意しスクラッチ試験装置により一定の圧力をかけて試験部材の先端部を接触させ動かすことにより評価した結果をもとに決定することが望ましい。当然ながら、堅牢性についての基準を別な測定方法をもとに決定することも可能であるし、前述の方法に限定されるものではない。
【0046】
他の判断方法として、メタリックインクを付与する密度が所定の密度より高い領域の面積和が大きい、すなわち単位面積当たりのインクドット量が多い領域が多く存在するページのほうがより堅牢性が低いという判断を行ってもよい。単位面積当たりのメタリックインク量の算出方法としては、以下のような方法が適用できる。本実施形態では、所定サイズの領域を、インクドットを付与する解像度に等しい格子で分割し、格子の総数を100として考える。50を超える格子にインクが付与されると、メタリック画像として十分な金属光沢が得られることが実験的に確認された。すなわち、所定サイズの領域において単位面積当たりのインクドット密度が50%を上回ると金属光沢が得られる。金属光沢が得られるということは、メタリックインク層が形成されているということであり、堅牢性が低い。そのため単位面積当たりのインクドット密度が50%を上回る所定サイズの領域の数を算出する。この領域数の総数が多い方が堅牢性が低いと判断する。また、インクドット密度は50%ではなく、例えば70%を上回る領域の領域数を算出してもよい。この算出方法も、前述の方法に限定されるものではない。
【0047】
<記録順序の設定処理>
次に、図9の記録順序の設定処理について説明する。インクジェット記録装置での画像データの記録順序の設定は画像処理装置2の主制御部21が実行する。この記録順序の設定処理には、第1面と第2面に記録するための第1記録データと第2記録データのそれぞれのメタリックインクの記録データのインクドット量に基づいて各面の堅牢性を判定し、印刷順序を制御するための処理が含まれる。以下の処理においては説明の簡単のために、堅牢性はメタリックインクの総量の大小によって判定するものとし、単位面積当たりのメタリックインクの密度が高い領域の数や領域の配置については考慮しない。また、ユーザーが記録を命令した時点では先に第1記録データ、後に第2記録データが記録されるような順序の記録データであるとする。
【0048】
S200において、画像処理装置2の表示部23に印刷モードを表示する。ユーザーは操作部25を用いて印刷モードの指定をする。印刷モードは、片面印刷モードまたは両面印刷モードである。
【0049】
そして、ユーザーが印刷実行コマンドを操作部25に入力すると、S201において、S200で指定された印刷モードが両面印刷モードであるか否かを判定する。両面印刷モードであればS202へ進む。それ以外の印刷モードであればS220へ進む。
【0050】
S202に進んだ場合には、画像処理装置2の主制御部21は、画像データに基づき、図6で示した記録データ生成処理を行って記録データを生成する。
【0051】
S203において、主制御部21は、第1記録データおよび第2記録データメタリックインク量としてメタリック記録データのドット数をそれぞれ算出する。
【0052】
S204では、判定部27にて、S203で算出した第1記録データのメタリックドット数に基づいて第1記録データにメタリックインクで記録するデータが存在するかどうかを判定する。ここでは1ドット以上あればメタリックインクで記録する記録データが存在すると判定する。第1記録データにメタリックインクで記録するデータが存在すると判定した場合はS205に進む。第1記録データにメタリックインクで記録するデータが存在しないと判定した場合にはS220に進む。
【0053】
S205に進んだ場合には、判定部27は第2記録データのメタリックドット数に基づいて第2記録データにメタリックインクで記録するデータが存在するかどうかを判定する。S204と同様に1ドット以上あればメタリックインクで記録する記録データが存在すると判定する。第2記録データにメタリックインクで記録するデータが存在すると判定した場合にはS206に進む。S205で第2記録データにメタリックインクで記録する記録データが存在しないと判定した場合にはS207に進む。
【0054】
S206では、判定部27はS203で算出した第1記録データのメタリックインクのドット数と第2記録データのメタリックインクのドット数を比較する。第1記録データのメタリックインクのドット数が第2記録データのメタリックインクのドット数より多い場合には、S207へ進む。第1記録データのメタリックインクのドット数が第2記録データのメタリックインクのドット数より少ない場合にはS220へ進む。
【0055】
S207に進んだ場合には、印刷順序を変更する。主制御部21は、RAMから、第2記録データ、第1記録データの順に記録データが読み出されるように記録データを読み出す順序を設定する。
【0056】
一方S220に進んだ場合には、印刷順序は変更しない。RAMから記録データを読み出す順序は既に第1記録データ、第2記録データの順に設定されているため、主制御部21は順序の変更を行わない。
【0057】
S208では、印刷順序が設定された記録データを含む印刷ジョブをインターフェース(以下、I/Fと略記する)22を介して記録装置1のデータバッファ16に送信する。データバッファ16は受信した印刷ジョブを保持する。
【0058】
以上の記録順序の設定処理のS205では第1記録データのメタリックインクのドット数が少しでも第2記録データのメタリックインクのドット数よりも多い場合には記録順序を変更した。しかし、ドット数の差が所定量未満である場合には記録順序を変更しないようにしてもよい。ユーザーの指定した順序で記録が行われることで記録が終わった後に並び替える必要がなく、ユーザーの手間を減らすことができる。
【0059】
<記録処理について>
次に、記録媒体に記録を行う記録処理について説明する。記録は、図9の処理によって記録装置1のデータバッファ16に送信された印刷ジョブに基づいて行う。本実施形態で印刷ジョブとは、少なくとも1面以上からなる記録データで構成される印刷命令セットであり、印刷ジョブ内の記録データは記録媒体と印刷品位に関する設定を同じとする。以下の説明では第1記録データおよび第2記録データの2面分の記録データの印刷を実施する命令について説明する。記録する画像データは、図5で示した第1及び第2の画像データとする。
【0060】
本実施形態では前述したように、各ノズル列において使用するノズルを設定することでメタリックインクとカラーインクの記録媒体への付与の時間差を作り出す。以下では図7を用いて説明したのと同様に、メタリックインクを吐出するノズル列132Meのうち上流側の4ノズルと、カラーインクを吐出するノズル列132C、132M、132Yのうち下流側の4ノズルを記録に用いる。
【0061】
図10は、本実施形態における記録処理のフローチャートである。記録処理は、記録装置1の主制御部11に搭載されたCPUが、ROMに格納されたプログラムをRAMに展開し、該展開したプログラムを実行することで実行される。記録処理はデータバッファ16が印刷ジョブを受信すると開始する。
【0062】
まず、S300において、主制御部11は、データバッファ16に格納されている印刷ジョブに含まれる第1記録データおよび第2記録データの2面分のドットデータを取得する。第1記録データと第2記録データとは1枚の記録媒体の裏表に記録されるべき記録データである。
【0063】
次に、S301において、主制御部11はS300で取得した第1記録データおよび第2記録データの各インクに対応するドットデータについて、記録データバッファ12に格納する。
【0064】
S302において、主制御部11は、給排紙制御部14に対し給紙トレイ(不図時)上の記録媒体を記録位置へ搬送するよう指示し、給排紙制御部14は記録媒体を記録位置へ搬送する。記録位置は、記録ヘッド130と対向し、記録ヘッド130からインクを吐出したときに記録媒体に画像が記録される位置である。
【0065】
S303において、主制御部11は、記録データバッファ12に格納した、先に記録を行う面のドットデータを読みだして記録ヘッド130を主走査方向に走査しながら記録媒体にインクを吐出する。
【0066】
S304において、主制御部11は、記録媒体を副走査方向に沿って所定の搬送量で搬送するよう、給排紙制御部14に指示する。本実施形態において、所定の搬送量とは、1回の記録走査でインクを吐出するノズル数に対応する量であり、ここでは4ノズルである。
【0067】
S305において、主制御部11は、1面分の記録が終了したか否かを判定する。終了していない場合にはS303に戻り、S303の記録ヘッド130からのインク吐出とS304の記録媒体の搬送を行う。1面分の処理が完了した場合はS306へ進む。
【0068】
S306では、1面分の記録が終了したので、主制御部11は、給排紙制御部14に排紙トレイ上に記録媒体を排出させる。
【0069】
次にS307において、主制御部11は操作部17または画像処理装置2の表示部23の通知制御を行い、1面分の印刷が終了したことを通知し、排出された記録媒体を反転して給紙トレイ(不図示)に再セットするように通知する。
【0070】
ユーザーは通知を受けて記録媒体を反転させ、給紙トレイにセットする。セットすると操作部17または操作部25にセットが完了したことを入力する。S308では、ユーザーがセットを完了させたことが入力されたか否かを判定する。入力されていなければS307に戻って通知を継続する。入力された場合にはステップS309に進む。
【0071】
S309〜S313はS303〜S306と同様の動作を行う。
【0072】
以上のようにして、記録処理が終了する。このように記録順序を設定して記録を行うことにより、画像の画質が悪くなることを抑制することができる。また、上述の説明では、1回の走査でインクを付与し画像を形成する方式(いわゆるシングルパス方式)を採用している。他にも、本実施形態は、記録ヘッドのノズル配列領域よりも小さい単位領域に対して複数回の走査によりインクを付与し画像を形成する方式(いわゆるマルチパス方式)に適用することも可能である。
【0073】
また、上述のケースでは、メタリックインクの使用ノズル領域とカラーインクの使用ノズル領域について、吐出ノズルが重ならないように設定している(図7参照)。「吐出ノズルが重ならないように」とは、メタリックインクのノズル列とカラーインクのノズル列とで、記録ヘッド130の同じ走査内でインクを吐出するノズルの副走査方向における位置が異なるように、という意味である。本実施形態の効果を十分に得るためには、このように吐出ノズルが重ならないように使用ノズル領域を設定することが好ましいが、本実施形態はこのような形態に限定されない。メタリックインクの金属粒子の融着が十分に起きて高質なメタリックカラー表現を実現できるのであれば一部のノズルが重なるようにして画像を記録するようにしてもよい。また、重なる部分に配されるノズルについては、付与するインクの量が少なくなるように調整するようにしてもよい。
【0074】
また、本実施形態では印刷ジョブに含まれる記録データは両面印刷1枚分のデータであるが、印刷ジョブは複数枚分の記録データを有するものでもよい。その場合には、記録データの記録順序を変更できるのは1枚の記録媒体に記録する記録データの記録順序のみである。例えば1枚の記録媒体に記録を行う第1記録データと第2記録データ、別の1枚の記録媒体に記録を行う第3記録データと第4記録データを含む印刷ジョブを取得したとする。この場合には第1記録データと第2記録データの記録順序を変更することができる。また第3記録データと第4記録データの記録順序を変更することもできる。しかし裏表で記録されるデータが変わってしまうような、他の記録データ同士の記録データの記録順序は変更しない。
【0075】
また、記録順序を変更した場合には、ユーザーに記録順序を変更したことを表示部23等によって通知するようにしてもよい。表示部23は主制御部11や主制御部21によって通知制御される。通知することによって、特に複数枚に記録する場合には並べ替えるべき記録媒体がわかるのでユーザーの利便性を向上させることができる。
【0076】
<記録順序の設定処理の具体例>
以下、記録順序の設定処理について具体例を挙げて説明する。本例では、図7に示す使用ノズル領域のノズルを用いて画像の記録を行う。記録する画像の画像データを図11に示す。図11(a)、図11(b)はそれぞれ第1面および第2面に記録するメタリック画像データとカラー画像データとを示すものとする。ここで、第2画像データである図11(b)のメタリック画像データはインクを付与するデータを有していない。すなわち、カラーインクのみで記録を行うものである。一方で第1画像データである図11(a)は、カラー画像データおよびメタリック画像データともにインクを付与するデータを有している。すなわちカラーメタリック画像を印刷するものである。
【0077】
次に前述の具体例に係る記録順序の設定について、図9に示すフローに従い詳細に説明する。
【0078】
まず、S200において、画像処理装置2の表示部23に表示した印刷モードに対して、ユーザーは操作部25を用いて印刷モードの指定をする。図11の画像は両面あるため、ユーザーは両面印刷モードを指定する。
【0079】
ユーザーが両面モードを操作部25に入力すると、S201において、S200で指定された印刷モードが両面印刷モードであるか否かを判定する。指定された印刷モードは両面印刷モードであるのでS202へ進む。
【0080】
S202において、画像処理装置2の主制御部21は、図11の画像データに基づき、図6で示した記録データ生成処理を行って記録データと、重複データとを生成する。
【0081】
S203において、主制御部21は、第1記録データおよび第2記録データのメタリックインク量として、メタリック記録データのドット数をそれぞれ算出する。
【0082】
S204では、判定部27にて、S203で算出した第1記録データのメタリック記録データのドット数に基づいて第1記録データにメタリックインクで記録するデータが存在するかどうかを判定する。本具体例では第1記録データにメタリックインクで記録する記録データが存在すると判定し、S205に進む。
【0083】
S205では、判定部27は第2記録データのメタリック記録データのドット数に基づいて第2記録データにメタリックインクで記録するデータが存在するかどうかを判定する。本具体例では第2記録データにメタリックインクで記録する記録データが存在しないと判定し、S207に進む。
【0084】
S207において、主制御部21は、第1記録データおよび第2記録データに対して印刷順序を設定する。具体的には、第2記録データ、第1記録データの順でRAMから読み出すように読み出し順序を設定する。設定は、先に読み出すアドレス範囲を第2記録データが記憶されている場所に、次に読み出すアドレス範囲を第1記録データが記憶されている場所に書き換えることで行われる。
【0085】
S208において、印刷順序が設定された記録データを含む印刷ジョブをI/F22を介して記録装置1のデータバッファ16に送信する。データバッファ16は受信した印刷ジョブを保持する。
【0086】
以上の例では、第2記録データ、第1記録データの順に記録を行うように設定した。第1記録データに従って記録された画像は、先に記録される場合よりも後に記録される場合の方が搬送ローラーと接触する回数が半分になる。接触回数が減ることにより、メタリックインク層に外的な圧力がかかる回数が減り、画質の低下を抑制することができる。
【0087】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、メタリックインク量によって記録媒体の各面の堅牢性を判定し、記録順序を設定した。しかしながら、メタリックインクを使用して記録を行う画像には、メタリックインク層が表面に露出するメタリック画像と、メタリックインク層をカラーインク層が覆うカラーメタリック画像が存在する。本実施形態では、以上のことを考慮してメタリックインク層が表面に多く露出する面の方を後に記録するように記録順序を設定する。第1の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0088】
<記録データ生成処理について>
図13は、本実施形態における、画像処理装置2の主制御部21によって実行される、記録データ生成処理について説明するフローチャートである。画像処理装置2の主制御部21に搭載されたCPUが、ROMに格納されたプログラムをRAMに展開し、該展開したプログラムを実行する。これにより、図13の各処理が実行される。あるいはまた、図13におけるステップの一部または全部の機能をASICおよび電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0089】
S400〜S404は第1の実施形態の図6のS100〜S104と同様の処理を行う。
【0090】
S405では、Meインクの層の上に、C、M、Yのカラーインクのうち少なくとも1つの層が重なる領域を示すデータを生成する処理(重複領域データ生成処理とする)を実行する。具体的には、Meインクに対応するドットデータと、C、M、Yの各カラーインクに対応するドットデータとを用いて、メタリックインクとカラーインクとの両方でドットが配置される全ての画素を求める。本ステップにより、2値データである重複領域データ(ここでは、重複する画素を1、重複しない画素を0で示す)が生成される。
【0091】
以上説明した記録データ生成処理により、記録データと重複領域データが生成される。尚、ここでは、図6の各処理を画像処理装置2の主制御部21が実行するものとして説明したが、本実施形態はこのような形態に限定されない。具体的には、図5の処理の全部または一部を、記録装置1の主制御部11が実行しても良い。以上が本実施形態における記録データ生成処理の内容である。
【0092】
<記録順序の設定処理>
次に、図14の記録順序の設定処理について説明する。インクジェット記録装置での画像データの記録順序の設定は画像処理装置2の主制御部21が実行する。この記録順序の設定処理には、第1面と第2面に記録するそれぞれのメタリックインクの記録データとカラーインクの記録データのインクドット量に基づいて各面の堅牢性を判定し、印刷順序を制御するための処理が含まれる。本実施形態では、堅牢性については表面に露出するメタリックインク量によって判定する。
【0093】
S500、S501は第1の実施形態の図9のS200、S201と同様の処理を行う。
【0094】
S502に進んだ場合には、画像処理装置2の主制御部21は、画像データに基づき、図13で示した記録データ生成処理を行って記録データと、重複データとを生成する。
【0095】
S503〜S505は第1の実施形態の図9のS203〜S205と同様の処理を行う。
【0096】
S506では、判定部27は、S502で生成した重複データと、S503で算出した第1記録データおよび第2記録データのメタリックインクのドット数とに基づいて堅牢性の判定を行う。詳細には、まず、第1記録データと第2記録データとについて、重複データから算出されるカラーメタリックとして記録されるメタリックインクのドット数と、記録データから算出されるメタリックインクのドット数との差をそれぞれ算出する。算出した差のドット数が多い方のデータで記録した画像は、もう一方よりも記録したときに表面に露出するメタリックインク量が多くなるため、後に記録を行うようにする。第1記録データの差のドット数が第2記録データの差のドット数より多い場合には、S507へ進む。第1記録データの差のドット数が第2記録データの差のドット数より少ない場合にはS520へ進む。
【0097】
S507,S508、S520は第1の実施形態の図9のS207、S208、S220と同様の処理を行う。
【0098】
S507に進んだ場合には、印刷順序を変更する。主制御部21は、RAMから第2記録データ、第1記録データの順で読み出されるように記録データの読み出し順序を設定する。
【0099】
一方S520に進んだ場合には、印刷順序は変更しない。RAMから記録データを読み出す順序は既に第1記録データ、第2記録データの順に設定されているため、主制御部21は順序の変更を行わない。
【0100】
S508では、印刷順序が設定された記録データを含む印刷ジョブをインターフェース(以下、I/Fと略記する)22を介して記録装置1のデータバッファ16に送信する。データバッファ16は受信した印刷ジョブを格納する。
【0101】
以上のように、本実施形態では、堅牢性の低いメタリックインク層が表面に露出する領域が多い記録データを後に印刷するように記録順序を設定することによって、搬送ローラーと接触する回数を減らし、画質の低下を抑制することができる。
【0102】
[第3の実施形態]
第1の実施形態では、使用する記録媒体として光沢紙を使用した場合について説明した。本実施形態では、光沢紙だけでなくマット系の紙も使用する場合について説明する。第1の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0103】
まず、記録媒体としてマット紙を使用した場合に、マット紙に形成したメタリックインク層の堅牢性について説明する。尚、本実施形態で使用するマット紙は、メタリックインク中の水性媒体や溶剤がマット紙に浸透する、あるいは蒸発するスピードが、メタリックインクが融着を起こして層を形成する時間と同等か、それより短い時間である記録媒体である。
【0104】
<メタリックインク層の形成と擦過について>
使用する記録媒体に、メタリッククインクを記録ヘッド130によって付与する。記録媒体としてマット紙を使用した場合には、記録媒体に付与されたメタリックインクの水性媒体、溶剤の浸透または蒸発は光沢紙と比較して高速に進む。その後金属粒子同士が接触し記録媒体表面と記録媒体内部にメタリックインク層を形成する。図15(a)は記録媒体上および記録媒体内部にメタリックインク層が形成された状態を模式的に示す図である。図15(a)に示すように、マット紙ではメタリックインクは記録媒体内部にも浸透し表面と記録媒体内部で層状に形成されている。
【0105】
カラーメタリックを記録する場合には、メタリックインクが付与されてから充分な時間が経過して定着したのちに色材を含むカラーインクを付与する。この時カラーインクは形成されたメタリックインク層上および記録媒体内部に重なる形で形成される。図15(b)は記録媒体表面および内部にメタリックインク層が形成され、その上にカラーインク層が形成された状態を模式的に示す図である。メタリックインク層の上に付与されたカラーインク層は記録媒体内部にも定着した状態で形成される。
【0106】
図15(c)は記録媒体上にカラーインク層のみが形成された状態を模式的に示す図である。図15(c)に示すように、カラーインクのみの場合、カラーインク層は記録媒体表面と内部に形成されている。特に記録媒体表面のインク層は、図15(a)のメタリックインク層よりも薄い。また、マット紙上では記録媒体上のみならず記録媒体内にもメタリックインクが定着するため、光沢紙上のメタリックインク層およびカラーインク層より外部からの圧力等による劣化を引き起こしにくい。
【0107】
以上説明したように、光沢系の記録媒体と、マット系の記録媒体では吸着性能差が大きいため、インク層の形成状態が異なる。インク層表面の摩擦影響はこれらの形成状態に依存するため、光沢紙よりマット紙を使用したほうがメタリック層の擦過による画質劣化が小さくなる。
【0108】
<記録媒体の選択処理>
次に、本実施形態の記録媒体の選択処理について図16を用いて説明する。本実施形態では、使用すると選択された記録媒体の種類に応じて、記録順序の設定処理で行う処理を異ならせる。
【0109】
図16の記録媒体の選択処理は、使用する記録媒体の種類に応じて、第1記録データ、第2記録データの印刷順序を制御するための処理であり、画像処理装置2の主制御部21が実行する処理である。
【0110】
まず、S600において、画像処理装置2の表示部23に候補の記録媒体の種類を通知する。ユーザーは通知された記録媒体の種類に対して、操作部25を用いて使用する記録媒体を選択する。
【0111】
主制御部21は操作部25で選択された種類の情報を受付けると、S601では、主制御部21は選択された記録媒体の種類が光沢紙であるか否かを判定する。光沢紙であればS602へ進む。それ以外の記録媒体の種類であればS610へ進む。
【0112】
S602に進むと、主制御部21は、第1の実施形態の図9で示した処理フローに従って記録順序の設定処理を実施する。
【0113】
一方、S610に進むと、主制御部21は、光沢紙以外の順序設定処理を指定する。
S611において、画像処理装置2の主制御部21は、図17で示す処理フローに従って順序設定処理を実施する。
【0114】
<記録順序の設定処理>
図17は、図16のS610の光沢紙以外の記録順序の設定処理を示すフローチャートである。光沢紙以外の記録媒体が選択された場合には、メタリックインク層の擦過による画質低下は少ないと判断して記録順序は変更しないようにする。
【0115】
S700〜S702は、第1の実施形態の図9のS200〜S202と同様の処理を行う。S701で選択された印刷モードが両面印刷モードでなく、片面印刷モードである場合には、S710に進む。S710では、片面印刷を行うため、主制御部21は第1面に記録を行うように画像データを設定する。
【0116】
S703では、記録順序を設定する。記録順序は変更しないため、主制御部21は、第1記録データ、第2記録データの順で印刷するように記録データを並べる。
【0117】
S704は、第1の実施形態の図9のS208と同様の処理を行う。印刷順序が設定された記録データを含む印刷ジョブをI/F22を介して記録装置1のデータバッファ16に送信する。データバッファ16は受信した印刷ジョブを格納する。
【0118】
以上のように、本実施形態では、記録に使用する記録媒体の種類に応じて記録順序を変更するか否かを切り替える。これにより、メタリックインク層の擦過による画質低下が生じやすい記録媒体を使用するときに画質低下を低減させることができる。また、メタリックインク層の擦過による画質低下が生じにくい記録媒体を使用するときには記録順序が変更されないため、複数枚印刷する際には記録順序が変わってしまうことによるユーザーの利便性の悪化を抑制することができる。
【0119】
[第4の実施形態]
第1から第3の実施形態では、各ページのメタリックインクを付与する量を比較する場合には、記録する面の全面のメタリックインクの付与量を比較した。本実施形態では、全面ではなく記録媒体の特定領域におけるメタリックインク付与量を対象にする例について説明する。
【0120】
本実施形態において特定領域とは、後に印刷する面の印刷時に紙送りローラー3、レジストローラー5a、5b、排紙ローラー6a、6bと接触する領域をいう。前述のローラー以外にも先に記録した面と接触する領域がある場合にはその領域も特定領域に含めるようにしてもよい。
【0121】
図18は特定領域を説明するための図である。図18は、カラー画像とメタリック画像をそれぞれ記録媒体50に記録した状態を示している。記録媒体50は図の上方向に搬送されながら記録され、ローラーが接する特定領域を51として点線で示している。特定領域51は既に画像が記録されている場合には、ローラーと接触することによるメタリックインク層の擦過によって画質低下が起こる虞のある領域である。
【0122】
本実施形態では、第1記録データと第2記録データとで特定領域51のメタリックインク量を比較し、メタリックインク量が多い面を先に記録する。また、第2の実施形態のように、メタリックインク層が表面に露出する領域が大きい方を先に記録するようにしてもよい。また、第1記録データと第2記録データとで特定領域51のメタリックインク量の差が小さい場合には記録順序を変更しないようにしてもよい。変更しないことで、ユーザーが順序が合うように並べ替える手間を減らすことができる。
【0123】
[その他の実施形態]
前述の形態では、カラーインクとしてC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3色のインクを用いる場合を説明したが、カラーインクはこれらに限定されない。任意のカラーインクを用いて良く、例えば、K(ブラック)、Gy(グレー)、Lc(ライトシアン)、Lm(ライトマゼンタ)等のインクを用いて良い。更に、特色としてR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)等のインクを用いても良い。
【0124】
また、前述の形態では、メタリックインク層を形成するメタリックインク量に基づいてどちらの記録データから記録を行うかを決定したが、基づくインクはメタリックインクに限られない。インク層を形成したときに、外部からの圧力等に弱いインクであれば本発明を適用可能である。
また、前述の実施形態を適宜組み合わせても良い。
【0125】
また、前述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給する。さらに、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0126】
3 給紙ローラー
5a、5b レジストローラー
6a、6b 排紙ローラー
130 記録ヘッド
132 ノズル列
図1
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