【実施例】
【0077】
材料及び方法
上で考察したように、本明細書に記載のパッシブ型ポンプの吸収領域及び抵抗領域は、多孔質材料から形成される。多孔質材料は、特定の用途に対して所望される流体流動の流量及び体積を提供するように成形することができる。流体入口は、同じ多孔質材料で構成されても、多孔質及び非多孔質両方の他の材料で構成されてもよい。これらの材料は、ポンプと外部流体源(例えば、マイクロ流体デバイス)との流体接続を促進するように選択することができる。流体入口は、原則として、ポンプを任意の流体源に接続するように適合され得、この流体源は、それから又はそれを通して流体流量を制御することが望まれるものであり、マイクロ流体チャネル又はチューブを含むがこれらに限定されない。複数の吸収領域を含むポンプ(本明細書では「ハイブリッドポンプ」と称する)及び複合ポンプ(複数の流体接続するポンプ及び/又はハイブリッドポンプを含む多ポンプ組立体)も調製した。以下で示すように、ハイブリッドポンプ及び複合ポンプは、設定した時間にかけての単一の流量での単純な連続流動よりも複雑な様々な事前にプログラムした流量で流体を送り込むために使用することができる。
【0078】
原理証明実験のため、クロマトグラフィー紙(例えば、Whatman#1クロマトグラフィー紙)、濾紙、及び市販のニトロセルロース膜を、ポンプ構成要素の製造のため多孔質材料として使用した。以下の実施例は紙に言及するが、他の多孔質材料(上で考察した通り)を使用して本明細書に記載のポンプを製造することも可能であることが理解されるであろう。レーザカットは、Universal Laser Systems製のVLS3.60レーザカットプラットフォーム上で行ったが、多孔質材料の他の成形方法も好適である。便宜上、多孔質材料のラミネート化は、Scotch熱ラミネートパウチ(レターサイズ及び写真サイズ)を使用して行い、Scotch熱ラミネータを使用した(2ローラ、最大幅9”)。ラミネータ設定を、使用する熱パウチの要件に応じて変更した(3ミル対5ミル)。使用したカッティングプロッタはGraphtec(モデル#CE6000〜40)製であった。透明の二軸配向ポリスチレンフィルム(125μm)はGoodfellow,Inc製であった。3M製の薄い両面接着物を使用した。片面Scotchテープは3M製であった。他のラミネート化、切り取り、及び取り付け方法も適用可能である。
【0079】
これらの実験で使用する吸水流体は、濡れ正面及び/又は流体の遅れ縁での視覚的対比を助けるために青色の食用着色料(Acid Blue 9,Great Value Assorted Food Coloring)でスパイクした脱イオン水であった。多種多様な吸水流体を使用することができ、これらには、臨床流体、環境水サンプル、細胞培地、飲料、食品ホモジネート、及び多種多様な溶質又は粒子を含有する水性又は有機溶媒が含まれる。他の実施形態における使用のために、多種多様な好適な紙、多孔質材料、コーティング材料、機械、及び吸水流体を組み合わせることができる。
【0080】
多孔質材料のセグメントを通したモデル化した流動
完璧な例えではないが、ポンプを通した流体流動は、回路に類似した様式でモデル化することができ、ここでは、所与の構成要素を通した体積流量(Q)は、構成要素にわたる圧力差(ΔP)を流動に対するその抵抗(R
t)によって割ったもの(方程式1)と等しい。紙及び多くの他の多孔質材料の場合、多孔質材料の孔を通して吸水される流体の表面張力に起因して、濡れた正面に毛細管圧が存在する。この毛細管圧は、流体に作用して、流体を多孔質材料の濡れていない領域に向けて引く(即ち、吸水)。濡れ正面の後ろでの流体と多孔質材料の基質との間の相互作用により、流動が妨げられる。したがって、完全に濡れたセグメントの長さが増大するにつれ、抵抗も増大する。所与の毛細管圧及び増大する抵抗について、流量は経時的に減少する。
【0081】
【数2】
【0082】
図4Aに示すように、この流動は、長方形セグメント全体を流体流動の方向に沿って個別のステップに分割し、各ステップの抵抗及び容積を概算することによって、1Dモデルにおいてモデル化し得る。この1次モデルにより、多孔質材料が濡れ正面の後ろで完全に飽和状態であることが仮定され、一式の流体及び多孔質材料について、濡れ正面の場所が時間の関数として予測される。完全に濡れている長方形セグメントの抵抗R
pは、方程式2を用いて説明しており、式中、L
p、w
p、及びh
pは、長方形セグメントの長さ、幅、及び高さである。値μ及びKは、それぞれ、流体の粘度、及び流動に対する透過率である。所与のセグメントの容積(有効空隙体積)V
cは、方程式3によって説明することができ、φは、紙又は他の材料の有効間隙率である。
【0083】
【数3】
【0084】
濡れ正面までの紙の全抵抗は、濡れた紙の各セグメントの直列抵抗を合計することによって概算することができる。加えて、まだ濡れていない第1のセグメントの容積を概算し得る。濡れ正面の所与の位置における体積流量は、方程式1を用いて説明し、
図4Bに示すように、計算した流体源と濡れ正面との間の圧力差及び抵抗を使用して計算することができる。圧力差(ΔP)は、毛細管圧(本明細書では所与の紙及び流体についての定数としてモデル化される)及び任意の更なる圧力源(静水圧、他のラプラス圧など)を含む。正面が事実上所与の場所に着く時間は、計算した体積流量を使用して次のセグメントの容積を満たすまでの時間を決定することによって、計算することができる。このため、体積流量(Q)、全抵抗(R
t)、及び圧力は、
図4Cに示すように、各々、1Dの濡れ正面位置の関数である。このモデルは、
図4Cに示すように、所与の紙の長方形ストリップについてのWashburn流動の特性曲線を予測することが示される。
図5は、長方形及び非長方形の形状を通した吸水が、どのように1Dモデルのための濡れ正面位置の関数としての濡れ正面の有効幅として表され得るのかを示す。
【0085】
パッシブ型ポンプの製造方法
図6は、成形しラミネートした紙ポンプを作製するための例示的なプロトコルを示し、
図7は、
図6で概説するプロトコルに従って組み立てた例示的なポンプを示す。まず、カッティングプロッタを使用してラミネートパウチの片面に穴(例えば、内径(ID)3mm)を切り抜く。これらの穴は、最終組立体に入口領域へのアクセスを提供する働きをする。Whatman Chromatography 1紙の長方形シートを所与のラミネートパウチに適したサイズにし、パウチの中に置き、ラミネート機に通す(例えば、5ミル設定を使用)。ラミネートしたシートを冷却させた後、レーザカッターを使用して、設計した形状をこれらのラミネートしたシートから切り取る。切り取られる形状について入口領域の実際の中心が入口領域の意図した場所と一致するように、紙をカッターの中に位置付ける。次に、いかなる紙の焦げも最小限に抑える設定を使用して切り取りを行う。この段階で、これらのラミネートした形状の紙の縁は大気に開放されている。
【0086】
流体が吸水されるときに、蒸発を最小限に抑えながら空気の逃げ道を与えるために、ある特定の改変を組立体に行い得る。例えば、空隙を紙の境界の周囲に維持してもよい。空隙を含む組立体中の紙を外気から被覆して、蒸発効果を最小限に抑えることができ、この封止には圧力平衡を可能にするための小さい通気口しかない。吸収領域及び抵抗領域からの蒸発を防止する他の方法も使用できる。通気の必要性は、同様に、特定のデバイス設計及び用途に応じ得る。
【0087】
図8は、成形しラミネートした紙ポンプを作製するための代替的方法を示す。
図8に概説するプロトコルは、
図6に示すプロファイルに関して上で説明した6つの工程とは対照的に、3つの工程を含む。工程1に示すように、レーザカッターを使用して、紙又は他の多孔質媒体のシートからポンプアレイを切り取る。アレイ中のポンプを共に連結して、ポンプが共に動き、互いに対する間隔を維持するようにする。工程2では、切り取った紙をラミネート材料のパウチ(又は2枚のシートの間)に挿入し、ラミネート材料をラミネート機に通す。次に、工程3において、入口穴及び通気穴を各ポンプに切り開き、各ポンプを分割している格子線を切る。
【0088】
工程1の間、紙のハロ(halo)を、吸収領域及び抵抗領域の周囲にそれらから離間して定義し、流体不導性境界を形成する多孔質材料の周囲に空隙を提供する。通気開口部を切り取るときに、吸収領域に連結したハロの部分を除去することで、ハロがポンプの吸収領域と流体接続するのを防止する。空隙は通気開口部と通じている。
図8に示すように、多孔質媒体材料の1枚のシートから切り取ったポンプは、面積が同じ又は異なる吸収領域と、面積及び/又は長さが同じ又は異なる抵抗領域とを有してもよい。
【0089】
流量測定方法
入口領域で流体(例えば、45μL)を添加し、吸水を時間の関数として追跡することによって、流動研究を行った。使用した流体は、この実施例では、Acid Blue 9を含む脱イオン水であった。様々な形状への吸水の微速度撮影動画をiPhone(登録商標)で撮り、ストップウォッチを動画に含めて時間の絶対測定とした。個々のフレームを、ImageJ(http://imagej.nih.gov/ij/)を使用して分析し、入口領域の中心から濡れ正面までの画素数を異なる時点で測定した。関連する形状の長さを知ることで、画素をミリメートルに変換した。各形状について、実際の位置をモデル化した位置対時間と比較した。別の方法では、ポンプをマイクロ流体チャネル及び/又はチューブに取り付け、流体上流の遅れ縁の位置を追跡することによって、所与のポンプについての流量プロファイルを決定した。
【0090】
当業者であれば、多孔質媒体を通した流体の吸水を追跡することは、様々な、例えば、光学的又は電気化学的アプローチを使用して達成でき、これらのアプローチには、多孔質媒体において流体の代わりに色素を使用すること(上で考察した通り)、及び流体との相互作用時に信号を送信する電極を多孔質媒体内で使用することを含むがこれらに限定されないことを、容易に理解するであろう。
【0091】
例示的なパッシブ型ポンプ
成形された多孔質材料の組立体は、マイクロ流体デバイス用のパッシブ型ポンプとして使用することができる。本パッシブ型ポンプは、マイクロ流体デバイスへの接続に外部電源又はチューブ類を必要としない。所望の場合、パッシブ型ポンプ組立体は、マイクロ流体デバイス上に製造され、かつ/又はその中に一体化されて、流体制御を提供し得る。あるいは、本ポンプは、別々のマイクロ流体デバイスに取り付けられるように構成されてもよい。例えば、本ポンプは、モジュール様式で(例えば、単一の使い捨てユニットとして)構築することができ、これは後でマイクロ流体デバイスに流体接続し得る。これらの場合、使用されたポンプは、例えば、長期間(例えば、数日)にわたるポンプ運動が必要であるか、又は連続的サンプルを経時的な更なる分析のために収集する場合に、新たなポンプと交換することができる。本ポンプは、使い捨て、生分解性、及び/又は可燃性であるように製造することができる。加えて、本ポンプは、極めて小さいフットプリントしか占有しないように設計することができる。
【0092】
設計に応じて、ポンプは、nL/分〜μL/分の範囲の流量を提供することができ、決まった液量が送り込まれた後に停止するようにプログラムすることができる。これらのプログラム可能なポンプは、低コストであり、多種多様な従来型マイクロ流体デバイスと共に「プラグ・アンド・プレイ」様式で使用することができる。一例として、
図9は、従来型シリンジポンプを使用して提供される様々な流量で行われる例示的なポイントオブケア蛍光系アッセイのために収集された実験データを示す。蛍光強度は、マイクロチャネルの底部における導波路に固定した抗体マイクロアレイの標的結合スポットによって生成した。
図9に示すように、流量の増大により結合速度(蛍光強度対時間の勾配)が増大する。更に、持続的な流動により診断試験の感度が増大する。本明細書に記載のポンプは、ポイントオブケア試験においてマイクロ流体チャネルと一体化させて、シリンジポンプと同じ種類の流動を生成し、電力の必要、更なる費用、及び技術的複雑性なく感度の増大を提供することができる。
【0093】
実施例1:マイクロ流体デバイス用の一定の流量を生成する単一ポンプ
本パッシブ型ポンプは、マイクロ流体チャネルの出口に接続し得る。多孔質材料における流体の陰の毛細管圧により、圧力差が生じ得、これが、マイクロチャネルの入口にある貯留部からマイクロチャネルを通ってポンプへと流体流動を駆動する。本パッシブ型ポンプは、紙などの任意の成形された多孔質材料から形成され得、最大で3つの定義された領域:(a)マイクロチャネルの出口に接続するための流体入口(例えば、入口領域)、(b)抵抗領域(例えば、抵抗性ネック)、及び(c)吸収領域を含み得る。入口領域(a)は、マイクロ流体チャネルの出口の再現可能な接続を提供するように設計される。所与の多孔質材料については、抵抗性ネック(b)のサイズが流量を制御する。ネックの抵抗は、ネックの長さを増大させること及び/又はネックの断面積を減少させることによって増大させ得る。断面が長方形であるネックについては、これは、ネックの厚さを減少させること及び/又はネックの幅を減少させることによって行うことができる。吸収領域(c)の空隙体積は、吸収され得る体積を制御する。ポンプが機能する時間は、吸収され得る体積及びネックによって定義される流量に対応する。
図10では、円形のフットプリントが吸収領域に使用されるが、三角形又は放射状セグメントを含むがこれらに限定されない他の形状も可能である。伝統的なマイクロ流体チャネルに取り付けた例示的なパッシブ型ポンプを
図10Aに示し、ポンプのための類似の電気回路を
図10Bに示す。ポンプへの予想される流体の流動を
図10Cに示し、ここでは、入口がまず湿潤され、次に流体が抵抗性ネックを下行し、最後に吸収領域に入る。
【0094】
典型的には、これらのパッシブ型ポンプの流量は、1nL/分〜100μL/分超にプログラムし得る。この基本的なポンプ設計を使用して最小流量を達成するために、ネックの抵抗を高いレベルに増大させてもよい。このネックの抵抗が予想されるマイクロチャネルの抵抗より大きい限り、特定のポンプ設計は、異なる形状の様々なマイクロチャネルにおいて同じ流量を生むことになる。これにより、これは事実上、既知の流体のための「プラグ・アンド・プレイ」ポンプとなる。これらの場合、本ポンプは理想電流源に類似している。
【0095】
基本的なポンプ設計を使用して最大流量を達成するためには、ネックの抵抗を最小限に抑え得る。マイクロ流体チャネルと吸収領域との間の最小限の抵抗領域では、パッシブ型ポンプの体積流量は、マイクロチャネルの抵抗に依存し得る。
【0096】
ネック抵抗が体積流量に与える影響は
図11に見ることができる。実験的に、ネック抵抗が異なる4つのパッシブ型ポンプ(P1、P2、P3、及びP4)を、ラミネートしたWhatman#1クロマトグラフィー紙を使用して製造した。体積流量プロファイルをこれらのポンプの各々について測定した(それぞれ、4.5μL/分、2.3μL/分、1μL/分、及び0.5μL/分)。これらのポンプの各々は、吸収領域が全て同じサイズであるため、類似の容積を有する。各ポンプは同じ体積(同じ流量プロファイル下面積)を保持するため、様々な時間で(時間はネック抵抗と共に増大する)ポンプ運動した。ネックの抵抗は吸収領域の抵抗よりもはるかに大きかったため、体積流量は、流体正面が吸収領域に達すると、事実上一定のままであった。
【0097】
吸収領域の面積を変化させることが体積流量に与える影響は
図12に見ることができる。これらのポンプの各々は、抵抗性ネックが全て同じ寸法であるため、類似のネック抵抗を有する。ネックの抵抗は、依然として吸収領域の抵抗よりもはるかに大きい。したがって、流体正面が吸収領域に達すると、体積流量は事実上一定のままである。
図12は、流量は各ポンプについて事実上同じであるが、各ポンプが吸収する体積(流量プロファイル下面積)、及びそれがポンプ運動する対応する時間は、吸収領域の増大する面積について増大することを示す。実験的に、
図12に示すものに類似したパッシブ型ポンプを、ラミネートしたWhatman#1クロマトグラフィー紙を使用して製造し、各ポンプは同じ抵抗サイズを有した。
【0098】
図13A及び13Bは、パッシブ型ポンプがどのようにポイントオブケア診断試験に含まれ得るかを示す概略図を示す。
図13Aは、
図13Bに示す最終診断試験の分解立体図を示す。下から上に、上に捕捉試薬が並べられ得る平面導波路、マイクロ流体チャネルとして働く開口部を有する両面接着物の層、入口穴及び出口穴を有するマイクロ流体チャネルの上部として働くフィルム、フィルム上のマイクロチャネルの入口穴及び出口穴をそれぞれ入口貯留部(左)及びパッシブ型ポンプ(右)と接続する穴を有する両面接着物が存在する。
【0099】
図13Bの組立体により、サンプルを入口貯留部に充填することができるようになり、パッシブ型ポンプは、そのサンプルの、マイクロ流体チャネルを通り、固定された捕捉試薬を横切る、ポンプの設計によって定義される体積及び流量の流動を誘発することになる。この誘発された流動は、捕捉試薬の上の標的空乏層を最小限にし、診断試験の感度を最大限にするようにプログラムされ得る。類似の組立体を他の用途に使用してもよい。
【0100】
実施例2:パッシブ型ポンプのためのプログラム可能な時間遅延
この実施例は、時間遅延をパッシブ型ポンプ組立体によって生成される流量プロファイルに誘発する方法を実験的に示す。かかる流動遅延は、流体が実際にパッシブ型ポンプの入口領域に達した時点の後の時間に所望の流量を開始するか、又は流動の継続を一時的に遅延させるために使用することができる。例えば、この制御レベルは、サンプルの充填又は試薬のインキュベーションのために更なる時間が必要である場合に望ましくてもよい。様々な量のスクロース又はポリビニルアルコール(又は機能的に同等の材料)をポンプの流体入口及び/又は抵抗領域において乾燥させて、流体輸送を遅延させることができる。流体入口及び/又は抵抗領域への水などの流体の吸水時に、乾燥させた溶質が溶解し、溶質濃度に従って紙のその領域における溶液粘度を増大させることになる(表1)。特に水以外の流体を使用する場合には、異なる溶質を選択し得る。この実施例ではポンプの抵抗領域において乾燥させたスクロースの使用を説明する。
【0101】
【表1】
【0102】
濡れた紙の所与のセグメントの抵抗は、液体の粘度に比例するため(方程式2)、溶解したスクロースは、パッシブ型ポンプにおける抵抗の著しい増大、及び体積流量の減少を生み得る。
【0103】
ネックは、流量の制御部であるように設計されるため、ネックが濃縮されたスクロースを含有しなくなると、流量が増大し、ポンプが「オンになる」。溶解したスクロースがパッシブ型ポンプの吸収セクションに達すると、濡れ正面の断面積が増大することで、粘性プラグの長さが減少する。これにより、流体流動に対する全体的な抵抗(方程式2)が減少することで、スクロースを含まない流体についてのネックの抵抗によって設けられる限界に向けて流量が減少する。
【0104】
実施例3:段階的減少で流量を改変するためのハイブリッドポンプ組立体
一部の用途に対しては、所与の時間、所与の流量でポンプ運動し、その後、流量を、第2の所与の時間、別の流量に減少させることが望ましくてもよい。複数の連続的流量(減少又は増大いずれか)も、一部の用途には望ましい。複数の抵抗領域及び吸収領域を含むハイブリッドポンプを使用して、かかる流量を提供することができる。例えば、複数の吸収領域は、
図14A及び14Bに示すように抵抗領域を介して直列に流体接続し得る。この実施例では、正面がポンプ入口領域と第1の吸収エリアの遠位端部との間にあるときにポンプが作り出す流量は、セクションC、D、E、及びFを有しないポンプと同様に見えることになる。
【0105】
流体正面が第2の抵抗領域(C)に達すると、流量は、第1の吸収領域(B)に対して第2の抵抗領域からの抵抗の増大に起因して減少する。流体が第2の吸収領域(D)に達すると、流量は再び一定となる。この流動挙動は、直列に流体接続する更なる抵抗領域/吸収領域について発生し続けることになる。
【0106】
ハイブリッドポンプ組立体は、抵抗領域を介して並列に流体接続する複数の吸収領域も含み得る。
図15A及び15Bは、経時的に流量の段階的減少を作り出すかかるハイブリッドポンプの例を示す。この実施例では、同一平面にある2つの抵抗領域が単一の流体入口(入口領域)から延在する。各抵抗領域は、吸収領域に流体接続する。流体がポンプの中へと流動し、吸収領域に達するとき、流体源からポンプへの時間依存性の流動は、事実上、吸収領域(R1及びR2)の各々における時間依存性の流動の合計である。
図15Bに示される流量対時間は、
図15Aに示すポンプに関するものである。時間Aでは、流体は、両方の吸収領域(R1及びR2)の多孔質材料に吸収される。時間Bでは、吸収領域1(R1)は、飽和状態となりポンプ運動を停止するが、他方の吸収領域(R2)は流体のポンプ運動を継続する。かかるポンプは、段階的に減少する体積流量を生み得、流体入口に流体接続するマイクロチャネルの中にある。
【0107】
実施例4:段階的増大で流量を確立するハイブリッドポンプ
ハイブリッドポンプは、ある期間ある流量でポンプ運動し、その後、ある期間より大きい流量でポンプ運動するようにも設計され得る。かかる流量を生むことができるポンプは、抵抗領域を介して並列に流体接続する複数の吸収領域を含み得る。
図16A〜16Cは、経時的に流量の段階的増大を作り出すかかるハイブリッドポンプの例を示す。本ポンプは、単一の流体入口(入口領域)から延在する2つの抵抗領域(各々吸収領域に流体接続する)を含む。これら2つの抵抗領域が、元々、流体流動に対して異なる抵抗を呈するようにサイズ決定され、より低い方の抵抗領域に時間遅延(例えば、抵抗性ネックに配置される溶解性溶質、又は抵抗領域と流体入口との間に配置されるポリビニルアルコール膜などの溶解性ポリマー膜)が誘発される場合、ハイブリッドポンプは、まず、より少ない流量でポンプ運動することになる(流体流動への抵抗がより大きい抵抗領域を通して)。次に、遅延を作り出している溶解性溶質が溶解し、粘性プラグが第2の抵抗領域から出て吸収領域へと通過した後、流体は、より大きい流量で送り込まれる。
【0108】
実施例5:完全にプログラム可能な流動を確立するための複合ポンプ
多孔質材料の連続したシート上に複数のポンプ運動エリアを設計するハイブリッドポンプによるプログラム可能な流量を作製する代わりに、複数のラミネートした同一平面上の抵抗領域及び吸収領域(本明細書ではポンプサブユニットと称する)を積み重ねて、単一の複合ポンプを形成することができる。各同一平面層における個々のポンプサブユニットは、
図17及び18A〜Cに示すように、積み重ねたサブユニットの高さにわたって、単一の流体入口によって流体接続し得る。
【0109】
より複雑な流量プロファイルを作り出すために、これらのサブユニットポンプをマイクロ流体チャネルの遠位端部で積み重ね得る。これを使用することで、ポンプサブユニット間、あるいはポンプ全体を特定のマイクロ流体デバイスに一体化させる必要性のいずれかによる空間に対する物理的制約に起因して同一平面にあるポンプの一群を使用してでは不可能であり得る様式で、サブユニットポンプを取り付けることができる。時間遅延を作り出す溶質は、流動プロセスにおいて後に作動することになる適切なサブユニットポンプの抵抗領域の中に一体化させることができる。時間遅延は、溶解性材料の層(例えば、ポリビニルアルコール膜)をスタック中の2つのサブユニットポンプ間(例えば、積み重ねたポンプ組立体の同一表面層間の流体入口内)に挿入することによって作り出すこともできる。このアプローチでは、流体路における溶解性材料の層の後にある構成要素への流体の導入が遅延され得る。
【0110】
各サブユニットポンプについての体積流量対時間は、マイクロ流体チャネルにおいて体積流量の変化を付与するため、このセットアップにおいては加法的である。
図18A及び18Bは、積み重ねたサブユニットポンプの例を示す。この実施例では、サブユニットポンプB、C、及びDは、異なる時間に開始するためにネックに時間遅延を有する。流量対時間が加法的であるため、この積み重ねは
図18Cに示すプロファイルを作り出し得る。
【0111】
ポンプ組立体も、最低限の空間で最大限の体積流動を達成するために積み重ねることができる。
図19は、例示的な紙ポンプがどのようにして流量に与える相乗効果(N倍)を得るためにマイクロ流体チャネルの端部で積み重ねられる(Nサブユニットポンプ)のかを示す。
図20は、単一のマイクロ流体ポンプ及び積み重ねて複合ポンプを形成する2つのパッシブ型ポンプについて、体積流量を時間の関数として比較するプロットである。
図21は、各々が2つの積み重なったポンプサブユニット(P1+P3スタック及びP2+P4スタック)を含む2つの異なる複合ポンプについて、体積流量を時間の関数として比較するプロットである。P1、P2、P3、及びP4は、各々、流体流動に対する異なる抵抗をもたらす抵抗領域を含む。これらを様々な様式で組み合わせることによって、複雑なプログラム可能な流体流量プロファイルを作り出すことができる。
【0112】
更に、
図22A及び22Bに示すように、ポンプは、一杯になり、単一のマイクロ流体チャネル上で交換され得る。この実施例では、吸収領域を容易に交換することができるため、一定の流動を維持するために抵抗領域(ネック)をマイクロ流体チャネルと接続したままにすることができる。収集された流体が目的のものである場合、一杯になったポンプは、所定の時間間隔で収集したサンプルの後続分析に更に使用することができる。
【0113】
実施例6:ある特定の領域で異なる高さを有するポンプ
ポンプは、異なる厚さの領域を含むように製造することができる。多孔質材料の抵抗は流動方向に垂直である面積に反比例するため、多孔質材料のある特定の領域の高さを増大させることが有利であり得る。例えば、ポンプを、濡れたからが吸収領域にあるときに更により一定にすることが、ポンプの吸収領域の高さが抵抗領域の高さよりも高くあることに有用であり得る。
図23は、クロマトグラフィー紙を多孔質材料として使用する例を示すが、これは、いずれの平面の多孔質材料にも使用し得る。ここでは、設計を紙のシートに切り込み、吸収パッドフットプリントのコピーを互いに隣り合ってタイル状にする。タイル状にしたフットプリントの間で、レーザカッターによって多孔質材料に穿孔し、折り畳みを容易にした。折り目に沿って折り畳んだ後、フットプリントは、吸収パッドの更なるタイル状フットプリントがない場合の状態と同じであるが、吸収パッドは、ポンプにおける他の領域より厚い。この特定の実施例では、吸収パッドのタイル状フットプリントの前面間にバリアは存在しない。
【0114】
実施例7:所与のポンプのフットプリントを減少させるための折り畳み式ポンプ
ポンプの吸収領域の3次元形状は、ポンプの輸送特性を変化させずに所与のポンプのフットプリントを減少させるように改変することができる。この場合、多孔質材料はクロマトグラフィー紙であり、流体不透過性層が多孔質材料の両面にある。これが有用であり得る1つの状況は、吸収領域が、それが中に収まるポンプ及び/又は容器の他の部分よりも著しく大きい場合である。このような場合及び他の場合には、吸収領域は、そのフットプリントを減少させるためにそれ自体の上に折り畳まれ得る(
図24)。流体の貫通が許容されない表面では、吸水流体は、折り畳まれていないかのように流動路に従い、同じ流量プロファイルで送り込まれる。
【0115】
実施例8:溶解性膜を使用するプログラム可能な遅延
時間遅延は、溶解性膜を使用して誘発することもできる。これらの場合、溶解性膜は、ポンプ又は複合ポンプにおける多孔質又は非多孔質材料の隣接部分の間(例えば、複合ポンプにおける2つのポンプの流体入口パッド間)に位置付けられ得る。溶解性膜は、無傷のままである間は、ポンプ又は複合ポンプのこれらの隣接部分の間(例えば、複合ポンプにおける2つの流体接続するポンプの流体入口パッド間)の流体流動に対するバリアとして働くことができる。しかしながら、膜が破られると、流体はポンプ又は複合ポンプの隣接部分の間を流動できるようになる。
【0116】
水性流体との使用に好適な溶解性膜は、ポリビニルアルコール(PVA)から形成され得る。PVAは、フィルム/シートに成形することができる水溶性ポリマーである。これらのフィルムからディスクを製造し、積み重ねたポンプの入口領域間に挿入し得る。PVAが可溶性である溶媒(例えば、水)に露出するときに、フィルムは溶解し始める。フィルムが破られると、流体は、積み重ねたポンプの乾燥した領域に前進し得る。これにより、事実上、ある特定のポンプ(遅延の下流にあるもの)がオンになる前に時間遅延が生じる。この遅延時間は、フィルム厚の調整などの手段によって制御することができる。
【0117】
図25は、複合ポンプの2つの流体接続するポンプサブユニットの流体入口間に配置される溶解性膜を含む例示的な複合ポンプを示す。流体が最初にポンプに(第1のポンプサブユニットの流体入口に)吸水されるとき、取り付けられたマイクロチャネルを通した流体流量はQ1によって管理される。膜が破られると、流体は両方のポンプに吸水され得、取り付けられたマイクロチャネルを通した流体流量はQ1+Q2によって管理される。
【0118】
図26は、複合ポンプの2つの流体接続するポンプサブユニットの流体入口間に配置される溶解性膜を含む複合ポンプは、例えば、マイクロ流体チャネル又はポイントオブケア診断試験に流体接続し得ることを示す。パネルAは、最終組立体の分解立体図を示す。パネルBは、マイクロ流体デバイスを通した流体流動を時間の関数として示すプロットである。
【0119】
図27は、ポンプの入口領域(P4)とポンプ状デバイスの入口領域(P9)との間に挿入された溶解性PVA膜(D1)を含む複合ポンプの実験流量プロファイルを示す。P9は、入口領域及び吸収領域を有するが、抵抗領域を有しないため、ポンプ様である。膜が破裂する前に、P4が流体を約1uL/分で駆動する。膜が破裂すると、P9が流体接続し、また流体を駆動する。この時点で、体積流量は著しく増大する。複合体は、P9が飽和状態となり流体の駆動を停止するまで、この増大した流量でポンプ運動を続ける。この時点で、P4は再び流体の唯一の駆動体であり、体積流量は約1uL/分の流量に戻る。
【0120】
実施例9:様々な多孔質材料を使用して調製したポンプ
ポンプは、様々な特性(例えば、毛細管圧、間隙率、及び透過率)を有する多孔質材料から調製することができる。これらの特性は流量プロファイルに影響する。例えば、ポンプのフットプリントが決まったサイズでなければならない場合、これらの特性は、所与の流体/マイクロチャネルに対する所望の流量プロファイルを達成するように選択され得る。他の例では、材料は、詰まりを回避するために流体中にあることが予想される粒子よりも大きい平均孔径を有するように選択され得る。
【0121】
図28は、形状は同じであるが、異なる固有特性を有する多孔質材料で作製されるポンプの流量プロファイルを示す。この実施例では、これらは、異なる平均孔径及び厚さを有する異なる種類の紙である。様々なWhatman紙を使用した(F4:濾紙#4、F597:濾紙#597、Chr1:クロマトグラフィー紙#1、F1:濾紙#1、F6:濾紙#6、F5:濾紙#5)。これらの紙の基質は同じ材料(セルロース)で作製される。しかしながら、これらの紙は、異なる平均孔径、間隙率、及び厚さを有する。その結果、これらは、異なる透過率を有し、固有の毛細管圧を生む。これらの多孔質材料を、
図7に示すものに類似した断面を有するポンプに組み込んだ。同じポンプフットプリントについて、異なる種類の紙(それらの固有の特性を有する)は固有の流量プロファイルを生む。
【0122】
プロセス及び品質管理におけるパッシブ型ポンプ組立体の使用
本ポンプ(本明細書に記載のハイブリッドポンプ及び複合ポンプを含む)は、プロセス制御用途に使用することもできる。例えば、本明細書に記載のポンプは、マイクロ流体チャネルの流体抵抗を決定するため、マイクロ流体チャネルの高さを測定するため、紙などの多孔質材料の特性(例えば、透過率)を定量化するため、及び/又は未知の流体の特性(例えば、粘度)を定量化するために、使用することができる。
【0123】
実施例10:未知の流体の粘度を定量化するための一式のマイクロ流体デバイス
本明細書に記載のパッシブ型ポンプは、単純なマイクロ流体デバイスと併用して、未知の流体の粘度を決定することができる。マイクロ流体デバイスは、流体入口を流体出口に流体接続するマイクロ流体チャネルを含み得る。マイクロ流体チャネルは、充填済み流体を含み得る。充填済み流体の吸水について十分に特性評価されているポンプの流体入口は、マイクロ流体デバイスの流体出口に流体接続し得る。未知の流体をマイクロ流体デバイスの流体入口に添加し、デバイスを作動させて、充填済み流体をパッシブ型ポンプと接触させ得る。
【0124】
パッシブ型ポンプは、流体流動をマイクロ流体チャネルの中へと誘導することになる。ポンプが流体を流動させる速度は、流体流動に対する全抵抗(ポンプの抵抗、充填済み流体のプラグの抵抗、及び未知の流体プラグの抵抗の合計)に反比例することになる。流量を未知の流体の粘度に対して感受性にするために、全抵抗は、未知の流体が流動している領域によって決定すべきである。これは、ポンプ、充填済み流体、及びマイクロ流体チャネルの適当な設計によって行うことができる。抵抗は、未知の流体の粘度に直接比例することになる。したがって、ポンプ運動速度及び/又はポンプ運動時間を測定し、較正曲線と比較して、未知の流体の粘度を定量化することができる。
【0125】
実施例11:マイクロ流体デバイス用オーム計
マイクロ流体デバイスは、一般に、所望の流体力学を生むように一式の寸法を有するように製造される。しかしながら、流体力学は計算モデルによって予測され得る一方で、マイクロ流体デバイスを特性評価して、デバイスが元の指定された寸法で製造されたかどうかを決定することは一般に困難である。マイクロチャネルの流体抵抗を測定することは、その物理的寸法を決定するための1つの方法である。
【0126】
本パッシブ型ポンプを使用して、費用効果の高い品質管理のためにマイクロ流体チャネルの抵抗を測定することができる。所与のポンプについては、ポンプが一杯になるのにかかる時間は、マイクロ流体デバイスの抵抗に依存する。マイクロ流体チャネルの抵抗は、
図29に概略的に示すセットアップを使用して測定することができる。
【0127】
多様な定量法を有する一式のパッシブ型ポンプによってマイクロ流体チャネルを試験することができる。所与のポンプの定量法の下限は、その多孔質材料の実効抵抗/透過率に依存する。ポンプの抵抗がマイクロチャネルよりも著しく大きい場合、ポンプの抵抗が優位となるため、ポンプは抵抗を定量化できない可能性が高いことになる。チャネルの抵抗が濡れた組立体の抵抗よりも著しく大きい場合、チャネルの抵抗は、体積流量の優勢な制御因子となり得る。このため、パッシブ型ポンプが一杯になるのにかかる時間は、マイクロチャネルの抵抗に直接的に依存する(
図29の挿入図)。
【0128】
図30は、伝統的技法を用いて製造され得るマイクロチャネルの長さの例示的な範囲、及び対応する各マイクロチャネルの抵抗量を示す。チャネルの高さ(50um又は100um)及び幅(50um又は250um)に応じて、
図30に示すマイクロチャネルの抵抗は、6×10
11Nsm
−5〜4×10
15Nsm
−5の範囲であり得る。マイクロチャネルの抵抗は、チャネルの長さ、幅、及び高さの関数であり、長さ及びおよその幅は、標準的な顕微鏡法を使用して決定することができるため、紙ポンプから計算される抵抗を使用して、チャネルの平均高さを定量化することができる。例えば、
図31は、所与のパッシブ型ポンプ組立体及び較正適合についてのデータを示す。較正曲線は、一杯になるまでの時間を測定することによって所与のマイクロチャネルの抵抗を試験するために使用し得る。
【0129】
実施例12:所与の多孔質材料の特性を定量化するための一式のマイクロ流体デバイス
紙などの多孔質材料における流体の流動は、3D形状、並びに有効間隙率(Por)、毛細管圧(P
c)、及び透過率(K)という、3つの特徴的な特性を知ることによって1次モデルによって説明することができる。毛細管圧及び透過率の結果は、単一のセグメントを通した流体流動を追跡することによって決定し得る。しかしながら、流動を十分に説明するためには個々の特性が必須である。
【0130】
抵抗が分かっている一式のマイクロ流体チャネルを使用して、高速の簡易測定において多孔質材料の特性を定量化することができる。マイクロ流体チャネルの分かっている抵抗を使用していくつかの固有のセットの吸水データを生成することにより、紙又は他の多孔質材料についての2つの未知数(P
c及びK)についての解を得ることができる。抵抗が分かっているマイクロ流体チャネルを貯留部と紙との間に配置して、流体回路に分かっている直列抵抗を付加し得る。次に、これらの固有のセットの吸水データを、最小二乗法を使用して適合させ、その所与の流体の紙への吸水を最もよく説明するP
c及びK値を特定し得る。
図32は、異なる抵抗(低、中、高)のマイクロチャネルに取り付けられた所与のパッシブ型ポンプについての仮定吸水データ、並びに一式の抵抗器についての紙の毛細管圧及び透過率の最良適合を示す。
【0131】
マイクロ流体抵抗を決定するためのこの方法は、紙系マイクロ流体工学への使用が意図されるものなどの紙基板のプロセス制御にも使用し得る。紙の抵抗よりもはるかに低いものから紙よりもはるかに高い抵抗まで様々である抵抗を有する一式のマイクロ流体チャネルを使用して、異なるバッチの紙を試験し得る。次に、収集した吸水データをモデルにおいて使用して、所与の流体及び紙についてのP
c及びKを予測し、紙の機能的能力を監視し得る。
【0132】
添付の特許請求の範囲のデバイス、システム、及び方法は、特許請求の範囲のいくつかの態様の具体例として意図される、本明細書で説明される特定のデバイス、システム、及び方法によってその範囲を限定されない。機能的に均等である任意のデバイス、システム、及び方法が、特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。本明細書に示され、説明されるものに加えて、デバイス、システム、及び方法の様々な修正が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。更に、本明細書で開示されるある代表的なデバイス、システム、及び方法工程だけが具体的に説明されているが、デバイス、システム、及び方法工程の他の組み合わせも、具体的に列挙されていなくても、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。したがって、工程、要素、構成要素、又は構成成分の組み合わせは、本明細書で明示的に、又はあまり明示的でなく言及され得るが、工程、要素、構成要素、及び構成成分の他の組み合わせも、明示的に述べられていない場合であっても、本発明に含まれる。
【0133】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、開示される発明に属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に引用される刊行物及びそれらが引用される資料は、参照により具体的に組み込まれる。