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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-64589(P2021-64589A)
(43)【公開日】2021年4月22日
(54)【発明の名称】絶縁バリアおよび開閉器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/53 20060101AFI20210326BHJP
   H01H 31/02 20060101ALI20210326BHJP
   H02B 1/20 20060101ALI20210326BHJP
【FI】
   H01H33/53 J
   H01H31/02 Z
   H02B1/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-190098(P2019-190098)
(22)【出願日】2019年10月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593180402
【氏名又は名称】東洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 久司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳己
(72)【発明者】
【氏名】内園 康紘
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016DA08
(57)【要約】
【課題】変形によって周辺の部材に接触することが抑制され、取り付け工程が簡易な絶縁バリア、および絶縁バリアを有する開閉器を提供する。
【解決手段】絶縁バリア26aは、一方の主面30aの凸部であって、かつ、他方の主面30bの凹部である複数の第1凹凸部31と、主面30aの凹部であって、かつ、主面30bの凸部である複数の第2凹凸部32と、を有する絶縁性の板状部材30を備える。複数の第1凹凸部31および複数の第2凹凸部32は、主面30aでベースに向いている側面に沿った第1方向および主面30aで第1方向に交差する第2方向のそれぞれに沿って配置される。第1方向に沿った第1凹凸部31と第2凹凸部32の並び方と、第2方向に沿った第1凹凸部31と第2凹凸部32の並び方とは異なる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースに固定された端子に隣接する位置で、前記ベースに取り付けられる絶縁バリアであって、
一方の主面の凸部であって、かつ、他方の主面の凹部である複数の第1凹凸部と、前記一方の主面の凹部であって、かつ、前記他方の主面の凸部である複数の第2凹凸部と、を有する絶縁性の板状部材を備え、
前記一方の主面または前記他方の主面が前記端子に隣接し、側面が前記ベースに向いた状態で、前記板状部材は前記ベースに取り付けられ、
前記複数の第1凹凸部および前記複数の第2凹凸部は、前記一方の主面で前記ベースに向いている前記側面に沿った第1方向および前記一方の主面で前記第1方向に交差する第2方向のそれぞれに沿って配置され、
前記第1方向に沿った前記第1凹凸部および前記第2凹凸部の並び方と、前記第2方向に沿った前記第1凹凸部および前記第2凹凸部の並び方とは異なり、
前記板状部材の前記第1方向の曲げ剛性は、前記板状部材の前記第2方向の曲げ剛性より低い、
絶縁バリア。
【請求項2】
前記第1方向に沿って、前記第1凹凸部と前記第2凹凸部は同数ずつ交互に配置される、
請求項1に記載の絶縁バリア。
【請求項3】
前記第2方向に沿って、互いに異なる個数だけ連続している前記第1凹凸部と前記第2凹凸部とが交互に配置される、
請求項1または2に記載の絶縁バリア。
【請求項4】
前記第2方向に沿って、前記第1凹凸部または前記第2凹凸部が連続して配置される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の絶縁バリア。
【請求項5】
前記第1方向は前記板状部材の長手方向であり、
前記第2方向は前記板状部材の短手方向である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の絶縁バリア。
【請求項6】
前記板状部材は合成樹脂で形成される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の絶縁バリア。
【請求項7】
前記板状部材と一体に形成され、前記ベースに着脱可能に取り付けられる取付部をさらに備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載の絶縁バリア。
【請求項8】
互いに対応付けられた複数の一次端子および複数の二次端子と、
それぞれが対応する前記一次端子と前記二次端子とを電気的に接続、または切り離す複数のスイッチ部と、
隣接する前記複数の一次端子の間および隣接する前記複数の一次端子に対応付けられた隣接する前記二次端子の間に設けられる請求項1から7のいずれか1項に記載の絶縁バリアと、
を備える開閉器。
【請求項9】
前記複数のスイッチ部を制御する操作部と、
前記複数の一次端子の内、前記操作部に隣接する前記一次端子および前記一次端子に対応付けられた前記二次端子と前記操作部との間に設けられる請求項1から7のいずれか1項に記載の絶縁バリアと、をさらに備える、
請求項8に記載の開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁バリアおよび絶縁バリアを備える開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉器、断路器、遮断器等には、三相交流の各相に対応する端子を互いに絶縁し、ネズミ、ヘビ等の小動物が開閉器に侵入して端子間を短絡してしまうことを防ぐための絶縁バリアを備えるものがある。特許文献1には、この種の絶縁バリアを備える開閉器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−139884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開閉器、断路器、遮断器等に設けられている絶縁バリアに小動物が衝突すると、絶縁バリアが変形することがある。特に、小動物が絶縁バリアの主面に衝突すると、絶縁バリアが大きく変形して、周辺の部材、例えば高電圧が印加される端子に接触し、開閉器、断路器等が故障してしまうことがある。このような変形を抑制するため、絶縁バリアは、剛性の高い積層板で形成される。剛性の高い積層板で絶縁バリアを形成する場合、原板から切り出して形成された絶縁バリアを端子が固定されているベースに取り付けるための取付部材が必要となる。具体的には、特許文献1に開示されるように、絶縁バリアの側面に沿って複数の取付部材が設けられる。開閉器、断路器、遮断器等の構成要素の寸法のばらつきによって、複数の取付部材をベースに取り付ける位置が設計上の位置から異なると、取付部材を絶縁バリアに固定する位置、取付部材の形状等を調節する必要があり、絶縁バリアをベースに取り付ける工程が煩雑となってしまう。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、変形によって周辺の部材に接触することが抑制され、取り付け工程が簡易な絶縁バリア、および絶縁バリアを有する開閉器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る絶縁バリアは、ベースに固定された端子に隣接する位置で、ベースに取り付けられる絶縁バリアであって、一方の主面の凸部であって、かつ、他方の主面の凹部である複数の第1凹凸部と、一方の主面の凹部であって、かつ、他方の主面の凸部である複数の第2凹凸部と、を有する絶縁性の板状部材を備える。一方の主面または他方の主面が端子に隣接し、側面がベースに向いた状態で、板状部材はベースに取り付けられる。複数の第1凹凸部および複数の第2凹凸部は、一方の主面でベースに向いている側面に沿った第1方向および一方の主面で第1方向に交差する第2方向のそれぞれに沿って配置される。第1方向に沿った第1凹凸部および第2凹凸部の並び方と、第2方向に沿った第1凹凸部および第2凹凸部の並び方とは異なる。板状部材の第1方向の曲げ剛性は、板状部材の第2方向の曲げ剛性より低い。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る絶縁バリアが備える板状部材は、複数の第1凹凸部と複数の第2凹凸部を有することで、板状部材の剛性が平板より高くなるため、変形によって周辺の部材に接触することが抑制される。また第1方向の板状部材の曲げ剛性を第1方向と交差する第2方向の板状部材の曲げ剛性より低くすることで、板状部材をベースに取り付ける位置にずれが生じても、板状部材を曲げてベースに取り付けることができるため、取り付け工程が簡易である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係る開閉器の回路図
図2】実施の形態1に係る開閉器の斜視図
図3】実施の形態1に係る開閉器の正面図
図4】実施の形態1に係る絶縁バリアの斜視図
図5】実施の形態1に係る絶縁バリアの図4のA−A線での矢視断面図
図6】実施の形態1に係る絶縁バリアの図4のB−B線での矢視断面図
図7】実施の形態1に係る絶縁バリアの図4のC−C線での矢視断面図
図8】本発明の実施の形態2に係る絶縁バリアの斜視図
図9】実施の形態2に係る絶縁バリアの図8のD−D線での矢視断面図
図10】実施の形態2に係る絶縁バリアの図8のE−E線での矢視断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る絶縁バリアおよび開閉器について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0010】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る絶縁バリアを、開閉器に搭載される絶縁バリアを例にして説明する。図1に示す開閉器1は、電力変換装置、電動機、照明機器、空調機器等の電力を消費する負荷を、電源に電気的に接続または電源から電気的に切り離す。実施の形態1では、負荷を三相交流電源に電気的に接続または三相交流電源から電気的に切り離す開閉器を例にして、開閉器1の構造について説明する。
【0011】
図1に示す回路図の通り、開閉器1は、三相交流の各相に応じた一次端子11a,11b,11cおよび二次端子12a,12b,12cと、それぞれが対応する一次端子11a,11b,11cと二次端子12a,12b,12cとを電気的に接続、または切り離すスイッチ部13a,13b,13cと、を備える。
【0012】
スイッチ部13aは、一次端子11aに接続されている補助接触子14aおよび主接触子15aと、補助接触子14aに接触している位置と補助接触子14aから離隔している位置との間を移動可能な可動接触子16aと、主接触子15aに接触している位置と主接触子15aから離隔している位置との間を移動可能な可動接触子17aと、を備える。
【0013】
同様に、スイッチ部13bは、一次端子11bに接続されている補助接触子14bおよび主接触子15bと、補助接触子14bに接触している位置と補助接触子14bから離隔している位置との間を移動可能な可動接触子16bと、主接触子15bに接触している位置と主接触子15bから離隔している位置との間を移動可能な可動接触子17bと、を備える。
【0014】
同様に、スイッチ部13cは、一次端子11cに接続されている補助接触子14cおよび主接触子15cと、補助接触子14cに接触している位置と補助接触子14cから離隔している位置との間を移動可能な可動接触子16cと、主接触子15cに接触している位置と主接触子15cから離隔している位置との間を移動可能な可動接触子17cと、を備える。
【0015】
さらに開閉器1は、一端が可動接触子16a,17aに接続され、他端が二次端子12aに接続されるヒューズ18aと、一端が可動接触子16b,17bに接続され、他端が二次端子12bに接続されるヒューズ18bと、一端が可動接触子16c,17cに接続され、他端が二次端子12cに接続されるヒューズ18cと、を備える。
【0016】
さらに開閉器1は、図2および図3に示すように、それぞれがスイッチ部13a,13b,13cが開く際に生じるアークを消す消弧室21a,21b,21cと、板状のベース22と、一端を中心に回動するアーム23a,23b,23cと、アーム23a,23b,23cを回動させる操作部24と、アーム23a,23b,23cの一端が取り付けられるバー25と、を備える。
【0017】
さらに開閉器1は、隣接する一次端子11aと一次端子11bとの間および隣接する二次端子12aと二次端子12bとの間に位置する絶縁バリア26aと、隣接する一次端子11bと一次端子11cとの間および隣接する二次端子12bと二次端子12cとの間に位置する絶縁バリア26bと、を備える。なお開閉器1は、絶縁バリア26aとの間に一次端子11aおよび二次端子12aを挟む位置に設けられた絶縁バリア26cと、一次端子11cおよび二次端子12cと操作部24との間に位置する絶縁バリア26dと、を備えることが好ましい。
【0018】
なお図2および図3において、Z軸は鉛直方向を示し、X軸は一次端子11a,11b,11cが並べられる向きおよび二次端子12a,12b,12cが並べられる向きを示す。Y軸はZ軸およびX軸のそれぞれに直交する。
【0019】
一次端子11a,11b,11cはそれぞれ、ベース22に取り付けられ、三相交流電源の対応する出力端子に接続される。二次端子12a,12b,12cはそれぞれ、ベース22に取り付けられ、負荷の対応する入力端子に接続される。実施の形態1では、一次端子11aと二次端子12aとはZ軸方向に沿って間隔を空けてベース22に取り付けられている。同様に、一次端子11bと二次端子12bとはZ軸方向に沿って間隔を空けてベース22に取り付けられている。同様に、一次端子11cと二次端子12cとはZ軸方向に沿って間隔を空けてベース22に取り付けられている。
【0020】
補助接触子14a,14b,14cはそれぞれ、消弧室21a,21b,21cの内部に設けられている。主接触子15a,15b,15cは、ベース22に取り付けられている。
【0021】
可動接触子16a,16b,16cはそれぞれ、アーム23a,23b,23cに取り付けられている。詳細には、可動接触子16a,16b,16cはそれぞれ、アーム23a,23b,23cの回動の中心となる一端と反対の端部に取り付けられている。アーム23a,23b,23cが回動することで、可動接触子16a,16b,16cはそれぞれ、補助接触子14a,14b,14cに接触している位置と補助接触子14a,14b,14cから離隔している位置との間を移動する。
【0022】
同様に、可動接触子17a,17b,17cはそれぞれ、アーム23a,23b,23cに取り付けられている。詳細には、可動接触子17a,17b,17cはそれぞれ、アーム23a,23b,23cの回動の中心となる一端と反対の端部に取り付けられている。アーム23a,23b,23cが回動することで、可動接触子17a,17b,17cはそれぞれ、主接触子15a,15b,15cに接触している位置と主接触子15a,15b,15cから離隔している位置との間を移動する。
【0023】
なおスイッチ部13a,13b,13cが閉じる際には、可動接触子16a,16b,16cがそれぞれ、補助接触子14a,14b,14cに接触した後に、可動接触子17a,17b,17cがそれぞれ、主接触子15a,15b,15cに接触することが可能となる位置で、可動接触子16a,16b,16cがそれぞれ、アーム23a,23b,23cに取り付けられ、可動接触子17a,17b,17cがそれぞれ、アーム23a,23b,23cに取り付けられる。
【0024】
ヒューズ18a,18b,18cはそれぞれ、アーム23a,23b,23cに取り付けられている。またヒューズ18a,18b,18cはそれぞれ、過電流が流れると溶断して回路を遮断し、一次端子11a,11b,11cと二次端子12a,12b,12cとを電気的に切り離す。
【0025】
消弧室21a,21b,21cは、ベース22に取り付けられている。消弧室21aは、スイッチ部13aが開く、すなわち、可動接触子16aが補助接触子14aから離隔する際に生じるアークを消す。同様に、消弧室21bは、スイッチ部13bが開く、すなわち、可動接触子16bが補助接触子14bから離隔する際に生じるアークを消す。同様に、消弧室21cは、スイッチ部13cが開く、すなわち、可動接触子16cが補助接触子14cから離隔する際に生じるアークを消す。
【0026】
ベース22は、剛性の高い部材、例えば金属で形成されている。アーム23a,23b,23cは、例えば板状または棒状の部材であって、バー25に固定されている点を中心にX軸回りに回動する。操作部24は、外部からの信号、操作部24に対する操作等に応じて、バー25を回転させることで、アーム23a,23b,23cを回動させ、スイッチ部13a,13b,13cを制御、すなわちスイッチ部13a,13b,13cを開閉する。バー25は、X軸に沿って伸び、操作部24に連結されており、操作部24によって回転させられる。
【0027】
絶縁バリア26aは、一次端子11aと一次端子11bとの間および二次端子12aと二次端子12bとの間に位置する。詳細には、絶縁バリア26aは、一方の主面が一次端子11bおよび二次端子12bに隣接し、他方の主面が一次端子11aおよび二次端子12aに隣接する位置でベース22に取り付けられる。絶縁バリア26aと一次端子11a,11bおよび二次端子12a,12bのそれぞれとの間隔は、開閉器1の大きさ、構造等によって定められ、例えば数十ミリメートルである。絶縁バリア26aを設けることにより、ネズミ、ヘビ等の小動物が一次端子11aと一次端子11b、または二次端子12aと二次端子12bに接触して、三相交流の各相の間で短絡が生じることが抑制される。
【0028】
同様に、絶縁バリア26bは、一次端子11bと一次端子11cとの間および二次端子12bと二次端子12cとの間に位置する。詳細には、絶縁バリア26bは、一方の主面が一次端子11cおよび二次端子12cに隣接し、他方の主面が一次端子11bおよび二次端子12bに隣接する位置でベース22に取り付けられる。絶縁バリア26aの場合と同様に、絶縁バリア26bと一次端子11b,11cおよび二次端子12b,12cのそれぞれとの間隔は、開閉器1の大きさ、構造等によって定められ、例えば数十ミリメートルである。絶縁バリア26bを設けることにより、三相交流の各相の間で短絡が生じることが抑制される。
【0029】
絶縁バリア26cは、絶縁バリア26aとの間に一次端子11aおよび二次端子12aを挟んで位置する。詳細には、絶縁バリア26cは、一方の主面が一次端子11aおよび二次端子12aに隣接する位置でベース22に取り付けられる。絶縁バリア26aの場合と同様に、絶縁バリア26cと一次端子11aおよび二次端子12aのそれぞれとの間隔は、開閉器1の大きさ、構造等によって定められ、例えば数十ミリメートルである。絶縁バリア26cを設けることにより、ネズミ、ヘビ等の小動物が例えば開閉器1を収容する筐体と一次端子11aまたは二次端子12aに接触して、地絡が生じることが抑制される。
【0030】
絶縁バリア26dは、一次端子11cおよび二次端子12cと操作部24との間に位置する。詳細には、絶縁バリア26dは、一方の主面が操作部24に隣接し、他方の主面が一次端子11cおよび二次端子12cに隣接する位置でベース22に取り付けられる。絶縁バリア26aの場合と同様に、絶縁バリア26dと一次端子11cおよび二次端子12cのそれぞれとの間隔は、開閉器1の大きさ、構造等によって定められ、例えば数十ミリメートルである。絶縁バリア26dを設けることにより、一次端子11cまたは二次端子12cと操作部24との間で地絡が生じることを抑制する。
【0031】
小動物が絶縁バリア26a,26b,26c,26dに接触することで絶縁バリア26a,26b,26c,26dが変形して周辺の部材に接触し、開閉器1が故障することを抑制するため、絶縁バリア26a,26b,26c,26dは、Y軸方向に高い曲げ剛性を有する。具体的には、絶縁バリア26a,26b,26c,26dは、Y軸方向において、小動物の接触で変形しない程度の高い曲げ剛性を有する。なおY軸方向の曲げ剛性は、Y軸方向の一端を固定し、Y軸方向の他端に荷重をかけた際の絶縁バリア26a,26b,26c,26dの曲げ変形のしにくさを示す。曲げ剛性が高い程、曲がりにくい。
【0032】
また絶縁バリア26a,26b,26c,26dを複数の取り付け位置でベース22に取り付ける場合に、取り付け位置にばらつきが生じて、取り付け位置が厳密にZ軸方向に並んでいないことがある。このような場合でも、絶縁バリア26a,26b,26c,26dをベース22に取り付けることが可能な程度に、絶縁バリア26a,26b,26c,26dのZ軸方向の曲げ剛性は、Y軸方向の曲げ剛性より低い。なおZ軸方向の曲げ剛性は、Z軸方向の一端を固定し、Z軸方向の他端に荷重をかけた際の絶縁バリア26a,26b,26c,26dの曲げ変形のしにくさを示す。
【0033】
Y軸方向とZ軸方向で異なる曲げ剛性を有するための絶縁バリア26a,26b,26c,26dの構造について説明する。なお絶縁バリア26a,26b,26c,26dの構造は同一であるため、絶縁バリア26aの構造について説明する。
【0034】
実施の形態1では、絶縁バリア26aは、長手方向がZ軸に沿っていて、短手方向がY軸に沿っている絶縁性の板状部材30と、板状部材30をベース22に取り付けるための取付部33,34と、を備える。なお板状部材30は、合成樹脂で形成されることが好ましい。さらに板状部材30および取付部33,34は一体に形成されることが好ましい。
【0035】
図4に示すように、板状部材30は、一方の主面30aの凸部であって、かつ、他方の主面30bの凹部である複数の第1凹凸部31と、主面30aの凹部であって、かつ、主面30bの凸部である複数の第2凹凸部32と、を備える。
【0036】
第1凹凸部31の凸部および第2凹凸部32の凹部のX軸方向の長さは、板状部材30に求められる曲げ剛性に応じて定められる。例えば、第1凹凸部31の凸部および第2凹凸部32の凹部のX軸方向の長さは、数ミリメートルである。
【0037】
複数の第1凹凸部31および複数の第2凹凸部32は、主面30aで板状部材30のベース22に向いている側面に沿った第1方向、すなわち、Z軸方向、および主面30aで第1方向に交差する第2方向、すなわち、Y軸方向のそれぞれに沿って配置される。実施の形態1では、第1凹凸部31および第2凹凸部32はそれぞれ、YZ平面でV字状に並べられる。このため、第1方向に沿った第1凹凸部31と第2凹凸部32の並び方と、第2方向に沿った第1凹凸部31と第2凹凸部32の並び方とは異なる。
【0038】
詳細には、第1凹凸部31と第2凹凸部32は、第1方向に沿って、同数ずつ交互に配置される。例えば、図4のA−A線での矢視断面図である図5に示すように、第1凹凸部31と第2凹凸部32は1つずつ交互にZ軸方向に並んで配置される。
【0039】
また第2方向に沿って、互いに異なる個数だけ連続している第1凹凸部31と第2凹凸部32とが交互に配置される。例えば、図4のB−B線での矢視断面図である図6に示すように、Y軸方向に、1つの第1凹凸部31と、隣接している2つの第2凹凸部32とが交互に配置されている。また例えば、図4のC−C線での矢視断面図である図7に示すように、Y軸方向に、1つの第2凹凸部32と、隣接している2つの第1凹凸部31とが交互に配置されている。
【0040】
第1凹凸部31と第2凹凸部32とが同数ずつ交互に配置されている方向である第1方向の曲げ剛性は、異なる個数だけ連続している第1凹凸部31と第2凹凸部32とが交互に配置されている方向である第2方向の曲げ剛性より低い。
【0041】
なお複数の第1凹凸部31の少なくともいずれかの主面30aに平行な断面の形状は正六角形である。詳細には、Z軸方向の端部およびY軸方向の端部に位置する第1凹凸部31を除く第1凹凸部31の主面30aに平行な断面の形状は正六角形である。
【0042】
同様に、複数の第2凹凸部32の少なくともいずれかの主面30aに平行な断面の形状は正六角形である。詳細には、Z軸方向の端部およびY軸方向の端部に位置する第2凹凸部32を除く第2凹凸部32の主面30aに平行な断面の形状は正六角形である。
【0043】
取付部33は、ベース22に形成されている図示しないスリットに挿入され、係止する形状を有する。取付部34は、ベース22に形成されている図示しない突起部に嵌合するクリップ状の形状を有する。取付部33をベース22のスリットに挿入してから、取付部34でベース22の突起部に嵌合させることで、絶縁バリア26aはベース22に取り付けられる。
【0044】
絶縁バリア26aの取り付け位置であるベース22のスリットおよび突起部の位置が設計上の位置から異なることがある。例えば、ベース22のスリットおよび突起部は設計上はZ軸に沿って並んで位置しているのに対し、実際のベース22ではスリットおよび突起部はZ軸に沿って並んでいないことがある。このような場合でも、取付部33,34の位置を調節することなく、絶縁バリア26aの取付部33をスリットに挿入してスリットに係止させた状態で板状部材30を曲げることで取付部34を突起部に嵌合させて、絶縁バリア26aをベース22に取り付けることが可能である。
【0045】
以上説明した通り、実施の形態1に係る絶縁バリア26a,26b,26c,26dのそれぞれが備える板状部材30は、複数の第1凹凸部31と複数の第2凹凸部32を有するため、平板より剛性が高い。この結果、例えば小動物の衝突によって絶縁バリア26a,26b,26c,26dが変形し、周辺の部材に接触することが抑制される。板状部材30のZ軸方向の曲げ剛性を板状部材30のY軸方向の曲げ剛性より低くすることで、絶縁バリア26a,26b,26c,26dをベース22に取り付ける位置にずれが生じても、板状部材30を曲げてベース22に取り付けることができるため、絶縁バリア26a,26b,26c,26dの取り付け工程は簡易である。
【0046】
金型を用いて板状部材30と取付部33,34を一体に成形する場合、絶縁バリア26a,26b,26c,26dの製造工程は簡易である。また金型を、板状部材30の主面30aまたは主面30bに使用時の注意事項を表示させるものとすることで、製造後に使用時の注意事項を示すシールの貼付、スタンプの押印等が不要となり、絶縁バリア26a,26b,26c,26dの製造工程は簡易である。
【0047】
(実施の形態2)
絶縁バリア26a,26b,26c,26dが有する板状部材30の構造は、上述の例に限られず、第1方向と第2方向で異なる曲げ剛性を有する任意の構造であればよい。実施の形態1に係る板状部材30と異なる形状を有する板状部材30について実施の形態2で説明する。
【0048】
実施の形態2に係る板状部材30は、第1凹凸部31と第2凹凸部32の配置の仕方が、実施の形態1に係る板状部材30と異なる。複数の第1凹凸部31および複数の第2凹凸部32は、主面30aで板状部材30のベース22に向いている側面に沿った第1方向、すなわち、Z軸方向、および主面30aで第1方向に交差する第2方向、すなわち、Y軸方向のそれぞれに沿って配置される。図8に示すように、第1凹凸部31および第2凹凸部32はそれぞれ、Y軸方向に沿ってジグザグに並べられる。このため、第1方向に沿った第1凹凸部31と第2凹凸部32の並び方と、第2方向に沿った第1凹凸部31と第2凹凸部32の並び方とは異なる。
【0049】
詳細には、第1凹凸部31と第2凹凸部32は、実施の形態1と同様に、第1方向に沿って、同数ずつ交互に配置される。第1方向に沿った断面は、図5と同様である。
【0050】
また第2方向に沿って、第1凹凸部31がジグザグに配置され、第2凹凸部32がジグザグに配置される。例えば、図8のD−D線での矢視断面図である図9に示すように、Y軸方向に、第1凹凸部31が連続して配置される。また例えば、図8のE−E線での矢視断面図である図10に示すように、Y軸方向に第2凹凸部32が連続して配置される。
【0051】
第1凹凸部31と第2凹凸部32とが同数ずつ交互に配置されている方向である第1方向の曲げ剛性は、第1凹凸部31または第2凹凸部32が連続して配置されている方向である第2方向の曲げ剛性より低い。
【0052】
以上説明した通り、実施の形態2に係る絶縁バリア26a,26b,26c,26dのそれぞれが備える板状部材30では、第1方向に第1凹凸部31とが同数ずつ交互に配置され、第2方向に第1凹凸部31または第2凹凸部32が連続してジグザグに配置されている。この結果、板状部材30の剛性は、平板より高くなるため、例えば小動物の衝突によって絶縁バリア26a,26b,26c,26dが変形し、周辺の部材に接触することが抑制される。板状部材30のZ軸方向の曲げ剛性を板状部材30のY軸方向の曲げ剛性より低くすることで、絶縁バリア26a,26b,26c,26dをベース22に取り付ける位置にずれが生じても、板状部材30を曲げてベース22に取り付けることができるため、絶縁バリア26a,26b,26c,26dの取り付け工程は簡易である。
【0053】
第1凹凸部31および第2凹凸部32の主面30aに平行な断面の形状は、六角形に限られず任意である。一例として、第1凹凸部31および第2凹凸部32の主面30aに平行な断面の形状は、任意の多角形、円形、楕円形等でもよい。
【0054】
第1凹凸部31の凸部および第2凹凸部32の凹部のX軸方向の長さは、上述の例に限られず、板状部材30に求められる曲げ剛性に応じて任意に定めることができる。なお一部の第1凹凸部31の凸部のX軸方向の長さを他の第1凹凸部31の凸部のX軸方向の長さと異なる値としてもよい。同様に、一部の第2凹凸部32の凹部のX軸方向の長さを他の第2凹凸部32の凹部のX軸方向の長さと異なる値としてもよい。また第1凹凸部31の凸部のX軸方向の長さと、第2凹凸部32の凹部のX軸方向の長さとは、異なる値でもよい。
【0055】
また隣接する2つの第1凹凸部31の間、隣接する2つの第2凹凸部32の間、あるいは、隣接する第1凹凸部31と第2凹凸部32の間は平面でもよい。
【0056】
第1凹凸部31と第2凹凸部32の配置は、上述の例に限られず、板状部材30の第1方向の曲げ剛性と第2方向の曲げ剛性とが異なれば、第1凹凸部31と第2凹凸部32とは任意の位置に配置することができる。一例として、第2方向に沿って第1凹凸部31または第2凹凸部32を一列に配置してもよい。
なお板状部材30は、一枚の板状の合成樹脂で形成されてもよいし、複数の板状の合成樹脂を例えばスナップフィットによって接合することで形成されてもよい。
【0057】
取付部33,34の形状は、上述の例に限られず、板状部材30をベース22に取り付け可能な任意の形状である。一例として、取付部33,34は共に板状の突起であって、ベース22に形成された2つのスリットのそれぞれに嵌合してもよい。また絶縁バリア26a,26b,26c,26dは、取付部33,34に加えて、さらに板状部材30をベース22に取り付けるための形状を有してもよい。
【0058】
絶縁バリア26a,26b,26c,26dの取り付け位置は上述の例に限られず、ベース22に固定された端子に隣接する位置であれば、任意の位置に取り付けることができる。具体的には、絶縁バリア26a,26b,26c,26dが有する板状部材30の主面30a,30bのいずれかがベース22に固定された任意の端子に隣接し、板状部材30の側面がベース22に向いた状態で、板状部材30がベース22に取り付けられれば、板状部材30の取り付け位置および取り付ける向きは任意である。
【0059】
絶縁バリア26a,26b,26c,26dを備える開閉器1の構造は、上述の例に限られず、負荷を電源に電気的に接続または電源から電気的に切り離す構造であれば、任意である。一例として、可動接触子17a,17b,17cのそれぞれと、ヒューズ18a,18b,18cとを接続する電気回路に抵抗を設けてもよい。なお開閉器1は、断路器、遮断器等を含む。
【符号の説明】
【0060】
1 開閉器、11a,11b,11c 一次端子、12a,12b,12c 二次端子、13a,13b,13c スイッチ部、14a,14b,14c 補助接触子、15a,15b,15c 主接触子、16a,16b,16c,17a,17b,17c 可動接触子、18a,18b,18c ヒューズ、21a,21b,21c 消弧室、22 ベース、23a,23b,23c アーム、24 操作部、25 バー、26a,26b,26c,26d 絶縁バリア、30 板状部材、30a,30b 主面、31 第1凹凸部、32 第2凹凸部、33,34 取付部。
図1
図2
図3
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図10