(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-65223(P2021-65223A)
(43)【公開日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1の用途
(51)【国際特許分類】
A23L 33/135 20160101AFI20210402BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20210402BHJP
A61K 35/747 20150101ALI20210402BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20210402BHJP
【FI】
A23L33/135
C12N1/20 A
C12N1/20 E
A61K35/747
A61P19/06
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-115742(P2020-115742)
(22)【出願日】2020年7月3日
(31)【優先権主張番号】108138888
(32)【優先日】2019年10月28日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】519298765
【氏名又は名称】葡萄王生技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】陳 勁初
(72)【発明者】
【氏名】陳 炎▲錬▼
(72)【発明者】
【氏名】林 詩偉
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲啓▼憲
(72)【発明者】
【氏名】侯 毓欣
(72)【発明者】
【氏名】石 仰慈
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲静▼▲ウェン▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 雅君
(72)【発明者】
【氏名】江 佳琳
(72)【発明者】
【氏名】蔡 侑珊
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲彦▼博
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD85
4B018ME14
4B065AA30X
4B065AC20
4B065CA41
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087CA09
4C087MA17
4C087MA22
4C087MA23
4C087MA27
4C087MA28
4C087MA35
4C087MA37
4C087MA41
4C087MA43
4C087NA14
4C087ZC31
(57)【要約】
【課題】尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1の用途に関する。
【解決手段】ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1含有の組成物を対象に投与すると、血清尿酸を低下させ、更に高尿酸血症を効果的に軽減及び/又は予防することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1の用途において、
前記組成物は、2019年7月10日に寄託番号CGMCC15201で中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された有効量のラクトバチルスロイテリ菌株GKR1を含む尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の用途。
【請求項2】
前記組成物は、前記ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1含有の培養物、前記培養物含有の液体、前記液体の濃縮物及び/又は乾燥物を含む請求項1に記載の尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の用途。
【請求項3】
前記組成物は、経口組成物である請求項1に記載の尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の用途。
【請求項4】
前記組成物は、食品組成物又は医薬組成物である請求項1に記載の尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の用途。
【請求項5】
前記組成物は、食品又は医薬上許容される担体、賦形剤、希釈剤、補助剤及び/又は添加剤を更に含む請求項4に記載の尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の用途。
【請求項6】
前記組成物の剤形は、水溶液、懸濁液、分散液、乳濁液、ヒドロコロイド、ゲル、固体脂質ナノ粒子、錠剤、顆粒剤、粉剤及び/又はカプセル剤である請求項1に記載の尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の用途。
【請求項7】
前記組成物がマウスに投与される場合、前記組成物における前記ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の前記有効量は、少なくとも0.2g/Kg体重/日である請求項1に記載の尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の用途。
【請求項8】
前記組成物が成人に投与される場合、前記組成物における前記ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の前記有効量は、少なくとも0.016g/Kg体重/日である請求項1に記載の尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿酸を低下させる組成物の調製用の単一のラクトバチルス菌株の用途に関し、特に、尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillusc reuteri)菌株GKR1の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
人体内のプリンは、主に、肝臓が尿酸を合成した後で、腎臓により排出される。近年、食形態の変更により、高尿酸血症の患者の比率も、上昇する趨勢にある。生活の中でプリンの高い飲食(例えば、海産物、動物の内臓、ブロス、ビール等)、高脂肪食(例えば、揚げ物)、ストレス、過労、糖含有飲料及び/又は激しい運動に接触すると、血清尿酸濃度を向上させる可能性がある。血清尿酸濃度が正常値から外れると、高尿酸血症(Hyperuricemia)と呼ばれ、痛風性関節炎、腎症及び血管心臓障害等を引き起こす高度に危険な因子である。一般的に、女性の血清尿酸濃度が6mg/dLより高く又は男性の血清尿酸濃度が7mg/dLより高くなると、高尿酸血症と判定することができると考えられる。
【0003】
現在、血清尿酸濃度を低下させる薬物としては、尿酸合成を阻害する薬物[例えば、商品名:アロプリノール錠(Allopurinol)及びフェブリク錠(Febuxostat)]と、尿酸の排出を促進する薬物[例えば、商品名:プロベネシド錠(Probenecid)及びベンズブロマロン錠(Benzbromarone)]との2つの種類に大別される。しかしながら、上記薬物を長期間服用すると、下記の副作用が生じやすい。例えば、アロプリノール錠を長期間服用すれば、スティーブンスジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome)又は中毒性表皮壊死症を引き起こす可能性があり、中毒性表皮壊死症の致死率が20%〜25%と極めて高い。フェブリク錠を長期間服用すれば、例えば、心臓病又は脳卒中等の心血管関連の症状を起こしやすい。プロベネシド錠及びベンズブロマロン錠を長期間服用すれば、尿路結石を発生しやすく、腎機能不全の患者に不適である。
【0004】
プロバイオティクスに関する従来の研究によると、複合菌株[例えば、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)とラクトバチルスラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)]を利用すれば、確実に高尿酸血症を低下させることができる。しかしながら、複合菌株同士の相互作用又は拮抗作用が非常に複雑であり、異なる菌株から構成される複合菌株は、実験的に証明されずに、如何なる組み合わせの複合菌株が特定の適応症に有効であるかを予期できない。単一の菌株のプロバイオティクスによる高尿酸症の処理に関しては、今までほとんど研究がなされてこなかった。
【0005】
これに鑑みて、上記問題を解決するために、血清尿酸を低下させるための単一のプロバイオティクス株の用途の提供が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、本発明の一態様は、尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1の用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記の態様によると、尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1の用途において、組成物は、2019年7月10日に寄託番号CGMCC15201で中国普通微生物菌種保蔵管理センター(China General Microbiological Culture Collection Center;CGMCC)に寄託される有効量のラクトバチルスロイテリ菌株GKR1を含む、尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1の用途を提出する。
【0008】
本発明の上記の実施例によると、前記組成物は、ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1含有の培養物、培養物含有の液体、液体の濃縮物及び/又は乾燥物を含む。
【0009】
本発明の上記の実施例によると、前記組成物は、経口組成物である。
【0010】
本発明の上記の実施例によると、前記組成物は、食品組成物又は医薬組成物である。
【0011】
本発明の上記の実施例によると、前記組成物は、食品又は医薬上許容される担体、賦形剤、希釈剤、補助剤及び/又は添加剤を更に含む。
【0012】
本発明の上記の実施例によると、前記組成物の剤形は、水溶液、懸濁液、分散液、乳濁液、ヒドロコロイド、ゲル、固体脂質ナノ粒子、錠剤、顆粒剤、粉剤及び/又はカプセル剤である。
【0013】
本発明の上記の実施例によると、組成物がマウスに投与される場合、組成物におけるラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の有効量は、少なくとも0.2g/Kg体重/日である。
【0014】
本発明の上記の実施例によると、組成物が成人に投与される場合、組成物におけるラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の有効量は、少なくとも0.016g/Kg体重/日である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1含有の組成物を適用して対象に投与すると、血清尿酸を低下させ、更に高尿酸血症を効果的に軽減及び/又は予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
下記添付図面についての詳しい説明は、本発明の上記及び他の目的、特徴、メリットと実施例をより分かりやすくするためのものである。
【
図1】本発明の一実施例による異なるpH値の培養液における菌株の生存率を示す柱状グラフである。
【
図2】本発明の一実施例による0.3重量%の胆汁酸塩の培養液における菌株の生存率を示す柱状グラフである。
【
図3】本発明の一実施例による血清尿酸濃度を示す柱状グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以上を踏まえて、本発明は、尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1の用途において、上記組成物は、2019年7月10日に寄託番号CGMCC15201で中国普通微生物菌種保蔵管理センター(China General Microbiological Culture Collection Center;CGMCC)に寄託された有効量のラクトバチルスロイテリ菌株GKR1を含む尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1の用途を提供する。
【0018】
実施例において、上記組成物は、ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1含有の培養物、培養物含有の液体、液体の濃縮物及び/又は乾燥物であってよい。前記の培養物とは、ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1が培養工程をされた後で得られた生産物である。培養形態としては、特に制限されなく、従来の固体培養又は液体培養であってよい。前記の液体としては、培養工程をされた後で、栄養液又は類似な物質を培養物に加えた液体であってよい。前記の濃縮物とは、培養物及び/又は液体が従来の濃縮処理方法(例えば、蒸発濃縮法又は膜濃縮法)をされた後で得られた生産物である。前記の乾燥物とは、培養物及び/又は液体が従来の除水処理方法(例えば、凍結乾燥法、真空乾燥法又は噴霧乾燥法)をされて得られた生産物である。
【0019】
上記組成物は経口組成物を含んでよく、経口組成物の種類としては、特に制限されなく、ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1を含有すればよい。
【0020】
実施例において、組成物は、例えば、食品組成物又は医薬組成物であってよい。実施例において、組成物は、例えば、溶剤、乳化剤、懸濁剤、崩壊剤、接着剤、安定剤、キレート剤、希釈剤、ゲル化剤、防腐剤、潤滑剤及び/又は吸収遅延剤等の、食品又は薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、補助剤及び/又は添加剤を選択的に含んでよい。
【0021】
本発明組成物の剤形としては、特に制限されない。実施例において、組成物の剤形としては、水溶液、懸濁液、分散液、乳濁液(単相又は多相の分散系、単層又は多層のリポソーム)、ヒドロコロイド、ゲル、固体脂質ナノ粒子、錠剤、顆粒剤、粉剤及び/又はカプセル剤等であってよい。
【0022】
前記の食品組成物としては、例えば、穀類製品、果物類製品、野菜類製品、肉類製品、魚類製品、卵類製品、乳性製品、飲料、健康食品、保健食品、機能性食品、栄養補助食品又は特殊栄養食品であってよいが、それらに限定されない。
【0023】
上記組成物を適用する場合、その投与経路としては、特に制限されなく、例えば、経口投与であってよく、実際の要求に応じて調整すればよい。上記組成物の投与量及び投与回数についても、要求に応じて柔軟的に調整してよい。実施例において、上記組成物がマウスに投与される場合、組成物におけるラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の有効量は、少なくとも0.2g/Kg体重/日である。組成物が成人に投与される場合、組成物におけるラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の有効量は、少なくとも0.016g/Kg体重/日である。[2005年に米国食品医薬品局の発表する実験初期の推定方法(Estimating the maximum safe starting dose in initial clinical trials for therapeutics in adult healthy volunteers)に、人体の1日あたりの体重キログラムあたりの参考摂取量(/kg b.w./d)の12.3倍をマウスの1倍の用量として換算する]。投与回数として、1日に1回投与し又は数回に分けて投与してよい。
【0024】
本発明のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1含有の組成物は、対象に投与されると、血清尿酸を低下させ、更に高尿酸血症を効果的に軽減及び/又は予防することができることが実験的に確認される。
【0025】
以下、本発明の適用を実施例で説明するが、これは本発明を限定するためのものではなく、当業者であれば、本発明の精神や範囲から逸脱しない限り、各種の変更と修正を加えることができる。
1.ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株の性質
(1)ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の調製
【0026】
ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1は、寄託番号CGMCC15201で2019年7月10日に中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された。
(2)ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の耐酸性に対する評価
【0027】
ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1と市販のラクトバチルスロイテリ菌株(BCRC80379、BCRC80063、BCRC17477、BCRC16091とBCRC14625)に対して、耐酸性をテストした。まず、HClをMRS培養液(De Man、Rogosa & Sharpe broth、MRS broth)に添加し又は添加せずに、培養液のpH値をそれぞれpH6.5(HClを加えない群)、pH3.2、pH2.4とpH2.0にした。次に、前記菌株を活性化した後で、異なるpH値の培養液に加えて、37℃で3時間培養した後で、コロニーの数を算出した。菌株のpH6.5(HClを加えない群)での菌株の生存率を100%として、菌株の異なるpH値の培養液での生存率を換算した。
【0028】
本発明の一実施例による異なるpH値の培養液における菌株の生存率を示す柱状グラフである
図1を参照されたい。X軸は左から右へpH6.5、pH3.2、pH2.4とpH2.0の培養液のpH値であり、Y軸は細胞生存率(%)であり、垂直バー101はラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の生存率を表し、垂直バー103はラクトバチルスロイテリ菌株BCRC80379の生存率を表し、垂直バー105はラクトバチルスロイテリ菌株BCRC80063の生存率を表し、垂直バー107はラクトバチルスロイテリ菌株BCRC17477の生存率を表し、垂直バー109はラクトバチルスロイテリ菌株BCRC16091の生存率を表し、且つ垂直バー111はラクトバチルスロイテリ菌株BCRC14625の生存率を表すものであった。
【0029】
図1の結果によると、培養液のpH値がpH3.2、pH2.4とpH2.0である場合、本発明のラクトバチルスロイテリ菌株GKR1(垂直バー101)は、細胞生存率が90%、67%と8%よりも高く、そのいずれの生存率も市販のラクトバチルスロイテリより高かった。
(3)ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の耐胆汁酸塩性に対する評価
【0030】
ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1と市販のラクトバチルスロイテリ菌株(BCRC80379、BCRC80063、BCRC17477、BCRC16091とBCRC14625)に対して、耐胆汁酸塩性をテストした。まず、0.3重量%の胆汁酸塩をMRS(De Man、Rogosa & Sharpe broth、MRS)培養液に添加し又は添加せずに、37℃で半時間浸した後で、コロニーの数を算出した。胆汁酸塩を添加していない培養液における菌株の生存率を100%として、0.3重量%の胆汁酸塩を含有する培養液での菌株の生存率を換算した。
【0031】
本発明の一実施例による0.3重量%の胆汁酸塩の培養液における菌株の生存率を示す柱状グラフである
図2を参照されたく、X軸は左から右へそれぞれ胆汁酸塩を添加していない培養液と胆汁酸塩を添加した培養液であり、Y軸は細胞生存率(%)であり、垂直バー201はラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の生存率を表し、垂直バー203はラクトバチルスロイテリ菌株BCRC80379の生存率を表し、垂直バー205はラクトバチルスロイテリ菌株BCRC80063の生存率を表し、垂直バー207はラクトバチルスロイテリ菌株BCRC17477の生存率を表し、垂直バー209はラクトバチルスロイテリ菌株BCRC16091の生存率を表し、且つ垂直バー211はラクトバチルスロイテリ菌株BCRC14625の生存率を表すものであった。
【0032】
図2の結果によると、本発明のラクトバチルスロイテリ菌株GKR1は、0.3重量%の胆汁酸塩を添加した培養液における細胞生存率(例えば、垂直バー201に示すように)が、市販のラクトバチルスロイテリよりも著しく高いことが判明された。
2.高尿酸血症マウスの動物モードの作成
(1)高尿酸血症マウスの誘発
【0033】
マウスは、バイオラスコ社(BioLASCO Taiwan Co.、Ltd.、Taiwan)のフィラデルフィア癌研究所(Institute of Cancer research)から購入したICR系の雄マウスであり、週齢が5週齢であり、且つ体重が27.5g〜32.5gであった。マウスを温度22±3℃、湿度40%〜70%、12時間明及び12時間暗の循環する光照射で飼育し、且つ十分な飼料及び無菌の逆浸透水を与えてマウスに自由に摂取させた。1週間馴化して適応させた後で、動物実験を行った。実験過程は、農業庁の実験動物照護や使用案内及び台湾動物保護法の関連規定に従って行われた。
【0034】
動物実験の前に、マウスを1群8匹ずつの4群にランダムに分け、1ケージにつき4匹として、1群に2ケージがあった。コントロール群に、正常な飼料を与えて摂取させた。陰性対照群に、高尿酸血症を誘発するように、毎日2.5重量%のオキソン酸カリウム(potassium oxonate)及び1重量%のRNAを含有した飼料を与えて摂取させたが、如何なる薬物も与えなかった。陽性対照群に、陰性対照群と同じである方法によって高尿酸血症を誘発し、且つ毎日5mg/kg b.w.のアロプリノールを経口投与した。ラクトバチルスロイテリ(GKR1)群に、陰性対照群と同じである方法によって高尿酸血症を誘発し、且つ毎日0.205g/kg b.w.のラクトバチルスロイテリ(GKR1)を経口投与した。
【0035】
本実験は、全部で7日間行われ、実験終了後に眼窩から0.5mL〜0.8mL採血して、血清尿酸濃度を分析した。
(2)マウスの各基本的な生理的パラメータの評価
【0036】
実験中、毎日にマウスの体重変化と摂取量を記録し、マウスの各基本的な生理的パラメータの変化を観察した。表1は、実験中のマウスの体重変化であり、単位がグラム(g)であり、データがダンカン(Duncan)検定法によって統計され、異なる小文字の英字が群間で比較すると著しい差異がある(p<0.05)ことを表し、同じ小文字の英字の標識が群間に著しい差異がない(p>0.05)ことを表した。表1によると、0日目及び7日目に、各群の間のマウスの体重に著しい差異がないことが判明された。
【0038】
表2は、実験の7日目のマウスの体重変化であり、各群のマウスの摂取量に大きな差異はなかった。
【0040】
上記各生理的パラメータによると、ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の摂取は、マウスの成長状態に影響を与えていないことが説明された。
3.ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の血清尿酸に対する低下効果
【0041】
血清尿酸濃度を市販の尿酸定量キット(QuantiChrom Uric Acid Assay Kit、BioAssay Systems;USA)で検出し、マウスの血清尿酸(Uric acid;UA)の濃度を評価した。
【0042】
本発明の一実施例による血清尿酸濃度を示す柱状グラフである
図3を参照されたい。X軸は左から右へコントロール群、陰性対照群、陽性対照群及びラクトバチルスロイテリ(GKR1)群である。Y軸は血清尿酸濃度であり、単位がmg/dLである。
【0043】
図3の結果によると、陰性対照群に比べると、ラクトバチルスロイテリ(GKR1)群の血清尿酸濃度は明らかに低下したことが判明された。
【0044】
上記実施例から分かるように、本発明の尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1の用途は、単一の菌株のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1含有の組成物を対象に投与すると、血清尿酸を低下させ、更に高尿酸血症を効果的に軽減及び/又は予防することができるというメリットを持つ。
【0045】
理解すべきなのは、本発明では、雄マウスで高尿酸血症の動物モードを作成したが、ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1の投与対象の性別を制限するように使用されるべきではない。当業者であれば、雄マウスでラクトバチルスロイテリ菌株GKR1による血清尿酸に対する低下効果が証明されるので、ラクトバチルスロイテリ菌株GKR1が雌マウスに対しても同じ又は類似な効果を持つことを理解できるべきである。
【0046】
補充すべきなのは、本発明では、特定のプロセス及び/又は特定の分析方法を例示として、本発明の尿酸を低下させる組成物の調製用のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1の用途を説明したが、当業者であれば、本発明はこれに限定されず、本発明の精神や範囲から逸脱せずに、本発明のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)菌株GKR1含有の組成物は他のプロセス、他の分析方法又は他の器具で行ってもよいことを理解すべきである。
【0047】
本発明は、複数の実施例によって上記のように説明したが、本発明を限定するためのものではなく、当業者であれば、本発明の精神や領域から離脱しない限り、多様の変動や修正を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0048】
101、103、105、107、109、111、201、203、205、207、209、211:垂直バー