特開2021-65360(P2021-65360A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-65360(P2021-65360A)
(43)【公開日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】作業用フェイスマスク
(51)【国際特許分類】
   A62B 18/02 20060101AFI20210402BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20210402BHJP
【FI】
   A62B18/02 B
   A41D13/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-191893(P2019-191893)
(22)【出願日】2019年10月21日
(71)【出願人】
【識別番号】519027187
【氏名又は名称】株式会社笠井仏檀工芸
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】笠井 武
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA04
2E185CC07
2E185CC32
2E185CC44
(57)【要約】
【課題】塗装作業時などに使用する作業用フェイスマスクにおいて目を保護するゴーグル部を設けると共に、簡易な構造を付加することで、ゴーグル部のレンズ面が曇らないようにし、且つ1本の装着ベルトでの頭部装着を行う作業用フェイスマスクを提供する。
【解決手段】前面にレンズ面11を備えたゴーグル部1と、鼻部及び口部を密閉状態で覆うと共に、吸気作動のフィルタ部23逆止弁を備えた吸気部213、及び呼気作動の逆止弁を備えた呼気部214を設けたマスク部2とを一体に形成すると共に、ゴーグル部1とマスク部2との間にゴーグル部への通気方向を遮断する逆止弁からなる通気部215を設けてなり、ゴーグル部とマスク部の各々に基端を連結したマスク部装着ベルト31及びゴーグル部装着ベルト32を一本化して、ゴーグル部及びマスク部が密閉状態を維持して顔面に装着可能とした頭部装着部3を付設してなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面にレンズ面を備え顔面に密閉状態で装着されるゴーグル部と、
鼻部及び口部を密閉状態で覆うと共に、吸気作動のフィルタ部と逆止弁を備えた吸気部、及び呼気作動の逆止弁を備えた呼気部を設けたマスク部とを一体に形成すると共に、
顔面装着時に各々密閉空間となるゴーグル部とマスク部との間にゴーグル部への通気方向を遮断する逆止弁からなる通気部を設けてなり、
前記ゴーグル部とマスク部の各々に基端を連結したマスク部装着ベルト及びゴーグル装着ベルトを一本化し、ゴーグル部及びマスク部が密閉状態を維持して顔面に装着可能とした頭部装着部を付設したことを特徴とする作業用フェイスマスク。
【請求項2】
顔の上方部分を覆うゴーグル部と、三角形状のマスク部において、ゴーグル部の中央下方部分にマスク部の三角頂点部分を侵入させた状態で連結し、当該侵入部分に通気部を設けてなる請求項1記載の作業用フェイスマスク。
【請求項3】
マスク部に基端を連結したマスク部装着ベルトの先端を、マスク部を顔面側に付勢させてゴーグル装着ベルト基端に連結してなる請求項2記載の作業用フェイスマスク。
【請求項4】
ゴーグル部が1レンズ面で形成される一眼タイプである請求項2又は3記載の作業用フェイスマスク。
【請求項5】
ゴーグル部が2レンズ面で形成される眼鏡タイプである請求項2又は3記載の作業用フェイスマスク。
【請求項6】
マスク部内空間とゴーグル部内空間との間に複数の通気部を設けてなる請求項1乃至5記載の何れかの作業用フェイスマスク。
【請求項7】
マスク部の前面に吸気部を設けると共に吸気部の下方に呼気部を設けてなる請求項1乃至6記載の何れかの作業用フェイスマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装作業時などに使用する作業用フェイスマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業中の呼吸時に粉塵の吸引を防止し、且つ目を保護するフェイスマスクは、視覚を阻害しない透明な前面(レンズ面)を備え、呼吸時における吸気に際して粉塵除去のためのフィルタ部を介するようにしているものである。またレンズ面に曇りが生ずると作業に支障が生ずるので、これらのフェイスマスクには、曇り止め機構を備えている(特許文献1,2)。
【0003】
例えばゴーグル部とマスク部を合体したフェイスマスク(特許文献1)や、顔面全体を覆う透明なフェイス保護部(=ゴーグル部)の内側に呼吸用のマスク部を設けたフェイスマスク(特許文献2)においては、呼吸時の吸気がゴーグル部を通過するようにして、ゴーグル部内に常に新鮮な外気が導入されるようにしてレンズ面の防曇を実現している。
【0004】
すなわち呼吸時の吸気が、付属若しくは付設したフィルタ部を通過してゴーグル部に入り、ゴーグル部から逆止弁を介してマスク部内に入って、そこでマスク装着者の吸気となる。呼気はマスク部から逆止弁を介して直接外気に放出される構成となっている。
【0005】
また上記のフェイスマスクは、顔面を広く覆うと共に、顔面に密着する必要があり、特許文献1開示のフェイスマスクはゴーグル部の装着用とマスク部装着用の上下二段の装着ベルトを備えており、特許文献2開示のフェイスマスクも上下二段の装着ベルトを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59−156356号公報。
【特許文献2】特開2007−20675号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従前のフェイスマスクは、呼吸時の吸気が一旦ゴーグル部を通過する構成であるので、特許文献1に示されている作業用フェイスマスクのように、ゴーグル部に防塵用のフィルタ部を付属させたフェイスマスクでは、フィルタ部を頭部背後位置等に別に設け、ゴーグル部と通気パイプで連結する必要があり、作業者にとってフィルタ部はマスク装着時や作業時の邪魔になる。
【0008】
また特許文献2に示されている作業用フェイスマスクのように顔全体を覆うフェイス保護部(=ゴーグル部)にフィルタ部を付設するフェイスマスクでは、マスク全体が多重構造となり、且つ全体が嵩張ってしまう。
【0009】
前記の課題解決手段として、先に、マスク部に吸気作動の逆止弁を備えたフィルタ部からなる吸気部と呼気作動の逆止弁を備えた呼気部を設け、ゴーグル部とマスク部との間にゴーグル部への通気方向を遮断する逆止弁からなる通気部を設けて防曇機能を備えた作業用フェイスマスクを提案した(特願2019−009858号)。
【0010】
またゴーグル部とマスク部を合体させた作業用フェイスマスクにおいては、ゴーグル部における顔面との当接面部及びマスク部における裏面の口周当接部が顔面に密着させるために、柔軟性を有すると共に、上下二段の装着ベルトを備えており、フェイスマスクの着脱操作性に不便を感ずる。
【0011】
そこで本発明は、簡易な構造で防曇機能を備えると共に、着脱操作性に優れた作業用フェイスマスクを提案した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1記載に係る作業用フェイスマスクは、前面にレンズ面を備え顔面に密閉状態で装着されるゴーグル部と、鼻部及び口部を密閉状態で覆うと共に、吸気作動のフィルタ部と逆止弁を備えた吸気部、及び呼気作動の逆止弁を備えた呼気部を設けたマスク部とを、一体に形成すると共に、顔面装着時に各々密閉空間となるゴーグル部とマスク部との間にゴーグル部への通気方向を遮断する逆止弁からなる通気部を設けてなり、前記ゴーグル部とマスク部の各々に基端を連結したマスク部装着ベルト及びゴーグル部装着ベルトを一本化し、ゴーグル部及びマスク部が密閉状態を維持して顔面に装着可能とした頭部装着部を付設したことを特徴とするものである。
【0013】
而して本マスクは、塗装作業等の粉塵環境内での作業に使用するもので、1本化した頭部装着部を以て作業者の頭部に装着することで、作業者の顔面はゴーグル部とマスク部が密閉状態で覆われることになる。従って作業者の呼吸はマスク部に設けられた吸気部と呼気部を通してなされ、フィルタ部によって粉塵の吸引が阻止され、ゴーグル部によって目が保護される。
【0014】
特にゴーグル部のレンズ面の防曇は、通気部の通気によってなされる。マスク部内及びゴーグル部内は基本的に大気圧と一致するが、呼吸によってマスク部内の気圧が微妙に変動する。即ち吸気においてはマスク部の圧力が低下し、呼気においてはマスク部内の圧力が高まる。従って吸気によって外気がマスク内に入ると共にマスク部内の圧力が低下して通気部が開口し、湿度が高い呼気によってマスク部の圧力が高まり通気部が閉じるので、吸気時の瞬間に通気部が開口してゴーグル部内の空気が僅かに入れ替わる。このゴーグル部内の空気が僅かずつ入れ替わることでレンズ面の曇りが防止される。
【0015】
また本発明の請求項2記載に係る作業用フェイスマスクは、前記のマスクにおいて特に、顔の上方部分を覆うゴーグル部と、三角形状のマスク部において、ゴーグル部の中央下方部分にマスク部の三角頂点部分を侵入させた状態で連結し、当該侵入部分に通気部を設けてなるもので、全体がコンパクトとなり、通気部の形成位置もゴーグル部の中央になりゴーグル部内の換気が効率的に行われる。
【0016】
また本発明の請求項3記載に係る作業用フェイスマスクは、特にマスク部に基端を連結したマスク部装着ベルトの先端を、マスク部を顔面側に付勢させてゴーグル装着ベルト基端に連結してなるもので、マスク部が付勢されているので、顔面装着状態よりにゴーグル部に対しては裏面側に僅かに屈曲している状態或いは前方突出に抵抗する作用を有するので、顔面装着時にゴーグル部を顔面に密着させるに伴ってマスク部も顔面に密着することになり、ゴーグル装着ベルトのみで作業用フェイスマスクの装着が可能となる。
【0017】
また本発明の請求項4,5記載に係る作業用フェイスマスクは、ゴーグル部が1レンズ面で形成される一眼タイプであり、またゴーグル部が2レンズ面で形成される眼鏡タイプで、本発明はゴーグル部の態様に関係なく適用されるものである。
【0018】
また本発明の請求項6記載に係る作業用フェイスマスクは、マスク部内空間とゴーグル部内空間との間に複数の通気部を設けてなるもので、通気部の通気によるレンズ面の防曇機能がより効果的に行われる。
【0019】
また本発明の請求項7記載に係る作業用フェイスマスクは、マスク部の前面に吸気部を設けると共に吸気部の下方に呼気部を設けてなるので、通気出入り箇所がマスクの上下に並んで配置され、通気部におけるゴーグル部内への換気がスムーズに流れる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の構成は上記のとおりで、防曇機能を有するゴーグル部を備えた作業用フェイスマスクの小型化を実現できると共に、一本の頭部装着部で顔面への装着が可能となるので、着脱操作性も良好となったものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態の説明図(使用状態の正面図)。
図2】同図(背面図)。
図3】同空気流通の説明図。
図4】同要部拡大斜視図。
図5】同ゴーグル部の別例の正面図。
図6】同頭部装着部の別例図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示した作業用フェイスマスクは、ゴーグル部1とマスク部2と頭部装着部3で構成される。
【0023】
ゴーグル部1は顔Aの上方部分を覆う形状で、前面にレンズ面11を備え、前記レンズ面11は、レンズ枠部12で保持され、レンズ枠部12の顔面に密着する側の当接面部13は、適宜クッション材で形成してなる。またレンズ枠部12の両端にベルト連結部14を設けてなる。
【0024】
マスク部2は、鼻部及び口部を密閉状態で覆う正面三角形状の被覆部21と、被覆部21の保持部22と被覆部外方に装着されるフィルタ部23を備えてなる。
【0025】
被覆部21は、ゴム質材で形成され、周縁裏面部211は内方に折返して柔軟性を確保し、顔面に密着可能にしている。また前記被覆部21の三角頂部212は、ゴーグル部1の中央下方部分に侵入させた状態で連結して、ゴーグル部1と一体化してなり、ゴーグル部1とマスク部2を顔面に装着した際に、ゴーグル部1とマスク部2は各々密封状態となるように形成したものである。
【0026】
また被覆部21には、吸気部213、呼気部214、通気部215を設けたもので、吸気部213は被覆部21の正面、呼気部214は吸気部213の下方、通気部215は三角頂部212に設けたものである。
【0027】
前記の吸気部213は、外気から被覆部21への通過を許容し、被覆部21から外気への通過を阻止する逆止弁で形成され。呼気部214は、被覆部21内から外気への通過を許容し、外気から被覆部21内への通過を阻止する逆止弁で形成されているものである。
【0028】
通気部215はゴーグル部1内に突出侵入している三角頂部212に設けたもので、ゴーグル部1と被覆部21との間の通気遮断・通過をなす逆止弁で、被覆部21内がゴーグル部1内よりも気圧が高いときに閉口し、被覆部21内がゴーグル部1内よりも気圧が低いときに開口する。
【0029】
また被覆部21の露出部分中央に被覆部21を保持する保持部22を付着させてなり、保持部22の左右両端にベルト装着部221を設け、頭部装着部3を構成するマスク部装着ベルト31を連結してなる。
【0030】
更に被覆部21の吸気部213の外方位置に、外気の粉塵の被覆部21内への塵埃の侵入を阻止するフィルタ部23を設けてなる。
【0031】
頭部装着部3は、マスク部装着ベルト31とゴーグル装着ベルト32からなり、マスク装着ベルト31はゴムバンドでゴーグル部1のベルト連結部14とマスク部2のベルト装着部221に両端を連結し、マスク部2をゴーグル側に付勢して、マスク部2を顔面装着状態よりにゴーグル部1に対しては裏面側に僅かに屈曲している状態或いは前方突出に抵抗する作用を有する構成としている。
【0032】
またゴーグル装着ベルト32は、ゴーグル部1のベルト連結部14に基端を連結し、他方端側にベルトを相互に連結する適宜な連結部材を設けているものである。
【0033】
而して本マスクは、塗装作業等の粉塵環境内での作業に使用するもので、一体となっているゴーグル部1及びマスク部2で顔面Aを覆うと共にゴーグル装着ベルト32を締め、ゴーグル部1及びマスク部2を顔面密着させて装着する。
【0034】
特にマスク装着ベルト31でマスク部2を背面方向に付勢(ゴーグル部が僅かに背面側に屈極し、或いは前方突出方向に対して抵抗力が作用)しているので、ゴーグル部1を顔面Aに密着させると、マスク部2も自然に顔面に密着する。従ってゴーグル装着ベルト32で頭部に本マスクを装着することで、ゴーグル部1及びマスク部2は顔面に密着装着される。
【0035】
本マスクを顔面Aに装着した際の作業者の呼吸は、外気がフィルタ部23を通過して吸気部213から被覆部21内に入り、呼気部214から外気に放出されるもので、この呼吸時にはフィルタによって粉塵が遮断され、またゴーグル部1によって目が保護されることになる。
【0036】
特にゴーグル部1のレンズ面11の防曇は、呼吸時における被覆部21内の圧力変化によって通気部215での通気によって実現する。
【0037】
吸気時においては、被覆部21内の圧力が低下し、呼気においては被覆部21内の圧力が高まるので、通気部215は吸気時に開口し、呼気時に閉口することになる。この吸気時の僅かな時間に通気部215が開口し、ゴーグル部1内の空気が吸気部213を通過した外気と僅かに入れ替わることになる。即ち呼吸のたびにゴーグル内の空気が粉塵除去された外気と僅かずつ入れ替わることになり、ゴーグル部1内の湿度が高まることが防止され、レンズ面11が曇ることがない。
【0038】
また本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、図5に示したようにレンズ面11aが並列する眼鏡型ゴーグル部1aを採用する作業用フェイスマスクにも適用できる。
【0039】
さらには、1眼型のゴーグル部1及び眼鏡型ゴーグル部1aの何れを採用したとしても、通気部215を横列するように複数設けることもできる。
【0040】
また図6に示すように、マスク部装着ベルト31aを直接ゴーグル部1のベルト連結部14に連結せずに、ゴーグル装着ベルト32に縫合連結して、Y状の装着ベルトを採用するようにしても良い。
【0041】
以上のとおりであるから、本発明はゴーグル部1,1aとマスク部2で構成される簡易な小型な作業用マスクに、簡易な構造で防曇機能を付与すると共に装着容易性を高めたものである。
【符号の説明】
【0042】
1,1a ゴーグル部
11,11a レンズ面
12 レンズ枠部
13 当接面部
14 ベルト連結部
2 マスク部
21 被覆部
211 周縁裏面部
212 三角頂部
213 吸気部
214 呼気部
215 通気部
22 保持部
221 ベルト装着部
23 フィルタ部
3 頭部装着部
31,31a マスク部装着ベルト
32,32a ゴーグル装着ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6