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特開2021-66150高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-66150(P2021-66150A)
(43)【公開日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/00 20060101AFI20210402BHJP
   C08K 5/1575 20060101ALI20210402BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20210402BHJP
   B29C 45/78 20060101ALI20210402BHJP
【FI】
   B29C45/00
   C08K5/1575
   C08L23/12
   B29C45/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-195117(P2019-195117)
(22)【出願日】2019年10月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000191250
【氏名又は名称】新日本理化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢地莉勇人
(72)【発明者】
【氏名】岩崎祥平
(72)【発明者】
【氏名】宮崎謙一
【テーマコード(参考)】
4F206
4J002
【Fターム(参考)】
4F206AA11
4F206AB19
4F206AB20
4F206AR06
4F206JA07
4F206JF01
4F206JM01
4J002BB121
4J002EL106
4J002GC00
4J002GM00
4J002GN00
4J002GQ00
4J002HA09
(57)【要約】
【課題】本発明は、ポリプロピレン系樹脂本来の軽量性を損なうことなく、更に成形性や耐衝撃性にも優れた高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】特定のポリプロピレン系樹脂と特定のジアセタール化合物を含有し、且つ、特定の条件下で調製したポリプロピレン系樹脂組成物を原料とし、特定の条件下で成形することにより、得られたポリプロピレン系樹脂成形体の剛性が著しく向上することを見出し、上記課題が解決された。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂とジアセタール化合物を含有するポリプロピレン系樹脂組成物を用いて成形した高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体であって、
前記ポリプロピレン系樹脂が、13C−NMR法によるアイソタクチックペンタッド分率が0.96〜0.995の範囲の高立体規則性を有しており、且つ、GPC法による分子量分布(Mw/Mn)が4〜16の範囲である高結晶性のポリプロピレン系樹脂であり、
前記ジアセタール化合物が、下記一般式(1)で示されるジアセタール化合物であり、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物が、ジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度以上で溶融混合後、冷却固化したポリプロピレン系樹脂組成物であり、
前記成形方法が、ジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度未満で成形する配向ゲル成形法である、
高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【化1】
[式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数2〜4のアルケニル基又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。m及びnは、それぞれ1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。2つのRは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。2つのR基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
【請求項2】
更に、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(230℃)が、30g/10min以上である、請求項1に記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【請求項3】
ポリプロピレン系樹脂の13C−NMR法によるアイソタクチックペンタッド分率が0.97〜0.99の範囲である、請求項1又は2に記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【請求項4】
ポリプロピレン系樹脂のGPC法による分子量分布(Mw/Mn)が4〜10の範囲である、請求項1〜3の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【請求項5】
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(230℃)が、35g/10min以上である、請求項1〜4の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【請求項6】
前記一般式(1)において、R及びRが、同一又は異なって、メチル基又はエチル基であり、かつ、Rが水素原子であり、m及びnが1又は2の整数であり、pが1である、請求項1〜5の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【請求項7】
前記一般式(1)において、R及びRが、同一又は異なって、プロピル基又はプロポキシ基であり、かつ、Rがプロピル基又はプロペニル基であり、m及びnが1であり、pが1である、請求項1〜5の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【請求項8】
ポリプロピレン系樹脂とジアセタール化合物を含有する高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法であって、
前記ポリプロピレン系樹脂が、13C−NMR法によるアイソタクチックペンタッド分率が0.96〜0.995の範囲の高立体規則性を有しており、且つ、GPC法による分子量分布(Mw/Mn)が4〜16の範囲である高結晶性のポリプロピレン系樹脂であり、
前記ジアセタール化合物が、下記一般式(1)で示されるジアセタール化合物であり、
ジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解した後、冷却固化してポリプロピレン系樹脂組成物を調製した後、該ポリプロピレン系樹脂組成物をジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度未満で成形することを特徴とする、高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【化2】
[式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数2〜4のアルケニル基又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。m及びnは、それぞれ1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。2つのRは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。2つのR基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
【請求項9】
更に、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(230℃)が、30g/10min以上である、請求項8に記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【請求項10】
ポリプロピレン系樹脂の13C−NMR法によるアイソタクチックペンタッド分率が0.97〜0.99の範囲である、請求項8又は9に記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【請求項11】
ポリプロピレン系樹脂のGPC法による分子量分布(Mw/Mn)が4〜10の範囲である、請求項8〜10の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【請求項12】
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(230℃)が、35g/10min以上である、請求項8〜11の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【請求項13】
前記一般式(1)において、R及びRが、同一又は異なって、メチル基又はエチル基であり、かつ、Rが水素原子であり、m及びnが1又は2の整数であり、pが1である、請求項8〜12の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【請求項14】
前記一般式(1)において、R及びRが、同一又は異なって、プロピル基又はプロポキシ基であり、かつ、Rがプロピル基又はプロペニル基であり、m及びnが1であり、pが1である、請求項8〜12の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体及びその製造方法に関し、詳しくは、特定のポリプロピレン系樹脂と特定のジアセタール化合物を含有した特定の条件下で調製したポリプロピレン系樹脂組成物を特定の条件下で成形することにより得られる非常に優れた剛性を有する高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂は、安価でかつ非常にバランスの良い性能を有しており、様々な用途で幅広く使われている。中でもポリプロピレン系樹脂は、これまでの改良により剛性などの機械的特性や耐熱性などの熱的特性が大きく改善されて、自動車材料や工業材料などの分野で他の材料からの置き換えが進んでいる。特に自動車材料の分野では、近年の省エネルギー化の流れの中で、軽量化の面からも更にポリプロピレン系樹脂への切替が進められようとしている。
【0003】
上述の通り、これまでの改良によりポリプロピレン系樹脂の機械的特性が大きく向上されてきたが、例えば、自動車材料における軽量化の為には更なる充填剤等の量低減や薄肉化が必要であり、その為にはより一層のポリプロピレン系樹脂の剛性向上が求められている。
【0004】
ポリプロピレン系樹脂の剛性を向上する方法には、大きく分けてポリプロピレン系樹脂の改良と添加剤の配合による改良の2つの流れがある。例えば、ポリプロピレン系樹脂の改良の場合、分子量やその分布、結晶性、更には様々な高次構造を制御することで剛性を向上することができる(特許文献1〜3)。また、添加剤を配合する場合、最も簡単な方法は充填剤の配合であるが、その場合重量が増加するという問題があり、上記軽量化の求められている自動車材料などの分野では他の方法、例えば、結晶核剤等を配合して樹脂の配向を制御する方法なども広く使われている(特許文献4〜6)。
【0005】
樹脂の配向は、成形方法や成形条件により、一定の配向をもたらすことが可能であり、金型等の設計などの様々な工夫により剛性を上げることも試みられているが、より簡便な方法として、例えば、針状や板状の充填剤などの添加剤を配合してその添加剤を特定の方向に配向させることによりポリプロピレン系樹脂を配向させる技術が広く用いられている(特許文献7、8)。また、特定の核剤を用いた所謂配向ゲル成形によっても一定の配向をもたらすことができる(特許文献9)。
【0006】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平3−2207号公報
【特許文献2】特開平8−217823号公報
【特許文献3】特開平11−12322号公報
【特許文献4】特開平11−293084号公報
【特許文献5】特開2014−95045号公報
【特許文献6】特開2018−168386号公報
【特許文献7】特開平5−279526号公報
【特許文献8】特開平7−236537号公報
【特許文献9】国際公開99/24496号
【0008】
上述の通り、これまでも様々な方法によりポリプロピレン系樹脂の剛性向上が試みられてきたが、充填剤を配合する方法以外では、未だ十分な剛性が得られていないのが現状であり、また、充填剤配合系は上述の通り、軽量化が求められる自動車用途などではその改善が強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の様な問題のない、即ちポリプロピレン系樹脂本来の軽量性を損なうことなく、更に成形性や耐衝撃性にも優れた高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上述の状況に鑑み、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、特定のポリプロピレン系樹脂と特定のジアセタール化合物を含有し、且つ、特定の条件下で調製したポリプロピレン系樹脂組成物を原料とし、特定の条件下で成形することにより、得られたポリプロピレン系樹脂成形体の剛性が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は以下に示す特定のポリプロピレン系樹脂と特定のジアセタール化合物を含有する特定の条件下で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を特定の条件下で成形することにより得られる高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体及びその製造方法を提供するものである。
【0012】
[項1] ポリプロピレン系樹脂とジアセタール化合物を含有するポリプロピレン系樹脂組成物を用いて成形した高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体であって、
前記ポリプロピレン系樹脂が、13C−NMR法によるアイソタクチックペンタッド分率が0.96〜0.995の範囲の高立体規則性を有しており、且つ、GPC法による分子量分布(Mw/Mn)が4〜16の範囲である高結晶性のポリプロピレン系樹脂であり、
前記ジアセタール化合物が、下記一般式(1)で示されるジアセタール化合物であり、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物が、ジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度以上で溶融混合後、冷却固化したポリプロピレン系樹脂組成物であり、
前記成形方法が、ジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度未満で成形する配向ゲル成形法である、
高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【化1】
[式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数2〜4のアルケニル基又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。m及びnは、それぞれ1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。2つのRは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。2つのR基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
【0013】
[項2] 更に、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(230℃)が、30g/10min以上である、[項1]に記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【0014】
[項3] ポリプロピレン系樹脂の13C−NMR法によるアイソタクチックペンタッド分率が0.97〜0.99の範囲である、[項1]又は[項2]に記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【0015】
[項4] ポリプロピレン系樹脂のGPC法による分子量分布(Mw/Mn)が4〜10の範囲である、[項1]〜[項3]の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【0016】
[項5] ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(230℃)が、35g/10min以上である、[項1]〜[項4]の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【0017】
[項6] 前記一般式(1)において、R及びRが、同一又は異なって、メチル基又はエチル基であり、かつ、Rが水素原子であり、m及びnが1又は2の整数であり、pが1である、[項1]〜[項5]の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【0018】
[項7] 前記一般式(1)において、R及びRが、同一又は異なって、プロピル基又はプロポキシ基であり、かつ、Rがプロピル基又はプロペニル基であり、m及びnが1であり、pが1である、[項1]〜[項5]の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体。
【0019】
[項8] ポリプロピレン系樹脂とジアセタール化合物を含有する高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法であって、
前記ポリプロピレン系樹脂が、13C−NMR法によるアイソタクチックペンタッド分率が0.96〜0.995の範囲の高立体規則性を有しており、且つ、GPC法による分子量分布(Mw/Mn)が4〜16の範囲である高結晶性のポリプロピレン系樹脂であり、
前記ジアセタール化合物が、下記一般式(1)で示されるジアセタール化合物であり、
ジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解した後、冷却固化してポリプロピレン系樹脂組成物を調製した後、該ポリプロピレン系樹脂組成物をジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度未満で成形することを特徴とする、高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【化2】
[式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数2〜4のアルケニル基又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。m及びnは、それぞれ1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。2つのRは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。2つのR基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
【0020】
[項9] 更に、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(230℃)が、30g/10min以上である、[項8]に記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【0021】
[項10] ポリプロピレン系樹脂の13C−NMR法によるアイソタクチックペンタッド分率が0.97〜0.99の範囲である、[項8]又は[項9]に記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【0022】
[項11] ポリプロピレン系樹脂のGPC法による分子量分布(Mw/Mn)が4〜10の範囲である、[項8]〜[項10]の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【0023】
[項12] ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(230℃)が、35g/10min以上である、[項8]〜[項11]の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【0024】
[項13] 前記一般式(1)において、R及びRが、同一又は異なって、メチル基又はエチル基であり、かつ、Rが水素原子であり、m及びnが1又は2の整数であり、pが1である、[項8]〜[項12]の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【0025】
[項14] 前記一般式(1)において、R及びRが、同一又は異なって、プロピル基又はプロポキシ基であり、かつ、Rがプロピル基又はプロペニル基であり、m及びnが1であり、pが1である、[項8]〜[項12]の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【0026】
[項15] 上記ポリプロピレン系樹脂系樹脂組成物を製造する際の溶融混合温度(T)が、下記式(1)で示される温度範囲である、[項8]〜[項14]の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
(式1) Tm≦T<Tm+15
Tmは、配合したジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度。
【0027】
[項16] 上記ポリプロピレン系樹脂系樹脂成形体を製造する際の成形温度(T)が、下記式(1)で示される温度範囲である、[項8]〜[項14]の何れかに記載の高剛性ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
(式2) T−15≦T<T
Tmは、配合したジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度。
【発明の効果】
【0028】
上記特定のポリプロピレン系樹脂と特定のジアセタール化合物を含有した特定の条件下で調製したポリプロピレン系樹脂組成物を特定の条件下で成形することにより、得られた成形体の剛性を大きく向上することが可能となり、安価でかつ軽量であるポリプロピレン系樹脂の特徴を活かして、自動車材料など様々な分野において、これまで剛性不足により実用化が不可能であった用途にもその使用範囲を拡大することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のポリプロピレン系樹脂成形体は、特定のポリプロピレン系樹脂と特定のジアセタール化合物を含有し、且つ、特定の条件下で調製したポリプロピレン系樹脂組成物を原料とし、特定の条件下で成形することを特徴とする。
【0030】
<ポリプロピレン系樹脂組成物>
上記の通り、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の第一の特徴は、(1)特定のポリプロピレン系樹脂と(2)特定のジアセタール化合物を含有してなることである。
【0031】
(1)ポリプロピレン系樹脂
本発明のポリプロピレン系樹脂は、13C−NMR法によるアイソタクチックペンタッド分率(以下、mmmm分率と称する)が0.96〜0.995、好ましくは0.97〜0.99の範囲の高立体規則性を有しており、且つ、GPC法による分子量分布(Mw/Mn)が4〜16、好ましくは4〜10の範囲である高結晶性のポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする。mmmm分率を0.96以上にすることにより本発明の構成において高い剛性の付与が可能となる。また、mmmm分率が0.995以上でも高い剛性の付与は可能であるが、mmmm分率が0.995以上のポリプロピレン系樹脂の製造は難しく、現実的ではない。
【0032】
また、分子量分布が上記範囲内であることにより、本発明の構成においても成形性や耐衝撃強度を大きく損なうことなく、剛性の向上が可能である。具体的には、分子量分布が16以下であれば、耐衝撃性の低下が少なく、分子量分布が4以上であれば、射出成形等における成形性の問題が生じる懸念がない。
【0033】
また、本発明のポリプロピレン系樹脂は、JIS K7210(1999)に準拠して230℃で測定したメルトフローレートが30g/10min以上、好ましくは35g/10min以上であることにより、下記配向ゲル成形による剛性向上効果をより一層発揮することができる。
【0034】
前記アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン樹脂分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖であり、プロピレンモノマー単位で5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。実際には、13C−NMRスペクトルで測定されるメチル炭素領域の全吸収ピーク中に、mmmmピークが占める分率として求めることができる。
【0035】
(2)ジアセタール化合物
本発明のジアセタール系化合物は、具体的には、下記一般式(1)で示されるジアセタール化合物である。
【化3】
[式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数2〜4のアルケニル基又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。m及びnは、それぞれ1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。2つのRは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。2つのR基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
【0036】
上記ジアセタール化合物の中でも、例えば、上記一般式(1)中のR及びRが、同一又は異なって、メチル基又はエチル基であり、かつ、Rが水素原子であり、m及びnが1又は2の整数であり、pが1である化合物や、上記一般式(1)中のR及びRがプロピル基又はプロピルオキシ基であり、かつ、Rがプロピル基又はプロペニル基であり、m及びnが1であり、pが1である化合物等が、剛性改善効果の観点から更に好ましい。
【0037】
また、上記ジアセタール化合物の中でも、核剤効果の観点から、次の様な化合物も更に好ましい化合物として例示することができる。上記一般式(1)において、R及びRがプロピル基又はプロピルオキシ基であり、かつ、Rがプロピル基又はプロペニル基であり、m及びnが1であり、pが1である化合物等が、剛性改善効果の観点から更に好ましい。
【0038】
上記ジアセタール系化合物の具体的な態様としては、次の様な化合物が例示される。1,3:2,4−ジ−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−t−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−t−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−t−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’,5’−トリメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’,5’−トリメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’,5’−トリエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’,5’−トリエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−メトキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−メトキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メトキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−エトキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−エトキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エトキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−イソプロポキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−イソプロポキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロポキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−プロポキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−プロポキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロポキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−メトキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−メトキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メトキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−エトキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−エトキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エトキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−イソプロポキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−イソプロポキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロポキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−プロポキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−プロポキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロポキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−フルオロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−フルオロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−フルオロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−ブロモベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−ブロモベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−ブロモベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−エチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−クロロベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−エチルベンジリデン)−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−p−メチルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−(p−エチルベンジリデン)−2,4−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−p−エチルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−クロロベンジリデン)−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジエチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジエチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メトキシカルボニルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジエチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジエチルベンジリデ
ン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジエチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メトキシカルボニルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メトキシカルボニルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エトキシカルボニルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−プロポキシカルボニルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−2,4−O−(p−プロポキシベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3−O−(p−プロポキシベンジリデン)−2,4−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−プロペニルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エトキシカルボニルベンジリデン)−1−プロペニルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−プロポキシカルボニルベンジリデン)−1−プロペニルソルビトール、1,3−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−2,4−O−(p−プロポキシベンジリデン)−1−プロペニルソルビトール、1,3−O−(p−プロポキシベンジリデン)−2,4−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−プロペニルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジエチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジエチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エトキシカルボニルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−プロポキシカルボニルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−2,4−O−(p−プロポキシベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3−O−(p−プロポキシベンジリデン)−2,4−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メトキシカルボニルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール等が例示される。
【0039】
上記ジアセタール化合物の中でも、剛性改善効果の観点から、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−プロピルソルビトール等が特に好ましい。
【0040】
また、上記具体的な態様のジアセタール系化合物は、単独で用いてもよいが、他の性能、例えば低温加工性等の観点から、2種以上のジアセタール化合物を併用、または予め混合した態様で用いてもよい。
【0041】
上記併用または混合系で用いる場合、例えば、1,3:2,4−ジ−O−ベンジリデン−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトールの組合せや1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトールの組合せ、1,3:2,4−ジベンジリデン−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトールの組合せ、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、の組合せ等が例示される。
【0042】
上記ジアセタール系化合物は、例えば、日本国特公昭48−43748号公報、特開昭53−5165号公報、特開昭57−185287号公報、特開平2−231488号公報等に記載されている製造方法等を用いて容易に製造することができる。また、現在ポリオレフィン用結晶核剤として市販されているもの、例えば、新日本理化(株)のゲルオールD、ゲルオールMD、ゲルオールDXR、ミリケン社(米国)のミラッド3988、ミラッドNX8000等をそのまま使用してもよい。
【0043】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の第二の特徴は、上記ジアセタール化合物が溶融した上記ポリプロピレン系樹脂に溶解する温度以上で溶融混合後、冷却固化して得られたペレット状等の固形物であることである。
【0044】
上記ジアセタールが溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度以上とは、本発明の効果を奏する温度であれば良く、必ずしも100%のジアセタール化合物が溶解する必要はなく、例えば、含有するジアセタール化合物中の70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上が溶解する温度を意味する。
【0045】
また、樹脂の着色等の劣化の観点より、溶融混合時の温度(T)が高すぎることも好ましくなく、例えば、下記の範囲の温度であることが、特に推奨される。
(式1) T≦T<T+15
Tmは、配合したジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度。
【0046】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の第三の特徴は、ポリプロピレン系樹脂成形体の成形方法が、上記ジアセタール化合物が溶融した上記ポリプロピレン系樹脂に溶解する温度未満で成形する配向ゲル成形法であることである。
【0047】
上記ジアセタールが溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度未満とは、本発明の効果を奏する温度であれば良く、必ずしも100%のジアセタール化合物が溶解していない状態である必要はなく、例えば、含有するジアセタール化合物中の70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上が溶解していない状態である温度を意味する。
【0048】
また、成形性の観点より、成形時の温度(T)が低すぎることも好ましくなく、例えば、下記の範囲の温度であることが、特に推奨される。
(式2) T−15≦T<T
Tmは、配合したジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度。
【0049】
<ポリプロピレン系樹脂成形体>
本発明のポリプロピレン系樹脂成形体は、上記で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を原料とし、ジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度未満で成形する配向ゲル成形法で成形することを特徴とする。
【0050】
上記ジアセタールが溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度以上とは、本発明の効果を奏する温度であれば良く、必ずしも100%のジアセタール化合物が溶解する必要はなく、例えば、含有するジアセタール化合物中の70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上が溶解する温度を意味する。
【0051】
また、成形性の観点より、成形時の温度(T)が低すぎることも好ましくなく、例えば、下記の範囲の温度であることが、特に推奨される。
(式2) T−15≦T<T
Tmは、配合したジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度。
【0052】
<ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法>
本発明のポリプロピレン系樹脂成形体は、上述の通り、上記特定のポリプロピレン系樹脂と特定のジアセタール化合物を含有し、且つ、上記特定の条件下で調製したポリプロピレン系樹脂組成物を原料とし、上記特定の条件下で配向ゲル成形することにより製造される。より具体的には、例えば、下記の工程(i)〜(iii)を具備する製造方法が例示される。
(i)本発明のポリプロピレン系樹脂100質量部に、本発明のジアセタール化合物とその他の添加剤を所定量配合し、ドライブレンドする。
(ii)上記で得られたドライブレンド物を含有するジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度以上で溶融混合後、冷却固化し、必要に応じてカッティングして、ペレット状等の形状のポリプロピレン系樹脂組成物を得る。
(iii)上記で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を原料として、含有するジアセタール化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解する温度未満で成形して、所定の形状のポリプロピレン系樹脂成形体を得る。なお、前記成形方法としては、本発明の効果を奏する限り、特に制約はなく、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧空成形、回転成形、フィルム成形等の従来公知の成形方法のいずれも採用できる。
【0053】
かくして得られたポリプロピレン系樹脂成形体は、剛性や耐衝撃性等の機械的特性、耐熱性等の熱的特性などに非常に優れており、成形品やシート、フィルムとして、自動車部材、電気部材、機械部品、日常雑貨など様々な用途で、非常に有用である。なかでも、剛性等の機械的特性は、従来のものに比べて大きく改善されており、これまで剛性の不足が課題であった、自動車材料や工業材料の分野において、その用途拡大が期待される。
【実施例】
【0054】
以下に実施例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。尚、実施例中で使用したポリプロピレン系樹脂の略号と性状、実施例中のジアセタール化合物の略号、及び各特性の測定方法は以下の通りである。
【0055】
実施例中で使用したポリプロピレン系樹脂の略号と性状
PP−1:ホモポリプロピレン樹脂、アイソタクチックペンタッド分率 0.96、分子量分布(Mw/Mn) 5.0、メルトフローレート(230℃) 30g/10min
PP−2:ホモポリプロピレン樹脂、アイソタクチックペンタッド分率 0.965、分子量分布(Mw/Mn) 5.2、メルトフローレート(230℃) 15g/10min
PP−3:ホモポリプロピレン樹脂、アイソタクチックペンタッド分率 0.98、分子量分布(Mw/Mn) 5.0、メルトフローレート(230℃) 7g/10min
PP−4:ホモポリプロピレン樹脂、アイソタクチックペンタッド分率 0.96、分子量分布(Mw/Mn) 5.1、メルトフローレート(230℃) 35g/10min
【0056】
実施例中のジアセタール化合物の略号
DMDBS:1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール
EDBS:1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール
PDBN:1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール
【0057】
各特性の測定方法
(1)曲げ弾性率及び曲げ強度
万能材料試験機(インストロン社製)を用い、JIS K 7171(2016)に準じた方法で曲げ試験を行い、得られた結果より曲げ弾性率及び曲げ強度を求めた。なお、試験温度は25℃、試験速度は10mm/分とした。
【0058】
(2)アイゾット衝撃強度
アイゾット衝撃試験機((株)安田精機製、D258)を用い、JIS K 7110(1999)に準じた方法でアイゾット衝撃試験を行い、ノッチなしのアイゾット衝撃強度を求めた。なお、試験温度は23℃とした。
【0059】
[実施例1]
ポリプロピレン系樹脂として「PP−1」100質量部、ジアセタール化合物として「DMDBS」0.3質量部、及びその他の添加剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGANOX1010」)0.05質量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGAFOS168」)0.05質量部をドライブレンドした。そのドライブレンド物を二軸押出機((株)テクノベル社製 L/D=45、スクリュー径15mm、ダイス径5mm)を用いて溶融押出温度230℃にて溶融混合後、押し出されたストランドを冷却し、ペレタイザーでカッティングして、ポリプロピレン系樹脂組成物を調製した。
【0060】
続いて、得られたポリプロピレン系樹脂組成物を用いて、射出成形機(日精樹脂工業(株)製NS40−5A)にて射出成形温度(加熱温度)190℃、金型温度(冷却温度)40℃の条件下で成形して、本発明のポリプロピレン系樹脂成形体(試験片)を調製した。得られた試験片を用いて、曲げ試験及びアイゾット衝撃試験を行い、得られた結果をまとめて表1に示した。
【0061】
[実施例2]
ジアセタール化合物の配合量を0.4質量部に、射出成形温度を200℃に変えた以外は、実施例1と同様に実施して、本発明のポリプロピレン系樹脂成形体(試験片)を調製した。得られた試験片を用いて、曲げ試験及びアイゾット衝撃試験を行い、得られた結果をまとめて表1に示した。
【0062】
[実施例3]
ジアセタール化合物の配合量を0.5質量部に、溶融押出温度を240℃に変えた以外は、実施例2と同様に実施して、本発明のポリプロピレン系樹脂成形体(試験片)を調製した。得られた試験片を用いて、曲げ試験及びアイゾット衝撃試験を行い、得られた結果をまとめて表1に示した。
【0063】
[実施例4]
ジアセタール化合物として、「DMDBS」の代わりに「MDBS」を用いた以外は、実施例2と同様に実施して、本発明のポリプロピレン系樹脂成形体(試験片)を調製した。得られた試験片を用いて、曲げ試験及びアイゾット衝撃試験を行い、得られた結果をまとめて表1に示した。
【0064】
[実施例5]
ジアセタール化合物として、「DMDBS」の代わりに「EDBS」を用いた以外は、実施例2と同様に実施して、本発明のポリプロピレン系樹脂成形体(試験片)を調製した。得られた試験片を用いて、曲げ試験及びアイゾット衝撃試験を行い、得られた結果をまとめて表1に示した。
【0065】
[実施例6]
ジアセタール化合物として、「DMDBS」の代わりに「PDBN」を用いた、その配合量を0.8質量部に変えた以外は、実施例1と同様に実施して、所定の形状の試験片を調製した。得られた試験片を用いて、曲げ試験及びアイゾット衝撃試験を行い、得られた結果をまとめて表1に示した。
【0066】
[実施例7]
ポリプロピレン系樹脂として、「PP−1」の代わりに「PP−2」を用いた以外は、実施例2と同様に実施して、本発明のポリプロピレン系樹脂成形体(試験片)を調製した。得られた試験片を用いて、曲げ試験及びアイゾット衝撃試験を行い、得られた結果をまとめて表1に示した。
【0067】
[実施例8]
ポリプロピレン系樹脂として、「PP−1」の代わりに「PP−3」を用いた以外は、実施例2と同様に実施して、本発明のポリプロピレン系樹脂成形体(試験片)を調製した。得られた試験片を用いて、曲げ試験及びアイゾット衝撃試験を行い、得られた結果をまとめて表1に示した。
【0068】
[実施例9]
ポリプロピレン系樹脂として、「PP−1」の代わりに「PP−4」を用いた以外は、実施例2と同様に実施して、本発明のポリプロピレン系樹脂成形体(試験片)を調製した。得られた試験片を用いて、曲げ試験及びアイゾット衝撃試験を行い、得られた結果をまとめて表1に示した。
【0069】
【表1】
【0070】
[比較例1]
射出温度を230℃に変えた以外は、実施例2と同様に実施して、本発明外のポリプロピレン系樹脂成形体(試験片)を調製した。得られた試験片を用いて、曲げ試験及びアイゾット衝撃試験を行い、得られた結果をまとめて表2に示した。
【0071】
[比較例2]
ジアセタール化合物を配合しない以外は、実施例2と同様に実施して、本発明外のポリプロピレン系樹脂成形体(試験片)を調製した。得られた試験片を用いて、曲げ試験及びアイゾット衝撃試験を行い、得られた結果をまとめて表2に示した。
【0072】
[比較例3]
ジアセタール化合物である「DMDBS」0.4質量部の代わりに、汎用の剛性付与タイプの結晶核剤である2,2'−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム((株)ADEKA製、商品名「アデカスタブNA−11」)0.2質量部を配合した以外は、実施例2と同様に実施して、本発明外のポリプロピレン系樹脂成形体(試験片)を調製した。得られた試験片を用いて、曲げ試験及びアイゾット衝撃試験を行い、得られた結果をまとめて表2に示した。
【0073】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明のポリプロピレン系樹脂成形体は、非常に高い剛性を有し、また耐衝撃性の低下も少なく、非常に優れた強度を示すことより、自動車部品、機械工学部品、化学工業部品、家電部品等の成形品として使用することができ、特に高剛性の要求される自動車部品用途で有用である。