【解決手段】コンテナ1は、対象物を収容する収容室20を有するコンテナ本体2と、収容室20内に設けられ、収容室20内に電界を形成するための電極5と、を有する。また、電極5は、収容室20の内壁に支持された支持部51、52と、支持部51、52から収容室20内に向けて突出した突出部53と、を有する。そして、突出部53と内壁との離間距離D1は、支持部51、52と内壁との離間距離D2よりも大きい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1に示すコンテナ1(収容庫)は、トラック、船舶、飛行機等に搭載される移動型コンテナである。また、コンテナ1は、リーファーコンテナであり、対象物を収容する収容室20を有するコンテナ本体2(収容庫本体)と、収容室20内を冷却する冷却装置3と、収容室20に電界を形成する電界形成装置4と、電界形成装置4が有する電極5に向かう風を遮る防風部材8とを有する。コンテナ1は、例えば、国際規格(ISO規格)に準拠する構成となっており、例えば、全長が20フィートの「20フィートコンテナ」または全長が40フィートの「40フィートコンテナ」である。このように、国際規格に準拠する構成とすることにより、利便性および汎用性に優れ、さらには十分な信頼性を有するコンテナ1となる。
【0018】
ただし、コンテナ1は、必ずしも国際規格(ISO規格)に準拠する必要はなく、コンテナ1の形状は、特に限定されない。また、コンテナ1は、移動型コンテナではなく、店舗、倉庫等に固定して用いられる固定型コンテナであってもよい。また、例えば、トラック等の荷台に据え付けられたものであってもよい。また、収容庫としては、コンテナ1に限定されず、例えば、冷却倉庫、冷蔵庫等にも適用可能である。
【0019】
対象物としては、特に限定されず、例えば、魚、エビ、カニ、イカ、タコ、貝等の魚介類およびこれらの加工食品、イチゴ、リンゴ、バナナ、みかん、ぶどう、梨等の果物およびこれらの加工食品、キャベツ、レタス、キュウリ、トマト等の野菜およびこれらの加工食品、牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉等の食肉等の生鮮食品、牛乳、チーズ、ヨーグルト等の各種乳製品等が挙げられる。これらの中でも、対象物としては、特に、生鮮食品であることが好ましい。以下では、対象物を生鮮食品として説明する。
【0020】
コンテナ本体2は、使用時には接地される。つまり、グランドに接続される。また、コンテナ本体2は、奥行き方向に延びた略直方体形状であり、その内部には対象物を収容するための収容室20が設けられている。コンテナ本体2は、主に、内壁と、外壁と、内壁と外壁との間に設けられた断熱材とにより構成されており、収容室20が十分に断熱されて外気温の影響を受け難い構成となっている。このような構成とすることにより、冷却装置3によって収容室20内を効率的に冷却することができる。なお、特に限定されないが、内壁および外壁は、それぞれ、ステンレス鋼、アルミニウム等の各種金属で構成することができる。
【0021】
また、コンテナ本体2の
図1中手前側の端部には観音開き型の一対の扉21、22が設けられている。そして、この扉21、22を開くことにより、収容室20への対象物の搬入または収容室20からの対象物の搬出が可能となる。ただし、扉21、22の配置や構成は、特に限定されない。一方、コンテナ本体2の
図1中奥側の端部には冷却装置3が設けられている。なお、本実施形態のコンテナ1では、コンテナ本体2の
図1中奥側の端部に位置する壁が冷却装置3のパネルで構成されているが、これに限定されず、コンテナ本体2の壁で構成されていてもよい。
【0022】
図2に示すように、冷却装置3は、収容室20の扉21、22側から見て奥側の端部に設けられており、収容室20内の空気を吸入する吸入部31と、吸入部31から吸入した空気を冷却する冷却装置32と、冷却装置32で冷却した空気すなわち冷気を収容室20内に吹き出す吹出部33と、収容室20内の温度を検出する温度センサー34と、を有する。
【0023】
吹出部33は、収容室20の床面202付近に設けられ、床面202に向けて冷気を吹き出す。吹出部33から吹き出した冷気は、収容室20の床面202にコンテナ本体2の長手方向に沿って形成された複数の溝24に沿って流れ、扉21、22にぶつかって、或いはその手前で上昇し、収容室20の天井面201に達する。一方、吸入部31は、収容室20の天井面201付近に設けられ、床面202から天井面201或いはその付近まで上昇してきた冷気を吸入する。また、温度センサー34で検出される収容室20内の温度が目標温度となるように冷気の温度や風量が制御される。
【0024】
このような構成によれば、収容室20の全域にわたって効率的に冷気を循環させることができ、かつ、収容室20内の温度を目標温度に維持することができるため、収容室20に収容された対象物Xをむらなく適切に冷却することができる。収容室20内の設定可能温度としては、特に限定されないが、例えば、−30℃〜+30℃程度であることが好ましい。ただし、冷却装置3の構成や配置としては、収容室20内を冷却することができれば、特に限定されない。
【0025】
電界形成装置4は、収容室20内に電界を形成し、形成した電界を収容室20に収容された対象物に作用させる機能を有する。このような電界形成装置4は、
図3に示すように、収容室20内に設けられた複数の電極5と、各電極5を収容室20の天井面201に固定する固定具6と、各電極5に電界を形成するための駆動電圧を印加する電圧印加装置7と、を有する。
【0026】
固定具6は、1つの電極5を収容室20の天井面201に固定するための複数の固定レール対60を有する。複数の固定レール対60は、コンテナ本体2の長手方向および幅方向に沿って行列状に並んで配置されている。また、隣り合う固定レール対60同士は、離間して設けられており、電気的に絶縁されている。
【0027】
本実施形態では、コンテナ本体2の幅方向に沿って3つの固定レール対60が並設され、コンテナ本体2の長手方向に沿って8つの固定レール対60が並設されている。つまり、計24個の固定レール対60が天井面201に規則的に設けられている。ただし、固定レール対60の数や配置は、特に限定されず、コンテナ本体2の大きさ、用途等に応じて適宜設定することができる。
【0028】
次に、固定レール対60の構成について説明するが、各固定レール対60は、互いに同様の構成であるため、以下では、1つの固定レール対60について代表して説明し、残りの固定レール対60については、その説明を省略する。
図4に示すように、固定レール対60は、対応する1つの電極5を支持する一対の固定レール61、65を有する。固定レール61、65は、それぞれ、収容室20の天井面201に固定されている。また、固定レール61、65は、コンテナ本体2の幅方向に並んで設けられ、それぞれ、コンテナ本体2の長手方向に沿って互いに平行に延在している。
【0029】
固定レール61は、導電性の電極支持レール62(支持部材)と、電極支持レール62と天井面201との間に介在する絶縁性の絶縁ブロック63(絶縁体)とを有し、絶縁ブロック63によって天井面201すなわちコンテナ本体2と電極支持レール62とが絶縁されている。なお、絶縁ブロック63は、ブロック状の第1部分631と、プレート状の第2部分632と、を有する。これら第1、第2部分631、632は、別体で構成され、例えば、螺子等により固定されている。同様に、固定レール65は、導電性の電極支持レール66と、電極支持レール66と天井面201との間に介在する絶縁性の絶縁ブロック67とを有し、絶縁ブロック67によって天井面201すなわちコンテナ本体2と電極支持レール66とが絶縁されている。なお、絶縁ブロック67は、ブロック状の第1部分671と、プレート状の第2部分672と、を有する。これら第1、第2部分671、672は、別体で構成され、例えば、螺子等により固定されている。
【0030】
図示しないが、本実施形態では、絶縁ブロック63、67は、天井面201に螺子止めされており、電極支持レール62、66は、絶縁ブロック63、67に螺子止めされている。ただし、絶縁ブロック63、67の天井面201への固定方法や、電極支持レール62、66の絶縁ブロック63、67への固定方法については、特に限定されない。
【0031】
また、各電極支持レール62、66の構成材料としては、導電性を有していれば特に限定されず、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の各種金属材料を用いることができる。また、各絶縁ブロック63、67の構成材料としては、絶縁性を有していれば特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)等の各種樹脂材料、アルミナ、チタニア等の各種セラミック材料、碍子に用いられるような石英を主成分とする磁器材料、各種ガラス材料等を用いることができる。
【0032】
電極支持レール62は、その長手方向に沿って延び、長手方向の両端面を貫通すると共に電極支持レール66側の側面に開口する挿入孔621を有する。つまり、電極支持レール62は、略C字の横断面形状を有し、側面の開口621aが他方の電極支持レール66側を向く管状となっている。同様に、電極支持レール66は、その長手方向に沿って延び、長手方向の両端面を貫通すると共に電極支持レール62側の側面に開口する挿入孔661を有する。つまり、電極支持レール66は、略C字の横断面形状を有し、側面の開口661aが他方の電極支持レール62側を向く管状となっている。挿入孔621、661には、電極5が有する後述の支持部51、52が挿入されている。
【0033】
ここで、一旦、電極5の説明に移る。前述のように、固定レール対60がコンテナ本体2の幅方向に沿って3つ、コンテナ本体2の長手方向に沿って8つ、計24個設けられており、これら各固定レール対60に1つの電極5が固定されている。つまり、電極5もコンテナ本体2の幅方向に沿って3つ、コンテナ本体2の長手方向に沿って8つ、計24個設けられている。
【0034】
ただし、これに限定されず、例えば、1つの固定レール対60に複数の電極5が固定されていてもよいし、反対に、複数の固定レール対60に1つの電極5が固定されていてもよい。また、電極5は、行列状に規則的に配置されていなくてもよく、例えば、3×8の行列の中から電極5がところどころで間引かれていてもよい。
【0035】
これら各電極5は、互いに同様の構成であるため、以下では、1つの電極5について代表して説明し、残りの電極5については、その説明を省略する。
図4に示すように、電極5は、固定レール対60を介して、収容室20の天井面201に設けられている。電極5を天井面201に設けることにより、床面202と電極5との間に形成される対象物の収容空間200(
図2参照)をより広く確保することができる。また、例えば、フォークリフト等を用いた収容室20内への対象物の搬入または収容室20外への対象物の搬出の際、電極5が邪魔になり難く、搬入・搬出を安全かつスムーズに行うことができる。ただし、電極5の配置としては、特に限定されず、例えば、収容室20の側面(片側または両側)に固定レール対60を介して設けられていてもよいし、床面202に固定レール対60を介して設けられていてもよい。
【0036】
また、電極5は、収容室20内に、剥き出しの状態すなわち裸の状態で設けられている。言い換えると、電極5は、別の部材に収容されていたり、覆われていたりしない。これによって、電極5まわりに無駄な部材が配置されず、収容空間200をより広く確保することができる。
【0037】
また、電極5は、導電性の板材をコンテナ本体2の長手方向に延びた折線に沿って山折りまたは谷折りに屈曲させることにより形成されている。電極5は、略Ω状の横断面形状を有し、コンテナ本体2の長手方向に沿って延在した長手形状を有する。電極5の構成材料としては、導電性を有していれば特に限定されず、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の各種金属材料を用いることができる。
【0038】
電極5は、その幅方向(コンテナ本体2の幅方向)に並んで設けられた一対の支持部51、52と、これら支持部51、52の間に位置し、支持部51、52から下側に向けて突出した突出部53とを有する。
【0039】
突出部53は、幅方向両端部が上側に向けて屈曲した下側に凸の凸形状をなし、幅方向中央部に位置する基部531と、基部531の幅方向一端部と一方の支持部51とを接続する接続部532と、基部531の幅方向他端部と他方の支持部52とを接続する接続部533とを有する。基部531は、平板状をなし、天井面201と略平行に設けられている。また、基部531の上面は、支持部51、52の下面よりも下方に位置している。そのため、突出部53と天井面201との離間距離D1が支持部51、52と天井面201との離間距離D2よりも大きい。つまり、D1>D2の関係となっている。なお、離間距離D1は、突出部53と天井面201との平均離間距離を意味し、離間距離D2は、支持部51、52と天井面201との平均離間距離を意味する。
【0040】
また、基部531には、天井面201側に僅かに凹んだ複数の凹没部531aが形成されている。複数の凹没部531aは、それぞれ、電極5の幅方向に延びる長手形状をなし、電極5の長手方向に等間隔に離間して規則的に設けられている。なお、
図5に示すように、各凹没部531aは、その凹没量が電極5の厚さ程度であり、突出部53の突出量と比べて十分に浅く形成されている。そのため、基部531は、各凹没部531aにおいても前述したD1>D2の関係を満足している。なお、凹没部531aは、省略してもよい。
【0041】
接続部532、533は、共に平板状であり、基部531に対する傾斜角θが90°未満となるように基部531に対して傾斜している。つまり、接続部532、533は、互いの離間距離が天井面201側から床面202側に向けて減少するテーパー状に設けられている。そのため、突出部53は、台形状となっている。なお、傾斜角θとしては、特に限定されず、90°以上であってもよい。
【0042】
支持部51は、下側に開口し固定レール61に沿った溝511aを有する略U字状の溝形成部511と、溝形成部511と接続部532との間に位置し、天井面201と略平行な平板状の平坦部512とを有する。同様に、支持部52は、下側に開口し固定レール65に沿った溝521aを有する略U字状の溝形成部521と、溝形成部521と接続部533との間に位置し、天井面201と略平行な平板状の平坦部522とを有する。
【0043】
以上、電極5の構成について説明した。なお、前述したように、本実施形態では、板状の電極部材を屈曲させることにより電極5を形成しているが、電極5の形成方法は、特に限定されない。例えば、電極5は、押し出し成形により形成してもよい。また、本実施形態では、電極5は、その全域において厚さがほぼ均一であるが、これに限定されず、一部が他の部分と異なる厚さを有する構成であってもよい。
【0044】
また、本実施形態では、突出部53が台形状に屈曲した形状であるが、突出部53の形状としては、支持部51、52から下方に突出していれば特に限定されず、例えば、
図6に示すように、下側に蒲鉾状に湾曲した形状であってもよいし、
図7に示すように、基部531が省略されたようなV字状に屈曲した形状であってもよい。また、本実施形態では、電極5が剥き出しの状態であるが、これに限定されず、例えば、
図8に示すように、電極5の下面に絶縁膜59が設けられていてもよい。これにより、収容室20内に収容された対象物Xと電極5との接触が防止され、コンテナ1の安全性が高まる。
【0045】
このような構成の電極5では、
図4および
図5に示すように、電極支持レール62の挿入孔621に支持部51が挿入され、電極支持レール66の挿入孔661に支持部52が挿入される。このように、支持部51、52を挿入孔621、661に挿入することにより、簡単な構成で、電極5を固定レール61、65で支持することができる。なお、前述したように、挿入孔621、661は、電極支持レール62、66の両端に開口しているため、例えば、コンテナ本体2の扉21、22側の開口から支持部51、52を挿入孔621、661内に挿入することにより、電極5を容易に固定レール61、65に装着することができる。
【0046】
固定レール対60の説明に戻って、
図4および
図5に示すように、挿入孔621、661は、その内部で支持部51、52がスライド自在となるように支持部51、52に対して十分に大きく形成されている。そのため、収容室20内での電極5の位置決めが容易となる。また、
図5に示すように、挿入孔621、661の開口621a、661aの幅Wは、支持部51、52の平坦部512、522の厚さTよりも大きく、溝形成部511、521の高さHよりも小さい。つまり、T<W<Hの関係を満足している。このような関係を満足することにより、挿入孔621、661内で支持部51、52がスライド自在となると共に、開口621a、661aを介した支持部51、52の挿入孔621、661外への離脱を防止することができる。
【0047】
図4および
図5に示すように、固定レール61は、さらに、挿入孔621内に挿入された溝形成部511の溝511a内に挿入された長尺の電極固定レール64(固定部材)を有する。一方で、
図9に示すように、電極支持レール62には、その下面と挿入孔621の内面とを貫通する複数の螺子孔622が形成され、これら複数の螺子孔622は、電極支持レール62の長手方向に沿って略等間隔に設けられている。そして、各螺子孔622には、電極固定レール64と電極支持レール62との間に支持部51を挟持して固定するための電極固定用螺子S1が螺号して設けられている。
【0048】
同様に、
図4および
図5に示すように、固定レール65は、挿入孔661内に挿入された溝形成部521の溝521a内に挿入された長尺の電極固定レール68を有する。一方で、
図9に示すように、電極支持レール66には、その下面と挿入孔661の内面とを貫通する複数の螺子孔662が形成され、これら複数の螺子孔662は、電極支持レール66の長手方向に沿って等間隔に設けられている。そして、各螺子孔662には、電極固定レール68と電極支持レール66との間に支持部52を挟持して固定するための電極固定用螺子S2が螺号して設けられている。
【0049】
電極固定用螺子S1、S2を締めると、電極固定用螺子S1、S2の挿入孔621、661内への突出量が増加し、電極固定用螺子S1、S2に押されて電極固定レール64、68が上方に移動する。そして、
図9に示すように、電極固定レール64、68の上面641、681と挿入孔621、661の天井面621b、661bとの間に支持部51、52が挟持され、これらの間に生じる摩擦力によって電極5が電極支持レール62、66に固定される。また、電極支持レール62と電極5とが接触して、これらが電気的に接続される。
【0050】
反対に、電極固定用螺子S1、S2を緩めると、電極固定用螺子S1、S2の挿入孔621、661内への突出量が減少し、それに伴って電極固定レール64、68が下方に移動する。そして、
図10に示すように、電極固定レール64、68の上面641、681と挿入孔621、661の天井面621b、661bとの間から支持部51、52が解放され、電極支持レール62、66に対する電極5の固定が解除される。この状態では、電極支持レール62、66に対して電極5がスライド可能となる。このような構成によれば、例えば、汚れた電極5を取り外して清掃したり、壊れた電極5を取り外して交換したりするのが容易となる。
【0051】
図3に戻って、コンテナ本体2の天井面201には、扉21、22を開けた際にコンテナ外部から電極5と天井面201との間に気流(特に上昇気流)が流入するのを抑制する防風部材8が設けられている。防風部材8は、電気絶縁性を有し、構成材料として、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)等の各種樹脂材料、アルミナ、チタニア等の各種セラミック材料、碍子に用いられるような石英を主成分とする磁器材料、各種ガラス材料等を用いることができる。
【0052】
防風部材8は、最も扉21、22側に位置する電極5x、5y、5zと扉21、22との間に設けられている。また、防風部材8は、収容室20の幅方向に沿って延在する板状をなし、天井面201から下方に向けて突出している。防風部材8は、
図11および
図12に示すように、扉21、22側から収容室20内を見た平面視で、電極5と天井面201との間に形成された開口Qの少なくとも一部を塞いで設けられている。特に、本実施形態では、防風部材8の下端が電極5よりも下側に位置しているため、防風部材8が開口Qの全域を塞いでいる。
【0053】
このような防風部材8によって開口Qから電極5と天井面201との間への気流の流入が抑制され、例えば、天井面201や電極5にゴミ、埃、塵等が付着して当該部分が汚染されるのを効果的に抑制することができる。ただし、防風部材8の構成としては、その機能を発揮することができれば、特に限定されない。また、防風部材8は、省略してもよい。
【0054】
また、
図11に示すように、防風部材8には、オゾナイザー81(オゾン発生装置)が設けられている。これにより、収容室20内にオゾン(O
3)を供給することができるため、オゾン(O
3)によって対象物から発生するガスを分解することができ、収容庫20内に収容された対象物Xの鮮度をより効果的に保つことができる。ただし、オゾナイザー81は、省略してもよい。
【0055】
次に、複数の電極5の配置について説明する。前述したように、電極5は、コンテナ本体2の幅方向に沿って3つ、コンテナ本体2の長手方向に沿って8つ、計24個設けられている。
図3に示すように、以下では、説明の便宜上、これら複数の電極5のうち、コンテナ本体2の幅方向の一端側に偏って設けられ、コンテナ本体2の長手方向に沿って並んだ8つの電極5を「電極5x」とも言い、コンテナ本体2の幅方向の他端側に偏って設けられ、コンテナ本体2の長手方向に沿って並んだ8つの電極5を「電極5y」とも言い、コンテナ本体2の幅方向の中央部すなわち電極5xと電極5yとの間に設けられ、コンテナ本体2の長手方向に沿って並んだ8つの電極5を「電極5z」とも言う。
【0056】
コンテナ本体2の長手方向に沿って並んだ8つの電極5xでは、隣り合う一対の電極5x、5xが離間して設けられ、これらの間に隙間Gが形成されている。このように、隣り合う一対の電極5x、5xの間に隙間Gを設けることにより、隣り合う電極5x、5x同士の物理的な接触が防止され、これらを電気的に絶縁することができる。同様に、コンテナ本体2の長手方向に沿って並んだ8つの電極5yでは、隣り合う一対の電極5y、5yが離間して設けられており、これらの間に隙間Gが形成されている。また、コンテナ本体2の長手方向に沿って並んだ8つの電極5zでは、隣り合う一対の電極5z、5zが離間して設けられており、これらの間に隙間Gが形成されている。
【0057】
また、各電極5xは、隣り合う一対の電極支持レール62、62間を電気的に接続する電気接続部材9を介して直列接続されている。同様に、各電極5yは、隣り合う一対の電極支持レール62、62間を電気的に接続する電気接続部材9を介して直列接続されており、各電極5zは、隣り合う一対の電極支持レール62、62間を電気的に接続する電気接続部材9を介して直列接続されている。そして、これら3つの電極5x、5y、5zは、それぞれ、電圧印加装置7と電気的に接続されている。なお、電気接続部材9としては、特に限定されず、例えば、電気配線を用いることができる。
【0058】
電圧印加装置7は、例えば、高圧トランスを備え、各電極5(5x、5y、5z)に電界形成用の交番電圧Vacを印加する。電圧印加装置7が各電極5に交番電圧Vacを印加することにより、各電極5x、5y、5zとグランドに接続されたコンテナ本体2との間の電位差に基づいて収容室20内に電界が形成される。この電界を収容室20に収容された対象物に作用させることにより、対象物Xの鮮度を保ったまま、熟成を促進させることができる。そのため、電界を形成しない場合と比べて食対象物をより長期間保存することができると共に、対象物の旨味を増幅させることができる。特に、本実施形態では、複数の電極5x、5y、5zが天井面201のほぼ全域にわたって規則的に設けられているため、収容室20の全域に効果的に電界を形成することができる。
【0059】
なお、交番電圧Vacの振幅としては、特に限定されないが、例えば、0.1kV〜20kV程度とすることが好ましい。このような振幅の交番電圧Vacを各電極5x、5y、5zに印加することにより、収容室20内に十分な強度の電界を形成することができ、上述した効果をより確実に発揮することができる。また、交番電圧Vacの周波数としては、特に限定されないが、例えば、5Hz〜50kHz程度とすることが好ましい。なお、交番電圧Vacの波形は、例えば、正弦波、矩形波、のこぎり波等どのような波形であってもよい。
【0060】
ここで、前述した電極5の構成によれば、支持部51、52に対して突出部53の基部531が下側に位置し、D1>D2となっているため、例えば、
図13中の鎖線L1で示すような支持部51、52の高さに合わせた従来型の平板電極50Aと比べて、基部531と天井面201との間に絶縁性の高い空気層を十分な厚さで形成することができる。そのため、従来と比べて、基部531と天井面201との間の容量が大きくなる。その結果、基部531と天井面201との間に分布する電界が形成され難くなると共に、基部531と床面202との間にある対象物Xの収容空間200に分布する電界が形成され易くなる。そのため、収容室20に収容された対象物に対して効率的かつ効果的に電界を作用させることができる。また、D1>D2となっているため、例えば、
図13中の鎖線L2で示すような基部531の高さに合わせた従来型の平板電極50Bと比べて、収容空間200の容積が大きくなり、その分、対象物の最大積載量が増加する。そのため、1つのコンテナ1でより多くの対象物を搬送でき、その搬送コストを抑えることができる。
【0061】
なお、離間距離D1としては、特に限定されないが、例えば、3cm〜10cm程度であることが好ましく、4cm〜8cmであることがより好ましい。このような下限値によれば、離間距離D1を十分に大きくすることができ、上述した効果をより顕著に発揮することができる。反対に、このような上限値によれば、離間距離D1が過度に大きくなることによる収容空間200の減少、すなわち対象物Xの最大積載量の減少を抑制することができる。一方、離間距離D2としては、D1>D2の関係を満足していれば特に限定されないが、例えば、1cm〜5cm程度であることが好ましく、2cm〜3cmであることがより好ましい。このような数値範囲によれば、離間距離D2を十分に小さくすることができ、上述した効果をより顕著に発揮することができる。
【0062】
特に、前述したように、基部531が平坦な板状であって突出部53の広範囲にわたって設けられているため、電極5全体に対する離間距離D1となる部分の占有率がより大きくなる。そのため、上述した効果をより顕著に発揮することができる。
【0063】
また、前述したように、電極5の基部531には、上方に凹没する凹没部531aが設けられている。このような凹没部531aを設けることにより、電極5の機械的強度が向上する。そのため、搬送中の衝撃等による電極5の破損を効果的に抑制することができる。また、凹没部531aを設けることにより、基部531の上面に付着する水分の滞留を抑制することができる。さらには、凹没部531aを設けることにより、基部531の下面に凹凸が形成され、当該凹凸によって収容空間200内により効率的に電界を形成することができる。
【0064】
また、前述したように、コンテナ本体2の長手方向に隣り合う一対の電極5、5同士の間に隙間Gが形成されている。隙間Gを形成することにより、当該部分において電界の状態(電気力線の向き)を変化させることができ、収容空間200内により効率的に電界を形成することができる。
【0065】
<第2実施形態>
図14に示すように、本実施形態のコンテナ1では、各電極5の支持部51から溝形成部511が省略され、その全体が天井面201と略平行な平板状の平坦部512で構成されている。同様に、各電極5の支持部52から溝形成部521が省略され、その全体が天井面201と略平行な平板状の平坦部522で構成されている。そして、これに合わせて、電極支持レール62、66に形成された挿入孔621、661の形状も変更されており、その全域が、開口621a、661aの幅Wと略等しいフラットな形状となっている。
【0066】
さらに、本実施形態では、固定レール61、65から電極固定レール64、68が省略されている。そのため、電極固定用螺子S1、S2を締め付けると、電極固定用螺子S1、S2と電極支持レール62、67との間に支持部51、52が挟持され、これらの間に生じる摩擦力によって電極5が電極支持レール62、66に固定される。反対に、電極固定用螺子S1、S2を緩めると、電極固定用螺子S1、S2と電極固定レール64、68との間から支持部51、52が解放され、電極支持レール62、66に対する電極5の固定が解除される。
【0067】
また、
図14および
図15に示すように、電極支持レール62の両端部では、挿入孔621が電極支持レール62の外側面620に開口し、当該部分には、隣り合う電極支持レール62、62に跨って配置され、これら電極支持レール62、62を電気的に接続する電極接続部材10が設けられている。電極接続部材10は、略L字状に屈曲しており、挿入孔621内に挿入され、支持部51と接触することにより電極5と電気的に接続されている部分101と、電極支持レール62の外側面620に位置し、電極支持レール62と接触することにより電極支持レール62と電気的に接続されている部分102と、を有する。このような電極接続部材10は、部分102において、固定用螺子S31によって電極支持レール62に固定されている。
【0068】
同様に、電極支持レール66の両端部では、挿入孔661が電極支持レール66の外側面660に開口し、当該部分には、隣り合う電極支持レール66、66に跨って配置され、これら電極支持レール66、66を電気的に接続する電極接続部材11が設けられている。電極接続部材11は、略L字状に屈曲しており、挿入孔661内に挿入され、支持部52と接触することにより電極5と電気的に接続されている部分111と、電極支持レール66の外側面660に位置し、電極支持レール66と接触することにより電極支持レール66と電気的に接続されている部分112と、を有する。このような電極接続部材11は、部分112において、固定用螺子S32によって電極支持レール66に固定されている。
【0069】
なお、電極接続部材10、11は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の各種金属材料を用いることができる。
【0070】
<第3実施形態>
第3実施形態では、電圧印加装置7は、収容室20内に形成された電界の状態を経時的に変化させる。収容室20内の電界の状態を経時的に変化させることにより、例えば、収容室20内の電界の状態を一定に保った場合と比較して、食品中に含まれる微生物の増殖(分裂)を抑制することができる。そのため、収容室20内に収容された対象物の鮮度をより長く保つことができる。
【0071】
なお、収容室20内の電界の状態を経時的に変化させることにより微生物の増殖が抑えられるのは、微生物がある程度その環境に慣れてから分裂を開始するという性質を有するためである。電界の状態を経時的に変化させることにより、微生物が現在の環境に慣れる前に異なる環境に切り替えることができ、これにより、微生物が環境に慣れるのを抑制でき、その結果として、微生物の増殖が抑えられる。なお、対象物中に含まれる微生物としては、例えば、食中毒の原因として考えられるサルモネラ、腸管出血性大腸菌(O157、O111等)、腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌、ノロウイルス等が挙げられる。
【0072】
ここで、「電界の状態を経時的に変化させる」とは、例えば、各電極5に印加する交番電圧Aacの振幅および周波数の少なくとも一方を経時的に変化させることを言う。電界の状態を経時的に変化させる方法としては、特に限定されないが、例えば、以下に示す幾つかの方法が挙げられる。
【0073】
第1の方法として、
図16に示すように、基準が0Vで、振幅および周波数が一定の交番電圧Vacを各電極5に間欠的に印加する方法が挙げられる。
図16では、電圧印加装置7は、交番電圧Vacを各電極5に印加する第1状態と、交番電圧Vacを各電極5に印加しない第2状態とを交互に繰り返す。すなわち、収容室20内に電界が形成されている第1状態と、電界が形成されていない第2状態とを交互に繰り返す。このように、第1状態と第2状態とを交互に繰り返すことにより、比較的簡単な制御で電界の状態を経時的に変化させることができる。
【0074】
第2の方法として、
図17に示すように、各電極5に印加する交番電圧Vacの振幅を経時的に変化させる方法が挙げられる。なお、交番電圧Vacの振幅を経時的に変化させるとは、交番電圧Vacの振幅を周期的に変化させてもよいし、不規則(ランダム)に変化させてもよいことを意味する。
図17では、電圧印加装置7は、基準が0Vで、振幅がE1の交番電圧Vacを各電極5に印加する第1状態と、基準が0Vで、振幅がE2(≠E1)の交番電圧Vacを各電極5に印加する第2状態とを交互に繰り返す。第1状態と第2状態とを交互に繰り返すことにより、比較的簡単な制御で、電界の状態を経時的に変化させることができる。
【0075】
振幅E1は、振幅E2の2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましく、4倍以上であることがさらに好ましい。これにより、第1状態と第2状態とで収容室20内の電界の状態を十分に異ならせることができ、微生物が環境に慣れてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0076】
第3の方法として、
図18に示すように、各電極5に印加する交番電圧Vacの周波数を経時的に変化させる方法が挙げられる。なお、交番電圧Vacの周波数を経時的に変化させるとは、交番電圧Vacの周波数を周期的に変化させてもよいし、不規則(ランダム)に変化させてもよいことを意味する。
図18では、電圧印加装置7は、周波数がf1の交番電圧Vacを各電極5に印加する第1状態と、周波数がf2(≠f1)の交番電圧Vacを各電極5に印加する第2状態とを交互に繰り返す。第1状態と第2状態とを交互に繰り返すことにより、比較的簡単な制御で、電界の状態を経時的に変化させることができる。
【0077】
周波数f1は、周波数f2の10倍以上であることが好ましく、50倍以上であることがより好ましく、100倍以上であることがさらに好ましい。これにより、第1状態と第2状態とで収容室20内の電界の状態を十分に異ならせることができ、微生物が環境に慣れてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0078】
第4の方法として、
図19に示すように、各電極5に対して、基準が0Vで振幅および周波数が一定である交番電圧Vacを印加しつつ、定電圧であるバイアス電圧Vbを間欠的に印加する方法が挙げられる。
図19では、電圧印加装置7は、交番電圧Vacとバイアス電圧Vbとの重畳電圧Vdを各電極5に印加する第1状態と、交番電圧Vacを各電極5に印加する第2状態とを交互に繰り返す。第1状態と第2状態とを交互に切り替えることにより、比較的簡単な制御で、電界の状態を経時的に変化させることができる。特に、この方法では、交番電圧Vacを一定に保つことができるため、交番電圧Vacの振幅や周波数を変更する第2、第3の方法と比べて、より簡単な制御となる。
【0079】
バイアス電圧Vbは、交番電圧Vacの振幅(最大値)よりも小さい。これにより、重畳電圧Vdを交流電圧とすることができる。そのため、第1状態において、より確実に収容室20内に電界を形成することができる。また、バイアス電圧Vbは、交番電圧Vacの振幅の0.1倍〜0.6倍であることが好ましく、0.2倍〜0.5倍であることがより好ましく、0.3倍〜0.4倍であることがさらに好ましい。これにより、重畳電圧Vdがプラス側にある時間とマイナス側にある時間とのバランスを取ることができ、すなわち、一方が他方に比べて過度に長くなることを防止でき、第1状態においてより効率的に収容室20内に電界を形成することができる。また、第1状態と第2状態とで収容室20内の電界の状態を十分に異ならせることができ、微生物が環境に慣れてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0080】
以上、電界の状態を経時的に変化させる方法として、第1〜第4の方法について説明した。第1〜第4の方法のいずれにおいても、収容室20内の温度や収容室20内に収容された対象物の種類(食品に含まれる微生物の種類)によっても異なるが、電界の状態を1分以上60分以内の間隔で変化させることが好ましく、2分以上40分以内の間隔で変化させることが好ましく、3分以上30分以下の間隔で変化させることが好ましい。言い換えると、第1状態および第2状態の時間は、それぞれ、1分以上60分以下であることが好ましく、2分以上40分以下であることがより好ましく、3分以上30分以下であることがさらに好ましい。これにより、第1状態の時間および第2状態の時間がそれぞれ十分に短くなり、より確実に、微生物が現在の環境に慣れる前に別の環境に切り替えることができる。また、第1状態の時間および第2状態の時間がそれぞれ過度に短くなることを防止でき、微生物が新たな環境への対応を始める前に元の環境に戻ってしまうことを効果的に防止することができる。つまり、微生物の分裂速度よりも僅かに短い時間間隔で電界の状態を変化させることができる。これにより、微生物の分裂をより効果的に抑制することができる。なお、第1状態の時間と第2状態の時間とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0081】
ここで、微生物は、(1)10℃〜40℃程度の温度帯において概ね10分〜40分程度の分裂速度を有すること、(2)温度が低い程、分裂速度が低下すること、(3)10℃以下では一部の微生物を除いてほとんど増殖できないこと、(4)0℃以下ではほぼ全ての微生物が増殖できないこと、が知られている。そのため、上述したように、電界の状態を60分以内、好ましくは40分以内、より好ましくは30分以内の間隔で変化させることにより、微生物が環境に慣れるまでの時間(例えば10分程度)を加味すれば、微生物の分裂速度よりも十分に短い時間間隔で、電界の状態を変化させることができる。そのため、微生物の増殖をより確実に抑制することができる。
【0082】
また、第1〜第4の方法のいずれにおいても、電界を周期的に変化させてもよいし、不規則(ランダム)に変化させてもよい。言い換えると、第1状態の時間および第2状態の時間がそれぞれ毎回ほぼ同じであってもよいし、第1状態の時間および第2状態の時間が各回でそれぞれ不規則に変化してもよい。電界を周期的に変化させることにより、電界を不規則に変化させる場合と比べて、電圧印加装置7の駆動制御が簡単となる。一方、電界を不規則に変化させることにより、電界を周期的に変化させる場合と比べて、微生物の増殖をより効果的に抑制できる可能性がある。推測ではあるが、電界を周期的に変化させた場合、微生物がその周期的な環境変化自体に慣れてしまうおそれが考えられる。このように、微生物が周期的な環境変化自体に慣れてしまうことがあったとしても、電界を不規則に変化させていれば、微生物の増殖をより効果的に抑制できる。
【0083】
なお、電界の状態を経時的に変化させる方法として、上記第1〜第4の方法を適宜組み合わせてもよい。また、上述した第1〜第4の方法では、いずれも、第1状態および第2状態を交互に繰り返しているが、これに限定されず、例えば、第1状態および第2状態と電界の状態が異なる少なくとも1つの状態(第3状態、第4状態、第5状態…)を有し、これら複数の状態を順番に繰り返すようになっていてもよい。
【0084】
<第4実施形態>
本実施形態では、本実施形態では、各電極5xと、各電極5yと、各電極5zとがそれぞれ独立して電圧印加装置7に接続されている。このように、3つの電界形成系統を設けることにより、1つの電界形成系統が故障しても、他の2つの電界形成系統によって電界を形成することができる。これにより、故障によって電界を形成できなくなるリスクが低減され、高い信頼性を発揮することができる。
【0085】
また、電圧印加装置7は、各電極5x、各電極5yおよび各電極5zに互いに異なる電圧を印加することもできる。すなわち、コンテナ1は、複数の電極として電極5x、5y、5zを有し、これら電極5x、5y、5zに異なる電圧を印加する。このように、電極5x、5y、5zに互いに異なる電圧を印加することにより、前述した第2実施形態と同様に、電界を周期的または不規則に変化させることができる。
【0086】
各電極5x、5y、5zに印加する電圧としては、特に限定されない。例えば、各電極5xに印加する電圧である第1交番電圧Vac1と、各電極5yに印加する電圧である第2交番電圧Vac2と、各電極5zに印加する電圧である第3交番電圧Vac3とで互いに周波数を異ならせてもよい。また、例えば、第1交番電圧Vac1と、第2交番電圧Vac2と、第3交番電圧Vac3とで周波数および振幅を異ならせてもよい。また、例えば、第1交番電圧Vac1と、第2交番電圧Vac2と、第3交番電圧Vac3とで互いに同じ波形を用い、これらの位相を互いにずらしてもよい。
【0087】
なお、本実施形態では互いに異なる電圧が印加される複数の電極として電極5x、5y、5zを有するが、少なくとも2つの電極5を有し、これら電極に互いに異なる電圧が印加される構成となっていれば、これに限定されない。例えば、電極5x、5y、5zのいずれか1つを省略してもよいし、反対に、これらとは別に独立して電圧を印加することのできる少なくとも1つの電極を追加してもよい。
【0088】
また、本実施形態では各電極5xで1つの電極群を構成し、各電極5yで別の電極群を構成し、各電極5zでさらに別の電極群を構成しているが、各電極群の構成は、これに限定されない。例えば、各電極群が、電極5x、5y、5zを少なくとも1つずつ有する構成であってもよい。また、各電極群は、これらを構成する電極5の数が互いに異なっていてもよい。なお、前述したように、コンテナ1では、各電極5が互いに絶縁された状態で天井面201に設けられており、電気接続部材9を用いて所望の電極5同士を電気的に接続する構成となっている。そのため、電気接続部材9を繋ぎ変えるだけで、容易に各電極群の構成を目的の構成に変更することができる。
【0089】
<第5実施形態>
図20に示すように、本実施形態では、電極5zが固定レール対60から取り外されており、コンテナ1は、8つの電極5xで構成された第1電極群5Aと、8つの電極5yから構成された第2電極群5Bとを有する。そして、電圧印加装置7は、
図21に示すように、第1電極群5Aに第1交番電圧Vac1を印加し、第2電極群5Bに第1交番電圧Vac1と逆位相の第2交番電圧Vac2を印加する。なお、第1交番電圧Vac1と第2交番電圧Vac2とは、同じ波形であり、互いに周波数および振幅が同じである。
【0090】
第1交番電圧Vac1と第2交番電圧Vac2とを逆位相すなわち位相を180°ずらすことにより、第1電極群5Aと第2電極群5Bとの電位差ΔV1が、第1電極群5Aとコンテナ本体2との電位差ΔV2および第2電極群5Bとコンテナ本体2との電位差ΔV3よりも大きくなる。すなわち、ΔV1>ΔV2、ΔV1>ΔV3の関係となる。そのため、第1電極群5Aとコンテナ本体2の内壁との間や、第2電極群5Bとコンテナ本体2の内壁との間よりも、第1電極群5Aと第2電極群5Bとの間に電界が形成され易くなる。
【0091】
したがって、電界を収容室20のより広範囲、好ましくは全域にわたって形成することができ、収容室20内のどの位置に載置された対象物にも効率的に電界を作用させることができる。なお、前記「逆位相」とは、第1交番電圧Vac1と第2交番電圧Vac2との位相差が180°と一致している場合の他、技術上生じ得るわずかな誤差(例えば±10%)を有する場合も含む意味である。
【0092】
以上、本発明の収容庫について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。