(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-66487(P2021-66487A)
(43)【公開日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】錠剤用又は錠菓用ケース
(51)【国際特許分類】
B65D 83/04 20060101AFI20210402BHJP
【FI】
B65D83/04 E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-193969(P2019-193969)
(22)【出願日】2019年10月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和元年5月14日にITS’DEMO名古屋うまいもん通り 広小路口店で販売
(71)【出願人】
【識別番号】592035268
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・セブン
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 太一郎
(57)【要約】
【課題】本体11とスライド蓋12が相対的にスライド可能に組み付けられ、かつ本体11とスライド蓋12が分離し難い錠剤用又は錠菓用ケース10を提供すること。
【解決手段】本体11の上面開口11aにスライド蓋12を被せると、テーパ面12dに側縁のフランジ11b,11cが当たって側縁のガイド片12a,12bが拡開し、爪部12f,12gが側縁のフランジ11b,11cに掛止する。このときガイド凸片12h,12iは溝11fにはまり込むので、スライド蓋12はフランジ11b,11c,11d,11eに密着する。これに伴い、側縁のフランジ11b,11cがガイド片12a,12bとガイド凸条12h,12iの間に挟み込まれてスライド蓋12が本体11の上面開口11aにスライド可能に組み付けられる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口が形成され、開口から錠剤又は錠菓が充填される箱形の本体と、裏面の中間位置に第1突起が設けられ、本体にスライド可能に組み付けられて本体の開口を開閉可能に覆蓋するスライド蓋を備え、
スライド蓋の後端部が本体の後端部に掛止するまでスライド蓋をスライドさせたとき、スライド蓋で上面開口が全閉され、
第1突起が本体の後端部に掛止するまでスライド蓋をスライドさせたとき、上面開口が部分的に開放されるようにした錠剤用又は錠菓用ケースであって、
本体の開口の周縁に沿ってフランジを設けるとともに、左右の側縁のフランジと後縁のフランジの交差部に溝を形成し、
スライド蓋の側縁と後縁にガイド片を垂設し、側縁のガイド片の下端部にテーパ面を形成するとともにテーパ面の内側に爪部を形成し、側縁のガイド片の内側にガイド片と平行にガイド凸条を設け、
本体の上面開口にスライド蓋を被せると、テーパ面に側縁のフランジが当たって側縁のガイド片が拡開し、爪部が側縁のフランジに掛止するとともに、側縁のフランジがガイド片とガイド凸条の間に挟み込まれてスライド蓋が本体にスライド可能に組み付けられ、
本体に組み付けたスライド蓋をスライドさせたとき、ガイド凸条が溝を通過することを特徴とする錠剤用又は錠菓用ケース。
【請求項2】
ガイド凸条の後端部にストッパ片を設け、スライド蓋をスライドさせたとき、ストッパ片が溝と干渉してそれ以上スライド蓋がスライドしないようにしたことを特徴とする請求項1に記載の錠剤用又は錠菓用ケース。
【請求項3】
スライド蓋の後縁のガイド片の近傍に第2突起を設け、本体の上面開口がスライド蓋で全閉されたとき、後縁のフランジが後縁のガイド片と第2突起の間に挟み込まれるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の錠剤用又は錠菓用ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤又は錠菓を一粒、あるいは数粒取り出すのに便利な錠剤用又は錠菓用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のケースの一形式として、
図7〜
図10に示す錠菓用ケース1が広く実用に供されている。この錠菓用ケース1は、上面に開口2aが形成され、開口2aから錠剤又は錠菓を出しいれできる箱形の本体2と、本体2にスライド可能に組み付けられ、開口2aを開閉可能に覆蓋する箱型のスライド蓋3を備え、スライド蓋3の裏面には突起3a、3bが形成されている。本体2とスライド蓋3はいずれも樹脂で成型されている。
【0003】
この錠菓用ケース1は、
図7に示すように、本体2の後端部にスライド蓋3の後端部が掛止するまで本体2に対しスライド蓋3をスライドさせるとスライド蓋3で上面の開口2aが全閉される。
【0004】
また、
図8に示すように、本体2の後端部に突起3aが掛止するまでスライド蓋3をスライドさせると上面の開口2aが部分的に開放されるので、本体2を傾ければ、開口2aから一粒、あるいは数粒の錠菓を取り出すことができる。
【0005】
さらに又、
図9に示すように、本体2の後端部に突起3bが掛止するまでスライド蓋3をスライドさせると、上面の開口2aがさらに広く開放されるので、開口2aから錠菓を本体2に補填できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】引用なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、
図10に示すように、上記した従来の錠菓用ケース1では、本体2の側面の下端部に本体の長手方向に沿って段部2b、2cが形成されている。一方、スライド蓋は3の側面の下端部の内側に本体の段部2b、2cに掛止する掛止凸条3c、3dが形成されている。そして、本体2とスライド蓋3は、スライド蓋3の前面の開口から本体2を挿入し、本体2の段部2b、2cにスライド蓋3の掛止凸条3c、3dを掛止することで、相対的にスライド可能に組み付けられている。
【0008】
このような構造の錠菓ケース1では、スライド蓋3の側面が外側に撓んだり、本体2の側面が内側に撓むと、簡単に掛止凸条3c、3dが段部2b、2cから外れるので、スライド蓋3と本体2が分離してしまい、本体2の上面の開口2aから錠菓がこぼれ落ちてしまうおそれがある。
【0009】
また、本体2から錠菓を数粒取り出すため、スライド蓋3をスライドさせて本体2の開口2aを部分的に開放するとき、勢い余って本体2がスライド蓋3の前面開口から脱落してしまい、本体2から錠菓がこぼれ落ちるおそれがある。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑み、本体とスライド蓋が相対的にスライド可能に組み付けられ、かつ本体とスライド蓋が分離し難い錠剤用又は錠菓用ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、
上面に開口が形成され、開口から錠剤又は錠菓が充填される箱形の本体と、裏面の中間位置に第1突起が設けられ、本体にスライド可能に組み付けられて本体の開口を開閉可能に覆蓋するスライド蓋を備え、
スライド蓋の後端部が本体の後端部に掛止するまでスライド蓋をスライドさせたとき、スライド蓋で上面開口が全閉され、
第1突起が本体の後端部に掛止するまでスライド蓋をスライドさせたとき、上面開口が部分的に開放されるようにした錠剤用又は錠菓用ケースであって、
本体の開口の周縁に沿ってフランジを設けるとともに、左右の側縁のフランジと後縁のフランジの交差部に溝を形成し、
スライド蓋の側縁と後縁にガイド片を垂設し、側縁のガイド片の下端部にテーパ面を形成するとともにテーパ面の内側に爪部を形成し、側縁のガイド片の内側にガイド片と平行にガイド凸条を設け、
本体の上面開口にスライド蓋を被せると、テーパ面に側縁のフランジが当たって側縁のガイド片が拡開し、爪部が側縁のフランジに掛止するとともに、側縁のフランジがガイド片とガイド凸条の間に挟み込まれてスライド蓋が本体にスライド可能に組み付けられ、
本体に組み付けたスライド蓋をスライドさせたとき、ガイド凸条が溝を通過することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の錠剤用又は錠菓用ケースにおいて、
ガイド凸条の後端部にストッパ片を設け、スライド蓋をスライドさせたとき、ストッパ片が溝と干渉してそれ以上スライド蓋がスライドしないようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は請求項1に記載の錠剤用又は錠菓用ケースにおいて、
スライド蓋の後縁のガイド片の近傍に第2突起を設け、本体の上面開口がスライド蓋で全閉されたとき、後縁のフランジが後縁のガイド片と第2突起の間に挟み込まれるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、ガイド片の爪部が側縁のフランジに掛止して本体にスライド蓋が組み付けられるとともに、ガイド片とガイド凸条で側縁のフランジを挟み込んだ状態でスライド蓋が側縁のフランジに沿ってスライドする。そのため、スライド蓋が撓んでガイド片の爪部が側縁のフランジから外れようとすると、ガイド凸条が側縁のフランジと干渉するので、ガイド片の爪部が側縁のフランジから外れ難い。
また、本体が撓んで側縁のフランジがガイド片の爪部から外れようとすると、ガイド凸条が側縁のフランジと干渉するので、爪部が側縁のフランジから外れ難い。
このように、スライド蓋が撓んでも、あるいは本体が撓んでも、爪部が側縁のフランジから外れないので、スライド蓋と本体が分離し難く、不用意にスライド蓋が本体から外れて錠剤や錠菓が本体からこぼれ落ちるのを防止できる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、スライド蓋をスライドさせたとき、ストッパ片が溝と干渉してそれ以上スライド蓋がスライドしない。そのため、スライド蓋をスライドさせて本体の上面開口を部分的に開放するとき、勢い余って本体がスライド蓋の前面から脱落してしまい、本体から錠菓がこぼれ落ちるのを防止できる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、スライド蓋で本体の上面開口を全閉したとき、後縁のフランジが後縁のガイド片と第2突起の間に挟み込まれるので、スライド蓋がロックされる。そのため、不要にスライド蓋が開いて本体から錠剤や錠菓がこぼれ落ちるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例に係る錠菓用ケースを示す斜視図である。
【
図5】同錠菓用ケースのスライド蓋の裏面を示す斜視図である。
【
図10】
図7のA−A線から切断した断面図である。
【実施例】
【0018】
以下に本発明を図面に基づき説明する。
図1〜
図6には本発明の一実施例に係る錠菓用ケース10が示されている。当該錠菓用ケース10は上面が長方形の開口11aに形成され、上面開口11aから錠菓が充填される箱型の本体11と、本体の上面開口11aを覆蓋するスライド蓋12から構成されている。本体11及びスライド蓋12はいずれも樹脂で成型されている。
【0019】
本体の上面開口11aの周縁には上面開口11aの外側へ屈折するフランジ11b,11c,11d,11eが形成され、連続している。
図4に示すように、側縁のフランジ11b,11cと後縁のフランジ11e交差部には溝11fが形成されている。
【0020】
図5に示すように、スライド蓋12の裏面の側縁と後縁にガイド片12a,12b,12cが垂設されている。このガイド片12a,12b,12cはスライド蓋12の裏面の前部を除く部分に形成されている。
図6に拡大して図示するように、側縁のガイド片12a,12bの下端部はテーパ面12d,12eに形成され、テーパ面12d,12eの内端部が内側へ突出する爪部12f,12gを形成している。また、各側縁のガイド片12a,12bの内側にガイド片12a,12bと平行にガイド凸条12h,12iが設けられている。このガイド凸条12h,12iの前端部には長方形のストッパ片12jが形成されている。さらにまた、スライド蓋12の裏面には中間位置と後端部寄りに円形の第1突起12kと第2突起12mが形成されている。第2突起12mは後縁のガイド片12cの近傍に設けられている。
【0021】
本実施例に係る錠菓用ケースの構造は以上の通りであって、
図1に示すように、本体11の上面開口11aにスライド蓋12を被せると、テーパ面12dに側縁のフランジ11b,11cが当たって側縁のガイド片12a,12bが拡開し、爪部12f,12gが側縁のフランジ11b,11cに掛止する。このときガイド凸片12h,12iは溝11fにはまり込むので、スライド蓋12はフランジ11b,11c,11d,11eに密着する。これに伴い、側縁のフランジ11b,11cがガイド片12a,12bとガイド凸条12h,12iの間に挟み込まれてスライド蓋12が本体11の上面開口11aにスライド可能に組み付けられる。
【0022】
この錠菓用ケース10は
図2に示すように、本体11の後縁のフランジ11eにスライド蓋12の後縁のガイド片12cが掛止するまでスライド蓋12をスライドさせたとき、スライド蓋12で上面開口11aが全閉される。スライド蓋12で上面開口11aを全閉するとき、第2突起12mが後縁のフランジ11eに当たり、さらにスライド蓋12をスライドさせると
図2に示すように後縁のフランジ11eがスライド蓋12の後縁のガイド片12cと第2突起12mの間に入り込むので、スライド蓋12は上面開口11aを全閉する位置にロックされる。
【0023】
図1に示すように、第1突起12kが後縁のフランジ11eに当接するまでスライド蓋12をスライドさせると、上面開口11aが部分的に開放されるので、本体11から錠菓を数粒取り出すことができる。また、
図3に示すように、スライド蓋12をさらにスライドさせて上面開口11aを広く開放させることができる。スライド蓋12をスライドさせるとき、ガイド凸条12h,12iは溝11fを通過する。スライド蓋12がスライドするのはストッパ片12jが溝11fと干渉するまでで、それ以上はスライド蓋を12スライドさせることはできないので、スライド蓋12が本体11から脱落しない。
【0024】
本実施例に係る錠菓用ケース10によれば、ガイド片12a,12bの爪部12f,12gが側縁のフランジ11b,11cに掛止して本体11の上面開口11aにスライド蓋12が組み付けられるとともに、ガイド片12a,12bとガイド凸条12h,12iで側縁のフランジ11b,11cを挟み込んだ状態でスライド蓋12が側縁のフランジ11b,11cに沿ってスライドする。そのため、スライド蓋12が撓んでガイド片12a,12bの爪部12f,12gが側縁のフランジ11b,11cから外れようとすると、ガイド凸条12h,12iが側縁のフランジ11b,11cと干渉するので、ガイド片12a,12bの爪部12f,12gが側縁のフランジ11b,11cから外れ難い。
また、本体11が撓んで側縁のフランジ11b,11cがガイド片12a,12bの爪部,12f,12gから外れようとすると、ガイド凸条12h,12iが側縁のフランジ11b,11cと干渉するので、爪部12f,12gが側縁のフランジ11b,11cから外れ難い。
このように、スライド蓋12が撓んでも、あるいは本体11が撓んでも、爪部12f,12gが側縁のフランジ11b,11cから外れないので、スライド蓋12と本体11が分離し難く、不用意にスライド蓋12が本体11から外れて錠剤や錠菓が本体11からこぼれ落ちるのを防止できる。
【0025】
また、スライド蓋12をスライドさせたとき、ストッパ片12jが溝11fと干渉してそれ以上スライド蓋12がスライドしない。そのため、スライド蓋12をスライドさせて本体11の上面開口11aを部分的に開放するとき、勢い余って本体11がスライド蓋12の前面から脱落してしまい、本体11から錠菓がこぼれ落ちるのを防止できる。
【0026】
スライド蓋12で本体11の上面開口11aを全閉したとき、後縁のフランジ11eが後縁のガイド片12cと第2突起12mの間に挟み込まれるので、スライド蓋12がロックされる。そのため、不要にスライド蓋12が開いて本体11から錠菓がこぼれ落ちるのを防止できる。
【符号の説明】
【0027】
10…錠菓用ケース
11…本体
11a…上面開口
11b,11c…側縁のフランジ
11e…後縁のフランジ
11f…溝
12…スライド蓋
12a,12b…側縁のガイド片
12c…後縁のガイド片
12d,12e…テーパ面
12f,12g…爪部
12h,12i…ガイド凸条
12j…ストッパ片
12k…第1突起
12m…第2突起