【解決手段】一側面では、本開示は、H因子結合タンパク質(fHBP)および髄膜炎菌非血清型B莢膜多糖を含む組成物、ならびにその使用方法に関する。本開示はさらに、fHBPを含む組成物の使用、たとえば、髄膜炎菌血清型B株および非血清型B株に対する免疫応答を誘発させるための使用などに関する。本明細書中に記載の組成物および方法は、成人、青年、幼児、および乳児を含めたヒトにおける投与を対象とする。
ヒトにおいて免疫応答を誘導する方法であって、前記方法は、前記ヒトに、a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドと、(c)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってアジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖であって、前記リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖と、(d)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってADHリンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖であって、前記リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖と、(e)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型W莢膜糖と、(f)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型Y莢膜糖とを含む組成物を投与するステップを含み、前記組成物は、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYのうちの少なくとも1つに対する免疫応答を誘導し、前記免疫応答は血清殺菌抗体の力価を含み、前記力価は、(a)髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖コンジュゲートを含み、髄膜炎菌ポリペプチドをさらに含まない組成物、ならびに(b)髄膜炎菌血清型Bポリペプチドを含み、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖コンジュゲートをさらに含まない組成物のうちの任意の1つから選択された組成物によって誘導されたものよりも高い、方法。
髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖コンジュゲートを含む前記組成物が、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖に対する認可ワクチンである、請求項1に記載の方法。
前記組成物が、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYのうちの任意の1つならびに髄膜炎菌血清型Bから選択される髄膜炎菌血清型に対する免疫応答を誘導し、前記免疫応答は、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY莢膜多糖に対する組成物によって誘導される血清殺菌抗体の力価よりも高い、選択された前記髄膜炎菌血清型に対する血清殺菌抗体の力価を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
前記組成物が、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYのうちの任意の1つならびに髄膜炎菌血清型Bから選択される髄膜炎菌血清型に対する免疫応答を誘導し、前記免疫応答は、髄膜炎菌血清型Bに対する組成物によって誘導される血清殺菌抗体の力価よりも高い、前記選択された髄膜炎菌血清型に対する血清殺菌抗体の力価を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
前記組成物が、トリス−HCl、塩化ナトリウム、スクロース、ヒスチジン、ポリソルベート80、およびリン酸アルミニウムをさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
前記組成物が、約120μg/mlの前記第1のポリペプチド、約120μg/mlの前記第2のポリペプチド、リン酸アルミニウムとして約0.5mg/mlのアルミニウム、約0.02mgのポリソルベート−80、約10mMのヒスチジン、および約150mMの塩化ナトリウムを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
前記組成物が、約60μgの前記第1のポリペプチド、約7.5μgのTTとコンジュゲートしている約60μgの前記第2のポリペプチド、約7.5μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenA莢膜糖、約7.5μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenC莢膜糖、約3.75μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenW莢膜糖、約3.25μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenY莢膜糖、約97μgのトリス−HCl、pH6.8±0.3、4.69〜4.71mgの塩化ナトリウム、約28mgのスクロース、約0.78mgのL−ヒスチジン、約0.02mgのポリソルベート−80、約0.25mgのアルミニウムを含み、1用量あたり0.5mLの水をさらに含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
前記組成物が、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYのそれぞれに対する追加免疫応答を誘発することができる、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
約11歳の前記ヒトに前記組成物の少なくとも1回の用量を投与し、1回目の用量の少なくとも4年後に、前記ヒトに前記組成物のさらなる用量を投与するステップを含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
約11歳の前記ヒトに前記組成物の少なくとも1回の用量を投与し、最後の用量の少なくとも4年後に、前記ヒトに前記組成物のさらなる用量を投与するステップを含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
約11歳の前記ヒトに1回の用量の前記組成物を投与し、1回目の用量の約5年後に、前記ヒトに前記組成物の少なくとも2回の用量を投与するステップを含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
前記組成物の1回目の用量および2回目の用量を投与するステップを含み、2回目の用量は1回目の用量の約6カ月後である、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
前記組成物が、髄膜炎菌血清型B A22、A56、B24、B44株のうちの任意の1つ、またはその任意の組合せに対する殺菌性免疫応答を誘導する、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
前記組成物が、髄膜炎菌血清型B B24、B16、B44、A22、B03、B09、A12、A19、A05、A07、B153株のうちの任意の1つ、またはその任意の組合せに対する殺菌性免疫応答を誘導する、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明者らは、少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)ならびに髄膜炎菌血清型A、C、W、およびY莢膜糖コンジュゲートを含む組成物が安定かつ免疫原性であることを見出した。本発明者らは、組成物が、ヒトにおいて髄膜炎菌血清型A、C、W、Y、およびBのうちの少なくとも2、3、4、または5つに対する免疫応答を誘導することをさらに見出した。驚くべきことに、誘発された免疫応答は、髄膜炎菌に対する認可ワクチンによって誘発された免疫応答よりも高い。
【0041】
一側面では、組成物は、担体タンパク質とコンジュゲートしている、髄膜炎菌H因子結合タンパク質に由来する少なくとも1つのポリペプチドおよび少なくとも1つの髄膜炎菌莢膜糖を含む。
H因子結合タンパク質(fHBP)に由来するタンパク質。
【0042】
一態様では、組成物は、たとえば以下のポリペプチドのうちの任意の1つなどの、任意のfHBPを含む:B24、B16、B44、A22、B03、B09、A12、A19、A05、A07、A06、A15、A29、B01、A62、B15、およびその任意の組合せ。好ましくは、組成物は、A05およびB01ポリペプチドの組合せを含む。別の好ましい態様では、組成物は、B24およびA05ポリペプチド組合せを含む。別の態様では、組成物は、A05、A12、B09、およびB44ポリペプチド組合せを含む。一態様では、組成物は脂質付加fHBPを含む。一態様では、組成物は非脂質付加fHBPを含まない。
【0043】
別の態様では、組成物は、それぞれがその全体で本明細書中に参考として組み込まれている国際公開公報WO2012/032489号、米国特許公開20120093852号、国際公開公報WO2013/132452号、および米国特許公開20160030543号に記載の非脂質付加fHBPのうちの任意の1つなどの、非脂質付加fHBPを含む。一態様では、組成物は、少なくとも1つの非脂質付加fHBPおよび少なくとも1つの脂質付加fHBPを含む。
【0044】
一部の態様では、組成物は、配列番号1、配列番号2、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、および配列番号62のうちの任意の1つに記載のアミノ酸配列と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%の同一性を有するポリペプチドを含む。
【0045】
好ましい態様では、組成物は、(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドと、(c)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってアジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖と、(d)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってADHリンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖と、(e)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型W莢膜糖と、(f)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型Y莢膜糖とを含む。
第1のポリペプチド、MnB rLP2086サブファミリーA(A05)タンパク質
一態様では、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する第1のポリペプチドを含む。ポリペプチドは、髄膜炎菌株M98250771からの修飾されたH因子結合タンパク質(fHBP)である。fHBPの説明は、それぞれがその全体で参考として組み込まれているWO2012032489号および米国特許公開2012/0093852号に開示されている。ポリペプチドは、ポリペプチドの3つの位置で共有結合している3つの主要な脂肪酸C16:0、C16:1、およびC18:1でN末端に脂質付加されている。第1のポリペプチドは合計258個のアミノ酸を含む。
【0046】
MnB rLP2086 A05タンパク質の代表的な一次構造は、米国特許第10,183,070号の
図4に提示されている。タンパク質の一次構造は、N末端システインおよびグリセリル部分(完全な化学式を使用して例示)以外のすべてのアミノ酸について一文字表記を使用して、米国特許第10,183,070号の
図4に例示されている。この構造は、N末端システイン残基が脂質付加されている、タンパク質配列の一次構造を含む。タンパク質N末端でのN末端システイン残基のアミノ基は脂肪酸(R1)と付着してアミド結合を形成しており、システイニルスルフヒドリル基は、2つのエステル結合した脂肪酸(R2)を含有するグリセロール部分と付着している。R1の構造はヘキサデカン酸(C16:0)であると推測され、R2の構造はMnB rLP2086アイソフォームに応じて変動する。
【0047】
第1のポリペプチドは、髄膜炎菌株M98250771からの対応する野生型配列と比較して、ポリペプチドのN末端領域内に導入された2つの修飾を含む。クローニング部位を導入した結果として第2位のグリシンが付加される。第2の修飾は4個のアミノ酸の欠失を含む。したがって、一態様では、第1のポリペプチドはN末端にC−G−S−S配列(配列番号3)を含む。配列番号1の最初の4個のアミノ酸残基を参照されたい。
【0048】
第1のポリペプチド配列と野生型ナイセリア配列との間のN末端の相違を以下に示す。したがって、一態様では、第1のポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列の少なくとも最初の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個、またはそれより多くのアミノ酸残基を含む。好ましくは、第1のポリペプチドは、配列番号1の少なくとも最初の4個、より好ましくは少なくとも最初の6個、最も好ましくは少なくとも最初の8個のアミノ酸残基を含む。
組換えおよびナイセリアサブファミリーA LP2086ポリペプチドの予測されるN末端配列の比較
rLP2086 M98250771 CGSS−−−−−GGGGVAAD(配列番号4)
ナイセリアLP2086 M98250771 C−SSGS−GSGGGGVAAD(配列番号5)
>A05(配列番号1)
【0050】
一態様では、第1のポリペプチドは配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む。一態様では、第1のポリペプチドは合計258個のアミノ酸を有する。一態様では、第1のポリペプチドは、配列番号1と100%未満の配列同一性を有するアミノ酸配列を含まない。別の態様では、第1のポリペプチドは配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる。別の態様では、第1のポリペプチドはアミノ酸配列KDNを含む。たとえば配列番号1のアミノ酸残基73〜75を参照されたい。別の態様では、第1のポリペプチドは、ポリペプチドのN末端に配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む。別の態様では、第1のポリペプチドは、ポリペプチドのN末端に配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む。
【0051】
好ましい態様では、第1のポリペプチドは、当分野で知られている標準技法を使用して組換え宿主細胞中で容易に発現される。別の好ましい態様では、第1のポリペプチドは、配列番号1のNおよび/またはCドメイン上に殺菌性エピトープを含む。一態様では、第1のポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列の少なくとも最初の4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100個のアミノ酸残基を含む。好ましくは、第1のポリペプチドは、配列番号1の少なくとも最初の2個、より好ましくは少なくとも最初の4個、最も好ましくは、少なくとも最初の8個のアミノ酸残基を含む。
【0052】
別の態様では、第1のポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列の少なくとも最後の4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100個のアミノ酸残基を含む。
【0053】
一態様では、組成物は、約30μg/mlの、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドを含む。好ましい一態様では、組成物は、約60μgの、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドを含む。好ましい一態様では、組成物は、約60μgの、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドを含み、組成物は、好ましくは0.5mlの総体積を有する。別の態様では、組成物は、約120μg/mlの、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドを含む。
第2のポリペプチド、MnB rLP2086サブファミリーB(B01)タンパク質
一態様では、組成物は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチドを含む。ポリペプチドは、髄膜炎菌株CDC1573からのH因子結合タンパク質(fHBP)である。fHBPの説明は、それぞれがその全体で参考として組み込まれているWO2012032489号および米国特許公開2012/0093852号に開示されている。ポリペプチドは、ポリペプチドの3つの位置で共有結合している3つの主要な脂肪酸C16:0、C16:1、およびC18:1でN末端に脂質付加されている。第2のポリペプチドは合計261個のアミノ酸を含む。
【0054】
MnB rLP2086 B01タンパク質代表的な一次構造は、米国特許第10,183,070号の
図5に提示されている。タンパク質の一次構造は、N末端システインおよびグリセリル部分(完全な化学式を使用して例示)以外のすべてのアミノ酸について一文字表記を使用して、米国特許第10,183,070号の
図5に例示されている。この構造は、N末端システイン残基が脂質付加されている、タンパク質配列の一次構造を含む。タンパク質N末端でのN末端システイン残基のアミノ基は脂肪酸(R1)と付着してアミド結合を形成しており、システイニルスルフヒドリル基は、2つのエステル結合した脂肪酸(R2)を含有するグリセロール部分と付着している。R1の構造はヘキサデカン酸(C16:0)であると推測され、R2の構造はrLP2086アイソフォームに応じて変動する。
【0055】
第2のポリペプチドは、髄膜炎菌株CDC−1573からの対応する野生型配列と比較して、rLP2086サブファミリーBタンパク質のN末端領域内に導入された1つの修飾を含む。第2位のグリシンはクローニング部位を導入した結果である。
【0056】
元のナイセリア配列からのN末端の相違を以下に示す。
組換えおよびナイセリアサブファミリーB LP2086タンパク質の予測されるN末端配列の比較
rLP2086 CDC−1573 CGSSGGGGSGGGGVTAD(配列番号24)
ナイセリアLP2086 CDC−1573 C−SSGGGGSGGGGVTAD(配列番号25)
一態様では、第2のポリペプチドはN末端にC−G−S−S配列(配列番号3)を含む。配列番号2の最初の4個のアミノ酸残基を参照されたい。
>B01(配列番号2)
【0058】
一態様では、第2のポリペプチドは配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。一態様では、第2のポリペプチドは合計261個のアミノ酸を有する。一態様では、第2のポリペプチドは配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる。別の態様では、第2のポリペプチドは、配列番号2と100%未満の配列同一性を有するポリペプチドを含まない。好ましい態様では、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドは、それぞれのポリペプチドのN末端にC−G−S−S(配列番号3)配列を含む。
【0059】
好ましい態様では、第2のポリペプチドは、当分野で知られている標準技法を使用して組換え宿主細胞中で容易に発現される。別の好ましい態様では、第2のポリペプチドは、配列番号2のNおよび/またはCドメイン上に殺菌性エピトープを含む。一態様では、第2のポリペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列少なくとも最初の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100個のアミノ酸残基を含む。好ましくは、第2のポリペプチドは、配列番号2の少なくとも最初の2個、より好ましくは少なくとも最初の4個、最も好ましくは少なくとも最初の8個のアミノ酸残基を含む。
【0060】
別の態様では、第2のポリペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列の少なくとも最後の4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100個のアミノ酸残基を含む。
【0061】
一態様では、組成物は、約30μg/mlの、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドを含む。好ましい一態様では、組成物は、約60μgの、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドを含む。好ましい一態様では、組成物は、約60μgの、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドを含み、組成物は、好ましくは0.5mlの総体積を有する。別の態様では、組成物は、120μg/mlの、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドを含む。
髄膜炎菌血清型A、C、W、およびY(MenACWY)莢膜糖
本明細書全体にわたって用語「糖」とは、多糖またはオリゴ糖を示していてもよく、両方を含んでもよい。多糖は細菌から単離するか、または、細菌から単離し、既知の方法および任意選択で微小流動化によってある程度まで分粒する。多糖は、多糖試料において粘度を下げるため、および/またはコンジュゲート産物の濾過可能性を改善させるために、分粒することができる。オリゴ糖は反復単位数が低く(典型的には5〜30個の反復単位)、典型的には加水分解した多糖である。
【0062】
それぞれの髄膜炎菌莢膜糖は、TT、DT、CRM197、TTの断片C、およびタンパク質Dからなる群から独立して選択された担体タンパク質とコンジュゲートしていてもよい。1つまたは複数の髄膜炎菌莢膜糖を、他のものとは異なる担体タンパク質とコンジュゲートしていてもよいが、一態様では、これらはすべて同じ担体タンパク質とコンジュゲートしている。たとえば、これらは、TT、DT、CRM197、TTの断片C、およびタンパク質Dからなる群から選択される同じ担体タンパク質とコンジュゲートしていてもよい。このコンテキストでは、CRM197およびDTは、1個のアミノ酸しか異なっていないため、同じ担体タンパク質であるとみなし得る。好ましい態様では、存在するすべての髄膜炎菌莢膜糖はTTとコンジュゲートしている。
【0063】
タンパク質担体が組成物中の2つ以上の糖について同じである場合、糖は、タンパク質担体の同じ分子とコンジュゲートしていてもよい(担体分子には2つ以上の異なる糖がコンジュゲートしている)[たとえばWO04/083251号を参照されたい。たとえば、単一の担体タンパク質が、MenAおよびMenC;MenAおよびMenW;MenAおよびMenY;MenCおよびMenW;MenCおよびMenY;MenWおよびMenY;MenA、MenCおよびMenW;MenA、MenCおよびMenY;MenA、MenWおよびMenY;MenC、MenWおよびMenY;MenA、MenC、MenWおよびMenYとコンジュゲートしていてもよい。あるいは、糖は、それぞれタンパク質担体の異なる分子と別々にコンジュゲートしていてもよい(タンパク質担体のそれぞれの分子には1種類の糖のみがコンジュゲートしている)。
【0064】
一態様では、少なくとも2つの異なる糖コンジュゲートは、同じ種類の担体タンパク質と別々にコンジュゲートしており、ここで、1つまたは複数の糖はタンパク質担体上の第1の種類の化学基を介して担体タンパク質とコンジュゲートしており、1つまたは複数の糖はタンパク質担体上の第2の(異なる)種類の化学基を介して担体タンパク質とコンジュゲートしている。
【0065】
一態様では、2つのコンジュゲートは、同じ担体と連結しているが異なるコンジュゲーション化学によって連結している、同じ糖を含む。代替態様では、2つの異なる糖はタンパク質担体上の異なる基とコンジュゲートしている。
【0066】
「同じ種類の担体タンパク質と別々にコンジュゲートしている」とは、糖が同じ担体と個々にコンジュゲートしていることを意味する(たとえば、MenAは、破傷風トキソイド上のアミン基を介して破傷風トキソイドとコンジュゲートしており、MenCは、破傷風トキソイドの異なる分子上のカルボン酸基を介して破傷風トキソイドとコンジュゲートしている。)
莢膜糖は、TT、DT、CRM197、TTの断片C、およびタンパク質Dからなる群から独立して選択された同じ担体タンパク質とコンジュゲートしていてもよい。本開示のコンジュゲートにおいて使用し得るタンパク質担体のより完全なリストを以下に提示する。このコンテキストでは、CRM197およびDTは、1個のアミノ酸しか異なっていないため、同じ担体タンパク質であるとみなし得る。一態様では、存在するすべての莢膜糖はTTとコンジュゲートしている。
【0067】
糖は、髄膜炎菌血清型A莢膜糖(MenA)、髄膜炎菌血清型C莢膜糖(MenC)、髄膜炎菌血清型Y莢膜糖(MenY)、および髄膜炎菌血清型W莢膜糖(MenW)、またはその任意の組合せのうちの任意の1つを含む。
【0068】
タンパク質担体上に存在する第1および第2の化学基は互いに異なり、理想的には、コンジュゲーション目的に容易に使用し得る天然の化学基である。これらは、カルボキシル基、アミノ基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、イミダゾリル基、グアニジル基、およびインドリル基からなる群から独立して選択され得る。一態様では、第1の化学基はカルボキシルであり、第2はアミノである、またはその逆である。これらの基は以下に詳述する。
【0069】
具体的な態様では、免疫原性組成物は少なくとも2つの異なる髄膜炎菌莢膜糖を含み、ここで、1つまたは複数は、タンパク質担体上の第1の種類の化学基(たとえばカルボキシル)を介して担体タンパク質とコンジュゲートしている、MenAおよびMenCからなる第1の群から選択され、1つまたは複数の異なる糖は、タンパク質担体上の第2の種類の化学基(たとえばアミノ)を介して担体タンパク質とコンジュゲートしている、MenC、MenY、およびMenWからなる第2の群から選択される。
【0070】
さらなる態様では、本開示の免疫原性組成物は、第1の種類の化学基(たとえばカルボキシル)を介してコンジュゲートしているMenAと、第2の種類の化学基(たとえばアミノ)を介してコンジュゲートしているMenCとを含む。
【0071】
別の態様では、免疫原性組成物は、第1の種類の化学基(たとえばカルボキシル)を介してコンジュゲートしているMenCと、第2の種類の化学基(たとえばアミノ)を介してコンジュゲートしているMenYとを含む。
【0072】
別の態様では、免疫原性組成物は、第1の種類の化学基(たとえばカルボキシル)を介してコンジュゲートしているMenAと、第2の種類の化学基(たとえばアミノ)を介してコンジュゲートしているMenC、MenY、およびMenWとを含む。
【0073】
別の態様では、免疫原性組成物は、第1の種類の化学基(たとえばカルボキシル)を介してコンジュゲートしているMenAおよびMenCと、第2の種類の化学基(たとえばアミノ)を介してコンジュゲートしているMenYおよびMenWとを含む。
【0074】
本開示の医薬(免疫原性)組成物中に含まれる本開示の糖は、破傷風トキソイド(TT)、破傷風トキソイド断片C、破傷風毒素の無毒性突然変異体[本開示の目的のために、TTのすべてのそのような変異体は同じ種類の担体タンパク質とみなされることに注意されたい]、ジフテリアトキソイド(DT)、CRM197、ジフテリア毒素の他の無毒性突然変異体[CRM176、CRM197、CRM228、CRM45(Uchidaら、J.Biol.Chem.、218巻;3838〜3844頁、1973年);CRM9、CRM45、CRM102、CRM103、およびCRM107、ならびにNichollsおよびYoule、Genetically Engineered Toxins、Frankel編、Maecel Dekker Inc,、1992年に記載されている他の突然変異;Glu−148からAsp、Gln、もしくはSerおよび/またはAla158からGlyへの欠失または突然変異、ならびにUS4709017号もしくはUS4950740号に開示されている他の突然変異;少なくとも1つ以上の残基Lys516、Lys526、Phe530、および/もしくはLys534の突然変異、ならびにUS5917017号もしくはUS6455673号に開示されている他の突然変異;あるいはUS5843711号に開示されている断片など](本開示の目的のために、DTのすべてのそのような変異体は同じ種類の担体タンパク質とみなされることに注意されたい)、肺炎球菌ニューモリシン(Kuoら、(1995年)Infect Immun、63巻;2706〜13頁)、OMPC(髄膜炎菌外膜タンパク質−通常は髄膜炎菌血清型Bから抽出−EP0372501号)、合成ペプチド(EP0378881号、EP0427347号)、熱ショックタンパク質(WO93/17712号、WO94/03208号)、百日咳タンパク質(WO98/58668号、EP0471177号)、サイトカイン、リンホカイン、成長因子もしくはホルモン(WO91/01146号)、N19タンパク質(Baraldoiら、(2004年)Infect Immun、72巻;4884〜7頁)肺炎球菌表面タンパク質PspA(WO02/091998号)などの、様々な病原体に由来する抗原からの複数のヒトCD4+T細胞エピトープを含む人工タンパク質(Falugiら、(2001年)Eur J Immunol、31巻;3816〜3824頁)、鉄取り込みタンパク質(WO01/72337号)、シー・ディフィシルの毒素AもしくはB(WO00/61761号)、またはタンパク質D(EP594610号およびWO00/56360号)等の担体タンパク質とコンジュゲートしている。
【0075】
一態様では、本開示の免疫原性組成物は、少なくとも2個、3個、4個、またはそれに含有されるそれぞれの糖において、同じ種類の担体タンパク質を(独立して)使用する。
一態様では、本開示の免疫原性組成物は、TT、DT、CRM197、TTの断片C、およびタンパク質Dからなる群から選択される担体タンパク質とコンジュゲートしている髄膜炎菌糖を含む。
【0076】
本開示の免疫原性組成物は、Men糖対担体タンパク質の比が1:5〜5:1、1:2〜5:1、1:0.5〜1:2.5、または1:1.25〜1:2.5(w/w)である、少なくとも1つの髄膜炎菌糖(たとえば、MenA;MenC;MenW;MenY;MenAおよびMenC;MenAおよびMenW;MenAおよびMenY;MenCおよびMenW;MenCおよびMenY;MenWおよびMenY;MenA、MenCおよびMenW;MenA、MenCおよびMenY;MenA、MenWおよびMenY;MenC、MenWおよびMenY;またはMenA、MenC、MenWおよびMenY)コンジュゲートを任意選択で含む。好ましい一態様では、組成物は、それぞれ約3、約3、約1.5、および約1.3の比(トキソイド対多糖)で破傷風トキソイドとそれぞれコンジュゲートしている、MenA、MenC、MenW、およびMenYを含む。
【0077】
コンジュゲートにおける糖対担体タンパク質の比(w/w)は、無菌コンジュゲートを使用して決定し得る。タンパク質の量はローリーアッセイを使用して決定し(たとえば、Lowryら、(1951年)J.Biol.Chem.、193巻、265〜275頁またはPetersonら、Analytical Biochemistry、100巻、201〜220頁(1979年))、糖の量は、MenAではICP−OES(誘導結合プラズマ−発光分光法)、MenCではDMAPアッセイ、ならびにMenWおよびMenYではレソルシノールアッセイを使用して決定する(Monsignyら、(1988年)Anal.Biochem.、175巻、525〜530頁)。
【0078】
一態様では、本開示の免疫原性組成物は髄膜炎菌糖コンジュゲートを含み、髄膜炎菌糖は、リンカー、たとえば二官能性リンカーを介して担体タンパク質とコンジュゲートしている。リンカーは任意選択でヘテロ二官能性またはホモ二官能性であり、たとえば、反応性アミノ基および反応性カルボン酸基、2つの反応性アミノ基、または2つの反応性カルボン酸基を有する。リンカーは、たとえば、4〜20、4〜12、5〜10個の炭素原子を有する。可能性のあるリンカーはADHである。他のリンカーは、B−プロピオンアミド(WO00/10599号)、ニトロフェニル−エチルアミン(Geverら、(1979年)Med.Microbiol.Immunol.、165巻;171〜288頁)、ハロゲン化ハロアルキル(US4057685号)、グリコシド結合(US4673574号、US4808700号)、ヘキサンジアミン、および6−アミノカプロン酸(US4459286号)を含む。
【0079】
本開示の免疫原性組成物中に存在する糖コンジュゲートは、任意の既知のカップリング技法によって調製し得る。コンジュゲーション方法は、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)を用いて糖を活性化させてシアン酸エステルを形成することに依存し得る。したがって、活性化された糖は、直接またはスペーサー(リンカー)基を介して、担体タンパク質上のアミノ基とカップリングさせ得る。たとえば、スペーサーはシスタミンまたはシステアミンであることができ、これにより、マレイミドで活性化した担体タンパク質(たとえばGMBSを使用)またはホロアセチル化した担体タンパク質(たとえばヨードアセチミドまたはN−スクシンイミジルブロモアセテートを使用)との反応後に得られるチオエーテル結合を介して担体とカップリングさせることができる、チオール化多糖が得られる。任意選択で、シアン酸エステル(任意選択でCDAP化学によって作製)をヘキサンジアミンまたはADHとカップリングさせ、アミノ誘導体化糖を、カルボジイミド(たとえば、EDACまたはEDC)化学を使用して、タンパク質担体上のカルボキシル基を介して、担体タンパク質とコンジュゲートさせる。そのようなコンジュゲートは、ユニフォームド・サービス大学(Uniformed Services University)のPCT公開出願WO93/15760号ならびにWO95/08348号およびWO96/29094号に記載されている。
【0080】
他の適切な技法は、カルビイニド(carbiinide)、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p−ニトロ安息香酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、S−NHS、EDC、TSTUを使用する。多くはWO98/42721号に記載されている。コンジュゲーションは、糖の遊離ヒドロキシル基とCDIとの反応(Bethellら、J.Biol.Chem.、1979年、254巻;2572〜4頁、Hearnら、J.Chromatogr.、1981年、218巻;509〜18頁)、次いでタンパク質との反応によるカルバミン酸結合の形成によって形成され得る、カルボニルリンカーを含み得る。これは、アノマー末端から一次ヒドロキシル基への還元、一次ヒドロキシル基とCDIとの反応によりCDIカルバメート中間体を形成させ、CDIカルバメート中間体をタンパク質上のアミノ基とカップリングさせる、任意選択の一次ヒドロキシル基の保護/脱保護を含み得る。
【0081】
また、コンジュゲートは、US4365170号(Jennings)およびUS4673574号(Anderson)に記載の直接還元性アミノ化方法によって調製することもできる。他の方法はEP−0−161−188号、EP−208375号、およびEP−0−477508号に記載されている。
【0082】
さらなる方法は、カルボジイミド縮合(Chu C.ら、Infect.Immunity、1983年、245〜256頁)による、たとえばEDACを使用した、アジピン酸ヒドラジド(ADH)で誘導体化した臭化シアン(またはCDAP)活性化糖とタンパク質担体とのカップリングを含む。
【0083】
一態様では、糖上のヒドロキシル基(任意選択で活性化されたヒドロキシル基、たとえばシアン酸エステルによって活性化されたヒドロキシル基)を、直接または間接的に(リンカーを介して)のどちらかで、タンパク質上のアミノまたはカルボキシル基と連結させる。リンカーが存在する場合、たとえばCDAPコンジュゲーションを使用することによって、糖上のヒドロキシル基をリンカー上のアミノ基と任意選択で連結させる。たとえばカルボジイミド化学を使用することによって、たとえばEDACを使用することによって、リンカー、たとえばADH)中のさらなるアミノ基をタンパク質上のカルボン酸基とコンジュゲートさせ得る。一態様では、リンカーを担体タンパク質とコンジュゲートさせる前に、髄膜炎菌莢膜糖(または糖全般)を最初にリンカーとコンジュゲートさせる。あるいは、糖とコンジュゲートさせる前にリンカーを担体とコンジュゲートさせ得る。
【0084】
一般に、タンパク質担体上の以下の種類の化学基をカップリング/コンジュゲーションに使用することができる:
A)カルボキシル(たとえば、アスパラギン酸またはグルタミン酸を介して)。一態様では、この基は、糖上のアミノ基に直接、またはカルボジイミド化学、たとえばEDACを用いてリンカー上のアミノ基に連結している。
B)アミノ基(たとえばリシンを介して)。一態様では、この基は、糖上のカルボキシル基に直接、またはカルボジイミド化学、たとえばEDACを用いてリンカー上のカルボキシル基に連結している。別の態様では、この基は、糖上のCDAPまたはCNBrで活性化させたヒドロキシル基に直接、または、リンカー上のそのような基、アルデヒド基を有する糖もしくはリンカー、スクシンイミドエステル基を有する糖もしくはリンカーに連結している。
C)スルフヒドリル(たとえばシステインを介して)。一態様では、この基は、マレイミド化学でブロモもしくはクロロアセチル化糖またはリンカーと連結している。一態様では、この基はビスジアゾベンジジンで活性化/修飾されている。
D)ヒドロキシル基(たとえばチロシンを介して)。一態様では、この基はビスジアゾベンジジンで活性化/修飾されている。
E)イミダゾリル基(たとえばヒスチジンを介して)。一態様では、この基はビスジアゾベンジジンで活性化/修飾されている。
F)グアニジル基(たとえばアルギニンを介して)。
G)インドリル基(たとえばトリプトファンを介して)。
【0085】
糖上では、一般に以下の基をカップリングに使用することができる:OH、COOH、またはNH2。アルデヒド基は、過ヨウ素酸、酸加水分解、過酸化水素などの当分野で知られている様々な処理の後に発生させることができる。
直接カップリング手法:
糖−OH+CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル+NH2−Prot→コンジュゲート
糖−アルデヒド+NH2−Prot→シッフ塩基+NaCNBH3→コンジュゲート
糖−COOH+NH2−Prot+EDAC→コンジュゲート
糖−NH2+COOH−Prot+EDAC→コンジュゲート
スペーサー(リンカー)を介した間接的カップリング手法:
糖−OH+CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル+NH2−NH2→糖−NH2+COOH−Prot+EDAC→コンジュゲート
糖−OH+CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル+NH2−SH→糖−SH+SH−Prot(露出したシステインを有するネイティブタンパク質、またはたとえばSPDPによるタンパク質のアミノ基の修飾の後に得られる)→糖−S−S−Prot
糖−OH+CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル+NH2−SH→糖−SH+マレイミド−Prot(アミノ基の修飾)→コンジュゲート
糖−COOH+EDAC+NH2−NH2→糖−NH2+EDAC+COOH−Prot→コンジュゲート
糖−COOH+EDAC+NH2−SH→糖−SH+SH−Prot(露出したシステインを有するネイティブタンパク質、またはたとえばSPDPによるタンパク質のアミノ基の修飾の後に得られる)→糖−S−S−Prot
糖−COOH+EDAC+NH2−SH→糖−SH+マレイミド−Prot(アミノ基の修飾)→コンジュゲート
糖−アルデヒド+NH2−NH2→糖−NH2+EDAC+COOH−Prot→コンジュゲート
注記:上記EDACの代わりに任意の適切なカルボジイミドを使用し得る。
【0086】
要約すると、糖とのカップリングに一般に使用し得るタンパク質担体化学基の種類は、アミノ基(たとえばリシン残基上)、COOH基(たとえば、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基上)、ならびにSH基(接近可能な場合)(たとえばシステイン残基上)である。
【0087】
一態様では、髄膜炎菌莢膜糖(または糖全般)のうちの少なくとも1つは担体タンパク質と直接コンジュゲートしており、任意選択で、MenWおよび/またはMenYおよび/またはMenC糖は担体タンパク質と直接コンジュゲートしている。たとえば、MenW;MenY;MenC;MenWおよびMenY;MenWおよびMenC;MenYおよびMenC;またはMenW、MenYおよびMenCは担体タンパク質と直接連結している。任意選択で、髄膜炎菌莢膜糖のうちの少なくとも1つはCDAPによって直接コンジュゲートしている。たとえば、MenW、MenY、MenC、MenWとMenY、MenWとMenC、MenYとMenC、またはMenWとMenYとMenCは、CDAPによって担体タンパク質と直接連結している(WO95/08348号およびWO96/29094号を参照)。一態様では、すべての髄膜炎菌莢膜糖は破傷風トキソイドとコンジュゲートしている。
【0088】
一態様では、MenWおよび/またはY糖対担体タンパク質の比は1:0.5〜1:2(w/w)である、および/またはMenC糖対担体タンパク質の比は1:0.5〜1:4または1:0.5〜1:1.5(w/w)であり、特にこれらの糖が任意選択でCDAPを使用してタンパク質と直接連結している場合にそうである。
【0089】
一態様では、髄膜炎菌莢膜糖(または糖全般)のうちの少なくとも1つは、リンカー、たとえば二官能性リンカーを介して担体タンパク質とコンジュゲートしている。リンカーは、任意選択でヘテロ二官能性またはホモ二官能性であり、たとえば、反応性アミン基および反応性カルボン酸基、2つの反応性アミン基、または2つの反応性カルボン酸基を有する。リンカーは、たとえば、4〜20、4〜12、5〜10個の炭素原子を有する。可能性のあるリンカーはADHである。
【0090】
一態様では、MenA;MenC;またはMenAおよびMenCは、リンカーを介して担体タンパク質(たとえば破傷風トキソイド)とコンジュゲートしている。
一態様では、少なくとも1つの髄膜炎菌糖は、CDAPおよびEDACを使用して、リンカーを介して担体タンパク質とコンジュゲートしている。たとえば、MenA、MenC、またはMenAおよびMenCは、上述のようにCDAPおよびEDACを使用して、リンカー(たとえば、ADHなどの、その末端に2つのヒドラジノ基を有するもの)を介してタンパク質とコンジュゲートしている。たとえば、CDAPは糖をリンカーにコンジュゲートさせるために使用し、EDACはリンカーをタンパク質にコンジュゲートさせるために使用する。任意選択で、リンカーを介したコンジュゲーションは、MenA;MenC;またはMenAおよびMenCについて1:0.5〜1:6、1:1〜1:5、または1:2〜1:4の糖対担体タンパク質の比をもたらす。
【0091】
一態様では、MenA莢膜糖は、存在する場合は、反復単位の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%が少なくとも1つの位置でO−アセチル化されているように、少なくとも部分的にO−アセチル化する。O−アセチル化は、たとえば、反復単位の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%の少なくともO−3位に存在する。
【0092】
一態様では、MenC莢膜糖は、存在する場合は、(α2→9)−結合NeuNAc反復単位の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%が少なくとも1つまたは2つの位置でO−アセチル化されているように、少なくとも部分的にO−アセチル化する。O−アセチル化は、たとえば、反復単位の少なくとも30%。40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%のO−7および/またはO−8位に存在する。
【0093】
一態様では、MenW莢膜糖は、存在する場合は、反復単位の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%が少なくとも1つまたは2つの位置でO−アセチル化されているように、少なくとも部分的にO−アセチル化する。O−アセチル化は、たとえば、反復単位の少なくとも30%。40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%のO−7および/またはO−9位に存在する。
【0094】
一態様では、MenY莢膜糖は、存在する場合は、反復単位の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%が少なくとも1つまたは2つの位置でO−アセチル化されているように、少なくとも部分的にO−アセチル化する。O−アセチル化は、反復単位の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%の7および/または9位に存在する。
【0095】
O−アセチル化の百分率とは、O−アセチル化を含有する反復単位の百分率をいう。これは、コンジュゲートの前および/またはコンジュゲーションの後に、糖において測定し得る。
【0096】
免疫原性組成物の開示の一態様では、存在する糖または存在するそれぞれの髄膜炎菌莢膜糖はTTとコンジュゲートしている。さらなる態様では、それぞれの髄膜炎菌莢膜糖は別々の担体タンパク質と別々にコンジュゲートしている。さらなる態様では、それぞれの髄膜炎菌莢膜糖コンジュゲートは1:5〜5:1または1:1〜1:4(w/w)の糖:担体の比を有する。さらなる態様では、少なくとも1つ、2つ、または3つの髄膜炎菌莢膜糖コンジュゲートは担体タンパク質と直接コンジュゲートしている。さらなる態様では、MenWおよび/もしくはMenY、MenWおよび/もしくはMenC、MenYおよび/もしくはMenC、またはMenWとMenCとMenYは担体タンパク質と直接コンジュゲートしている。さらなる態様では、少なくとも1つ、2つ、または3つの髄膜炎菌糖コンジュゲートはCDAP化学によって直接コンジュゲートしている。さらなる態様では、MenWおよび/またはY糖対担体タンパク質の比は1:0.5〜1:2(w/w)である。さらなる態様では、MenC糖対担体タンパク質の比は1:0.5〜1:2(w/w)である。さらなる態様では、少なくとも1つ、2つ、または3つの髄膜炎菌莢膜糖は、リンカー(2つの反応性アミノ基(ADHなど)もしくは2つの反応性カルボキシル基を有する、または一方の末端で反応性アミノ基および他方の末端で反応性カルボキシル基を有する等、二官能性であり得る)を介して、担体タンパク質とコンジュゲートしている。リンカーは4〜12個の炭素原子を有することができる。さらなる態様では、リンカーを介してコンジュゲートしているそのまたはそれぞれの髄膜炎菌莢膜糖は、CDAP化学を用いてリンカーとコンジュゲートしている。さらなる態様では、担体タンパク質は、カルボジイミド化学を使用して、たとえばEDACを使用してリンカーとコンジュゲートしている。さらなる態様では、担体タンパク質をリンカーとコンジュゲートさせる前に、そのまたはそれぞれの髄膜炎菌莢膜糖をリンカーとコンジュゲートさせる。さらなる態様では、MenAは、リンカーを介して担体タンパク質とコンジュゲートしている(MenA糖対担体タンパク質の比は1:2〜1:5(w/w)であり得る)。さらなる態様では、MenCは、リンカーを介して担体タンパク質とコンジュゲートしている(MenC糖対担体タンパク質の比は1:2〜1:5(w/w)であり得る)。
【0097】
ネイティブまたはわずかに分粒した多糖コンジュゲートを使用することによって、以下の利点のうちの1つまたは複数を実現し得る:1)0.2ミクロンのフィルターを通して濾過可能な、高い免疫原性を有するコンジュゲート、2)免疫記憶が増強され得る(実施例3のように)、3)コンジュゲート中の多糖対タンパク質の比(w/w)が増加され得るような、コンジュゲート中の多糖対タンパク質の比の変更(これは担体抑制効果の低下をもたらす場合がある)、4)より大きな多糖をコンジュゲーションに使用することによって、加水分解する傾向がある免疫原性コンジュゲート(MenAコンジュゲートなど)を安定化し得る。より大きな多糖の使用は、コンジュゲート担体とのより多くの架橋結合をもたらす場合があり、コンジュゲートからの遊離糖の遊離を減らし得る。従来技術に記載されているコンジュゲートワクチンは、コンジュゲーションを改善させるために、コンジュゲーション前に多糖と脱重合させる傾向がある。より大きいサイズの糖を保持する髄膜炎菌(または糖)コンジュゲートワクチンが、髄膜炎菌性疾患に対して良好な免疫応答を提供することができる。
【0098】
したがって、本開示の免疫原性組成物は、1つまたは複数の糖コンジュゲートを含んでよく、コンジュゲーション前のそれぞれの糖の平均サイズは、50kDa、75kDa、100kDa、110kDa、120kDa、または130kDaを超える。一態様では、コンジュゲーション後のコンジュゲートは、濾過前試料と比較して濾過後に50、60、70、80、90、または95%を超える収率が得られるように、0.2ミクロンのフィルターを通して容易に濾過可能であるべきである。
【0099】
特に、本開示の免疫原性組成物は、担体タンパク質とコンジュゲートしている、血清型A、C、W、およびYのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つからの髄膜炎菌莢膜糖を含み、少なくとも1つ、2つ、3つ、もしくは4つ、またはそれぞれの髄膜炎菌糖の平均サイズ(重量平均分子量、Mw)は、50kDa、60kDa、75kDa、100kDa、110kDa、120kDa、または130kDaを超える。
【0100】
好ましい態様では、MenA
AH−TTコンジュゲートの平均Mwは、少なくとも250kDa、260kDa、270kDa、280kDa、または290kDaであり、最も好ましくは約300kDaであり、最大で350kDaまたは330kDaである。好ましい態様では、MenC
AH−TTコンジュゲートの平均Mwは、少なくとも150kDa、160kDa、170kDa、180kDa、または190kDaであり、最も好ましくは約200kDaであり、最大で250kDaまたは230kDaである。好ましい態様では、MenW−TTコンジュゲートの平均Mwは、少なくとも240、250kDa、260kDa、または270kDaであり、最も好ましくは約280kDaであり、最大で330kDaまたは310kDaである。好ましい態様では、MenY−TTコンジュゲートの平均Mwは、少なくとも220kDa、230kDa、240kDa、または250kDaであり、最も好ましくは約270kDaであり、最大で320kDaまたは300kDaである。
【0101】
免疫原性組成物は、担体タンパク質とコンジュゲートしている、血清型A、C、W、およびYのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つからの髄膜炎菌莢膜糖を含んでよく、少なくとも1つ、2つ、3つ、もしくは4つ、またはそれぞれの髄膜炎菌糖は、ネイティブ糖であるか、またはネイティブ多糖の重量平均分子量と比較して×2、×3、×4、×5、×6、×7、×8、×9、もしくは×10までの係数によって分粒するかのいずれかである。
【0102】
本開示の目的のために、「ネイティブ多糖」とは、糖の大きさを縮小することが目的であるプロセスに供していない糖をいう。多糖は、通常の精製手順中に大きさがわずかに縮小される場合がある。そのような糖はそれでもネイティブである。多糖を分粒技法に供した場合にのみ、多糖はネイティブでないとみなされる。
【0103】
本開示の目的のために、「×2までの係数によって分粒する」とは、糖の大きさを縮小するが、ネイティブ多糖の大きさの半分より大きいサイズを保持することを意図するプロセスに、糖を供することを意味する。×3、×4などは、同じように解釈されるものであり、すなわち、多糖の大きさを縮小するが、ネイティブ多糖の大きさの三分の一、四分の一などより大きいサイズを保持することを意図するプロセスに、糖を供する。
【0104】
本開示の一側面では、免疫原性組成物は、担体タンパク質とコンジュゲートしている、血清型A、C、W、およびYのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つからの髄膜炎菌莢膜糖を含み、少なくとも1つ、2つ、3つ、もしくは4つ、またはそれぞれの髄膜炎菌糖はネイティブ多糖である。
【0105】
本開示の一側面では、免疫原性組成物は、担体タンパク質とコンジュゲートしている、血清型A、C、W、およびYのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つからの髄膜炎菌莢膜糖を含み、少なくとも1つ、2つ、3つ、もしくは4つ、またはそれぞれの髄膜炎菌糖は、×1.5、×2、×3、×4、×5、×6、×7、×8、×9、または×10までの係数によって分粒する。
【0106】
本開示の免疫原性組成物は、以下のコンジュゲートを任意選択で含む:髄膜炎菌血清型C莢膜糖(MenC)、血清型A莢膜糖(MenA)、血清型W135莢膜糖(MenW)、血清型Y莢膜糖(MenY)、血清型CとY莢膜糖(MenCY)、血清型CとA莢膜糖(MenAC)、血清型CとW莢膜糖(MenCW)、血清型AとY莢膜糖(MenAY)、血清型AとW莢膜糖(MenAW)、血清型WとY莢膜糖(MenWY)、血清型AとCとW莢膜糖(MenACW)、血清型AとCとY莢膜糖(MenACY)、血清型AとW135とY莢膜糖(MenAWY)、血清型CとW135とY莢膜糖(MenCWY)、または血清型AとCとW135とY莢膜糖(MenACWY)。これが、血清型A、C、W、およびY、または本明細書中に言及した場合はそれぞれの髄膜炎菌糖のうちの「1つ、2つ、3つ、もしくは4つ」または「少なくとも1つ」の定義である。
【0107】
一態様では、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれぞれの髄膜炎菌糖の平均サイズは、MALLSによって決定して、50KDa〜1500kDa、50kDa〜500kDa、50kDa〜300KDa、101kDa〜1500kDa、101kDa〜500kDa、101kDa〜300kDaである。
【0108】
一態様では、MenA糖は、存在する場合は、50〜500kDa、50〜100kDa、100〜500kDa、55〜90KDa、60〜70kDa、または70〜80kDa、または60〜80kDaの分子量を有する。
【0109】
一態様では、MenC糖は、存在する場合は、100〜200kDa、50〜100kDa、100〜150kDa、101〜130kDa、150〜210kDa、または180〜210kDaの分子量を有する。
【0110】
一態様では、MenY糖は、存在する場合は、60〜190kDa、70〜180kDa、80〜170kDa、90〜160kDa、100〜150kDa、または110〜140kDa、50〜100kDa、100〜140kDa、140〜170kDa、または150〜160kDaの分子量を有する。
【0111】
一態様では、MenW糖は、存在する場合は、60〜190kDa、70〜180kDa、80〜170kDa、90〜160kDa、100〜150kDa、110〜140kDa、50〜100kDa、または120〜140kDaの分子量を有する。
【0112】
本明細書中における糖の分子量または平均分子量とは、コンジュゲーションの前に測定した糖の重量平均分子量(Mw)をいい、MALLSによって測定する。
MALLS技法は当分野で周知であり、典型的には実施例2に記載のように実施する。髄膜炎菌糖のMALLS分析では、2つのカラム(TSKG6000および5000PWxl)を組み合わせて使用してよく、糖を水中に溶出させる。糖は、光散乱検出器(たとえば、10mWのアルゴンレーザー、488nmを備えたWyatt Dawn DSP)および干渉屈折計(たとえば、P100セルおよび498nmの赤色フィルターを備えたWyatt Otilab DSP)を使用して検出する。
【0113】
一態様では、髄膜炎菌糖は、ネイティブ多糖または通常の抽出プロセス中に大きさが縮小されたネイティブ多糖である。
一態様では、髄膜炎菌糖は、機械的切断によって、たとえば、微小流動化または超音波処理によって分粒する。微小流動化および超音波処理は、より大きなネイティブ多糖のサイズを十分に減らして濾過可能なコンジュゲートを提供する利点を有する(たとえば0.2ミクロンのフィルターを通す)。分粒は、×20、×10、×8、×6、×5、×4、×3、×2、または×1.5未満の係数によるものである。
【0114】
一態様では、免疫原性組成物は、ネイティブ多糖および×20未満の係数によって分粒された糖の混合物から作製した髄膜炎菌コンジュゲートを含む。たとえば、MenCおよび/またはMenAからの糖はネイティブである。たとえば、MenYおよび/またはMenWからの糖は、×20、×10、×8、×6、×5、×4、×3、または×2未満の係数によって分粒する。たとえば、免疫原性組成物は、MenYならびに/またはMenWならびに/またはMenCならびに/または×10未満の係数によって分粒したおよび/もしくは微小流動化したMenAから作製したコンジュゲートを含有する。たとえば、免疫原性組成物は、ネイティブMenAおよび/またはMenCおよび/またはMenWおよび/またはMenYから作製したコンジュゲートを含有する。たとえば、免疫原性組成物は、ネイティブMenCから作製したコンジュゲートを含む。たとえば、免疫原性組成物は、ネイティブMenCならびに×10未満の係数によって分粒したおよび/または微小流動化したMenAから作製したコンジュゲートを含む。たとえば、免疫原性組成物は、ネイティブMenCならびに×10未満の係数によって分粒したおよび/または微小流動化したMenYから作製したコンジュゲートを含む。
【0115】
一態様では、糖の多分散性は1〜1.5、1〜1.3、1〜1.2、1〜1.1、または1〜1.05であり、担体タンパク質とのコンジュゲーションの後、コンジュゲートの多分散性は1.0〜2.5、1.0〜2.0、1.0〜1.5、1.0〜1.2、1.5〜2.5、1.7〜2.2、または1.5〜2.0である。すべての多分散性の測定はMALLSによるものである。
【0116】
糖は、任意選択で、細菌から単離した多糖の大きさから1.5、2、4、6、8、10、12、14、16、18、または20倍まで分粒する。
一態様では、それぞれの髄膜炎菌糖は、ネイティブ多糖であるか×10未満の係数によって分粒するかのどちらかである。さらなる態様では、それぞれの髄膜炎菌莢膜糖はネイティブ多糖である。さらなる態様では、少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの髄膜炎菌莢膜糖は、微小流動化によって分粒する。さらなる態様では、それぞれの髄膜炎菌莢膜糖は、×10未満の係数によって分粒する。さらなる態様では、髄膜炎菌コンジュゲートは、ネイティブ多糖および×10未満の係数によって分粒した糖の混合物から作製する。さらなる態様では、血清型Yからの莢膜糖は、×10未満の係数によって分粒する。さらなる態様では、血清型AおよびCからの莢膜糖はネイティブ多糖であり、血清型W135およびYからの糖は×10未満の係数によって分粒する。さらなる態様では、それぞれの髄膜炎菌莢膜糖の平均サイズは、50kDa〜300KDaまたは50kDa〜200kDaである。さらなる態様では、免疫原性組成物は、50kDa、75kDa、100kDaを超える平均サイズ、または50〜100kDaもしくは55〜90KDaもしくは60〜80kDaの平均サイズを有するMenA莢膜糖を含む。さらなる態様では、免疫原性組成物は、50kDa、75kDa、100kDaを超える、または100〜200kDa、100〜150kDa、80〜120kDa、90〜110kDa、150〜200kDa、120〜240kDa、140〜220kDa、160〜200kDa、もしくは190〜200kDaの平均サイズを有するMenC莢膜糖を含む。さらなる態様では、免疫原性組成物は、50kDa、75kDa、100kDaを超える、または60〜190kDaもしくは70〜180kDaもしくは80〜170kDaもしくは90〜160kDaもしくは100〜150kDa、110〜145kDaもしくは120〜140kDaの平均サイズを有するMenY莢膜糖を含む。さらなる態様では、免疫原性組成物は、50kDa、75kDa、100kDaを超える、または60〜190kDaもしくは70〜180kDaもしくは80〜170kDaもしくは90〜160kDaもしくは100〜150kDa、140〜180kDa、150〜170kDaもしくは110〜140kDaの平均サイズを有するMenW莢膜糖を含む。
【0117】
開示の一態様では、少なくとも2つ、3つ、4つのそれぞれ、または髄膜炎菌糖コンジュゲートのそれぞれの糖用量は、任意選択で同じまたはほぼ同じである。
一態様では、本開示の免疫原性組成物は、pH7.0〜8.0、pH7.2〜7.6、または概ねもしくは正確にpH7.4に調節または緩衝されている。
【0118】
本開示の免疫原性組成物またはワクチンは、任意選択で、安定化剤、たとえば、スクロースまたはトレハロースなどのポリオールの存在下で凍結乾燥されている。
上述の髄膜炎菌糖の組合せでは、任意のアルミニウム塩アジュバントまたはどのアジュバントも全く使わないことが有利であり得る。
【0119】
活性薬剤は、本開示の医薬組成物またはワクチン中において様々な濃度で存在することができる。典型的には、物質の最少濃度は、その意図する使用を達成するために必要な量である一方で、最大濃度は、初期混合物内で溶液に保たれるまたは均質に懸濁されて保たれる最大量である。たとえば、治療剤の最少量は、任意選択で、単一の治療上有効な投薬量を提供するものである。生物活性物質では、最少濃度は、再溶解の際に生物活性に必要な量であり、最大濃度は、均質な懸濁液を維持することができない時点である。
【0120】
別の態様では、組成物は、髄膜炎菌血清型X莢膜多糖と担体分子とのコンジュゲートを含む。X型莢膜多糖の構造は、O−アセチル基を含まないal−4リン酸ジエステル結合によって一緒に保たれたN−アセチルグルコサミン−4−リン酸残基からなる。担体分子は、ジフテリアもしくは破傷風トキソイド、CRM197、またはタンパク質Dであり得る。好ましい態様では、実施例中に例示するように、組成物は髄膜炎菌血清型X莢膜多糖のコンジュゲートを含まない。
【0121】
例示的な組成物のさらなる説明の以下に記載する。
組成物およびワクチン
一部の態様では、組成物は、液体MnB二価rLP2086組成物を用いて再溶解する、凍結乾燥MenACWY−TT組成物を含む。凍結乾燥MenACWY−TT組成物および液体MnB二価rLP2086組成物は好ましくは適合性があり、再溶解後に室温で少なくとも24時間の間安定である。
【0122】
好ましい態様では、組成物は、髄膜炎菌血清型BおよびB以外の髄膜炎菌血清型に対する殺菌性抗体を誘発する。たとえば、一部の態様では、MnB二価rLP2086組成物は、少なくとも髄膜炎菌血清型A、C、W、Y、およびXに対する殺菌性抗体を誘発する。
【0123】
さらに、本発明者らは、組成物が、髄膜炎菌血清型A、C、W、およびYに対する認可ワクチンで観察された相乗平均力価と一致した、髄膜炎菌血清型A、C、W、およびYに対する相乗平均力価を誘発したことを見出した。
【0124】
一部の態様では、組成物は、髄膜炎菌血清型A、C、W、およびYに対する認可ワクチンで観察された相乗平均力価よりも高い、髄膜炎菌血清型A、C、W、およびYに対する相乗平均力価を誘発する。
【0125】
さらに、本発明者らは、組成物が、髄膜炎菌血清型Bに対する認可ワクチンで観察された相乗平均力価と一致した、髄膜炎菌血清型Bに対する相乗平均力価を誘発したことを見出した。
【0126】
一部の態様では、組成物は、髄膜炎菌血清型Bに対する認可ワクチンで観察された相乗平均力価よりも高い、髄膜炎菌血清型Bに対する相乗平均力価を誘発する。
一部の態様では、fHBPを含めた組成物は、少なくとも12カ月齢のヒトにおいて有効な免疫応答を誘発する。また、組成物は、髄膜炎菌血清型X株に対する免疫応答も誘発する。一部の態様では、組成物は、少なくとも1つのH因子結合ポリペプチド(fHBP)および少なくとも1つの髄膜炎菌莢膜糖コンジュゲートを含む。好ましい態様では、組成物は安定であり、多構成成分組成物中のfHBP変異体と相同的であるfHBP変異体を発現する株に対する免疫応答および多構成成分組成物中のfHBP変異体と非相同的なfHBP変異体を発現する株に対する免疫応答を誘発した。
【0127】
一部の態様では、液体MnB二価rLP2086組成物は凍結乾燥MenACWY−TT組成物を容易に再溶解することができ、合わせた組成物は適合性があり、安定である。
一側面では、本開示は、髄膜炎菌に対する組成物に関する。組成物は、(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1の脂質付加ポリペプチドと、(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2の脂質付加ポリペプチドと、(c)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によってアジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A(MenA)莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)とコンジュゲートしている莢膜糖(MenA
AH−TTコンジュゲート)と、(d)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によってADHリンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C(MenC)莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)とコンジュゲートしている莢膜糖(MenC
AH−TTコンジュゲート)と、(e)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)と直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型W
135(MenW)莢膜糖(MenW−TTコンジュゲート)と、(f)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)と直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型Y(MenY)莢膜糖(MenY−TTコンジュゲート)とを含む。
【0128】
別の側面では、本開示は、MnB二価rLP2086組成物とMenACWY−TT組成物との組合せを含む組成物に関する。MnB二価rLP2086組成物とは、髄膜炎菌血清型Bの複数の株に対して有効な広く保護的な免疫応答を誘導する、単一の髄膜炎菌ポリペプチド構成成分を含む組成物をいう。具体的には、一態様では、MnB二価rLP2086組成物は、MnB rLP2086サブファミリーAタンパク質(配列番号1)およびMnB rLP2086サブファミリーBタンパク質(配列番号2)。一態様では、組成物は融合タンパク質を含まない。一態様では、組成物はキメラタンパク質を含まない。一態様では、組成物はハイブリッドタンパク質を含まない。一態様では、組成物はペプチド断片をさらに含まない。別の態様では、組成物は、fHBPではないナイセリアポリペプチドをさらに含まない。たとえば、一態様では、組成物はPorAタンパク質を含まない。別の態様では、組成物はNadAタンパク質を含まない。別の態様では、組成物はナイセリアヘパリン結合抗原(NHBA)をさらに含まない。別の態様では、組成物はナイセリア外膜小胞(OMV)をさらに含まない。好ましい態様では、組成物は、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチド以外の抗原をさらに含まない。好ましい態様では、MnB二価rLP2086組成物はポリソルベート−80をさらに含む。一態様では、MnB二価rLP2086組成物はヒスチジン緩衝液をさらに含む。一態様では、MnB二価rLP2086組成物は塩化ナトリウムさらに含む。一態様では、MnB二価rLP2086組成物はリン酸アルミニウムをさらに含む。一態様では、MnB二価rLP2086組成物は、ポリソルベート−80、ヒスチジン緩衝液、塩化ナトリウム、およびリン酸アルミニウムをさらに含む。好ましくは、MnB二価rLP2086組成物は液体配合物であり、ポリペプチドは、10mMのヒスチジン緩衝液、pH6.0、0.5mg/mLのリン酸アルミニウム(AlPO
4)を含む150mMの塩化ナトリウム(NaCl)中に120mcg/mL/サブファミリーとして配合し、0.5mLの用量中に0.018mgのポリソルベート−80をさらに含む。
【0129】
MenACWY−TT組成物とは、それぞれ独立して、それぞれ約3、約3、約1.5、および約1.3の比(多糖に対するTT)でTTとコンジュゲートしている、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYの精製莢膜多糖を含む組成物をいう。具体的には、組成物は、(c)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によってアジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A(MenA)莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)とコンジュゲートしている莢膜糖(MenA
AH−TTコンジュゲート)と、(d)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によってADHリンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C(MenC)莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)とコンジュゲートしている莢膜糖(MenC
AH−TTコンジュゲート)と、(e)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)と直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型W
135(MenW)莢膜糖(MenW−TTコンジュゲート)と、(f)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)と直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型Y(MenY)莢膜糖(MenY−TTコンジュゲート)とを含む。好ましくは、MenACWY−TT組成物は凍結乾燥粉末として提示する。
【0130】
MenA
AH−TT、MenC
AH−TT、MenW−TT、およびMenY−TTコンジュゲートは以下のステップによって調製する:多糖原薬中間体の製造、TT原薬中間体の製造、多糖の微小流動化、多糖の誘導体化(MenAAH−TTおよびMenCAH−TTのプロセスのみ)、TTの追加の精製、および個々の多糖とTTとのコンジュゲーション。
【0131】
MenA
AH−TTコンジュゲートに関しては、MenA多糖を最初に微小流動化して分子の大きさおよび粘度を減らし、その後、1−シアノ−4−ジメチルアミノ−ピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)を用いたシアニル化を介して活性化する。活性化されたMenAをアジピン酸ジヒドラジド(ADH)で誘導体化して、MenA
AHを形成させる。MenA
AHおよび破傷風トキソイド(TT)をカルボジイミド媒介縮合(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)カップリング技術)によってカップリングさせて、MenA
AH−破傷風トキソイドコンジュゲート(MenA
AH−TT)を形成する。
【0132】
MenC
AH−TTコンジュゲートに関しては、MenC多糖を最初に微小流動化して分子の大きさおよび粘度を減らし、その後、CDAPを用いたシアニル化を介して活性化する。活性化されたMenCをアジピン酸ジヒドラジド(ADH)で誘導体化して、MenC
AHを形成させる。MenC
AHおよびTTをカルボジイミド媒介縮合EDACカップリング技術)によってカップリングさせて、MenC
AH−破傷風トキソイド(MenC
AH−TT)を形成する。
【0133】
MenW−TTコンジュゲートに関しては、MenW多糖を最初に微小流動化して分子の大きさおよび粘度を減らし、その後、CDAPを用いたシアニル化を介して活性化する。活性化されたMenWをTTと直接カップリングさせて、MenW−破傷風トキソイド(MenW−TT)を形成する。
【0134】
MenY−TTコンジュゲートに関しては、MenY多糖を最初に微小流動化して分子の大きさおよび粘度を減らし、その後、CDAPを用いたシアニル化を介して活性化する。活性化されたMenYをTTと直接カップリングさせて、MenY−破傷風トキソイド(MenY−TT)を形成する。
【0135】
別の側面では、最大で2つの髄膜炎菌血清型B株に由来するポリペプチド抗原が、髄膜炎菌血清型Bの複数の株に対して有効な広く保護的な免疫応答を誘導する。したがって、一態様では、組成物は、髄膜炎菌血清型B fHBPサブファミリーA M98250771株および/または髄膜炎菌血清型B fHBPサブファミリーB CDC1573株に由来しないポリペプチドをさらに含まない。
【0136】
一態様では、組成物は、配列番号1と100%未満の配列同一性を有するポリペプチドをさらに含まない。別の態様では、組成物は、配列番号2と100%未満の配列同一性を有するポリペプチドをさらに含まない。たとえば、組成物は、配列番号1および/または配列番号2の完全長と100%未満の配列同一性を有するポリペプチドをさらに含まない。
【0137】
一態様では、組成物は、ポリソルベート−80、アルミニウム、ヒスチジン、および塩化ナトリウムをさらに含む。一態様では、組成物は、約60μgの、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1の脂質付加ポリペプチド、約60μgの、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2の脂質付加ポリペプチド、それぞれのポリペプチドに対して2.8のモル比のポリソルベート−80、リン酸アルミニウムとして0.5mgのアルミニウム/mL、10mMのヒスチジン、および150mMの塩化ナトリウムを含み、組成物は、好ましくは、約0.5mLの総体積を有する。
【0138】
別の側面では、組成物は、約120μg/mLの配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1の脂質付加ポリペプチド、約120μg/mLの、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2の脂質付加ポリペプチド、それぞれのポリペプチドに対して2.8のモル比のポリソルベート−80、リン酸アルミニウムとして0.5mgのアルミニウム/mL、10mMのヒスチジン、および150mMの塩化ナトリウムを含む。
【0139】
さらなる側面では、組成物は、a)60μgの、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1の脂質付加ポリペプチドと、b)60μgの、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2の脂質付加ポリペプチドと、c)18μgのポリソルベート−80と、d)250μgのアルミニウムと、e)780μgのヒスチジンと、f)4380μgの塩化ナトリウムとを含む。
【0140】
例示的な態様では、組成物は、約60μgの、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる第1の脂質付加ポリペプチドと、約60μgの、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる第2の脂質付加ポリペプチドと、2.8のモル比のポリソルベート−80対第1の脂質付加ポリペプチドおよび対第2の脂質付加ポリペプチドと、0.5mg/mLのリン酸アルミニウムと、10mMのヒスチジンと、150mMの塩化ナトリウムとを含み、組成物は約0.5mLの総体積を有する。例示的な態様では、組成物は無菌的な等張緩衝液体懸濁液である。例示的な態様では、組成物はpH6.0を有する。例示的な態様では、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドはアルミニウムに吸着している。
【0141】
一態様では、組成物は、平均TT/多糖比3を有するMenA
AH−TTコンジュゲートと、平均TT/多糖比3を有するMenC
AH−TTコンジュゲートと、平均TT/多糖比1.5を有するMenW−TTコンジュゲートと、平均TT/多糖比1.3を有するMenY−TTコンジュゲートとを含む。好ましい態様では、組成物は、5mcgのMenA多糖および約15mcgのTTを有するMenA
AH−TTコンジュゲートと、5mcgのMenC多糖および約15mcgのTTを有するMenC
AH−TTコンジュゲートと、5mcgのMenW多糖および約7.5mcgのTTを有するMenW−TTコンジュゲートと、5mcgのMenY多糖および約6.5mcgのTTを有するMenY−TTコンジュゲートとを含む。組成物は、トリス−HCl、スクロース、および塩化ナトリウムをさらに含み得る。
【0142】
別の態様では、組成物は、MenA多糖、MenC多糖、MenW多糖、およびMenY多糖、ならびにTT担体タンパク質を含む、MenA
AH−TTコンジュゲート、MenC
AH−TTコンジュゲート、MenW−TTコンジュゲート、およびMenY−TTコンジュゲートを含む。組成物は、スクロースおよびTrometanolをさらに含み得る。たとえば、一態様では、組成物は、10μg/mLのMenA多糖、10μg/mLのMenC多糖、10μg/mLのMenW多糖、および10μg/mLのMenY多糖、88μg/mLのTT担体タンパク質、164mMのスクロース、および1.6mMのTrometanolを含む。
【0143】
一態様では、組成物は約0.5mLの総体積を有する。一態様では、組成物の1回目の用量は約0.5mLの総体積を有する。「1回目の用量」とは、0日目に投与する組成物の用量をいう。「2回目の用量」または「3回目の用量」とは、1回目の用量に続いて投与する組成物の用量をいい、1回目の用量と同じ量であっても同じ量でなくてもよい。
【0144】
一側面では、本開示は、液体MnB二価rLP2086組成物を用いて再溶解した、凍結乾燥MenACWY−TT組成物から生じる液体免疫原性組成物に関する。再溶解とは、液体希釈剤を加えることによって、乾いた凍結乾燥組成物を液体形態に回復させることをいう。好ましい一態様では、液体MnB二価rLP2086組成物は、凍結乾燥MenACWY−TT組成物と併用(concomitantly)投与しない、共投与(coadminister)しない、および同時(simultaneously)投与せず、凍結乾燥MenACWY−TT組成物は、液体MnB二価rLP2086組成物ではない液体組成物を用いて再溶解する。たとえば、好ましい一態様では、凍結乾燥MenACWY−TT組成物は塩化ナトリウムおよび水からなる水性希釈剤を用いて再溶解せず、続いて、液体MnB二価rLP2086組成物と併用投与しない、共投与しない、および同時投与しない。
【0145】
そうではなく、好ましい態様では、凍結乾燥MenACWY−TT組成物は、ヒトへの1回、すなわち単一の投与において、MnB二価rLP2086組成物と共に投与する。生じる単回投与(たとえばMenABCWY組成物)は、第1の容器からのMnB二価rLP2086組成物を第2の容器からの凍結乾燥MenACWY−TT組成物と混合することから生じ得る。あるいは、MenABCWY組成物の単回投与は、MnB二価rLP2086組成物および凍結乾燥MenACWY−TT組成物を含む1つ(単一)の容器から生じ得る。ワクチンまたは免疫原性組成物の送達装置は当分野で知られている。一態様では、MenABCWY組成物を、イブプロフェン、パラセタモール、およびアモキシシリンのうちの任意の1つと併用投与する。
【0146】
組成物は、ヒトへの1回目の用量の投与の後に免疫原性である。一態様では、1回目の用量は約0.5mLの総体積である。
組成物は、同一条件下でヒト補体を使用した血清殺菌アッセイ(hSBA)において測定した場合に、1回目の用量を受ける前のヒトにおける血清免疫グロブリンの殺菌性力価よりも、1回目の用量を受けた後のヒトにおいて少なくとも1倍よりも高い、好ましくは少なくとも2倍高い、血清免疫グロブリンの殺菌性力価を誘導する。
【0147】
殺菌性力価または殺菌性免疫応答は髄膜炎菌血清型Bに対するものである。好ましい態様では、殺菌性力価または殺菌性免疫応答は、髄膜炎菌血清型B fHBPサブファミリーA株に対するものおよび髄膜炎菌血清型B fHBPサブファミリーB株に対するものである。最も好ましくは、殺菌性力価または殺菌性免疫応答は、少なくとも髄膜炎菌血清型B、fHBPサブファミリーB、B01株に対するものである。
【0148】
一態様では、同一条件下でヒト補体を使用した血清殺菌アッセイにおいて測定した場合に、組成物は、組成物の用量を受けた後のヒトにおいて、前記用量を受ける前のヒトにおける血清免疫グロブリンの殺菌性力価よりも少なくとも1倍よりも高い、たとえば、少なくとも1.01倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、または16倍高いなどの、血清免疫グロブリンの殺菌性力価を誘導する。
【0149】
一態様では、組成物は免疫原性組成物である。一態様では、組成物はヒト用の免疫原性組成物である。別の態様では、組成物はワクチンである。「ワクチン」とは、その抗原に特異的な免疫応答を誘導する少なくとも1つのエピトープを含有する、抗原を含む組成物をいう。ワクチンは、皮下、経口、口鼻腔、または鼻腔内の投与経路によって、対象内に直接投与し得る。好ましくは、ワクチンを筋肉内投与する。一態様では、組成物はヒトワクチンである。一態様では、組成物は髄膜炎菌に対する免疫原性組成物である。
【0150】
一態様では、組成物は液体組成物である。好ましい態様では、組成物は液体懸濁液組成物である。別の好ましい態様では、組成物は凍結乾燥されていない。
安定性
用語「安定」および「安定性」とは、一定期間にわたって抗原が免疫原性のまま保たれる能力をいう。安定性は、経時的な効力で測定し得る。用語「安定」および「安定性」とは、免疫原性組成物の物理的、化学的、およびコンホメーション上の安定性をさらにいう。タンパク質組成物の不安定性は、より高次のポリマーを形成するタンパク質分子の化学分解または凝集、ヘテロ二量体の単量体への解離、脱グリコシル化、グリコシル化の修飾、または本開示中に含まれるタンパク質組成物の少なくとも1つの生物活性を低下させる任意の他の構造的修飾によって引き起こされ得る。安定性は、試料の光散乱の測定、光(吸光度または光学密度)の見かけの減弱、大きさ(たとえばサイズ排除クロマトグラフィーによる)、in vitroもしくはin vivo生物活性、および/または示差走査熱量(DSC)による特性を含めた、当分野で周知の方法によって評価し得る。安定性を評価するための他の方法は当分野で知られており、これも本開示に従って使用することができる。
【0151】
一部の態様では、本開示の安定配合物中の抗原は、参照標準と比較して、少なくとも1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、9カ月間、12カ月間、18カ月間、24カ月間、30カ月間、36カ月間、42カ月間、48カ月間、54カ月間、または60カ月間の間、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の効力を維持し得る。一部の態様では、本開示の安定配合物中の抗原は、参照標準と比較して、少なくとも1年間、2年間、3年間、4年間、または5年間の間、少なくとも50%の効力を維持し得る。また、用語「安定」および「安定性」とは、一定期間にわたって抗原がエピトープまたは免疫反応性を維持する能力もいう。たとえば、本開示の安定配合物中の抗原は、参照標準と比較して、少なくとも1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、9カ月間、12カ月間、18カ月間、24カ月間、30カ月間、36カ月間、42カ月間、48カ月間、54カ月間、または60カ月間の間、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のそのエピトープまたは免疫反応性を維持し得る。一部の態様では、安定性を環境条件に関して測定する。環境条件の非限定的な例は、光、温度、凍結融解サイクル、攪拌、およびpHを含む。当業者は、本明細書中に開示する方法または当分野で知られている他の方法を使用して、抗原エピトープまたは免疫反応性の存在を決定できるであろう。一部の態様では、抗原の安定性は、その配合日から測定する。一部の態様では、抗原の安定性は、その貯蔵条件を変化した日から測定する。貯蔵条件の変化の非限定的な例は、冷凍から冷蔵への変化、冷凍から室温への変化、冷蔵から室温への変化、冷蔵から冷凍への変化、室温から冷凍への変化、室温から冷蔵への変化、明条件から暗条件への変化、または攪拌の導入を含む。
【0152】
一態様では、用語「安定」および「安定性」は、アルミニウムに結合される抗原の能力を含む。たとえば、本開示の安定配合物は、参照標準と比較して、少なくとも1時間、6時間、12時間、18時間、24時間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、9カ月間、12カ月間、18カ月間、24カ月間、30カ月間、36カ月間、42カ月間、48カ月間、54カ月間、または60カ月間の間、配合物中でアルミニウム(たとえばリン酸アルミニウム)と結合したタンパク質の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を含む。たとえば実施例13を参照されたい。好ましい態様では、全サブファミリーA rLP2086ポリペプチド(たとえば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド)の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が組成物中でアルミニウムと結合している。好ましい態様では、全サブファミリーB rLP2086ポリペプチド(たとえば、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド)の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が組成物中でアルミニウムと結合している。
【0153】
アルミニウム結合の決定。アルミニウムおよび少なくとも1つのタンパク質抗原を含む組成物を、アルミニウムがペレット化されるように遠心分離した。アルミニウムを吸収したタンパク質の遠心分離は当分野で知られている。たとえばEganら、Vaccine、27巻(24号):3175〜3180頁(2009年)を参照されたい。アルミニウム−結合タンパク質もペレット化された一方で、非アルミニウム結合タンパク質は上清中に残った。上清およびペレット中の全タンパク質をローリーアッセイによって決定した。結合タンパク質の百分率は、上清中の全タンパク質を組成物に加えた全タンパク質によって除算し、100%を乗算することによって計算した。同様に、未結合タンパク質の百分率は、上清中の全タンパク質を組成物に加えた全タンパク質によって除算し、100%を乗算することによって計算した。サブファミリーAおよびサブファミリーB抗原をどちらも含む組成物では、上清中の個々のサブファミリーAおよびBタンパク質の濃度をイオン交換クロマトグラフィーによって決定した。サブファミリーAおよびBタンパク質の分離および溶出は、強力な陰イオンカラムおよび高い塩濃度の溶出液を使用して実施した。サブファミリーAおよびBタンパク質はどちらも、励起=280runおよび発光=310runに設定した蛍光検出器を使用して検出および定量した。サブファミリーAおよびサブファミリーBタンパク質は別個の保持時間に溶出され、rLP2086タンパク質参照物質に対して作成した検量線を使用して定量した。未結合タンパク質の百分率は、上清中の全タンパク質を組成物に加えた全タンパク質によって除算し、100%を乗算することによって計算した。結合タンパク質の百分率は、未結合タンパク質の百分率を100%から減算することによって計算した。
ポリソルベート−80
ポリソルベート80(PS−80)は非イオン性界面活性剤である。in vitroのモノクローナル抗体に基づく効力アッセイを使用した加速安定性研究により、最終配合物中のPS−80対MnB rLP2086タンパク質のモル比がより高い場合に、サブファミリーBタンパク質が不安定性であることが実証された。様々な比のPS−80を用いたさらなる実験により、効力を保持するための最適なPS−80対MnB rLP2086タンパク質のモル比が約2.8±1.4であることが実証された。
【0154】
組成物中のPS−80の濃度は、PS−80対ポリペプチドのモル比に依存する。一態様では、組成物は、2.8±1.4のモル比のPS−80対第1のポリペプチドおよび対第2のポリペプチドを含む。一態様では、組成物は、2.8±1.1のモル比のPS−80対第1のポリペプチドおよび対第2のポリペプチドを含む。一態様では、組成物は、少なくとも1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、または3.3のモル比のPS−80対ポリペプチドを含む。一態様では、組成物は、最大で4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、または2.9のモル比のPS−80対ポリペプチドを含む。任意の最小値を本明細書中に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を定義し得る。好ましくは、組成物は、2.8のモル比のPS−80対ポリペプチドを含む。
【0155】
PS−80対ポリペプチドのモル比は、どちらの値もモルで表す、PS−80の測定濃度および全ポリペプチドの測定濃度からの計算によって決定する。たとえば、PS−80対タンパク質のモル比は、どちらの値もモルで表す、最終原薬中のPS−80の測定濃度(たとえば逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)による)対全タンパク質の測定濃度(たとえばイオン交換高圧液体クロマトグラフィー(IEX−HPLC)による)の計算によって決定する。
【0156】
RP−HPLCを使用して、ワクチン配合物中のポリソルベート80の濃度を定量する。洗剤の濃度は脂肪酸部分の鹸化によって決定する。ポリソルベート80は、40℃でのアルカリ性加水分解によって遊離オレイン酸へと変換する。C18カラムを使用して試料をRP−HPLCによって分離し、200nmの波長のUV検出器を使用して定量する。
【0157】
第1および第2のポリペプチドは陰イオン交換HPLCによって分解する。rLP2086(fHBP)サブファミリーAおよびBタンパク質は別個の保持時間に溶出され、それぞれのrLP2086タンパク質参照物質に対して作成した検量線を使用して定量する。
【0158】
用語「モル比」ならびにfHBPおよびPS−80を含む免疫原性組成物の説明は、それぞれがその全体で参考として組み込まれている、WO2012025873号および米国特許公開US2013/0171194号にさらに開示されている。
【0159】
本明細書中で使用する用語「モル比」とは、組成物中の2つの異なる要素のモル数の比をいう。一部の態様では、モル比は、洗剤のモル対ポリペプチドのモルの比である。一部の態様では、モル比は、PS−80のモル対タンパク質のモルの比である。一態様では、タンパク質およびポリソルベート80の濃度に基づいて、モル比を以下の方程式を使用して計算し得る。
【0161】
一態様では、組成物は、効力を保持するために1.4〜4.2のPS−80対MnB rLP2086タンパク質のモル比を含む。一態様では、組成物は、少なくとも1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、または2.8を含む。一態様では、組成物は、最大で4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、または2.8を含む。任意の最小値を本明細書中に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を定義し得る。
【0162】
一態様では、組成物は、約0.0015、0.0017、0.0019、0.0021、0.0023、0.0025、0.0027、0.0029、0.0031、0.0033、0.0035、0.0037、0.0039、0.0041、0.0043、0.0045、0.0047、0.0049、0.0051mg/mLのPS−80を含む。好ましくは、組成物は、約0.0035mg/mLのPS−80を含む。
【0163】
別の態様では、組成物は、少なくとも10μg、11μg、12μg、13μg、14μg、15μg、16μg、17μg、18μg、19μg、20μg、21μg、22μg、23μg、24μg、または25μgのPS−80を含む。別の態様では、組成物は、最大で30μg、29μg、28μg、27μg、26μg、25μg、24μg、23μg、22μg、21μg、20μg、19μg、または18μgのPS−80を含む。任意の最小値を本明細書中に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を定義し得る。好ましい態様では、組成物は、少なくとも10μgおよび最大で20μgのPS−80を含む。最も好ましい態様では、組成物は、約18μgのPS−80を含む。
【0164】
別の態様では、組成物は、0.0005%〜1%の範囲のPS−80濃度を含む。たとえば、組成物中のPS−80濃度は、少なくとも0.0005%、0.005%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、または1.1%のPS−80であり得る。一態様では、組成物中のPS−80濃度は、最大で2.0%、1.9%、1.8%、1.7%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、または0.7%のPS−80であり得る。好ましい態様では、組成物は約0.07%のPS−80を含む。任意の最小値を本明細書中に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を定義し得る。
【0165】
一部の態様では、第1の組成物および第2の組成物の組合せを含む組成物は、第1の組成物におけるMnB rLP2086ポリペプチドに対するポリソルベート−80のモル比と比較して、異なるMnB rLP2086ポリペプチドに対するポリソルベート−80のモル比を有し得る。一部の態様では、組み合わせた組成物におけるMnB rLP2086ポリペプチドの溶解度および安定性を維持するために、組み合わせた組成物に追加の界面活性剤は必要ない。したがって、一態様では、キットは0.02mgを超えるポリソルベート−80を含まない。
アルミニウム
組成物は、リン酸アルミニウムとしてアルミニウムを含む。AlPO
4は、製造性および安定性の増強をもたらすために安定剤として加える。リン酸アルミニウムを生成するプロセスは、その全体で参考として組み込まれている米国特許公開US2009/0016946号に記載されている。一態様では、組成物は、アルミニウム以外の多価陽イオンをさらに含まない。一態様では、組成物は、Al(OH)
3またはAl(SO
4)
3をさらに含まない。
【0166】
一態様では、組成物は、少なくとも50μg、60μg、70μg、80μg、90μg,100μg,110μg、120μg、130μg、140μg、150μg、160μg、170μg、180μg、190μg、200μg、210μg、220μg、230μg、240μg、または250μgのアルミニウムを含む。一態様では、組成物は、最大で500μg、490μg、480μg、470μg、460μg、450μg、440μg、430μg、420μg、410μg、400μg、390μg、380μg、370μg、360μg、350μg、340μg、330μg、320μg、310μg、300μg、290μg、280μg、270μg、260μg、または250μgのアルミニウムを含む。任意の最小値を本明細書中に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を定義し得る。最も好ましい態様では、組成物は250μgのアルミニウムを含む。
【0167】
一態様では、組成物は、少なくとも0.005mg/ml、0.01mg/ml、0.02mg/ml、0.03mg/ml、0.04mg/ml、0.05mg/ml、0.06mg/ml、0.07mg/ml、0.08mg/ml、0.09mg/ml、0.10mg/ml、0.2mg/ml、0.3mg/ml、0.4mg/ml、または0.5mg/mlのリン酸アルミニウムを含む。一態様では、組成物は、最大で2.0mg/ml、1.9mg/ml、1.8mg/ml、1.7mg/ml、1.6mg/ml、1.5mg/ml、1.4mg/ml、1.3mg/ml、1.2mg/ml、1.1mg/ml、1.0mg/ml、0.9mg/ml、0.8mg/ml、または0.7mg/mlのPS−80を含む。好ましい態様では、組成物は約0.07mg/mlのPS−80を含む。任意の最小値を本明細書中に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を定義し得る。好ましい態様では、組成物は0.5mg/mlのリン酸アルミニウム。最も好ましい態様では、組成物は、リン酸アルミニウム(AlPO
4)として0.5mgのアルミニウム/mlを含む。この濃度は、サブファミリーAおよびBタンパク質とアルミニウムとの結合(少なくとも90%の結合またはそれ以上)を維持する。
【0168】
一部の態様では、第1の組成物および第2の組成物の組合せは、第1の組成物におけるアルミニウムと結合したMnB rLP2086ポリペプチドの百分率と比較した場合に、アルミニウムと結合したMnB rLP2086ポリペプチドの百分率を変化させる。一部の態様では、第1および第2の組成物の組合せは、アルミニウムに対して全MnB rLP2086ポリペプチドの少なくとも90%の結合を維持する。したがって、一態様では、組み合わせた組成物におけるアルミニウムに対する全MnB rLP2086ポリペプチドの百分率は、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。好ましくは、組み合わせた組成物におけるアルミニウムに対する全MnB rLP2086ポリペプチドの百分率は、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも100%である。
【0169】
別の態様では、凍結乾燥組成物を再溶解する前における液体組成物中のアルミニウムと結合したポリペプチドの濃度と比較して、免疫原性組成物中のアルミニウムと結合したポリペプチドの濃度は、24時間後に減少していない。別の態様では、免疫原性組成物中のMenA
AH−TTコンジュゲートの濃度は、凍結乾燥組成物中のMenA
AH−TTコンジュゲートの濃度と比較して、24時間後に減少していない。一態様では、濃度は、再溶解前の液体組成物中のそれぞれの濃度と比較して、24時間後に最大で1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%減少する。
【0170】
別の態様では、免疫原性組成物中のMenC
AH−TTコンジュゲートの濃度は、凍結乾燥組成物中のMenC
AH−TTコンジュゲートの濃度と比較して、24時間後に減少していない。別の態様では、免疫原性組成物中のMenW−TTコンジュゲートの濃度は、凍結乾燥組成物中のMenW−TTコンジュゲートの濃度と比較して、24時間後に減少していない。別の態様では、免疫原性組成物中のMenY−TTコンジュゲートの濃度は、凍結乾燥組成物中のMenY−TTコンジュゲートの濃度と比較して、24時間後に減少していない。一態様では、濃度は、再溶解前の凍結乾燥組成物中のそれぞれの濃度と比較して、24時間後に最大で1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%減少する。
賦形剤
一態様では、組成物はヒスチジンを含む。一態様では、組成物は、少なくとも650μg、660μg、670μg、680μg、690μg、700μg、710μg、720μg、730μg、740μg、750μg、760μg、770μg、780μg、790μg、800μg、810μg、820μg、830μg、840μg、または850μgのヒスチジンを含む。一態様では、組成物は、最大で1560μg、1500μg、1400μg、1300μg、1200μg、1100μg、1000μg、950μg、900μg、890μg、880μg、870μg、860μg、850μg、840μg、830μg、820μg、810μg、800μg、790μg、または780μgのヒスチジンを含む。任意の最小値を本明細書中に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を定義し得る。好ましくは、組成物は780μgのヒスチジンを含む。
【0171】
一態様では、組成物は、トリス、リン酸、またはコハク酸緩衝液を含む。好ましい態様では、組成物はトリス緩衝液を含まない。好ましいものでは、組成物はリン酸緩衝液を含まない。好ましい一態様では、組成物はコハク酸緩衝液を含まない。好ましい態様では、組成物はヒスチジン緩衝液を含む。
【0172】
一態様では、組成物は塩化ナトリウムを含む。MenABCWY組成物中の塩化ナトリウム濃度は160.5〜161.1mMで変動し得る。
一態様では、組成物のpHは5.5〜7.5である。好ましい態様では、組成物のpHは5.8〜7.0であり、最も好ましくはpH5.8〜pH6.0である。一態様では、組成物のpHは最大で6.1である。一態様では、組成物のpHは5.8である。
キット
本開示のさらなる側面は、哺乳動物において髄膜炎菌に対する殺菌性抗体を誘発するための組成物の用量を投与するためのキットである。
【0173】
一側面では、キットは、上述の第1のポリペプチドおよび上述の第2のポリペプチドを含む第1の組成物を含む。好ましい態様では、第1のポリペプチドは配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む。別の好ましい態様では、第2のポリペプチドは配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。キットは、MenA
AH−TTコンジュゲート、MenC
AH−TTコンジュゲート、MenW−TTコンジュゲート、およびMenY−TTコンジュゲートを含む第2の組成物をさらに含む。一態様では、キットは少なくとも2つの容器を含み、第1の容器は第1の組成物を含み、第2の容器は第2の組成物を含む。
【0174】
一態様では、キットは、液体の第1の組成物および凍結乾燥された第2の組成物を含む。好ましくは、キットは、液体MnB二価rLP2086組成物および凍結乾燥MenACWY−TT組成物を含む。
【0175】
一部の態様では、組成物は、第1の組成物におけるMnB rLP2086ポリペプチドに対するポリソルベート−80のモル比を変化させる、第1の組成物および第2の組成物の組合せを含む。一部の態様では、組み合わせた組成物におけるMnB rLP2086ポリペプチドの溶解度および安定性を維持するために、組み合わせた組成物に追加の界面活性剤は必要ない。したがって、一態様では、キットは0.02mgを超えるポリソルベート−80を含まない。
【0176】
開示の一態様では、キットは、以下の市販の免疫原性組成物のうちの任意の1つをさらに含まない:MENACTRA(登録商標)、MENVEO(登録商標)、ADACEL(登録商標)、HAVRIX(登録商標)、GARDASIL(登録商標)、REPEVAX、またはその任意の組合せ。たとえば、好ましくは、キットは、髄膜炎菌A、C、Y、およびW−135多糖コンジュゲート(MCV4)組成物をさらに含まず、担体タンパク質はジフテリアトキソイドである。一態様では、キットは、髄膜炎菌A、C、Y、およびW−135多糖コンジュゲート(MCV4)組成物をさらに含まず、担体タンパク質はCRM
197である。一態様では、キットはNIMENRIXワクチンをさらに含まず、NIMENRIXは、塩化ナトリウムおよび水からなる希釈剤を含む。
殺菌活性
MnBの疾患発生率は約100,000件に1件であり、有効性の統計的に有意な評価を支持するためには極めて多数の対象(400,000人から6百万人以上)が必要となることを意味する。したがって、保護およびワクチン有効性の代用である、ヒト補体を使用した血清殺菌アッセイ(hSBA)を使用して、臨床治験において免疫原性を評価する。
【0177】
Pfizerは、2000〜2006年に、IMDを引き起こす分離株を含む大規模なMnB株コレクション(N=少なくとも1263個)を構築している。MnB分離株は、米国疾病対策予防センター(CDC)ならびに欧州諸国の保健およびレファレンス研究室(health and reference laboratories)から系統的に収集した。
【0178】
一態様では、組成物をヒトに投与することによって誘導される免疫応答は、4つの髄膜炎菌血清型B(MnB)株に対する、ヒト補体を使用した血清殺菌アッセイ(hSBA)を使用して決定する。hSBAにおいて使用したMnB株は株プールから選択した。株プールは、系統的に収集した、臨床的に関連のある髄膜炎菌株のコレクションを表す。
【0179】
すべての試験株、特に、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドの両方に非相同的な配列を有するリポタンパク質2086変異体を発現する株に対する、高い割合のhSBA応答は、組成物が広く保護的なワクチンであり、血清型Xなどの追加の血清型を含めた少なくとも血清型BからのrLP2086(FHBP)を発現する髄膜炎菌株に対して高い血清保護を与えるために十分であることを示唆している。
サブファミリーA株
一態様では、hSBA株は、LP2086(fHBP)サブファミリーAタンパク質を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株は、A05を発現する髄膜炎菌株に非相同的なリポタンパク質2086変異体を発現する、LP2086(fHBP)サブファミリーA株である。たとえば、一態様では、hSBA株は、株M98250771に非相同的なリポタンパク質2086変異体を発現する、LP2086(fHBP)サブファミリーA株である。
【0180】
一態様では、hSBA株はfHBP A10を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株はLP2086(fHBP)A22を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株はLP2086(fHBP)A56を発現する髄膜炎菌株である。さらなる態様では、hSBA株はLP2086(fHBP)A22およびLP2086(fHBP)A56株である。別の態様では、hSBA株はLP2086 A04を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株はLP2086 A05を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株はLP2086 A12を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株はLP2086 A22を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株はLP2086 A12を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株はLP2086 A04を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株はLP2086 A19を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株はLP2086 A07を発現する髄膜炎菌株である。さらなる態様では、hSBA株は、A22、A12、A19、A05、およびA07発現株のうちの任意の1つを含む。一態様では、hSBA株は、A06、A15、およびA29発現株のうちの任意の1つを含む。
【0181】
一態様では、免疫応答は、A05を発現する髄膜炎菌株に非相同的な髄膜炎菌血清型B fHPBサブファミリーA株に対して殺菌性である。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B A22株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B A56株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B A06株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B A15株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B A29株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B A62株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌株M98250771に非相同的な髄膜炎菌血清型BサブファミリーA株に対して殺菌性である。
【0182】
一態様では、免疫応答は、第1のポリペプチドに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌血清型BサブファミリーA株に対して、殺菌性である。別の態様では、免疫応答は、髄膜炎菌株M98250771によって発現されるH因子結合タンパク質に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌血清型BサブファミリーA株に対して、殺菌性である。好ましい態様では、免疫応答は、髄膜炎菌株M98250771によって発現されるH因子結合タンパク質に対して少なくとも80%、より好ましくは少なくとも84%の同一性を有するアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌血清型BサブファミリーA株に対して、殺菌性である。
【0183】
別の態様では、免疫応答は、第1のポリペプチドに対して最大で81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌血清型BサブファミリーA株に対して、殺菌性である。別の態様では、免疫応答は、髄膜炎菌株M98250771によって発現されるH因子結合タンパク質に対して最大で81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌血清型BサブファミリーA株に対して、殺菌性である。好ましい態様では、免疫応答は、髄膜炎菌株M98250771によって発現されるH因子結合タンパク質に対して最大で85%、より好ましくは最大で99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌血清型BサブファミリーA株に対して、殺菌性である。任意の最小値を本明細書中に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を定義し得る。
【0184】
一態様では、組成物によって誘発された免疫応答は、髄膜炎菌血清型B fHPBサブファミリーA株だけでなく、血清型が血清型Bではない、fHBPサブファミリーAポリペプチドを発現する髄膜炎菌株に対しても殺菌性である。たとえば、好ましい一態様では、組成物によって誘発された免疫応答は、髄膜炎菌血清型BサブファミリーA株に対して、およびfHBP A05に非相同的なfHBPサブファミリーAポリペプチドを発現する髄膜炎菌血清型C株に対して殺菌性である。たとえば、一態様では、免疫応答は、fHBP A10を発現する髄膜炎菌血清型C株に対するものである。別の態様では、免疫応答は、fHBP A19を発現する髄膜炎菌血清型W株に対するものである。一態様では、免疫応答は、fHBPサブファミリーAポリペプチドを発現する、髄膜炎菌株M98250771に非相同的な髄膜炎菌株に対して殺菌性である。
サブファミリーB株
一態様では、hSBA株はLP2086(fHBP)サブファミリーB株である。一態様では、hSBA株は、B01を発現する髄膜炎菌株に非相同的なリポタンパク質2086変異体を発現する、LP2086(fHBP)サブファミリーB株である。たとえば、一態様では、hSBA株は、株CDC1127に非相同的なリポタンパク質2086変異体を発現する、LP2086(fHBP)サブファミリーB株である。好ましい態様では、hSBA株は、株CDC1573に非相同的なリポタンパク質2086変異体を発現する、LP2086(fHBP)サブファミリーB株である。
【0185】
一態様では、免疫応答は、B01を発現する髄膜炎菌株に非相同的な髄膜炎菌血清型B fHPBサブファミリーB株に対して殺菌性である。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B24株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B44株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B16株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B03株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B09株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B15株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B153株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌株CDC1573に非相同的な髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性である。
【0186】
一態様では、免疫応答は、第2のポリペプチドに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対して、殺菌性である。別の態様では、免疫応答は、髄膜炎菌株CDC1573によって発現されるH因子結合タンパク質に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対して、殺菌性である。好ましい態様では、免疫応答は、髄膜炎菌株CDC1573によって発現されるH因子結合タンパク質に対して少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも87%の同一性を有するアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対して、殺菌性である。別の好ましい態様では、免疫応答は、髄膜炎菌株CDC1573によって発現されるH因子結合タンパク質に対して100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対して、殺菌性である。
【0187】
別の態様では、免疫応答は、第2のポリペプチドに対して最大で81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対して、殺菌性である。別の態様では、免疫応答は、髄膜炎菌株CDC1573によって発現されるH因子結合タンパク質に対して最大で81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対して、殺菌性である。好ましい態様では、免疫応答は、髄膜炎菌株CDC1573によって発現されるH因子結合タンパク質に対して最大で88%の同一性、より好ましくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対して、殺菌性である。任意の最小値を本明細書中に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を定義し得る。
【0188】
一態様では、hSBA株はLP2086(fHBP)B24株である。別の態様では、hSBA株はLP2086(fHBP)B44株である。さらなる態様では、hSBA株は、LP2086(fHBP)B24およびLP2086(fHBP)B44株を含む。一態様では、hSBA株は、LP2086(fHBP)A22、LP2086(fHBP)A56、LP2086(fHBP)B24、およびLP2086(fHBP)B44株を含む。一態様では、hSBA株はB15を含む。一態様では、hSBA株はB153を含む。別の態様では、hSBA株はLP2086 B16株である。一態様では、hSBA株はLP2086 B03株である。一態様では、hSBA株はLP2086 B09株である。さらなる態様では、hSBA株は、B24、B16、B44、B03、およびB09、またはその任意の組合せを含む。別の態様では、hSBA株は、B24、B16、B44、A22、B03、B09、A12、A19、A05、およびA07、またはその任意の組合せを含む。別の態様では、hSBA株は、A06、A07、A12、A15、A19、A29、B03、B09、B15、およびB16、またはその任意の組合せを含む。
【0189】
一態様では、本方法は、髄膜炎菌血清型B fHPBサブファミリーA株および髄膜炎菌血清型B fHPBサブファミリーB株に対する免疫応答を誘導する。好ましくは、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B fHPBサブファミリーA株および髄膜炎菌血清型B fHPBサブファミリーB株に対して殺菌性である。
【0190】
一態様では、組成物によって誘発された免疫応答は、髄膜炎菌血清型B fHPBサブファミリーB株だけでなく、血清型が血清型Bではない、fHBPサブファミリーBポリペプチドを発現する髄膜炎菌株に対しても殺菌性である。たとえば、好ましい一態様では、組成物によって誘発された免疫応答は、髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対して、およびfHBP B01に非相同的なfHBPサブファミリーBポリペプチドを発現する髄膜炎菌血清型Y株に対して殺菌性である。たとえば、一態様では、免疫応答は、fHBP B16を発現する髄膜炎菌血清型A株に対するものである。別の態様では、免疫応答は、fHBP B47を発現する髄膜炎菌血清型Y株に対するものである。別の態様では、免疫応答は、fHBP B49を発現する髄膜炎菌血清型X株に対するものである。一態様では、免疫応答は、fHBPサブファミリーBポリペプチドを発現する、髄膜炎菌血清型B株CDC1573に非相同的な髄膜炎菌株に対して殺菌性である。
【0191】
一側面では、本発明は、髄膜炎菌血清型B H因子結合タンパク質(fHBP)の第1の脂質付加ポリペプチド変異体および髄膜炎菌血清型B fHBPの第2の脂質付加ポリペプチド変異体を含む組成物の使用に関する。一態様では、組成物は、B A02、A28、A42、A63、A76、B05、B07、B08、B13、B52、およびB107からなる群から選択されるポリペプチドを発現する少なくとも1つの髄膜炎菌血清型B株に対する殺菌性免疫応答を誘導する。たとえば、一側面では、本発明は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1の脂質付加ポリペプチドおよび配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2の脂質付加ポリペプチドを含む組成物の使用に関する。
【0192】
一態様では、hSBA株はfHBP B05を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株はLP2086(fHBP)B07を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株はLP2086(fHBP)B08を発現する髄膜炎菌株である。別の態様では、hSBA株はLP2086 B13を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株はLP2086 B52を発現する髄膜炎菌株である。一態様では、hSBA株はLP2086 B107を発現する髄膜炎菌株である。さらなる態様では、hSBA株は、B05、B07、B08、B13、B52、およびB107からなる群から選択される任意の1つの株を含む。さらなる態様では、hSBA株は、B05、B07、B08、B13、B52、B107、B01、B24、B44、B16、B03、B09、B15、およびB153からなる群から選択される任意の1つの株を含む。
【0193】
一態様では、免疫応答は、B01を発現する髄膜炎菌株に非相同的な髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性である。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B05株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B07株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B08株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B13株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B52株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B107株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B24株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B44株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B16株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B03株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B09株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B15株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌血清型B B153株に対するものである。一態様では、免疫応答は、髄膜炎菌株CDC1573に非相同的な髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性である。
【0194】
一態様では、免疫応答は、A02、A28、A42、A63、およびA76からなる群から選択される髄膜炎菌血清型B株に対するものである。一態様では、免疫応答は、B05、B07、B08、B13、B52、B107、B01、B24、B44、B16、B03、B09、B15、およびB153、ならびにその任意の組合せからなる群から選択される髄膜炎菌血清型B株に対するものである。
【0195】
一態様では、hSBA株は、B05、B07、B08、B13、B52、およびB107、ならびにその任意の組合せを含む。さらなる態様では、hSBA株は、B05、B07、B08、B13、B52、およびB107、B24、B16、B44、B03、およびB09、ならびにその任意の組合せを含む。一態様では、hSBA株は、A02、A28、A42、A63、A76、B05、B07、B08、B13、B52、およびB107、ならびにその任意の組合せを含む。別の態様では、hSBA株は、A06、A07、A12、A15、A19、A29、B03、B09、B15、およびB16、またはその任意の組合せをさらに含む。別の態様では、hSBA株は、A02、A28、A42、A63、A76、B05、B07、B08、B13、B52、およびB107、A06、A07、A12、A15、A19、A29、B03、B09、B15、およびB16、ならびにその任意の組合せを含む。
【0196】
一態様では、本方法は、髄膜炎菌血清型BサブファミリーA株および髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対する免疫応答を誘導する。好ましくは、免疫応答は、髄膜炎菌血清型BサブファミリーA株および髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性である。一態様では、本方法は、A02、A28、A42、A63、A76、B05、B07、B08、B13、B52、およびB107、ならびにその任意の組合せからなる群から選択される髄膜炎菌血清型B株に対する免疫応答を誘導する。一態様では、本方法は、A02、A28、A42、A63、A76、B05、B07、B08、B13、B52、およびB107、A06、A07、A12、A15、A19、A29、B03、B09、B15、およびB16、ならびにその任意の組合せからなる群から選択される髄膜炎菌血清型B株に対する免疫応答を誘導する。
力価
一態様では、組成物は、hSBAにおいて同一条件下で測定した場合に、組成物の用量を投与する前のヒトにおける殺菌性力価と比較して、ヒトにおける殺菌性力価の増加を誘導する。一態様では、hSBAにおいて同一条件下で測定した場合に、殺菌性力価の増加を、組成物の1回目の用量を投与する前のヒトにおける殺菌性力価と比較して、組成物の1回目の用量を投与する前のヒトにおける殺菌性力価と比較する。一態様では、hSBAにおいて同一条件下で測定した場合に、組成物の2回目の用量を投与する前のヒトにおける殺菌性力価と比較して、組成物の2回目の用量の後に力価の増加が観察される。別の態様では、hSBAにおいて同一条件下で測定した場合に、組成物の3回目の用量を投与する前のヒトにおける殺菌性力価と比較して、組成物の3回目の用量の後に殺菌性力価の増加が観察される。
【0197】
一態様では、組成物は、hSBAにおいて同一条件下で測定した場合に、用量を投与した後にヒトにおいて殺菌性力価を誘導し、殺菌性力価は、用量を投与する前のヒトにおける殺菌性力価よりも少なくとも1倍を超える。たとえば、殺菌性力価は、hSBAにおいて同一条件下で測定した場合に、用量を投与する前のヒトにおける殺菌性力価と比較して、組成物の用量を受けた後にヒトにおいて少なくとも1.01倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、または16倍高い場合がある。
【0198】
一態様では、「応答者」とは、組成物が用量を投与した後にヒトにおいて殺菌性力価を誘導し、殺菌性力価が用量を投与する前のヒトにおける殺菌性力価よりも少なくとも1倍を超える場合の、ヒトをいう。好ましい態様では、応答者は、用量を投与する前のヒトにおける殺菌性力価と比較して、hSBA力価の少なくとも4倍以上の上昇を達成する。そのような応答者は、保護的力価を有するといい得る。一部の態様では、保護的力価とは、1:4よりも高いものである。
【0199】
一態様では、hSBA力価は、測定可能な効果を生じる血清試料の最高希釈率の逆数である。たとえば、一態様では、hSBA力価は、T30 CFU値(すなわち、試験血清を除くすべてのアッセイ構成成分を含有するアッセイウェルにおけるインキュベーション後に生存する細菌の数、100%の細菌生存)と比較してMnB細菌の少なくとも50%の低下(50%の細菌生存)をもたらす、試験血清の最も高い2倍希釈の逆数である。
【0200】
一態様では、組成物は、hSBAにおいて同一条件下で測定した場合に、1回目の用量を受ける前のヒトにおける殺菌性力価よりも少なくとも2倍高い、1回目の用量を受けた後のヒトにおける殺菌性力価を誘導する(たとえば、1回目の用量の非存在下における、ヒトにおける殺菌性力価よりも高い)。一態様では、組成物は、ヒト補体を利用したヒト血清殺菌アッセイ(hSBA)において同一条件下で測定した場合に、1回目の用量を受ける前のヒトにおける殺菌性力価よりも少なくとも4倍高い、ヒトにおける殺菌性力価を誘導する。一態様では、組成物は、ヒト補体を利用したヒト血清殺菌アッセイ(hSBA)において同一条件下で測定した場合に、1回目の用量を受ける前のヒトにおける殺菌性力価よりも少なくとも8倍高い、ヒトにおける殺菌性力価を誘導する。
【0201】
好ましい態様では、ヒト血清補体は、所定のhSBA試験株について低い内因性殺菌活性を有するヒトに由来する。低い内因性殺菌活性とは、たとえば、所定のhSBA試験株に対して少なくとも1:4未満の希釈率である殺菌性力価をいう。一態様では、ヒト補体は、所定のhSBA試験株に対して、1:2などの少なくとも1:4未満の希釈率であるhSBA力価を有するヒトに由来し、組成物をヒトに投与しなかった。
【0202】
ヒトは、二価rLP2086組成物などの組成物を投与する前に1:4未満のhSBA力価を示し得る、または、ヒトは、組成物を投与する前に1:4以上のhSBA力価を示し得る。したがって、好ましい態様および実施例では、組成物の少なくとも1回の用量のヒトへの投与は、投与前のヒトにおける力価よりも少なくとも4倍高いhSBA力価をもたらす。一部の態様では、組成物の少なくとも1回の用量のヒトへの投与は、少なくとも1:4を超えるhSBA力価、たとえば、1:8以上のhSBA力価、1:16以上のhSBA力価、および1:32以上のhSBA力価などをもたらす。本明細書中に記載のそれぞれの実施例は、1:8以上および/または1:16以上のhSBA力価を有するヒト対象の割合の評価を含み、二価rLP2086組成物をヒトに投与した。一部の態様では、組成物を投与する前と比較して組成物を投与した後における、ヒトにおける力価の4倍の上昇は、保護が組成物に関連していることを示す。一部の態様では、1:4を超えるhSBA力価のそのような好ましい評価は、保護、すなわちヒトにおいて誘導される殺菌性免疫応答が、組成物に関連していることを示す。
【0203】
一態様では、ヒトは、組成物の1回目の用量を投与した後に、hSBAの定量下限(LLOQ)以上のhSBA力価を有する。別の態様では、ヒトは、組成物の2回目の用量を投与した後に、hSBAのLLOQ以上のhSBA力価を有する。別の態様では、ヒトは、組成物の3回目の用量を投与した後に、hSBAのLLOQ以上のhSBA力価を有する。
方法および投与
一側面では、本開示は、ヒトにおいて髄膜炎菌に対する免疫応答を誘導する方法に関する。別の側面では、本開示は、ヒトにワクチン接種する方法に関する。
【0204】
一部の態様では、本方法は、組成物をヒトに投与するステップを含み、組成物は、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY莢膜多糖のそれぞれに対する免疫応答を誘導し、免疫応答は血清殺菌抗体の力価を含む、力価は、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖に対する認可ワクチンによって誘導されたものよりも高い。一部の態様では、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖に対する認可ワクチンはMENVEOである。
【0205】
一部の態様では、本方法は、組成物をヒトに投与するステップを含み、組成物は髄膜炎菌血清型Bに対する免疫応答を誘導し、免疫応答は、髄膜炎菌血清型Bに対する認可ワクチンによって誘導される血清殺菌抗体の力価よりも高い、血清殺菌抗体の力価を含む。一部の態様では、髄膜炎菌血清型Bに対する認可ワクチンはTRUMENBAである。
【0206】
一部の態様では、本方法は、組成物をヒトに投与するステップを含み、組成物は、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY莢膜多糖のそれぞれならびに髄膜炎菌血清型Bに対する免疫応答を誘導し、免疫応答は、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY莢膜多糖に対する認可ワクチンによって誘導される血清殺菌抗体の力価よりも高い、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY莢膜多糖のそれぞれに対する血清殺菌抗体の力価を含み、免疫応答は、髄膜炎菌血清型Bに対する認可ワクチンによって誘導される血清殺菌抗体の力価よりも高い、髄膜炎菌血清型Bに対する血清殺菌抗体の力価を含む。一部の態様では、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖に対する認可ワクチンはMENVEOである。一部の態様では、髄膜炎菌血清型Bに対する認可ワクチンはTRUMENBAである。
【0207】
本開示は、任意の年齢のヒトにおいて免疫応答を誘発する方法に関する。一部の態様では、ヒトは、少なくとも4週齢、5週齢、6週齢、7週齢、8週齢、9週齢、10週齢、11週齢、または12週齢の年齢である。たとえば、好ましい態様では、ヒトは少なくとも6週齢の年齢である。当分野で知られているように、NIMENRIX(登録商標)などの髄膜炎菌A、C、W−135、およびY型コンジュゲートワクチンが、早くも6週齢の年齢の乳児に適しており、6週齢以上の年齢の任意のヒトに投与することができる。一部の態様では、ヒトは少なくとも6カ月齢、7カ月齢、8カ月齢、9カ月齢、10カ月齢、11カ月齢、または12カ月齢の年齢である。たとえば、好ましい態様では、ヒトは少なくとも12カ月齢の年齢である。一態様では、ヒトは12〜18カ月齢の年齢である。別の側面では、本開示は、少なくとも18カ月齢の年齢の患者において免疫応答を誘発する方法に関する。一態様では、ヒトは18〜24カ月齢の年齢である。さらに別の側面では、本開示は、少なくとも24カ月齢の年齢の患者において免疫応答を誘発する方法に関する。一態様では、ヒトは24カ月齢〜10歳の年齢である。別の側面では、本開示は、10歳以上の年齢の患者において免疫応答を誘発する方法に関する。
【0208】
一部の態様では、ヒトは10歳〜25歳の年齢である。一部の態様では、ヒトは10〜26歳の年齢である。一部の態様では、ヒトは12カ月齢から18カ月齢未満の年齢である。一部の態様では、ヒトは18カ月齢から24カ月齢未満の年齢である。一部の態様では、ヒトは18カ月齢から24カ月齢未満の年齢である。一部の態様では、ヒトは24カ月齢以上10歳未満の年齢である。
【0209】
一部の態様では、ヒトは少なくとも16歳である。そのような態様では、本方法は、1回の用量をヒトに投与するステップ、好ましくは最大で1回の用量を少なくとも16歳の年齢のヒトに投与するステップを含む。一部の態様では、ヒトは最高で17歳である。
【0210】
一部の態様では、ヒトは10〜12歳の年齢である。そのような態様では、本方法は、少なくとも1回の用量をヒトに投与するステップを含む。好ましい態様では、1回目の用量の約6カ月後に、2回目の用量をヒトに投与する。好ましい態様では、本方法は、組成物の1回目の用量および2回目の用量を10〜12歳の年齢のヒトに投与し、1回目の用量の少なくとも4年後に、組成物の3回目の用量をヒトに投与するステップを含む。
【0211】
一部の態様では、本方法は、ヒトに少なくとも2回の用量を投与するステップを含む。好ましい態様では、2回の用量は少なくとも約6カ月間隔である。好ましい態様では、本方法は、10〜12歳の年齢のヒトに組成物の1回目の用量および2回目の用量を投与し、1回目の用量の少なくとも4年後に、ヒトに組成物の3回目の用量を投与するステップを含む。
【0212】
一部の態様では、本方法は、約11歳のヒトに組成物の1回目の用量を投与し、1回目の用量の少なくとも4年後に、ヒトに組成物の少なくとも2回の用量を投与するステップを含む。一部の態様では、本方法は、1回目の用量の約5年後に、組成物の2回目および後続の用量を投与するステップを含む。
【0213】
一部の態様では、ヒトは髄膜炎菌血清型Aに対して血清陰性である。一部の態様では、ヒトは髄膜炎菌血清型Cに対して血清陰性である。一部の態様では、ヒトは髄膜炎菌血清型Wに対して血清陰性である。一部の態様では、ヒトは髄膜炎菌血清型Yに対して血清陰性である。一部の態様では、ヒトは、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY莢膜多糖に対して血清陰性である。
【0214】
一部の態様では、ヒトは、髄膜炎菌血清型Aに対して血清陽性である。一部の態様では、ヒトは髄膜炎菌血清型Cに対して血清陽性である。一部の態様では、ヒトは髄膜炎菌血清型Wに対して血清陽性である。一部の態様では、ヒトは髄膜炎菌血清型Yに対して血清陽性である。一部の態様では、ヒトは、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY莢膜多糖に対して血清陽性である。
【0215】
一態様では、本方法は、上述の組成物の少なくとも1回の用量をヒトに投与するステップを含む。好ましい態様では、本方法は、上述の組成物の最大で1回の用量をヒトに投与するステップを含む。別の態様では、本方法は、上述の組成物の少なくとも1回目の用量および2回目の用量をヒトに投与するステップを含む。
【0216】
一態様では、2回目の用量は、1回目の用量の少なくとも20、30、50、60、100、120、160、170、または180日後、かつ1回目の用量の最大で250、210、200、または190日後に投与する。任意の最小値を本明細書中に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を定義し得る。
【0217】
別の態様では、2回目の用量は、1回目の用量の約30日後に投与する。別の態様では、たとえば0、2カ月間の免疫化スケジュールなどで、2回目の用量は1回目の用量の約60日後に投与する。別の態様では、たとえば0、6カ月間の免疫化スケジュールなどで、2回目の用量は1回目の用量の約180日後に投与する。さらに別の態様では、たとえば2、6カ月間の免疫化スケジュールなどで、2回目の用量は1回目の用量の約120日後に投与する。
【0218】
一態様では、本方法は、組成物の2回の用量かつ最大で2回の用量をヒトに投与するステップを含む。一態様では、2回の用量は、1回目の用量後の約6カ月以内の期間に投与する。一態様では、本方法は、ヒトへの追加免疫のさらなる投与を含まない。本明細書中で使用する「追加免疫」とは、ヒトへの組成物の追加の投与をいう。組成物の最大で2回の用量をヒトに投与することは、有利であり得る。そのような利点は、たとえば、ヒトが完全な投与スケジュールに応じることを容易にすること、およびスケジュールの高い対費用効果を容易にすることを含む。
【0219】
一態様では、1回目の用量および2回目の用量を、約25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200日間の期間にわたって、かつ1回目の用量の最大で400、390、380、370、365、350、340、330、320、310、300、290、280、270、260、250、240、230、220、210、または200日後に、ヒトに投与する。任意の最小値を本明細書中に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を定義し得る。好ましくは、1回目および2回目の用量は、少なくとも4週間間隔、たとえば8週間以上の間隔、2カ月以上の間隔、3カ月以上の間隔、6カ月以上の間隔などで投与する。
【0220】
一態様では、約30日間の期間にわたって、1回目の用量および2回目の用量をヒトに投与する。別の態様では、約60日間の期間にわたって、1回目の用量および2回目の用量をヒトに投与する。別の態様では、約180日間の期間にわたって1回目の用量および2回目の用量をヒトに投与する。
【0221】
好都合に、1回目の用量は、別のワクチンと実質的に同時に(たとえば、医療専門家への同じ医療相談もしくは訪問中、または髄膜炎菌ワクチンの1回目の用量の24時間以内)、たとえば、B型肝炎ウイルスワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン(細胞性、もしくは好ましくは無細胞性どちらかで)、ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型ワクチン、肺炎球菌ワクチン、および/またはポリオワクチン(好ましくは失活化ポリオウイルスワクチンで)と実質的に同時に投与することができる。これらの任意選択で同時投与したワクチンのそれぞれは、一価ワクチンであり得る、または組合せワクチンの一部(たとえばDTPワクチンの一部として)であり得る。
【0222】
好都合に、2回目の用量は、別のワクチンと実質的に同時(たとえば、医療専門家への同じ医療相談もしくは訪問中、または髄膜炎菌ワクチンの2回目の用量の24時間以内)、たとえば、B型肝炎ウイルスワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン(細胞性もしくは無細胞性どちらかで)、ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型ワクチン、肺炎球菌ワクチン、ポリオワクチン(好ましくは失活化ポリオウイルスワクチンで)、インフルエンザワクチン、水疱瘡ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、および/または風疹ワクチンと実質的に同時に投与することができる。これらの任意選択で同時投与したワクチンのそれぞれは、一価ワクチンであり得る、または組合せワクチンの一部(たとえばMMRワクチンの一部として)であり得る。
【0223】
好都合に、3回目の用量は、別のワクチンと実質的に同時に(たとえば、医療専門家への同じ医療相談もしくは訪問中、または髄膜炎菌ワクチンの3回目の用量の24時間以内)、たとえば、B型肝炎ウイルスワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン(細胞性もしくは無細胞性どちらかで)、ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型ワクチン、肺炎球菌ワクチン、ポリオワクチン(好ましくは失活化ポリオウイルスワクチンで)、インフルエンザワクチン、水疱瘡ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、および/または風疹ワクチンと実質的に同時に投与することができる。これらの任意選択で同時投与したワクチンのそれぞれは、一価ワクチンであり得る、または組合せワクチンの一部(たとえばMMRワクチンの一部として)であり得る。
【0224】
一態様では、組成物の3回用量のスケジュールは、2回用量のスケジュールよりも高い百分率のヒトにおいて、第1および/または第2のポリペプチドに非相同的なLP2086(fHBP)を発現する複数の株に対する殺菌性力価を誘導する。
【0225】
一態様では、本方法は、組成物の3回用量をヒトに投与するステップを含む。別の態様では、本方法は、組成物の最大で3回用量を投与するステップを含む。一態様では、3回用量は、1回目の用量後の約6カ月以内の期間に投与する。一態様では、本方法は、3回目の用量の後にヒトへの追加免疫用量の投与を含む。別の態様では、本方法は、3回目の用量の後にヒトへの追加免疫用量の投与を含まない。別の態様では、本方法は、組成物の4回目または追加免疫用量をヒトに投与するステップを、さらに含まない。さらなる態様では、最大で3回用量を約6カ月以内の期間にヒトに投与する。
【0226】
例示的な態様では、たとえば0、1、6カ月間の免疫化スケジュールなどで、2回目の用量は1回目の用量の約30日後に投与し、3回目の用量は、2回目の用量の約150日後に投与する。別の例示的な態様では、たとえば0、2、6カ月間の免疫化スケジュールなどで、2回目の用量は1回目の用量の約60日後に投与し、3回目の用量は2回目の用量の約120日後に投与する。
【0227】
一態様では、約150、160、170、または180日間の期間にわたって、かつ最大で240、210、200、または190日間で、1回目の用量、2回目の用量、および3回目の用量をヒトに投与する。任意の最小値を本明細書中に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を定義し得る。好ましくは、約180日間または6カ月間の期間にわたって、1回目の用量、2回目の用量、および3回目の用量をヒトに投与する。たとえば、2回目の用量は1回目の用量の約60日後にヒトに投与してよく、3回目の用量は2回目の用量の約120日後にヒトに投与してよい。したがって、例示的な投与スケジュールは、約0、2、および6カ月に用量をヒトに投与することを含む。
【0228】
上述のように、免疫原性組成物の複数の用量をヒトに投与してよく、それぞれの用量間の日数は変動し得る。本方法の利点は、たとえば、ヒトが投与スケジュールに応じるための柔軟性を含む。
【0229】
一態様では、本方法は、同一の免疫原性組成物の最大で3回の用量をヒトに投与するステップを含む。たとえば、好ましい態様では、本方法は、第1、第2、および第3の組成物が同一でない場合に、第1の組成物の1回目の用量をヒトに投与し、第2の組成物の2回目の用量をヒトに投与し、第3の組成物の3回目の用量をヒトに投与するステップを含まない。別の態様では、本方法は、同一の免疫原性組成物の最大で4回の用量をヒトに投与するステップを含む。
【実施例】
【0230】
以下の実施例は、本開示の態様を例示する。本明細書中で別段に注記しない限りは、以下の実施例において、120μgの二価rLP2086の用量レベルでのMnB二価rLP2086組成物を参照し、これは、0.5mLの用量あたり60μgの、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1の脂質付加ポリペプチドと、0.5mLの用量あたり60μgの、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2の脂質付加ポリペプチドと、2.8のモル比のポリソルベート−80対第1のポリペプチドと、2.8のモル比のポリソルベート−80対第2のポリペプチドと、0.5mgのAl
3+/mlの組成物と、10mMのヒスチジンと、150mMの塩化ナトリウムとを含む、組成物の好ましい例示的な態様である。
【0231】
より詳細には、120μgの二価rLP2086の用量レベルでの本調査の二価組換えrLP2086ワクチンは、(a)60μgの、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1の脂質付加ポリペプチド、(b)60μgの、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2の脂質付加ポリペプチド、(c)18μgのポリソルベート−80、(d)250μgのアルミニウム、(e)780μgのヒスチジン、および(f)4380μgの塩化ナトリウムを含む。それぞれの用量は0.5mLである。
【0232】
本明細書中で別段に注記しない限りは、以下の実施例においてMenACWY−TT組成物を参照し、これは、それぞれ担体タンパク質として破傷風トキソイドとカップリングした髄膜炎菌莢膜多糖A、C、W−135、およびYを含む、四価の髄膜炎菌多糖コンジュゲート組成物の好ましい例示的な態様である。髄膜炎菌血清型AおよびC多糖は、アジピン酸ジヒドラジド(AH)スペーサーとコンジュゲートし、破傷風トキソイドと間接的にコンジュゲートしている一方で、W−135およびY多糖は、破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている。組成物は保存料またはアジュバントを全く含有しない。
【0233】
より詳細には、以下の実施例に記載の凍結乾燥MenACWY−TT組成物は、1用量(0.5mL)あたり、破傷風トキソイド担体タンパク質とコンジュゲートしている5マイクログラムの髄膜炎菌血清型A多糖、破傷風トキソイド担体タンパク質とコンジュゲートしている5マイクログラムの髄膜炎菌血清型C多糖、破傷風トキソイド担体タンパク質とコンジュゲートしている5マイクログラムの髄膜炎菌血清型W−135多糖、破傷風トキソイド担体タンパク質とコンジュゲートしている5マイクログラムの髄膜炎菌血清型Y多糖、28mgのスクロース、および97μgのトロメタモールを含む。
【実施例1】
【0234】
MenABCWY組成物
最終MenABCWY組成物は、筋肉内注射用の0.5mLの用量のMenABCWYワクチンを引き出すために、凍結乾燥MenACWY−TT薬物製品(以下の実施例2に記載)のバイアルを0.67mLのMnB二価rLP2086薬物製品(以下の実施例3に記載)で再溶解することによって調製する。MenABCWYワクチンの調製において使用するすべての構成成分およびその機能を以下の表1に提供する。
【0235】
【表1】
【0236】
MenABCWYは2mLのタイプ1ガラスバイアル中の単一用量の凍結乾燥MenACWY−TTと、再溶解用のMnB二価rLP2086懸濁液を含有する、目盛りのない1mLのタイプIのガラス製の標準の事前に満たされたシリンジ(PFS)と、13mmのバイアルアダプターとを含む組合せ製品である。
【0237】
凍結乾燥MenACWY−TT薬物製品は、供給されたバイアルアダプターを凍結乾燥バイアルに固定し、MnB二価rLP2086のPFSをバイアルアダプターに取り付けることによって、再溶解する。このプロセスは、MnB懸濁液のPFSからバイアル内への無菌的な運搬、続いて、投与のための再溶解したワクチンのバイアルからPFS内への移動を容易にすることを意図する。再溶解後、バイアルの内容物を、バイアルアダプターを介して同じシリンジ内に引き出す。バイアルアダプターをシリンジから取り外し、筋肉内(IM)注射用に針をPFSに固定する。最終ワクチン(MenABCWY)の標的用量体積(0.5mL)が運搬できることを確実にするために、MnB二価rLP2086のPFSは、TRUMENBAよりも高い充填体積(現在の0.57mLに対して約0.67mL)を有するように設計する。
【0238】
最終ワクチン組成物は、10mMのヒスチジン、1.2mMのトリス緩衝液、160.5〜161.1mMの塩化ナトリウム、リン酸アルミニウム(AlPO4)として0.5mg/mLのアルミニウム、1.35mg/mLのポリソルベート80、および56mg/mLのスクロース中に、120μg/mL/サブファミリーで配合したrLP2086サブファミリーAおよびBタンパク質と、それぞれ約1:3、約1:3、約1:1.5、約1:1.3の比で破傷風トキソイドとコンジュゲートしている、10μg/mL/型の濃度の髄膜炎菌血清型A、C、W、およびYの精製莢膜多糖とを含む。
【実施例2】
【0239】
MnB二価rLP2086薬物製品の説明および組成
MnB二価rLP2086薬物製品は、10mMのヒスチジン緩衝液、150mMの塩化ナトリウム(NaCl)、pH6.0中に、リン酸アルミニウム(AlPO4)としての0.5mg/mLのアルミニウムと共に、120μg/ml/サブファミリーで配合したrLP2086サブファミリーAおよびBタンパク質からなる、無菌的な液体配合物である。ポリソルベート80(PS−80)を原薬に加えて標的のPS−80対タンパク質のモル比を得る。したがって、PS−80は薬物製品の配合中に加えず、同じ比で最終薬物製品中に存在する。薬物製品を1mLのシリンジ内に満たす。ワクチンの単一用量は0.5mL、保存料なしである。
【0240】
【表2】
【0241】
ポリソルベート80濃度の効果
ポリソルベート80(PS−80)は非イオン性界面活性剤である。これは、温度、フィルター、チューブ、容器/閉じ具の接触、およびプロセスの混合によって引き起こされ得る凝集および吸着を防止することによって、配合物中のMnB rLP2086サブファミリーAおよびBタンパク質を安定化および可溶化するために使用する。in vitroのモノクローナル抗体に基づく効力アッセイを使用した安定性研究により、最終配合物中のPS−80対MnB rLP2086タンパク質のモル比がより高い場合に、サブファミリーBタンパク質が不安定性であることが実証された。PS−80対タンパク質の様々なモル比を用いた実験により、効力を保持するための最適なPS−80対MnB rLP2086タンパク質のモル比が約1.4〜4.2であることが実証された。
【実施例3】
【0242】
MenACWY−TT組成物の説明および組成
MenACWY−TT薬物製品は、それぞれ約3、約3、約1.5、および約1.3の対多糖比で破傷風トキソイドとコンジュゲートしている(TT)、髄膜炎菌血清型A、C、W、およびYの精製多糖からなる。
【0243】
MenACWY−TT薬物製品は、凍結乾燥に適したブロモブチルゴム製の閉じ具およびアルミニウム製のフリップオフ・キャップを備えた3mLのガラスバイアル中で供給される、凍結乾燥粉末として提示する。MenACWY−TT薬物製品の製造において使用するすべての構成成分およびその機能を表3に提供する。
【0244】
【表3】
【実施例4】
【0245】
MenABCWY組成物の調製
最終MenABCWY組成物は、凍結乾燥MenACWY−TT薬物製品バイアルを0.67mLのMnB二価rLP2086で再溶解することによって、診療所内で調製する。生じるMenABCWY組成物(ワクチン液体薬物製品)は、筋肉内注射用に、160.5〜161.1mMの塩化ナトリウムを含有する10mMのヒスチジンおよび1.6mMのトリス緩衝液、リン酸アルミニウム(AlPO4)として0.5mg/mLのアルミニウム、0.035mg/mLのポリソルベート80、ならびに56mg/mLのスクロース、pH6.05中に、120mcg/mL/サブファミリーのrLP2086サブファミリーAおよびBタンパク質と、それぞれ約3、約3、約1.5、および約3の比で破傷風トキソイドとコンジュゲートしている、10mcg/mL/型の濃度の髄膜炎菌A、C、W、およびY型の精製多糖とを含有する。
【0246】
MenABCWYワクチンは、2つの薬物製品であるMenACWY−TTおよびMnB二価rLP2086の混合によって調製する。緩衝成分および賦形剤は、それぞれの構成成分の個々の開発に基づいて選択し、長期貯蔵寿命のための必要な安定性プロフィールを提供するために示す。
【0247】
MenACWY−TT薬物製品およびMnB二価rLP2086薬物製品が、MenABCWYワクチンの投与のために一緒に混合した場合に適合性があること、すべての薬物製品および投薬溶液が投与構成成分と適合性があること、ならびに、投薬溶液が、用量調製および投与操作を行うために十分な期間の間、投与構成成分中で安定であることを実証するために、投薬量の検証研究を行った。0.67mLのMnB二価rLP2086薬物製品を用いたMenACWY−TT薬物製品の再溶解によって調製したMenABCWYワクチンの、ホールド時間にわたる、室温および明条件での安定性を、再溶解したバイアル中および投薬シリンジ中で確認した。
【0248】
MenABCWYワクチンの投薬溶液を表す試料を、抗原結合および純度用のRP−HPLC、bioplex活性アッセイ、ELISA、ならびに事前に決定された許容基準を用いたICP−MSなどの、安定性を示す方法を使用して試験した。この研究の結果は、24時間、室温および明条件でのMenABCWYワクチンの許容される安定性を示す。
【実施例5】
【0249】
MenABCWYワクチンの評価
凍結乾燥MenACWY−TT組成物を、MnB二価rLP2086組成物を用いて再溶解した場合に、許容される物理的適合性および短期間の安定性が存在するかどうかを評価するための研究を実施した。凍結乾燥MenACWY−TT組成物および液体MnB二価rLP2086組成物を合わせ、現実世界の条件に近似させるために非制御の室温環境で24時間まで保存した。凍結乾燥MenACWY−TT組成物を、液体MnB二価rLP2086組成物を用いて穏やかな手動混合で再溶解することができ、合わせたpHおよび重量モル浸透圧濃度は注射剤の典型的な範囲内であったことが実証された。コンジュゲートおよびタンパク質のすべての主要な特質は、非制御の室温環境で24時間まで、対照のものに類似していた。
【0250】
物理的適合性は、合わせた薬物製品pH、外見、再溶解の容易さ、および重量モル浸透圧濃度を評価することによって評価した。抗原の安定性は、rLP2086サブファミリーAおよびサブファミリーBタンパク質の濃度、純度、およびin vitro相対的抗原性(IVRA)、ならびにコンジュゲートしている髄膜炎菌A、C、Y、およびW−135多糖の濃度をELISAによって評価することによって評価した。
【0251】
実施例5から実施例15は、凍結乾燥MenACWY−TT組成物および液体MnB二価rLP2086組成物の組合せ、すなわちMenABCWY組成物が、適合性があり、室温で少なくとも24時間の間安定であることが見出されたことを実証する。
MenABCWY組成物中のMening A、C、Y、およびW−135多糖の濃度を決定するためのELISA−Mening A、C、Y、およびW−135のELISAの開発ならびに検出用のpAbのスクリーニング
ELISAアッセイにおいて使用するために、6個の抗体がスクリーニングに選択された。4群の10匹ウサギのそれぞれを、Men A、C、Y、またはW−135多糖TTコンジュゲートのいずれかで免疫化し、続いて、抗体発生後にウサギを全採血した。それぞれのウサギを、結合および特異性のために担体タンパク質CRM
197とコンジュゲートしているMen A、C、Y、またはW−135多糖を使用して、個々にスクリーニングした。ウサギ血清を、バックグラウンド吸光度の3倍を超える吸光度の読取値に等しい、陽性結合シグナルについてスクリーニングした。さらに、ウサギ血清を、ブランクの吸光度の読取値を超える、抗原、二次抗体または検出抗体なしの血清の組合せの、任意の吸光度の読取値である低い非特異的結合、およびバックグラウンド吸光度を超える非相同種血清型の任意の吸光度の読取値である低い交差反応性についてスクリーニングした。スクリーニング基準を満たしたウサギをプールした。CRMコンジュゲートを使用して検量線範囲を確立し、再溶解した凍結乾燥MenACWY−TT組成物を用いて確認した。CRMコンジュゲートを使用して検量線範囲を確立し、再溶解した凍結乾燥MenACWY−TT組成物を用いて確認した。
【0252】
合わせた薬物製品(MenABCWY組成物)中のA、C、Y、およびWコンジュゲートを定量することの実現可能性を確立した。MnB二価rLP2086組成物単独ではアッセイで検出されなかったことが決定された。さらに、MenABCWY組成物試料中のリン酸アルミニウムが可溶化している場合、コンジュゲートの完全回収が得られた。したがって、MnB二価rLP2086組成物は、ELISAによるMenACWY−TTコンジュゲートの定量に干渉しないことが決定された。
【実施例6】
【0253】
MenACWY−TT組成物の存在下でMnB二価rLP2086組成物を評価する方法の適切性の評価
IEX−HPLCを、MenACWY−TT組成物の存在下でMnB二価rLP2086組成物サブファミリーAおよびBタンパク質の強度を決定するその適切性について評価した。MenACWY−TT組成物の存在下およびMenACWY−TT組成物の非存在下におけるMnB二価rLP2086組成物の全タンパク質および結合タンパク質の結果を評価した。
【0254】
【表4】
【実施例7】
【0255】
MenACWY−TT組成物の存在下におけるMnB二価rLP2086組成物の純度およびピーク比の評価
RP−HPLCを、MenACWY−TT組成物の存在下でMnB二価rLP2086組成物の純度を決定するその適切性について評価した。MenACWY−TT組成物の存在下およびMenACWY−TT組成物の非存在下におけるMnB二価rLP2086組成物の純度の結果を比較した。オーバーレイしたクロマトグラムは米国特許第10,183,070号の
図2に示されている。不純物ピーク積分の例は、米国特許第10,183,070号の
図2の挿入図として示されている。評価結果は、MenACWY−TT組成物の存在は、RP−HPLC方法を使用したMnB二価rLP2086組成物の純度の評価に干渉しないことを示す。
【実施例8】
【0256】
MenACWY−TT組成物の存在下におけるMnB二価rLP2086組成物のIVRAの評価
IVRA方法を、MenACWY−TT組成物の存在下でMnB二価rLP2086組成物サブファミリーA(配列番号1)およびサブファミリーB(配列番号2)タンパク質のin vitro相対的抗原性を決定するその適切性について評価した。
【0257】
MenACWY−TT組成物の存在下および非存在下におけるMnB二価rLP2086組成物サブファミリーAおよびサブファミリーBタンパク質のIVRAの結果を比較した。実現可能性の評価結果は、アッセイのばらつき内で結果は比較可能であり、MenACWY−TT組成物の存在はin vitro相対的抗原性の決定に干渉しないことを示す。
【実施例9】
【0258】
MnB二価rLP2086組成物を用いたMenACWY−TT組成物のバイアルの再溶解
MenACWY−TT組成物およびMnB二価rLP2086組成物の薬物製品は、MnB二価rLP2086組成物の薬物製品を用いて再溶解したMenACWY−TT組成物のバイアルを使用して行った。生理食塩水またはMenACWY−TT組成物のどちらかを用いて再溶解したMenACWY−TT組成物のバイアルを、方法に応じてマトリックスプラセボを対照として使用した。
【0259】
【表5】
【0260】
MenACWY−TT組成物用の生理食塩水の再溶解体積の決定
NIMENRIX(登録商標)市販製品パッケージは、凍結乾燥MenACWY−TT組成物を含有するバイアルおよび再溶解に使用する0.9%の生理食塩水を含有するシリンジをどちらも含有する。MnB二価rLP2086組成物を用いた再溶解の際に市販のワクチン中の最終NIMENRIX(登録商標)濃度を再現するために、シリンジを使用して市販製品から分注される生理食塩水の量を決定する必要があった。その後、この同じ体積のMnB二価rLP2086組成物をすべての再溶解研究に使用する。
MnB二価rLP2086組成物を用いたMenACWY−TT組成物のバイアルの再溶解
MnB二価rLP2086組成物を10mLのガラスバイアル中にプールした。約800μLの溶液を1mLのシリンジ内に引き出した。シリンジの調節した内容物をMenACWY−TT組成物を含有するバイアル内に注入した。バイアルを旋回させて内容物を溶かした。
【0261】
MenABCWY組成物の2つ組試料のPHおよび外見を決定した。重量モル浸透圧濃度を、生理食塩水を用いて再溶解したMenACWY−TT組成物およびMnB二価rLP2086組成物を用いて再溶解したMenACWY−TT組成物で、3つ組で測定した。
【実施例10】
【0262】
DPマトリックスにおけるMening A、C、Y、およびW−135多糖の安定性を評価するためのSEC−MALLS。
Mening A、C、Y、およびW−135多糖を、合わせた薬物製品(MenABCWY組成物)中のコンジュゲートしている髄膜炎菌A、C、Y、およびW−135多糖の任意の不安定性を予想できるかを評価するための代用として使用した。
Mening A、C、Y、およびW−135多糖の処理
試薬の調製(「完全MenABCWY組成物緩衝マトリックス」)
2.24gのスクロースおよび7.8mgのトリス(トロメタミン)を、20mlの2×MnB二価rLP2086組成物緩衝マトリックスに、MnB rLP2086タンパク質と共に加えた(ヒスチジン 20mM、pH6.0、NaCl 300mM、PS 80 0.07mg/ml、AlPO4 1mg/ml(8mM)、rLP2086サブファミリーA(配列番号1)およびサブファミリーB(配列番号2)タンパク質 それぞれ240μg/mL)。
試料の調製
それぞれのMening多糖を完全MenABCWY組成物緩衝マトリックスで1:1に希釈し、0、6、および24時間、5℃、25℃、および37℃でインキュベートした。インキュベーション後、試料懸濁液を1分間、14,000r.p.m.で遠心分離した。上清をSEC−MALLSによって分析した。
【実施例11】
【0263】
MenABCWY組成物の安定性−合わせたMnB二価rLP2086およびMenACWY−TT組成物のpH、外見、および重量モル浸透圧濃度の評価
合わせたMnB二価rLP2086組成物およびMenACWY−TT組成物、すなわちMenABCWY組成物のPHおよび外見を、再溶解の直後および24時間後に再度評価した。
【0264】
すべての結果は予想通りであった(表6)。
【0265】
【表6】
【0266】
MnB二価rLP2086組成物を用いて再溶解したMenACWY−TT組成物の平均重量モル浸透圧濃度は、生理食塩水を用いて再溶解したMenACWY−TT組成物の平均重量モル浸透圧濃度の3%以内であった。
【0267】
【表7】
【実施例12】
【0268】
合わせた薬物製品中のMening A、C、Y、およびW−135多糖コンジュゲートの濃度
MenABCWY組成物中のMening A、C、Y、およびW−135−TTコンジュゲートの濃度を初期および24時間後に再度評価した。4つのコンジュゲートの濃度は24時間の期間の間安定していた(表8)。
【0269】
【表8】
【実施例13】
【0270】
MenABCWY組成物中のMnB二価rLP2086タンパク質の安定性の評価
合わせた薬物製品中の全および結合したrLP2086サブファミリーA(配列番号1)およびサブファミリーB(配列番号2)タンパク質の濃度
MenABCWY組成物の試料を、タンパク質濃度を決定するためにIEX−HPLCによって分析した。表9に示すように、MnB二価rLP2086サブファミリーA(配列番号1)およびサブファミリーB(配列番号2)タンパク質(アルミニウムと結合)のどちらの全タンパク質、結合タンパク質(アルミニウムと)、および%結合も24時間以内に変化せず、rLP2086サブファミリーAおよびサブファミリーBタンパク質が24時間の期間にわたって安定であったことを示す。
【0271】
【表9】
【実施例14】
【0272】
合わせたMenABCWY組成物中のrLP2086タンパク質の純度およびピーク比
MenABCWY組成物の試料を、rLP2086タンパク質の純度およびピーク比を決定するためにRP−HPLCによって分析した。米国特許第10,183,070号の
図3を参照されたい。11.9分のピークは純度の計算から除外する。
合わせた薬物製品中のrLP2086サブファミリーAおよびサブファミリーBタンパク質のIVRA
MenABCWY組成物の試料のIVRAを混合の24時間後まで評価した。MenABCWY組成物中のrLP2086サブファミリーA(配列番号1)およびサブファミリーB(配列番号2)タンパク質の相対的抗原性が24時間の期間にわたって安定であったことが決定された。
【実施例15】
【0273】
SEC−MALSによる完全MenABCWY組成物緩衝マトリックス中のMening A、C、Y、およびW−135多糖の安定性
様々な温度で6および24時間のインキュベーション後における、SEC−MALLSによる完全MenABCWY組成物緩衝マトリックス中のMening A PSの安定性
Mening A、C、W、およびY多糖を完全MenABCWY組成物緩衝マトリックスと混合し、5℃、25℃、および37℃で24時間までインキュベーションした後に、SEC−MALSによって安定性について評価した。4つの多糖すべてが5℃および25℃で24時間まで安定であるように見える。Mening AおよびYでは37℃で一部の分解が観察された。初期以外のすべての試験した条件下における高Mwの凝集体の形成が原因で、分解の度合はMening Y多糖について決定することができなかった。
【0274】
【表10】
【実施例16】
【0275】
CBA/JマウスにおけるMn五価およびTrumenba(登録商標)ワクチンの髄膜炎菌血清型B免疫原性の評価
二価Mn B fHBPワクチン、Trumenba、または四価ACWY多糖コンジュゲートワクチンと共に配合した二価Mn B fHBPワクチン(Mn五価ABCWY)のいずれかを用いたワクチン接種後の髄膜炎菌血清型B fHBPに対する免疫応答を、CBA/Jマウスにおいて評価した。CBA/Jマウスの群を3つの異なるワクチンで免疫化した:五価(ABCYW)、Trumenba(登録商標)(MnB)、およびNimenrix(登録商標)(ACYW)(表11)。
【0276】
【表11】
【0277】
それぞれのアームについて、2倍希釈の用量レベルのそれぞれのワクチンを使用して、CBA/Jマウス(25匹/群)を首筋において皮下で免疫化した(表11)。マウスをワクチンで時間0に初回刺激し、2週目に追加免疫した。ヒト補体を利用した2つの異なる血清殺菌アッセイ(hSBA)を使用して試験するために、血清をPD2で3週目に収集した。一方のhSBAはfHBPサブファミリーA発現株(M98250771)を使用し、他方はfHBPサブファミリーB発現株(CDC1127)を使用した。
【0278】
hSBAは、髄膜炎菌血清型B株に対する抗体依存性、補体媒介性の殺菌活性を測定する。手短に述べると、適切な希釈率の試験血清を、髄膜炎菌B株(サブファミリーAまたはB)の新鮮に調製した細菌培養およびヒト補体を有する96ウェルのマイクロタイターアッセイプレート中で混合した。アッセイプレートを軌道振盪機上に載せ、加湿インキュベーター(37℃/5%のCO
2)中で30分間混合した。続いて、生存細菌を数えるために、それぞれのウェルからのアッセイ反応のアリコートを96ウェルのフィルタープレートに移した。
【0279】
ワクチン接種に対する応答率を、hSBAに応答するそれぞれの投薬群(n=25匹)中のマウスの百分率として計算した。事前に決定した希釈レベルで試験した場合、T
30対照髄膜炎菌細菌の50%以上を死滅させるマウス血清試料が応答者とみなされる。T
30対照ウェルは細菌および補体を含有するが試験血清を含有せず、30分間のアッセイインキュベーションの終わりに計数する。
表12および表11
表13は、髄膜炎菌血清型B株のサブファミリーAおよびサブファミリーBの両方について、TRUMENBA(登録商標)またはMn五価のどちらかによって誘導された比較可能な用量依存的応答率を示す。予想通り、NIMENRIX(商標)はMn B株に対する機能的な免疫応答を誘導しなかった。
【0280】
【表12】
【0281】
【表13】
【実施例17】
【0282】
10以上26歳未満の健康な対象における二価rLP2086含有五価ワクチン(MenABCWY)の免疫原性、安全性、および許容性を説明するための研究(B1971057)
B1971057は、10以上26歳未満の健康な対象における五価の安全性および免疫原性を評価するための、第2相概念証明(POC)研究である。研究は2017年4月に開始し、約530人の対象が五価を受けた。
【0283】
髄膜炎菌ワクチンは、ワクチン中に含まれる血清型を表す髄膜炎菌株を死滅させる、免疫血清の能力を実証する、免疫学的代用であるヒト補体を使用した血清殺菌アッセイ(hSBA)によって認可されている。MenACWY応答には、それぞれの血清型からの1つの株をhSBAにおいて評価し、五価応答は認可ACWYワクチンMENVEOと比較した。MenB評価には、TRUMENBA認可研究中にも使用した4つの血清型B株を試験した。
【0284】
研究データにより、ACWY評価について五価が1回のワクチン接種後にMenveoに非劣性であり、また、B評価について五価が2回のワクチン接種後Trumenbaに非劣性であることが示された。
本調査の五価ワクチン
この研究のための治験薬は、二価rLP2086(TRUMENBA)、(五価、上記の実施例1および実施例4に記載)、MenACWY−CRM(MENVEO)、ならびにプラセボである。
研究設計
B1971057は、約1590人の対象を、五価とプラセボ(生理食塩水)またはTrumenba(Pfizer)とMenveo(GSK)のどちらかを受けるようにランダムに割り当てた、第3相の、ランダム化された、能動制御された、観察者盲検の、多施設治験である。すべての対象は、登録前に任意の髄膜炎菌B型ワクチンに対して未経験であった。ランダム化は、以前のワクチン接種経歴によって層別化し、約50%のACWY未経験対象および約50%のACWY経験済み(ランダム化の日の4年以上前に、1つまたは複数のACWY型を含有するワクチンの1回の以前の用量を受けたことがある)であった。米国でティーンエージャーの86%が約11歳でACWYワクチンの1回の用量を受け、16歳で追加免疫用量を受けるはずであるため、このACWY経験済み群を含めた。また、ランダム化は地理的地域によっても層別化した。約80%の対象が米国の調査場からであり、約20%の対象が欧州からであった。地域的層別化により、十分な集団表現が確実となった。研究は2段階で実施した。現在は完了している第1段階は、一次シリーズのワクチン接種相を含んでいた。第1段階の訪問スケジュールを以下の表14に注記する。第2段階では、免疫および五価の一次シリーズの完了の約4年後に投与した追加免疫用量の持続性を評価する。
【0285】
【表14】
【0286】
免疫応答の評価のために、機能的抗体をhSBAにおいて、髄膜炎菌A、B、C、W、およびY型の株を用いて分析した。hSBAは、標的髄膜炎菌株の補体依存性死滅をもたらす、ヒト血清中の抗体を測定する。Trumenbaおよび五価のB成分に対する免疫応答の評価には、4つの一次MnB試験株、すなわちPMB80(A22)、PMB2001(A56)、PMB2948(B24)、およびPMB2707(B44)を、本研究における免疫原性エンドポイントを決定するためのhSBAにおいて使用した。MENVEOおよび五価のACWY成分に対する免疫応答の評価には、ACWY型のそれぞれに特異的な試験株を同定し、試験開始前にhSBAにおいて定性した。MenBを評価するために使用した、妥当性確認されたアッセイは、TRUMENBAを認可するために使用したものと同じであった。
目的
本研究は、五価の安全性、許容性、および免疫原性を記載し、五価、または米国で認可された髄膜炎菌A、C、W−135、およびY型コンジュゲートワクチンであるTrumenbaおよびMenveoの投与後の、A、B、C、W、およびY型に対する免疫応答を記載するために設計した。Nimenrixは、米国で認可されていないため、ACWY比較物(comparator)として使用しなかった。
【0287】
五価のMenACWY成分の免疫原性は、1回の用量後にTrumenba+Menveoについて観察されたhSBA GMTと比較した場合の、単一用量後の五価のhSBA相乗平均力価(GMT)に基づいた。
【0288】
本発明者らは、この評価を、以前に1回の用量のMenACWYワクチンを受けていない個体(ACWY未経験個体)、およびその2回目のMenACYW追加免疫用量を受けるであろう個体(ACWY経験済み個体)について実施した。五価のMenACWY成分のPOC基準をACWY未経験個体が満たしている必要があった。
【0289】
五価のMenB成分の免疫原性の基準は、0、6カ月スケジュールについて確立された第3相のLCI基準を満たすことを予測する、0、6カ月スケジュールで投与した2回の用量の五価の後の、4倍の上昇の達成点の推定および複合hSBA応答に基づいた。
【0290】
研究の二次エンドポイントは、2.0倍マージンを有する2つのGMTの比の標準の非劣性評価および五価のB成分のパーセント応答者を含んだ。パーセント応答者の分析は、応答者を、一次MenB株についてhSBA力価の4倍以上の上昇およびワクチン接種2の1カ月後の複合応答を達成したものと定義し、その後、五価とTrumenbaとの差を計算することによって、実施した。成功に達成するためには10%を超えない差異が必要であった。
五価に対する免疫応答およびPOC免疫原性結果
以下において、研究B1971057は、五価およびMenveo間でMenACWYに対する殺菌性応答に関して、Menveoと比較して五価を受けた対象において、単一用量後に、ACWY成分について同様のhSBA GMTが観察されたことを示す。1.5倍のGMT比の非劣性(NI)マージンがACWY未経験対象(表15)で達成され、2.0倍のGMT比のNIマージンがACWY経験済み(表16)対象で達成された。
【0291】
【表15】
【0292】
【表16】
【0293】
Trumenbaは、事前に指定された下限の95%信頼区間(LCI)の閾値を満たした抗体価において4倍の上昇(および複合応答)を達成した対象の割合に基づいて認可された。4倍の抗体応答を評価する際、これらは、ワクチンに対して4倍応答を有する対象の割合に独立して影響を与え得る、集団におけるバックグラウンド力価によって影響を受ける場合がある。さらに、使用したhSBAアッセイは生物学的成分から構成されており、これらは、厳重に制御されているとはいえ、研究間で絶対的応答基準に影響を与え得る。認可のLCI閾値は、異なる集団で異なる補体源を使用して達成された点推定に基づいて計算したことを考慮して、本発明者らは、五価血清型Bの応答をTrumenba+Menveoアームからのものとも比較した。結果を表17に提供する。
【0294】
【表17】
【0295】
4つの血清型B試験株のうちの3つについて、SBAの4倍の上昇および複合応答は事前に指定された点推定を相当に上回った。1つの株、PMB80(A22)では、POC基準PE78.1%と比較して対象の75.8%が力価の4倍の上昇を達成した(Trumenba群では点推定(PE)は73.8であった)。しかし、上述のように、95%のLCI基準は、異なる集団で経時的な場合に制御がより困難である。このPOC研究用にLCIを作成するために使用した第2相研究では欧州集団が登録されており、A22のベースラインhSBA率が22.1%であった。五価のPEがTrumenbaのそれよりも高かったため、五価のMenB成分の免疫干渉は存在しなかったことが示唆された。この点を確認するために、二次エンドポイント分析により、2の非劣性分析においてTrumenba+Menveoが五価に非劣性であったことが示された。実際、これらは厳しい1.5GMR非劣性マージン(表18)および5%マージンでのパーセント応答者の分析(表19)を満たしていた。
【0296】
【表18】
【0297】
【表19】
【実施例18】
【0298】
髄膜炎菌血清型A、B、C、WおよびYを標的とする五価ワクチンの、米国における潜在的な公衆衛生への影響
目的:五価ワクチンを用いたワクチン接種スケジュールおよびコンプライアンス率の様々な仮定の下で、米国集団間のIMD症例のさらなる低下の潜在性を評価すること。
【0299】
ワクチン接種シナリオ
4つの一次ワクチン接種シナリオを分析し、現在の推奨およびコンプライアンスレベルで回避された症例の推定数(
図1)と比較した
1.16歳の年齢でのMenACWY/MenBワクチンを五価で置き換え、11歳の年齢でのMenACWYを保持する
2.11歳および16歳の年齢でのMenACWY/MenBワクチンを五価で置き換える
3.16歳の年齢でのMenACWY/MenBを五価で置き換え、11歳の年齢でMenACWYワクチン接種なし
4.11歳の年齢でのMenACWYを2回の用量の五価で置き換え、16歳の年齢でのMenACWY/MenBを1回の用量の五価で置き換える
IMDの減少の全体レベルに対する様々な推奨の影響を推定するために、スケジュールのそれぞれを用いたワクチン接種率を変動させた。疾患の減少の推定は、2018年に公開された米国における青年の免疫化率の推定に基づいた。
【0300】
− 86.6%が1回以上の用量のMenACWYを受けた
− 全青年の68.1%が1回以上の用量のHPVを受けた
− 50.8%が2回以上の用量のMenACWYを受けた
− 17.2%が1回以上の用量のMenBを受けた
− 16歳の年齢での2回用量のシリーズにおける2回目の用量のカバレッジは、1回目の用量3の50%であり、11歳の年齢で70%であったと仮定した。
結果
現在のカバレッジレベルおよび合計4回の注射を必要とするワクチン接種スケジュールでは、MenACWYおよびMenBワクチンは、仮説上のワクチン接種が全くない場合と比較して、10年間にわたって178件のIMD症例を回避させたと推定される。MenACWYまたは/およびMenBワクチン接種を五価で置き換えることで、少なくとも1回の注射が廃止される。16歳の年齢の免疫化率が現在のMenACWYワクチン接種率と同様のままであると仮定すると、五価ワクチンは同様またはより多数のIMD症例を回避したと推定された(
図3)。
【0301】
11歳の年齢で2回の用量の五価および16歳の年齢で1回の用量の五価(シナリオ10〜12)は、匹敵するカバレッジ率を有する他のワクチン接種スケジュールと比較して、最多の症例(282件まで)を防止することができた。
【0302】
11歳の年齢で1回の用量の五価および16歳の年齢で2回の用量の五価(シナリオ4〜6)は、251件までの症例を防止することができた。
16歳の年齢で、2回目の用量の五価のカバレッジは現在のMenBカバレッジ率よりもわずかに高いため、11歳の年齢で1回の用量のMenACWYワクチンおよび16歳の年齢で2回の用量の五価(シナリオ3)または16歳の年齢で2回の用量の五価(シナリオ8、
図1を参照)を用いて同様の数のIMD症例を防止することができる。
結論
ワクチン接種戦略の疾患への影響は、得られるカバレッジのレベルに直接関連する。
【0303】
1つまたは複数のMenACWYまたはMenBワクチンの用量を五価で置き換えることは、5つすべての髄膜炎菌血清型によって引き起こされたIMDをさらに減少させることができる、
青年のワクチン投与の回数を減らす、
ACIPの推奨とのコンプライアンスを潜在的に改善させ、医学的訪問および個々のIMD症例に対する公衆衛生応答の費用を減少させる。
【0304】
髄膜炎菌によって引き起こされた侵襲性髄膜炎菌性疾患(IMD)は、稀な、迅速に進行する、潜在的に致命的な感染症であり、最も高い発生率が乳児および青年の年齢層で観察される。血清型A、B、C、W、およびYが、全世界で疾患の94%を占める。米国では、ほとんどの疾患が血清型B、C、およびYによって引き起こされる。米国の2018年の調査データよると、IMDの発生率は100,000人の集団あたり0.10件の症例であった。米国の青年および若年成人の間(16〜23歳の間で症例の62%)およびすべての年齢層にわたって(症例の36%)も、血清型Bが主要であった。
【0305】
米国予防接種諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices、ACIP)は、健康な青年をIMDに対して保護することを助けるために、現在2種類の髄膜炎菌ワクチンを推奨している。四価髄膜炎菌血清型A、C、W、およびY(MenACWY)ワクチンは、11〜12歳の年齢での一次用量および16歳の年齢での追加免疫用量としてルーチン的に推奨されている。共有の臨床的意思決定に基づいて、髄膜炎菌血清型B(MenB)ワクチン接種は16〜23歳の年齢(16〜18歳が好ましい)の青年および若年成人に推奨されている。2018年には、13〜17歳の年齢の青年の推定MenACWYワクチン接種率は、1回以上の用量で86.6%であり、2回以上の用量で50.8%であった。対照的に、17歳の17.2%のみが1回以上の用量のMenBワクチンを受け、これらの個体の50%未満しか複数用量ワクチン接種シリーズを完了しなかった。これらのデータは、米国における多くの青年が髄膜炎菌性疾患に対して完全に保護されていないことを示唆している。
【0306】
異なるワクチン接種スケジュールを用いた2つの別々のMenBおよびMenACWYワクチンの代わりに、5つすべての血清型によって引き起こされる髄膜炎菌性疾患に対して保護することを助けることができる単一ワクチン(すなわちMenABCWY五価ワクチン)は、免疫化を単純化し、必要な注射の回数を減らし、ワクチン接種率を潜在的に改善させることができる。本発明者らは、五価MenABCWYワクチンを使用した様々な種類の髄膜炎菌免疫化プログラムの、公衆衛生への影響を評価するためのモデルを開発した。
2.0 方法
2.1 モデルの説明
米国において10年の期間にわたって回避されたIMD症例の予想数を推定するために、集団ベースの動的モデルを開発した。モデル構造は、他の箇所に既に完全に記載したものと類似している。集団を101個の単年の年齢帯へと層別化し、それぞれの年齢帯中の個体は、翌年は次の年齢帯に移行させた。髄膜炎菌の保菌が感染性疾患の伝染の主要な原因であり、モデル計算における主な考慮事項であった。髄膜炎菌の保菌および伝染は、集団を10個の相互排他的な年齢層(0〜5カ月齢、6〜12カ月齢、1歳、2〜4歳、5〜9歳、10〜14歳、15〜19歳、20〜24歳、25〜59歳、および60歳以上)へと層別化することによってモデリングした。それぞれの年齢層は、髄膜炎菌血清型A、B、C、W、およびYの保菌者であり、IMDを発生して細菌をその年齢層内でまたは他の年齢層へ伝染させる、年齢に特異的な確率を有していた個体の割合によって特徴づけた。それぞれの年について、10個の年齢層のそれぞれ中の髄膜炎菌保菌者の割合を以下に基づいて計算した:(1)前年の保菌有病率、(2)年齢層内および間での細菌伝染および混合パターン、(3)ワクチン接種した個体の数(ワクチン接種率)、ならびに(4)保菌獲得に対するワクチンの有効性。モデル内の10年間の計画対象期間のそれぞれの年の間に、4つの異なるスケジュールシナリオの下でMenACWY、MenB、および/またはMenABCWYワクチンを受ける、標的年齢層中の個体の割合を推定した。すべてのワクチン接種シナリオについて、モデルは、IMDを発生した個体は合併症ありもしくはなしで回復したか、または死亡したかを推定した。
2.2 モデルのインプット
それぞれの血清型について、平均年齢群ベースのIMD発生率を2015〜2017年の疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)強化髄膜炎菌性疾患調査報告から導き出した。MenABCWYワクチンは血清型A、B、C、W、およびYに対して直接保護を提供すると仮定された。
【0307】
1回または2回の用量のMenABCWYワクチンを受ける青年における、血清型Bに対するワクチンの有効性の仮定は、MenB−FHbpワクチン(Trumenba(登録商標)、二価rLP2086、Pfizer Inc、ペンシルベニア州Philadelphia)の公開された臨床研究に基づいた。本研究では、ワクチン接種の1カ月後に、ヒト補体を使用したアッセイ(hSBA)における血清殺菌活性の力価≧1:8(保護の標準相関は1:4以上である)を有する対象の百分率は、1回または2回の用量のMenB−FHbpの後にそれぞれ23.8%〜67.6%および69.1%〜100%の範囲であった。これらのデータに基づいて、血清型Bに対して30%および85%ワクチンの有効性の推定を、それぞれ1回または2回の用量のMenABCWYワクチンを受ける青年について仮定した。
【0308】
血清型A、C、W、およびYに対するワクチンの有効性の仮定は、ワクチン接種の1カ月後に、ウサギ補体を使用したアッセイ(rSBA)またはhSBAにおける血清殺菌活性の力価≧1:8を有する対象の百分率が、1回の用量のMenACWY−TT後に81.9%〜97.4%の範囲であった、MenACWY−TTワクチン(Nimenrix(登録商標)、Pfizer Ltd、英国Sandwich)の臨床研究からの公開された免疫原性および有効性のデータの再調査に基づいた。これらのデータに基づいて、血清型A、C、W、およびYに対して95%ワクチンの有効性の推定を仮定した。
【0309】
保菌有病率および伝染の低下が原因の、ワクチン接種していない個体の間接的保護は、血清型Bでは0%、血清型A、C、W、およびYでは36.2%と仮定し、どちらもMenBおよびMenACWYワクチンに関する公開文献から導き出した。
【0310】
示した血清型Bに対するMenABCWYワクチンについての5年期間の保護および固定10%の年間漸減率は、(1)以前の公開された保健経済モデル、および(2)MenB−FHbpワクチンによって誘発された免疫応答の持続性を評価した、青年における第3相拡張研究からの臨床データの考慮に基づいて仮定した。臨床研究からの結果により、応答率は一次ワクチン接種後にピークとなり、続く12カ月間にかけて減少し、その後、48カ月までベースラインを超えて安定に保たれたことが示された。一次ワクチン接種の48カ月後に、対象の18.0%〜61.3%が、保護の幅を評価するために使用した4つの多様な血清型B試験株にわたって定量下限以上(すなわち、株に応じて1:16または1:8)のhSBA力価を有していた。
【0311】
血清型A、C、W、およびYに対するMenABCWYワクチンの保護の評価には(表2)、5年期間の直接保護および10%の年間漸減率は、11〜55歳の年齢の青年および成人において、一次ワクチン接種後の10年間にわたって、MenACWY−TTによって誘発された免疫応答の持続性を評価した研究からの臨床データに基づいて、保守的な仮定であった。ワクチン接種の1カ月後の99.7%〜100%と比較して、10年目に、ワクチン接種した対象の70.2%〜90.7%が、血清型A、C、W、およびYにわたってrSBA力価≧1:8を有していた。現在、認可されたMenACWYワクチンの間接的保護の持続期間および漸減率に関するデータは利用可能でない。したがって、このモデルでは、MenACWYの漸減率がMenABCWYに等しいと仮定した。
2.3 ワクチン接種シナリオおよび感度分析
ワクチン接種シナリオは、米国における既存の青年の髄膜炎菌ワクチン接種プラットフォーム(すなわち、11歳および16歳)に基づいて構築した。4つの一次ワクチン接種スケジュールを調査し、現在のスケジュールと比較した:(1)11歳の年齢で1回の用量のMenACWYワクチンおよび16歳の年齢で2回の用量のMenABCWYワクチン、(2)11歳の年齢で1回の用量のMenABCWYワクチンおよび16歳の年齢で2回の用量のMenABCWYワクチン、(3)16歳の年齢で2回の用量のMenABCWYワクチンのみ、ならびに(4)11歳の年齢で2回の用量のMenABCWYワクチンおよび16歳の年齢で1回の用量。
【0312】
それぞれの一次スケジュールのワクチン接種率の仮定は、2018年の全国免疫化調査−ティーン(National Immunization Survey−Teen、NIS−Teen)に報告された、観察された青年ワクチン接種率、ワクチン接種年齢、および必要な用量の数から取得した。NIS−Teen調査で観察された傾向と一致して、11歳の年齢の青年のうちのワクチン接種率は16歳の年齢でよりも高く仮定され、11歳の年齢での2回用量のシリーズのコンプライアンス(すなわち、推奨投薬シリーズの完了)は、16歳の年齢での2回用量のシリーズのコンプライアンスよりも高いと仮定された。
【0313】
基本症例の分析には、11歳の年齢での1回目の用量のワクチン接種率は、2018年に報告されたMenACWYワクチンの一次用量の全体的カバレッジと同じであると仮定され(86.6%)、16歳の年齢での1回目の用量のワクチン接種率は、MenACWY追加免疫用量のカバレッジと同じと仮定された(50.8%)。これらのデータに基づいて、1回目の用量のMenABCWYを受けた11歳の年齢の青年の80%が2回用量のシリーズを完了するであろうと仮定された一方で、16歳の年齢での2回用量のシリーズのコンプライアンスは、MenBワクチンシリーズの完了に関する利用可能な情報に基づいて50%と仮定された。2018年に報告された16歳の年齢での青年ワクチン接種率のレベルを使用して4つの髄膜炎菌ワクチン投与スケジュールのそれぞれについて感度分析を行った。仮定された最も高いカバレッジは、11〜12歳の年齢での1回以上の用量のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(68.1%)のものと同じであり、仮定された最も低いカバレッジは、16歳の年齢での1回以上の用量のMenBワクチン(17.2%)のものと同じであった。一次投薬スケジュールおよびワクチン接種率の推定を考慮した後、合計13個の異なるシナリオを評価した。
3.0 結果
現在のワクチン接種スケジュールならびに2018年に報告されたワクチン接種率(MenACWY、11歳の年齢で86.6%および16歳の年齢で50.8%、MenB、16歳の年齢で17.2%)では、それぞれ2回の用量のMenACWYおよびMenBワクチンを用いたワクチン接種の、11〜16歳で合計4回の注射により、髄膜炎菌ワクチン接種なし(現在のシナリオ)と比較して、これから10年間にわたって165件のIMDの症例を潜在的に回避することができる。このシナリオの下、19件の血清型B症例(防止可能な全IMD症例の11.5%)がこれから10年間にわたって防止されると推定される。MenACWYおよび/またはMenBワクチンのどちらかを五価MenABCWYワクチンで置き換えることで、ワクチン接種スケジュールに応じて1回または2回の注射が廃止され、より多数のIMD症例が潜在的に回避される(シナリオ1、2、4、5、7、8、10、および11)。これは、16歳でのMenABCWYワクチン接種率が2018年のMenACWYワクチン接種率と同様に保たれる(50.8%、シナリオ1、4、7、および10)、またはおそらくは11〜12歳の年齢で観察されるわずかにより高いHPVワクチン接種率まで上昇する(68.1%、シナリオ2、5、8、および11)ことを仮定した場合のものである。
【0314】
しかし、16歳の年齢でのMenABCWYワクチン接種率が、現在の16歳の年齢での2回の用量のMenBワクチン接種スケジュール(17.2%)と同じであると仮定すると、11歳の年齢で1回の用量および16歳の年齢で2回の用量のMenABCWYレジメン(すなわち、現在のスケジュールと同様)は、現在のワクチン接種スケジュールと比較してより少ないIMD症例(n=137人)を防止するであろう(
図2、シナリオ6)。これらの結果は、16歳の年齢で現在報告されているよりも低いMenACWYワクチン接種率の仮定によって主に駆動されており、現在のスケジュールと比較してより低い血清型A、C、W、およびYの回避された症例の推定数(n=89人、65.0%)をもたらす。
3.1 基本症例ワクチン接種率の仮定
すべての基本症例ワクチン接種シナリオ(シナリオ1、4、7、および10)において、MenABCWYワクチン接種率が、11歳の年齢(86.6%)または16歳の年齢(50.8%)でのMenACWYワクチンの現在のカバレッジと同じであると仮定すると、MenACWYおよび/またはMenBワクチンのどちらかを五価MenABCWYワクチンで置き換えることで、現在のスケジュールよりも多数のIMD症例が回避されるであろう(範囲、189〜256件の回避されたIMD症例、スケジュールに応じる)。現在のワクチン接種スケジュールと比較した、より多数の回避された全IMD症例は、より多数の防止された血清型B症例(範囲、55〜111件の血清型B症例)によって主に駆動されている。評価したすべての基本症例ワクチン接種シナリオのうち、疾患の防止は、11歳の年齢で2回の用量のMenABCWYワクチンおよび16歳の年齢で1回の用量を投与することによって最大となるであろう(シナリオ10、256件の回避された症例[111件の血清型B、146件の血清型A、C、W、およびY])。
3.2 代替ワクチン接種率に基づいた感度分析
16歳の年齢でのMenABCWYワクチン接種率が、11〜12歳でのHPVワクチンで観察されるレベル(68.1%)まで上昇した場合、髄膜炎菌性疾患の防止に対する最大の影響は、11歳で2回の用量のMenABCWYワクチンおよび16歳の年齢で1回の用量によって提供されるであろう(シナリオ11、299件の回避された全症例)。また、このスケジュールは、10年期間にわたって防止可能な全症例の中で最大数および百分率の血清型B症例を防止するであろう(140件の回避された血清型Bの症例[46.8%])。次善のレジメンは、11歳で1回の用量のMenABCWYワクチンおよび16歳の年齢で2回の用量のMenABCWYワクチンであった(シナリオ5、263件の回避された症例、103件の血清型B、159件の血清型A、C、W、およびY)。さらに、現在推奨されている11歳の年齢でMenACWYの用量を含めても、含めなくても、同様の数の症例が回避されるであろう(シナリオ2[234件の回避された症例、74件の血清型B、159件の血清型A、C、W、およびY]ならびに8[220件の回避された症例、74件の血清型B、146件の血清型A、C、W、およびY])。対照的に、MenABCWYワクチン接種率が、現在の16歳の年齢での2回の用量のMenBワクチン接種スケジュール(1回以上の用量で17.2%)と同じであると仮定したレジメンは、より少ない回避された血清型Bの症例(シナリオ3、6、9、および12)が主に原因で、はるかに少ない推定IMD防止症例をもたらした。このワクチン接種率の仮定の下、最も少ない数の全IMD防止症例は、16歳の年齢で2回のMenABCWYワクチンのレジメンによるものとなるであろう(シナリオ9、93件の回避された全症例[19件の血清型B、74件の血清型A、C、W、およびY])。
4.0 考察
本発明者らが知る限り、これは、米国の青年髄膜炎菌免疫化プラットフォームのコンテキストにおいて、5つの最も普及している疾患を引き起こす血清型(すなわち、血清型A、B、C、W、およびY)によって引き起こされる髄膜炎菌性疾患に対して保護する、五価MenABCWYワクチンの影響をモデリングする、最初の研究である。世界規模では、これら5つの血清型の様々な組合せを標的とする、様々な一価、二価、または四価の髄膜炎菌ワクチン配合物を使用して、髄膜炎菌性疾患に対して保護することを助ける。いくつかの国では、継続中の調査の努力により、循環している疾患を引き起こす髄膜炎菌血清型の変化が検出されている。これらの疫学的シフトは、IMDに対する包括的な保護のためにMenACWYワクチンを含めるよう、一部の国家的なワクチン接種戦略の変化を促した。MenABCWYワクチンを配備することにより、世界中でこれらの5つの血清型によって引き起こされたと推定されるIMD症例の94%に対して潜在的に保護されるであろう。
【0315】
米国では、青年のMenACWYワクチン接種が2005年から推奨されており、MenBワクチン接種の推奨が2015年に発行された。単一の五価MenABCWYワクチンが、2つの異なるワクチンを異なる年齢で使用する複数回の注射の必要性を廃止することによって、免疫化スケジュールを単純化することができ、ワクチン接種率を潜在的に改善させ、ほとんどの普及している疾患を引き起こす血清型に対する保護を増強させる。米国におけるMenACWYおよびMenBワクチンの現在のスケジュールおよびワクチン接種率に基づいて、本発明者らのモデルは、MenACWYおよびMenBワクチンをどちらも用いたワクチン接種が、ワクチン接種なしと比較して、10年間にわたって165件のIMDの症例を潜在的に回避できると推定する。MenABCWYワクチン接種率が、2018年のCDC NIS−Teen調査で留意された現在のMenACWYワクチン接種率と同様であると仮定すると、本発明者らのモデルは、1つまたは複数のMenACWYまたはMenBワクチンの用量をMenABCWYワクチンで置き換えることで、米国の青年の間で256件もの回避されたIMD症例がもたらされる一方で、同時に推奨ワクチン注射回数が減ると推定する。実際、本研究において調査したシナリオのほとんどは、現在のスケジュールと比較して、より多数の回避された症例に関する単一のMenABCWYワクチンの付加利点を実証している。
【0316】
免疫化が典型的に起こる防止的な健康訪問の割合が16歳より後に着々と減少することが部分的な原因で青年の免疫化送達は困難であり、また、小児科医から、青年の免疫化への関与が典型的により少ない医療提供者への移行と組み合わせた場合に、この年齢群における疾患に対する最適以下の保護に寄与し得る。MenABCWYワクチン接種のための年齢ベースのプラットフォームが、青年が複数用量のレジメンを受けてそれに応じ、注射および訪問の回数を減らす可能性がより高い年齢でのワクチン投与を可能にすることによって、青年の免疫化を支援および触媒するであろう。重要なことに、MenACWYコンジュゲートワクチンおよび組換えタンパク質MenBワクチンを用いた青年の免疫化はどちらも、一次ワクチン接種後に保護的免疫応答を誘発し、追加免疫用量後に頑強な応答を誘発する。これらのデータは一緒になって、既存の米国青年のMenACWYおよびMenB免疫化プラットフォームを支援するだけでなく、青年がワクチン接種シリーズを11から16歳の間のどこかの年齢で開始し、最も高いリスクの期間の間中保護を維持することができる、柔軟なMenABCWYワクチン接種スケジュールの支援もする。
【0317】
研究により、社会経済状況、教育、および人種も、ワクチン接種の認識、アクセス、および利用、ならびにシリーズ完了率において役割を果たすことが示されている。したがって、MenABCWYワクチンは、髄膜炎菌ワクチン接種の推奨を単純化し、それによってワクチンのアクセスの問題を減らし、既存のMenBおよびMenACWYワクチンの推奨を取り囲む混乱を排除することによって、これらの格差を減らすことを助けることができる。さらに、組合せワクチンは、一般に、様々な年齢層においてワクチン接種率を改善させることが示されている。
【実施例19】
【0318】
TRUMENBAに対するヒト免疫応答の幅:hSBAにおいて感受性であるMenB株によって発現されるfHBP変異体の要約
導入および目的:TRUMENBA(二価rLP2086)、髄膜炎菌血清型B(MenB)疾患を防止するためのワクチンは、2つのタンパク質抗原、髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)の変異体を含む。fHBPは2つのサブファミリー、AおよびBとして存在する。それぞれのサブファミリー内では、数百個のユニークなfHBP変異体が同定されている。この配列多様性にもかかわらず、それぞれのサブファミリーから1つのタンパク質を含有するワクチンが、MenB株にわたって幅広いカバレッジを誘導することが実証され、これはfHBP変異体の多様性を表す。認可は、ヒト補体を使用した血清殺菌アッセイ(hSBA)において侵襲性MenB株の補体媒介性死滅を開始させる抗体を誘発する、ワクチンの能力に基づいた。髄膜炎菌性疾患の風土性の性質が原因で、個体がどのfHBP変異体に暴露され得るかを予測することはできない。そのため、TRUMENBAによって与えられたカバレッジを調査し続け、免疫カバレッジの幅を例示するさらなる証拠を本明細書中に提示する。
【0319】
材料および方法:MenB侵襲性株(n=109個)を選択して、TRUMENBAのカバレッジ幅を確認した。株は、それぞれ22および16個のユニークなサブファミリーAおよびサブファミリーB fHBP変異体をコードしていた。細菌表面でのfHBPの発現は、フローサイトメトリー髄膜炎菌抗原表面発現(MEningococcal Antigen SURface Expression、MEASURE)アッセイを使用して決定した。調査用hSBAは、若年成人からのワクチン接種前および後の血清(対象を整合した)を使用して行った。ワクチン接種前および後の血清試料の間でhSBA力価の4倍の上昇が達成された場合に、株はTRUMENBA免疫血清に対して感受性であるとみなした。
【0320】
結果:109個の株のうち、87個(ほぼ80%)がhSBAにおいてTRUMENBA免疫血清に対して感受性であった。これには、以前に報告された変異体に加えて、fHBP変異体A02、A28、A42、A63、A76、B05、B07、B08、B13、B52、およびB107を発現する株が含まれていた。死滅させることができなかった株の大多数は、hSBAにおいて殺菌死滅を開始させるために十分とみなされるレベル未満のfHBP発現レベルを有していた。
図3、表1、表2、および表3を参照されたい。
【0321】
【表20】
【0322】
表21
hSBAにおいてTRUMENBA免疫血清で死滅したMenB株によって発現されたfHBP変異体
(A05(配列番号1)およびB01(配列番号2)との%アミノ酸配列同一性)
【0323】
【表21】
【0324】
表22
1000MFI未満であり、hSBAにおいてTRUMENBA免疫血清で死滅しなかった株によって発現されたfHBP変異体
*(ワクチン抗原A05(配列番号1)およびB01(配列番号2)との%アミノ酸配列同一性)
【0325】
【表22】
【0326】
結論:hSBAは髄膜炎菌ワクチンの有効性の代用として認識されている。アッセイの複雑さが、数百個のユニークなfHBP配列変異体のそれぞれを発現するMenB株に対するTRUMENBA免疫血清の殺菌活性の実証を妨げている。TRUMENBAによって与えられた免疫カバレッジの幅を例示するために、本発明者らは、さらなる多様なfHBP変異体を発現するMenB株が、ワクチン抗原に非相同的であるにもかかわらず、hSBAにおいて死滅させられる場合があることを示す。
【実施例20】
【0327】
二価FHbp髄膜炎菌Bワクチンの幅広いカバレッジを評価するための、多様な株の選択
髄膜炎菌の伝染は、通常、上気道の無症候性コロニー形成をもたらすが、一部の個体においては、菌血症および侵襲性髄膜炎菌性疾患(IMD)が発生する。IMDは、一般的に髄膜炎および/または敗血症として提示され、肺炎、敗血症性関節炎、咽頭蓋炎、および中耳炎がより低い頻度で観察される。高い致死率がIMD(10%〜15%)と関連しており、生存者の約20%が、肢の切断、聴覚損失、および神経性機能障害などの重篤な生涯の続発症を有する。
【0328】
世界中でほぼすべての髄膜炎菌性疾患が12個の特徴づけられた髄膜炎菌血清型のうちの6個(すなわち、A、B、C、W、X、およびY)によって引き起こされている。莢膜多糖に基づく有効なワクチンが血清型A、C、W、およびYについて開発されている。しかし、ヒト神経細胞上に存在するポリシアル酸構造との類似度が原因で、MenB多糖の免疫原性は乏しい。近年、特に髄膜炎菌血清型B(MenB)が、欧州、米国、カナダ、オーストラリア、およびニュージーランドにおけるIMDの大部分と関連付けられている。外膜小胞(OMV)に基づくワクチンは、単一のMenB大発生株によって引き起こされた流行を制御するための使用が成功したが、生じた免疫応答は主に高度に可変性のポリンAタンパク質(PorA)に対するものである。したがって、有効性は一般に標的株に限定される。その結果、多様なMenB株にわたって保護的殺菌性抗体を誘導することができる、表面が露出したタンパク質が、幅広く有効なMenBワクチンの開発のために探求されている。
【0329】
MenBのほぼすべての株上で発現される、保存的な表面が露出したリポタンパク質である、H因子結合タンパク質(FHbp、LP2086およびGNA1870としても知られる)が、そのような標的として同定された。アミノ酸配列に基づいて、FHbp変異体は2つの免疫学的に別個のサブファミリー(サブファミリーAおよびサブファミリーBと呼ぶ)へと分離され、それぞれのMenB株は単一のサブファミリー変異体を発現する(
図1Aを参照)。
【0330】
MenB−FHbp(TRUMENBA(登録商標)、二価rLP2086、Pfizer Inc、米国ペンシルベニア州Philadelphia)は、一方はサブファミリーA(変異体A05)からで他方はサブファミリーB(変異体B01)からの、等量の2つの組換え脂質付加FHbp抗原から構成される、二価の組換えタンパク質MenBワクチンである。重要なことに、このFHbp変異体の組合せが、多様なMenB株に対して保護を提供できることが予測されている。MenB−FHbpは、米国、カナダ、欧州、およびオーストラリアを含めたいくつかの国および地域において、IMDの防止について認可されている。別のMenBワクチン、MenB−4C(Bexsero(登録商標)、4CMenB、GlaxoSmithKline Vaccines,Srl、イタリア、シエナ)は、組換えFHbp成分(サブファミリーBからの非脂質付加変異体1.1)ならびに2つの他の組換えタンパク質抗原およびOMVも有する。したがって、MenB−4Cは、単一の抗原の2つの変異体を含有して幅広いカバレッジを与えるMenB−FHbpとは異なる。
【0331】
ヒト補体を使用した血清殺菌アッセイ(hSBA)は、補体依存性、抗体媒介性の、髄膜炎菌細菌の溶解を測定する。hSBA力価とは、アッセイ細菌の50%以上を死滅させる、最も高い血清の希釈率として定義される。hSBA力価≧1:4が髄膜炎菌性疾患に対する許容される保護の相関であり、この相関に基づいたhSBA応答率が髄膜炎菌ワクチンの有効性の代用して使用されている。SBA応答率は、血清型CおよびA多糖ワクチンの天然の保護と具体的に相関されている。血清型に特異的な多糖は可変性ではないため、それぞれの血清型からの単一の株が、幅広いワクチン接種率を推論するために十分であった。また、MenB OMVワクチンも有効であり、ワクチンに誘発されたhSBA力価は、流行を引き起こす標的株に対する保護と相関した。タンパク質配列の多様性および発現レベルのばらつきが異なる髄膜炎菌性疾患株間で異なることを考慮すると、タンパク質に基づくワクチンの株カバレッジを正確に予測することは、莢膜多糖を標的とするワクチンについてよりも、hSBAを使用してより複雑である。たとえば、(PorAは血清殺菌抗体の主要な標的であり、OMVワクチンの免疫化後に保護を与える。PorAは、小さな細胞表面の露出した領域が高い度合の配列多様性を有する、細胞表面ポリンである。米国において散発性のMenB疾患を引き起こす株の約80%に対して保護するために、20個の異なるPorA血清亜型を発現する株で保護的免疫を実証する必要があるであろうことが推定される。歴史的に、OMVワクチンは1つのPorAを含有しており、ワクチン抗原と比較してアミノ酸配列が非相同的であるPorA配列を有する株に対する保護が実証されていない。したがって、ワクチンに誘発された抗体が髄膜炎菌性疾患株に対して有効となることができることを実証するための、代表的な試験株の選択は、タンパク質に基づくワクチンにおいて最も重要である。
【0332】
前臨床および初期臨床研究においてMenB−FHbpによって誘発された免疫血清は、ワクチンFHbp変異体A05およびB01に非相同的なFHbpサブファミリーAおよびB変異体を含有する多様なMenB株を死滅させることができる、幅広い殺菌性抗体を実証した。MenB−FHbpカバレッジの潜在的な幅の初期評価では、多様なFHbp変異体、地理的起源、および遺伝的背景を有する100個のMenB分離株を、MenB−FHbp免疫ウサギ血清を使用したhSBAにおいて試験した。試験した100個の株のうち、87個がこれらのhSBA中で死滅した。死滅しなかった13個の株の分析により、所定のMenB株上での閾値FHbp表面発現レベルがhSBA応答に影響を与えたことが示唆された。続いて、それを超えると分離株がhSBAにおいて死滅すると予測される、閾値FHbp表面発現レベルを決定した。株の感受性を決定する潜在的な要因の追加の調査により、死滅が、FHbp配列変異体、多座配列型、またはPorA亜型とは大きく独立していたことが見出された。
【0333】
臨床試験のために幅広い抗原性および疫学的多様性を有する株を選択するために、1200個を超える侵襲性MenB疾患分離株を米国および欧州の研究室および衛生機関から収集して、収集時の同時期に存在したMenB分離株の有病率を表した。すべての株がFHbp遺伝子を含有していた。MenB−FHbp免疫原性研究において使用するために、不偏手法を使用して4つの抗原的および疫学的に多様な代表的な試験株を選択した。選択基準は、ワクチン抗原に非相同的であり、MenB疾患分離株におけるFHbpの多様性を十分に反映するFHbp変異体の発現、低から中程度のFHbp表面発現レベル、ならびに低ベースラインのhSBA血清陽性率を含んだ。これら4つの一次MenB試験株は、両方のFHbpサブファミリーからのFHbp変異体を発現する(株[変異体]:PMB2001[A22]、PMB80[A56]、PMB2707[B24]、およびPMB2948[B44]、
図1Aを参照)。
【0334】
4つの一次MenB試験株を使用して作成された免疫原性データを補い、4つの一次MenB試験株に対する免疫応答がMenB疾患を引き起こす分離株によって発現されたFHbp変異体の多様性に対する免疫応答の予測的なものであることを実証するために、10個の追加の試験株を使用したhSBAを開発した。10個の追加の試験株は、米国および欧州においてMenB疾患を引き起こす株中に見つかる、普及しているFHbp変異体を含むように選択した。ここでは、本発明者らは(i)10個の追加の試験株を選択するために使用した戦略および基準を説明し、(ii)4つの一次MenB株を使用してhSBAによって測定した免疫応答が、10個の追加の試験株を使用して得られた反応の予測的なものであることを実証し、MenB−FHbpによって誘発された免疫応答の幅広いカバレッジをさらに実証および支援するデータを提示する。
結果
追加のMenB試験株の供給源および選択基準
10個の追加のMenB試験株のうちの9個は、1263個の侵襲性疾患を引き起こすMenB株のコレクション(MenB単離体コレクション)から得た。MenB単離体コレクションには、米国株は、集団の約13%をカバーするアクティブ細菌コア調査(Active Bacterial Core Surveillance)サイト(2000〜2005年)からのものであった。欧州分離株(2001〜2006年)は、ノルウェー、フランス、チェコ共和国の公衆衛生研究所、ならびにマンチェスター健康保護局(イングランド、ウェールズ、および北アイルランドがカバーされる)からのものであり、系統的に収集し(国の参照研究所で受け取った順番に7個ごとまたは8個ごとの単離体を含めた)、期間中の侵襲性MenB分離株の約13%を表していた。FHbp変異体A07を発現する株は、スペインおよびドイツからのさらに551個の疾患を引き起こすMenB株が含まれるMenB単離体コレクションの拡張から得た(n=1814個)。MenB単離体コレクション中のA07発現株として使用した拡張MenB単離体コレクションは、これらの株上でのFHbpの低い表面発現、高いベースライン血清陽性、および補体の容易に利用可能な供給源の欠如が理由で適切でなかった。
【0335】
追加のMenB試験株を選択するために使用した基準は、(i)米国および/または欧州においてMenB疾患を引き起こす株間のFHbp変異体有病率、(ii)MenB一次試験株によって発現されるものと異なるために必要なFHbp変異体、(iii)株が、それが属する変異体群の代表的なものであることを確実にするために、それぞれのFHbp変異体群の中央値レベル以下のin vitro FHbp発現レベル、(iv)hSBAにおける技術的適合性、ならびに(v)変異体群の主要なクローン複合体としてみなされること(主要な複合体が存在する場合)である。これらの基準を満たす株は、適切なヒト補体ロットが十分に利用可能であることを含めて、hSBAと技術的に適合性があることも必要である(
図2)。カットオフレベル未満(すなわち、それぞれのFHbp変異体群の中央値レベル以下)の発現レベルを有するそれぞれのFHbp変異体群中の株をランダムに選択し、必要な遺伝的、表現型、およびhSBA開発の基準を満たすFHbp変異体群内の最初の株が追加のMenB試験株となる。この方法の例外を、第2相研究におけるその以前の使用に基づいて、US FDAと協力し、かつ提供された指針を使用して選択したFHbp変異体B03を発現する株に対して行った。
追加のMenB試験株の特徴
10個の追加の選択されたMenB試験株は、4つの一次試験株(A22、A56、B24、B44)中のものとは異なり、ワクチン抗原と比較して異なる配列を有する、FHbp変異体A06、A07、A12、A15、A19、A29、B03、B09、B15、およびB16を発現する(表23)。4つの一次試験株によって発現された特定の変異体は、MenB単離体コレクション中の疾患を引き起こす分離株の42.0%(530/1263個)に存在し、10個の追加の試験株によって発現された特定の変異体は、MenB単離体コレクション中の疾患を引き起こす分離株の追加の重複しない38.8%(490/1263個)に存在する(
図1B)。
【0336】
【表23】
【0337】
免疫原性分析:10個の追加の株についてhSBA力価≧LLOQを有する対象
4つの一次株を使用して、青年および若年成人における2つの中心的な第3相研究に参加している対象において、2または3回の用量のMenB−FHbp後の血清学的応答を評価した。10個の追加のhSBA株に対する血清学的応答を研究対象の部分群で評価した。大多数の対象が、用量2の1カ月後および用量3の1カ月後に、一次(それぞれ64.0%〜99.1%および87.1%〜99.5%)ならびに10個の追加のMenB試験株(それぞれ51.6%〜100.0%および71.3%〜99.3%)のそれぞれについて、hSBA≧定量下限(LLOQ、すなわち、株に応じてhSBA力価が1:8または1:16に等しい)を有していた(表24)。一次および追加のMenB試験株では、hSBA力価≧LLOQを達成する対象の割合の、ベースラインからの実質的な増加がMenB−FHbpレシピエント(0、2、6カ月スケジュール)で、2回目のMenB−FHbp用量の後に観察され、3回目の用量の後にさらなる増加が観察された。
【0338】
【表24-1】
【0339】
【表24-2】
【0340】
一次および追加の株の陽性予測値
一次MenB試験株と10個の追加のMenB試験株との間の、ワクチン誘導性hSBA応答の関係性を評価した(表25)。FHbpサブファミリー内で、陽性予測値(PPV)は、用量3の1カ月後にほとんどの一次/追加の株の対で80%を超えていた。したがって、一次試験株を使用してhSBAで測定した免疫応答は、同じサブファミリー内の追加の株の免疫応答の高度に予測的なものであった。用量2の1カ月後のPPVは、通常は用量3の1カ月後に観察されたものよりもわずかに低く、研究にわたって、サブファミリーAおよびB株の対でそれぞれ61.6%〜100%および70.0%〜100%の範囲であった。要約すると、一次および追加の株のhSBA応答と比較して、すべてのPPVが保護的応答について高い予測可能性を示した。
【0341】
【表25-1】
【0342】
【表25-2】
【0343】
考察
保護の幅を決定するためのMenB−FHbpワクチンの臨床評価の重大な構成成分は、配列および発現のばらつきが、収集時の同時期に存在したMenB疾患を引き起こす株の多様性の代表的なものである、表面タンパク質抗原を有する試験株を使用したhSBAの開発であった。青年および若年成人における第3相研究に記載のように、すべてワクチン抗原に非相同的なFHbp変異体を発現する4つの一次MenB試験株のhSBA応答データは、二価のMenB−FHbpワクチンが、多様な疾患を引き起こす髄膜炎菌株にわたって幅広いカバレッジを提供することを強く示唆している。本明細書中に記載の10個の追加のMenB試験株は、MenB−FHbpの支援的な免疫学的データを提供し、MenB−FHbpに対する免疫応答を測定するための4つの一次試験株の使用の妥当性をさらに確認する。4つの一次試験株について得られた応答が、追加の10個の試験株について得られた応答の予測的なものであるため、一次株をhSBAにおいて評価することによって得られた免疫学的応答は、侵襲性MenB疾患を引き起こす株の多様性の代表的なものである。
【0344】
MenB−FHbpの認可研究における仮説試験駆動の免疫原性評価では、不偏手法を使用して、米国および欧州で収集した疾患を引き起こすMenBのパネルから4つの一次MenB試験株を選択した。試験株がMenB分離株の抗原多様性の代表的なものであることを確実にするために特定の選択基準を考慮して、同様の方法を使用して10個の追加のMenB hSBA試験株を選択した。合わせると、14個のMenB試験株が普及している髄膜炎菌FHbpの大多数を表し、FHbp変異体は、米国および欧州において循環中の侵襲性疾患を引き起こす分離株の約80%に対応する。
【0345】
陽性予測値の分析を使用して、同じサブファミリー内のFHbpを発現する一次および追加の試験株間の、hSBAによって測定した免疫応答の関連を決定した。すべてのPPV分析が、追加の株に対して観察された保護的応答についての、一次株に対する保護的応答の高い予測可能性を示した。これらのPPV分析は、4つの一次MenB試験株に対して観察された応答が、ワクチン抗原変異体とは異なる、追加の配列が多様なFHbp変異体を発現する、他の疾患を引き起こすMenB株に対する応答の代表的なものであることを示す。
【0346】
4つの一次および10個の追加のMenB試験株に対する、hSBAによって測定したMenB−FHbpに誘発された応答を、個々のワクチンレシピエントからの血清を使用して評価した。機能的殺菌性抗体を有する、ワクチン接種した対象の割合を決定することによって、個々のレベルでのMenB−FHbpカバレッジの幅の評価が決定され、これは、プールした血清では可能ではない。4つの一次MenB試験株は、MenB疾患を引き起こすIMDの多様性を表すように選択し、したがって、hSBAを使用したMenB−FHbpのカバレッジの潜在的な幅を支援する。hSBA力価≧1:4を有する個体の応答が許容される保護の相関であり、髄膜炎菌ワクチンの有効性の代用である。したがって、応答は、ワクチン接種率の幅の包括的かつ生物学的に予測的な評価を提供する。4つの一次MenB試験株に対するhSBA応答の、ワクチン接種率の幅を説明する関連性は、欧州および米国からの多様かつ同時期に存在するMenB大発生株に対して、ならびにMenB疾患を引き起こさない株(すなわち、髄膜炎菌血清型C、Y、W、およびX)に対しても観察される、MenB−FHbpによる保護的殺菌性応答の実証によって支援される。
【0347】
別の方法である酵素結合免疫吸着アッセイに基づく髄膜炎菌抗原タイピングシステム(MATS)は、MenB−4Cのワクチン接種率を予測するために使用されている。しかし、MATSはMenB−4Cに特異的な抗原のカバレッジのみを予測し、異なる抗原組成を有する他のワクチンのカバレッジの評価には有用でない。具体的には、MATSは殺菌活性ではなく抗原発現を測定し、それぞれの抗原の参照株と比較した相対効力として報告される。構成成分抗原のうちの任意の1つの相対効力がMenB−4C免疫血清の殺菌活性と釣り合っている場合に(すなわち、陽性の殺菌閾値を達成する)、株は死滅に対して感受性であるとみなされる。しかし、ワクチン接種した個体からの血清をMATSで使用しないため、アッセイでは免疫化に応答してhSBA力価≧1:4(すなわち保護の相関)を達成する集団の割合を予測することができない。
【0348】
注目すべきは、hSBAを行うことに制限が存在することである。たとえば、hSBAは労働集約的であり、特により多数の株および/または血清を評価する場合に、大量の血清およびアッセイに適合性がある補体を必要とする場合がある。さらに、hSBAにおいて使用するアッセイ試薬および株の性能の研究室間の相違が、ワクチン間の応答の比較およびカバレッジ幅の評価を制限する。PPV分析の知られている制限は、有病率に対する応答の程度の依存性である(すなわち、この設定では、追加の株についてhSBA≧LLOQを達成する対象の割合)。しかし、この分析では、追加の株に対して一定範囲のワクチン接種後応答が存在したが(用量2および用量3の1カ月後)、PPVは均一に高かったことが注目すべきである。
【0349】
まとめると、10個の追加のMenB hSBA試験株から得られた免疫原性データは4つの一次MenB hSBA試験株から得られた応答データを支援しており、MenB−FHbpによって与えられたMenB分離株の幅広いカバレッジを確認している。これは、MenB株の疫学を使用して、ワクチン抗原の配列および発現に関して、認識されている保護の代用(hSBA)と併せて、MenBワクチンの誘発された免疫応答の厳密な評価を応用した、最初の研究であり、この知識を使用して、ワクチン認可がもたらされた。
方法
FHbp表面発現の定量
すべての株について、FHbp表面発現を、両方のFHbpサブファミリーに共通した保存的なFHbpエピトープのモノクローナル抗体(MN86−994−11)認識を使用したフローサイトメトリーアッセイである、MEASUREアッセイによって定量した。MEASUREアッセイの詳細は既に記載した。それぞれのFHbp変異体群について採用したカットオフレベルは、25.2%の相対標準偏差の精度推定を使用して、観察された中央値平均蛍光強度+1標準偏差であった。
免疫原性分析
10個の追加のMenB試験株のそれぞれを、MenB−FHbpの2つの中心的な第3相研究に参加する対象からの試験血清に対するhSBAにおいて使用した。それぞれの研究からの合計900人の対象を3つの部分組に分割し(それぞれn=300人)、10個の追加の試験株をこれらの部分組にわたって割り当てて、2つの部分組にそれぞれ3つの試験株が含まれ、1つの部分組に4つの試験株が含まれるようにした。それぞれの研究から150個以上の評価可能なhSBA結果が得られることを確実にするために、部分組には300人の対象からの試料を含めた。第3相臨床研究血清を使用してhSBAによって測定した免疫応答は、株に応じて1:8または1:16に等しいhSBA力価であったアッセイLLOQに基づいた。
陽性予測値分析
FHbpサブファミリー内のそれぞれの一次/追加の株の対のPPVは、一次株応答者(一次株についてhSBA力価≧LLOQ)の合計数の中で追加の株に応答する対象の割合(追加の株についてhSBA力価≧LLOQ)として定義した。PPV分析は、4つの一次株に対する観察されたhSBA応答が、同じサブファミリーからのFHbpを発現する追加の株に対する免疫応答を予測したかどうかを評価した。
【実施例21】
【0350】
五価髄膜炎菌(MenABCWY)ワクチンは安全かつ良好に耐用され、健康な青年および若年成人の第2相研究において、共投与したMenB−FHbpおよびMenACWY−CRMに劣らない免疫原性を有する
背景:髄膜炎菌血清型A、B、C、WおよびYが、世界中でほぼすべての髄膜炎菌性疾患を引き起こしている。ワクチン接種は血清型B(MenB)および四価(MenACWY)ワクチンの異なる投薬推奨によって複雑になっており、これは単一の五価ワクチンによって解決することができる。青年および若年成人における本研究では、2つの認可ワクチン、MenB−FHbp(TRUMENBA(登録商標)、二価rLP2086)およびMenACWY−TT(NIMENRIX(登録商標))を単一のワクチンへと合わせる新しい五価MenABCWYワクチンを評価した。
【0351】
方法:この進行中の、ランダム化された、制御された、観察者盲検の、多施設研究(NCT03135834)では、MenBワクチン未経験およびMenACWY未経験または経験済みの健康な10〜25歳を、1:2でMenABCWY(0、6カ月)またはMenB−FHbp(0、6カ月)およびMenACWY−CRM(0カ月)へとランダム化した。免疫応答は、血清型A、C、W、およびY株ならびに4つの多様なワクチン非相同的MenB株に対する、ヒト補体を用いた血清殺菌活性アッセイ(hSBA)によって測定した。エンドポイントは、ベースラインから力価の4倍以上の上昇を達成する対象の百分率を含んだ。免疫応答の非劣性は10%のマージン(95%のCI下限>−10%)で先験的に評価した。安全性を評価した。
【0352】
結果:用量2に続いて、高い百分率のMenABCWY(n=543人)およびMenB−FHbp(n=1057人)のレシピエントが4つのMenB株のそれぞれに対して4倍以上の上昇(75.8〜94.7%対67.4〜95.0%)、4つの株すべての合計に対して少なくとも定量下限の力価(79.9%対74.3%、
図1A)を達成した。MenABCWYは、5つすべてのエンドポイントについてMenB−FHbpに非劣性であった。また、MenABCWYは単一のMenACWY−CRM用量にも非劣性であり、以前のMenACWY経験に応じて、それぞれ用量1または2の後にMenABCWYレシピエントの75.5〜96.9%および93.0〜97.4%が、血清型A、C、W、およびYに対して4倍以上の上昇を達成した(
図1B)。MenABCWYまたはMenB−FHbp後の局所反応および全身性事象は同様に頻繁であり、ほとんどは重篤度が軽度/中等度であり(
図2)、MenACWY経験に影響を受けなかった。
6.2.2.3 MenABCWY臨床開発プログラムからの免疫原性結果
(研究B1971057)研究のこの部分は全体的研究の第2相構成成分であった。MenABCWYのMenB構成成分では、ワクチン接種2の1カ月後にhSBA力価のベースラインから4倍の上昇を達成するMenABCWYおよび二価rLP2086+MenACWY−CRMレシピエントの割合は、PMB80(A22)ではそれぞれ75.8%および73.8%、PMB2001(A56)ではそれぞれ94.7%および95.0%、PMB2948(B24)ではそれぞれ76.1%および67.4%、ならびにPMB2707(B44)ではそれぞれ91.7%86.4%であった。ワクチン接種2の1カ月後に複合応答(4つのMenB試験株すべてについてhSBA力価≧LLOQ)を達成するMenABCWYおよび二価rLP2086+MenACWY−CRMレシピエントの割合はそれぞれ79.9%および74.3%であった。
【0353】
結論:これらの結果は、以前のACWY経験にかかわらず、MenABCWYは、単一用量として与えるであれ6カ月間隔てられた2回用量のシリーズとして与えるであれ、2回の用量後にMenBに対して、および1回または2回の用量後にMenACWYに対して、二価rLP2086(0、6カ月)およびMenACWY−CRM(0カ月)を別々に投与した場合に達成されるものに類似の、高い度合の保護的免疫を提供することを示す。MenABCWYのベースラインから4倍の免疫応答は、頑強であり、別々に投与したMenB−FHbpおよびMenACWY−CRMに非劣性であった。0、6カ月スケジュールのワクチン接種は安全かつ良好に耐用される。有利な損益プロフィールは、現在の髄膜炎菌ワクチン接種の実施の単純化された代替案として、さらなるMenABCWYの開発を支援する。
【0354】
研究B1971057(MenABCWY[FIH])から作成されたデータにより、10〜25歳の健康な個体に投与した場合に、MenABCWYに対する応答がTRUMENBA(髄膜炎菌B型二価組換えリポタンパク質2086ワクチン)(MenB評価)およびMENVEO(髄膜炎菌(A、C、Y、およびW−135型)オリゴ糖CRM197コンジュゲートワクチン)(MenACWYCRM評価)に非劣性であることが実証された(セクション5.2を参照)。このFIH研究では、MenABCWYの構成成分部分間の免疫干渉は観察されなかった。
【実施例22】
【0355】
懸濁液ワクチンに対する輸送ストレスの効果
本実施例は、懸濁液ワクチンに対する輸送ストレスの効果(ショック/落下、振動、低圧/高高度、および温度)を例示する。ワクチン懸濁液の再分散は重要な検討事項である。末端使用者の再分散時間を最小限にするために、再分散時間に影響を与える可能性のある要因を理解することは、主要な製品開発目的である。本発明者らは、懸濁液ワクチンの再分散時間に影響を与えるパラメータを評価する系統的な方法および関連する制御戦略を提示する。
【0356】
懸濁液ワクチンは、液体または凍結乾燥粉末と比較して貯蔵および輸送中に物理特性を維持することにおける著しい課題を構成する、熱力学的に不安定な系である。輸送ストレスは製品品質およびワクチン製品の物理特性に影響を与える可能性があるが、本実施例では、懸濁液ワクチンの物理特性に対する輸送ストレスの影響に注目する。製品品質は分子依存性であり、製品に特異的な分析学的および生物学的方法によって評価することができるため、製品品質への暗示は範囲外である。
【0357】
アルミニウム含有アジュバントは、70年以上もの間、抗原に対する免疫応答を増強させるまたは改変するためにワクチンに含められてきた。アルミニウム含有ワクチンは、内相が不溶性アルミニウム含有塩(リン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム)からなり、外相が液体ビヒクルである懸濁液である。不溶性アジュバントをワクチン薬物製品に加えることで、分散相が時間と共に沈殿する傾向にある懸濁液が生じる。理想的には、懸濁液は均一であるべきであり、貯蔵中に沈降が起こる場合はすべて、攪拌した際に容易に再分散され得る。ワクチン懸濁液を含有する事前に満たされたシリンジを、再分散の前と後で比較する。しばしば、再分散の問題は、懸濁液を事前に満たすシリンジに満たし、長期貯蔵された後によく見られる。数えきれないほどの研究が、大きな遊離した容易に分散可能な沈殿物を形成するために制御された凝集剤またはポリマー添加剤を添加することに注目してきた。いくつかの市販のアルミニウムに基づくワクチンでは、その添付文書に「使用直前に勢いよく振ること」と明確に指示されている。2010年4月26日に、WHOは、再懸濁させるのが困難または不可能な白色沈殿物がSHAN 5ワクチンバイアルに固着していた出来事の後に、予防的手段としてSHAN 5ワクチンのすべてのロットの回収および破棄を推奨した。したがって、再分散時間に影響を与える要因を理解するために、ワクチン懸濁液の再分散を徹底的に評価するべきであり、必要な場合は、緩和対策を行うことができる。
【0358】
粒径、荷電、および沈殿速度の間の相互作用。再分散時間の増加の原因を探求するにあたって、懸濁液の安定性に影響を与える要因を理解することが不可欠である。本セクションでは、懸濁液の粒径、荷電、および沈殿の間の相互作用を理解するために、懸濁液の安定性への考慮の背景を2つの懸濁液の事例調査と共に提示する。
【0359】
理想的な懸濁液系では、分散相を長期間懸濁させ、まばらな系の沈殿が起こった場合、分散系を容易に再懸濁または分散させることができる。懸濁液の安定性は、熱力学的または動力学的手段によって達成することができる。熱力学的な安定性手法は、懸濁液粒子表面上を帯電させ、それによって、粒子間反発が原因の立体障害を誘導して懸濁液の安定化をもたらすことを含む。他方では、動力学的手法は、懸濁液の粘度を増加させ、その結果、懸濁液の沈殿の低下をもたらし、したがって安定性を提供することを含む。粒径は、熱力学的および動力学的な安定性のこの相互作用において不可欠な役割を果たす。サブミクロンより大きい粒径を有する懸濁液系では、透明相と分散相との間の密度の差異が著しい要因であり、重力が原因で分散相の沈殿をもたらす場合がある。粒径が懸濁液系の凝結または凝固に影響を与え得ることが報告されている。たとえば、固体の活性成分粒子がより大きな凝結沈殿物を形成し、したがって沈殿物をより再懸濁させ易くすることを可能にするために、PEGを注射用の固体/液体懸濁液のロットに加える。溶解の動力学的を遅くするためにはスーパーミクロン粒子が理想的には適している一方で、これらは重力の効果によってはるかにより大きな影響を受け、それにより、ややコンパクトでほとんど再懸濁されない沈殿物がもたらされ得る。
【0360】
沈降または沈殿は、濃縮懸濁液中における集団的な相互作用の結果である。集団的な相互作用は流体力学および粒子間相互作用(荷電−荷電の相互作用によって決定される)を含む。流体力学的効果は、沈殿粒子の動きを相殺するための流体の逆流である、逆流の遅延の原因となる。粒子間相互作用は、濃縮分散体における誘引性自己枯渇および反発的構造力が原因である。
【0361】
荷電、沈殿速度、および粒径の間の相互作用を説明するために、2つの懸濁液系を例示する。研究中のワクチン懸濁液薬物製品は、この例示において懸濁液1および2と命名する。懸濁液1および懸濁液2は匹敵する粒径(約15μm)を示す。これらの懸濁液は、沈殿速度を比較した場合に非常に異なる挙動をする。懸濁液1は約0.04abs/分の沈殿速度で著しく速く沈殿する一方で、懸濁液2は沈殿を開始するまでにさえ数週間かかる。この差異は、匹敵する粒径分布を有するにもかかわらず明確である。以前に考察したように、粒子表面上の荷電の理解が不可欠となる。懸濁液1のゼータ電位は約−5mVである一方で、懸濁液2は−45mVのゼータ電位を有する。懸濁液1は粒子表面上にわずかな荷電しか有さないため、熱力学的な懸濁液の不安定性が粒子間誘引および最終的には分散相の沈殿を促進する。
【0362】
他方では、懸濁液2の系の高い荷電が系を熱力学的に安定にし、粒子間反発が著しく遅い分散相の沈殿をもたらす。これに基づいて、懸濁液2は最大の熱力学的な安定性を与え、望ましい。最大の疑問は、熱力学的に安定した懸濁液の方が、分散系が沈殿した後に分散し易いかどうか、またはその逆であるが、これは、ワクチン懸濁液用のシリンジ中の懸濁液の容易性にどのようにつながるのか。これら2つの懸濁液を用いた本発明者らのデータは、懸濁液1は荷電の欠如が原因で熱力学的に不安定であるが、粒子間相互作用および場合によってはより大きな凝結沈殿物の形成をもたらし、それにより、より速い沈降がもたらされ、それゆえ、分散相系が容易に再懸濁可能となることが示唆される。他方では、懸濁液2は、荷電−荷電極性が原因で沈殿に著しくより長い時間がかかるが、一度沈殿すると、より細かい粒子が密に詰まって、再懸濁が著しくより困難な、沈殿した分散相を形成する。
【0363】
これらの観察および背景に基づいて、懸濁液1ワクチンの再分散時間の増加を理解するために、2つの主要な疑問を本発明者らの研究において試験した:輸送ストレスは熱力学的な懸濁液の安定性を変更して再分散時間の増加をもたらす可能性があるのか。輸送中の個々の輸送ストレスの構成成分の影響は何か、および増加した再分散時間との相関は存在するのか。
熱力学的な懸濁液の安定性に対する輸送ストレスの効果
別の研究では、ワクチン薬物製品懸濁液を、輸送温度、ショック/落下、および振動を含めた輸送ストレスのシミュレーションに供した。熱力学的な懸濁液の安定性を、輸送前後の荷電(ゼータ電位)、粒径分布、および沈殿速度の測定によって決定した。
【0364】
薬物製品懸濁液は約−5mVのゼータ電位値を示し、これは、懸濁液粒子上にわずかな荷電が存在することを示唆する。懸濁液のこの熱力学的不安定性が粒子間誘引および最終的には分散相の沈殿を促進する。本発明者らのデータは、シリンジの輸送のシミュレーションの前後でゼータ電位値、粒径分布、および測定された沈殿速度に明白な変化は存在しなかったことを示唆する。これらの結果は、輸送ストレスが薬物製品懸濁液の熱力学的な懸濁液の安定性を変更しないことを示唆する。これらの特性は輸送後に変化しないため、熱力学的な安定性は観察された再分散時間の増加の推進的な要因ではないと結論づけることができ、輸送ストレスの効果を評価し、任意の特定の物理的機構が観察された再分散時間に寄与しているかどうかを理解する必要性が必然的に伴う。
再分散時間に対する個々の輸送ストレスの影響
パッケージを輸送する際、製品は疑いようもなく様々な輸送ストレスを経験する。これらには、パッケージが様々な高さから落下した際のショック/落下ストレス、(振動数の振幅は航空機とトラックの間で異なるが)トラックまたは航空機のいずれかの輸送中の振動が含まれる。再分散時間に対する個々の輸送ストレスの影響を、薬物製品シリンジを輸送のシミュレーションに供した際に評価した
11。また、研究設計は、シリンジの方向の関数としての輸送ストレスの影響の評価も含む。シリンジは3つの別々の方向で保管した:チップキャップ下、チップキャップ上、およびチップキャップ水平。本研究は、個々のストレスを解読し、影響を理解することを目的とする。
【0365】
ショック/落下ストレスはチップキャップ下方向の再分散時間を減らし、チップキャップ水平およびチップキャップ上の方向では再分散に対するショック/落下の効果はわずかであったことが観察された。
【0366】
他方では、航空機の振動はチップキャップ下方向の再分散時間を増加させた。これは興味深い発見であり、航空機輸送中に経験する振動数に関連している可能性がある。シリンジがチップキャップ下方向にある場合の振動数は、懸濁液の粒子がシリンジの内径を下がることをさらに促進する可能性がある。チップキャップ上および水平に配置したシリンジに対して航空機の振動の効果はわずかであった。航空機の振動と同様、トラックの振動はチップキャップ下方向において再分散時間を増加させた。これらの発見は航空機の振動と同様であるが、再分散時間の増加の程度は航空機の振動の場合よりも多かった。さらに、航空機の振動と一貫して、チップキャップ上および水平に配置したシリンジに対してトラックの振動の効果はわずかであった。
【0367】
また、シリンジを組合せストレス(ショック/落下、航空機の振動、トラックの振動ショック/落下)についての再分散時間について評価した場合、データは混乱しており、これは、実際の輸送では、恐らくは1つまたは複数の輸送ストレス様式が結果を支配し、全く異なる結果を生じる可能性があることを示唆する。
【0368】
航空機およびトラックの振動で見られた差異に基づいて、振動数の強度が重要な要因であることに注目することは興味深かった。シリンジをチップキャップ下方向に置いた場合の再分散時間の増加は、重力に起因し、振動によって増大した懸濁液粒子の下方向の動きが、より大きな粒子が密に詰まり、より小さな粒子が空いた空間を満たすことを促進することが原因の可能性がある。底部、特にシリンジの内径の粒子が、上のものの重力によって徐々に押し付けられる。
【0369】
薬物製品をチップキャップ上方向で輸送する場合、重力の効果は依然として存在するが、沈降は、狭い内径ではなく、プランジャーのより幅広い表面で起こる。塊の詰め込みは明白ではない。薬物製品をチップキャップ水平方向で輸送する場合、ブラウン運動から生じた側方動作および振動からの対流電流が重力に打ち勝つ。沈降が起こった場合でも、シリンジ壁の広い表面上で起こり、粒子が詰め込まれる確率はわずかである。したがって、チップキャップ上およびチップキャップ水平のどちらの方向でも再懸濁は問題でなく、チップキャップ水平方向の方が、恐らくはより大きな表面積が原因で、わずかに良好な結果を与える。輸送した際、輸送振動が、沈降物が詰め込まれる最終状態をもたらす支配的な力である。シリンジの方向および利用可能な様々な表面積次第で、再分散時間はこれらの開放表面積に対応する。
高い再分散時間を減らすための緩和戦略
輸送のシミュレーションの研究データに基づいて、チップキャップ水平またはチップキャップ上のいずれかの方向が、ワクチン懸濁液のより高い再分散時間を緩和させることができることが明らかである。
懸濁液ワクチンに対する輸送温度の影響
再分散に加えて、ワクチン懸濁液の製品品質は輸送中の温度によっても影響を受ける可能性がある。凍結後、アジュバントと抗原との間の結合が切断されている可能性がある。分離されたアジュバントは粒径および重量がより大きくなる凝集塊を形成する傾向にあり、その後、容器の底部に徐々に沈殿する。凝集塊の大きさは凍結解凍サイクルを繰り返した後に増加し得る。凝集塊の形成は、再分散と製品の物理的および化学的特性との両方に影響を与える。ワクチンの国際パッケージングおよび輸送に関するWHOの指針は、吸着したワクチンが凍結によって影響を受けたかどうかを決定する振盪試験プロトコルを添付している。また、指針は、輸送中に温度がゼロ未満に下がったという徴候があった場合に、ワクチンのランダム試料に対して振盪試験を行うことも明記している。他方では、より高い温度もワクチン懸濁液の製品品質に影響を与え、粒子形成および化学的特性の変化または両方をもたらす可能性がある。したがって、WHOは、少なくとも48時間の国際輸送中に絶縁クラスAパッケージング内に許容される最大温度を+8℃として明記している。クラスBおよびCパッケージングに許容される最大温度は+30℃である。
【0370】
以下の条項は、本発明の追加の態様を記載する:
C1.(a)髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)に由来する第1のポリペプチドと、(b)髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)に由来する第2のポリペプチドと、(c)髄膜炎菌血清型A莢膜糖コンジュゲートと、(d)髄膜炎菌血清型C莢膜糖コンジュゲートと、(e)髄膜炎菌血清型W莢膜糖コンジュゲートと、(f)髄膜炎菌血清型Y莢膜糖コンジュゲートとを含む組成物であって、組成物は、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY莢膜多糖のうちの任意の1つに対する免疫応答を誘発し、前記血清殺菌抗体応答は、髄膜炎菌血清型に対する認可ワクチンによって誘発されたものよりも高い、組成物。
C2.ポリペプチドが、配列番号1から配列番号62から選択される任意の1つのアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、条項C1に記載の方法。
C3.組成物が、(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドと、(c)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってアジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖と、(d)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってADHリンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖と、(e)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型W莢膜糖と、(f)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型Y莢膜糖とを含む、条項C1に記載の方法。
C4.組成物が、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYのうちの任意の1つに対する免疫応答を誘発し、前記血清殺菌抗体応答は、認可された髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖ワクチンによって誘発されたものよりも高い、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C5.組成物が、髄膜炎菌血清型Aに対する免疫応答を誘発し、前記血清殺菌抗体応答は、認可された髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖ワクチンによって誘発されたものよりも高い、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C6.組成物が、髄膜炎菌血清型Cに対する免疫応答を誘発し、前記血清殺菌抗体応答は、認可された髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖ワクチンによって誘発されたものよりも高い、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C7.組成物が、髄膜炎菌血清型Wに対する免疫応答を誘発し、前記血清殺菌抗体応答は、認可された髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖ワクチンによって誘発されたものよりも高い、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C8.組成物が、髄膜炎菌血清型Yに対する免疫応答を誘発し、前記血清殺菌抗体応答は、認可された髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖ワクチンによって誘発されたものよりも高い、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C9.組成物が、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYのそれぞれに対する免疫応答を誘発し、前記血清殺菌抗体応答は、認可された髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖ワクチンによって誘発されたものよりも高い、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C10.組成物が、髄膜炎菌血清型Bに対する免疫応答を誘発し、前記血清殺菌抗体応答は、認可された髄膜炎菌血清型B H因子結合ワクチンによって誘発されたものよりも高い、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C11.組成物が、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYのそれぞれに対する免疫応答を誘発し、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY莢膜多糖のそれぞれに対する前記血清殺菌抗体応答は、認可された髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖ワクチンによって誘発されたものよりも高く、また、組成物は、髄膜炎菌血清型Bに対する免疫応答を誘発し、前記血清殺菌抗体応答は、認可された髄膜炎菌血清型B H因子結合ワクチンによって誘発されたものよりも高く、認可された髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖ワクチンと認可された髄膜炎菌血清型B H因子結合ワクチンは、併用用量としてではなく順次投与される、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C12.組成物がアジュバントを含む、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C13.組成物がアルミニウムアジュバントを含む、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C14.組成物が水酸化アルミニウムを含む、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C15.組成物がリン酸アルミニウムを含む、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C16.組成物がアルミニウムを含む、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C17.第1のポリペプチドの少なくとも90%が組成物中でアルミニウムと結合している、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C18.第2のポリペプチドの少なくとも90%が組成物中でアルミニウムと結合している、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C19.組成物が無菌的な液体として配合されている、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C20.組成物が薬学的に許容される保存料を含む、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C21.組成物がポリソルベート−80を含む、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C22.組成物が、トリス−HCl、塩化ナトリウム、スクロース、ヒスチジン、ポリソルベート80、およびリン酸アルミニウムを含む、条項1から条項3のいずれか一項に記載の方法。
C23.組成物が、約120μg/mlの第1のポリペプチド、約120μg/mlの第2のポリペプチド、リン酸アルミニウムとして約0.5mg/mlのアルミニウム、約0.02mgのポリソルベート−80、約10mMのヒスチジン、および約150mMの塩化ナトリウムを含む、条項1から条項3のいずれか一項に記載の方法。
C24.組成物が、約60μgの第1のポリペプチド、約60μgの第2のポリペプチド、約7.5μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenA莢膜糖、約7.5μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenC莢膜糖、約3.75μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenW莢膜糖、約3.25μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenY莢膜糖、約97μgのトリス−HCl、pH6.8±0.3、4.69〜4.71mgの塩化ナトリウム、約28mgのスクロース、約0.78mgのL−ヒスチジン、約0.02mgのポリソルベート−80、約0.25mgのアルミニウムを含み、1用量あたり0.5mLの水をさらに含む、条項1から条項3のいずれか一項に記載の方法。
C25.免疫応答が血清殺菌抗体を含む、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C26.組成物が、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYのうちの少なくとも1つに対する追加免疫応答を誘発することができる、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C27.組成物が、髄膜炎菌血清型Bに対する追加免疫応答を誘発することができる、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C28.免疫応答を10〜26歳のヒトにおいて誘発させる、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C29.免疫応答を12カ月齢から18カ月齢未満または18カ月齢から24カ月齢未満の年齢のヒトにおいて誘発させる、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C30.免疫応答を18カ月齢から24カ月齢未満の年齢のヒトにおいて誘発させる、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C31.免疫応答を24カ月齢以上10歳未満の年齢のヒトにおいて誘発させる、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C32.免疫応答を髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYに対して血清陰性であるヒトにおいて誘発させる、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C33.免疫応答を髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYに対して血清陽性であるヒトにおいて誘発させる、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C34.組成物を少なくとも2回の用量でヒトに投与し、2回目の用量は1回目の用量の約6カ月後である、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C35.ヒトが少なくとも10歳であり、最高で17歳である、条項C34に記載の方法。
C36.組成物の3回目の用量をヒトに投与し、ヒトは少なくとも16歳である、条項C35に記載の方法。
C37.組成物を最大で2回の用量でヒトに投与し、2回目の用量は1回目の用量の約6カ月後である、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C38.組成物がA22に対する免疫応答を誘発する、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C39.組成物がA56に対する免疫応答を誘発する、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C40.組成物がB24に対する免疫応答を誘発する、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C41.組成物がB44に対する免疫応答を誘発する、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C42.組成物が、約60μgの第1のポリペプチド、約60μgの第2のポリペプチド、約7.5μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenA莢膜糖、約7.5μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenC莢膜糖、約3.75μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenW莢膜糖、約3.25μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenY莢膜糖、約97μgのトリス−HCl、pH6.8±0.3、4.69〜4.71mgの塩化ナトリウム、約28mgのスクロース、約0.78mgのL−ヒスチジン、約0.02mgのポリソルベート−80、約0.25mgのアルミニウムを含み、1用量あたり0.5mLの水をさらに含む、条項C1から条項C3のいずれか一項に記載の方法。
C43.(a)髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)に由来する第1のポリペプチドと、(b)髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)に由来する第2のポリペプチドと、(c)髄膜炎菌血清型A莢膜糖コンジュゲートと、(d)髄膜炎菌血清型C莢膜糖コンジュゲートと、(e)髄膜炎菌血清型W莢膜糖コンジュゲートと、(f)髄膜炎菌血清型Y莢膜糖コンジュゲートとを含む組成物であって、組成物は、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYのうちの少なくとも1つに対する免疫応答を誘発し、前記血清殺菌抗体応答は、髄膜炎菌血清型に対する認可ワクチンによって誘発されたものよりも高い、組成物。
C44.ポリペプチドが、配列番号1から配列番号62から選択される任意の1つのアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、条項C43に記載の組成物。
C45.(a)髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)に由来する第1のポリペプチドと、(b)髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)に由来する第2のポリペプチドと、(c)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってアジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖と、(d)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってADHリンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖と、(e)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型W莢膜糖と、(f)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型Y莢膜糖とを含む組成物であって、組成物は、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY莢膜多糖のそれぞれに対する免疫応答を誘発し、前記血清殺菌抗体応答は、認可された髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖ワクチンによって誘発されたものよりも高い、組成物。
C46.条項C43から条項C45のいずれか一項に記載の有効量の組成物をヒトに投与するステップを含む、ヒトにおいて髄膜炎菌血清型BサブファミリーA株および髄膜炎菌血清型BサブファミリーB株に対する免疫応答を誘導する方法。
C47.条項C43から条項C45のいずれか一項に記載の有効量の組成物をヒトに投与するステップを含む、ヒトにおいて髄膜炎菌血清型A、髄膜炎菌血清型C、髄膜炎菌血清型W、および/または髄膜炎菌血清型Y株に対する免疫応答を誘導する方法。
C48.条項C43から条項C45のいずれか一項に記載の有効量の組成物をヒトに投与するステップを含む、ヒトにおいて髄膜炎菌血清型A、髄膜炎菌血清型B、髄膜炎菌血清型C、髄膜炎菌血清型W、および/または髄膜炎菌血清型Y株に対する免疫応答を誘導する方法。
C49.条項C43から条項C45のいずれか一項に記載の有効量の組成物をヒトに投与するステップを含む、ヒトにおいて髄膜炎菌血清型A、髄膜炎菌血清型B、髄膜炎菌血清型C、髄膜炎菌血清型W、髄膜炎菌血清型Y株、および/または髄膜炎菌血清型X株に対する免疫応答を誘導する方法。
C50.患者が、条項C43から条項C45のいずれか一項に記載の組成物の最初の投与の前に、多価の髄膜炎菌莢膜糖−担体タンパク質のコンジュゲートワクチンを以前に受けていない、条項C46からC49のいずれか一項に記載の方法。
C51.患者が、条項C1および条項C10のいずれか一項に記載の組成物の最初の投与の前に、多価の髄膜炎菌莢膜糖−担体タンパク質のコンジュゲートワクチンを以前に受けている、条項C46からC49のいずれか一項に記載の方法。
C52.組成物が、a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1の脂質付加ポリペプチドと、b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2の脂質付加ポリペプチドとを含み、A02、A28、A42、A63、A76、B05、B07、B08、B13、B52、およびB107からなる群から選択されるポリペプチドを発現する少なくとも1つの髄膜炎菌血清型B株に対する免疫応答を誘導する、ヒトにおいて髄膜炎菌血清型Bに対する免疫応答を誘導するための有効量の組成物の使用。
C53.誘導される免疫応答が殺菌性である、条項C52に記載の使用。
C54.組成物がポリソルベート−80をさらに含む、条項C52に記載の使用。
C55.組成物がアルミニウムをさらに含む、条項C52からC54のいずれか一項に記載の使用。
C56.組成物がヒスチジン緩衝液をさらに含む、条項C52からC55のいずれか一項に記載の使用。
C57.組成物が塩化ナトリウムをさらに含む、条項C52からC56のいずれか一項に記載の使用。
C58.組成物が、約120μg/mlの第1のポリペプチド、約120μg/mlの第2のポリペプチド、約2.8のモル比のポリソルベート−80、約0.5mg/mlのアルミニウム、約10mMのヒスチジン、および約150mMの塩化ナトリウムを含む、条項C52からC57のいずれか一項に記載の使用。
C59.組成物が、約60μgの第1のポリペプチド、約60μgの第2のポリペプチド、約18μgのポリソルベート−80、約250μgのアルミニウム、約780μgのヒスチジン、および約4380μgの塩化ナトリウムを含む、条項C52からC58のいずれか一項に記載の使用。
C60.組成物が、4つの別個かつ別々に作製したタンパク質−莢膜多糖コンジュゲートの混合物を含む、少なくとも1つの追加の免疫原性組成物をさらに含み、第1のコンジュゲートが担体タンパク質とコンジュゲートしている血清型Wの髄膜炎菌莢膜多糖を含み、第2のコンジュゲートが担体タンパク質とコンジュゲートしている血清型Yの髄膜炎菌莢膜多糖を含み、第3のコンジュゲートが担体タンパク質とコンジュゲートしている血清型Aの髄膜炎菌莢膜多糖を含み、第4のコンジュゲートが担体タンパク質とコンジュゲートしている血清型Cの髄膜炎菌莢膜多糖を含み、担体タンパク質が、ジフテリアトキソイド、CRM
197、および破傷風トキソイドからなる群から選択される、条項C52からC59のいずれか一項に記載の使用。
C61.担体タンパク質がジフテリアトキソイドである、条項C60に記載の使用。
C62.担体タンパク質が破傷風トキソイドである、条項C60に記載の使用。
C63.少なくとも1つの追加の免疫原性組成物が液体組成物である、条項C60に記載の使用。
C64.少なくとも1つの追加の免疫原性組成物が凍結乾燥されていない、条項C60に記載の使用。
C65.組成物が、少なくとも1つの髄膜炎菌血清型A株に対する免疫応答を誘導する、条項C60からC64のいずれか一項に記載の使用。
C66.組成物が、少なくとも1つの髄膜炎菌血清型C株に対する免疫応答を誘導する、条項C60からC64のいずれか一項に記載の使用。
C67.組成物が、少なくとも1つの髄膜炎菌血清型W株に対する免疫応答を誘導する、条項C60からC64のいずれか一項に記載の使用。
C68.組成物が、少なくとも1つの髄膜炎菌血清型Y株に対する免疫応答を誘導する、条項C60からC64のいずれか一項に記載の使用。
C69.組成物が、髄膜炎菌血清型A株、髄膜炎菌血清型C株、髄膜炎菌血清型Y株、髄膜炎菌血清型W株のうちの少なくとも1つ、およびその任意の組合せに対する免疫応答を誘導する、条項C60からC64のいずれか一項に記載の使用。
C70.有効量の組成物が1回の用量を含む、条項C52からC69のいずれか一項に記載の使用。
C71.有効量の組成物が2回の用量を含む、条項C52からC70のいずれか一項に記載の使用。
C72.有効量の組成物が追加免疫用量をさらに含む、条項C52からC70のいずれか一項に記載の使用。
C73.有効量の組成物が最大で2回の用量を含む、条項C52からC70のいずれか一項に記載の使用。
C74.有効量の組成物が最大で3回用量を含む、条項C52からC70のいずれか一項に記載の使用。
C75.組成物がハイブリッドタンパク質を含まない、条項C52に記載の使用。
C76.組成物が融合タンパク質を含まない、条項C52に記載の使用。
C77.組成物が凍結乾燥されていない、条項C52に記載の使用。
C78.組成物がホルムアルデヒドを含まない、条項C52に記載の使用。
C79.組成物がジフテリアトキソイドまたはCRMを含まない、条項C60に記載の使用。
C80.髄膜炎菌血清型A(MenA)莢膜糖が1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によってアジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーとコンジュゲートし、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)とコンジュゲートしている(MenA
AH−TTコンジュゲート)、条項C60に記載の使用。
C81.髄膜炎菌血清型C(MenC)莢膜糖が1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によってADHリンカーとコンジュゲートし、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)とコンジュゲートしている(MenC
AH−TTコンジュゲート)、条項C60に記載の使用。
C82.リンカーの非存在下で、髄膜炎菌血清型W(MenW)莢膜糖が1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)と直接コンジュゲートしている(MenW−TTコンジュゲート)、条項C60に記載の使用。
C83.リンカーの非存在下で、髄膜炎菌血清型Y(MenY)莢膜糖が1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)と直接コンジュゲートしている(MenY−TTコンジュゲート)、条項C60に記載の使用。
C84.髄膜炎菌血清型A(MenA)莢膜糖が1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によってアジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーとコンジュゲートし、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)とコンジュゲートしており(MenA
AH−TTコンジュゲート)、髄膜炎菌血清型C(MenC)莢膜糖が1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によってADHリンカーとコンジュゲートし、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)とコンジュゲートしており(MenC
AH−TTコンジュゲート)、リンカーの非存在下で、髄膜炎菌血清型W(MenW)莢膜糖が1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)と直接コンジュゲートしており(MenW−TTコンジュゲート)、リンカーの非存在下で、髄膜炎菌血清型Y(MenY)莢膜糖が1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート化学によって破傷風トキソイド担体タンパク質(TT)と直接コンジュゲートしている(MenY−TTコンジュゲート)、条項C60に記載の使用。
C85.組成物が、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーの非存在下でMenA莢膜糖を含まない、条項C60に記載の使用。
C86.患者が12カ月齢から18カ月齢未満または18カ月齢から24カ月齢未満の年齢である、条項C52からC85のいずれか一項に記載の使用。
C87.患者が18カ月齢から24カ月齢未満の年齢である、条項C52からC85のいずれか一項に記載の使用。
C88.患者が24カ月齢以上10歳未満の年齢である、条項C52からC85のいずれか一項に記載の使用。
C89.同一条件下でヒト補体を使用した血清殺菌アッセイにおいて測定した場合に、組成物が、1回目の用量を受ける前のヒトにおける血清免疫グロブリンの殺菌性力価よりも、1回目の用量を受けた後のヒトにおいて少なくとも2倍高い血清免疫グロブリンの殺菌性力価を誘導する、条項C52からC88のいずれか一項に記載の使用。
C90.同一条件下でヒト補体を使用した血清殺菌アッセイにおいて測定した場合に、組成物が、1回目の用量を受ける前のヒトにおける血清免疫グロブリンの殺菌性力価よりも、1回目の用量を受けた後のヒトにおいて少なくとも4倍高い血清免疫グロブリンの殺菌性力価を誘導する、条項C52からC89のいずれか一項に記載の使用。
C91.同一条件下でヒト補体を使用した血清殺菌アッセイにおいて測定した場合に、組成物が、1回目の用量を受ける前のヒトにおける血清免疫グロブリンの殺菌性力価よりも、1回目の用量を受けた後のヒトにおいて少なくとも8倍高い血清免疫グロブリンの殺菌性力価を誘導する、条項C52からC90のいずれか一項に記載の使用。
C92.ヒトにおいて免疫応答を誘導する方法であって、方法は、ヒトに、a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドと、(c)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってアジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖と、(d)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってADHリンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖と、(e)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型W莢膜糖と、(f)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型Y莢膜糖とを含む組成物を投与するステップを含み、組成物は、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYのうちの少なくとも1つに対する免疫応答を誘導し、免疫応答は血清殺菌抗体の力価を含み、力価は、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖に対する認可ワクチンによって誘導されたものよりも高い、方法。
C93.髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖に対する認可ワクチンがMENVEOである、請求項1に記載の方法。
C94.ヒトにおいて免疫応答を誘導する方法であって、方法は、ヒトに、a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドと、(c)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってアジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖と、(d)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってADHリンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖と、(e)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型W莢膜糖と、(f)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型Y莢膜糖とを含む組成物を投与するステップを含み、組成物は、髄膜炎菌血清型Bに対する免疫応答を誘導し、免疫応答は、髄膜炎菌血清型Bに対する認可ワクチンによって誘導される血清殺菌抗体の力価よりも高い、血清殺菌抗体の力価を含む、方法。
C95.髄膜炎菌血清型Bに対する認可ワクチンがTRUMENBAである、条項C94に記載の方法。
C96.ヒトにおいて免疫応答を誘導する方法であって、方法は、ヒトに、a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドと、(c)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってアジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型A莢膜糖と、(d)1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによってADHリンカーとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖であって、リンカーがカルボジイミド化学によって破傷風トキソイドとコンジュゲートしている髄膜炎菌血清型C莢膜糖と、(e)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型W莢膜糖と、(f)リンカーの非存在下で、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレートによって破傷風トキソイドと直接コンジュゲートしている髄膜炎菌血清型Y莢膜糖とを含む組成物を投与するステップを含み、組成物は、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYならびに髄膜炎菌血清型Bのうちの少なくとも1つに対する免疫応答を誘導し、免疫応答は、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY莢膜多糖に対する認可ワクチンによって誘導される血清殺菌抗体の力価よりも高い、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYのそれぞれに対する血清殺菌抗体の力価を含み、免疫応答は、髄膜炎菌血清型Bに対する認可ワクチンによって誘導される血清殺菌抗体の力価よりも高い、髄膜炎菌血清型Bに対する血清殺菌抗体の力価を含む、方法。
C97.髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY髄膜炎菌莢膜多糖に対する認可ワクチンがMENVEOである、条項C96に記載の方法。
C98.組成物がアジュバントをさらに含む、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C99.組成物がアルミニウムをさらに含む、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C100.アジュバントが水酸化アルミニウムを含む、条項C99に記載の方法。
C101.アジュバントがリン酸アルミニウムを含む、条項C99に記載の方法。
C102.第1のポリペプチドの少なくとも90%が組成物中でアルミニウムと結合している、条項C94に記載の方法。
C103.第2のポリペプチドの少なくとも90%が組成物中でアルミニウムと結合している、条項C94に記載の方法。
C104.組成物が無菌的な液体として配合されている、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C105.組成物がポリソルベート−80をさらに含む、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C106.組成物が、トリス−HCl、塩化ナトリウム、スクロース、ヒスチジン、ポリソルベート80、およびリン酸アルミニウムをさらに含む、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C107.組成物が、約120μg/mlの第1のポリペプチド、約120μg/mlの第2のポリペプチド、リン酸アルミニウムとして約0.5mg/mlのアルミニウム、約0.02mgのポリソルベート−80、約10mMのヒスチジン、および約150mMの塩化ナトリウムを含む、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C108.組成物が、約60μgの第1のポリペプチド、約60μgの第2のポリペプチド、約7.5μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenA莢膜糖、約7.5μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenC莢膜糖、約3.75μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenW莢膜糖、約3.25μgのTTとコンジュゲートしている約5μgのMenY莢膜糖、約97μgのトリス−HCl、pH6.8±0.3、4.69〜4.71mgの塩化ナトリウム、約28mgのスクロース、約0.78mgのL−ヒスチジン、約0.02mgのポリソルベート−80、約0.25mgのアルミニウムを含み、1用量あたり0.5mLの水をさらに含む、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C109.組成物が、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびYのそれぞれに対する追加免疫応答を誘発することができる、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C110.組成物が、髄膜炎菌血清型Bに対する追加免疫応答を誘発することができる、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C111.ヒトが10〜26歳の年齢である、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C112.ヒトが12カ月齢から18カ月齢未満または18カ月齢から24カ月齢未満の年齢である、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C113.ヒトが18カ月齢から24カ月齢未満の年齢である、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C114.ヒトが24カ月齢以上10歳未満の年齢である、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C115.ヒトが少なくとも16歳である、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C116.1回の用量をヒトに投与するステップを含む、条項C115に記載の方法。
C117.ヒトが10〜12歳である、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C118.ヒトに少なくとも2回の用量を投与するステップを含む、条項C113に記載の方法。
C119.ヒトが最高で16歳である、条項C113に記載の方法。
C120.組成物の少なくとも1回の用量を約11歳のヒトに投与し、1回目の用量の少なくとも4年後に、組成物のさらなる用量をヒトに投与するステップを含む、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C121.組成物の少なくとも1回の用量を約11歳のヒトに投与し、最後の用量の少なくとも4年後に、組成物のさらなる用量をヒトに投与するステップを含む、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C122.最後の用量の約5年後に、組成物のさらなる用量を投与する、条項C116に記載の方法。
C123.約11歳のヒトに1回の用量の組成物を投与し、1回目の用量の約5年後に、ヒトに組成物の少なくとも2回の用量を投与するステップを含む、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C124.ヒトが、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY莢膜多糖に対して血清陰性である、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C125.ヒトが、髄膜炎菌血清型A、C、W−135、およびY莢膜多糖に対して血清陽性である、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C126組成物の1回目の用量および2回目の用量を投与するステップを含み、2回目の用量は1回目の用量の約6カ月後である、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C127.ヒトが最高で17歳である、条項C122に記載の方法。
C128.組成物の3回目の用量を16歳のヒトに投与するステップを含む、条項C122に記載の方法。
C129.最高で2回の用量の組成物を投与するステップを含み、2回目の用量は1回目の用量の約6カ月後である、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C130.組成物が、A22を発現する髄膜炎菌血清型B株に対する免疫応答を誘発する、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C131.組成物が、A56を発現する髄膜炎菌血清型B株に対する免疫応答を誘発する、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C132.組成物が、B24を発現する髄膜炎菌血清型B株に対する免疫応答を誘発する、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C133.組成物が、B44を発現する髄膜炎菌血清型B株に対する免疫応答を誘発する、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C134.組成物が、髄膜炎菌血清型B A22、A56、B24、B44株のうちの任意の1つ、またはその任意の組合せに対する殺菌性免疫応答を誘導する、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。
C135.組成物が、髄膜炎菌血清型B B24、B16、B44、A22、B03、B09、A12、A19、A05、A07、B153株のうちの任意の1つ、またはその任意の組合せに対する殺菌性免疫応答を誘導する、条項C94からC97のいずれか一項に記載の方法。