【課題】本発明は、耐油性、耐ブロッキング性、ハイライト転移性、版カブリ性、粘度安定性、耐サリチル酸メチル性等の基本性能を保持しつつ、表刷りにおいては要求されるフィルム密着性や耐収縮割れ性や、表刷り・裏刷りに対しラミネート加工する場合の基材との密着性、押し出しラミネート強度、ドライラミネート強度を兼備したリキッド印刷インキを提供する。
前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂が水酸基を有し、前記水酸基価が50〜200mgKOH/gであり、かつ前記共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有比率が80〜95質量%である請求項3に記載のリキッド印刷インキ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(言葉の定義)
本発明においてリキッド印刷インキとは、グラビアインキまたはフレキソインキ等の、印刷版を使用する印刷方法に適用されるリキッド状のインキを指し、好ましくはグラビアインキまたはフレキソインキである。また本発明のリキッド印刷インキは活性エネルギー硬化性の成分を含んでおらず、即ち活性エネルギー線非反応性のリキッドインキである。
なお以下の説明で用いる「インキ」とは全て「印刷インキ」を示す。また「部」とは全て「質量部」を示し、「インキ全量」とは、有機溶剤等の揮発性成分をすべて含んだインキの全量を示し、「インキ固形分全量」とは、揮発性成分を含まない、不揮発性成分のみの全量を示す。
【0020】
本発明は、バインダー樹脂、有機溶剤、及び一般式(1)で表されるイソシアネート化合物を含有することを特徴とするリキッド印刷インキに関する。
【0021】
【化2】
一般式(1)中、pは0〜9の整数を表し、Rは1〜20個の炭素原子を含む飽和または不飽和、直鎖または分岐、環状または非環状の炭化水素鎖を表し、R
1は2〜4個の炭素原子を有する、飽和の直鎖または分岐の二価の炭化水素基を表す。
【0022】
本発明のリキッド印刷インキに使用するバインダー樹脂としては、硝化綿、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)やセルロースアセテートブチロネート(CAB)などセルロース系樹脂等の繊維素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを挙げることができる。
中でも、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂が好ましく、これらを単独でも、複数併用してもよい。
【0023】
(ポリウレタン樹脂)
ポリウレタン樹脂としては、ポリオールとポリイソシアネートを反応させて得たポリウレタン樹脂であれば特に限定されない。ポリオールとしては例えば、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2ブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、1,4―ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類(1)、これらの低分子ポリオール類(1)と、セバシン酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(2);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(3);前記低分子ポリオール類(1)などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(4);ポリブタジエングリコール類(5);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(6);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(7)などが挙げられる。
【0024】
ポリイソシアネートとしては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−2,6−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−2,5−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−2,6−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−3,5−フェニレンジイソシアネート、1−エチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1−イソプロピル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−ジメチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−ジメチル−4,6−フェニレンジイソシアネート、1,4−ジメチル−2,5−フェニレンジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアネート、1−メチル−3,5−ジエチルベンゼンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ジエチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1,3,5−トリエチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、1−メチル−ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、ナフタレン−2,7−ジイソシアネート、1,1−ジナフチル−2,2’−ジイソシアネート、ビフェニル−2,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3−3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4−ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
また鎖伸長剤を使用することもできる。鎖伸長剤としては例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミンなどの他、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L−アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0026】
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は10,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは15,000〜80,000の範囲である。
また、ポリウレタン樹脂の添加量としては、インキ全量に対し0.15〜40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0〜35質量%である。
【0027】
更に、本発明のリキッド印刷インキに使用されるポリウレタン樹脂のアミン価は6.5mgKOH/g以下であることが好ましい。アミン価が6.5mgKOH/gを上回ると耐ブロッキング性が劣る傾向と成り易い。耐ブロッキング性を良好に保ちつつ、版カブリ性、接着性及び押出しラミネート強度を保持できる観点から1.0〜5.0mgKOH/gの範囲がより好ましく、更に好ましくは1.0〜3.5mgKOH/gの範囲である。
【0028】
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする重合性モノマーが共重合したものであれば特段限定されない。重合性モノマーとしては例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。重合法も特に限定なく公知の塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合法等で得たものを使用することができる。
アクリル樹脂の重量平均分子量は5,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは10,000〜50,000の範囲である。
また、アクリル樹脂の添加量としては、インキ全量に対し0.15〜40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0〜35質量%である。
【0029】
(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合したものであれば、特段限定されない。分子量としては重量平均分子量で5,000〜100,000のものが好ましく、10,000〜70,000が更に好ましい。塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中、酢酸ビニルモノマー由来の構造は1〜30質量%が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は70〜95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上、更に基材への密着性、被膜物性、耐擦傷性等が良好となる。
また有機溶剤への溶解性の観点からビニルアルコール構造由来の水酸基を含むものも好ましい。水酸基価としては20〜200mgKOH/gであることが好ましい。また、ガラス転移温度は50℃〜90℃であることが好ましい。
また塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂の添加量としては、インキ全量に対し0.15〜40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0〜35質量%である。
【0030】
(有機溶剤)
本発明のリキッド印刷インキで使用する有機溶剤としては、特に制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系有機溶剤、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。また水混和性有機溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系の各種有機溶剤が挙げられる。これらを単独または2種以上を混合しても用いることができる。
【0031】
尚、印刷時の作業衛生性と包装材料の有害性の両面から、酢酸エチル、酢酸プロピル、イソプロパノール、ノルマルプロパノールなどを使用し、トルエン等の芳香族溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤を使用しない事がより好ましい。
中でもポリウレタン樹脂、硝化綿への溶解性の観点から、イソプロピルアルコール/酢酸エチル/メトキシプロパノールの混合液がより好ましい。また、乾燥調整のためにインキ全量の10質量%未満であればグリコールエーテル類を添加する事も出来る。
【0032】
(硬化剤)
本発明は、硬化剤として一般式(1)で表されるイソシアネート化合物を含有することが特徴である。
【0034】
但し一般式(1)中、pは0〜9の整数を表し、Rは1〜20個の炭素原子を含む飽和または不飽和、直鎖または分岐、環状または非環状の炭化水素鎖を表し、R
1は2〜4個の炭素原子を有する、飽和の直鎖または分岐の二価の炭化水素基を表すものである。
一般式(1)で表されるイソシアネート化合物の添加量としては、硬化効率の観点からリキッド印刷インキ固形分に対し0.3質量%〜10.0質量%の範囲が好ましく、1.0質量%〜7.0質量%であればより好ましい。
0.3質量%以上であれば、グラビア印刷において表刷り収縮フィルムにおけるフィルム密着性や耐収縮割れ性が保持する傾向にあり、表刷り・裏刷りで共通の耐油性、耐サリチル酸メチル性や、押し出しラミネート強度、ドライラミネート強度を保持できる傾向となる。
また、10.0質量%以下であれば、表刷り・裏刷りで共通のインキの粘度安定性、ハイライト転移性、版カブリ性を保持できる傾向となる。
前記版カブリ性とは、グラビア印刷時の不具合である、画線部以外の箇所にドクターでインキが掻ききれない部分が「カブリ」となって印刷物に転移し汚れとなる「版かぶりの現象」を言う。
尚、一般式(1)で表されるイソシアネート化合物による硬化剤の中でも、p=0のものが好ましく、市販品としてはVencoreX Chemicals社のTolonate X FLO 100が挙げられる。一般式(1)で表されるイソシアネート化合物は、インキ製造時に予め添加しても良いし、印刷時に添加、混合して使用してする所謂2液型として使用してもよい。Tolonate X FLO 100はバイオマス由来成分を含有しており、その使用は近年課題となっている二酸化炭素ガスの排出削減にも有効である。
【0035】
(着色剤)
本発明のリキッド印刷インキとしては、着色剤を含まないインキの濃度調整用ニス及びオーバープリントニスとして使用することもできるし、着色剤を含む美粧性等を付与する目的でデザイン印刷等に用いる着色剤を含むインキとして使用することもできる。
着色剤としては顔料が好ましく、一般のインキ、塗料、及び記録剤などに使用されている無機顔料、有機顔料を挙げることができる。有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また未酸性処理顔料、酸性処理顔料のいずれも使用することができる。以下に有機顔料として好ましいものの具体的な例を挙げる。
【0036】
黒色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントブラック9、C.I.ピグメントブラック20等が挙げられる。
【0037】
藍色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー24:1、C.I.ピグメントブルー25、C.I.ピグメントブルー26、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントブルー64、C.I.ピグメントブルー75、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントブルー80などが挙げられる。
【0038】
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン8、C.I.ピグメントグリーン10、C.I.ピグメントグリーン36などが挙げられる。
【0039】
赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド20、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド43、C.I.ピグメントレッド46、C.I.ピグメントレッド48、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド48:5、C.I.ピグメントレッド48:6、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド49:3、C.I.ピグメントレッド52、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド53:2、C.I.ピグメントレッド53:3、C.I.ピグメントレッド54、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58、C.I.ピグメントレッド58:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:3、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド63:3、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド89、C.I.ピグメントレッド95、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド119、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド136、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド147、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド164、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド181、C.I.ピグメントレッド182、C.I.ピグメントレッド183、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド200、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド210、C.I.ピグメントレッド211、C.I.ピグメントレッド213、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド223、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド237、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド239、C.I.ピグメントレッド240、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド247、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド251、C.I.ピグメントレッド253、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド256、C.I.ピグメントレッド257、C.I.ピグメントレッド258、C.I.ピグメントレッド260、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド263、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド266、C.I.ピグメントレッド268、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド271、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド279、などが挙げられる。
【0040】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット5:1、C.I.ピグメントバイオレット13、C.I.ピグメントバイオレット19(γ型、β型)、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット25、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット31、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット38、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントバイオレット50、などが挙げられる。
【0041】
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー42、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメント、イエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185およびC.I.ピグメントイエロー213等が挙げられる。
【0042】
橙色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ37、C.I.ピグメントオオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントレンジ55、C.I.ピグメントオレンジ59、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、又はC.I.ピグメントオレンジ74などが挙げられる。
【0043】
茶色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、又はC.I.ピグメントブラウン26などが挙げられる。
【0044】
中でも、好ましい顔料として、黒色顔料としてC.I.ピグメントブラック7、
藍色顔料としてC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、
緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン7、
赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、
紫色顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、
黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー139、
橙色顔料としてC.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ64、
等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも一種または二種以上を使用することが好ましい。
【0045】
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、リトボン、アンチモンホワイト、石膏などの白色無機顔料が挙げられる。無機顔料の中では酸化チタンの使用が特に好ましい。酸化チタンは白色を呈し、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましく、印刷性能の観点から該酸化チタンはシリカおよび/またはアルミナ処理を施されているものが好ましい。
【0046】
白色以外の無機顔料としては、例えば、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、ジルコンが挙げられ、アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
【0047】
前記顔料は、リキッド印刷インキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキ総質量に対して1〜60質量%、インキ中の固形分重量比では10〜90質量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0048】
本発明のリキッド印刷インキでは更に必要に応じて、ワックス、キレート系架橋剤、体質顔料、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
【0049】
本発明のリキッド印刷インキは、バインダー樹脂、顔料などを有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。具体的には、顔料をバインダー樹脂により有機溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、必要に応じて他の化合物などを配合することによりインキを製造することができる。
【0050】
前記顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
【0051】
前記方法で製造されたインキ粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、バインダー樹脂、顔料、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
【0052】
本発明のリキッド印刷インキは、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキとして有用である一方で、版を使用せずインクジェットノズルからインキを吐出するインクジェット方式向けのインキを除くものである。
即ち、インクジェットインキの場合、ノズルから吐出したインク滴が、直接基材に密着し印刷物を形成するのに対し、本発明のリキッド印刷インキは、印刷インキを一旦印刷版又は印刷パターンに密着・転写した後、インキのみを再度基材に密着させ、必要に応じて乾燥させ印刷物とするものである。
本発明のリキッド印刷インキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
【0053】
本発明で使用する基材としては特に限定は無くグラビア・フレキソ印刷分野で通常使用されている紙もしくはプラスチック基材、食品包装分野で使用される軟包装基材を使用すればよい。例えば紙であれば、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等の包材・パッケージ等の印刷に用いられる上質紙、クラフト紙、純白ロール紙、グラシンペーパー、パーチメント紙、マニラボール、白ボール、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙、ポリエチレンコート紙等の紙、各種合成紙、等が挙げられる。
【0054】
フィルム基材は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する場合がある)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂などの生分解性樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂又はそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムが好適に使用できる。これらの基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1〜500μmの範囲であればよい。
基材フィルムの印刷面には、コロナ放電処理がされていることが好ましく、アルミ、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよい。
【実施例】
【0055】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも質量基準によるものとする。
なお、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8420システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgel SuperHZ1000〜4000の4本を使用。
カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。
流速:0.35ml/分。試料濃度:0.3質量%。
試料注入量:10μL(試料濃度0.3質量%のテトラヒドロフラン溶液) 検出器:示差屈折計。
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
また、アミン価は、ポリウレタン樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要となる塩酸の当量と同量の水酸化カリウム(KOH)のmg数を示すものである。その測定方法としては、試料量Pグラム精秤した試料に中性エタノール30mLを添加・溶解させた後、得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価f)で滴定を行う。溶液の色が緑から黄色に変化した時点を終点とみなし、この時の滴定量(HmL)を用いて次の(式1)によりアミン価を求めた。
尚、前記試料とは、各合成例で得られるポリウレタン樹脂溶液を指し、固形分質量換算30%にて算出する。
アミン価=(H×f×0.2×56.108)/P/0.3〔mgKOH/g〕式(1)
【0056】
(ポリウレタン樹脂溶液Puの調製)
撹拌機、温度計、ジムロ−ト型還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、アジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールから得られる数平均分子量5100のポリエステルポリオール264.20部を仕込み、窒素ガスを流し、撹拌しながら50℃に昇温した。続いて、イソホロンジイソシアネート28.01部を加え、イソシアネート基の残存率であるNCO%が1.99%に達する迄90℃で反応させた。冷却後、酢酸n−プロピル157.34部を加え、末端にイソシアネート基を有したウレタンプレポリマー溶液(B2)を得た。
続いて、撹拌機、温度計、ジムロート型還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた、1リットルの四ツ口フラスコに、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン10.96部、モノエタノールアミン1.37部、酢酸n−プロピル411.00部、n−プロピルアルコール142.00部、ウレタンプレポリマー溶液(B2)449.55部を加え、45℃で4時間反応させて、固形分30%、重量平均分子量48,000、アミン価1.5(mgKOH/g)のポリウレタン樹脂溶液Puを得た。
【0057】
(アクリル系樹脂溶液Acの調整)
固形アクリル樹脂(三菱ケミカル(株)製ダイヤナールBR−90)を酢酸エチルにて攪拌溶解して30%溶液とし、これをアクリル系樹脂溶液Acとした。
【0058】
(塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液Evの調整)
水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が質量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸エチルで25%溶液とし、これを塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液Evとした。
【0059】
〔実施例1〕
得られたポリウレタン樹脂溶液Puの固形分を8部、フタロシアニン系青色顔料10部(DIC(株)製FASTGEN Blue LA5380 B15:3)、一般式(1)においてp=0であるイソシアネート化合物としてVencoreX Chemicals社のTolonate X FLO 100を0.06部(インキ固形分に対し0.33質量%)、酢酸エチル66.9部、イソプロピルアルコール10部、メトキシプロパノール5部の混合物(計100部)を練肉し、青色リキッド印刷インキを作製した。
【0060】
〔実施例2〜28、及び比較例1〜20〕
実施例2〜28、比較例1〜20の青色リキッド印刷インキ、白色リキッド印刷インキについて、表1〜6の配合に従い、各々バインダー樹脂に対してVencoreX Chemicals社のTolonate X FLO 100を所定量添加し、実施例1と同様にリキッド印刷インキを作製した。
白インキについては、FASTGEN Blue LA538010部の代わりに、酸化チタンR−830(石原産業株式会社製)20部を使用し白色リキッド印刷インキを作製した。有機溶剤については酢酸エチルの添加量にて適宜調整した。
【0061】
〔評価項目1:粘度安定性〕
得られた青色リキッド印刷インキ、又は白色リキッド印刷インキを各々ガラス瓶に採取し、60℃で20日間保存を行ない、その後、離合社製ザーンカップ#4を用いて保存前と保存後の粘度変化を次の5段階にて評価した。
(評価基準)
5:粘度差が2秒未満で、粘度変化がほとんど無い。
4:粘度差が2秒以上5秒未満であり、粘度変化が僅かに見られる。
3:粘度差が5秒以上10秒未満であり、粘度変化がやや多い。
2:粘度差が10秒以上15秒未満であり、粘度変化が多い。
1:粘度差が15秒以上であり、粘度変化が非常に多い。
【0062】
〔フィルム印刷物の製造方法〕
得られたリキッド藍インキ、又はリキッド白インキの粘度を酢酸エチル/イソプロピルアルコール=50/50(質量比)の混合溶剤でザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機により、片面にコロナ処理を施した二軸延伸ポリエステルフィルムU(以下、PETフィルム、東洋紡績株式会社製 E−5100 厚さ12μm)、二軸延伸ポリプロピレンフィルムV(以下、OPPフィルム、東洋紡績株式会社製 P2161 厚さ20μm)についてはコロナ処理面側に印刷し、45℃で乾燥し印刷物を得た。
また収縮フィルムについては収縮PETフィルム(東洋紡績株式会社製スペースクリーンS7042 厚さ40μm)を用いコロナ処理面にグラビア印刷し40℃で乾燥して印刷物を得た。
得られた印刷物について、耐油性、耐サリチル酸メチル性、耐ブロッキング性、ハイライト転移点、及び版カブリ性について下記の試験方法に従って評価を行った。
【0063】
〔評価項目2:耐油性〕
各フィルム印刷物の印刷面を学振型耐摩擦試験機を用いて、食用サラダ油:バターを1:1でしみ込ませたあて布で200gの荷重下100回摩擦し、印刷面の変化から耐油性を評価した。あて布の着色程度は、青インキの青色、又は白インキの白色で評価した。
(評価基準)
5:印刷面、あて布ともに変化なし。
4:印刷面に変化はないが、あて布が着色する。
3:印刷面に筋状の傷が認められる。
2:印刷面に太く筋状の傷が認められる。
1:印刷面に面状の傷が認められる。
【0064】
〔評価項目3:耐サリチル酸メチル性〕
各フィルム印刷物の印刷面を学振型耐摩擦試験機を用いて、サリチル酸メチルを0.2gをしみ込ませたあて布で200gの荷重下100回摩擦し、印刷面の変化から耐油性を評価した。あて布の着色程度は、青インキの青色、又は白インキの白色で評価した。
(評価基準)
5:印刷面、あて布ともに変化なし。
4:印刷面に変化はないが、あて布が着色する。
3:印刷面に筋状の傷が認められる。
2:印刷面に太く筋状の傷が認められる。
1:印刷面に面状の傷が認められる。
【0065】
〔評価項目4:耐ブロッキング性〕
各フィルム印刷物の印刷面と非印刷面が接触するようにフィルムを重ね合わせ、10kgf/cm
2の加重をかけ、40℃の環境下に12時間経時させ、取り出し後、非印刷面へのインキの転移の状態を、次の5段階で目視評価した。3以上であれば使用可能とした。
(評価基準)
5:非印刷面へのインキの転移量0%で転移が見られない。
4:5%未満の僅かな転移が見られる。
3:5%以上〜10%未満の転移が見られる。
2:10%以上〜20%未満の転移が見られる。
1:20%以上が転移している。
【0066】
〔評価項目5:ハイライト転移性/版カブリ性〕
カスレ試験にて、フィルム印刷物の製造方法に記載の版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機の版円周600mmφを使用し、200m/minの印刷速度した際のハイライト印刷部分(網点面積10%未満)におけるカスレの面積の割合でハイライト転移性と、非印刷部の汚れ具合で版カブリ性を目視評価した。
(評価基準)
5:カスレが全くなく、非印刷部の汚れもない。
4:カスレが少し見られる 、若しくは非印刷部に汚れが少しみられる。
3:カスレが少し見られ 、且つ非印刷部に汚れが少し見られる。
2:カスレが見られ 、且つ非印刷部に汚れが見られる。
1:カスレが多く見られ、且つ非印刷部にも汚れが多く見られる。
【0067】
〔評価項目6:各種フィルムへの密着性〕
前記フィルム印刷物の製造方法で得られた印刷物を25℃にて1日放置後、印刷面にセロハンテープ(ニチバン製12mm幅)を貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を次の5段階で目視判定した。
5:印刷皮膜が全く剥がれなかった。
4:印刷皮膜の70%以上〜90%未満がフィルムに残った。
3:印刷皮膜の50%以上〜70%未満がフィルムに残った。
2:印刷皮膜の30%以上〜50%未満がフィルムに残った。
1:印刷皮膜が30%未満しか残らなかった。
【0068】
〔評価項目7:押し出しラミネート強度〕
前記フィルム印刷物にイソシアネート系のアンカーコート剤を使用し、押し出しラミネート機によって溶融ポリエチレンを積層させた。その後40℃で5日間エージングを施し押し出しラミネート物を得た。
得られたラミネート物を15mm幅に切り出し、引っ張り速度300mm/分で90度の剥離試験を行った。
(評価基準)
5:ラミネート強度が5N/15mm以上である。
4:ラミネート強度が4N/15mm以上〜5N/15mm未満である。
3:ラミネート強度が3N/15mm以上〜4N/15mm未満である。
2:ラミネート強度が2N/15mm以上〜3N/15mm未満である 。
1:ラミネート強度が1N/15mm未満である。
【0069】
〔評価項目8:ドライラミネート強度〕
前記フィルム印刷物の印刷面に、ウレタン系のドライラミネート接着剤ディックドライLX−703VL/KR−90(DIC製)をドライラミネート機(DICエンジニアリング製)を使用して塗工し、接着剤塗工面に無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、R−CPP:東レ合成フィルム社製 ZK−75 50μm)を積層させた。その後40℃で5日間エージングを施しラミネート物を得た。
得られたラミネート物を押し出しラミネート強度の測定と同様に15mm幅に切り出し、引っ張り速度300mm/分で90度の剥離試験を行った。
(評価基準)
5:ラミネート強度が5N/15mm以上である。
4:ラミネート強度が4N/15mm以上〜5N/15mm未満である。
3:ラミネート強度が3N/15mm以上〜4N/15mm未満である。
2:ラミネート強度が2N/15mm以上〜3N/15mm未満である 。
1:ラミネート強度が1N/15mm未満である。
【0070】
〔評価項目9:耐収縮割れ性〕
前記収縮PETフィルム印刷物の製造方法で得られた印刷物を25℃にて1日放置後、印刷物を15cm×15cmにカットし、80℃のオーブンに30秒放置し印刷物を収縮させた。印刷物の収縮後の印刷皮膜のインキの外観の状態を次の5段階で目視判定した。
(評価基準)
5:印刷皮膜が収縮したフィルムに完全に追随しており変化がなかった。
4:印刷皮膜の20%未満にインキの割れが見られた。
3:印刷皮膜の20%以上〜40%未満にインキの割れが見られた。
2:印刷皮膜の40%以上〜60%未満にインキの割れが見られた。
1:印刷皮膜が60%以上にインキの割れが見られた。
【0071】
表1〜6に各青色リキッド印刷インキ、白色リキッド印刷インキの組成、及び評価結果を示す。表中の空欄は未配合であることを示す。また表中の評価結果の空欄は、評価対象外である事を示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
評価結果より本発明のリキッド印刷インキは、耐油性、耐ブロッキング性、ハイライト転移性、版カブリ性、粘度安定性、耐サリチル酸メチル性等の基本性能を保持しつつ、表刷りにおいては要求されるフィルム密着性や耐収縮割れ性や、表刷り・裏刷りに対しラミネート加工する場合の基材との密着性、押し出しラミネート強度、ドライラミネート強度を兼備したリキッド印刷インキが得られる。