特開2021-67040(P2021-67040A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 田中鉄筋工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2021067040-H鋼の連結構造 図000003
  • 特開2021067040-H鋼の連結構造 図000004
  • 特開2021067040-H鋼の連結構造 図000005
  • 特開2021067040-H鋼の連結構造 図000006
  • 特開2021067040-H鋼の連結構造 図000007
  • 特開2021067040-H鋼の連結構造 図000008
  • 特開2021067040-H鋼の連結構造 図000009
  • 特開2021067040-H鋼の連結構造 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-67040(P2021-67040A)
(43)【公開日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】H鋼の連結構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20210402BHJP
【FI】
   E04B1/58 503G
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-191606(P2019-191606)
(22)【出願日】2019年10月19日
(71)【出願人】
【識別番号】594026251
【氏名又は名称】田中鉄筋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】田中 進
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AB01
2E125AC15
2E125AG03
2E125AG12
2E125AG23
2E125BE01
2E125BE05
2E125CA05
2E125CA14
2E125CA78
2E125EA01
(57)【要約】
【課題】H鋼とH鋼の端面を正確に位置決めする必要がなく、また、連結プレートを用いることなく、それぞれのH鋼とH鋼を連結できるようにしたH鋼の連結構造を提供する。
【解決手段】第一H鋼2および第二H鋼3を長手方向の軸方向に連結させる場合、第一H鋼2における第一フランジ部21の端部に、前記第二H鋼3のウェブ33を端部から挿入させるための第一スリット部24を形成する。また、第一H鋼2のウェブ23と第二H鋼3のウェブ33や第二フランジ部32との干渉を防止するための切欠部41をウェブ23に設け、それぞれの第一H鋼2と第二H鋼3をオーバーラップさせた状態でボルト51やナット52で固定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に設けられた第一フランジ部と第二フランジ部の間にウェブを設けてなる第一H鋼および第二H鋼を長手方向の軸方向に連結させるH鋼の連結構造において、
前記第一H鋼における第一フランジ部の端部から軸方向に沿って形成され、前記第二H鋼のウェブを端部から挿入できるように形成した第一スリット部と、
当該第二H鋼のウェブを前記第一スリット部に挿入させる際に、前記第二H鋼と第一H鋼におけるウェブと第二フランジ部との干渉を退避する退避部と、
前記第一スリット部および退避部によって、それぞれの第一フランジ部、第二フランジ部をオーバーラップさせた状態で、前記第一H鋼と第二H鋼を固定する固定部と、
を備えたことを特徴とするH鋼の連結構造。
【請求項2】
前記第一スリット部が、第一フランジ部の軸方向と直交する方向の中心位置に形成されるものであり、
前記退避部が、第一H鋼のウェブを端部から前記第一スリット部に対応する長さだけ切り欠いて形成される切欠部で構成されるものである請求項1に記載のH鋼の連結構造。
【請求項3】
前記第一スリット部が、第一フランジ部の軸方向と直交する方向の中心位置からずれた位置に形成されるものであり、
前記退避部が、第二H鋼のウェブを前記第一スリット部に挿入させた際に、前記第二H鋼の第二フランジ部を前記第一H鋼のウェブに挿入させるように第一H鋼のウェブに形成した第二スリット部で構成されるものである請求項1に記載のH鋼の連結構造。
【請求項4】
前記第一スリット部が、第一フランジ部の軸方向と直交する方向の中心位置からずれた位置に形成されるものであり、
前記退避部が、第二H鋼のウェブを前記第一スリット部に挿入させた際に、前記第一H鋼のウェブを前記第二H鋼の第二フランジ部に挿入させるように第二H鋼の第二フランジ部に形成した第三スリット部で構成されるものである請求項1に記載のH鋼の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、H鋼とH鋼を長手方向の軸に沿って連結させるようにしたH鋼の連結構造に関するものであり、より詳しくは、連結プレートなどを用いることなく、H鋼とH鋼を連結できるようにしたH鋼の連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、H鋼は鉄骨構造体の骨組みを形成する際に使用されており、柱や梁、橋梁骨材、法面の補強構造体などとして使用されている。
【0003】
このようなH鋼を使用する場合、一般的には、H鋼の端面と端面を密着させるように位置させ、その状態で、上フランジ部や下フランジ部に連結プレートを密着させてボルトやナットで固定させたり、あるいは、ウェブの表裏に連結プレートを密着させて、ボルトやナットで固定させたりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−57233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようにH鋼とH鋼を連結させる場合、次のような問題があった。
【0006】
すなわち、H鋼とH鋼を連結させる場合、H鋼をクレーンで吊るした状態で、それぞれの端面を正確に一致させ、連結プレートを介してボルトやナットで固定しなければならなかった。しかるに、H鋼をクレーンで吊るした状態でそれぞれの端面を正確に一致させるには、人手による作業が必要であるものの、H鋼は非常に重いものであるため、それぞれのH鋼の端面を正確に一致させる作業や、連結プレートを密着させてボルトで締結させる作業を行うのには、時間が掛かるといった問題があった。
【0007】
また、H鋼とH鋼を連結させる際には、複数枚の連結プレートが必要となるため、その部材のコストや、複数枚の連結プレートを持ち運ぶための作業や締結作業に非常に手間がかかるといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、H鋼とH鋼の端面を正確に位置決めする必要がなく、また、連結プレートを用いることなく、それぞれのH鋼とH鋼を連結できるようにしたH鋼の連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、平行に設けられた第一フランジ部と第二フランジ部の間にウェブを設けてなる第一H鋼および第二H鋼を長手方向の軸方向に連結させるH鋼の連結構造において、前記第一H鋼における第一フランジ部の端部から軸方向に沿って形成され、前記第二H鋼のウェブを端部から挿入できるように形成した第一スリット部と、当該第二H鋼のウェブを前記第一スリット部に挿入させる際に、前記第二H鋼と第一H鋼におけるウェブと第二フランジ部との干渉を退避する退避部と、前記第一スリット部および退避部によって、それぞれの第一フランジ部、第二フランジ部をオーバーラップさせた状態で、前記第一H鋼と第二H鋼を固定する固定部とを備えるようにしたものである。
【0010】
このように、一方のH鋼に設けられた第一スリット部に他方のH鋼のウェブを挿入させるようにすれば、それぞれのH鋼の端部をオーバーラップさせた状態で連結させることができるため、従来のように、それぞれの端面を正確に位置決めして連結プレートで連結するといった作業が不要になる。これにより、連結作業を簡単に行わせることができるとともに、連結プレートが不要になるため、コストの低減を図ることができるようになる。
【0011】
また、このような発明において、前記第一スリット部を、第一フランジ部の前記長手方向に沿った軸方向と直交する方向の中心位置に形成し、前記退避部を、第一H鋼のウェブを端部から前記第一スリット部に対応する長さだけ切り欠いて形成するようにしておく。
【0012】
このように構成すれば、第二H鋼を連結させる際に、それぞれの長手方向に沿った軸を一致させることができるようになる。
【0013】
あるいは、前記第一スリット部を、第一フランジ部の長手軸方向と直交する方向の中心位置からずれた位置に設け、前記退避部を、第二H鋼のウェブを前記第一スリット部に挿入させた際に、前記第二H鋼の第二フランジ部を前記第一H鋼のウェブに挿入させるように第一H鋼のウェブに形成した第二スリット部で構成する。
【0014】
もしくは、前記第一スリット部を、第一フランジ部の長手軸方向と直交する方向の中心位置からずれた位置に設け、前記退避部を、第二H鋼のウェブを前記第一スリット部に挿入させた際に、第一H鋼のウェブを前記第二H鋼の第二フランジ部に挿入させるように第二H鋼の第二フランジ部に形成した第三スリット部で構成する。
【0015】
このように構成すれば、ウェブを大きく切り欠く必要がなく、また、ウェブ同士もオーバーラップさせて、ボルトやナットで固定することができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、平行に設けられた第一フランジ部と第二フランジ部の間にウェブを設けてなる第一H鋼および第二H鋼を長手方向の軸方向に連結させるH鋼の連結構造において、前記第一H鋼における第一フランジ部の端部から軸方向に沿って形成され、前記第二H鋼のウェブを端部から挿入できるように形成した第一スリット部と、当該第二H鋼のウェブを前記第一スリット部に挿入させる際に、前記第二H鋼と第一H鋼におけるウェブと第二フランジ部との干渉を退避する退避部と、前記第一スリット部および退避部によって、それぞれの第一フランジ部、第二フランジ部をオーバーラップさせた状態で、前記第一H鋼と第二H鋼を固定する固定部とを備えるようにしたので、一方のH鋼に設けられた第一スリット部に他方のH鋼のウェブを挿入させるようにすれば、それぞれのH鋼の端部をオーバーラップさせた状態で連結させることができるため、従来のように、それぞれの端面を正確に位置付けして連結プレートで連結するといった作業が不要になる。これにより、連結作業を簡単に行わせることができるとともに、連結プレートが不要になるため、コストの低減を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態におけるH鋼を示す図
図2図1におけるH鋼を連結させた状態を示す図
図3】第二の実施の形態におけるH鋼を示す図
図4図3におけるH鋼を連結させた状態を示す図
図5図4におけるA−A断面図
図6】第三の実施の形態におけるH鋼の端部を示す図
図7図5におけるH鋼を連結させた状態を示す図
図8図7におけるB−B断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
この実施の形態におけるH鋼の連結構造1は、一例として、法面の土砂崩れを防止する構造体などに適用されるものであって、複数のH鋼を長手方向に沿った軸方向に連結させて使用されるものである。具体的には、図1図2などに示されるように、第一H鋼2と第二H鋼3を連結させる際に、第一H鋼2における第一フランジ部21の端部から長手方向に軸に沿って形成され、第二H鋼3のウェブ33を挿入できるようにした第一スリット部24と、第二H鋼3のウェブ33を前記第一スリット部24に挿入させる際に、第二H鋼3における第二フランジ部32と、第一H鋼2におけるウェブ23との干渉を避けるための退避部4を設けるようにしたものである。そして、第一スリット部24に前記第二H鋼3のウェブ33を挿入させるとともに、退避部4によって、第二H鋼3における第二フランジ部32と第一H鋼2のウェブ23との干渉を退避させることによって、それぞれの端部近傍の第一フランジ部21と第二フランジ部22同士をオーバーラップさせて連結させ、ボルト51やナット52などの固定部5を用いて固定できるようにしたものである。以下、本実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
<第一の実施の形態>
【0021】
まず、H鋼は、図1に示すように、互いに平行に設けられた平板状の第一フランジ部21、31および第二フランジ部22、32と、これらの第一フランジ部21、31および第二フランジ部22、32の間の中央部分を連結するウェブ23、33とを備えて構成される。なお、このようなH鋼のうち、片側のH鋼を第一H鋼2とし、他方側のH鋼を第二H鋼3として説明する。
【0022】
この第一H鋼2の第一フランジ部21の端部には、第一H鋼2の長手方向の軸に沿った第一スリット部24が形成される。この第一スリット部24は、溶接機などによって形成されるものであって、その内側の開口幅を、第二H鋼3のウェブ33の厚みに対応した幅としている。また、その第一スリット部24の長手方向の長さは、第一H鋼2と第二H鋼3の端部をオーバーラップさせた際に、連結部分の強度を保てるような寸法に設定されており、例えば、ボルト51を長手方向に沿って3箇所以上取り付けられるような寸法としている。そして、このように形成された第一スリット部24に第二H鋼3のウェブ33を挿入できるようにしている。
【0023】
このような第一スリット部24に第二H鋼3のウェブ33を挿入させる際、第一H鋼2のウェブ23が長手方向の端部まで設けられていると、そのウェブ23と第二H鋼3のウェブ33や第二フランジ部32が干渉してしまい、第一スリット部24に第二H鋼3のウェブ33を挿入させることができなくなってしまう。そこで、これらの干渉を防止するための退避部4を設けるようにしている。
【0024】
第一の実施の形態では、図1に示すように、この退避部4として、第一H鋼2のウェブ23を端部から全体的に切り欠いた切欠部41を形成して設けるようにしている。この切欠部41は、第一スリット部24の奥方24aの端部までウェブ23を全体的に切り欠いて構成されており、溶接機などによってウェブ23を切り欠いて形成されている。
【0025】
また、この第一H鋼2や第二H鋼3における第一フランジ部21、31および第二フランジ部22、32には、固定部5であるボルト51を挿入するための穴部50が形成されている。この穴部50は、第一スリット部24に第二H鋼3を挿入させて奥方24aに当接させた際に、それぞれの穴部50の位置が一致するような位置に設けられており、これによって、ボルト51を挿入させてナット52で締結させられるようにしている。なお、ここでは、固定部5としてボルト51とナット52で構成するようにしているが、穴部50の内側壁面にネジ山を形成しておき、ボルト51をそのネジ山に螺着させるようにしてもよいし、あるいは、ピンなどで固定するようにしてもよい。
【0026】
このように構成された第一H鋼2を第二H鋼3に連結させる場合の連結方法について、図2などを用いて説明する。
【0027】
まず、第一H鋼2を第二H鋼3に連結させる場合、第一H鋼2の端部を第二H鋼3の端部に近づけ、第一H鋼2の第一スリット部24を第二H鋼3のウェブ33に挿入させる。このとき、第一H鋼2の長手方向の端部近傍には、ウェブ23を切り欠いた切欠部41が設けられているため、第二H鋼3のウェブ33や第二フランジ部32が第一H鋼2のウェブ23に干渉することがなく、第一H鋼2を軸方向に挿入させることができるようになる。このように、第一スリット部24に第二H鋼3のウェブ33を挿入させることにより、第一H鋼2の第二フランジ部22が第二H鋼3の第二フランジ部32の外側に位置した状態で第一H鋼2と第二H鋼3を仮止めすることができる。そして、第一フランジ部21、31と第二フランジ部22、32を密着させた状態で、穴部50にボルト51を挿入させて、ナット52で締結させるようにする。
【0028】
このようにすれば、従来のようにそれぞれのH鋼の端面を正確に位置決めした後、連結プレートを取り付けてボルトで締結させる必要がなくなるため、第一スリット部24にウェブ33を挿入させるだけで第一H鋼2と第二H鋼3を連結させることができるようになる。
【0029】
<第二の実施の形態>
【0030】
次に、第二の実施の形態について、図3から図5を用いて説明する。
【0031】
上記第一の実施の形態では、第一H鋼2のウェブ23を端部から全体的に切り欠いて切欠部41を構成するようにしたが、この実施の形態では、図3図5に示すように、第一H鋼2のウェブ23に、第二H鋼3の第二フランジ部32を挿入させるような第二スリット部42を形成するようにしたものである。以下に、第二の実施の形態について詳細に説明する。なお、第一の実施の形態と同じ符号を示したものは、同じ構成を有するものとして説明を省略する。
【0032】
まず、この実施の形態における第一H鋼2の第一フランジ部21の端部には、第一の実施の形態と同様に、第一H鋼2の長手方向の軸に沿った第一スリット部24が形成される。この第一スリット部24は、第二の実施の形態においては、第一フランジ部21の短手方向の中央から第二H鋼3のウェブ33の厚み幅分だけずらした位置に形成されている。
【0033】
次に、この実施の形態における退避部4は、第一H鋼2のウェブ23の第二フランジ部22との境界部分であって、第一スリット部24と同様の長手方向に沿った第二スリット部42を設けて構成される(図5参照)。この第二スリット部42は、第二H鋼3の第二フランジ部32を挿入させることができるように構成されており、第一スリット部24と同じ長さ寸法に形成される。
【0034】
また、この第一H鋼2や第二H鋼3における第一フランジ部21、31および第二フランジ部22、32には、固定部5であるボルト51(図3などでは省略)を挿入するための穴部50が形成されている。この穴部50は、第一スリット部24や第二スリット部42を第二H鋼3に挿入させて奥方に当接させた際に、それぞれの穴部50が一致するような位置に設けられる。
【0035】
次に、このように構成された第一H鋼2を第二H鋼3に連結させる場合の連結方法について、図4などを用いて説明する。
【0036】
まず、第一H鋼2を第二H鋼3に連結させる場合、第一H鋼2の端部を第二H鋼3の端部に近づけ、第一H鋼2の第一スリット部24に第二H鋼3のウェブ33を挿入させる。この第一スリット部24に第二H鋼3のウェブ33を挿入させる際、第一スリット部24が、短手方向の中央から第二H鋼3のウェブ33の厚み分だけすれた位置に設けられているため、第一H鋼2のウェブ23と第二H鋼3のウェブ33が干渉することがない。しかしながら、このように第一H鋼2のウェブ23の長手方向の端部と、第二H鋼3の第二フランジ部32とが干渉してしまうことなる。
【0037】
これに対して、本実施の形態においては、第一H鋼2のウェブ23の第二フランジ部22との境界部分に、第二H鋼3の第二フランジ部32を挿入できるようにした第二スリット部42を設けるようにしているため、この第二スリット部42に第二H鋼3の第二フランジ部32部を挿入させることができ、互いに干渉することなく、第一H鋼2を第二H鋼3に挿入させることができるようになる。
【0038】
そして、このように第一H鋼2と第二H鋼3の端部をオーバーラップさせた状態で、それぞれの穴部50に図示しないボルトやナットを取り付けて固定する。
【0039】
なお、この第二の実施の形態では、それぞれのウェブ23、33についてもオーバーラップさせることができるため、ウェブ23、33にも図示しない穴部を設けてボルトやナットで固定するようにしてもよい。
【0040】
このように第二の実施の形態によっても、従来のようにH鋼の端面を正確に位置決めして連結プレートで固定する必要がなくなるため、第一スリット部24にウェブ33を挿入させるとともに、第二スリット部42に第二フランジ部32を挿入させるだけで、第一H鋼2と第二H鋼3を連結させることができるようになる。また、第二の実施の形態では、それぞれのウェブ23、33についてもオーバーラップさせることができるため、そこにボルト51やナット52を用いて固定することができる。
【0041】
<第三の実施の形態>
【0042】
次に、第三の実施の形態について、図6から図8を用いて説明する。
【0043】
上記第二の実施の形態では、第一H鋼2に第一スリット部24と第二スリット部42の二つのスリット部を設けるようにしたが、この第三の実施の形態では、第一H鋼2に第一スリット部24を設けるとともに、第二H鋼3側に、第三スリット部43を設けるようにしている。以下、第三の実施の形態について詳細に説明するが、前記実施の形態と同じ符号を示したものは、同じ構成を有するものとして、説明を省略する。
【0044】
この実施の形態における第一スリット部24は、第二の実施の形態と同様に、第一フランジ部21の短手方向の中央から第二H鋼3のウェブ33の厚み幅分だけずらした位置に設けられる。
【0045】
一方、退避部4は、この実施の形態では、第二H鋼3の第二フランジ部32側に設けられる(図6図8参照)。
【0046】
具体的には、退避部4を構成する場合、第二H鋼3の第二フランジ部32に、第一H鋼2のウェブ23を挿入できるようにした第三スリット部43を設けて構成している。この第三スリット部43は、第二H鋼3の第二フランジ部32の短手方向の中央からウェブ23の厚み幅分だけずらした位置に設けられており、これにより、互いのウェブ23、33を干渉させることなく、第一H鋼2のウェブ23を第三スリット部43の端部から挿入させることができるようにしている。
【0047】
このように構成された第一H鋼2と第二H鋼3とを連結する方法について、図7などを用いて説明する。
【0048】
まず、第一H鋼2を第二H鋼3に連結させる場合、第一H鋼2の端部を第二H鋼3の端部に近づけ、第一H鋼2の第一スリット部24を第二H鋼3のウェブ33に挿入させる。このとき、第一H鋼2の第一スリット部24に第二H鋼3のウェブ33を挿入させると、第一スリット部24が、短手方向に沿ってウェブ23の厚み幅分だけすれた位置に設けられているため、第一H鋼2のウェブ23と第二H鋼3のウェブ33が互いに干渉することなく、第二H鋼3のウェブ33を第一スリット部24に挿入させることができるようになる。しかしながら、第一H鋼2のウェブ23と第二H鋼3の第二フランジ部32とが干渉してしまうことなる。
【0049】
これに対して、第三の実施の形態では、第二H鋼3の第二フランジ部32に、第一H鋼2のウェブ23を挿入させるようにした第三スリット部43を設けているため、第一H鋼2のウェブ33と第二H鋼3の第二フランジ部32を干渉させることなく、第一H鋼2を第二H鋼3に挿入させることができるようになる。
【0050】
そして、このように第一H鋼2と第二H鋼3の端部をオーバーラップさせた状態で、それぞれの穴部50に図示しないボルト51やナット52を取り付けて固定させる。このときも、ウェブ23もオーバーラップしているため、ウェブ23に図示しない穴部を設けて、ボルトやナットで固定させるようにしてもよい。
【0051】
このように第三の実施の形態においても、従来のようにそれぞれのH鋼の端面を正確に位置決めしてボルトで締結させる必要がなくなるため、第一スリット部24にウェブ33を挿入させるとともに、第三スリット部43にウェブ23を挿入させるだけで、第一H鋼2と第二H鋼3とを連結させることができるようになる。また、第三の実施の形態では、それぞれのウェブ23についてもオーバーラップさせることができるため、そこに図示しないボルト51やナット52などを用いて固定することができるようになる。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0053】
例えば、上記実施の形態では、第一スリット部24や第二スリット部42、第三スリット部43を第一H鋼2もしくは第二H鋼3側にのみ設ける場合を説明したが、それぞれのH鋼に浅めのスリット部を形成して互いに噛み合わせるようにして、それぞれのスリット部に挿入させるようにしてもよい。
【0054】
また、長いH鋼をそれぞれ連結させる場合について説明したが、柱に梁を連結させる場合は、柱の側面に設けられたH形状の連結部分にH鋼の梁を連結させる場合についても適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・H鋼の連結構造
2・・・第一H鋼
21・・・第一フランジ部
22・・・第二フランジ部
23・・・ウェブ
24・・・第一スリット部
3・・・第二H鋼
31・・・第一フランジ部
32・・・第二フランジ部
33・・・ウェブ
4・・・退避部
41・・・切欠部
42・・・第二スリット部
43・・・第三スリット部
5・・・固定部
50・・・穴部
51・・・ボルト
52・・・ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8