(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-67067(P2021-67067A)
(43)【公開日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】スイングドアの装置
(51)【国際特許分類】
E05F 5/00 20170101AFI20210402BHJP
E05F 15/627 20150101ALI20210402BHJP
E05F 15/63 20150101ALI20210402BHJP
【FI】
E05F5/00 A
E05F15/627
E05F15/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-192366(P2019-192366)
(22)【出願日】2019年10月22日
(71)【出願人】
【識別番号】516000321
【氏名又は名称】AMYドアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103067
【弁理士】
【氏名又は名称】神戸 真澄
(72)【発明者】
【氏名】横井 裕治裕治横井 裕治横井 裕治横井 裕治
(72)【発明者】
【氏名】横井 堂好
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052CA06
2E052DA04
2E052DA06
2E052DB04
2E052DB06
2E052EA03
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA10
2E052GB13
2E052GB15
2E052GC01
2E052GC03
2E052GC05
2E052GC07
2E052GD09
2E052JA03
2E052KA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スイングドアの開閉を自動化し、戸の開放及び閉鎖の状態において、電磁ブレーキにより戸を開放又は閉鎖状態で拘束することで、使い易いスイングドアを提供する。
【解決手段】スイングドア機構は、モータ31の回転により主プーリー33、タイミングベルト35を介して、電磁ブレーキ52の回転軸に設けられた従動プーリー54に伝達し、電磁ブレーキ52の回転軸に一端部が連結固定された伝達部材60と、伝達部材60の他端部に回動可能に連結され、側面に溝を有するローラ82の軸を立設固定された移動部材70と、ローラ82の溝を摺動回転すると共に、戸の上端部に水平方向に連結固定された案内部材90とを備え、ブレーキ制御部は、モータ31の位置を検出して位置検出信号に基づいて、戸が開放端、閉鎖端であることをそれぞれ検出して端部検出信号を発生すると、電磁ブレーキ52を拘束するものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸をヒンジにより開閉可能にし、モータの回転に基づいて前記戸を開閉するスイングドア機構と、開放指令信号又は、閉成指令信号に基づいて生成された制御指令信号に基づいてモータを回転することにより戸を開放したり、閉成したりするスイングドアの装置であって、
前記スイングドア機構は、前記モータの第1の回転軸に設けられた主プーリーに掛けられたタイミングベルトを介して回転可能にする従動プーリーを有し、この従動プーリーに第2の回転軸を連結固定すると共に、ブレーキ制御手段により電源の遮断又は投入して制動トルクを付与する電磁ブレーキと、
前記第2の回転軸に一端部が連結固定された長尺状の伝達部材と、
この伝達部材の他端部に回動可能に連結され、側面に溝を有するローラの軸を立設固定された移動部材と、
前記ローラの溝を摺動回転すると共に、前記戸の上端部に水平方向に連結固定された長尺状の案内部材とを備えており、
前記ブレーキ制御手段は、前記モータの位置を検出して位置検出信号に基づいて、前記戸が開放端、閉鎖端であることをそれぞれ検出して端部検出信号を発生する端部検出手段と、
前記制御指令信号に基づいて解除信号を発生する拘束解除手段と、を備え、
前記端部検出信号に基づいて前記電磁ブレーキを拘束し、前記解除信号に基づいて前記電磁ブレーキを解放する、
ことを特徴とするスイングドアの装置。
【請求項2】
前記電磁ブレーキは、印加電圧値を高くすることにより前記制動トルクが小さくなる特性を有しており、
前記モータの制御指令信号を開放する第1のスイッチ手段と、
前記第1のスイッチ手段とインターロックの関係を有すると共に、オンにより手動信号を発生する第2のスイッチ手段と、
前記拘束解除手段は、さらに、前記手動信号に基づいて前記解除信号を発生し、
前記ブレーキ制御手段は、さらに、前記拘束させる第1の電圧値よりも低い第2の電圧値を印加する電圧印加手段と、を備え、
前記第2のスイッチ手段は、前記電圧印加手段から前記電磁ブレーキに前記第2の電圧値を印加すると共に、前記第1のスイッチ手段を開放する、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイングドアの装置。
【請求項3】
前記制御指令信号は速度指令信号であり、
前記モータの回転に基づいて速度を検出して速度検出信号を発生する速度検出手段と、
前記速度指令信号と前記速度検出信号との差となる速度偏差値を求める速度偏差手段と、
前記速度偏差値が予め定められた速度偏差閾値を越えると、異常信号を発生する異常判断手段と、を備え
前記ブレーキ制御手段は、さらに、前記異常信号に基づいて前記電磁ブレーキを拘束する、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイングドアの装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイングドアの装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスイングドアの装置は、下記特許文献1に記載のように、ドアチェック機構11のドアチェッカー3と、ドア10の開閉速度を検出する速度センサ6と、ドアチェッカー3の動きを回転運動に変換する運動変換機構4と、ブレーキ機構5と、ドアノブ12の操作状況を検出するドアノブ操作検出センサ2と、ドアノブ操作の継続状況を判断する判定回路7と、ドアノブ操作検出センサ2、速度センサ6の各検出信号と判定回路7の判定に基づいてブレーキ機構5を作動させる制御回路8とを具備し、速度センサ6で検出したドア10の開き速度が所定値以上のとき、またはドア10が開かれている状況下でドアノブ操作が行われなくなったと判定回路7が判定したときに、制御回路8からの指令でブレーキ機構5が作動するものにした。ドアチェック機構のドアチェッカー と、ドアの開閉速度を検出する速度センサと、ドアチェッカーの動きを回転運動に変換する運動変換機構と、ブレーキ機構と、ドアノブの操作状況を検出するドアノブ操作検出センサと、ドアノブ操作の継続状況を判断する判定回路と、ドアノブ操作検出センサ、速度センサの各検出信号と判定回路の判定に基づいてブレーキ機構を作動させる制御回路とを具備し、速度センサで検出したドアの開き速度が所定値以上のとき、またはドアが開かれている状況下でドアノブ操作が行われなくなったと判定回路が判定したときに、制御回路からの指令でブレーキ機構が作動するものにした。
【0003】
上記スイングドアの装置によれば、強風等によるドアの勢い余る開きを制御し、ドアチェック機構、ドアヒンジ部、ドアの破損を防止することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−217031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記スイングドアの装置では、利用者が手でスイングドアを開閉する際の強風などによるドアが勢いよく開閉することを防止する技術に関するもので、スイングドアの開閉をモータの回転に基づく駆動制御により自動化した技術ではなかった。発明者は、スイングドアの開閉を自動化すると共に、自動化した際にモータの駆動制御が終了するスイングドアの開放及び閉鎖の状態において、強風などにより勝手にスイングドアが開放したり、閉鎖したりするという課題を見出した。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、スイングドアの開閉を自動化すると共に、自動化した際にモータの駆動制御が終了する開放及び閉鎖の状態において、電磁ブレーキによりスイングドアを開放又は閉鎖状態で拘束することにより、使い易いスイングドアの装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係るスイングドアの装置は、戸をヒンジにより開閉可能にし、モータの回転に基づいて前記戸を開閉するスイングドア機構と、開放指令信号又は、閉成指令信号に基づいて生成された制御指令信号に基づいてモータを回転することにより戸を開放したり、閉成したりするスイングドアの装置であって、
前記スイングドア機構は、前記モータの第1の回転軸に設けられた主プーリーに掛けられたタイミングベルトを介して回転可能にする従動プーリーを有し、この従動プーリーに第2の回転軸を連結固定すると共に、ブレーキ制御手段により電源の遮断又は投入して制動トルクを付与する電磁ブレーキと、
前記第2の回転軸に一端部が連結固定された長尺状の伝達部材と、
この伝達部材の他端部に回動可能に連結され、側面に溝を有するローラの軸を立設固定された移動部材と、
前記ローラの溝を摺動回転すると共に、前記戸の上端部に水平方向に連結固定された長尺状の案内部材とを備えており、
前記ブレーキ制御手段は、前記モータの位置を検出して位置検出信号に基づいて、前記戸が開放端、閉鎖端であることをそれぞれ検出して端部検出信号を発生する端部検出手段と、
前記制御指令信号に基づいて解除信号を発生する拘束解除手段と、を備え、
前記端部検出信号に基づいて前記電磁ブレーキを拘束し、前記解除信号に基づいて前記電磁ブレーキを解放する、
ことを特徴とするものである。
このようなスイングドアの装置よれば、スイングドアの機構は、モータの回転に伴い主プーリー、タイミングベルトを介して電磁ブレーキに設けられた従動プーリーも回転し、電磁ブレーキの第2の軸に一端部が連結固定された伝達部材も回転して、伝達部材の他端部に回動可能に連結された移動部材も回転し、移動部材に設けられたローラが案内部材に案内されながら水平方向に摺動しながら回転することにより戸を開閉できる。
戸が開放端又は閉鎖端に移動すると、端部検出手段が端部検出信号を発生して、電磁ブレーキを拘束して戸も拘束する。一方、拘束解除手段からの解除信号により電磁ブレーキを解放するので、円滑に戸の移動を開始できる。
これにより、スイングドアの開閉を自動化すると共に、自動化した際にモータの駆動制御が終了する開放及び閉鎖の状態において、電磁ブレーキにより戸を拘束することにより、使い易いスイングドアを得ることができる。
なお、スイングドアの装置は、電磁ブレーキにより戸を拘束した後、ドアノブを回すと、上記拘束を解除することが好ましい。
【0008】
第2の発明に係るスイングドアの装置は、前記電磁ブレーキは、印加電圧値が高くすることにより前記制動トルクが小さくなる特性を有しており、
前記モータの制御指令信号を開放する第1のスイッチ手段と、
前記第1のスイッチ手段とインターロックの関係を有すると共に、オンにより手動信号を発生する第2のスイッチ手段と、
前記拘束解除手段は、さらに、前記手動信号に基づいて前記解除信号を発生し、
前記ブレーキ制御手段は、さらに、前記拘束させる第1の電圧値よりも低い第2の電圧値を発生する電圧印加手段と、を備え、
前記第2のスイッチ手段は、前記電圧印加手段から前記電磁ブレーキに前記第2の電圧値を印加すると共に、前記第1のスイッチ手段を開放する、
ことが好ましい。
このようなスイングドアの装置よれば、利用者による第2のスイッチ手段のオンに基づいて電磁ブレーキを開放すると共に、電圧印加手段から前記電磁ブレーキに拘束する時の第1の電圧値よりも低い第2の電圧値を印加する。これにより、電磁ブレーキにより戸に摩擦トルクを与えることができるので、戸が風などで移動しにくくなり、使い易いスイングドアを得ることができる。
【0009】
第3の発明に係るスイングドアの装置は、前記制御指令信号は速度指令信号であり、
前記モータの回転に基づいて速度を検出して速度検出信号を発生する速度検出手段と、
前記速度指令信号と前記速度検出信号との差となる速度偏差値を求める速度偏差手段と、
前記速度偏差値が予め定められた速度偏差閾値を越えると、異常信号を発生する異常判断手段と、を備え
前記ブレーキ制御手段は、さらに、前記異常信号に基づいて前記電磁ブレーキを拘束する、ことを特徴とするものである。
このようなスイングドアの装置よれば、制御指令信号に基づいてモータを回転しながら戸を開閉している時、戸が円滑に移動できないことを異常判断手段が速度偏差値より判断して異常信号を発生して電磁ブレーキを拘束する。これにより、戸の開閉異常を簡易に検出して戸を電磁ブレーキにより拘束するので、信頼性の高いスイングドアを得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スイングドアの開閉を自動化すると共に、自動化した際にモータの駆動制御が終了する開放及び閉鎖した状態において、電磁ブレーキによりスイングドアを開放又は閉鎖状態で拘束することにより、使い易いスイングドアの装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態によるスイングドアを裏面から見た全体図である。
【
図4】
図1によるスイングドアの装置を示すブロック図である。
【
図5】
図4によるスイングドアの装置の自動動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図4によるスイングドアの装置の手動動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態を示すスイングドアを
図1から
図3によって説明する。スイングドア1は、スイングドア機構30と制御装置100とから成り、本発明の一実施の形態を
図1から
図4によって説明する。
図1において、住居内には、床、上枠8、二つの側枠にて形成された開口9に上吊り型で、長方形の板状の引戸3が設けられている。引戸3の上端部に軸5aを有する二つの吊車5がレール7内を移動することにより、図中の矢印のように引戸3を左右、つまり、水平方向に移動することにより、開口9を引戸3により開閉するように形成されている。本発明の一実施の形態を
図1から
図4によって説明する。
図1において、住居内には、床、上枠8、二つの側枠にて形成された開口9に上吊り型で、長方形の板状の引戸3が設けられている。引戸3の上端部に軸5aを有する二つの吊車5がレール7内を移動することにより、図中の矢印のように引戸3を左右、つまり、水平方向に移動することにより、開口9を引戸3により開閉するように形成されている。
図1において、スイングドア1は、二つの側枠3と、上枠5により形成される長方形の開口7には、ドアノブ8aを有する板状の戸8が設けられており、側枠3の二か所にヒンジ10により戸8がスイングドア機構30により開放したり、閉成したりし得るように形成されている。側枠3には、戸開釦スイッチ101、閉鎖釦スイッチ102が並べて設けられており、その下には、戸8をモータ31により開閉する際にオンとなる自動スイッチSa、戸8を利用者が開閉する際にオンとなる手動スイッチShも設けられている。さらに、側枠3には、オンにすると緊急信号を発生する緊急釦スイッチSeが設けられている。ここで、自動スイッチSaがオン(オフ)すると、手動スイッチShがオフ(オン)するインターロックを成している。
なお、制御装置100が上枠5に連結固定されている。
【0013】
図1から
図3において、スイングドア機構30は、駆動源としてモータ31と、モータ31の第1の回転軸31aに設けられた主プーリー33を有しており、主プーリー33とタイミングベルト35を介して回転可能にする従動プーリー54が電磁ブレーキ52の第2の回転軸52aに設けられている。ここで、主プーリー33よりも従動プーリー54の直径を大きくして、モータ31から発生したトルクよりも電磁ブレーキ52へ伝達されるトルクを大きくしている。電磁ブレーキ52は、印加電圧の投入により制動トルクを付与すると共に、印加電圧の大きさに比例して制動トルクを小さくできるように形成されている。さらに、スイングドア機構30は、電磁ブレーキ52の第2の回転軸52aに一端部60aが連結固定された板状の伝達部材60を有しており、伝達部材60の他端部60cに回動可能に連結されると共に、水平方向に移動可能な移動部材70を備えている。なお、モータ31及び電磁ブレーキ52は、L状部材12を介して上枠5に固定されている。
【0014】
移動部材70は、
図3に示すように、側面視で二段の階段状に形成された板で、底辺部70aと天辺部70cとを垂直部で連結しており、伝達部材60の他端部60cに設けられた円柱状の孔60eに中空部を有するパイプ72を挿入して、ねじ74をパイプ72の中空部に挿入してねじ74の先端部が伝達部材70の天辺部70cに設けられたねじ孔70eと螺合している。さらに、移動部材70の底辺部70aには、三つのローラ82の軸84を固定して、ローラ82を回転可能に形成されており、ローラ82を案内する長尺状の案内部材90が戸8に水平方向に固定されている。ここで、ローラ82は、回転側に一周した凹部としての溝が形成されており、案内部材90は、側面視略C形状で、このC形状の二つの先端突起90cにローラ82の溝が摺動しながら係合するように形成されている。
【0015】
スイングドア機構30は、モータ31の回転に伴い主プーリー33、タイミングベルト35を介して電磁ブレーキ52に設けられた従動プーリー54も回転し、電磁ブレーキ52の軸52aに一端部60aが連結固定された伝達部材60も回転して、伝達部材60の他端部60cに回動可能に連結された移動部材70も回転し、移動部材70に設けられたローラ82が案内部材90に案内されながら水平方向に摺動しながら回転することにより戸8を開閉できるように形成されている。
【0016】
図4において、スイングドア1は、モータ31を駆動制御すると共に、電磁ブレーキ52を制御する制御装置100を有している。制御装置100は、開放釦スイッチ101、閉鎖釦スイッチ102のオンによって開放指令信号、閉鎖指令信号をそれぞれ発生し、この信号が開閉位置指令部111に入力されるように形成されている。開閉位置指令部111は、開放指令信号により戸8が閉鎖端から開放端まで移動する開放位置指令信号を生成すると共に、閉鎖指令信号により戸8が開放端から閉鎖端まで移動する閉鎖位置指令信号を生成して速度指令部113に入力すると、速度指令部113は、速度指令信号を生成して出力するように形成されている。
【0017】
モータ31の回転位置をエンコーダ121が検出して位置検出信号を速度検出部123に入力すると、速度検出部123は速度検出信号を発生し、この速度検出信号と、速度指令信号との差となる速度偏差信号を求める減算器esを有している。速度制御部117は、速度偏差信号の入力を受けて、第1のスイッチ手段としての自動スイッチSaを介して電力変換部119によりモータ31を駆動制御するように形成されている。ここで、自動スイッチSaは、戸8を自動により開閉する際にオン(閉成)させるものである。
【0018】
ブレーキ制御部50は、拘束スイッチSLをオンすることにより直流電源の電圧2Vを電磁ブレーキ52に印加して、制動トルクを発生し、拘束スイッチSLが開放状態で、第2のスイッチ手段としての手動スイッチShをオンすることにより、上記拘束時の半分の電圧Vが電磁ブレーキ52に印加されることで、電磁ブレーキ52が拘束時の半分の制動トルクとなる摩擦トルクを発生するように形成されている。ここで、手動スイッチShは、戸8を手動で開閉する際にオン(閉成)にさせるものである。なお、直流電源と拘束スイッチ、手動スイッチShにより電圧印加手段を成している。
【0019】
開閉端検出部130は、位置検出信号により戸8が開放端又は閉鎖端に移動したことを検出すると、端部検出信号を発生することにより拘束スイッチSLをオンにして電圧2Vが印加された電磁ブレーキ52を拘束している。開閉異常判断部140は、入力された速度偏差信号としての速度偏差値が予め定めた速度偏差閾値を越えると、異常信号を発生して、拘束スイッチSLをオフ(開放)からオン(閉成)にして電圧2Vが電磁ブレーキ52に印加して拘束される。加えて、開閉異常判断部140は、緊急釦スイッチSeのオンにより緊急信号が入力されると、上記異常信号を発生するように形成されている。
【0020】
また、拘束解除部150は、自動スイッチSaがオンした自動状態では、制御指令信号としての位置指令信号の発生により解除信号を発生して拘束スイッチSLをオフにして電磁ブレーキ52を解放すると共に、手動スイッチShがオンした手動状態では、タイムチャート150aに示すように、端部検出信号が発生していても、手動スイッチShのオンにより手動信号が発生して解除信号を発生し続け、次の端部検出信号の発生により解除信号をオフするものである。
【0021】
上記のように構成されたスイングドアの動作を
図1から
図6を参照して説明する。
図5は、スイングドアの装置の自動動作を示すフローチャート、同様に
図6は、手動動作を示すフローチャートである。
<自動による戸開動作>
いま、戸8が閉鎖した状態で、自動スイッチSaがオンにすると(ステップS101)、手動スイッチShがオフとなり、この状態で、利用者が戸開釦スイッチ101を押すと(ステップS103)、開閉位置指令部111から開放位置指令信号が発生して、拘束解除部150から解除信号を発生して拘束スイッチSLをオンからオフして電磁ブレーキ52を解放する(ステップS105)。
【0022】
開放位置指令信号を速度指令部113に入力すると、速度指令部113は、速度指令信号を速度制御部117に入力して電力変換部119を介してモータ31の回転を開始する。モータ31の回転に伴いタイミングベルト35を介して従動プーリー54も回転し、伝達部材60も回転して移動部材70のローラ82が案内部材90を移動することにより戸8を開放端に向けて移動する(ステップS107)。開閉異常判断部140から異常信号が発生していなので(ステップS109)、
図2に示す一点鎖線のように戸8を開放端まで移動すると(ステップS111)、開閉端検出部130は戸8が開放端まで移動したことを検出して端部検出信号を発生して拘束スイッチSLをオンにして電磁ブレーキ52を拘束して、戸8も拘束する(ステップS113)。これにより、戸8が閉鎖端で強風により開放することを防止できる。
なお、上記は戸8を閉鎖端から開放端へ開放する自動動作について説明したが、戸8を開放端から閉鎖端へ閉成する動作についても同様である。
【0023】
<手動による戸開動作>
いま、戸8が閉鎖した状態で、利用者が手動スイッチShをオンにすると(ステップS201)、手動信号が入力された拘束解除部150から解除信号が発生して拘束スイッチSLがオフとなり電磁ブレーキ52に電圧Vを印加して、電磁ブレーキ52により摩擦トルクを発生する(ステップS203)。利用者が摩擦トルクに抗して戸8を閉鎖端から開放端に向かって移動を開始し(ステップS205)、摩擦トルクに抗して戸8が開放端まで移動すると、開閉端検出部130から端部検出信号が発生し(ステップS207)、拘束スイッチSLをオンして電磁ブレーキ52により戸8を拘束する(ステップS209)。これで、戸8の閉鎖端から開放端への移動による一周期の動作が終了する。
【0024】
これにより、利用者が手動で戸8を閉鎖端から開放する際に、強風などにより戸8に衝撃が加わっても、戸8の移動を緩慢にできるので、利用し易くなる。加えて、手動の際も戸8が閉鎖端で強風により開放することを防止できる。
この拘束の解除は、利用者が手動スイッチShをオンにすることにより、手動動作へ移行する。また、手動動作の開始から一定の移動量より大きくなると、自動スイッチSaを閉じて再び自動による戸開動作へ移行するようにしてもよい。
なお、上記は戸8を閉鎖端から開放端へ開放する手動動作について説明したが、戸8を開放端から閉鎖端へ閉成する動作についても同様である。
また、風などにより戸8に衝撃が加わった場合などでは、緊急釦スイッチSeを押すと拘束スイッチSLをオンにして電磁ブレーキ52を拘束して、戸8を拘束することができる。
【0025】
本発明は、上記発明の実施の形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。例えば、電磁ブレーキ52は、電源の投入により拘束するようにしたが、電源を遮断により拘束するものでも良い。
また、衝撃力(質量×加速度)が戸8に加わったことを検出して、衝撃検出信号を発生する衝撃検出手段を有し、衝撃検出信号が入力された開閉異常判断部140は、予め定められた衝撃力値を越えると、異常信号を発生し、拘束スイッチSLをオンにして電磁ブレーキ52を拘束して、戸8も拘束することが好ましい。
【符号の説明】
【0026】
8 戸、10 ヒンジ、30 スイングドア機構、31 モータ、33 主プーリー、35 タイミングベルト、52 電磁ブレーキ、54 従動プーリー、60 伝達部材、70 移動部材、82 ローラ、90 案内部材、100 制御装置、130 開閉端検出部、140 開閉異常判断部、150 拘束解除部、Sa 自動スイッチ(第1のスイッチ手段)、Sh 手動スイッチ(第2のスイッチ手段)、SL 拘束スイッチ。