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特開2021-67134スライドラッチ、開き戸装置、およびそれらを用いたトランクルーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-67134(P2021-67134A)
(43)【公開日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】スライドラッチ、開き戸装置、およびそれらを用いたトランクルーム
(51)【国際特許分類】
   E05C 1/04 20060101AFI20210402BHJP
   E05B 15/12 20060101ALI20210402BHJP
   E05B 65/06 20060101ALI20210402BHJP
【FI】
   E05C1/04 B
   E05B15/12
   E05B65/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-195184(P2019-195184)
(22)【出願日】2019年10月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000137959
【氏名又は名称】株式会社ムラコシ精工
(74)【代理人】
【識別番号】100167863
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 恵
(72)【発明者】
【氏名】廣嶋 孝行
(57)【要約】
【課題】開き戸の外側および内側の両方でそれぞれ個々に開閉操作することができるスライドラッチ、およびこのスライドラッチを使用した開き戸装置、トランクルームを提供する。
【解決手段】開き戸3に取り付けられ、利用者がスライド操作することで開き戸3をロックするためのスライドラッチ10であって、開き戸3の外側および内側のそれぞれに操作可能に設けられたスライドハンドル40a、40bと、外側および内側のスライドハンドル40a、40bの両方に組み付けられ、いずれか一方のスライドハンドル40a、40bの操作によって連動してスライドするラッチ体50とを備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開き戸に取り付けられ、利用者がスライド操作することで前記開き戸をロックするためのスライドラッチであって、
前記開き戸の外側および内側のそれぞれに操作可能に設けられたスライドハンドルと、
外側および内側の前記スライドハンドルの両方に組み付けられ、いずれか一方の前記スライドハンドルの操作によって連動してスライドするラッチ体と
を備えたことを特徴とするスライドラッチ。
【請求項2】
前記スライドハンドルは、前記開き戸の外側および内側で前記開き戸を挟んで対称に構成され、前記ラッチ体を前記開き戸の板厚の幅の内側に配置し、この幅の内側で戸先側へスライドさせることを特徴とする請求項1に記載のスライドラッチ。
【請求項3】
前記開き戸の外側および内側には、それぞれの前記スライドハンドルを取り付けるベースプレートが設けられ、外側および内側の前記ベースプレートは、前記開き戸の板厚方向に貫通する固定ねじで一体に固定されており、
前記固定ねじは、前記開き戸の内側または外側のいずれか一方からのみ着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスライドラッチ。
【請求項4】
前記ラッチ体は、外側および内側の前記スライドハンドルと別体で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のスライドラッチ。
【請求項5】
前記ラッチ体は、外側および内側の前記スライドハンドルに対して板厚方向に遊嵌されて組み付けられていることを特徴とする請求項4に記載のスライドラッチ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のスライドラッチが取り付けられた開き戸装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のスライドラッチが取り付けられた開き戸装置を用いたトランクルーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランクルームなどの収納庫の開き戸に施錠するためのスライドラッチ、開き戸装置、およびそれらを用いたトランクルームに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ライフスタイルの多様化に伴い、利用者の荷物や洋服などを保管するための収納スペースをレンタルするトランクルーム(レンタルスペース、レンタルボックスなどともいう)のニーズが高まっている。このトランクルームは、契約期間の定めに従って利用者に収納スペースを貸し出し、契約が完了したらまた他の利用者に貸し出すものであり、比較的に短期間で利用者が入れ変わることが特徴的である。
【0003】
このトランクルームの入り口を開閉する開き戸は、盗難防止のために施錠する必要がある。この施錠には、一般的な家庭の玄関ドアに使用される施錠装置を用いることもできるが、高価である。特に、利用者が入れ替わる度に、鍵を新しく交換するのは非常にコストがかかる。そのため、例えば、特許文献1で開示されているような、ラッチ体(閂ともいう)をスライド移動させることで開き戸をロックして、このラッチ体を南京錠で施錠するのが一般的である。このようにすることで、鍵の交換が容易かつ低コストで行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−002040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1のラッチ体は、開き戸の外側に取り付けられるものであり、ラッチ体を内側からは操作できない。そのため、利用者が収納スペース内で作業しているときに誤ってラッチ体をロック・施錠されてしまうと、利用者が収納スペース内に閉じ込められてしまう危険性がある。
また、利用者が収納スペース内で作業しているときに、外側から不用意にドアを開けられないようにしたいというニーズもある。
【0006】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、開き戸の外側および内側の両方でそれぞれ個々に開閉操作することができるスライドラッチ、開き戸装置、およびそれらを用いたトランクルームを提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、開き戸に取り付けられ、利用者がスライド操作することで前記開き戸をロックするためのスライドラッチであって、前記開き戸の外側および内側のそれぞれに操作可能に設けられたスライドハンドルと、外側および内側の前記スライドハンドルの両方に組み付けられ、いずれか一方の前記スライドハンドルの操作によって連動してスライドするラッチ体とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前記スライドハンドルは、前記開き戸の外側および内側で前記開き戸を挟んで対称に構成され、前記ラッチ体を前記開き戸の板厚の幅の内側に配置し、この幅の内側で戸先側へスライドさせるようにすることもできる。
【0009】
さらに、前記開き戸の外側および内側には、それぞれの前記スライドハンドルを取り付けるベースプレートが設けられ、外側および内側の前記ベースプレートは、前記開き戸の板厚方向に貫通する固定ねじで一体に固定されており、前記固定ねじは、前記開き戸の内側または外側のいずれか一方からのみ着脱可能に構成されていてもよい。
【0010】
また、前記ラッチ体は、外側および内側の前記スライドハンドルと別体で構成されていてもよい。
【0011】
さらに、前記ラッチ体は、外側および内側の前記スライドハンドルに対して板厚方向に遊嵌されて組み付けられていてもよい。
【0012】
また、これらのスライドラッチを開き戸装置に利用することができる。さらには、この開き戸装置をトランクルームで使用してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るスライドラッチでは、開き戸の外側および内側のそれぞれに操作可能に設けられたスライドハンドルと、外側および内側の前記スライドハンドルの両方に組み付けられ、いずれか一方の前記スライドハンドルの操作によって連動してスライドするラッチ体とを備えているので、開き戸の内側および外側のいずれからでもスライドラッチを操作することができる。そのため、利用者が開き戸の内側にいるときに外側からロックされたとしても、内側からロックを解除することができるので、内側に閉じ込められることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係るスライドラッチを取り付けたドア装置の全体図である。
図2図1のA部の拡大図である。
図3】スライドラッチのロック動作前の状態を示す斜視図である。
図4】スライドラッチのロック動作後の状態を示す斜視図である。
図5図3の分解斜視図である。
図6】固定ねじを示す斜視図である。
図7図3の状態のまま、開き戸およびベースプレートを二点鎖線で透明に表示した斜視図である。
図8図4の状態のまま、開き戸およびベースプレートを二点鎖線で透明に表示した斜視図である。
図9】開き戸の先端に戸先側プレートを取り付ける分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るスライドラッチ、開き戸装置、およびそれらを用いたトランクルームについて、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るスライドラッチを取り付けたドア装置の全体図であり、図2は、図1のA部の拡大図である。
【0016】
なお、以下の説明で使用する「左側」「右側」「外側(前側)」「内側(裏側)」「上側」「下側」とは、図1に示すように、開き戸装置1の開き戸3を外側の正面から見た方向(利用者が外側に立って開き戸3を見た方向)をいうものとする。また、開き戸3の板厚方向とは、外側(または内側)から内側(または外側)に向けた方向をいう。さらに、本明細書で「ロック」とは、スライドラッチ10のラッチ体50(詳細は後述する)が建屋枠2とラッチして開き戸3が開かないようにすることをいい、「施錠」とは、ラッチ体50がロックした状態で南京錠(その他、所定の数字を合わせて解錠するような鍵)を用いて鍵をかけることをいう。
【0017】
開き戸装置1は、図1に示すように、建屋側に設けられた建屋枠2に、開き戸3が開閉可能に取り付けられたものである。この開き戸3の右側辺部には、図視しないヒンジが設けられており、このヒンジを介して開き戸3の左側が外側(利用者に対して手前側)に向けて回動して開閉する。なお、開き戸3は、内側に向けて回動して開閉するものであってもよい。
【0018】
また、開き戸3の左側であって、上下方向のほぼ中央部には、図1および図2に示すように、スライドラッチ10が取り付けられている。このスライドラッチ10は、図2に示すように、ベースプレート30を介して、4本の固定ねじ20(詳細は後述する)によって、着脱可能に取り付けられている。
【0019】
図3は、スライドラッチ10のロック動作前の状態を示す斜視図であり、図4は、スライドラッチ10のロック動作後の状態を示す斜視図である。また、図5は、図3の分解斜視図である。なお、図3図5では、図面を見易くするために、開き戸3を角柱状に省略して表示してある。さらに、図7図8では、説明を容易にするために、ベースプレート30を二点鎖線で示して透明に表示している。
【0020】
また、スライドラッチ10は、開き戸3を板厚方向(前後方向)に挟んで、一部を除いて外側と内側で対称な構造になっている。そのため、以下の説明では、スライドラッチ10の外側の部分について説明し、外側と内側で異なる部分については、それぞれについて個々に説明する。
【0021】
まず最初に、開き戸3に施された加工について説明する。スライドラッチ10が取り付けられる部分には、図5に示すように、開き戸3の板厚方向(前後方向)に貫通する角穴4と、開き戸3の板厚方向の中央で、角穴4から戸先3aまで延びる突出穴5と、角穴4の四隅の近くで、板厚方向に貫通する4つの固定穴6が形成されている。また、戸先3aには、突出穴5の周辺に凹部7が形成されている。これらの角穴4、突出穴5、固定穴6、および凹部7にスライドラッチ10が取り付けられることになる。
【0022】
スライドラッチ10は、図3図5に示すように、開き戸3の外側に配置されるベースプレート30と、このベースプレート30のさらに外側に取り付けられるスライドハンドル40(外側のスライドハンドル40a、内側のスライドハンドル40b)と、突出穴5から戸先3aの外側まで突出または引き込まれるように取り付けられるラッチ体50と、戸先3aに取り付けられる戸先側プレート60とで構成されている。
【0023】
ベースプレート30は、開き戸3の角穴4を外側から覆う大きさに形成されており、固定穴6と対応する位置に4つの挿通角穴31が形成されている。ベースプレート30は、この挿通角穴31の外側から固定ねじ20を挿入し、開き戸3の固定穴6、内側のベースプレート30の挿通角穴31に貫通して挿入した後に、内側からナット21を螺合することで取り付けられる。
【0024】
この固定ねじ20は、図6に示すように、ねじ部22と頭部23との間に矩形部24が設けられている。この矩形部24は、挿通角穴31の角形形状の大きさとほぼ等しく形成されており、矩形部24が挿通角穴31に嵌め込まれることで、ナット21を着脱するときに固定ねじ20が供回りしないようになっている。
【0025】
また、固定ねじ20の頭部23には、図3図5に示すように、一般的なねじと異なり、ドライバーや六角レンチなどの工具を差し込む十字溝や六角穴が設けられていない。そのため、この固定ねじ20は、外側から外すことができず、内側からナット21を回さなければ外れないようになっている。
【0026】
また、ベースプレート30には、図3および図4に示すように、左右方向に延びるスライド挿通穴35が形成されている。このスライド挿通穴35には、詳細は後述するスライドハンドル40が挿通されて、このスライドハンドル40が左右方向に移動するように案内する機能を果たしている。
【0027】
さらに、ベースプレート30には、図3図5図7に示すように、L型プレート32が設けられている。このL型プレート32は、水平面を有する水平面部32aと、この水平面部32aから下側に略垂直に延びる取付面部32bとで構成されている。取付面部32bは、ベースプレート30の内側(開き戸3側)に宛がわれ、ノックピン36によって固定されている。水平面部32aは、スライド挿通穴35を通って外側に突出しており、図4に示すように、上下方向に貫通する2つの施錠用穴33が設けられている。
【0028】
スライドハンドル40aは、図3図5に示すように、ベースプレート30の外側に位置する施錠プレート部41a、把持部41b、および、ベースプレート30の内側に位置する取付面部41c、ラッチ体取付部41dとで構成されている。
【0029】
施錠プレート部41aは、L型プレート32の水平面部32aの上側に載せられて、左右方向に移動可能に取り付けられている。また、施錠プレート部41aには、上下方向に貫通する2つの施錠用穴42が設けられている。この施錠用穴42は、スライドラッチ10のロック動作後の状態(図4の状態)において、水平面部32aの施錠用穴33と上下方向で一致し、図視しない南京錠をこれらの施錠用穴33、42に通すことで施錠することができる。
【0030】
把持部41bは、施錠プレート部41aの右側端部を上側に折り曲げて形成されている。
利用者は、この把持部41bを用いて、スライドハンドル40aを左右方向に移動させることができる。
【0031】
取付面部41cは、図5図7図8に示すように、施錠プレート部41aの内側端部を上方向に折り曲げる態様で形成されている。この取付面部41cは、図3図4に示すように、ベースプレート30のスライド挿通穴35を通って内側に配置されている。
【0032】
また、取付面部41c1には、左右方向に延びるスライド長穴43が形成されており、ベースプレート30に設けられたスライド軸34がこのスライド長穴43内に挿入されている。この取付面部41c1は、スライド軸34に案内されて、左右方向に自由に移動できるようになっている。
【0033】
ラッチ体取付部41d1は、取付面部41c1の上端部を内側に向けて折り曲げて形成されている。また、ラッチ体取付部41d1には、内側端部をさらに内側に延ばした2つの係合爪45が形成されている。
【0034】
一方、内側のスライドハンドル40bは、外側のスライドハンドル40aと異なり、取付面部41c2の上下方向の高さ寸法が短く形成されている。また、ラッチ体取付部41d2の内側端部を延ばした係合爪46も、左右の長さが長く、かつ、1つで構成されている。
【0035】
ラッチ体50は、図5図7図8に示すように、スライドハンドル40とは別体に構成されている。このラッチ体50は、左右方向に長尺な板状に形成されており、この板状の平面が外側および内側を向くようにして配置されている。このラッチ体50には、図5に示すように、上下方向の下側に1つの内側ハンドル取付穴51、上側に2つの外側ハンドル取付穴52が板厚方向に貫通して形成されている。内側ハンドル取付穴51には、上述した係合爪46が開き戸3の板厚方向に挿入され、2つの外側ハンドル取付穴52には、2つの係合爪45が板厚方向に挿入される。
【0036】
内側ハンドル取付穴51と外側ハンドル取付穴52の高さ寸法は、上述した取付面部41c1、41c2の高さの差と等しくなっている。すなわち、ラッチ体50に係合爪45、46が挿入された状態で、スライドハンドル40a、40bの施錠プレート部41aの高さ位置が同じになるようにしている。
【0037】
また、外側ハンドル取付穴52と係合爪45は、左右方向および上下方向に隙間を空けてある程度の遊び(がたつき)を設けて挿入(遊嵌)されている。同様に、内側ハンドル取付穴51と係合爪46についても、遊びを設けている。すなわち、ラッチ体50は、係合爪45、46と外れない範囲内で、外側および内側に自由に動くようになっている。
【0038】
ラッチ体50の左右方向の長さは、スライドラッチ10のロック動作前の状態で、図3および図7に示すように、開き戸3の戸先3aよりも左側へ突出せず、動作後の状態で、図4および図8に示すように、戸先3aよりも突出するようにしている。
【0039】
戸先側プレート60は、図3図4および図9に示すように、戸先3aの凹部7に嵌め込まれ、戸先3aとほぼ面一になるように取り付けられる。この戸先側プレート60は、突出穴5と対応する位置に突出角穴61が形成され、この突出角穴61からラッチ体50が突出するようになる。また、戸先側プレート60には、上下に2つの取付穴62が形成されており、この取付穴62にねじ63を挿入して、開き戸3に固定される。
【0040】
このように、ラッチ体50を開き戸2の板厚の幅の内側に配置し、この板厚の幅の内側でラッチ体50を戸先3a側にスライドして突出させるようにすることで、開き戸3の外側または内側にラッチ体50を配置およびスライドさせるスペースを設ける必要がなくなる。その結果、開き戸3の外側および内側にはスライドハンドル40a、40bだけが設けられていればよくなり、従来特許文献1のようにラッチ体を開き戸の外側に配置する場合と比較して、スライドラッチ10の外観が簡素ですっきりした見栄えになる。
【0041】
また、図9に示すように、開き戸3の突出穴5の内部には、振れ抑制部材64が嵌め込まれる態様で取り付けられている。この振れ抑制部材64は、ステンレスなどの弾性材で作られており、ラッチ体50が突出する際に平面視U字状の内部に入り込み、左側の開口部分が押し広げられ、弾性でラッチ体50を挟み込み、前後方向(開き戸3の板厚方向)のがたつきを抑制している。
【0042】
次に、本発明の実施の形態に係るスライドラッチ、開き戸装置、およびそれらを用いたトランクルームの動作・作用について、図3図4および図7図8を用いて説明する。
外側にいる利用者がスライドラッチ10を動作前の状態(ロック前の状態。図3および図7参照)から動作後の状態(ロック後の状態。図4および図8参照)に操作する場合、利用者は、把持部41bを掴んで、スライドハンドル40aを左側(図3の矢印B方向)へ移動させる。
【0043】
この場合、スライドハンドル40aは、スライド挿通穴35に沿って左方向に移動する。また、スライドハンドル40aは、スライド軸34が挿入されたスライド長穴43に案内され、左方向に直線的に動かされるようになる。
【0044】
そして、スライドハンドル40aと遊嵌されたラッチ体50も同様に、左側へと押し出され、ラッチ体50が突出角穴61から突出する。建屋枠2には、このラッチ体50と対応する位置に図視しない凹部が形成されており、突出したラッチ体50は、この凹部内に入り込み、ロック(ラッチ)される。このとき、ラッチ体50は、開き戸3の板厚方向(前後方向)に遊びがあるので、開き戸3の取付調整誤差があっても確実に凹部内に入り込むようになる。
【0045】
また、これらの逆の操作をすることで、外側にいる利用者は、動作後の状態から動作前の状態へと操作することができる。
【0046】
一方、内側にいる利用者も同様に、内側のスライドハンドル40bを動かすことで、外側で動かした場合と同様に、動作前の状態から動作後の状態、或いは動作後の状態から動作前の状態まで操作することができる。すなわち、ラッチ体50がスライドハンドル40a、40bの両方に組み付けられているので、外側または内側のいずれか一方のスライドハンドル40a、40bの操作によってラッチ体50を連動してスライドさせることができる。そのため、利用者がトランクルームの内側にいるときに外側からロックされたとしても、内側からロックを解除することができるので、内側に閉じ込められることがない。
【0047】
また、動作後の状態では、図4および図8に示すように、L型プレート32の施錠用穴33と、スライドプレート40a(40b)の施錠用穴42とが上下方向に一致し、図視しない南京錠をかけて施錠することができる。なお、一対の施錠用穴33、42が左右方向で2つ設けられているのは、1つは利用者(トランクルームの借り側)が施錠するためのものであり、もう一つは管理者(貸し側)が必要に応じて施錠するためである。
【0048】
また、利用者がトランクルームの収納スペースの内側にいるときに、外側から施錠されて閉じ込められてしまったとしても、以下の手順で外に出ることができる。
【0049】
内側の利用者は、内側から4本のナット21を回して取り外す。このとき、4本の固定ねじ20の矩形部24は、外側のベースプレート30の挿通角穴31に嵌まっているので、ナット21を回しても固定ねじ20が供回りすることなく容易に取り外すことができる。
【0050】
そして、内側のベースプレート30を内側に引っ張って取り外す。このとき、ラッチ体50は、係合爪36で板厚方向に遊嵌されているだけなので、スライドハンドル40bをベースプレート30ごと一緒に取り外すことができる。そして、外側のベースプレート30も同様に外側へ押し出して係合爪45を外し、ラッチ体50を角穴4から引き抜くことで、外側から南京錠で施錠されたままの状態で、開き戸3を開くことができる。
【0051】
また、外側から固定ねじ20を取り外そうとしても、固定ねじ20の頭部には工具を差し込む六角穴などがないので、取り外すことができない。すなわち、盗難を目的として第3者がスライドラッチ10を分解することはできない。
【0052】
本発明の実施の形態に係るスライドラッチ、開き戸装置、およびそれらを用いたトランクルームによれば、開き戸3の外側および内側のそれぞれに操作可能に設けられたスライドハンドル40a、40bと、外側および内側のスライドハンドル40a、40bの両方に組み付けられ、いずれか一方のスライドハンドル40a、40bの操作によって連動してスライドするラッチ体50とを備えているので、開き戸3の内側および外側のいずれからでもスライドラッチ10を操作することができる。そのため、利用者が開き戸3の内側にいるときに外側からロックされたとしても、内側からロックを解除することができるので、内側に閉じ込められることがない。
【0053】
また、スライドハンドル40a、40bは、開き戸3の外側および内側で開き戸を挟んで対称に構成され、ラッチ体50を開き戸3の板厚の幅の内側に配置し、この幅の内側で戸先3a側へスライドさせるようにしているので、ラッチ体50を開き戸3の外に配置させずに構成することができる。そのため、開き戸3の外にはスライドハンドル40a、40bのみを設けるだけでよく、スライドラッチ10の外観を簡素ですっきりした見栄えにすることができる。
【0054】
さらに、開き戸3の外側および内側には、それぞれのスライドハンドル40a、40bを取り付けるベースプレート30が設けられ、外側および内側のベースプレート30は、開き戸3の板厚方向に貫通する固定ねじ20で一体に固定されており、固定ねじ20は、開き戸3の内側または外側のいずれか一方からのみ着脱可能に構成されているので、例えば、開き戸3の内側であって、トランクルームの収納スペース内に施錠して閉じ込められた場合であっても、この内側から固定ねじ20を取り外すことができる。そのため、スライドラッチ10を内側から施錠されたまま分解することで、開き戸3を開くことができる。一方、外側からは固定ねじ20を着脱できないので、スライドラッチ10を取り外して盗難されるなどの危険性を排除することができる。
【0055】
また、ラッチ体50は、外側および内側のスライドハンドル40a、40bと別体で構成されているので、ラッチ体50の取り付けおよび取り外しが容易に行えるようになる。
【0056】
ラッチ体50は、外側および内側のスライドハンドル40a、40bに対して板厚方向に遊嵌されて組み付けられているので、開き戸3の取り付け寸法の誤差などによって開き戸3が板厚方向にずれていたとしても、ラッチ体50が板厚方向に遊嵌の隙間ぶんだけ移動できるので、ラッチ体50が建屋枠2側とより確実にラッチするようになる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態に係るスライドラッチ、開き戸装置、およびそれらを用いたトランクルームについて述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0058】
例えば、本実施の形態では、開き戸3の左側部分が開閉(左開き)するようになっているが、左側部分にヒンジを設け、右側部分が開閉(右開き)するような開き戸装置もある。このような場合であっても、本実施の形態の固定ねじ20とナット21を入れ替えて外側と内側を逆にして取り付けることで、右開きの開き戸にも組み立てることができる。これにより、トランクルームでは、開き戸装置が複数あり、右開きまたは左開きの開き戸が隣り合って配置されたとしても、スライドラッチ10は前後方向で対称に形成されているので、スライドハンドル40の高さ位置を同じ高さに揃えて取り付けることができる。そのため、トランクルーム全体の見栄えをよくすることができる。
【0059】
また、本実施の形態のスライドラッチ10は、トランクルームの開き戸3の他にも利用することができる。例えば、一般家庭で設置されるような、開き戸タイプの収納庫や、押し入れなどにも取り付けることができ、本実施形態と同様の効果を得ることができる。]
【0060】
さらに、本実施の形態では、開き戸3の内側にナット21が向くようにして取り付け、内側からスライドラッチ10を分解できるようにしているが、固定ねじ20とナット21の向きを入れ替えることで、外側からしか分解できないようにすることもできる。この固定ねじ20とナット21の向きは、その収納庫の使用形態や用途などによって自由に変えることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 開き戸装置
2 建屋枠
3 開き戸
3a 戸先
4 角穴
5 突出穴
6 固定穴
7 凹部
10 スライドラッチ
20 固定ねじ
21 ナット
22 ねじ部
23 頭部
24 矩形部
30 ベースプレート
31 挿通角穴
32 L型プレート
32a 水平面部
32b 取付面部
33 施錠用穴
34 スライド軸
35 スライド挿通穴
36 ノックピン
40(40a、40b) スライドハンドル
41a 施錠プレート部
41b 把持部
41c1、41c2 取付面部
41d1、41d2 ラッチ体取付部
42 施錠用穴
43 スライド長穴
45、46 係合爪
50 ラッチ体
51 内側ハンドル取付穴
52 外側ハンドル取付穴
60 戸先側プレート
61 突出角穴
62 取付穴
63 ねじ
64 振れ抑制部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9