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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-67569(P2021-67569A)
(43)【公開日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】超音波流量計および流量計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20060101AFI20210402BHJP
【FI】
   G01F1/66 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-193523(P2019-193523)
(22)【出願日】2019年10月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 宏
(72)【発明者】
【氏名】小原 太輔
(72)【発明者】
【氏名】夏 園
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035DA14
2F035DA23
(57)【要約】
【課題】超音波流量計で誤った流量の出力を抑制する。
【解決手段】閾値調整部107は、計測電圧Vin#iのうち、最初に計測された先頭ゼロクロス点が、予め定めた周期分だけ目標ゼロクロス点の前に位置する追従ゼロクロス点に相当する、計測電圧Vin#iの度合を計算し、度合と予め設定されている閾値との比較結果に基づいて閾値電圧Vsを調整する。判定部108は、度合が0または1となると、目標ゼロクロス点の特定ができないピークロストと判定する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の超音波送受信器の間で、配管中を流れる計測対象となる流体を介して超音波信号を両方向で送受信する計測工程をN(Nは2以上の整数)回実施し、これら計測工程により計測した前記超音波信号の伝搬時間差に基づいて、前記流体の流量を計測する超音波流量計であって、
前記超音波信号を受信した超音波送受信器から出力される計測電圧Vin#i(iは1〜Nの整数)と予め設定されている閾値電圧Vsとを比較し、前記計測電圧Vin#iが前記閾値電圧Vsと交差したトリガー点以降に、前記計測電圧Vin#iが最初にゼロ電圧と交差するゼロクロス点を計測し、前記ゼロクロス点のゼロクロス時刻を前記計測電圧Vin#iと対応する時刻配列D#iに順次格納するように構成された計測部と、
前記時刻配列D#iから予め設定されている複数の目標ゼロクロス点に関する目標ゼロクロス時刻をそれぞれ抽出し、これら目標ゼロクロス時刻から求めた前記伝搬時間差に基づいて、前記流体の流量を計測するように構成された流量計算部と、
前記計測電圧Vin#iのうち、最初に計測された先頭ゼロクロス点が、予め定めた周期分だけ前記目標ゼロクロス点の前に位置する追従ゼロクロス点に相当する、前記計測電圧Vin#iの度合を計算し、前記度合と予め設定されている閾値との比較結果に基づいて前記閾値電圧Vsを調整するように構成された閾値調整部と、
前記度合が0または1となると、前記目標ゼロクロス点の特定ができないピークロストと判定するように構成された判定部と、
前記判定部が前記ピークロストと判定すると、計測された流量の出力を保留するように構成された出力制御部と
を備える超音波流量計。
【請求項2】
請求項1記載の超音波流量計において、
前記判定部が前記ピークロストと判定すると、前記ピークロストと判定された直前の前記計測電圧Vin#iの最大振幅値と、前記ピークロストと判定された後の前記計測電圧Vin#iの最大振幅値との差である最大振幅差が、0より小さい第1判定値より大きく、かつ0より大きい第2判定値より小さいか否かを判定するように構成された信頼度判定部をさらに備え、
前記出力制御部は、前記信頼度判定部が、前記最大振幅差が、前記第1判定値より大きく、かつ前記第2判定値より小さいと判定すると、前記ピークロストと判定された後に計測された流量に、異常があることを示す識別情報をつけて出力する
ことを特徴とする超音波流量計。
【請求項3】
請求項2記載の超音波流量計において、
前記信頼度判定部は、前記計測電圧Vin#iの最大振幅値を複数回測定し、前記最大振幅差を求めることを特徴とする超音波流量計。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音波流量計において、
前記判定部が前記ピークロストと判定すると、前記閾値電圧Vsを初期化するように構成された閾値制御部をさらに備えることを特徴とする超音波流量計。
【請求項5】
請求項4記載の超音波流量計において、
前記出力制御部は、前記閾値制御部が前記閾値を初期化すると、初期化された前記閾値を用いて計測された流量の出力を再開することを特徴とする超音波流量計。
【請求項6】
一対の超音波送受信器間で計測対象となる流体を介して超音波信号を両方向で送受信する計測工程をN(Nは2以上の整数)回実施し、これら計測工程により計測した前記超音波信号の伝搬時間差に基づいて、前記流体の流量を計測する超音波流量計で用いられる流量計測方法であって、
前記超音波信号を受信した超音波送受信器から出力される計測電圧Vin#i(iは1〜Nの整数)と予め設定されている閾値電圧Vsとを比較し、前記計測電圧Vin#iが前記閾値電圧Vsと交差したトリガー点以降に、前記計測電圧Vin#iが最初にゼロ電圧と交差するゼロクロス点を計測し、前記ゼロクロス点のゼロクロス時刻を前記計測電圧Vin#iと対応する時刻配列D#iに順次格納する計測ステップと、
前記時刻配列D#iから予め設定されている複数の目標ゼロクロス点に関する目標ゼロクロス時刻をそれぞれ抽出し、これら目標ゼロクロス時刻から求めた前記伝搬時間差に基づいて、前記流体の流量を計測する流量計算ステップと、
前記計測電圧Vin#iのうち、最初に計測された先頭ゼロクロス点が、予め定めた周期分だけ前記目標ゼロクロス点の前に位置する追従ゼロクロス点に相当する、前記計測電圧Vin#iの度合を計算し、前記度合と予め設定されている閾値との比較結果に基づいて前記閾値電圧Vsを調整する閾値調整ステップと、
前記度合が0または1となると、前記目標ゼロクロス点の特定ができないピークロストと判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記ピークロストと判定されると、計測された流量の出力を保留する出力制御ステップと
を備える流量計測方法。
【請求項7】
請求項6記載の流量計測方法において、
前記判定ステップで前記ピークロストと判定されると、前記ピークロストと判定された直前の前記計測電圧Vin#iの最大振幅値と、前記ピークロストと判定された後の前記計測電圧Vin#iの最大振幅値との差である最大振幅差が、0より小さい第1判定値より大きく、かつ0より大きい第2判定値より小さいか否かを判定する信頼度判定ステップと、
前記信頼度判定ステップで、前記最大振幅差が、前記第1判定値より大きく、かつ前記第2判定値より小さいと判定されると、前記ピークロストと判定された後に計測された流量に、異常があることを示す識別情報をつけて出力する第2出力制御ステップと
をさらに備えることを特徴とする流量計測方法。
【請求項8】
請求項7記載の流量計測方法において、
前記信頼度判定ステップは、前記計測電圧Vin#iの最大振幅値を複数回測定し、前記最大振幅差を求めることを特徴とする流量計測方法。
【請求項9】
請求項7または8記載の流量計測方法において、
前記判定ステップで前記ピークロストと判定されると、前記閾値電圧Vsを初期化する閾値制御ステップをさらに備えることを特徴とする流量計測方法。
【請求項10】
請求項9記載の流量計測方法において、
前記閾値制御ステップで、前記閾値が初期化されると、初期化された前記閾値を用いて計測された流量の出力を再開する第3出力制御ステップをさらに備えることを特徴とする流量計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波流量計および流量計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、超音波流量計では、流体の流れを横切るように2つの超音波送受信器を向かい合わせて配置し、順逆方向のそれぞれで超音波信号を送受信して、2つの超音波送受信器の間における超音波伝搬時間を測定し、順逆方向における超音波伝搬時間の伝搬時間差に基づいて流体の流量を求めている。超音波伝搬時間の測定には、受信した超音波信号を示す信号の電圧(AC電圧)がゼロ電圧(0V)と交差するゼロクロス点のゼロクロス時刻に基づいて超音波伝搬時間を求める、いわゆるゼロクロス法が用いられている。
【0003】
ゼロクロス法では、受信した超音波信号を示す信号の電圧(計測電圧)のうち同一ピークに対応する目標ゼロクロス点を検出するため、超音波信号を送信してから最初の有効ゼロクロス点を目標ゼロクロス点として特定している。しかし、流体の温度や流量、流体組成、さらには超音波素子の経年劣化などの要因で、計測電圧の振幅は変化するため、適切な閾値電圧を設定することが重要となる。
【0004】
ところで、閾値電圧の波形と計測電圧の波形(受信波形)とが一致しないと、誤計測が起こる。これに対し,周期ずれに基づいて誤計測を判定し、誤計測が判定された回の出力を異常計測とした上で、閾値を調整する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
一方、閾値電圧の設定技術として、特定ピーク付近に閾値を設定して、ゼロクロス点の取得開始点がばらつくようにしてピークを選択する技術が提案されている。この技術では、ゼロクロス点の取得開始点がばらつくようにし、ばらつきの度合に基づいてピークを選択し、閾値を設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−224684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した技術では、閾値電圧と、実際のピーク電圧とがずれた状態では、ゼロクロス取得点が振れなくなる。この状態では、閾値が特定ピークの上にずれているのか、下にずれているのかが不明となり、伝搬時間計算に使用するゼロクロス点を正しく選択できない危険が生じ、誤った流量が出力される場合が発生する。
【0008】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、超音波流量計で誤った流量の出力が抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る超音波流量計は、一対の超音波送受信器の間で、配管中を流れる計測対象となる流体を介して超音波信号を両方向で送受信する計測工程をN(Nは2以上の整数)回実施し、これら計測工程により計測した超音波信号の伝搬時間差に基づいて、流体の流量を計測する超音波流量計であって、超音波信号を受信した超音波送受信器から出力される計測電圧Vin#i(iは1〜Nの整数)と予め設定されている閾値電圧Vsとを比較し、計測電圧Vin#iが閾値電圧Vsと交差したトリガー点以降に、計測電圧Vin#iが最初にゼロ電圧と交差するゼロクロス点を計測し、ゼロクロス点のゼロクロス時刻を計測電圧Vin#iと対応する時刻配列D#iに順次格納するように構成された計測部と、時刻配列D#iから予め設定されている複数の目標ゼロクロス点に関する目標ゼロクロス時刻をそれぞれ抽出し、これら目標ゼロクロス時刻から求めた伝搬時間差に基づいて、流体の流量を計測するように構成された流量計算部と、計測電圧Vin#iのうち、最初に計測された先頭ゼロクロス点が、予め定めた周期分だけ目標ゼロクロス点の前に位置する追従ゼロクロス点に相当する、計測電圧Vin#iの度合を計算し、度合と予め設定されている閾値との比較結果に基づいて閾値電圧Vsを調整するように構成された閾値調整部と、度合が0または1となると、目標ゼロクロス点の特定ができないピークロストと判定するように構成された判定部と、判定部がピークロストと判定すると、計測された流量の出力を保留するように構成された出力制御部とを備える。
【0010】
上記超音波流量計の一構成例において、判定部がピークロストと判定すると、ピークロストと判定された直前の計測電圧Vin#iの最大振幅値と、ピークロストと判定された後の計測電圧Vin#iの最大振幅値との差である最大振幅差が、0より小さい第1判定値より大きく、かつ0より大きい第2判定値より小さいか否かを判定するように構成された信頼度判定部をさらに備え、出力制御部は、信頼度判定部が、最大振幅差が、第1判定値より大きく、かつ第2判定値より小さいと判定すると、ピークロストと判定された後に計測された流量に、異常があることを示す識別情報をつけて出力する。
【0011】
上記超音波流量計の一構成例において、信頼度判定部は、計測電圧Vin#iの最大振幅値を複数回測定し、最大振幅差を求める。
【0012】
上記超音波流量計の一構成例において、判定部がピークロストと判定すると、閾値電圧Vsを初期化するように構成された閾値制御部をさらに備える。
【0013】
上記超音波流量計の一構成例において、出力制御部は、閾値制御部が閾値を初期化すると、初期化された閾値を用いて計測された流量の出力を再開する。
【0014】
本発明に係る流量計測方法は、一対の超音波送受信器間で計測対象となる流体を介して超音波信号を両方向で送受信する計測工程をN(Nは2以上の整数)回実施し、これら計測工程により計測した超音波信号の伝搬時間差に基づいて、流体の流量を計測する超音波流量計で用いられる流量計測方法であって、超音波信号を受信した超音波送受信器から出力される計測電圧Vin#i(iは1〜Nの整数)と予め設定されている閾値電圧Vsとを比較し、計測電圧Vin#iが閾値電圧Vsと交差したトリガー点以降に、計測電圧Vin#iが最初にゼロ電圧と交差するゼロクロス点を計測し、ゼロクロス点のゼロクロス時刻を計測電圧Vin#iと対応する時刻配列D#iに順次格納する計測ステップと、時刻配列D#iから予め設定されている複数の目標ゼロクロス点に関する目標ゼロクロス時刻をそれぞれ抽出し、これら目標ゼロクロス時刻から求めた伝搬時間差に基づいて、流体の流量を計測する流量計算ステップと、計測電圧Vin#iのうち、最初に計測された先頭ゼロクロス点が、予め定めた周期分だけ目標ゼロクロス点の前に位置する追従ゼロクロス点に相当する、計測電圧Vin#iの度合を計算し、度合と予め設定されている閾値との比較結果に基づいて閾値電圧Vsを調整する閾値調整ステップと、度合が0または1となると、目標ゼロクロス点の特定ができないピークロストと判定する判定ステップと、判定ステップでピークロストと判定されると、計測された流量の出力を保留する出力制御ステップとを備える。
【0015】
上記流量計測方法の一構成例において、判定ステップでピークロストと判定されると、ピークロストと判定された直前の計測電圧Vin#iの最大振幅値と、ピークロストと判定された後の計測電圧Vin#iの最大振幅値との差である最大振幅差が、0より小さい第1判定値より大きく、かつ0より大きい第2判定値より小さいか否かを判定する信頼度判定ステップと、信頼度判定ステップで、最大振幅差が、第1判定値より大きく、かつ第2判定値より小さいと判定されると、ピークロストと判定された後に計測された流量に、異常があることを示す識別情報をつけて出力する第2出力制御ステップとをさらに備える。
【0016】
上記流量計測方法の一構成例において、信頼度判定ステップは、計測電圧Vin#iの最大振幅値を複数回測定し、最大振幅差を求める。
【0017】
上記流量計測方法の一構成例において、判定ステップでピークロストと判定されると、閾値電圧Vsを初期化する閾値制御ステップをさらに備える。
【0018】
上記流量計測方法の一構成例において、閾値制御ステップで、閾値が初期化されると、初期化された閾値を用いて計測された流量の出力を再開する第3出力制御ステップをさらに備える。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、度合が0または1となると、目標ゼロクロス点の特定ができないピークロストと判定するので、超音波流量計で誤った流量の出力が抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る超音波流量計の構成を示す構成図である。
図2図2は、検出電圧とゼロクロス点との関係(片側閾値)を示す信号波形図である。
図3図3は、先頭ゼロクロス時刻を示すヒストグラムである。
図4図4は、ピークロスト状態を説明するための説明図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る流量計測方法を説明するためのフローチャート。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る超音波流量計の流量演算装置100のハードウエア構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る超音波流量計について図1を参照して説明する。この超音波流量計は、一対の超音波送受信器101,102の間で、配管103中を流れる計測対象となる流体104を介して超音波信号を両方向で送受信する計測工程をN(Nは2以上の整数)回実施し、これら計測工程により計測した超音波信号の伝搬時間差に基づいて、流量演算装置100において、流体104の流量を計測する。
【0022】
超音波送受信器101は、配線を介して接続された流量演算装置100からの超音波駆動信号に応じて、配管103内に向けて超音波信号U1を送信する。同様に、超音波送受信器102は、配線を介して接続された流量演算装置100からの超音波駆動信号に応じて、配管103内に向けて超音波信号U2を送信する。超音波送受信器102(超音波送受信器101)は、配管103内を流れる流体を通過した、超音波送受信器101(超音波送受信器102)からの超音波信号U1(U2)を受信し、その受信結果を示す測定信号を、配線を介して流量演算装置100へ出力する。
【0023】
この際、超音波信号U1,U2との間でやり取りされる超音波信号の伝搬時間t1,t2は、流体104の流れから受ける影響が異なるため、流体104の流量Qに応じた分だけ伝搬時間t1と伝搬時間t2の間に差、すなわち伝搬時間差Δtが生じる。超音波流量計は、このΔtに基づいて流量Qを導出する。なお、本実施の形態に係る流量演算装置100で用いる、伝搬時間差Δtから流量Qを求める演算方法については、一般的な超音波流量計で用いられている公知の計算式を用いればよく、ここでの詳細な説明は省略する。
【0024】
流量演算装置100は、計測部105、流量計算部106、閾値調整部107、判定部108、出力制御部109、信頼度判定部110、閾値制御部111、制御部112、入出力I/F部113、および記憶部114を備える。
【0025】
計測部105は、超音波信号を受信した超音波送受信器101,102から出力される計測電圧Vin#i(iは1〜Nの整数)と予め設定されている閾値電圧Vsとを比較し、計測電圧Vin#iが閾値電圧Vsと交差したトリガー点以降に、計測電圧Vin#iが最初にゼロ電圧と交差するゼロクロス点を計測し、ゼロクロス点のゼロクロス時刻を計測電圧Vin#iと対応する時刻配列D#iに順次格納する。
【0026】
流量計算部106は、時刻配列D#iから予め設定されている複数の目標ゼロクロス点に関する目標ゼロクロス時刻をそれぞれ抽出し、これら目標ゼロクロス時刻から求めた伝搬時間差に基づいて、流体104の流量を計測する。
【0027】
閾値調整部107は、計測電圧Vin#iのうち、最初に計測された先頭ゼロクロス点が、予め定めた周期分だけ目標ゼロクロス点の前に位置する追従ゼロクロス点に相当する、計測電圧Vin#iの度合を計算し、度合と予め設定されている閾値との比較結果に基づいて閾値電圧Vsを調整する。
【0028】
判定部108は、度合が0または1となると、目標ゼロクロス点の特定ができないピークロストと判定する。
【0029】
出力制御部109は、通信ネットワーク115を介して上位装置(図示せず)と接続し、定期的あるいは上位装置からの出力指示に応じて、記憶部114から流量Qを取得して上位装置へ出力する。また、出力制御部109は、判定部108がピークロストと判定すると、計測された流量の出力を保留する。
【0030】
信頼度判定部110は、判定部108がピークロストと判定すると、まず、最大振幅差が、設定されている第1判定値より小さいか否かを判定する。最大振幅差は、ピークロストと判定された後の最大振幅値と、ピークロストと判定される前の最大振幅値との差[例えば、最大振幅差=ピークロストと判定された後の最大振幅値−ピークロストと判定される前の最大振幅値]である。また、最大振幅差が、第1判定値より大きい場合、信頼度判定部110は、最大振幅差が、第2判定値より大きいか否かを判定する。出力制御部109は、信頼度判定部110により、最大振幅差が第2判定値より小さいと判定されると、ピークロストと判定された後に計測された流量に、異常があることを示す識別情報をつけて出力する。信頼度判定部110は、計測電圧Vin#iの最大振幅値を複数回測定し、最大振幅差を求めることもできる。
【0031】
閾値制御部111は、判定部がピークロストと判定すると、閾値電圧Vsを初期化する。出力制御部109は、閾値制御部111が閾値を初期化すると、初期化された閾値を用いて計測された流量の出力を再開する。
【0032】
入出力I/F部113は、配線を介して超音波送受信器101,超音波送受信器102と接続されて、超音波送受信器101,超音波送受信器102との間で計測に用いる各種信号をやり取りする。記憶部114は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、流量演算装置100での流量計測動作に用いる各種処理データやプログラムを記憶する。
【0033】
制御部112は、予め設定されている周期的な計測タイミングの到来、あるいはオペレータや上位装置(図示せず)からの任意のタイミングにおける指示に応じて、入出力I/F部113から、超音波送受信器101,超音波送受信器102に対して超音波駆動信号を出力し、超音波送受信器101,超音波送受信器102間で計測対象となる流体104を介して超音波信号U1,U2を両方向で交互に送受信する計測工程を、N回繰り返し実施する。
【0034】
次に、図2および図3を参照して、流量演算装置100における流体104の流量を計測の原理について説明する。図2は、計測電圧とゼロクロス点との関係(片側閾値)を示す信号波形図である。図3は、先頭ゼロクロス時刻を示すヒストグラムである。なお、図2は、超音波信号U1もしくはU2のいずれか1つの超音波信号を受信した際の計測電圧を表している。超音波信号U1とU2に対応する計測電圧は振幅や伝搬時間が異なる。
【0035】
超音波送受信器101,超音波送受信器102から流量演算装置100へ入力される測定信号を示す計測電圧Vinは、図2に示すように、振幅が時間経過に従って増減する複数の正弦波様信号からなる。前述のように超音波信号U1,U2に対応する計測電圧の振幅は異なり、超音波信号U1,U2に対応して計測電圧に対する閾値電圧を別々に調整するため、一般に超音波信号U1,U2に対応する計測電圧の閾値電圧は異なる。
【0036】
流量演算装置100は、Vinが予め設定した閾値電圧Vsと交差した(超えたまたは達した)トリガー点を検出した後に初めてゼロ電圧Vz(0V)と交差する複数のゼロクロス点のうちから目標ゼロクロス点を検出して、目標ゼロクロス点のゼロクロス時刻から計測電圧Vinと対応する超音波信号U1,U2の受信時刻として特定し、得られた受信時刻により超音波信号U1,U2の伝搬時間t1,伝搬時間t2さらには伝搬時間差Δtを計算して、流量Qを導出する。
【0037】
計測電圧Vinは測定するごとに振幅が変化する。図2では平均的な振幅の計測電圧をVin#0、小さい振幅の計測電圧をVin#1、大きい振幅の計測電圧をVin#2として示している。後述する閾値電圧の調整手段により、Vin#0の先頭からNm個目の波を目標波として特定し、この目標波の1つ前の波のピーク電圧と閾値電圧とが同じ値になるように閾値調整部107により調整がなされている。この目標波の1つ前の波を追従波と呼ぶ。追従波に対応する有効ゼロクロス点を追従ゼロクロス点と呼ぶ。同様に目標波に対応する有効ゼロクロス点を目標ゼロクロス点と呼ぶ。この目標ゼロクロス点以降に検出されたゼロクロス点を計測ゼロクロス点として特定している。
【0038】
なお、ここでは、計測電圧Vinが、予め設定した閾値電圧Vsと交差した(超えたまたは達した)トリガー点を基準として、トリガー点と交差するごとに、それ以降に最初にゼロ電圧と交差する点を有効ゼロクロス点と呼ぶこととする。例えば、閾値電圧Vsが正側電圧である場合、トリガー点以降に最初にゼロ電圧と立下がりで交差した点が有効ゼロクロス点となる。また、閾値電圧Vsが負側電圧である場合、トリガー点以降に最初にゼロ電圧と立ち上がりで交差した点が有効ゼロクロス点となる。なお、有効ゼロクロス点以降において、計測電圧がトリガー点と交差する前にゼロ電圧と交差しても、その点は有効ゼロクロスにはあたらないこととする。
【0039】
図2では、Nm=2の場合が例として示されている。前述のように、閾値電圧Vsを、平均的な振幅の計測電圧Vin#0における、先行波のピーク電圧とほぼ等しい値に設定した場合、計測電圧Vinの振幅が小さくなったり(Vin#1)、計測電圧Vinの振幅が大きくなったり(Vin#2)することで、先頭ゼロクロスが追従ゼロクロス(Z1)となったり目標ゼロクロス(Z2)となったりする。
【0040】
この際、計測電圧Vinに対して閾値電圧Vsが適切に設定されていれば、先頭ゼロクロスは、時刻T1の追従ゼロクロスZ1か時刻T2の目標ゼロクロスZ2のいずれかとなる。これにより、図3に示すように、時刻T1,T2において、両者の先頭ゼロクロスが検出される度数N(T1),N(T2)はほぼ等しくなり、両者の確率はほぼ50%となる。また、これら度合はVsに対する計測電圧Vinの強度変動に応じて変化する。
【0041】
流量演算装置100では、先頭ゼロクロス点が追従ゼロクロスになったり目標ゼロクロスになったりすることを使い、追従ゼロクロスが先頭ゼロクロスとなる度合に基づいて、計測電圧Vinの強度変動に追従するようVsを調整する。ここでは、追従波は目標波の1周期前としたが、それに限ったことではなく、予め定めた周期分だけ前としてもよい。なお、周期とは、計測電圧Vinを示す波の周期であり、超音波周期に相当する。
【0042】
また、目標波で最初のトリガー点が発生した場合、時刻配列D#iの先頭には目標ゼロクロス点の時刻が格納されるのに対して、追従波で最初のトリガー点が発生した場合には、目標ゼロクロス点以前に位置する追従ゼロクロス点を示す時刻がD#iの先頭に格納されることになる。
【0043】
図2に示すように、計測電圧Vinが計測電圧Vin#1である場合、目標波であるP3の計測電圧Vin#1が時刻Ts1にて初めてVsを超えているため、Ts1以降に検出されたゼロクロス点Z2,Z3,Z4に対応するゼロクロス時刻T2,T3,T4が、時刻配列D#1に対して格納されることになる。これにより、最初のトリガー点以降に最初に検出されたゼロクロス点、すなわちD#1の先頭に格納されている先頭ゼロクロス点Z2が、目標ゼロクロス点に相当することになる。
【0044】
一方、ノイズ成分の重畳などの影響で計測電圧Vinの信号強度が増大し、図2に示すように、計測電圧Vinが計測電圧Vin#2のように変化した場合、P3の手前の追従波であるP2の計測電圧Vin#2が時刻Ts2にVsを超える。このため、Ts1より手前のTs2以降に検出されたゼロクロス点Z1,Z2,Z3,Z4に対応するゼロクロス時刻T1,T2,T3,T4が、時刻配列D#2に対して格納されることになる。これにより、最初のトリガー点以降に最初に検出されたゼロクロス点、すなわちD#2の先頭に格納されている先頭ゼロクロス点Z1が、追従ゼロクロス点に相当することになる。
【0045】
流量演算装置100は、上述したような追従波または目標波でのトリガー点の発生状況と、D#iの先頭ゼロクロス点に対応するゼロクロス点の位置との関連性を用い、D#iのうち、トリガー点以降に最初に検出された先頭ゼロクロス点が、追従ゼロクロス点に相当する度合Rを計算し、得られた度合Rと予め設定されている閾値(度合閾値)との比較結果に基づいて閾値電圧Vsを調整する。
【0046】
ここで、計測電圧Vinのピーク電圧が、図4の実線に示すように、常に閾値電圧Vsより大きい場合や、図4の破線に示すように、常に閾値電圧Vsより小さい場合、閾値電圧Vsが、追従ピークの上にずれているのか、下にずれているのかが不明となり、ゼロクロス点を特定することができない。この場合、正しい流量Qが求められず、誤った流量Qが出力されてしまう。
【0047】
これに対し、実施の形態では、判定部108が、度合Rが0または1となると、目標ゼロクロス点の特定ができないピークロストと判定し、出力制御部109が、判定部108がピークロストと判定すると、計測された流量の出力を保留する。また、ピークロスト発生直後の情報を使って(例えばピーク値)目標ゼロクロス点の特定を行い、流量を正しく求める。また目標ゼロクロス点の特定ができない場合、異常フラグを出す。従って、ゼロクロス点を正しく求めることができず、誤った流量Qが算出されても、これが上位装置などに出力されることが防げる。
【0048】
また、計測された流量の出力が保留されると、信頼度判定部110により、0より小さい第1判定値と0より大きい第2判定値とを用い、最大振幅差が、設定されている第1判定値より大きく、かつ第2判定値より小さいと判定されると、出力制御部109が、ピークロストと判定された後に計測された流量に、異常があることを示す識別情報をつけて出力する。従って、例えば、上位装置では、受信された流量に異常があることが把握できる。
【0049】
ここで、閾値調整部107による先頭ゼロクロス判定動作について説明する。閾値調整部107は、度合Rを計算する際、時刻配列D#iごとに、それぞれのD#iの先頭に格納されている先頭ゼロクロス時刻と対応する先頭ゼロクロス点が、目標ゼロクロス点または追従ゼロクロス点のいずれに相当するのか判定するため、先頭ゼロクロス判定動作を行う。
【0050】
Vin#iの強度変化に応じて、追従波の高さは変化する。Vsは追従波の平均的な高さとなるように調整されているため、Vin#iが大きくなると追従波の高さはVsを超え、先頭ゼロクロス点は追従ゼロクロス点となり、先頭ゼロクロス時刻は追従ゼロクロス時刻となる。逆に、Vin#iが小さくなると追従波の高さはVsを下回り、先頭ゼロクロス点は目標ゼロクロス点となり、先頭ゼロクロス時刻は目標ゼロクロス時刻となる。
【0051】
このような先頭ゼロクロス時刻の分布特性に着目し、J(Jは2以上の整数)個の時刻区間Sj(jは1〜Jの整数)を、D#iの先頭ゼロクロス時刻が並ぶ時間軸上に配置して、これらSjごとに先頭ゼロクロス時刻の検出頻度njを計数する。わずかな例外を除き先頭ゼロクロス時刻は追従ゼロクロス時刻が含まれる時間区間か目標ゼロクロス時刻が含まれる時間区間に含まれているため、隣接する時間区間での検出頻度の和を求めると追従ゼロクロス時刻が含まれる時間区間と目標ゼロクロス時刻が含まれる時間区間とで作られる隣接時間区間での検出頻度の和が最大となる。この隣接時間区間の内、早い時間の時間区間が追従ゼロクロス時刻の含まれる時間区間であり、遅い時間の時間区間が目標ゼロクロス時刻の含まれる時間区間である。ピークロスト発生時、D#iの先頭ゼロクロス時刻は全部同じ時間区間に入るため、追従ゼロクロス時刻に該当する時刻区間の特定ができなくなる。時刻区間Sjの時間長は、例えば超音波周期に相当する時間長を用いることができる。一般的には、ゼロクロス時刻の計測ばらつきは、超音波周期よりも小さいため、隣接するゼロクロス点の時刻と十分区別できる。なお、時刻区間Sjの時間位置については、先頭ゼロクロス時刻の分布が時間区間の中央に位置するようにシフトさせることができる。
【0052】
これにより、追従ゼロクロス時刻に該当する時刻区間での検出頻度を検出頻度njの総和すなわちNで除算すれば、度合Rが求められることになる。ピークロスト発生時、度合Rが0または1となる。
【0053】
次に、閾値制御部111による閾値電圧の初期化動作について説明する。閾値制御部111は、閾値電圧Vsを初期化する際、計測電圧Vin#iの最大ピーク電圧Vmaxに基づき新たな調整範囲Vajを特定し、その調整範囲Vaj内の任意の値をVsの新たな初期値として設定する。
【0054】
調整範囲Vajは、調整下限電圧VajLおよび調整上限電圧VajHからなり、計測開始時のVs、すなわちVsの初期値は、VajLとVajHの間の任意の値と等しいものとする。Vsを繰り返し調整する場合、計測電圧Vin#iの強度変化が継続すると、VajLを下回ったり、VajHを上回ったりすることになり、Vsが調整範囲Vajから外れてしまう可能性がある。このため、例えば一連の計測工程で入力された1つもしくは複数個の計測電圧Vin#iから最大ピーク電圧Vmaxを検出しておき、予め設定されている下限係数k1および上限係数k2に基づいて新たなVajL(=k1×Vmax),VajH(=k2×Vmax)を計算し、VajLおよびVajHを更新する。
【0055】
また、何らかの理由で、初期化動作において、VsがVajLを下回ったり、VajHを上回ったりして、調整範囲Vaj外となってしまった場合、VsをVajLとVajHの間の任意の値で初期化する。なお、Vsの初期値として簡単のためにVajLとVajHの間の任意の値としたが、VajLとVajHを予め定めた方法で内分することによって求めた値を初期値として使うこともできる。
【0056】
次に、本発明の実施の形態に係る超音波流量計の動作(流量計測方法)について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0057】
まず、ステップS101で、計測部105が、超音波送受信器101(超音波送受信器102)から出力されて、入出力I/F部113に入力された計測電圧Vin#i(i=1〜Nの整数)ごとに、Vin#iと閾値電圧Vsとを比較し、Vin#iがVsと交差したトリガー点を検出する。次に、ステップS102で、計測部105が、トリガー点が検出されるたびにVin#iが最初にゼロ電圧とゼロクロスするゼロクロス点を最大でNz個まで検出する。次に、ステップS103で、計測部105が、検出した複数のゼロクロス点のゼロクロス時刻を、Vin#iと対応する時刻配列D#iに順次格納する(計測ステップ)。
【0058】
このようにして、N個のVin#iに関するD#iがそれぞれ得られた後、ステップS104で、閾値調整部107が、これらD#iに格納されている各ゼロクロス点のゼロクロス時刻に基づいて、先頭の先頭ゼロクロス点が、追従ゼロクロス点、すなわち目標ゼロクロス点の1周期前のゼロクロス点に相当するD#iの割合である度合Rを計算する。
【0059】
次に、ステップS105で、判定部108が、度合が0または1となったか否かにより、目標ゼロクロス点の特定ができないピークロストの判定を行う(判定ステップ)。ステップS105では、判定部108が、閾値調整部107による度合を0または1と計算する回数が、設定されている回数を超えると、ピークロストと判定することもできる(判定ステップ)。この判定によれば、計測工程をN回繰り返す前に、ピークロストの判定をすることが可能となり、より早期的にピークロストの判定ができる。度合が0または1となりピークロストであると判定されると(ステップS105のyes)、ステップS112で、出力制御部109は、計測された流量の出力を保留する(出力制御ステップ)。
【0060】
次に、ステップS113で、信頼度判定部110が、最大振幅差が第1判定値より小さいか否かを判定する。最大振幅差は、ピークロストと判定された後の最大振幅値と、ピークロストと判定される前の最大振幅値との差である。ステップS113では、計測電圧Vinの波形が小さくなり、計測電圧Vinの追従波のピーク電圧が、閾値電圧Vsより小さくなってピークロストになったことを判定する。第1判定値は0より小さい値である。なお、信頼度判定部110は、計測電圧Vin#iの最大振幅値を複数回測定し、最大振幅差を求めることもできる。
【0061】
最大振幅差が、第1判定値より小さい場合(ステップS113のyes)、先頭ゼロクロス点が、全て目標ゼロクロス点と特定できるので、ステップS114で、流量計算部106は、時刻配列D#iから予め設定されている複数の先頭ゼロクロス点に関する先頭ゼロクロス時刻を、目標ゼロクロス時刻としてそれぞれ検出(抽出)する。次いで、ステップS115で、流量計算部106は、目標ゼロクロス時刻としてそれぞれ抽出したゼロクロス時刻から求めた伝搬時間差に基づいて、流体の流量を計測する。なお、目標ゼロクロス点の特定ができたら、目標セロクロス点前後の複数のゼロクロス点を使って伝搬時間差を計算することもできる。この後、ステップS116で、閾値制御部111が、閾値電圧Vsを初期化する(閾値制御ステップ)。
【0062】
次に、最大振幅差が、第1判定値より大きい場合(ステップS113のno)、ステップS117で、信頼度判定部110が、最大振幅差が第2判定値より大きいか否かを判定する。ステップS117では、計測電圧Vinの波形が大きくなり、計測電圧Vinの追従波のピーク電圧が、閾値電圧Vsよりおおきくなってピークロストになったことを判定する。第2判定値は0より大きい値である。
【0063】
最大振幅差が、第2判定値より大きい場合(ステップS117のyes)、先頭ゼロクロス点が、全て追従ゼロクロス点と特定できるので、ステップS118で、流量計算部106は、時刻配列D#iから予め設定されている複数の先頭ゼロクロス点の直後のゼロクロス点関するゼロクロス時刻を、目標ゼロクロス時刻としてそれぞれ検出(抽出)する。次いで、ステップS115で、流量計算部106は、目標ゼロクロス時刻としてそれぞれ抽出したゼロクロス時刻から求めた伝搬時間差に基づいて、流体の流量を計測する。なお、目標ゼロクロス点の特定ができたら、目標セロクロス点前後の複数のゼロクロス点を使って伝搬時間差を計算することもできる。この後、ステップS116で、閾値制御部111が、閾値電圧Vsを初期化する(閾値制御ステップ)。
【0064】
次に、最大振幅差が、第2判定値より小さい場合(ステップS117のno)、ステップS119で、出力制御部109が、ピークロストと判定された後に計測された流量に、異常があることを示す識別情報をつけて出力する(第2出力制御ステップ)。この後、ステップS101に戻る。
【0065】
一方、ピークロストと判定されない場合(ステップS105のno)、ステップS106で、閾値調整部107は、Rが予め設定されている閾値Rth2より大きいかどうか確認する。RがRth2より大きい場合(ステップS106のyes)、ステップS107で、閾値調整部107は、Vsを予め設定されている調整幅αだけ高い値に調整する。ここでは、αを固定値として扱ったが、αをVsに対して比例する値としてもよい。また、設定されている閾値Rth1(Rth1≦Rth2)を用いて、αをR−Rth1の絶対値、もしくはR−Rth2の絶対値に比例する値としてもよい。もしくは、αをVsに対して比例し、なおかつ、R−Rth1の絶対値もしくはR−Rth2の絶対値に比例する値としてもよい。
【0066】
一方、RがRth2以下の場合(ステップS106のno)、ステップS108で、閾値調整部107は、Rが設定されている閾値Rth1より小さいかどうか確認する。RがRth1より小さい場合(ステップS108のyes)、ステップS109で、閾値調整部107は、Vsを予め設定されている調整幅αだけ低い値に調整する(閾値調整ステップ)。なお、RがRth1以上である場合(ステップS108のno)、Vsの調整は行わない。Rth1とRth2とはRth1≦Rth2の関係にあり、Rth1=Rth2として不感帯を無くすこともできれば、Rth1<Rth2として不感帯を持たせることもできる。
【0067】
ここで、閾値Rthについては、50%に限定されるものではなく、度合Rを計算したゼロクロス点の位置や個数、超音波流量計や適用される計測環境に応じて、適切な値を設定することができる。なお、閾値電圧Vsは、例えば、標準的な信号強度の計測電圧Vinおける、先頭からNf個目の追従波のピーク電圧とほぼ等しい値に設定されているものとする。
【0068】
次に、ステップS110で、流量計算部106が、時刻配列D#iから予め設定されている複数の目標ゼロクロス点に関する目標ゼロクロス時刻をそれぞれ抽出し、これら目標ゼロクロス時刻から求めた伝搬時間差に基づいて、流体の流量を計測する(流量計算ステップ)。この後、ステップS111で、出力制御部109は、計測された流量を出力する(第3出力制御ステップ)。
【0069】
なお、上述した実施の形態に係る超音波流量計の流量演算装置100は、図6に示すように、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)301と主記憶装置302と外部記憶装置303とネットワーク接続装置304となどを備えたコンピュータ機器とし、主記憶装置302に展開されたプログラムによりCPU301が動作する(プログラムを実行する)ことで、上述した各機能(流量計測方法)が実現されるようにすることもできる。上記プログラムは、上述した実施の形態で示した流量計測方法をコンピュータが実行するためのプログラムである。ネットワーク接続装置304は、ネットワーク305に接続する。また、各機能は、複数のコンピュータ機器に分散させることもできる。
【0070】
以上に説明したように、本発明によれば、度合が0または1となると、目標ゼロクロス点の特定ができないピークロストと判定するので、超音波流量計で誤った流量の出力が抑制できるようになる。
【0071】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0072】
100…流量演算装置、101,102…超音波送受信器、103…配管、104…流体、105…計測部、106…流量計算部、107…閾値調整部、108…判定部、109…出力制御部、110…信頼度判定部、111…閾値制御部、112…制御部、113…入出力I/F部、114…記憶部、115…通信ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6