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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-67572(P2021-67572A)
(43)【公開日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】超音波流量計および流量計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20060101AFI20210402BHJP
【FI】
   G01F1/66 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-193533(P2019-193533)
(22)【出願日】2019年10月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 宏
(72)【発明者】
【氏名】小原 太輔
(72)【発明者】
【氏名】夏 園
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035DA10
2F035DA14
2F035DA23
(57)【要約】
【課題】一部のゼロクロス点の情報が取得できない場合であっても、再計測をすることなく、所定の精度が保たれた計測ができるようにする。
【解決手段】 欠損検出部106は、計測部105が格納した時刻配列の中のゼロクロス時刻の欠損を検出する。補間部107は、欠損検出部106が検出した欠損箇所の直前および直後の時刻配列の格納位置に格納されているゼロクロス時刻を用いて求めた補間データを、欠損箇所のゼロクロス時刻とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の超音波送受信器の間で、配管中を流れる計測対象となる流体を介して超音波信号を両方向で送受信する計測工程を複数回実施し、これら計測工程により計測した前記超音波信号の順・逆方向における伝搬時間の差に基づいて、前記流体の流量を計測する超音波流量計であって、
前記計測工程毎に、前記超音波信号の受信波を示す計測電圧と予め設定した閾値電圧とを比較し、前記計測電圧が前記閾値電圧を超えた後、前記計測電圧がゼロクロスするゼロクロス時刻を複数回計測し、計測した複数のゼロクロス時刻を当該計測工程と対応する時刻配列のうち、予め設定されている特定の格納位置から順に格納するように構成された計測部と、
隣り合う時刻配列の間において、同一格納位置に格納されているゼロクロス時刻が、それぞれの受信波の同一パルスと対応するゼロクロス時刻となるよう、時刻配列の各々におけるゼロクロス時刻の格納位置をそれぞれシフトするシフト処理を行うように構成されたシフト処理部と、
前記計測部が格納した時刻配列の中のゼロクロス時刻の欠損を検出するように構成された欠損検出部と、
前記欠損検出部が検出した欠損箇所の直前および直後の時刻配列の格納位置に格納されているゼロクロス時刻を用いて求めた補間データを、前記欠損箇所のゼロクロス時刻とするように構成された補間部と、
前記格納位置のうちから前記伝搬時間の計算に用いる目標格納位置を特定し、各時刻配列の前記目標格納位置に格納されている目標ゼロクロス時刻から求めた前記伝搬時間に基づいて、前記流体の流量を計測するように構成された流量計算部と
を備える超音波流量計。
【請求項2】
請求項1記載の超音波流量計において、
前記欠損検出部が検出した欠損の箇所が、前記計測工程毎に、設定されている上限値を超えて連続している異常か否かを判定するように構成された判定部と、
前記判定部が異常と判定すると、異常処理をするように構成された異常処理部と
をさらに備えることを特徴とする超音波流量計。
【請求項3】
請求項1記載の超音波流量計において、
前記計測部が格納した時刻配列の中のゼロクロス時刻の数に対する、前記補間部が補間した数の割合を求めるように構成された算出部と、
前記算出部が算出した割合が設定されている上限値を超えたか否かを判定するように構成された判定部と、
前記判定部が異常と判定すると、異常処理をするように構成された異常処理部と
をさらに備えることを特徴とする超音波流量計。
【請求項4】
請求項2または3記載の超音波流量計において、
前記異常処理部は、前記流体の流量の計測の停止、または前記流体の流量の再計算のいずれかの処理を行うことを特徴とする超音波流量計。
【請求項5】
請求項2または3記載の超音波流量計において、
前記異常処理部は、前記判定部が異常と判定したときの、前記計測部により格納されている複数のゼロクロス時刻を、計算対象外とすることを特徴とする超音波流量計。
【請求項6】
一対の超音波送受信器の間で、配管中を流れる計測対象となる流体を介して超音波信号を両方向で送受信する計測工程を複数回実施し、これら計測工程毎に得られた前記超音波信号の順・逆方向における伝搬時間の差に基づいて、前記流体の流量を計測する流量計測方法であって、
前記計測工程毎に、前記超音波信号の受信波を示す計測電圧と予め設定した閾値電圧とを比較し、前記計測電圧が前記閾値電圧を超えた後、前記計測電圧がゼロクロスするゼロクロス時刻を複数回計測し、計測した複数のゼロクロス時刻を当該計測工程と対応する時刻配列のうち、予め設定されている特定の格納位置から順に格納する計測ステップと、
隣り合う時刻配列間において、同一格納位置に格納されているゼロクロス時刻が、それぞれの受信波の同一パルスと対応するゼロクロス時刻となるよう、個々の時刻配列におけるゼロクロス時刻の格納位置をそれぞれシフトするシフト処理を行うシフト処理ステップと、
前記計測ステップで格納された時刻配列の中のゼロクロス時刻の欠損を検出するように構成された欠損検出ステップと、
前記欠損検出ステップで検出された欠損箇所の直前および直後の時刻配列の格納位置に格納されているゼロクロス時刻を用いて求めた補間データを、前記欠損箇所のゼロクロス時刻とするように構成された補間ステップと、
前記格納位置のうちから前記伝搬時間の計算に用いる目標格納位置を特定し、各時刻配列の前記目標格納位置に格納されている目標ゼロクロス時刻から求めた前記伝搬時間に基づいて、前記流体の流量を計測する流量計測ステップと
を備える流量計測方法。
【請求項7】
請求項6記載の流量計測方法において、
前記欠損検出ステップで検出された欠損の箇所が、設定されている上限値を超えて、前記計測工程毎に連続している異常か否かを判定するように構成された判定ステップと、
前記判定ステップで異常と判定されると、異常処理をする異常処理ステップと
をさらに備えることを特徴とする流量計測方法。
【請求項8】
請求項7記載の流量計測方法において、
前記計測ステップで格納された時刻配列の中のゼロクロス時刻の数に対する、前記補間ステップで補間された数の割合を求めるように構成された算出ステップと、
前記算出ステップで算出された割合が設定されている上限値を超えたか否かを判定するように構成された判定ステップと、
前記判定ステップが異常と判定すると、異常処理をする異常処理ステップと
をさらに備えることを特徴とする流量計測方法。
【請求項9】
請求項7または8記載の流量計測方法において、
前記異常処理ステップは、前記流体の流量の計測の停止、または前記流体の流量の再計算のいずれかの処理を行うことを特徴とする流量計測方法。
【請求項10】
請求項7または8記載の流量計測方法において、
前記異常処理ステップは、前記判定ステップで異常と判定されたときの、前記計測ステップで格納された複数のゼロクロス時刻を、計算対象外とすることを特徴とする流量計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波流量計および流量計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、超音波流量計では、流体の流れを横切るように2つの超音波送受信器を向かい合わせて配置し、順逆方向のそれぞれで超音波信号を送受信して、2つの超音波送受信器の間における超音波伝搬時間を測定し、順逆方向における超音波伝搬時間の差に基づいて流体の流量を求めている。超音波伝搬時間の測定には、受信した超音波信号を示す信号の電圧(AC電圧)がゼロ電圧(0V)と交差するゼロクロス点のゼロクロス時刻に基づいて超音波伝搬時間を求める、いわゆるゼロクロス法が用いられている(特許文献1)。
【0003】
このゼロクロス法では、伝搬時間を求める際、受信波に含まれる複数のパルスのうち、常に同じパルスと対応するゼロクロス点を使用する必要がある。一般的なゼロクロス法では、受信した超音波信号を示す信号の電圧(計測電圧)のうち同一ピークに対応する目標ゼロクロス点を検出するため、受信した超音波信号が所定の電圧レベルを超えた点を基準にして、これ以後のゼロクロス点に対して記録を開始するなどして、常に同じパルスに対応したゼロクロス点を使って伝搬時間計算を行うようにしている。
【0004】
ここで、受信波にノイズ成分が重畳して波形歪みが生じた場合、超音波信号が所定の電圧レベルを超えて記録が開始されるゼロクロス点の時間位置が前側または後側に1超音波周期分ずれる場合がある。このようなゼロクロス点のずれが生じた場合、これに応じて超音波伝搬時間が変化するため、流量計測誤差の要因となる。このようなゼロクロス点のずれに対応するために、隣り合う時刻配列の間において、同一格納位置に格納されているゼロクロス時刻が、それぞれの受信波の同一パルスと対応するゼロクロス時刻となるよう、時刻配列の各々におけるゼロクロス時刻の格納位置をそれぞれシフトするシフト処理を行う技術が提案されている。
【0005】
上述したシフト処理では、例えば、複数回の伝搬時間測定の結果に対して、図10A図10Bに示すように、行単位で列位置をシフトさせ、同一ゼロクロス点に相当するゼロクロス情報を同じ列に並べてつなげなおしている。
【0006】
図10A図10Bでは、計測電圧Vin#i毎に計測するゼロクロス点の数を5個(H=5)とした例が示され、これらゼロクロス点の各ゼロクロス時刻は、検出時の格納位置の前後に少なくとも2個(H−3)ずつオフセットが設けられている。これらオフセットは、検出時に格納位置K(K=H−2)から格納したゼロクロス時刻を、損失することなく前後にシフトさせるためである。これにより、少なくとも格納位置は全部で9個となる。
【0007】
まず、予め設定されている整合対象となる整合格納位置、ここでは時刻配列の先頭から5番目の格納位置にあるゼロクロス時刻D#1[5]=「180000」(nsec)を整合ゼロクロス時刻として選択する。
【0008】
次に、D#1以外の他のD#j(j=2〜Xの整数)毎に、各ゼロクロス時刻と整合ゼロクロス時刻との時刻差を求め、時刻差が最も小さいゼロクロス時刻が整合格納位置となるよう、D#jの各ゼロクロス時刻の格納位置をシフトする。
【0009】
図10Aに示すように、例えば、D#2の場合、整合ゼロクロス時刻D#1[5]とD#2の7番目の格納位置にあるゼロクロス時刻D#2[7]=「180022」との時刻差「22」が、例えばD#2[5]=「160031」との時刻差「19969」などと比較して最も小さい。このため、D#2[7]が整合格納位置となるよう、D#2の各ゼロクロス時刻は、図10Aの紙面に向かって、左側に2つ分シフトさせる(左シフト×2)。
【0010】
次のD#3の場合、D#1[5]とD#3の5番目の格納位置にあるゼロクロス時刻D#3[5]=「180011」との時刻差「11」が最も小さいため、D#3の各ゼロクロス時刻は、シフトさせない(シフトなし)。
【0011】
また、D#5の場合、D#1[5]とD#5の3番目の格納位置にあるゼロクロス時刻D#5[3]=「180005」との時刻差「5」が最も小さい。このため、D#5[3]が整合格納位置となるよう、D#5の各ゼロクロス時刻は、図10Aの紙面に向かって右側に2つ分シフトさせる(右シフト×2)。
【0012】
以上のシフト処理により、図10Bに示すように、各D#iの同一格納位置に格納されているゼロクロス時刻が、それぞれの受信波の同一パルスと対応するゼロクロス時刻となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2011−180076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、流量計測中に発生したノイズなどにより、一部のゼロクロス点の情報が適切に取得できない場合が発生する。この場合、前述したようなシフト処理において、図の紙面左右方向にシフトさせるべきデータ(ゼロクロス時刻)が存在せず、シフト処理が実施できない場合が発生する。また、上述したように、データの一部が欠損していると、各列の数値からゼロクロス点の代表値(ランダムな揺らぎを除去するなどして抽出した代表値)を求める工程で、決められたデータ数を前提としたデジタルフィルタ処理が適用できなくなり、また、計算に使用できる列が制限される場合がある。
【0015】
欠損が生じた場合、欠損が生じた測定時刻のデータが使用できないため、この時刻のデータを破棄し、再計測することになるが、この場合、再計測により流量データの出力に遅れが生じ、また、再計測をするために電力が増大するなどの問題が発生することになる。
【0016】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、一部のゼロクロス点の情報が取得できない場合であっても、再計測をすることなく、所定の精度が保たれた計測ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る超音波流量計は、一対の超音波送受信器の間で、配管中を流れる計測対象となる流体を介して超音波信号を両方向で送受信する計測工程を複数回実施し、これら計測工程により計測した超音波信号の順・逆方向における伝搬時間の差に基づいて、流体の流量を計測する超音波流量計であって、計測工程毎に、超音波信号の受信波を示す計測電圧と予め設定した閾値電圧とを比較し、計測電圧が閾値電圧を超えた後、計測電圧がゼロクロスするゼロクロス時刻を複数回計測し、計測した複数のゼロクロス時刻を当該計測工程と対応する時刻配列のうち、予め設定されている特定の格納位置から順に格納するように構成された計測部と、隣り合う時刻配列の間において、同一格納位置に格納されているゼロクロス時刻が、それぞれの受信波の同一パルスと対応するゼロクロス時刻となるよう、時刻配列の各々におけるゼロクロス時刻の格納位置をそれぞれシフトするシフト処理を行うように構成されたシフト処理部と、計測部が格納した時刻配列の中のゼロクロス時刻の欠損を検出するように構成された欠損検出部と、欠損検出部が検出した欠損箇所の直前および直後の時刻配列の格納位置に格納されているゼロクロス時刻を用いて求めた補間データを、欠損箇所のゼロクロス時刻とするように構成された補間部と、格納位置のうちから伝搬時間の計算に用いる目標格納位置を特定し、各時刻配列の目標格納位置に格納されている目標ゼロクロス時刻から求めた伝搬時間に基づいて、流体の流量を計測するように構成された流量計算部とを備える。
【0018】
上記超音波流量計一構成例において、欠損検出部が検出した欠損の箇所が、計測工程毎に、設定されている上限値を超えて連続している異常か否かを判定するように構成された判定部と、判定部が異常と判定すると、異常処理をするように構成された異常処理部とをさらに備える。
【0019】
上記超音波流量計一構成例において、計測部が格納した時刻配列の中のゼロクロス時刻の数に対する、補間部が補間した数の割合を求めるように構成された算出部と、算出部が算出した割合が設定されている上限値を超えたか否かを判定するように構成された判定部と、判定部が異常と判定すると、異常処理をするように構成された異常処理部とをさらに備える。
【0020】
上記超音波流量計一構成例において、異常処理部は、流体の流量の計測の停止、または流体の流量の再計算のいずれかの処理を行う。
【0021】
上記超音波流量計一構成例において、異常処理部は、判定部が異常と判定したときの、計測部により格納されている複数のゼロクロス時刻を、計算対象外とする。
【0022】
本発明に係る流量計測方法は、一対の超音波送受信器の間で、配管中を流れる計測対象となる流体を介して超音波信号を両方向で送受信する計測工程を複数回実施し、これら計測工程毎に得られた超音波信号の順・逆方向における伝搬時間の差に基づいて、流体の流量を計測する流量計測方法であって、計測工程毎に、超音波信号の受信波を示す計測電圧と予め設定した閾値電圧とを比較し、計測電圧が閾値電圧を超えた後、計測電圧がゼロクロスするゼロクロス時刻を複数回計測し、計測した複数のゼロクロス時刻を当該計測工程と対応する時刻配列のうち、予め設定されている特定の格納位置から順に格納する計測ステップと、時刻配列間において、同一格納位置に格納されているゼロクロス時刻が、それぞれの受信波の同一パルスと対応するゼロクロス時刻となるよう、個々の時刻配列におけるゼロクロス時刻の格納位置をそれぞれシフトするシフト処理を行うシフト処理ステップと、計測ステップで格納された時刻配列の中のゼロクロス時刻の欠損を検出するように構成された欠損検出ステップと、欠損検出ステップで検出された欠損箇所の直前および直後の時刻配列の格納位置に格納されているゼロクロス時刻を用いて求めた補間データを、欠損箇所のゼロクロス時刻とするように構成された補間ステップと、格納位置のうちから伝搬時間の計算に用いる目標格納位置を特定し、各時刻配列の目標格納位置に格納されている目標ゼロクロス時刻から求めた伝搬時間に基づいて、流体の流量を計測する流量計測ステップとを備える。
【0023】
上記流量計測方法の一構成例において、欠損検出ステップで検出された欠損の箇所が、設定されている上限値を超えて、計測工程毎に連続している異常か否かを判定するように構成された判定ステップと、判定ステップで異常と判定されると、異常処理をする異常処理ステップとをさらに備える。
【0024】
上記流量計測方法の一構成例において、計測ステップで格納された時刻配列の中のゼロクロス時刻の数に対する、補間ステップで補間された数の割合を求めるように構成された算出ステップと、算出ステップで算出された割合が設定されている上限値を超えたか否かを判定するように構成された判定ステップと、判定ステップが異常と判定すると、異常処理をする異常処理ステップとをさらに備える。
【0025】
上記流量計測方法の一構成例において、異常処理ステップは、流体の流量の計測の停止、または流体の流量の再計算のいずれかの処理を行う。
【0026】
上記流量計測方法の一構成例において、異常処理ステップは、判定ステップで異常と判定されたときの、計測ステップで格納された複数のゼロクロス時刻を、計算対象外とする。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、時刻配列の中のゼロクロス時刻の欠損の箇所の、直前および直後の時刻配列の格納位置に格納されているゼロクロス時刻を用いて求めた補間データを、欠損箇所のゼロクロス時刻とするので、一部のゼロクロス点の情報が取得できない場合であっても、再計測をすることなく、所定の精度が保たれた計測ができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る超音波流量計の構成を示す構成図である。
図2A図2Aは、検出電圧とゼロクロス点との関係を示す信号波形図である。
図2B図2Bは、ゼロクロス点に関する時間間隔と変動を示す説明図である。
図3A図3Aは、シフト処理部108のシフト処理の一例を説明するための説明図である。
図3B図3Bは、シフト処理部108のシフト処理の一例を説明するための説明図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る流量計測方法を説明するためのフローチャート。
図5図5は、本発明の実施の形態2に係る超音波流量計の構成を示す構成図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2に係る流量計測方法を説明するためのフローチャート。
図7図7は、本発明の実施の形態3に係る超音波流量計の構成を示す構成図である。
図8図8は、本発明の実施の形態3に係る流量計測方法を説明するためのフローチャート。
図9図9は、本発明の実施の形態に係る超音波流量計の流量演算装置のハードウエア構成を示す構成図である。
図10A図10Aは、複数回の伝搬時間測定の結果に対するシフト処理を説明するための説明図である。
図10B図10Bは、複数回の伝搬時間測定の結果に対するシフト処理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態に係る超音波流量計について説明する。
【0030】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1に係る超音波流量計について図1を参照して説明する。この超音波流量計は、一対の超音波送受信器101,超音波送受信器102の間で、配管103中を流れる計測対象となる流体104を介して超音波信号を両方向で送受信する計測工程をN(Nは2以上の整数)回実施し、これら計測工程により計測した超音波信号の伝搬時間の差に基づいて、流量演算装置100において、流体104の流量を計測する。
【0031】
超音波送受信器101は、配線を介して接続された流量演算装置100からの超音波駆動信号に応じて、配管103内に向けて超音波信号U1を送信する。同様に、超音波送受信器102は、配線を介して接続された流量演算装置100からの超音波駆動信号に応じて、配管103内に向けて超音波信号U2を送信する。超音波送受信器102(超音波送受信器101)は、配管103内を流れる流体を通過した、超音波送受信器101(超音波送受信器102)からの超音波信号U1(U2)を受信し、その受信結果を示す測定信号を、配線を介して流量演算装置100へ出力する。
【0032】
この際、超音波送受信器101,102との間でやり取りされる超音波信号U1,U2の伝搬時間t1,t2は、流体104の流れから受ける影響が異なるため、流体104の流量Qに応じた分だけ伝搬時間t1と伝搬時間t2の間に差、すなわち伝搬時間差Δtが生じる。超音波流量計は、このΔtに基づいて流量Qを導出する。なお、本実施の形態に係る流量演算装置100で用いる、伝搬時間差Δtから流量Qを求める演算方法については、一般的な超音波流量計で用いられている公知の計算式を用いればよく、ここでの詳細な説明は省略する。
【0033】
流量演算装置100は、計測部105、欠損検出部106、補間部107、シフト処理部108、流量計算部109、出力部110、制御部112、入出力I/F部113、および記憶部114を備える。
【0034】
計測部105は、計測工程毎に、超音波信号の受信波を示す計測電圧と予め設定した閾値電圧とを比較し、計測電圧が閾値電圧を超えた後、計測電圧がゼロクロスするゼロクロス時刻を複数回計測し、計測した複数のゼロクロス時刻を当該計測工程と対応する時刻配列のうち、予め設定されている特定の格納位置から順に格納する。
【0035】
欠損検出部106は、計測部105が格納した時刻配列の中のゼロクロス時刻の欠損を検出する。例えば、欠損検出部106は、計測部105が格納してシフト処理部がシフト処理を行った時刻配列の中のゼロクロス時刻の欠損を検出する。補間部107は、欠損検出部106が検出した欠損箇所の直前および直後の時刻配列の格納位置に格納されているゼロクロス時刻を用いて求めた補間データを、欠損箇所のゼロクロス時刻とする。補間部107は、例えば、時刻配列の中で、欠損箇所と同じ列の隣接する行の間の値を線形内挿して補間データとする。また、同一列の前の行の値から外装して補間することもできる。また、同一列の前の行の値と同じ値を補間データとすることもできる。
【0036】
また、欠損箇所と同じ行の近傍の列のデータが存在する場合、補間部107は、同一行で存在しているデータ(単独あるいは複数の平均)から、受信波の周期に応じた時間を引いた(足した)値を求め、補間データとすることもできる。また、同じ列の前後の間の値を線形内挿して、補間データを求めることもできる。また、直前の値から外装して補間データを求めることもできる。また、直前の値と同じ値を補間データとすることもできる。
【0037】
計測されるゼロクロス点の間隔は、受信される超音波の周期で決まる。このため、近傍のゼロクロス点から、相当する周期を加えることで、欠損したゼロクロス点の時刻を推定でき、データ欠損の補間に利用することができる。
【0038】
シフト処理部108は、隣り合う時刻配列の間において、同一格納位置に格納されているゼロクロス時刻が、それぞれの受信波の同一パルスと対応するゼロクロス時刻となるよう、時刻配列の各々におけるゼロクロス時刻の格納位置をそれぞれシフトするシフト処理を行う。
【0039】
流量計算部109は、格納位置のうちから伝搬時間の計算に用いる目標格納位置を特定し、各時刻配列の目標格納位置に格納されている目標ゼロクロス時刻から求めた伝搬時間に基づいて、流体の流量を計測する。例えば、流量計算部109は、シフト処理部108によるシフト処理の処理結果、および補間部107による補間処理の処理結果に基づいて、格納位置のうちから伝搬時間の計算に用いる目標格納位置を特定し、シフト処理および補間処理の後の各時刻配列の目標格納位置に格納されている目標ゼロクロス時刻から求めた伝搬時間に基づいて、流体の流量を計測する。
【0040】
出力部110は、通信ネットワーク121を介して上位装置(図示せず)と接続し、定期的あるいは上位装置からの出力指示に応じて、記憶部114から流量Qを取得して上位装置へ出力する。
【0041】
入出力I/F部113は、配線を介して超音波送受信器101,超音波送受信器102と接続されて、超音波送受信器101,超音波送受信器102との間で計測に用いる各種信号をやり取りする。記憶部114は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、流量演算装置100での流量計測動作に用いる各種処理データやプログラムを記憶する。
【0042】
制御部112は、予め設定されている周期的な計測タイミングの到来、あるいはオペレータや上位装置(図示せず)からの任意のタイミングにおける指示に応じて、入出力I/F部113から、超音波送受信器101,超音波送受信器102に対して超音波駆動信号を出力し、超音波送受信器101,超音波送受信器102間で計測対象となる流体104を介して超音波信号U1,U2を両方向で交互に送受信する計測工程を繰り返し実施する。
【0043】
次に、図2Aを参照して、シフト処理の原理について説明する。超音波送受信器101,102から流量演算装置100へ入力される計測信号を示す計測電圧Vinは、図2Aに示すように、振幅が時間軸に沿って増減する複数の正弦波交流パルスからなる。
【0044】
流量演算装置100は、前述したゼロクロス法と同様に、Vinがゼロ電圧Vz(0V)と交差する複数のゼロクロス点のうちから目標ゼロクロス点が検出される時刻を計測して、計測した目標ゼロクロス点の時刻を、Vinと対応する超音波信号U1(U2)の受信時刻として特定し、得られた受信時刻によりU1(U2)の伝搬時間t1(t2)、さらには伝搬時間差Δtを計算して、流量Qを導出する。
【0045】
複数のゼロクロス点のうちから目標ゼロクロス点を特定する際、流量演算装置100は、Vinが予め設定した閾値電圧Vsを超えたトリガー点を計測することにより、Vinに含まれる複数の正側(負側)パルスのうち、先頭からM(Mは2以上の整数)個目のパルスを目標パルスとして特定する。また流量演算装置100は、特定したトリガー点以降に計測されたH(Hは3以上の整数)個のゼロクロス点のうち、先頭からN1,N2(N1,N2は1〜Hの整数)個目を目標ゼロクロス点として特定している。
【0046】
各計測工程において、多くの場合、正しいタイミング、すなわち目標パルスでトリガー点が計測される。しかしながら、Vinに対するノイズ成分の重畳などによるVinの振幅変化が発生した場合、トリガー点が1超音波周期分だけ前後にずれて計測される場合がある。図2Aでは、M=3,H=5,N1=2,N2=3の場合が例として示されている。図2Aには、Vinの先頭から3(M=3)波目すなわちパルスP3以降の5(H=5)のゼロクロス点Z3〜Z7のうち、先頭から2,3(N1=2,N2=3)個目のゼロクロス点Z4,Z5を目標ゼロクロス点として特定する例が示されている。
【0047】
この場合、VinとVsを比較してパルスP3でトリガー点を計測するために、1つ前のパルスP2の振幅がVsを超えず、P3で初めてVsを超えるよう、Vsの電圧値が経験的に設定されている。このため、図2Aに示すように、VinがVin#1である場合、P3のVin#1が時刻Ts1にVsを超えているため、トリガー点が目標パルスで正しく計測される。これにより、Ts1にゼロクロス点の計測が開始され、結果としてTs1から2つ目,3つ目に計測されたゼロクロス点Z4,Z5が目標ゼロクロス点として計測される。
【0048】
一方、ノイズ成分の重畳などの影響でVinの振幅が増大し、図2Aに示すように、VinがVin#2のように変化した場合、P3の手前のP2のVin#2が時刻Ts2にVsを超えてしまうことになり、トリガー点が目標パルスより1超音波周期分だけ早めに計測されることになる。この場合には、Ts1より手前のTs2にゼロクロス点の計測が開始され、結果としてTs2から2つ目,3つ目に計測されたゼロクロス点Z2,Z3が目標ゼロクロス点として計測されることになる。
【0049】
このため、各ゼロクロス点のゼロクロス時刻を計測工程iに対応する時刻配列D#iに格納した場合、Vin#1がVsを超えた時刻Ts1以降に計測されたゼロクロス点Z3,Z4,Z5,Z6,Z7に対応するゼロクロス時刻T3,T4,T5,T6,T7が、時刻配列D#1に対して格納されることになる。また、Vin#2がVsを超えた時刻Ts2以降に計測されたゼロクロス点Z1,Z2,Z3,Z4,Z5に対応するゼロクロス時刻T1,T2,T3,T4,T5が、時刻配列D#2に対して格納されることになる。
【0050】
したがって、図2Aの例では、Vin#1の場合にTs1以降に計測した最初のゼロクロス点、および、Vin#2の場合にTs2以降に計測した先頭から3番目のゼロクロス点の計測時刻は、Z3の時刻T3とほぼ等しくなる。また、Vin#1の場合にTs1以降に計測した先頭から3番目のゼロクロス点、および、Vin#2の場合にTs2以降に計測した先頭から5番目のゼロクロス点の計測時刻は、Z5の時刻T5とほぼ等しくなる。
【0051】
一方、ゼロクロス点に関する時間間隔と変動とには、一定の関係が見られる。図2Bは、ゼロクロス点に関する時間間隔と変動を示す説明図である。図2Bは、各ゼロクロス点の計測時刻が、Vin#i(iは1〜Xの整数)毎に時間軸上にプロットされている。
【0052】
個々のゼロクロス点の計測時刻を観察すると、図2Bに示すように、ゼロクロス点の計測時刻は、Vinのノイズや脈動などの影響で変動するが、この変動幅は限定的であり、実際の計測では真値に対して±400nsec程度であることが判明している。一方、Vinのパルス幅は、超音波信号U1,U2の信号周波数fuに依存してほぼ一定である。例えば、Vinのパルス幅は、fu=500kHzの場合、U1,U2の半波長は1000nsecであり、ゼロクロス点の時間間隔もほぼ同じ1000nsecである。
【0053】
このため、短い時間間隔で複数回の計測を繰り返し行った場合、超音波信号U1, U2の伝搬時間は連続的に変化するため、隣接する2回計測の間(例えば、Vin#1とVin#2)に着目すると、同一パルスに対応するゼロクロス点の計測時刻が、ゼロクロス点の時間間隔1000nsecを超えて変動することは、まずありえないことが分かった。また、電圧がマイナスからゼロに通過するプラスゼロクロス点同士や、電圧がプラスからゼロに通過するマイナスゼロクロス点同士の時間間隔は、ほぼ2000nsecである。
【0054】
シフト処理部108は、上述したようなゼロクロス点の時間間隔と変動との関係に着目し、超音波信号U1,U2が繰り返し送受信される計測工程i(i=1〜Xの整数)において、計測電圧Vin#iが入力される毎に、Vin#iがVsを超えた後に計測した複数のゼロクロス点のゼロクロス時刻を時刻配列D#iに格納し、同一格納位置におけるゼロクロス時刻間の時刻差が最小となるよう、各時刻配列D#iにおけるゼロクロス時刻の格納位置をシフトするシフト処理を行う。また、シフト処理部108は、シフト処理後の時刻配列から、予め設定されている目標格納位置に格納されているゼロクロス時刻を抽出し、これらゼロクロス時刻を統計処理して得られた受信時刻に基づき、U1,U2の伝搬時間t1,t2を計算する。
【0055】
次に、シフト処理部108のシフト処理の一例について、図3A図3Bを参照して説明する。ここでは、前述した図2Aの目標ゼロクロス点と同様に、Vinの先頭から3(M=3)個目のパルスを計測し、それ以降に計測された5(H=5)個のゼロクロス点のうち先頭から2,3(N1=2,N2=3)個目を目標ゼロクロス点として計測する場合を例として説明する。なお、これに限定されるものではなく、M,H,Nとして異なる数を用いることもできる。また、伝搬時間の計算に用いる目標ゼロクロス時刻が2つ(N1,N2)の場合を例として説明するが、少なくとも1つ以上の目標ゼロクロス時刻が特定されていればいい。
【0056】
シフト処理は、時刻配列D#iのうち同一格納位置に格納されているゼロクロス時刻の時刻差が最小となるよう、個々の時刻配列におけるゼロクロス時刻の格納位置をそれぞれシフトする。時刻配列D#iは、計測部105により、各計測工程iで計測された計測電圧Vin#i毎に、記憶部12に保存される。この例では、Vin#i毎に計測するゼロクロス点の数を5個(H=5)とした例が示されており、これらゼロクロス点の各ゼロクロス時刻は、計測時の格納位置の前後に少なくとも2個(H−3)ずつオフセットが設けられている。これらオフセットは、計測時に格納位置K(K=H−2)から格納したゼロクロス時刻を、損失することなく前後にシフトさせるためである。これにより、少なくとも格納位置は全部で9個となる。
【0057】
まず、シフト処理部108は、予め設定されている整合対象となる整合格納位置、ここでは時刻配列の先頭から5番目の格納位置にあるゼロクロス時刻D#1[5]=「180000」(nsec)を整合ゼロクロス時刻として選択する。この際、整合格納位置については、予め設計値として設定されている目標格納位置とすることができる。また、経験的に格納頻度の高い格納位置を選択し整合格納位置として設定しておくこともできる。
【0058】
次に、シフト処理部108は、D#1以外の他のD#j(j=2〜Xの整数)毎に、各ゼロクロス時刻と整合ゼロクロス時刻との時刻差を求め、時刻差が最も小さいゼロクロス時刻が整合格納位置となるよう、D#jの各ゼロクロス時刻の格納位置をシフトする。
【0059】
例えば、D#2の場合、整合ゼロクロス時刻D#1[5]とD#2の7番目の格納位置にあるゼロクロス時刻D#2[7]=「180022」との時刻差「22」が、例えばD#2[5]=「160031」との時刻差「19969」などと比較して最も小さい。このため、D#2[7]が整合格納位置となるよう、D#2の各ゼロクロス時刻は、紙面に向かって「左側に2つ分シフトさせる」(左シフト×2)というシフトパターンが適用されることになる。次のD#3の場合、D#1[5]とD#3の5番目の格納位置にあるゼロクロス時刻D#3[5]=「180011」との時刻差「11」が最も小さいため、D#3の各ゼロクロス時刻は、「シフトさせない」(シフトなし)というシフトパターンが適用されることになる。
【0060】
また、D#5の場合、D#1[5]とD#5の3番目の格納位置にあるゼロクロス時刻D#5[3]=「180005」との時刻差「5」が最も小さいい。このため、D#5[3]が整合格納位置となるよう、D#5の各ゼロクロス時刻は、紙面に向かって「右側に2つ分シフトさせる」(右シフト×2)というシフトパターンが適用されることになる。
【0061】
これにより、各D#iの同一格納位置に格納されているゼロクロス時刻が、それぞれの受信波の同一パルスと対応するゼロクロス時刻となる。したがって、流量計算部109で、これらシフト処理後の各D#iの目標ゼロクロス時刻が特定されて、超音波信号U1(U2)の伝搬時間t1(t2)さらには伝搬時間差Δtが求められ、流体の流量Qが計算されることになる。
【0062】
なお、以上の説明では、最初の計測工程1のD#1における整合ゼロクロス時刻と、D#1以外の他のD#jにおける各ゼロクロス時刻との時刻差に基づいて、D#jのシフトパターンを決定する場合を例として説明した。時刻差についてこれに限定されるものではない。例えば、D#iにおける整合ゼロクロス時刻と、D#iの次の計測工程j(j=i+1)と隣接するD#jの各ゼロクロス時刻との時刻差に基づいて、D#jのシフトパターンを決定するものとし、i=1から順に繰り返し実行することもできる。
【0063】
ここで、シフトさせるべきデータ(ゼロクロス時刻)が存在しない(データの一部が欠損している)場合、シフト処理を実施した後に、特定の格納位置にデータが存在しない時刻配列が発生する。このデータの欠損を欠損検出部106で検出し、補間部107で、欠損箇所の直前および直後の時刻配列の格納位置に格納されているゼロクロス時刻を用いて補間データを求めて、欠損箇所のゼロクロス時刻とする。数msecの間隔で複数回繰り返して伝搬時間が計測されるので、同一のパルスに由来するゼロクロス点が記録される時間は、連続的に変化する傾向が強いことが判明している。これを利用して、欠損したデータを補うことで、誤差が少ない補間ができる。
【0064】
この結果、流量計算部109は、データの欠損のない状態で、シフト処理の後の各時刻配列の目標格納位置に格納されている目標ゼロクロス時刻から求めた伝搬時間に基づいて、流体の流量を計測することができる。
【0065】
次に、図4を参照して、実施の形態1に係る流量演算装置100の動作について説明する。流量演算装置100の計測部105、欠損検出部106、補間部107、シフト処理部108、および流量計算部109は、制御部112による計測工程毎に、図4の流量計測処理を実行する。
【0066】
ここでは、一連の計測工程で計測される計測電圧Vinの数を、超音波信号の順方向と逆方向のそれぞれでX個とし、計測したVinの先頭から3個目(M=3)のパルスP3を計測し、P3以降の5個(H=5)のゼロクロス点を計測し、そのうち先頭から2,3(N1=2,N2=3)番目を目標ゼロクロス点として選択する場合について、そのいずれか一方向を例として説明する。なお、Vsは、先頭から2個目のパルスP2の振幅より高くP3の振幅より低い電圧値が経験的に設定されているものとする。
【0067】
まず、ステップS101で、計測部105が、計測工程i(i=1〜Xの整数)において入出力I/F部113でA/D変換された計測電圧Vin#iを新たに取得し、ステップS102で、Vin#iと閾値電圧Vsとを比較する。ここで、Vin#i≦Vsの場合(ステップS102のno)、ゼロクロスの計測を開始せず、ステップS101へ戻る。一方、Vin#i>Vsとなり、トリガー点を計測した場合(ステップS102のyes)、計測部105は、ゼロクロス点の計測を開始する。
【0068】
次に、ステップS103で、計測部105が、時刻配列D#iの格納位置kを予め設定されているK(K=H−2)番目に初期化した後、ステップS104で、入出力I/F部11でA/D変換された計測電圧Vin#iを新たに取得し、ステップS105で、Vin#iの極性変化の有無によりゼロクロス点かどうか確認する。ここで、Vin#iの極性変化がなくゼロクロス点でない場合(ステップS105のno)、ステップS104へ戻る。
【0069】
一方、Vin#iの極性変化があり、ゼロクロス点を計測した場合(ステップS105のyes)、ステップS106で、ゼロクロス点を計測したVin#iの時刻をゼロクロス時刻Tzとして取得し、ステップS107で、時刻配列D#iの格納位置kにTzを格納する。
【0070】
この後、ステップS108で、計測部105は、格納位置kをインクリメントして(k=k+1)、kとK+Mとを比較することにより、ゼロクロス計測の完了を確認する。k≦K+Mであり、ゼロクロス計測が未完了の場合(ステップS108のno)、ステップS104に戻る。
【0071】
一方、k>K+Mであり、M個のゼロクロス点の計測が完了した場合(ステップS108のyes)、ステップS109で、計測部105は、計測工程番号iをインクリメント(i=i+1)した後、Xと比較することにより、計測工程の完了を確認する。i≦Xであり、計測工程が未完了の場合(ステップS109のno)、ステップS101に戻る。以上のように、順方向の超音波信号U1に対してM×X個のゼロクロス時刻を計測し、U2に対しても同様にM×X個のゼロクロス時刻を計測する。以降の処理はU1のゼロクロス時刻、U2のゼロクロス時刻それぞれに対しておこなう。
【0072】
一方、i>Xであり、計測工程がすべて完了した場合(ステップS109のyes)、ステップS111で、シフト処理部108が、記憶部114に保存されているX個の時刻配列D#iを参照し、隣接する格納位置Kに格納されたゼロクロス時刻が、正しく取得できているか否か(異常値であるか否か)を判定する。例えば、超音波の周期性に基づくことで、上述した判定をすることができる。
【0073】
よく知られてるように、超音波受信波によるゼロクロス時刻が正しく取得されていれば、隣接するゼロクロス時刻が取得される周期は、超音波の周波数によってきまり、ほぼ一定である。例えば、500kHzの受信波の場合、1000nsec前後となる。従って、前後のゼロクロス時刻との差が超音波周波数から想定される値と大きく異なっている場合、ゼロクロス時刻が正しく取得されていないものと判定することができる。
【0074】
正しく取得されていないと判定した場合(ステップS111のyes)、ステップS112で、異常値処理をする。例えば、異常値処理として、正しく取得されていないと判断されたゼロクロス時刻を、異常値として欠損の状態とする。また、異常値処理として、正しく取得されていないと判断されたゼロクロス時刻を、同一時刻配列の中の前後のゼロクロス時刻と、超音波周波数とから想定される値(ゼロクロス時刻)に変更することもできる。
上述した異常値処理をした後、または、異常値が無いと判定した場合(ステップS111のno)は異常値処理をせずに、ステップS113で、シフト処理部108が、記憶部114に保存されているX個の時刻配列D#iを参照し、同一格納位置に格納されているゼロクロス時刻間の時刻差が最小となるよう、これら時刻配列D#iにおけるゼロクロス時刻の格納位置をシフトするシフト処理を実行する(シフト処理ステップ)。
【0075】
次に、ステップS114で、欠損検出部106が、計測部105が格納した時刻配列の中のゼロクロス時刻の欠損を検出する(欠損検出ステップ)。次に、ステップS115で、欠損が検出されたか否かを判定する。欠損が検出された場合(ステップS115のyes)、ステップS116で、補間部107が、欠損検出部106が検出した欠損箇所の直前および直後の時刻配列の格納位置に格納されているゼロクロス時刻を用いて求めた補間データを、欠損箇所のゼロクロス時刻とする(補間ステップ)。
【0076】
一方、欠損が検出されない場合(ステップS115のno)、ステップS117で、流量計算部109は、時刻配列D#i毎に、予め設定されている目標格納位置に格納されている目標ゼロクロス時刻を、対応するVin#iの受信時刻trとして特定し、受信時刻trを用いて計算したU1(U2)の伝搬時間t1(t2)に基づいて、流体の流量Qを計算し(流量計測ステップ)、得られた流量Qを記憶部114に保存し、一連の流量計測処理を終了する。
【0077】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る超音波流量計について、図5を参照して説明する。以下、実施の形態2に係る超音波流量計の流量演算装置100aについて、説明する。他の構成は、前述した実施の形態1と同様である。
【0078】
流量演算装置100aは、計測部105、欠損検出部106、補間部107、シフト処理部108、流量計算部109、出力部110、判定部111、異常処理部115、制御部112、入出力I/F部113、および記憶部114を備える。
【0079】
判定部111は、欠損検出部が検出した欠損の箇所が、設定されている上限値を超えて、計測工程毎に連続している異常か否かを判定する。異常処理部115は、判定部111が異常と判定すると、異常処理をする。異常処理部115は、異常処理として、流量演算装置100aにおける流体の流量の計測を停止する。また、異常処理部115は、異常処理として、流量演算装置100aの計測部105、欠損検出部106、補間部107、シフト処理部108、流量計算部109などに、流体の流量の再計算の処理を実施させる。また、異常処理部115は、判定部111が異常と判定したときの、計測部105により格納されている複数のゼロクロス時刻を、計算対象外とすることもできる。
【0080】
次に、図6を参照して、実施の形態2に係る流量演算装置100aの動作について説明する。まず、ステップS110で、計測部105が、計測工程毎に、超音波信号の受信波を示す計測電圧と予め設定した閾値電圧とを比較し、計測電圧が閾値電圧を超えた後、計測電圧がゼロクロスするゼロクロス時刻を複数回計測し、計測した複数のゼロクロス時刻を当該計測工程と対応する時刻配列のうち、予め設定されている特定の格納位置から順に格納する(計測ステップ)。ステップS110は、前述した実施の形態1のステップS101〜ステップS109と同様である。
【0081】
次に、前述した実施の形態1と同様に、ステップS111〜S113により、シフト処理を実施する。次に、ステップS114で、欠損検出部106が、計測部105が格納した時刻配列の中のゼロクロス時刻の欠損を検出する(欠損検出ステップ)。次に、ステップS115で、欠損が検出されたか否かを判定する。欠損が検出された場合(ステップS115のyes)、以下のステップS121に移行する。一方、欠損が検出されない場合(ステップS115のno)、後述するステップS117に移行する。
【0082】
ステップS121では、判定部111が、欠損検出部106が検出した欠損の箇所が、設定されている上限値を超えて、計測工程毎に連続している異常か否かを判定する(判定ステップ)。欠損検出部106が検出した欠損の箇所が、設定されている上限値を超えて計測工程毎に連続している場合、このX組の時刻配列は流量計算に必要な精度を担保できていないと判断することができ、異常と判定することができる。
【0083】
検出された欠損の箇所が、上限値を超えて連続している場合(ステップS121のyes)、ステップS122で、異常処理部115が、異常処理として流体の流量の計測を停止する(異常処理ステップ)。次いで、ステップS123で、異常処理部115が、超音波流量計の計測に異常が発生している旨を、作業者あるいは上位装置に通知し、終了する。なお、ステップS121で、判定部111が、欠損検出部106が検出した欠損の箇所が、設定されている上限値を超えて、計測工程毎に連続していると判定した場合、ステップS110に戻り、再度計測を実施することもできる。この場合、異常と判定されたきの、計測部105により格納されている複数のゼロクロス時刻を、計算対象外とすることもできる。また、この場合、閾値などの設定値を更新させることもできる。
【0084】
一方、検出された欠損の箇所が、上限値を超えて連続していない場合(ステップS121のno)、ステップS116で、補間部107が、欠損検出部106が検出した欠損箇所の直前および直後の時刻配列の格納位置に格納されているゼロクロス時刻を用いて求めた補間データを、欠損箇所のゼロクロス時刻とする。
【0085】
最後に、ステップS117で、流量計算部109は、時刻配列D#i毎に、予め設定されている目標格納位置に格納されている目標ゼロクロス時刻を、対応するVin#iの受信時刻trとして特定し、受信時刻trを用いて計算したU1(U2)の伝搬時間t1(t2)に基づいて、流体の流量Qを計算し、得られた流量Qを記憶部114に保存し、一連の流量計測処理を終了する。
【0086】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係る超音波流量計について、図7を参照して説明する。以下、実施の形態3に係る超音波流量計の流量演算装置100bについて、説明する。他の構成は、前述した実施の形態1と同様である。
【0087】
流量演算装置100bは、計測部105、欠損検出部106、補間部107、シフト処理部108、流量計算部109、出力部110、判定部111a、算出部116、異常処理部115、制御部112、入出力I/F部113、および記憶部114を備える。
【0088】
算出部116は、計測部105が格納した時刻配列の中のゼロクロス時刻の数に対する、補間部が補間した数の割合を求める。算出部116は、例えば、計測部105が格納した時刻配列の中で、代表値算出に使用する予定の総データ数(D#1〜#nまでの行数×複数ゼロクロス列数)に対する、補間データ発生数の割合を補間率として算出する。判定部111aは、算出部116が算出した割合が、設定されている上限値を超えたか否かを判定する。異常処理部115は、判定部111aが異常と判定すると、流体の流量の計測を停止する。
【0089】
割合(補間率)が、所定の割合を超えている場合は、流量の計測結果の精度が保証できないものすることができる。この場合、として、補間によるデータ利用を中止する。また、計測データ全体に対して異常フラグを立てる。例えば、すべて正常にデータが取得できた場合にその数が30で、補間が必要なデータが8あったら、補間率は8/30=0.27であり、この値の大小で、補間して全体を使用するか、そのデータ全体を異常な計測として破棄するかを決定する。
【0090】
次に、図8を参照して、実施の形態3に係る流量演算装置100bの動作について説明する。まず、ステップS110で、計測部105が、計測工程毎に、超音波信号の受信波を示す計測電圧と予め設定した閾値電圧とを比較し、計測電圧が閾値電圧を超えた後、計測電圧がゼロクロスするゼロクロス時刻を複数回計測し、計測した複数のゼロクロス時刻を当該計測工程と対応する時刻配列のうち、予め設定されている特定の格納位置から順に格納する(計測ステップ)。ステップS110は、前述した実施の形態1のステップS101〜ステップS109と同様である。
【0091】
次に、前述した実施の形態1,2と同様に、ステップS111〜S113により、シフト処理を実施する。次いで、ステップS114で、欠損検出部106が、計測部105が格納した時刻配列の中のゼロクロス時刻の欠損を検出する(欠損検出ステップ)。次に、ステップS115で、欠損が検出されたか否かを判定する。欠損が検出された場合(ステップS115のyes)、ステップS116で、補間部107が、欠損検出部106が検出した欠損箇所の直前および直後の時刻配列の格納位置に格納されているゼロクロス時刻を用いて求めた補間データを、欠損箇所のゼロクロス時刻とする。一方、欠損が検出されない場合(ステップS115のno)、後述するステップS117に移行する。
【0092】
次に、ステップS116に続き、ステップS131で、算出部116が、計測部105が格納した時刻配列の中のゼロクロス時刻の数に対する、補間された数の割合を求める(算出ステップ)。次に、ステップS132で、判定部111aが、算出部116が算出した割合が、設定されている上限値を超えたか否かを判定する(判定ステップ)。算出部116が算出した割合が、設定されている上限値を超えている場合、このX組の時刻配列は流量計算に必要な精度を担保できていないと判断することができ、異常と判定することができる。
【0093】
算出された割合が、設定されている上限値を超えた場合(ステップS132のyes)、ステップS122で、異常処理部115が、異常処理として流体の流量の計測を停止する(異常処理ステップ)。次いで、ステップS123で、異常処理部115が、超音波流量計の計測に異常が発生している旨を、作業者に通知し、終了する。なお、ステップS132で、判定部111aが、算出部116が算出した割合が、設定されている上限値を超えていると判定した場合、ステップS110に戻り、再度計測を実施することもできる。この場合、異常と判定されたきの、計測部105により格納されている複数のゼロクロス時刻を、計算対象外とすることもできる。また、この場合、閾値などの設定値を更新させることもできる。
【0094】
一方、算出された割合が、上限値を超えていない場合(ステップS132のno)、また、欠損が検出されない場合(ステップS113のno)、ステップS117で、流量計算部109は、シフト処理後の時刻配列D#i毎に、予め設定されている目標格納位置に格納されている目標ゼロクロス時刻を、対応するVin#iの受信時刻trとして特定し、受信時刻trを用いて計算したU1(U2)の伝搬時間t1(t2)に基づいて、流体の流量Qを計算し、得られた流量Qを記憶部114に保存し、一連の流量計測処理を終了する。
【0095】
なお、上述した実施の形態に係る超音波流量計の流量演算装置は、図9に示すように、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)301と主記憶装置302と外部記憶装置303とネットワーク接続装置304となどを備えたコンピュータ機器とし、主記憶装置302に展開されたプログラムによりCPU301が動作する(プログラムを実行する)ことで、上述した各機能(流量計測方法)が実現されるようにすることもできる。上記プログラムは、上述した実施の形態で示した流量計測方法をコンピュータが実行するためのプログラムである。ネットワーク接続装置304は、ネットワーク305に接続する。また、各機能は、複数のコンピュータ機器に分散させることもできる。
【0096】
以上に説明したように、本発明によれば、時刻配列の中のゼロクロス時刻の欠損の箇所の直前および直後の時刻配列の格納位置に格納されているゼロクロス時刻を用いて求めた補間データを、欠損箇所のゼロクロス時刻とするので、一部のゼロクロス点の情報が取得できない場合であっても、再計測をすることなく、所定の精度が保たれた計測ができるようになる。
【0097】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0098】
100…流量演算装置、101,102…超音波送受信器、103…配管、104…流体、105…計測部、106…欠損検出部、107…補間部、108…シフト処理部、109…流量計算部、110…出力部、112…制御部、113…入出力I/F部、114…記憶部、121…通信ネットワーク。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B