【解決手段】工作機械が、ワークを搬入する開口部の近傍に配置され、開口部に近接した対象の動きを計測するセンサ30-1〜30-4と、センサに対する対象の動きに基づいて、非加工時間を段取り時間と非段取り時間に区分するための規則を格納した記憶部18と、加工プログラムが実行されていないときに、対象の動きと記憶部に格納した規則に基づいて、工作機械の現在の状態が、段取り時間であるか非段取り時間であるかを判定する判定部14と、工作機械の現在の状態が段取り時間であるか、非段取り時間であるかを出力する出力部20とを具備する。
工作機械は、加工機の加工空間を包囲するカバーを有しており、前記開口部は、カバーの側壁において、工作機械のオペレータが加工空間にアクセス可能となる位置に形成された第1の開口部である請求項1に記載の工作機械。
工作機械は、加工に使用する複数の工具を記憶した工具マガジンを備えており、カバーの側壁において、工作機械のオペレータが工具マガジンにアクセス可能となる位置に第2の開口部が形成されている請求項4に記載の工作機械。
第1と第2の開口部がカバーの同じ側壁に形成されており、センサは該側壁に沿って、第1の開口部または第2の開口部の前にある対象までの距離を測定する請求項5に記載の工作機械。
第1と第2の開口部がカバーの異なる側壁に形成されており、センサは、第1の開口部が形成された側壁に沿って、第1の開口部の前にある対象までの距離を測定する第1のセンサと、第2の開口部が形成された側壁に沿って、第2の開口部の前にある対象までの距離を測定する第2のセンサとを備える請求項5に記載の工作機械。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1に、本発明を適用する工作機械の一例を示す。
図1において、工作機械100は、加工プログラムに従いワークを加工する放電加工機(図示せず)やマシニングセンタ(図示せず)のような加工機と、加工機のための周辺機器を包囲するカバー102を備えている。周辺機器は、電極マガジン(図示せず)や工具マガジン(図示せず)、自動電極交換装置(図示せず)や自動工具交換装置(図示せず)、放電加工用の加工液供給装置やマシニングセンタ用の切削液供給装置等が含まれる。
【0012】
工作機械100は、ワークを固定するためのテーブル(図示せず)、電極や回転工具を装着する主軸(図示せず)、テーブルと主軸とを少なくとも直交3軸方向に相対送りする送り軸装置(図示せず)、送り軸装置を加工プログラムに従い制御するためのNC装置(図示せず)および送り軸装置を除く加工機の機能および周辺機器を制御する機械制御装置(図示せず)を含む。
【0013】
カバー102は、第1と第2の開口部112、114を有している。第1の開口部112は、カバー102の正面側の側壁から上壁にかけて形成されている。第1の開口部112は加工領域に通じており、第1の開口部112によって、オペレータはカバー102内の加工機の加工領域にアクセス可能となる。加工領域は、ワークが加工機のテーブル上に配置、固定され、工具としての細孔電極や総形電極のような電極(図示せず)や、エンドミルのような回転工具(図示せず)によって加工される空間である。
【0014】
第2の開口部は、第1の開口部112が形成されているカバー102の正面側の側壁とは別の側壁、
図1、2の実施形態では、正面側の側壁に対して垂直に結合された正面から見て左側の側壁に形成されている。第2の開口部114は、カバー102内において、電極マガジン(図示せず)や工具マガジン(図示せず)のような周辺機器が配置されている空間に通じており、第2の開口部114によって、オペレータは、これらの機器にアクセス可能となる。
【0015】
電極マガジンには、電極ホルダ(図示せず)に装着された多数の電極が収納され、自動電極交換装置によって、放電加工機の主軸の先端に装着された使用済み電極と交換される。工具マガジンには、工具ホルダに装着された多数の工具が収納されている。加工プログラムに従い、次工程で使用される工具が選択され、自動工具交換装置によって、マシニングセンタの回転主軸の装着されている工具と交換される。
【0016】
カバー102は、また、第1と第2の開口部112、114を開放、閉鎖する第1と第2のドア104、106を有している。第1のドア104は、第1の開口部112が形成されているカバー102の正面側の側壁および上壁に沿って水平方向にスライド可能にカバー102に取り付けられている。第2のドア106は、第2の開口部114が形成されている側壁に沿って水平方向にスライド可能にカバー102に取り付けられている。第1と第2のドア104、106は、水平方向以外に上下方向にスライドするようになっていてもよい。また、第1と第2のドア104、106は、典型的には板状のドアであるが、鎧戸状のドアであってもよい。
【0017】
第1と第2のドア104、106は、蝶番によってカバー102の側壁に回転可能に取り付けられた回転ドアとしてもよい。但し、第1と第2のドア104、106を回転ドアとする場合には、後述する、レーダ式距離センサが発する電波を妨害しないように、回転ドアを開いたときに側壁に重ね合わせることができるようにする必要がある。
【0018】
オペレータは、
図2に示すように、第1のドア104の正面に立って、ドアハンドル104aを把持し、第1のドア104を左方(
図2においても左方)へスライドさせて第1のドア104を開き、第1の開口部112を通して加工領域にアクセス可能となる。こうして、オペレータは、加工済ワーク(図示せず)をテーブルから取り外して搬出したり、未加工ワーク(図示せず)を搬入してテーブルに位置決め、固定する等の段取り作業を行うことができる。
【0019】
同様に、オペレータは、第2のドア106の正面に立って、ドアハンドル106aを把持し、第2のドア106を右方(
図2では下方)へスライドさせて第2のドア106を開き、第2の開口部114を通して電極マガジンや工具マガジンのような周辺機器へアクセス可能となる。こうして、オペレータは、使用済電極(図示せず)を電極マガジンから取り外し、未使用電極(図示せず)を電極マガジンの所定位置に装着したり、破損または摩耗した工具(図示せず)を工具マガジンから取り外し、新規の工具を工具マガジンに装着したり、或いは、これから行う工具を工具マガジンに装着、準備する等の段取り作業を行うことができる。
【0020】
カバー102には、また、開口部に近接した対象の動きを計測するセンサとして、第1と第2の距離センサ108、110が配設されている。第1と第2の距離センサ108、110は、好ましくは、
図1、2に示すように、カバー102において、第1と第2のドア104、106が配設されている側壁に取り付けられる。第1の距離センサ108は、第1のドア104が配設されている側壁の前にある物体と、該第1の距離センサ108との間の距離を測定する距離センサであり、好ましくは、非接触式バイタルセンサに用いられる高精度レーダである。第2の距離センサ110は、第2のドア106が配設されている側壁の前にある物体と、第2の距離センサ110との間の距離を測定する距離センサであり、好ましくは、非接触式バイタルセンサに用いられる高精度レーダである。
【0021】
図1、2に示す実施形態では、第1と第2のドア104、106は、異なる側壁に取り付けられているが、
図3、4に示すように、同一の側壁に取り付けられていてもよい。
図3、4において、工作機械200のカバー202は、第1と第2の開口部212、214を有している。第1と第2の開口部212、214は、カバー202の正面側の同じ側壁から上壁にかけて形成されている。第1の開口部212は加工領域に通じており、第2の開口部214は、周辺機器が配置されている空間に通じている。第1と第2のドア204、206を開くことによって、オペレータは加工領域および周辺機器が配置されている空間にアクセス可能となる。第1と第2のドア204、206も、
図1、2の第1と第2のドア104、106と同様に、板状または鎧戸状のスライドドアまたは回転ドアとすることができる。
【0022】
本実施形態では、カバー102において、第1と第2のドア204、206が配設されている側壁に、開口部に近接した対象の動きを計測するセンサとして、1つの距離センサ208が取り付けられている。距離センサ208は、
図1、2の実施形態における第1と第2の距離センサ108、110と同様の距離センサである。
【0023】
本発明では、複数の工作機械を工程管理装置10に接続して生産システムを構成することができる。
図5を参照すると、4台の工作機械100−1、100−2、100−3、100−4が、1つの工程管理装置10に接続されている。また、工程管理装置10による処理結果はディスプレイ(表示装置)50に表示される。ディスプレイ50は1つの表示装置ではなく、工場内の複数個所に設置された複数の表示装置としてもよい。表示装置は、パーソナルコンピュータやタブレットの液晶ディスプレイとすることができる。
【0024】
図6を参照すると、工程管理装置10は、入力部12、判定部14、時計機能を実装した集積回路より成るRTC16、記憶部18、出力部20を主要な構成要素として具備している。工程管理装置10は、CPU(中央演算素子)、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)のようなメモリ装置、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)のような記憶デバイス、出入力ポート、および、これらを相互接続する双方向バスを含むコンピュータおよび関連するソフトウェアから構成することができる。
【0025】
図5では、1つの工程管理装置10に複数の工作機械100−1、100−2、100−3、100−4を接続して、全体を生産システムとしているが、1つの工程管理装置10に1台の工作機械を接続して全体を1つの工作機械としてもよい。この場合には、工程管理装置10は、工作機械の機械制御装置の一部として組み込むことができる。
【0026】
入力部12には、工作機械100−1、100−2、100−3、100−4の各々の距離センサ30−1、30−2、30−3、30−4が接続されている。距離センサ30−1、30−2、30−3、30−4は、
図1、2の実施形態の場合には、第1と第2の距離センサ108、110であり、
図3、4の実施形態の場合には、距離センサ208である。
【0027】
入力部12は、距離センサ30−1、30−2、30−3、30−4からの信号を受信し、該信号を受信した距離センサと関連付けて、判定部14へ出力する。距離センサ30−1、30−2、30−3、30−4からの信号は距離を示す信号である。距離センサ30−1、30−2、30−3、30−4からの出力信号がデジタル信号である場合には、検出した距離そのものを示す信号である。距離センサ30−1、30−2、30−3、30−4からの出力信号がアナログ信号である場合には、検出した距離に比例した振幅または強度の信号である。
【0028】
判定部14は、工場内に付設されているLANのような通信設備を通して、工作機械100−1、100−2、100−3、100−4の各々の制御装置40−1、40−2、40−3、40−4に接続されている。制御装置40−1、40−2、40−3、40−4は、各工作機械100−1、100−2、100−3、100−4のNC装置および機械制御装置を含む。判定部14は、制御装置40−1、40−2、40−3、40−4が、読み取り、解釈した加工プログラムを制御装置40−1、40−2、40−3、40−4の各々から受け取る。同時に、判定部14はRTC18から現在時刻を受け取る。
【0029】
記憶部18は、距離センサ30−1、30−2、30−3、30−4が検知した距離の変化に基づいて、各工作機械100−1、100−2、100−3、100−4が加工していない時間である非加工時間を、オペレータが段取り作用業を行っている段取り時間と、それ以外の無駄時間(アイドル)時間とに区分するための規則または判定基準が記憶されている。また、判定部14による判定結果を記憶部18に記憶させてもよい。
【0030】
出力部20は、判定部14による処理結果または判定結果をディスプレイ50に出力するためのVGA(D-Sub15ピン)端子(アナログ出力端子)や、DVI端子、HDMI(登録商標)端子またはディスプレイポート(DisplayPort)端子(デジタル出力端子)、或いは、工程管理装置10以外のパーソナルコンピュータやタブレットのような携帯電子機器に接続するための有線または無線のLANポートとすることができる。
【0031】
以下、
図7、8を参照して、上記実施形態の作用を説明する。
工作機械100−1、100−2、100−3、100−4が起動している間、つまり電源が入っている間、判定部14は、制御装置40−1、40−2、40−3、40−4から加工プログラムを受け取り、RTC16から現在時刻を受け取り、加工プログラムと現在時刻とに基づいて、工作機械100−1、100−2、100−3、100−4が加工を行っていない時間を非加工時間として記憶部18へ出力する。判定部14は、少なくとも非加工時間中、距離センサ30−1、30−2、30−3、30−4が検出した距離が所定範囲にあるか否かを判定する(ステップS10)。
【0032】
距離センサ30−1、30−2、30−3、30−4が検出する距離は、
図1、2の実施形態では、第1と第2のドア104、106(第1と第2の開口部112、114)が配設されている側壁の前に何らかの物体が存在する場合に、該物体と距離センサ108、110との間の距離であり、
図3、4の実施形態では、第1と第2のドア204、206(第1と第2の開口部212、214)が配設されている側壁の前に何らかの物体が存在する場合に、該物体と距離センサ208との間の距離である。
【0033】
所定範囲は、距離センサ30−1、30−2、30−3、30−4を構成する第1と第2の距離センサ108、110と第1と第2のドア104、106との間の距離(
図1、2の実施形態)、距離センサ208と第1と第2のドア204、206との間の距離(
図3、4の実施形態)を勘案して決定される。一例として、
図1、2の実施形態では、所定範囲は600〜1200mmとすることができ、
図3、4の実施形態では、1800〜2400mmとすることができる。第1と第2のドア104、106(
図1、2);204、206(
図3、4)が配設されている側壁の前の空間において、該側壁に平行に第1と第2の距離センサ108、110および距離センサ208から測定した上記所定範囲を関心領域とする。
【0034】
距離センサ30−1、30−2、30−3、30−4が検出した距離が所定範囲内にない場合(ステップS10でNoの場合)、物体が第1と第2のドア104、106または第1と第2のドア204、206の前に存在しないと判断でき、従って、少なくともオペレータが段取り作業を行っていることはないので、ステップS20へ進み非段取り時間と判定される。ステップS10で検出した距離が所定範囲内にある場合(ステップS10でYesの場合)、ステップS12に進み、距離の変動が検出されるか否かが判定される。
【0035】
距離センサ30−1、30−2、30−3、30−4が検出した距離に変動がなければ(ステップS12でNoの場合)、第1と第2のドア104、106(
図1、2);204、206(
図3、4)の前の関心領域内に存在する物体は動いていない、つまり無生物であって、オペレータではないので、ステップS20へ進み、非段取り時間と判定される(ステップS20)。
【0036】
ステップS12で検出した距離に変動がある場合、ステップS14へ進み、変動の大きさが所定値以上であるか否かが判定される。一般的に、人間は完全に静止していることはできず、じっとしていて一見静止しているように見えても、例えば、拍動その他の影響から実際には身体はゆらいでいる。そこで、ステップS14では、検出した変動する距離のうち、所定値未満の距離の変動は、こうした人体の揺らぎによるものであるとして、それを除去することによって、人(オペレータ)が作業をしているか否かを判定するようにしている。所定値は、例えば20mmとすることができる。
【0037】
ステップS14でYesの場合、ステップS16で、そうした距離の変動が所定時間(第1の所定時間)以上継続しているか否かが判定される。これは、例えば、オペレータが、歩行によって関心領域を通過するような場合を除去するためである。この所定時間は、例えば60秒とすることができる。ステップS16でNoの場合、オペレータが段取り作業を行っていることはないので、ステップS20へ進み非段取り時間と判定される。ステップS16でYesの場合、人が関心領域内で継続して動いている、つまり段取り作業をしていると判定される(ステップS24)。
【0038】
ステップS14でNoの場合は、上述したように、関心領域内にある物体と30−1、30−2、30−3、30−4との間の距離は変動しているので、該物体は単なる物ではなく人間(オペレータ)であると判定されるが、その距離変動は小さく、関心領域内のオペレータは、実質的に動いておらず、従って何らかの作業をしているのではなく、基本的に非段取り時間であると判定される。然しながら、ここで、所定値よりも小さな距離変動が、所定時間(第2の所定時間)以上継続する場合(ステップS18でYes)、つまり関心領域内にいるオペレータは、実質的に動かないままじっとしていると判定され、これは、例えばオペレータが倒れて気を失っているような場合が想定され、オペレータ異常と判定される(ステップS22)。この場合、対応する制御装置40−1、40−2、40−3、40−4にアラートを発するように指令するようにできる。ステップS18でNoの場合は、非段取り時間すなわち無駄(アイドル)時間と判定される(ステップS20)。
【0039】
上述のように、本実施形態によれば、工作機械が加工を行っていない非加工時間から、オペレータが段取り作業を行っている時間(段取り時間)を抽出することができる。これに基づいて、例えば、
図8に示すようなグラフをディスプレイ50に表示することができる。
図8に示すグラフは、各工作機械を示すアイコン62、64、66と、時間軸68に沿って描かれた棒グラフ70、72、74を含む。棒グラフ70、72、74は、加工時間A、無駄(アイドル)時間B、段取り時間C、停止時間D、保守時間E、ホールド時間F等の工作機械の状態の種別で表示することができる。時間軸68は、表示すべき棒グラフ70、72、74の開始日時と終了日時を工程管理装置10のオペレータが入力、指定するようにできる。
【0040】
加工時間Aは、関連する工作機械が加工を行っている時間であり、工程管理装置10は、各工作機械の制御装置、特に、機械制御装置と通信することによって得ることができる。より詳細には、加工時間Aは、例えば、各工作機械のNC装置が読み取り、解釈した加工プログラムに記載されている、例えば主軸の回転開始コードおよび停止コードのような、加工の開始、終了に関連したコード(例えばGコード)を読み取るとともに、RTC16からの情報に基づいて演算することができる。
【0041】
無駄時間Bは、関連する工作機械が加工を行っていない時間のうち、段取り時間C、停止時間D、保守時間Eおよびホールド時間F等を除いた時間である。段取り時間Cは、工程管理装置10により
図7に示すフローチャートに従い演算された時間である。停止時間Dは、関連する工作機械の電源がOFFされていた時間であり、工程管理装置10が、各工作機械の制御装置40−1、40−2、40−3、40−4と通信不能となっている時間のうち、保守時間Eとホールド時間Fを除いた時間である。
【0042】
保守時間Eは、工作機械のメンテナンスや修理を行っている時間である。保守時間Eは、例えば、工作機械のメンテナンスや修理に際して、オペレータが、各工作機械の操作盤(図示せず)から「保守開始操作」と「保守終了操作」を入力することによって、保守開始日時と保守終了日時が制御装置(機械制御装置)に入力され、工程管理装置10が。それを読み取ることによって得ることができる。
【0043】
ホールド時間Fは、オペレータが工作機械のホールドボタンを押したことにより、実行中の加工プログラムを一時的に停止させている時間である。加工プログラムを一時停止している間に、オペレータは加工プログラムを1行ずつ実行して加工プログラムの検証をしたり、加工状態の確認をするため加工室の中を観察したりする。オペレータによる確認が終わった後は、一時停止を解除して加工を再開することができる。
【0044】
なお、上記の実施形態では、オペレータが段取り作業を行っているために、工作機械が加工を行っていない時間である段取り時間Cを抽出するようになっているが、本発明によれば、段取り時間Cは、更に詳細に、例えばワークの搬入時間、ワーク搬出時間およびワーク位置調整時間に分けることができる。
【0045】
図9のサブルーチンは、
図7のサブルーチンと同時並行的に実行することができる。
図9のサブルーチンが開始されると、まずフラグiに0(零)が入力される(ステップS30)。次いで、ステップS32おいて、以下の第1条件Iが満たされ、かつ、変数C(0)に「ワーク搬出入」が入力されていないか否かが判定される。ここで、第1条件Iは、上述した所定範囲に物体を検出し、かつ、検出した物体までの距離の変化が150mm以下の状態を1分間維持することである。所定範囲は、上述したように、
図1、2の実施形態では、600〜1200mmとすることができ、
図3、4の実施形態では、1800〜2400mmとすることができる。第1条件Iは、関心領域内にいるオペレータの動作が比較的小さい場合であって、オペレータがワークの搬出または搬入を行っている場合を抽出する条件である。
【0046】
ステップS32でYesの場合、つまり、第1条件Iを満たし、かつ、変数C(0)に「ワーク搬出入」が入力されていない場合、ステップS34で変数C(i)に「ワーク搬出入」が入力されるとともに、フラグiに1が加算され、フローはステップS36へ進む。ステップS32でNoの場合、つまり、第1条件Iを満たさない(オペレータの動作が比較的大きい)か、既に変数C(0)に「ワーク搬出入」が入力されている場合、フローはステップS36へ進む。
【0047】
ステップS36では、以下の第2条件IIが満たされ、かつ、変数C(0)に「ワーク位置調整」が入力されていないか否かが判定される。ここで、第2条件IIは、上記所定範囲に物体を検出し、かつ、1分間で150mmを超える距離の変化が3回あることである。第2条件IIは、関心領域内にいるオペレータの動作が比較的大きくかつ頻度が高い場合であって、オペレータがワークの位置調整を行っている場合を抽出する条件である。
【0048】
また、フローチャートがステップS36へ進んだとき、変数C(0)には、(1)何も入力されていない(つまりC(0)=0である)か、(2)「ワーク搬出入」が入力されているか、或いは、(3)「ワーク位置調整」が入力されている。このとき、変数C(1)には、(1)何も入力されていない(つまりC(1)=0である)か、(2)「ワーク搬出入」が入力されているか、或いは、(3)「ワーク位置調整」が入力されている。
【0049】
ステップS36でYesの場合、つまり、第2条件IIを満たし(オペレータの動作が比較的大きく、動作の頻度が高い)、かつ、変数C(0)に「ワーク位置調整」が入力されていない(C(0)=0か、或いは、ステップS34で変数C(0)に「ワーク搬出入」が入力されている)場合、ステップS38で変数C(i)に「ワーク位置調整」が入力されるとともに、フラグiに1が加算され、フローはステップS40へ進む。ステップS36でNoの場合、つまり、第2条件IIを満たさない(オペレータの動作が比較的小さいか、または、大きな動作の頻度が低い)か、既にステップS38で変数C(0)に「ワーク位置調整」が入力されている場合、フローはステップS40へ進む。
【0050】
ステップS40ではフラグiが2以上であるか否かが判定される。ステップS40でNoの場合、つまり、i=0または1の場合、フローは、ステップS32へ帰還する。ステップS40でYesの場合、つまり、i=2の場合(本フローチャートでiは3以上にはならない)、フローはステップS42へ進む。
【0051】
ステップS42へ進んだとき、i=2であるので、変数C(0)に、ステップS34またはステップS38で、「ワーク搬出入」または「ワーク位置調整」が入力されており、かつ、変数C(1)に、ステップS38またはステップS34で、「ワーク位置調整」または「ワーク搬出入」が入力されている。
【0052】
ステップS42において、変数C(0)に「ワーク搬出入」が入力され、かつ、変数C(1)に「ワーク位置調整」が入力されている(ステップS42でYes)場合、第1と第2の距離センサ108、110または距離センサ208による検出結果は、ワークの搬入後にワークの位置調整がなされていることを反映したものと考えられるので、当該段取り時間はワーク搬入時間と判定され(ステップS44)、フローはステップS46に進む。反対にステップS42でNoの場合も、フローはステップS46に進む。
【0053】
ステップS42でNoの場合は、変数C(0)に「ワーク位置調整」が入力され、かつ、変数C(1)に「ワーク搬出入」が入力されており(ステップS46でYes)、第1と第2の距離センサ108、110または距離センサ208による検出結果は、ワークの位置調整後にワークの搬出がなされていることを反映したものと考えられるので、当該段取り時間はワーク位置調整時間と判定され(ステップS48)、ステップS50で変数C(0)、C(1)に0(零)が入力され、サブルーチンが終了する。ステップS46でNoの場合、つまり、ステップS42でYesの場合も、フローはステップS50へ進み、変数C(0)、C(1)に0(零)が入力され、サブルーチンが終了する。
【0054】
図9のサブルーチンを実行することによって、段取り時間Cは、更に詳細に、例えばワークの搬入時間、ワーク搬出時間およびワーク位置調整時間に区分可能となる。
工作機械は、加工機の加工空間を包囲するカバーを有しており、前記開口部は、カバーの側壁において、工作機械のオペレータが加工空間にアクセス可能となる位置に形成された第1の開口部である請求項1に記載の工作機械。
第1と第2の開口部がカバーの同じ側壁に形成されており、センサは該側壁に沿って、第1の開口部または第2の開口部の前にある対象までの距離を測定する請求項5に記載の工作機械。
第1と第2の開口部がカバーの異なる側壁に形成されており、センサは、第1の開口部が形成された側壁に沿って、第1の開口部の前にある対象までの距離を測定する第1のセンサと、第2の開口部が形成された側壁に沿って、第2の開口部の前にある対象までの距離を測定する第2のセンサとを備える請求項5に記載の工作機械。