【課題】外国人労働者の雇用に携わる高いコンプライアンス水準を実現することができ、外国人労働者の労働環境を改善することが可能な技能実習・特定技能に関する情報管理システムおよび情報管理装置を提供する。
【解決手段】情報管理システムにおいて、情報管理装置2は、外国人労働者の雇用に関する複数の管理書類および各管理書類に関連する管理項目の管理データを記憶する管理データ記憶部6と、登録すべき管理データのリストが記憶されているとともに、各管理データにそれぞれ紐づけられた登録予定日が記憶されるリスト記憶部7と、管理データの登録に関する処理を行う管理データ登録部9と、未登録の管理データに関するアラートメッセージ情報生成の処理を行うアラート部10と、を有する。
入力された基準日に基づき管理データの登録予定日を算出し、算出した登録予定日を対応する管理データに紐づけてリスト記憶部に記憶させる登録予定日算出部を有することを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
基準日として入力が必要な第1基準日と、登録予定日算出部に算出された登録予定日に対応する管理項目として入力される第2基準日とを用いることを特徴とする請求項2に記載の情報管理システム。
入力された基準日に基づき管理データの登録予定日を算出し、算出した登録予定日を対応する必要管理データに紐づけてリスト記憶部に記憶させる登録予定日算出部を有することを特徴とする請求項4に記載の情報管理装置。
基準日として入力が必要な第1基準日と、登録予定日算出部に算出された登録予定日に対応する管理項目として入力される第2基準日とを用いることを特徴とする情報管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来、法定監査が適切に運用されず、監理団体や登録支援機関による外国人労働者のサポート体制が十分に機能していない場合があった。さらに、法律で規定されている書類や、外部監査を受けるために用意しなければならない必要書類などが多く、外国人労働者の雇用に携わる各団体において、これらの書類を継続的かつ網羅的に管理できていない場合もあった。このため外部監査を受けることはハードルが高くなってしまい、現状では外国人労働者の雇用に携わる団体によっては外部監査の制度を活用することが困難であるという問題もあった。この結果、前記各団体において国際的な観点からの高い水準のコンプライアンス遵守が達成できていないケースが発生してしまい、ひいては外国人労働者の労働環境が悪化して、外国人労働者のパフォーマンスの低下や失踪など種々の問題を引き起こす原因の一つとなっていると考えられる。
【0007】
また、特許文献1による実習生情報提供装置は、技能実習制度を利用して技能を取得した外国人技能実習生を十分活用すべく信頼性の高い人材情報を提供することを目的として実習生の基本情報を記憶するものに留まり、監査を受ける際に必要かつ十分な書類が記憶されるものではなかった。
【0008】
本発明は、前述の点に鑑みてなされたものであり、外国人労働者の雇用に携わる各団体において高いコンプライアンス水準を実現することができ、ひいては外国人労働者の労働環境を改善することができ、パフォーマンスの向上につながるとともに、失踪などの問題の解消につながることが可能な情報管理システムおよび情報管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下では、本発明の理解を容易にするために、本発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0010】
前記目的を達成するために、本発明に係る情報管理システム1は、
技能実習・特定技能の在留資格に基づく外国人労働者の雇用に関する情報を管理するためのシステムであって、
外国人労働者の雇用に関する複数の管理書類および前記各管理書類に関連する管理項目の管理データを記憶する管理データ記憶部6、
登録すべき管理データのリストが記憶されているとともに、各管理データにそれぞれ紐づけられた登録予定日が記憶されるリスト記憶部7、
管理データの登録に関する処理を行う管理データ登録部9、
未登録の管理データに関するアラートメッセージ情報生成の処理を行うアラート部10、を有する情報管理装置2と、
情報管理装置2に通信ネットワークを介して接続され、外国人労働者を雇用する受入れ機関において操作される受入れ機関端末3と、
情報管理装置2に通信ネットワークを介して接続され、外国人労働者の雇用に携わる団体や個人の書類データ管理を代行する管理代行において操作される管理代行端末5と、を有し、
管理データ登録部9は、受入れ機関端末3および管理代行端末5から受信した管理データを管理データ記憶部6に登録し、
アラート部10は、受入れ機関端末3、管理代行端末5からアクセスがあると、リスト記憶部7に記憶された登録予定日を確認し、管理データ記憶部6に記憶された管理データとリスト記憶部7に記憶されている管理データのリストとを比較し、登録予定日までに管理データの登録があったか否かを確認し、未登録の必要管理データについて各端末3、5にアラートメッセージ情報を送信する処理を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る情報管理装置2は、
技能実習・特定技能の在留資格に基づく外国人労働者の雇用に関する情報を管理するための装置であって、
外国人労働者の雇用に関する複数の管理書類および前記各管理書類に関連する管理項目の管理データを記憶する管理データ記憶部6と、
登録すべき管理データのリストが記憶されているとともに、各管理データにそれぞれ紐づけられた登録予定日が記憶されるリスト記憶部7と、
管理データの登録に関する処理を行う管理データ登録部9と、
未登録の管理データに関するアラートメッセージ情報生成の処理を行うアラート部10と、を有し、
外国人労働者を雇用する受入れ機関において操作される受入れ機関端末3、および外国人労働者の雇用に携わる団体や個人の書類データ管理を代行する管理代行において操作される管理代行端末5に通信ネットワークを介して接続され、
管理データ登録部9は、受入れ機関端末3および管理代行端末5から受信した管理データを管理データ記憶部6に登録し、
アラート部10は、受入れ機関端末3、管理代行端末5からアクセスがあると、リスト記憶部7に記憶された登録予定日を確認し、管理データ記憶部6に記憶された管理データとリスト記憶部7に記憶されている管理データのリストとを比較し、登録予定日まで管理データの登録があったか否かを確認し、未登録の管理データについて各端末3、5にアラートメッセージ情報を送信する処理を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明において、管理データのリストに含まれる管理書類には、法律で規定された事項の実施を証明する法定書類や、外部監査の際に提出が必要な監査書類だけでなく、外国人労働者の雇用に携わる各団体自体のコンプライアンス体制の遵守に関する書類など外国人労働者のサポートなど労働環境向上のために必要な作業の実施を証明する書類や、外国人労働者の雇用に携わる各団体のコンプライアンス体制の維持・向上のための補完書類が含まれる。
さらに、管理データのリストに含まれる管理項目には、外国人労働者の基本情報や教育状況、必要手続など管理書類に関連する管理項目が含まれる。そして、登録予定日を過ぎても管理データが管理データ記憶部6に未登録の場合には、各端末3、5に未登録管理データがある旨のアラートメッセージ情報が送信されるようになっている。これにより、外国人労働者の雇用に関する管理データを一元かつ網羅して管理することが可能となる。また、受入れ機関が未登録の管理データについて管理代行が管理代行端末5を介して確認することができるので、各団体に管理データの登録を促すまたは代行して管理データの登録を行うことができ、確実に管理データを収集することができる。
【0013】
本発明において、入力された基準日に基づき管理データの登録予定日を算出し、算出した登録予定日を対応する管理データに紐づけてリスト記憶部7に記憶させる登録予定日算出部11を有してもよい。このような構成を採用することにより、1つの基準日を基準にして複数の登録予定日を算出することもでき、各管理データに紐づけられた登録予定日を個々に入力する必要はないので、入力の手間を省略することができるとともに、誤入力を低減、防止することができる。
【0014】
本発明において、基準日として入力が必要な第1基準日と、登録予定日算出部に算出された登録予定日に対応する管理項目として入力される第2基準日と、を用いてもよい。このような構成を採用することにより、登録予定日算出部11が算出した登録予定日に対応する管理項目として入力される第2基準日を用いることにより、基準日の入力忘れを低減、防止することができる。
【0015】
なお、本発明において、技能実習制度の団体監理型を介する場合、上記各端末3、5とともに、監理団体(受入れ機関において技能実習が適正に実施されているかを確認、指導する役割を果たす団体)において操作される監理団体端末4をさらに有することもできる。ただし、企業単独型(例えば、日本の企業が直接、海外の現地法人などの職員を受け入れて技能実習を実施する形式)の技能実習制度を介したり、あるいは特定技能に係る制度を介して外国人労働者を雇用する場合、監理団体端末4は必要ない。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る情報管理システム及び情報管理装置によれば、外国人労働者の雇用に関する管理データの一部が未登録である場合に、その旨のアラートメッセージ情報を送信するように構成しているため、該管理データを一元かつ網羅して管理可能となる。また受入れ機関が未登録の管理データについて、管理代行が管理代行端末を介して確認可能に構成されているため、各団体に管理データの登録を促したり、または代行して管理データを登録可能であり、管理データの収集を確実なものとすることができる。その結果、外国人労働者の雇用に携わる各団体において高いコンプライアンス水準を実現することができ、ひいては外国人労働者の労働環境を改善することができ、パフォーマンスの向上につながるとともに失踪などの問題の解消につながることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1から
図7に基づいて、本発明に係る情報管理システムの一実施形態を説明する。本実施形態では、「技能実習制度」の団体監理型を介し、外国人労働者の雇用として技能実習生を受入れる場合を用いて説明する。「団体監理型」とは、受入れ機関において技能実習が適正に実施されているかを確認、指導する役割を果たす監理団体が、技能実習候補生を募集し日本に派遣する役割を果たす送出機関から技能実習生を受け入れ、「受入れ機関」において技能実習が実施される形式である。
なお、本発明に係る情報管理システムは、日本の企業が海外の現地法人などの職員を受け入れて技能実習を実施する企業単独型の「技能実習制度」や、さらには「特定技能」に係る制度を介して外国人労働者を雇用する場合に適用することも可能である。
【0019】
(情報管理システムの概要)
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る情報管理システム1は、情報管理装置2と、受入れ機関端末3と、監理団体端末4と、管理代行端末5と、を有している。情報管理装置2は、受入れ機関端末3、監理団体端末4および管理代行端末5と、それぞれインターネットなどの通信ネットワークを介して接続されている。また管理代行端末5は、図示しない送出機関端末と通信ネットワークを介して通信可能とされている。
【0020】
このような情報管理システム1は、技能実習生の受け入れにおける下記(1)〜(14)の各工程における外国人労働者の雇用(技能実習生の受け入れ)に関する管理書類および管理書類に関連する管理項目などの管理データの管理に用いられる。
(1)受入れ機関における技能実習生の受け入れの決定
(2)監理団体、送出機関の選定
(3)技能実習生候補者の募集、面接、技能実習生の決定
(4)技能実習生の現地講習
(5)技能実習生の来日準備、来日
(6)技能実習生の来日後講習実施
(7)技能実習生の来日後、受入れ機関における技能実習生の実習実施
(8) 監理団体による受入れ機関への法定訪問、技能実習生の定期面談・サポート、外国人技能実習機構に監査報告書の提出
(9)管理代行による定期面談、受入れ機関の自主点検、社宅チェック、レクリエーションの実施確認
(10)RBA監査機関による受入れ機関・監理団体・送出機関・管理代行の監査
(11)外国人技能実習機構による不定期監査
(12)都道府県職業能力開発協会/指定試験機関による技能検定試験実施
(13)職種による在留資格更新・雇用契約更新
(14)技能実習生の帰国(技能実習修了)
【0021】
ここで、外国人労働者の雇用(技能実習生の受け入れ)に関する管理書類とは、前記(1)〜(14)の工程において、受入れ機関、監理団体、送出機関、管理代行、技能実習生、技能実習生の家族のほか、外国人技能実習機構や、RBA監査機関などの外部監査機関など技能実習生の受け入れに携わる各団体が技能実習生の受け入れに関して作成する書類である。具体的には、管理書類には、(a)監理団体による技能実習生に関する監査や外国人技能実習機構による監理団体の監査の際の提出書類など、法律で規定された事項の実施を証明する法定書類のほか、(b)RBA監査など外部監査の際に提出が必要な監査書類だけでなく、(c)外国人労働者のサポートなど労働環境向上のために必要な作業の実施を証明する書類、技能実習生の受け入れに携わる各団体のコンプライアンス体制の維持・向上に関する書類などの補完書類も含む。(a)法定書類としては、例えば、技能実習計画認定、入国後講習実施予定表、技能実習生の誓約書、技能実習計画の認定に関する取次送出機関の誓約書などが挙げられる。(b)監査書類としては、例えば、技能実習生の日誌、技能実習生の管理簿、労働者名簿、労務管理帳簿などが挙げられる。(c)補完書類としては、例えば、(3)の工程において受入れ機関によって作成される会社説明資料や、(5)の工程において技能実習生の出国時に送出機関によって作成される出国報告書、(14)の工程において技能実習生の入国時に監理団体によって作成される帰国報告書のほか各団体間の契約書や見積書、さらにはライセンス証明書、団体の役員、大株主、事業内容などの基本データ表など、各団体自体のコンプライアンス体制の遵守に関する書類などが挙げられる。
【0022】
外国人労働者の雇用(技能実習生の受け入れ)に関する管理項目とは、技能実習生の基本情報のほか、教育状況の確認、技能実習生が入国するにあたり必要な手続き、入国後の生活や帰国に関して必要な手続きに関する日程など管理書類に関連する項目をいう。管理項目としては、例えば、技能実習生の氏名、生年月日、出身国での連絡先、日本語ランクなどの基本情報、日本語能力試験・技能検定に関する日程や結果に関する情報、技能実習生の入国前準備・実習実施先への配属前準備・帰国準備などの際のチェック事項に関する情報や、技能実習生計画認定の申請日、技能実習生のビザ申請日、技能実習生の入国後の各種手続きの申請・手続日などが挙げられる。
【0023】
このような情報管理システム1では、前記(1)〜(14)の各工程において受入れ機関、監理団体、管理代行は各端末3、4、5を用いて情報管理装置2にアクセスし、各管理書類や管理項目などの管理データを情報管理装置2に登録するとともに、管理データの登録の有無を確認する。
【0024】
(情報管理装置2および各端末3、4、5の説明)
図2に示すように、本実施形態の情報管理装置2は、技能実習生の受け入れに関する管理データを記憶する管理データ記憶部6と、登録が予定された管理データのリストおよび各管理データの登録予定日が記憶されたリスト記憶部7を有している。また、情報管理装置2は、情報管理装置2の各部の動作の処理を行う制御部8を有し、制御部8は、管理データ登録部9、アラート部10、登録予定日算出部11を有している。
管理データ登録部9は、受入れ機関端末3、監理団体端末4、管理代行端末5からの管理データの登録に関する処理を行う。アラート部10は、未登録の管理データに関するアラートメッセージ情報生成の処理を行う。登録予定日算出部11は、所定の基準日を基準とする登録予定日の算出に関する処理を行う。
そして、情報管理装置2は、通信ネットワークを介して受入れ機関端末3、監理団体端末4、管理代行端末5からアクセスがあると、外国人労働者の雇用に関する管理データに関する情報を各端末3、4、5に送信する。
【0025】
管理データ記憶部6には、受入れ機関端末3、監理団体端末4、管理代行端末5から情報管理装置2に送信された管理書類や管理項目が記憶される。
【0026】
リスト記憶部7には、情報管理装置2の管理データ記憶部6に登録すべき管理書類および管理項目のリストが記憶されているとともに、管理書類および管理項目を登録すべき登録予定日が、該当する管理書類および管理項目に紐づけされて記憶されている。管理書類および管理項目に関する登録予定日は、基準日を基準にして設定される。管理書類に関する登録予定日としては、例えば、面接日、雇用契約日、入国日、技能検定試験日、帰国日などが挙げられる。管理項目に関する登録予定日としては、例えば、技能実習生の基本情報について面接日を基準とした面接日、日本語能力試験申込日について受験日を基準とした3か月前に相当する日、技能検定対策実施日について受検申込日を基準として申し込み後3カ月後に相当する日などが挙げられる。
【0027】
管理データ登録部9は、受入れ機関端末3、監理団体端末4、管理代行端末5から情報管理装置2に送信された管理データを管理データ記憶部6に記憶させることにより登録する処理を受け付ける機能を有する。
【0028】
アラート部10は、情報管理装置2に、受入れ機関端末3、監理団体端末4、管理代行端末5からアクセスがあると、リスト記憶部7に記憶された登録予定日を確認するとともに、管理データ記憶部6に記憶された管理データと、リスト記憶部7に記憶された管理データのリストを比較し、登録予定日に未登録である管理データについて、各端末3、4、5にアラートメッセージを表示する。
【0029】
登録予定日算出部11は、基準日を基準にして登録予定日を算出する。基準日には、あらかじめ入力が必要な第1基準日と、登録予定日算出部11が算出した登録予定日に対応する管理項目として入力される第2基準日とがある。例えば、第1基準日として、技能実習生候補者の面接日が管理項目として登録されると、登録予定日算出部11は、面接日を基準日とする登録予定日を算出し、算出した登録予定日を対応する管理データと紐づけてリスト記憶部7に記憶させる。続いて、面接日を基準日とする登録予定日に紐づけられた管理項目として例えば日本語能力試験日が登録されると、アラート部10は、第2基準日としての日本語能力試験日を基準日とする登録予定日を算出し、リスト記憶部7に管理データと紐づけて算出した登録予定日を登録する。第1基準日は1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0030】
なお、本実施形態においては、登録予定日算出部11によって登録予定日が算出されるようになっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば登録予定日が直接入力されてもよい。
【0031】
受入れ機関端末3は、技能実習生の技能実習を実施する受入れ機関において端末操作者が操作するようになっており、情報管理装置2にアクセスすると管理書類および管理項目などの管理データのリストが表示されるとともに、受入れ機関が作成・管理する管理書類および管理項目などの管理データを情報管理装置2に登録する処理を行うために用いられる。受入れ機関端末3に表示される管理データのリストには、受入れ機関の責任をもって情報管理装置2に登録される管理データのみが表示されてもよく、若しくは、全ての管理データが表示されてもよい。さらに受入れ機関端末3において、情報管理装置2にすでに登録した管理データの内容が表示される。
【0032】
受入れ機関の責任をもって情報管理装置2に登録される管理書類としては、例えば、前述の(3)の工程において技能実習生候補者の募集、面接、会社説明、雇用契約に関する書類、(5)の工程における社宅等の手配、教育資料作成に関する書類、(6)の工程における講習手当支給や入国後講習実施記録などに関する書類、(7)の工程における実習実施やレクリエーションに関する書類、技能検定試験申し込みに関する書類、(13)の工程における在留資格更新・変更に関する書類などが挙げられる。また、受入れ機関の責任をもって情報管理装置2に登録される管理項目としては、例えば、技能実習生の日誌、シフト管理表、技能実習生の名簿などが挙げられる。受入れ機関端末3から情報管理装置2に登録する管理データとしては、法定書類や、監査書類のほか、外国人労働者のサポートなど労働環境向上のために必要な作業の実施を証明する書類や外国人労働者の雇用に携わる各団体のコンプライアンス体制の維持・向上のために独自に設定した補完書類、さらに各書類に関連する管理項目も含まれる。
【0033】
監理団体端末4は、監理団体において端末操作者が操作するようになっており、情報管理装置2にアクセスすると管理データのリストが表示されるとともに、監理団体が作成・管理する管理データを情報管理装置2に登録する処理を行うために用いられる。監理団体端末4に表示される管理データのリストには、監理団体の責任をもって情報管理装置2に登録される管理データのみが表示されてもよく、若しくはすべての管理データが表示されてもよい。さらに監理団体端末4において、すでに情報管理装置2に登録した管理データの内容が表示される。
【0034】
監理団体の責任をもって情報管理装置2に登録される管理書類としては、例えば、前述の、(4)の工程における入国前講習実施記録に関する書類、(5)の工程における技能実習計画認定および在留資格認定証明書交付申請に関する書類、チケット手配状況確認など実習生の送出準備に関する書類、(7)の工程における技能実習生の国内講習期間における講習実施記録に関する書類、技能実習生の定期面談を含む受入れ機関の訪問監査に関する書類、(11)の工程における外国人技能実習機構の監査に関する書類、(12)の工程における技能検定試験申し込みに関する書類、(13)の工程における在留資格更新・変更申請に関する書類などが挙げられる。また、監理団体の責任をもって情報管理装置2に登録される管理項目としては、例えば、(5)の工程における技能実習生計画認定の申請日やビザ申請日、(12)の工程における技能実習生の基本情報や検定試験に関する日程が挙げられる。監理団体端末4から情報管理装置2に登録する管理データとしては、法定書類、監査書類のほか、外国人労働者のサポートなど労働環境向上のために必要な作業の実施を証明する書類や外国人労働者の雇用に携わる各団体のコンプライアンス体制の維持・向上のために独自に設定した補完書類、さらに各書類に関連する関連する管理項目も含まれる。
【0035】
管理代行端末5は、受入れ機関のサポートを行う管理代行において端末操作者が操作するようになっており、情報管理装置2にアクセスすると管理データのリストが表示されるとともに、種々の管理データを情報管理装置2に登録する処理を行うために用いられる。管理代行端末5には、全ての管理データのリストが表示される。さらに管理代行端末5において、情報管理装置2にすでに登録した管理データの内容が表示される。
【0036】
ここで、管理代行は、監理団体を通じて送出機関が作成した管理書類や技能実習生が作成・保有する管理書類を、E-MAIL、配送、直接手渡しなど種々の受け渡し手段を介して受領し、受領した管理書類の内容をチェックする。そして、管理代行端末5は、チェック後の管理書類を情報管理装置2に登録するためにも用いられる。送出機関が作成する管理書類としては、例えば、(3)の工程において技能実習生の候補者リストや、来日前の日本語教育や講習の実施記録などが挙げられる。また技能実習生が作成・保有する管理書類としては、例えば、(3)の工程における面接に合格した技能実習生の家族への会社説明に関する書類、受入れ機関との雇用契約などが挙げられる。さらに、管理代行は送出機関や技能実習生だけでなく受入れ機関などの責任で登録される管理データについても、受入れ機関に代わって情報管理装置2に登録することが可能である。
【0037】
図3に示すように、本実施形態の情報管理装置2は、ハードウェア構成手段としていずれもCPU12(Central Processing Unit)、RAM13(Random Access Memory)、ROM14(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置15、キーボードやマウスなどの入力装置16、ディスプレイやプリンタなどの出力装置17、および通信ネットワークに接続するための通信制御装置18とを有し、各装置12〜18はバスにより接続されている。
また各端末3、4、5のハードウェア構成は、情報管理装置2と同様である。このため、それらの詳説は省略する。
なお、情報管理装置2および各端末3、4、5が有するハードウェア構成手段は本実施形態の構成手段に限定されるものではない。
【0038】
CPU12は、ROM14に記憶された情報管理装置2および各端末3、4、5の各構成手段を機能させる処理を実行するためのプログラムやデータをRAM13において展開しながら、当該プログラムにしたがって演算処理することにより、情報管理装置2および各端末3、4、5の動作を制御するようになっている。情報管理装置2のCPU12は、各端末3、4、5からの管理データの登録に関する処理を受け付ける管理データ登録部9、および管理データに関するアラート機能を動作させるアラート部10、登録予定日を算出する登録予定日算出部11としても機能するように構成されている。
【0039】
記憶装置15には、OS(Operating System)やアプリケーションプログラムが記憶されている。また情報管理装置2の記憶装置15は、技能実習生の受け入れに関する管理データを記憶する管理データ記憶部6および管理データのリストおよび各管理データの登録予定日が記憶されたリスト記憶部7を含む。
【0040】
入力装置16および出力装置17は、情報管理装置2や各端末3、4、5の操作者が、情報管理装置2や各端末3、4、5を操作する際のユーザーインターフェースとして機能する。
【0041】
通信制御装置18は、有線・無線LAN、インターネットなどの通信ネットワークに接続して、情報管理装置2、各端末3、4、5間において相互にデータを送受信するためのインターフェースとして機能する。
【0042】
なお、情報管理装置2および各端末3、4、5の各構成手段が機能するように処理するプログラムの記憶場所やプログラムの内容のほか、各構成手段が機能するための処理方法は本実施形態に限定されるものではなく、例えば、各構成手段に対応するプログラムを実行することにより各構成手段が機能するように処理してもよい。また外部メモリ装置に記憶されたプログラムを読み込んでプログラムを実行するものであってもよい。
【0043】
(情報管理装置2および各端末3、4、5の動作)
情報管理装置2と各端末3、4、5との間で行われる処理の流れを説明する。
図4に示すように、まず、管理代行の端末操作者による操作により管理代行端末5から情報管理装置2にログインし(S01)、さらに管理代行の端末操作者による操作によって管理代行端末5から情報管理装置2に管理データリストの表示が要求されると(S02)、情報管理装置2のアラート部10は、未登録の管理データの有無を確認する(S03)。
【0044】
情報管理装置2のアラート部10による未登録の管理データの確認について説明する。
図5に示すように、アラート部10は、管理代行端末5からアクセスがあるとリスト記憶部7に記憶された登録予定日を確認するとともに(S031)、管理データ記憶部6に記憶された管理データと、リスト記憶部7に記憶された管理データのリストを比較し(S032)、登録予定日までに未登録の管理データがあった場合には(S033においてYes)、制御部8は管理代行端末5に管理データリスト情報を送信するとともに(S04)、未登録管理データの件数や名称などを示すアラートメッセージ情報を管理代行端末5に送信する(S034、S04)。一方、未登録管理データがない場合には(S033においてNo)、制御部8は管理代行端末5に管理データリスト情報を送信するとともに(S04)、アラート部10は未登録管理データの件数が0であるなど未登録管理データがない旨を示すメッセージ情報を管理代行端末5に送信する(S035、S04)。
【0045】
なお、本発明に係るシステム及び装置は、本実施形態の処理に限定されるものではなく、例えば未登録管理データがない場合には、制御部8が管理データのリストに関する情報を送信する際(S04)、アラート部10は未登録管理データがない旨を示すメッセージ情報を管理代行端末5に送信しなくてもよい。
また、本実施形態においてはアラート部10がアラートメッセージを表示する処理工程における管理代行端末5から情報管理装置2へのアクセスの時期について、本実施形態においては管理代行端末5から情報管理装置2に管理データリストの表示が要求された場合を用いて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、管理代行端末5から情報管理装置2へのアクセスとして情報管理装置2にログイン要求があったときに、未登録管理データの有無を確認し、ログイン後の管理代行端末5の最初の画面にアラートメッセージを表示するようにしてもよい。
【0046】
このように情報管理装置2の制御部8から受信した管理データのリスト情報およびアラート部10から受信した(アラート)メッセージ情報に基づき、管理代行端末5は、出力装置17に管理データのリストおよび(アラート)メッセージを表示する(S05)。
図6に示すように、未登録管理データがある場合における管理代行端末5の出力装置17(ディスプレイ)でのアラートメッセージの表示としては、例えば、未登録管理データの件数の表示、未登録の管理書類名および管理項目名の文字を太字にする表示、他の文字と異なる色とする表示、さらには未登録の管理書類の名称および管理項目の名称に対応した「未」などの未登録である旨の表示などが考えられる。
一方、未登録管理データがない場合のメッセージの表示としては、例えば、未登録管理データの件数を0とする表示、登録済みである管理書類の名称および管理項目の名称に対応した「済」や「既」など登録済みである旨の表示などが考えられる。
【0047】
続いて、管理代行端末5から情報管理装置2に管理データの登録が要求されると(S06)、情報管理装置2の管理データ登録部9は、管理書類自体のデータや管理書類を情報管理装置2に登録した登録日など管理データに関する情報を管理代行端末5から受け付け、管理データ記憶部6に記憶させて管理データを更新する(S07)。
【0048】
情報管理装置2において管理データ記憶部6への更新処理があると、アラート部10は、リスト記憶部7に記憶された登録予定日を確認するとともに管理データ記憶部6に記憶された管理データと、リスト記憶部7に記憶された管理データのリストを比較することにより未登録管理データの有無を確認する(S08)。そして、情報管理装置2の制御部8は、更新された管理データのリストに関する情報および(アラート)メッセージ情報を管理代行端末5に送信し(S09)、情報管理装置2の制御部8から受信した管理データのリスト情報およびアラート部10から受信した(アラート)メッセージ情報に基づき、管理代行端末5は、更新された管理データのリストおよび(アラート)メッセージを出力装置17に表示する(S10)。
【0049】
情報管理装置2と受入れ機関端末3、監理団体端末4との間で行われるS01〜S10までの流れは、上述の情報管理装置2と受入れ機関端末3との間で行われる処理の流れと同様なので詳説を省略する。
【0050】
情報管理装置2の登録予定日算出部11の処理の流れについて説明する。
図7に示すように、いずれかの端末3、4、5から第1基準日として技能実習生候補者の面接日が情報管理装置2の管理データ記憶部6に登録されると(S11)、登録予定日算出部11は、面接日を基準日とする登録予定日を算出し(例えば、面接日から〇〇ヶ月に相当する日)(S12)、算出した登録予定日を対応する管理データ(例えば、技能実習生の基本情報に関する管理項目)と紐づけてリスト記憶部7に登録する(S13)。続いて、いずれかの端末3、4、5から面接日を基準日とする登録予定日と紐づけされた管理データ(技能実習生の基本情報に関する管理項目として日本語能力試験日)が管理データ記憶部6に登録されると(S14)、登録予定算出部11は、第2基準日である日本語能力試験日を基準日とする登録予定日を算出し(例えば日本語能力試験日前〇〇ヶ月に相当する日)(S15)、算出した登録予定日を対応する管理データ(例えば、技能実習生の教育状況に関する管理項目として日本語能力試験申込日)と紐づけてリスト記憶部7に登録する(S16)。
【0051】
本実施形態に係る情報管理システム1および情報管理装置2によれば、管理データのリストには、法律で規定された事項の実施を証明する法定書類や、外部監査の際に提出が必要な監査書類だけでなく、技能実習生の受入れに携わる各団体自体のコンプライアンス体制の遵守に関する書類など外国人労働者のサポートなど労働環境向上のために必要な作業の実施を証明する書類や外国人労働者の雇用に携わる各団体のコンプライアンス体制の維持・向上のための補完書類を含む管理書類、および技能実習生の基本情報や教育状況、必要手続など管理書類に関連する管理項目が含まれている。そして、登録予定日を過ぎても管理データが管理データ記憶部6に未登録の場合には、各端末3、4、5に未登録管理データがある旨のアラートメッセージが表示されるようになっている。
これにより、技能実習生の受け入れに関する管理データを一元かつ網羅して管理することが可能となる。また、受入れ機関や監理団体が未登録の管理データについて管理代行が管理代行端末5を介して確認することができるので、各団体に管理データの登録を促すまたは代行して管理データの登録を行うことができ、確実に管理データを収集することができる。
【0052】
この結果、本実施形態に係る情報管理システム1および情報管理装置2によれば、外国人労働者の雇用に携わる各団体において高いコンプライアンス水準を実現することができるので、外国人労働者の労働環境を改善することができ、ひいては外国人労働者のパフォーマンスの向上につながるとともに失踪などの問題の解消につながることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る情報管理システム1および情報管理装置2によれば、登録予定日算出部11が、基準日を基準にして登録予定日を算出し、対応する管理データに紐づけてリスト記憶部7に記憶されるようになっている。このため、1つの基準日を基準にして複数の登録予定日を算出することもでき、各管理データに紐づけられた登録予定日を個々に入力する必要はないので、入力の手間を省略することができるとともに、誤入力を低減、防止することができる。さらに、登録予定日算出部11が算出した登録予定日に対応する管理項目として入力される第2基準日を用いることにより、基準日の入力忘れを低減、防止することができる。この結果、より確実に技能実習生の受け入れに関する管理データを収集し、一元且つ網羅して管理することが可能となる。
【0054】
なお、本発明は前述の各実施形態の構成に限定されるものではない。
また本実施形態に係る情報管理システム1および情報管理装置2は、受入れ機関が1か国の1つの送出機関から1つの監理団体を介して技能実習生を受け入れる場合を1案件とし、1案件ごとに管理データを管理するようになっているが、本発明に係る情報管理システム1および情報管理装置2はこれに限定されるものではなく、種々の受入れ方式に対応することができる。