【解決手段】コネクタ位置保証(CPA)部材300と、コネクタハウジング210と、を備えるコネクタ位置保証機構10であって、CPA部材は、コネクタの嵌合方向一端にロック板330を有する四角枠形状であり、コネクタハウジングは、ハウジング本体210と、当該ハウジング本体210に形成されたカンチレバー型のロックレバー240と、当該ロックレバー240を囲むように形成された、CPA部材300を受け入れるガイド溝230と、を有し、CPA部材300の装着時に、CPA部材300は、ガイド溝230に嵌合方向以外の方向から挿入され、コネクタの嵌合時に、CPA部材300を嵌合方向に移動させることにより、ロック板330がロックレバー240の移動を規制する。
前記CPA部材は、前記嵌合方向に延在する一対のガイド枠を備え、当該ガイド枠の前記ロック板側に、前記ロックレバー上方を囲みこむ過変防止肩部が形成されている、請求項1から4いずれかに記載のコネクタ位置保証機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1、2記載の検知部材は、雌コネクタハウジングに対して雄雌コネクタの嵌合方向に沿って装着される構造のものであり、係止アームの上下方向の厚みがある程度必要であった。つまり、係止アームの上下方向の厚みを薄くすると、検知部材を嵌合方向と反対向きに引き抜いて雄雌コネクタの嵌合を解除可能な状態にした際に、検知部材と雌コネクタハウジングとの仮係止状態を維持するための係止アームの係止力が小さく、検知部材が雌コネクタハウジングから容易に脱落してしまう可能性がある。係止アームが脱落しないようにするには、係止アームの上下方向の厚みを増大させることが必要であるが、そうすると、検知部材、およびコネクタ全体の上下方向の小型化が妨げられる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、コネクタハウジングに対して嵌合方向とは異なる方向から装着可能なコネクタ位置保証機構(以下、略して「CPA機構」という)を提供することである。また、CPA機構の上下方向の肉厚を薄くすることが可能であり、その場合であっても嵌合方向移動時の強度を維持することが可能なCPA機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、コネクタ位置保証(CPA)部材と、コネクタハウジングと、を備えるコネクタ位置保証機構であって、
前記CPA部材は、コネクタの嵌合方向一端にロック板を有する四角枠形状であり、
前記コネクタハウジングは、相手方コネクタの嵌合キャビティに挿入されるハウジング本体と、当該ハウジング本体に形成されたカンチレバー型のロックレバーと、当該ロックレバーを囲むように形成された、前記四角枠形状のCPA部材を受け入れるガイド溝と、を有し、
前記CPA部材の装着時に、前記CPA部材は、前記コネクタハウジングの前記ガイド溝に前記嵌合方向以外の方向から挿入され、
コネクタの嵌合時に、前記CPA部材を前記嵌合方向に移動させることにより、前記ロック板が前記ロックレバーの移動を規制する、コネクタ位置保証機構である。
【0007】
また、本発明の一態様は、前記コネクタハウジングが、前記ガイド溝の、前記嵌合方向に延在する一対の溝部の底部に、外側又は内側に向かって広がった幅広部が形成されており、前記CPA部材が、前記嵌合方向に延在する一対のガイド枠を備え、当該ガイド枠には前記溝部の前記幅広部に対応して外側又は内側に係止突起が形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、前記コネクタハウジングの前記ガイド溝の前記一対の溝部の前記嵌合方向一端側に、前記幅広部が上面まで貫通した貫通溝が形成されており、前記CPA部材の前記一対のガイド枠に、前記ロック板が形成される側とは反対側を互いに接続する横桁材を有し、当該横桁材は、前記一対のガイド枠を超えて幅方向に突出した突出部を有しており、前記CPA部材の装着時に、前記横桁材の前記突出部が前記貫通溝に挿入されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、前記コネクタ位置保証装置が、相手方コネクタを含み、前記CPA部材の前記横桁材には、前記ロック板側に向けて延出した延出片が設けられ、前記ガイド枠には前記横桁材側の肉厚が減少する当接面が設けられており、前記コネクタハウジングには、前記CPA部材の装着時に前記延設片が接触する隆起部が形成されており、さらに前記相手方コネクタの嵌合キャビティ内には、前記当接面が嵌合方向に移動する際に前記当接面を下方に案内する案内面が形成されており、コネクタの非嵌合時には、前記CPA部材を前記嵌合方向に移動させようとすると、前記延出片が前記隆起部に乗り上げることにより、前記当接面が前記ガイド溝の嵌合方向前方壁面に当接することにより前記移動が阻止され、コネクタの嵌合時には、前記CPA部材を前記嵌合方向前方に移動させると、前記当接面が前記案内面に案内されるとともに前記延出片が前記隆起部を乗り越えることにより前記移動が許容されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、前記CPA部材が、前記嵌合方向に延在する一対のガイド枠を備え、当該ガイド枠の前記ロック板側に、前記ロックレバー上方を囲みこむ過変防止肩部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明によれば、CPA部材を、コネクタハウジングに対して嵌合方向とは異なる方向から装着することが可能になる。また、CPA部材の上下方向の肉厚を薄くすることが可能であり、その場合であっても嵌合方向移動時の強度を維持することが可能となる。
【0012】
上記本発明の一態様によれば、CPA部材をコネクタハウジングに装着した際に、ガイド枠の係止突起がガイド溝底部の幅広部に嵌まり込み、装着後に脱落することを防止できる。
【0013】
上記本発明の一態様によれば、CPA部材をコネクタハウジングに装着する際に、CPA部材の横桁材の突出部を貫通溝に挿入させることにより、嵌合方向に関して常に同じ位置でCPA部材をコネクタハウジングに装着できるようになる。
【0014】
上記本発明の一態様によれば、コネクタの非嵌合時には、CPA部材のロック位置への移動を阻止でき、一方コネクタの嵌合時には、CPA部材のロック位置への移動を許容することが可能となる。
【0015】
上記本発明の一態様によれば、コネクタハウジングのロックレバーが過度に上方に変形することを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態のCPA機構を、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明のCPA機構の一例を説明するものであって、本発明をこのCPA機構に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された他の形態のCPA機構にも等しく適用されるべきものである。
【0018】
まず、
図1を参照して、本実施形態のCPA機構10について説明する。なお、
図1は、本実施形態のCPA機構10の外観斜視図であり、
図1(A)は、CPA機構10を前側から見た場合の外観斜視図、
図1(B)は、CPA機構10を後側から見た場合の外観斜視図である。
図1に示すように、CPA機構10は、雄コネクタ100、雌コネクタ200、及びCPA部材300を備える。
【0019】
なお、以下の説明において、雄コネクタ100と雌コネクタ200が互いに嵌合し合う方向を嵌合方向あるいは前後方向と呼び、特に、雄コネクタ100側、つまり
図1(A)における紙面左側に向かう方向を前方、反対に雌コネクタ200側、つまり
図1(A)における紙面右側に向かう方向を後方と呼び、嵌合方向に直交する水平方向を幅方向、嵌合方向と幅方向の両方に直交する方向を上下方向と呼ぶこととする。
【0020】
[雄コネクタ]
次に、
図2を参照して、雄コネクタ100について説明する。なお、
図2は、本実施形態の雄コネクタ100を示す図であり、
図2(A)は雄コネクタ100の上面図、
図2(B)は右側面図、
図2(C)は正面図、
図2(D)は背面図、
図2(E)は
図2(A)及び
図2(D)におけるE−E線断面図である。
【0021】
雄コネクタ100は、ヘッダハウジング110とヘッダハウジング110に組み込まれた複数の雄コンタクト150を含む。ヘッダハウジング110は、基部120と嵌合キャビティ130を備えている。基部120は、中実の直方体形状であり、基部前面121、基部後面122、基部上面123、基部底面124、基部右側面125、基部左側面126を有する。基部上面123、基部底面124、基部右側面125、基部左側面126は、基部後面122よりも後方に向かって延出しており、基部上面123、基部底面124、基部右側面125、基部左側面126によって囲まれた中空の嵌合キャビティ130が形成される。
【0022】
基部120には、基部右側面125、基部左側面126と平行に、雄コンタクト収容スロット127が複数形成される。雄コンタクト収容スロット127は、基部後面122と基部前面121、および基部底面124を連通しており、基部後面122側は雄コンタクト150の断面形状と略同じ大きさ・形状の、前後方向に延在した開口形状であり、基部前面121側は当該開口形状の前端部分から基部前面121と基部底面124の両方にかけて溝状に開口した形状となっている。
【0023】
複数の雄コンタクト150は、L字形状であり、基部120の雄コンタクト収容スロット127に基部前面121側から圧入固定される。本実施形態では、雄コンタクト150は、基部後面122において、幅方向に4列、上下方向に2列、合計8本設けられているが、本発明はこれに限定されず、任意の本数を採用することが可能である。雄コンタクト150の一端は基部後面122から後方に向かって嵌合キャビティ130内に突出し、もう一方の端部は基部底面124から下方に向かって外部に突出している。
【0024】
基部上面123の後端には、雄コネクタ側係止突起160が下方に突出するように設けられている。この雄コネクタ側係止突起160は、雌コネクタ200が雄コネクタ100に嵌合した際に、雌コネクタ200の後述するロックレバーに形成された雌コネクタ側係止突起と係合される。
【0025】
さらに、基部上面123の、後端と基部後面122との間には、幅方向中央から両側に外れた部位に、基部上面123の下面から前方に向かって傾斜しながら垂下する案内面170が設けられている。
【0026】
[雌コネクタ]
次に、
図3を参照して、雌コネクタ200について説明する。なお、
図3は、本実施形態の雌コネクタ200を示す図であり、
図3(A)は上面図、
図3(B)は右側面図、
図3(C)は正面図、
図3(D)は背面図、
図3(E)は
図3(C)のE−E線断面図、
図3(F)は
図3(C)のF−F線断面図、
図3(G)は
図3(C)のG−G線断面図である。
【0027】
雌コネクタ200は、レセプタクルハウジング本体210とそこに装着される雌コンタクト(図示せず)を含む。レセプタクルハウジング本体210は、レセプタクル前面211、レセプタクル後面212、レセプタクル上面213、レセプタクル底面214、レセプタクル右側面215、レセプタクル左側面216を有する。
【0028】
レセプタクルハウジング本体210のレセプタクル上面213からレセプタクル底面214の上下方向の高さは、上述した雄コネクタ100のヘッダハウジング110の嵌合キャビティ130の上下方向の高さに対応する。同様に、レセプタクルハウジング本体210のレセプタクル右側面215からレセプタクル左側面216の幅は、雄コネクタ100のヘッダハウジング100の嵌合キャビティ130の幅に対応する。
【0029】
レセプタクルハウジング本体210には、レセプタクル前面211からレセプタクル後面212を貫通するように複数の雌コンタクト収容スロット217が形成される。この雌コンタクト収容スロット217は、本実施形態では、
図2に示した雄コネクタ100の雄コンタクト収容スロット127に対応した数、つまり幅方向に4列、上下方向に2列設けられており、ここには雌コンタクト(図示せず)が挿入されて係止される。
【0030】
レセプタクルハウジング本体210のレセプタクル上面213には、レセプタクル前面211からレセプタクル後面212にかけてCPA収容凹部220が形成されている。CPA収容凹部220の、レセプタクル前面211付近には、ここからレセプタクル後面212に向けてカンチレバー型に延出したロックレバー240がレセプタクルハウジング本体210と一体となって形成されている。ロックレバー240はCPA収容凹部220内においてレセプタクル上面213に接することなく設けられており、CPA収容凹部220は、レセプタクル上面213とロックレバー240の間に、ロックレバー240を囲むように、後述する四角枠形状のCPA部材300を受け入れるガイド溝230を形成している。
【0031】
ロックレバー240は、CPA収容凹部220の上面と一体となるように接続され、CPA収容凹部220の上面から上方に向けて突出するレバー基部241、レバー基部241から後方に向かって伸びたレバー本体242、レバー本体242の後端において上方に突出した押しボタン243を有する。
【0032】
レバー基部241は、幅方向中央部分を除く両側において二又にCPA収容凹部220の上面に接続されている。また、レバー本体242には、前方から後方に向けて上方向に傾斜し、次いで下方に引っ込んだ爪状の雌コネクタ側係止突起244が形成されている。この雌コネクタ側係止突起244は、雄コネクタ100と雌コネクタ200が互いに嵌合された際に、雄コネクタ側係止突起160と係止される。
【0033】
押しボタン243は、レバー本体242の後端において、幅方向の両端を残して中央部分のみが上方に突出したもので、操作者がこの押しボタン243を下方に押し下げることで、レバー基部241を支点としてロックレバー240を下方に押し下げることができる。レバー本体242の、押しボタン243の幅方向両側は幅方向に広がった鍔部245となっている。
【0034】
ガイド溝230は、ロックレバー240の幅方向両側において、レセプタクル前面211からレセプタクル後面212にかけて前後方向に延在した一対の長尺な主ガイド溝231と、主ガイド溝231のレセプタクル前面211側に形成された前方凹部232、主ガイド溝231のレセプタクル後面側212側に形成された後方凹部233からなる。
【0035】
それぞれの主ガイド溝231の底部には、
図3(C)の正面図に示されるように、幅方向外側に向かって広がった幅広部231aが形成されている。この幅広部231aはレセプタクル上面213の下方に、上面視では隠れた状態で形成されている。
【0036】
ガイド溝230の前方凹部232は、CPA収容凹部220のレセプタクル前面211側の部分に相当する。前方凹部232には、上記主ガイド溝231の幅広部231aがレセプタクル上面213まで貫通した貫通溝232aが、レセプタクル前面211付近に形成されている。さらに、前方凹部232の幅方向中央には、レセプタクル前面211から後方に向けて他の部分より一段低くなった中央凹部232bが形成される。さらに、中央凹部232bの後方には、二又のレバー基部241の間に形成された隆起部232cが設けられる。
【0037】
ガイド溝230の後方凹部233は、ロックレバー240の押しボタン243及びレバー本体242の下方を幅方向に連通しており、これにより、後方凹部233は、一対の主ガイド溝231を、ロックレバー240のレバー本体242の下方において互いに連通させている。これにより、ロックレバー240のレバー本体242はレバー基部241を支点として上下方向に移動可能となっている。
【0038】
さらに、後方凹部233には、上記主ガイド溝231の幅広部231aがレセプタクル上面213まで貫通した拡張部234が、後端部分に形成されている。この拡張部234は、後述するCPA部材300の後方突出部342を受け入れる。
【0039】
[CPA部材]
次に、
図4、
図5を参照して、CPA部材300について説明する。なお、
図4、
図5は、本実施形態のCPA部材300を示す図であり、
図4(A)は斜め前方且つ上方から見た場合の外観斜視図、
図4(B)は斜め前方且つ下方から見た場合の外観斜視図であり、また、
図5(A)は上面図、
図5(B)は正面図、
図5(C)は
図5(A)のC−C線断面図、
図5(D)は右側面図、
図5(E)は
図5(A)のE−E線断面図である。
【0040】
CPA部材300は、前後方向に延在する長尺な一対のガイド枠310と、当該一対のガイド枠310の前端の間を接続する横桁材320と、一対のガイド枠310の後端の間を接続するロック板330と、を有する四角枠形状の部材である。
【0041】
CPA部材300のガイド枠310には、上述の雌コネクタ200のレセプタクルハウジング本体210に形成された主ガイド溝231の幅広部231aに対応して、幅方向外側に向かって突出したガイド枠係止突起311が形成されている。このガイド枠係止突起311は、上部が幅方向外側に向けて略水平に突出し、下方側が幅方向中央に向けて傾斜したテーパ形状となっている。
【0042】
CPA部材300の横桁材320は、上述のガイド枠310の前端部分において、ガイド枠310から幅方向に突出したガイド突出部321を有している。また、横桁材320には、幅方向中央部分に、後方つまりロック板330側に向けて延出した延出片322が設けられる。この延出片322は若干下方に向かって延びている。延出片322の後端部分には、下方に向かって突出した延出片突起323が設けられている。
【0043】
また、横桁材320の上下方向の厚みは、ガイド枠310の上下方向の厚みより若干薄くなっている。そして、ガイド枠310は、当該ガイド枠310と横桁材320が交わる部位において、前方且つ下方に傾斜した当接面312を有している。したがって、この当接面312においてガイド枠310の肉厚は減少している。この当接面312は、このCPA部材300を装着した雌コネクタ200と雄コネクタ100とを嵌合させた際に、上述した雄コネクタ100の案内面170に接触して案内される。
【0044】
ロック板330は、一対のガイド枠310の後端の間を接続しており、ここから前方に延出した肉厚の部材である。ロック板330は前方及び下方に向けて傾斜したロック板テーパ面331を有している。このロック板330は、雄コネクタ100と雌コネクタ200の嵌合時に、CPA部材300を嵌合方向前方に移動させた際に、雌コネクタ200のガイド溝230の後方凹部233の、ロックレバー240の押しボタン243の下方に挿入され、ロックレバー240の下方への移動を規制する。
【0045】
さらに、CPA部材300の一対のガイド枠310の後端側は、上方に向けて延出するガイド側壁340が設けられ、ガイド側壁340の上端は幅方向内側に突出し、過変防止肩部341を形成している。この過変防止肩部341は、CPA部材300が雌コネクタ200に装着された際に、ロックレバー240の鍔部245の情報を囲み込み、ロックレバー240が過度に上方に変形するのを防止する。
【0046】
ガイド枠310の後端側底部には、ガイド枠310の延在方向に沿って幅方向外側に突出した後方突出部342が形成される。後方突出部342の上下方向の厚みは、上述した雌コネクタ200のガイド溝230の主ガイド溝231の幅広部231aの上下方向の高さと等しく、CPA部材300が雌コネクタ200に装着された際に、後方突出部342は当該幅広部231a内で前後方向に移動可能になっている。なお、CPA部材300のガイド突出部321から後方突出部342までの距離は、雌コネクタ200のガイド溝230の貫通溝232aから拡張部234までの距離と等しい。
【0047】
さらに、ガイド側壁340の後端には、幅方向中央側及び外側に延在するストッパ壁350が設けられる。ストッパ壁350は、ガイド側壁340の幅方向外側且つ後方突出部342の上方において幅方向外側に広がる外側ストッパ壁351と、ガイド側壁340の幅方向内側且つ過変防止肩部341の下方側において幅方向内側に位置する内側ストッパ壁352を含む。
【0048】
[CPA部材の雌コネクタへの装着]
次に、
図6、
図7を参照して、CPA部材300の雌コネクタ200への装着について説明する。なお、
図6は、CPA部材300を雌コネクタ200に装着した状態を示す図であり、
図6(A)は、斜め前方から見た場合の外観斜視図、
図6(B)は斜め後方から見た場合の外観斜視図である。
図7は、CPA部材300を雌コネクタ200に装着した状態を示す図であり、
図7(A)は上面図、
図7(B)は正面図、
図7(C)は
図7(A)のC−C線断面図、
図7(D)は
図7(C)のD−D線断面図である。
【0049】
CPA部材300の雌コネクタ200への装着は、CPA部材300のガイド枠310、横桁材320、及びロック板330を、雌コネクタ200のガイド溝230に前後方向以外の方向から、つまり上方から挿入することにより行われる。具体的には、CPA部材300のガイド枠310を主ガイド溝231に挿入し、横桁材320を前方凹部232に挿入し、ガイド突出部321を前方凹部323の貫通溝232aに挿入し、ガイド側壁340を拡張部234に挿入し、ロック板330を後方凹部233の、押しボタン243の後方に位置させる。
【0050】
このとき、ガイド枠310に形成されている係止突起311が主ガイド溝231の幅よりも外側に突出しているため、係止突起311は主ガイド溝231内で変形しつつ下方に移動し、幅広部231aに到達すると元の形状に復元し、係止突起311は幅広部231a内に嵌まり込む。なお、上述したように、係止突起311は、下方側はテーパ形状になっているのに対して上部は幅方向外側に向けて略水平に突出しているため、幅広部231aへの挿入は比較的容易であるものの、当該水平部分が幅広部231aの上面に当接することにより、幅広部231aから上方に引き抜くことは困難となり、CPA部材300の雌コネクタ200からの脱落を防止できる。
【0051】
また、このとき、CPA部材300の横桁材320に設けられた延設片322は、ロックレバー240の二又のレバー基部241の間に挿入され、ガイド溝230の前方凹部232内に形成された隆起部232cの後方側の傾斜面に接触する。そのため、この状態でCPA部材300を雌コネクタ200に対して前方に移動させようとすると、延設片322が隆起部232cに乗り上げることにより、CPA部材300の前方側が上方に持ち上げられ、同時にガイド突出部321が主ガイド溝231から貫通溝232a内に持ち上げられて貫通溝232aの壁面に当接し、前方への移動が阻止される。これにより、雌コネクタ200が雄コネクタ100と嵌合していない場合に、CPA部材300がロック位置に移動することが阻止される。
【0052】
さらに、このとき、CPA部材300のガイド側壁340に設けられた過変防止肩部341が、ロックレバー240の押しボタン243両側の鍔部245を、上方から囲い込んでいる。これにより、ロックレバー240が何らかの外力によって上方に押し上げられた場合であっても、過変防止肩部341に鍔部245に当接し、ロックレバー240がそれ以上上方に変形することが防止される。
【0053】
[雄コネクタとの嵌合]
次に、
図8、
図9を参照して、雄コネクタ100と、CPA部材300を装着した雌コネクタ200との嵌合について説明する。なお、
図8は、雄コネクタ100と雌コネクタ200を嵌合させ、且つCPA部材300がロック前の状態を示す図であり、
図8(A)は、幅方向中心を通り且つ前後方向に広がる面で切断した断面斜視図、
図8(B)は
図8(A)を横方向から見た場合の断面図である。
図9は、雄コネクタ100と雌コネクタ200を嵌合させ、且つCPA部材300がロック状態にある場合を示す図であり、
図9(A)は、幅方向中心を通り且つ前後方向に広がる面で切断した断面斜視図、
図9(B)は
図9(A)を横方向から見た場合の断面図である。
【0054】
まず、上述のようにCPA部材300を装着した雌コネクタ200のレセプタクルハウジング210を、
図8(A)、
図8(B)に示すように、雄コネクタ100のヘッダハウジング110の嵌合キャビティ130に挿入する。すると、ロックレバー240に形成された雌コネクタ側係止突起244がヘッダハウジング110の後端に形成された雄コネクタ側係止突起160を乗り越えようとするため、レバー本体242がレバー基部241を支点として下方に弾性変形する。
【0055】
次いで雌コネクタ側係止突起244が雄コネクタ側係止突起160を乗り越えた時点で上方にはね戻り、雌コネクタ側係止突起244と雄コネクタ側係止突起160が互いに係止された状態となる。このとき、レセプタクルハウジング210のレセプタクル前面211は、ヘッダハウジング110の基部後面122に当接し、レセプタクルハウジング210はそれ以上嵌合キャビティ130内に挿入することができなくなる。また、雄コンタクト150と図示しない雌コンタクトが互いに接続される。
【0056】
なお、この時点では、ロックレバー240の押しボタン243の下側にはCPA部材300のロック板330が位置しておらず、空洞となっている。したがって、操作者が押しボタン243を下方に押し下げることによって雌コネクタ側係止突起244と雄コネクタ側係止突起160の係止を解除し、雌コネクタ200を後方に引き抜いて雄コネクタ100と雌コネクタ200の嵌合を解除することが可能となっている。
【0057】
さらに、CPA部材300のガイド枠310に形成された当接面312は、雄コネクタ100の基部上面123の下面から前方に向かって傾斜しながら垂下している案内面170に接触した状態となっている。
【0058】
次いで、
図9(A)、
図9(B)に示すように、CPA部材300を前方に移動させる。すると、CPA部材300のガイド枠310の当接面312は、雄コネクタ100の基部上面123の案内面170に導かれて下方に押し下げられる。これにより、CPA部材300のガイド突出部321が貫通溝232aから幅広部231aに押し下げられ、幅広部231a内を前方に移動可能な状態となる。
【0059】
CPA部材300が前方に移動可能となるので、CPA部材300の延出片322の延出片突起323は、レセプタクルハウジング210の隆起部232Cを乗り越えて、前方の中央凹部232bに移動する。また、ガイド枠310は主ガイド溝231内を、ガイド枠310のガイド枠係止突起311は主ガイド溝231底部の幅広部231a内をそれぞれ前方に移動する。
【0060】
ロック板330は、ロックレバー240の押しボタン243下方に嵌まり込む。これにより、押しボタン243を下方に押し下げることができなくなり、ロックレバー240の移動が規制され、雄コネクタ側係止突起160と雌コネクタ側係止突起244の係止を解除することができないロック状態となり、雌コネクタ200と雄コネクタ100の嵌合が維持された状態となる。
【0061】
なお、雄コネクタ100と雌コネクタ200の嵌合を解除するためには、CPA部材300を後方に移動させ、ロック板330を押しボタン243の下方から移動させ、押しボタン243を下方に押し下げ可能な状態とすることが必要である。このとき、CPA部材300を後方に移動させたとしても、CPA部材300は四角枠形状であり、横桁材320がロックレバー240のレバー基部241に引っ掛かり、CPA部材300が雌コネクタ200から脱落することもない。
【0062】
押しボタン243を押し下げると、雌コネクタ側係止突起244の雄コネクタ側係止突起160に対する係止を解除することができ、CPA300を装着した状態の雌コネクタ200を雄コネクタ100の嵌合キャビティ130から後方に引き抜くことができる。
【0063】
以上、本発明のコネクタ位置保証機構について、実施形態を用いて説明した。上記実施形態においては、横桁材320の幅方向外側にガイド枠係止突起311が形成され、主ガイド溝231には、これに対応して幅方向外側に幅広部231aが形成された例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ガイド枠係止突起311が幅方向内側に形成され、幅広部231aがこれに対応して主ガイド溝231の幅方向内側に形成されるようにしてもよい。