特開2021-68677(P2021-68677A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021068677-シャントワイヤー 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-68677(P2021-68677A)
(43)【公開日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】シャントワイヤー
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/12 20060101AFI20210402BHJP
   H01R 11/11 20060101ALI20210402BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20210402BHJP
   H01B 7/04 20060101ALI20210402BHJP
【FI】
   H01B5/12
   H01R11/11 D
   H01B7/00 306
   H01B7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-195390(P2019-195390)
(22)【出願日】2019年10月28日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山中 敦司
【テーマコード(参考)】
5G309
5G311
【Fターム(参考)】
5G309FA04
5G311AA03
5G311AB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シャントワイヤーの編組線が挿入された端子の先端側から編組線の銅屑の脱落を防止するような構造を提供する。
【解決手段】シャントワイヤー1において、編組線2が、後端部から挿入された端子の前端部に、薄肉状にプレス加工された薄肉部5が形成されるために、端子3の前端部の断面積が小さくなり、挿入された編組線2が圧縮された状態となるので、銅屑が密着されて脱落を抑制することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
編組線が後端部から前端部まで挿入される端子を備えたシャントワイヤーであって、 前記端子の前記前端部には、前記端子の前記後端部の厚みよりも薄肉にプレス加工された薄肉部が形成されており、前記薄肉部は厚み方向で先細に傾斜した面状のテーパー部と、前記テーパー部から延在する薄板状の延出部を有していることを特徴とするシャントワイヤー。
【請求項2】
前記薄肉部は、側面視で前記端子の上面と鏡対象に下面にも形成されている請求項1のシャントワイヤー。
【請求項3】
前記テーパー部は、上面視で後方へ傾斜した傾斜部を含む請求項1、2のシャントワイヤー。
【請求項4】
前記延出部は、前記テーパー部に沿って切断されている請求項1乃至3のシャントワイヤー。
【請求項5】
前記延出部は、前記テーパー部との境界で切断されている請求項4のシャントワイヤー。






【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編組線が挿入された端子部材の先端部分からの編組線の銅屑の脱落が抑制されるシャントワイヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、端子部材の後端部から編組線が挿入されたシャントワイヤーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-41331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この特許文献1で開示されたシャントワイヤーでは、端子部材の先端部分から編組線が露出しており、この露出部分から輸送や取付後の振動等により、編組線の銅屑が脱落する恐れがある。そのため、一部の製品では加工後にブラシ掛け加工を実施することにより、銅屑を除去したり、また端子部材全体をはんだ上げ処理を行う場合もあるが、銅屑の除去が不十分であったり、余計な工数がかかる等の問題があった。
また、この先行文献では開示されていないが、編組線が挿入されたシャントワイヤーの端子部材の先端部分を切断して寸法調整を行う場合でも切断部の破断面より、編組線が露出するため、同様に編組線の銅屑が脱落する恐れが生じてしまう。
【0005】
したがって、本発明では、編組線が挿入されたシャントワイヤーの端子部材の先端側から編組線の銅屑の脱落を効果的に抑制することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明のシャントワイヤーでは、編組線が後端部から前端部まで挿入される端子を備えて、端子の前端部には、端子の後端部の厚みよりも薄肉にプレス加工された薄肉部が形成されており、薄肉部は厚み方向で先細に傾斜した面状のテーパー部と、テーパー部から延在する薄板状の延出部を有していることを特徴としている。
【0007】
この構成により、端子の前端部に薄肉にプレス加工された薄肉部が形成されるために、端子の前端部の断面積が小さくなり、編組線が圧縮された状態となるので、銅屑が密着されて脱落を抑制することができる。
また、薄板部にテーパー部を設けることで、プレス加工時に端子母材の裂けやめっきの剥がれ等を防止することができる。
【0008】
(2)さらにこの発明では、薄肉部は、側面視で端子の上面と鏡対象に下面にも形成されている。
【0009】
この構成により、端子の上面及び下面でも、プレス加工時の端子母材の裂けやめっきの剥がれ等を防止しつつ、さらに端子の上下両面から編組線が圧縮された状態となるので、銅屑が密着されてより脱落を有効に抑制することができる。
【0010】
(3)さらにこの発明では、テーパー部は、上面視で後方へ傾斜した傾斜部を含んでいる。
【0011】
この構成により、テーパー部を含んだ薄肉部の形状を、シャントワイヤーの端子を取り付ける機器の位置周辺の他の部材との寸法の収まりに合わせて設定することができ、後段で説明するテーパー部から延在する延出部を切断することで、取り付ける機器の位置周辺の他の部材と干渉を避けつつ取付けを行うことが可能となる。
【0012】
(4)さらにこの発明では、延出部は、テーパー部に沿って切断されている。
【0013】
この構成により、前段で説明した通り、シャントワイヤーの端子が取り付けられる機器の位置周辺の他の部材と干渉しないように、シャントワイヤーの端子を取り付けることができる。
【0014】
(5)さらにこの発明では、延出部は、テーパー部との境界で切断されている。
【0015】
この構成により、延出部は、端子より完全に除去されるため、シャントワイヤーの端子が取り付けられる機器の位置周辺の他の部材との干渉をさらに防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、編組線が後端部から挿入された端子の前端部に薄肉にプレス加工された薄肉部が形成されるために、端子の前端部の断面積が小さくなり、挿入された編組線が圧縮された状態となるので、銅屑が密着されて脱落を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】端子がプレス加工された後のシャントワイヤーの外観の斜視図
図2図1のX−X´に沿う断面図
図3図1の端子の延出部が切断処理された後のシャントワイヤーの外観の斜視図
図4】別の実施形態の端子がプレス加工された後のシャントワイヤーの外観の斜視図
図5図4の端子の延出部が切断処理された後のシャントワイヤーの外観の斜視図
図6】シャントワイヤーが機器に取り付けられた状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
尚、各図において、説明の便宜上、右と記載された矢印が指示する方向を右側と称し、左と記載された矢印が指示する方向を左側と称し、上と記載された矢印が指示する方向を上側又は上方と称し、下と記載された矢印が指示する方向を下側又は下方と称し、前と記載された矢印が指示する方向を前側又は前方と称し、後と記載された矢印が指示する方向を後側又は後方と称する。
【0019】
本実施形態について、まず図1図6を参照して説明する。
では、シャントワイヤー1は、導電性金属素線の組み込み品である平編組線が複数枚積み重ねられた編組線2の両端部(一端側のみ図示)を、金属製の端子3の後端部から前端部まで挿入され接続されたものである。
端子3の中央付近には上面から下面に貫通するネジ孔4が形成されており、シャントワイヤー1が機器9に取り付けされる際にネジ10が通されて機器9と固定される。
【0020】
また端子3の前端部にはプレス加工によって薄肉に薄肉部5が形成されていて、その薄肉部5は後方から前方に向かって、順にまず端子3の厚み方向で先細に傾斜した面状のテーパー部6と、そしてそのテーパー部6から薄板状に延在する延出部7を有している。
このテーパー部6を設けることで、プレス加工時に端子3の母材の裂けやメッキの剥がれ等を防止することができる。
【0021】
さらにこの実施形態では、図2に示されるように、端子3の薄肉部5は、側面視で端子3の上面と鏡対象に下面にも形成されているため、端子3の上面及び下面でも、プレス加工時の端子3の母材の裂けやメッキの剥がれ等を防止しつつ、さらに端子3の上下両面から編組線2が圧縮された状態で密着されるので、銅屑の脱落をより有効に防止できる。
【0022】
次に、図3に示されるように、プレス加工によって形成された延出部7をテーパー部6に沿って切断して、シャントワイヤーを取付ける機器の他の部材との干渉を防止することができることとなる。
【0023】
また、別の実施形態では、図4に示されるようにテーパー部6が上面視で端子3の幅方向(左右方向)の略中間部分から端子3の右側の側面へ向けて後方に傾斜している傾斜部8を含んでいる。この傾斜部8を含んだテーパー部6から延在する延出部7をテーパー部6に沿って切断することで、図6に示されるようにシャントワイヤー1が取付けられる機器9の位置周辺の他の部材と端子3との干渉をより回避しつつ、端子3との他の部材との寸法の収まりを最適化し、ネジ孔4からネジ10を嵌入して機器9に取り付けることができる。
尚、延出部7は、図5に示されるように他の部材との寸法の収まり具合により、テーパー部6との境界で切断し、完全に除去しても良いし、テーパー部6の周辺に沿って少し残すようにしても良い。
また、傾斜部8はこの実施形態では1箇所だけであるが、テーパー部6に複数個所形成されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0024】
端子からの銅屑脱落防止を目的としたシャントワイヤーに広く適応し、利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 シャントワイヤー
2 編組線
3 端子
4 ネジ孔
5 薄肉部
6 テーパー部
7 延出部
8 傾斜部
9 機器
10 ネジ












図1
図2
図3
図4
図5
図6