(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-69296(P2021-69296A)
(43)【公開日】2021年5月6日
(54)【発明の名称】食品材料粉体の供給装置
(51)【国際特許分類】
A21C 1/00 20060101AFI20210409BHJP
B01F 15/02 20060101ALI20210409BHJP
B01F 7/24 20060101ALI20210409BHJP
B01D 8/00 20060101ALI20210409BHJP
B65D 88/68 20060101ALI20210409BHJP
B65D 88/74 20060101ALI20210409BHJP
B65G 65/40 20060101ALN20210409BHJP
【FI】
A21C1/00 Z
B01F15/02 B
B01F7/24
B01D8/00 Z
B01F15/02 Z
B65D88/68 B
B65D88/74
B65G65/40 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-196847(P2019-196847)
(22)【出願日】2019年10月30日
(11)【特許番号】特許第6817403号(P6817403)
(45)【特許公報発行日】2021年1月20日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)公開日 2019年7月9日 掲載アドレス https://www.sodick.co.jp/pdf/190716093935_210907016_SodickNewsRelease_chb.pdf (2)開催日 2019年7月9日〜7月12日(公知日:2019年7月9日) 展示会名 2019国際食品工業展 FOOMA JAPAN2019 開催場所 東京ビックサイト
(71)【出願人】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】勝又 健太
(72)【発明者】
【氏名】沖山 丈嗣
(72)【発明者】
【氏名】尾形 泰久
【テーマコード(参考)】
3E070
3E170
3F075
4B031
4D076
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
3E070AA19
3E070AB13
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4G078DA08
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4G078EA01
4G078EA03
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】 材料粉体の圧密化および供給槽内の水蒸気の滞留を防止し材料粉体全体を均一かつ迅速に冷却することが可能な食品材料粉体の供給装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の食品材料粉体の供給装置1は、食品材料粉体をタンク50Aに一時的に貯留して食品加工機械2の加工容器2Aに供給する供給槽50と、前記供給槽50の中を真空ポンプ71A,71Bにより減圧する真空装置70と、前記真空装置70を動作させて前記供給槽50の内圧を前記食品材料粉体の水分が蒸発する所定の気圧以下に低下させて前記供給槽50の中の前記食品材料粉体を所要の温度に冷却する制御装置3とを有し、前記タンク50Aの内部には前記食品材料粉体の冷却中に回転駆動する撹拌部材54を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品材料粉体をタンクに一時的に貯留して食品加工機械の加工容器に供給する供給槽と、前記供給槽の中を真空ポンプにより減圧する真空装置と、前記真空装置を動作させて前記供給槽の内圧を前記食品材料粉体の水分が蒸発する気圧以下に低下させて前記供給槽の中の前記食品材料粉体を冷却する制御装置とを有し、前記タンクの内部には前記食品材料粉体の冷却中に回転駆動する撹拌部材を備えたことを特徴とする食品材料粉体の供給装置。
【請求項2】
前記撹拌部材は撹拌羽根を有し、前記撹拌羽根は前記タンクの内壁に沿うように螺旋状に巻回した形状に形成されていること特徴とする請求項1記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項3】
前記撹拌羽根は、主羽根と補助羽根で構成されていることを特徴とする請求項2記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項4】
前記真空装置は、前記供給槽の気体排出口に接続されたフィルタと、前記フィルタの気体排出口に近接して設けられたコールドトラップを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項5】
前記コールドトラップは、前記食品材料粉体の温度よりも低い温度に冷却されていることを特徴とする請求項4記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項6】
前記真空装置は、前記コールドトラップで回収した排水を一時的に貯留するドレンタンクを備えたことを特徴とする請求項4または5記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項7】
前記真空装置は、前記フィルタに取り付けられた第1の加振部材を備えたことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項記載の初期品材料粉体の供給装置。
【請求項8】
前記タンクは、下部に大気開放口が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項9】
前記タンクは、加温部材が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項10】
前記タンクは、上部に点検窓と照明部材が設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項11】
前記タンクは、中央部に点検扉が設けられていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項12】
前記タンクは、中央部に第2の加振部材が設けられていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項13】
前記制御装置は、前記供給槽内の圧力を計測し、前記圧力が基準値以下となった場合に前記真空ポンプを停止して前記供給槽内の減圧状態を保持するように制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品材料粉体の供給装置に関する。特に、本発明は、少なくとも材料粉体を冷却する冷却機構を備えた食品材料粉体の供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小麦粉、コーンスターチ、米粉、蕎麦粉のような微粒子状の食品材料粉体、あるいは米粒、大豆のような小粒状の食品材料粒体を貯蔵槽に保存しておき、貯蔵槽から材料を取り出して計量してから所定量の材料を供給槽まで搬送する構成であって、混合機、混練機、攪拌機、あるいは粉砕機のような食品加工機械に材料を供給するプラント型の食品材料の供給装置が知られている。
【0003】
具体的に、例えば、うどんの麺生地を生成する製麺機のミキサに適用される食品材料粉体の供給装置においては、貯蔵槽に相当するサイロに小麦粉、いわゆるうどん粉を保存しておき、1回の混合作業において予め決められている所定量の小麦粉をホールディングビン、ホッパ、あるいはレシーバタンクと称される供給槽まで搬送して、小麦粉をミキサのチャンバの中に投入するように構成されている。
【0004】
このようなプラント型の食品材料の供給装置においては、貯蔵槽に材料を保存している保管期間中に外気温度の影響を受けて材料の温度が変化する。そのため、撹拌、混合、混練、あるいは粉砕のような加工を行なう前の材料の温度が加工における望ましい所定の温度に比べて、夏季においては高くなり、冬季においては低くなりすぎることがある。材料の温度が所定の温度の範囲で加工を実施することができないと、製品の品質に悪影響を及ぼすため、加工前に所定の温度まで冷却または加熱しておくことが要求される。
【0005】
従来、材料を冷却する方法として、供給槽内の材料に直接冷風を当てて材料を冷却する方法、クーラー等の空気調和設備により製造現場の室温を下げ材料の昇温を抑える方法、ミキサ等の混合機の外壁からジャケット等により冷却することにより材料の温度を調整する方法、材料に使用する水の温度を下げる方法等が使用されていた。
【0006】
特許文献1は麺生地用ミキサーに関する発明であり、ミキサドラム2に接続されたエア配管10に送風機13および冷却器14が設けられ、冷却器14により冷却されたエア配管10内の空気をミキサドラム2に送ることでミキサドラム2内の材料が冷却される構成が開示されている(段落0012、段落0014、
図1)。
【0007】
また特許文献2は粉粒体の連続攪拌殺菌装置に関する発明であり、冷却装置4の円筒状耐圧容器5の外周に冷却ジャケット411が設けられ、冷却ジャケット411の内部に水、熱媒体等の冷却用媒体が供給されることで円筒状耐圧容器5内の材料が冷却される構成が開示されている(段落0042、
図1)。
【0008】
しかしながら、小麦粉を代表する微細な食品材料粉体は熱伝導率が小さく形態が粒子状であるため、粉体間の熱移動が困難でかつ全ての材料粉体に冷風が均一に当たり難いという特徴があり、従来行われていた冷風を当てて材料を冷却する方法(特許文献1)や供給槽の外壁を冷却する方法(特許文献2)等では粉体を短時間で冷却することや均一に冷却することができないといった問題が発生していた。
【0009】
本願発明者等は上記の課題に鑑み、供給槽に真空ポンプを接続し供給槽内を水分が蒸発する圧力以下に低下させることによって粉体が保持している水分の一部を強制的に蒸発させ、その際の潜熱を利用して冷却する食品材料粉体の供給装置を既に発明し開示している(特許文献3)。この発明の食品材料粉体の供給装置を使用することで、供給槽の中の材料粉体を短い時間で均一に冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−143357号公報
【特許文献2】特許第3941903号公報
【特許文献3】特許第6541863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明者等は、食品材料粉体の供給装置について更なる実験を重ねたところ、以下(1)、(2)、(3)の3点の課題に直面した。
【0012】
(1)材料粉体の圧密化
材料粉体が貯蔵されている供給槽内では、上層の材料粉体の加重によって下層の材料粉体が圧縮され粉体間の空間が減少し、下層が密な状態となってしまう。下層が密な状態となると、下層の材料粉体の水分蒸発が上層により阻害され、下層の材料粉体の温度が適切に低下せず、上層と下層に温度差が発生し、材料粉体全体の均一な冷却が実現できないという問題が発生していた。
また供給槽を減圧状態にした後、供給槽の上部から大気の開放を行うと、大気開放口から急激に空気が供給槽内部に侵入し、侵入した空気によって材料粉体が圧縮されさらに下層の材料粉体の圧密化を加速させる事態となっていた。
【0013】
(2)筐体内の水蒸気の残留
真空ポンプにより供給槽内を減圧すると材料粉体が保持している水分が蒸発し、水蒸気が供給槽内に滞留する。水蒸気が供給槽内に滞留し続けると供給槽内の真空度の上昇が鈍り、材料粉体の温度低下を妨げる要因となってしまう。
【0014】
(3)ランニング費用の増加
供給槽内の材料粉体を所望の温度まで冷却する間は常に真空ポンプを稼働し続ける必要があるため、ランニングコストが増大するという問題が発生した。また真空ポンプの稼働時間が長くなると真空ポンプの寿命が短くなり真空ポンプの交換回数やメンテナンス回数が多くなるといったメンテナンス費用の増加も懸念されている。
【0015】
そこで本発明は、材料粉体の圧密化および供給槽内の水蒸気の滞留を防止し材料粉体全体を均一かつ迅速に冷却することが可能な食品材料粉体の供給装置を提供することを目的とする。
さらに本発明は、最小限の消費電力で適切に材料粉体を冷却することが可能な食品材料粉体の供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、食品材料粉体をタンクに一時的に貯留して食品加工機械の加工容器に供給する供給槽と、前記供給槽の中を真空ポンプにより減圧する真空装置と、前記真空装置を動作させて前記供給槽の内圧を前記食品材料粉体の水分が蒸発する気圧以下に低下させて前記供給槽の中の前記食品材料粉体を冷却する制御装置とを有し、前記タンクの内部には前記食品材料粉体の冷却中に回転駆動する撹拌部材を備えたことを特徴とする。
本実施形態においては明細書中「食品材料粉体の供給装置」は小麦粉供給システムであり、「食品加工機械の加工容器」はミキサのチャンバであり、「供給槽」はホールディングビンである。
本発明によれば、供給槽を構成するタンクの内部に撹拌部材が設けられているため、蒸発潜熱を利用して食品材料粉体の冷却を行う際に上層と下層の材料粉体を入れ替えながら冷却を行うことができる。下層と上層を入れ替えながら冷却を行うことで、上層の材料粉体の加重によって下層が圧密化されて下層の水分蒸発が阻害されるという問題を防ぐことができ、材料粉体全体を均一に冷却することが可能となる。
【0017】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、前記撹拌部材が撹拌羽根を有し、前記撹拌羽根は前記タンクの内壁に沿うように螺旋状に巻回した形状に形成されていること特徴とする。
本発明によれば、撹拌羽根がタンクの内壁に沿うように螺旋形状に形成されているため、撹拌羽根が回転した際に、下層にある材料粉体を底から上方へ撹拌しながら運び、上層にある材料粉体を上部から下方へ運ぶことが可能となる。
【0018】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、前記撹拌羽根が主羽根と補助羽根で構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、螺旋形状の撹拌羽根が主羽根と補助羽根で構成され、主羽根と補助羽根が主軸を中心として点対称な位置に設けられるため、主羽根の隙間に入り込んでしまう下層の材料粉体を補助羽根が上層へ持ち上げて撹拌することが可能となる。
【0019】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、前記真空装置が前記供給槽の気体排出口に接続されたフィルタと、前記フィルタの気体排出口に近接して設けられたコールドトラップを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、コールドトラップがフィルタの排出口に近接して配置されているため、タンク内で発生する水蒸気を素早くタンク内から排出させコールドトラップで捉えることが可能となり、材料粉体の温度を迅速に低下させることができる。
【0020】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、前記コールドトラップが前記食品材料粉体の温度よりも低い温度に冷却されていることを特徴とする。
本発明によれば、コールドトラップの温度が食品材料粉体の温度よりも低く設定されているため、食品材料粉体から蒸発した水蒸気をより迅速にコールドトラップで回収することができ、供給槽内の水蒸気量を急速に減少させ、材料粉体の温度をより早く低下させることが可能となる。
【0021】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、前記真空装置が前記コールドトラップで回収した排水を一時的に貯留するドレンタンクを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、コールドトラップで回収した排水を一時的に貯留するドレンタンクがコールドトラップの下部に設けられているため、貯留された排水を一度にまとめて排出することができる。
【0022】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、前記真空装置が前記フィルタに取り付けられた第1の加振部材を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、第1の加振部材が振動してフィルタに振動を与えることができるため、フィルタに堆積した材料粉体が落下し除去され、フィルタの目詰まりを防止することができ、タンク内を迅速に減圧することが可能となる。
【0023】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、前記タンクの下部に大気開放口が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、大気開放口がタンクの下部に設けられているため、大気開放時に急激にタンクに流れ込む空気に押されて材料粉体がタンク内で上方へ押し上げられ、材料粉体の圧密化を防ぐことが可能となる。
【0024】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、前記タンクに加温部材が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、タンクに加温部材が設けられておりタンクの内壁の温度が材料粉体よりも高く設定されているため、タンクの内壁の結露を防ぎ材料粉体がタンクの内壁に付着することを防止することができる。よって材料粉体を無駄にすることなく全て排出口から排出できるようになり、タンク内の清掃性を向上することが可能となる。
【0025】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、前記タンクの上部に点検窓と照明部材が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、タンクの上部に点検窓と照明部材が設けられているため、材料粉体の冷却中に外部からタンク内の様子を確認することができる。
【0026】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、前記タンクの中央部に点検扉が設けられていることを特徴とする。
従来、タンクの上下面に設けられていた開口部を利用してタンク内の清掃を行っていたため、清掃性が非常に悪かった。本発明によれば、タンクの中央部に点検扉が複数設けられているため、把持部により点検扉を開閉操作し作業者がタンクの内部を簡単かつ迅速に清掃することが可能となる。
【0027】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、タンクの中央部に第2の加振部材が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、タンクの中央部に第2の加振部材が設けられ第2の加振部材が振動してタンクに振動を与えるため、タンクの内壁に付着した材料粉体を確実に排出口へ落下させることが可能で、材料粉体を無駄にすることなく全て排出口から排出することができる。
【0028】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、前記制御装置が前記供給槽内の圧力を計測し、前記圧力が基準値以下となった場合に前記真空ポンプを停止して前記供給槽内の減圧状態を保持するように制御を行うことを特徴とする。
本発明の「基準値」は明細書中の「内圧基準値」と同義である。
本発明によれば、圧力センサにより供給槽内の圧力を計測し、予め設定された基準値まで真空ポンプを駆動し、その後真空ポンプを停止してタンク内の内圧を維持する。真空ポンプを停止した後もタンク内の内圧を維持しているため、材料粉体を冷却することが可能であり、真空ポンプを駆動し続ける必要がなく消費電力を削減することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の食品材料粉体の供給装置は、撹拌部材、コールドトラップおよび大気開放口等が設けられているため下層の材料粉体の圧密化を防ぎ、タンク内の水蒸気を素早く回収することが可能であり、材料粉体の冷却時間を短縮することができ、材料粉体全体を均一に冷却することが可能となる。
また本発明の食品材料粉体の供給装置は、真空ポンプの駆動制御により消費電力を削減することが可能となる。
さらに本発明の食品材料粉体の供給装置は、点検扉、点検窓等が設けられているため、視認性、清掃性が向上した食品材料粉体の供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態である小麦粉供給システム1の概要を示すブロック図である。
【
図2】上記実施形態のホールディングビン50を示す正面概要図である。
【
図3】上記実施形態のホールディングビン50を示す平面模式図である。
【
図4】上記実施形態のホールディングビン50を示す左側面模式図である。
【
図5】上記実施形態のホールディングビン50の内部構造を示す模式図である。
【
図6】上記実施形態の撹拌部材54を示す平面模式図である。
【
図7】上記実施形態の加湿装置80を示す正面模式図である。
【
図8】上記実施形態の材料粉体冷却制御の流れを示すフロー図である。
【
図9】上記実施形態の材料粉体排出制御の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の実施形態である小麦粉供給システム1の概要を示すブロック図である。本実施形態において、食品材料粉体の供給装置の一実施形態である小麦粉供給システム1に関して説明を行う。
本実施の形態の食品材料粉体の供給装置は、食品加工機械に食品材料粉体である小麦粉を供給するプラント型の小麦粉供給システム1である。
サイロ10に備蓄されている食品材料粉体である小麦粉は、空気式移送装置であるブロワ60Aによって貯蔵タンクであるユースビン20まで搬送される。ユースビン20に搬送された小麦粉は、計量装置であるスケール30によって所定量分計量されてブロワ60Bによってインラインシフタ40に搬送される。インラインシフタ40では、送られてくる小麦粉を振動するふるいに連続的にかけて異物を外部に排出し、その後小麦粉供給システム1へ小麦粉が搬送される。
小麦粉供給システム1では、搬送された小麦粉を一時的に冷却貯蔵しており、その後必要に応じて製麺機、製菓機、あるいは製パン機等で使用されるミキサ2に小麦粉を排出する。
ミキサ2は、例えば、製麺機、製菓機、あるいは製パン機において、生地の素材となる小麦粉を練り合わせる装置であり、少なくとも食品加工機械の加工容器に相当するチャンバ2Aを有する。
【0032】
小麦粉供給システム1は、供給槽であるホールディングビン50と、小麦粉供給システム1の全体の制御を行う制御装置3と、小麦粉を冷却するための真空装置70から構成される。
【0033】
図2は、上記実施形態のホールディングビン50を示す正面概要図であり、
図3は、上記実施形態のホールディングビン50を示す平面模式図である。
図4は、上記実施形態のホールディングビン50を示す左側面模式図である。
ホールディングビン50は、インラインシフタ40を通してスケール30から送られてくる所定量の小麦粉をタンクの中に一時的に貯留する供給槽である。
ホールディングビン50の真空容器であるタンク50Aは、中央部が円柱状をなし内壁面が断面円形であって、下部は中央から下方へ向けて縮径された逆円錐状で内側全体が漏斗形状に形成されている。ホールディングビン50の最下部には貯蔵された小麦粉をミキサ2に排出するための排出口が設けられている。
またホールディングビン50の上部にはホールディングビン50内の圧力を計測するための圧力センサ76が設けられている。
タンク50Aは、上部には点検窓58および照明部材59、中央部には点検扉55,55および第2の加振部材56,56が設けられ、またタンク50Aの下部には大気開放口57,57、内部には撹拌部材54が設けられている。
さらにタンク50Aは内壁と外壁の2重構造に構成されており、タンク50Aの内壁と外壁の間には加温部材50Bが設けられている。
【0034】
点検窓58は、タンク50Aの内部を外部から目視可能とするために設けられた窓であり(
図3)、タンク50Aの上部に設けられている。
点検窓48は、タンク50Aの開口に機密性を保った状態で無色透明の部材を取り付けて一体的に形成されたものである。無色透明の部材は、ガラスまたはプラスチック等の透明性が高く、減圧状態に耐えうる強度をもった材質が使用可能である。
【0035】
また照明部材59は、タンク50Aの内部の小麦粉を照らし点検窓58からタンク50Aの内部を視認可能とするために設けられたLEDもしくは蛍光灯等の照明手段であり、タンク50Aの上部に設けられる。
照明部材59は、タンク50A内の上部内面に取り付けられていてもよいし、タンク50Aの開口に透明部材を取り付け、透明部材を介してタンク50Aの外部からタンク50Aの内部を照らすように取り付けられていてもよい。
【0036】
点検扉55,55は、タンク50Aの内部を清掃するための扉であり、タンク50Aの正面および背面の中央部に設けられている。点検扉55,55は、タンク50Aにヒンジ等を介して回動可能に支持されている(
図2、
図3)。点検扉55,55の表面には把持部551が設けられ、把持部551により点検扉55,55を開閉操作することで、作業者がタンク50Aの内部を清掃することが可能である。
点検扉55,55は、片開き式でも両開き式でもよく、適宜選択可能である。
【0037】
第2の加振部材56,56は、予め定められた周波数および振幅で振動する振動部材であり、タンク50Aの左右側面の中央部に設けられている(
図2,
図3,
図4)。第2の加振部材56,56は、エアー式又は電磁式のノッカー、バイブレータ、ピエゾ振動器、超音波振動器等が用いられる。
小麦粉をホールディングビン50から排出する際に、第2の加振部材56,56が振動してタンク50Aに振動を与えることで、タンク50Aの内壁に付着した小麦粉を確実に排出口へ落下させることが可能となる。
【0038】
大気開放口57,57は、タンク50Aを減圧状態から大気開放する際に使用する開口部であって、タンク50Aの下部の外壁に沿って設けられている。大気開放口57には、電磁弁等のバルブが設けられており、バルブの開閉操作により減圧状態から大気圧状態に大気を開放することができる。
大気開放口57,57がタンク50Aの下部に設けられているため、大気開放時に急激にタンク50Aに流れ込む空気に押されて小麦粉がタンク50A内で上方へ押し上げられ、小麦粉の圧密化を防ぐことが可能となる。
【0039】
加温部材50B(図示なし)は、結露によってタンク50Aの内壁に小麦粉が付着することを防止するために設けられた部材であって、2重構造であるタンク50Aの内壁と外壁の間に内蔵した状態で設けられている。
加温部材50Bは、電気式のヒーターや温水等を使用することが可能であり、例えば電気式ヒーターの導線や内部に温水を流すことができる細菅をタンク50A全体に巻き付けた状態で内蔵して取り付けられている。また加温部材50Bは点検扉55,55にも設けられている。
タンク50A内の小麦粉を冷却しながら内壁の結露を防止する必要があるため、加温部材50Bはタンク50A内で小麦粉が接している内壁部分は加温せず、小麦粉が接していない内壁部分は加温する必要がある。よって、加温部材50Bは所定領域に分割されて各領域で加温のオンオフ制御を行うことが可能となっている。
本実施形態においては、上部領域、点検扉55,55を含む中央部領域、下部領域で3分割されて個別に加温のオンオフ制御ができ、タンク50A内に小麦粉が多く貯蔵されており中央部領域まで達している場合は上部領域のみ加温し、逆に小麦粉が少なく下部領域にしか貯蔵されていない場合は上部と中央部領域を加温する。
このように加温部材50Bによってタンク50Aの内壁の温度を小麦粉の温度よりも高く設定する。そうすれば、タンク50Aの内壁の結露を防ぐことができ、小麦粉がタンク50Aの内壁に付着することを防止することができる。
【0040】
図5は、上記実施形態のホールディングビン50の内部構造を示す模式図であり、
図6は、上記実施形態の撹拌部材54を示す平面模式図である。
撹拌部材54は、タンク50A内の小麦粉を上下層が入れ替えながら撹拌するための部材であって、撹拌軸541と、撹拌モータ542と、撹拌羽根543から構成される(
図5)。
【0041】
撹拌軸541は、撹拌羽根543を回転するための軸であり、主軸5411と、複数の取付軸5412,5412・・・から構成される。
主軸5411は、タンク50Aの内部を上下方向に伸張しており、一端は撹拌モータ542に接続され、他端には取付軸5412,5412・・・を介して撹拌羽根543が取り付けられている。主軸5411が撹拌モータ542によって回転することによって、撹拌羽根543がタンク50A内を回転する。
取付軸5412は、撹拌羽根543を撹拌軸541に取り付けるための棒状の部材であり、主軸5411を中心として半径方向に伸張している。また取付軸5412は、主軸5411に沿って上下方向に間隔を空けて配置され、一端は主軸5411に、他端は撹拌羽根543に取り付けられている。
【0042】
撹拌モータ542は、タンク50Aの上部の中心付近に設けられ、撹拌軸541を回転駆動する。
【0043】
撹拌羽根543は、タンク50A内で回転して小麦粉を撹拌する羽根であり、主羽根5431と補助羽根5432で構成される(
図5、
図6)。
主羽根5431は正面視(
図5)すると主軸5411の周面から一定の間隔を空けて帯状の羽根をタンク50Aの内壁に沿うように螺旋状に巻回した形状に形成されている。
また主羽根5431は平面視(
図6)すると帯状の羽根が旋回するにつれて主軸5411に近づくように渦巻状に形成されており、タンク50Aの上方から下方に向かって主羽根5431の曲率半径は小さくなっている。
また主羽根5431の外周には複数の切欠き5433,5433・・・が設けられている。
【0044】
補助羽根5432は、主羽根5431の下方に配置された羽根であり、主軸5411の下端に取付軸5412を介して取り付けられる。
補助羽根5432も主羽根5431と同様、主軸5411の周面から一定の間隔を空けて帯状の羽根をタンク50Aの内壁に沿うように螺旋状に半回転分巻回した形状に形成されており、帯状の羽根が旋回するにつれて主軸5411に近づくように渦巻状に形成されている。また主羽根5431と補助羽根5432は、主軸5411を中心として点対称な位置に設けられる。
補助羽根5432も主羽根5431と同様、切欠き5433を設けていてもよい。
【0045】
このように主羽根5431および補助羽根5432がタンク50Aの内壁に沿う螺旋かつ渦巻状の形状をしているため、撹拌羽根543が回転したときに小麦粉を底のほうから上下層が入れ替わるように大きく混ぜることができ、小麦粉間に隙間が形成され下層の圧密化を防止することができる。
【0046】
ホールディングビン50には、
図1に示される制御装置3によって同期して開閉操作することができる第1の真空遮断弁であるバルブ51と、第2の真空遮断弁であるバルブ52と、第3の真空遮断弁であるバルブ53とが設けられている。
バルブ51は、ホールディングビン50のタンク50Aの中の気体を排出する排気口を開閉する。バルブ52は、タンク50Aの中に食品小麦粉である小麦粉を導入する導入口を開閉する。バルブ53は、タンク50Aの中の小麦粉を加工容器である真空ミキサ2のチャンバ2Aに供給する供給口を開閉する。
各バルブ51,52,53を全て閉鎖してホールディングビン50のタンク50Aを密閉し、タンク50Aの中を減圧状態に保持することができる。
各バルブ51,52,53は、減圧状態の低気圧に対する耐圧性能を有する。具体的に、実施の形態の小麦粉供給システム1におけるホールディングビン50に設けられるバルブ51,52,53は、電動バタフライバルブである。
【0047】
真空装置70は、真空ポンプ71A,71Bと、濾過器であるフィルタ72A,72Bと、水分除去装置であるコールドトラップ73と、三方切換弁であるバルブ75A,75Bと、ドレンタンク77と、フィルタ72Aに取り付けられた第1の加振部材78から構成される。
【0048】
真空ポンプ71A,71Bは、タンク50Aを減圧するためのポンプである。
タンク50Aを減圧する際に、1つのタイプの真空ポンプでは所望の減圧状態にするまでに相当の時間を要するため、本実施形態においては2種類の真空ポンプである水封式真空ポンプと油回転真空ポンプを切り替えて使用している。
真空ポンプ71Aは、油回転真空ポンプであり、特に高真空状態で有効な真空ポンプであるため、真空ポンプ71Bで減圧した後、さらに減圧する際に駆動する。
真空ポンプ71Bは、水封式真空ポンプであり、特に低真空領域で有効な真空ポンプであるため、最初に稼働してタンク50A内を減圧する。
【0049】
真空ポンプ71Aの上流側は、バルブ75Aを介してコールドトラップ73の下流側に接続されている。
真空ポンプ71Bの上流側は、バルブ75A,75Bを介してコールドトラップ73の下流側に接続されている。また真空ポンプ71Bは、ミキサ2を真空引きするためのポンプとして兼用して使用されていてもよい。
【0050】
フィルタ72Aは、気体に含まれる小麦粉を含む微粒子を除去するための濾過器であり、ホールディングビン50の上部に設けられた筐体内に配置されている。
フィルタ72Aの上流側はバルブ51を介してホールディングビン50の気体排出口に接続され、フィルタ72Aの下流側にはコールドトラップの上流側に接続されている。
【0051】
フィルタ72Bは、ミキサ2を真空引きするためのポンプとして真空ポンプ71Bを使用した場合の濾過器であり、真空ポンプ71Bが吸引する気体中に含まれる小麦粉を除去し、真空ポンプ71Bの排気による工場内の環境の汚染を抑制するためのものである。
フィルタ72Bの上流側はミキサ2のチャンバ2Aに接続され、フィルタ72Bの下流側にはバルブ75Bを介して真空ポンプ71Bに接続されている。
【0052】
コールドトラップ73は、気体に含まれる水分を除去することができる装置であり、冷媒を配管内に循環させて気体の水分が凝縮されるように構成された熱交換器等、既知の構成が使用可能である。
コールドトラップ73の上流側はフィルタ72Aの気体排出口に接続されている。ホールディングビン50から排出された気体はフィルタ72Aにより小麦粉等の微粒子が除去され、その後コールドトラップ73により水分が除去される。
また配管内を循環させる冷媒の温度は小麦粉の温度よりも低くなるように設定されている。冷媒の温度を低くすることによりタンク50A内の小麦粉から蒸発した水蒸気をより迅速に回収することができ、ホールディングビン50内の水蒸気量が急速に減少することでタンク50A内の真空度の上昇速度が速くなり、小麦粉の温度を迅速に低下させることが可能であるからである。
またコールドトラップ73は、フィルタ72Aの気体排出口に近接して配置することが望ましい。なぜなら、コールドトラップ73がフィルタ72Aの気体排出口に近いほうがホールディングビン50内で発生する水蒸気を素早く捉えることが可能であるからであり、結果として上述したとおり、小麦粉の温度を迅速に低下させることが可能であるからである。
【0053】
ドレンタンク77は、コールドトラップ73で回収した排水を一時的に貯留するタンクであり、コールドトラップ73の下部に設けられている(
図1,
図4)。ドレンタンク77に一時的に貯留された排水は、図示しない配管を介してまとめて排水することが可能である。
【0054】
第1の加振部材78は、予め定められた周波数および振幅で振動する振動部材であり、フィルタ72Aの中心位置に設けられている(
図4)。第1の加振部材78は、エアー式又は電磁式のノッカー、バイブレータ、ピエゾ振動器、超音波振動器等が用いられる。
小麦粉をホールディングビン50から排出する際に、第1の加振部材78が振動してフィルタ72Aに振動を与えることで、フィルタ72Aに堆積した小麦粉が落下し除去される。第1の加振部材78を使用することにより、フィルタ72Aの目が詰まることで適切にタンク50A内を減圧することができず真空ポンプの能力が十分発揮されないといった問題を解消することができる。
【0055】
制御装置3は、小麦粉供給システム1の全体を制御する制御装置である。
具体的には、バルブ51,52,53等のバルブ切替制御、真空ポンプ71A,71Bの駆動制御、コールドトラップ73の冷却制御、撹拌部材54の駆動制御、第1の加振部材7および第2の加振部材56,56の駆動制御および加温部材50Bの加温オンオフ制御等を行う。
また、制御装置3は、ホールディングビン50のタンク50A内の内圧基準値および内圧上限値の設定を行う設定画面を有する。タンク50Aの内圧基準値は、蒸発潜熱が生じる気圧以下に設定する。内圧基準値を蒸発潜熱が生じる気圧以下に設定することによって、小麦粉が保持している水分の一部をタンク50A内で強制的に蒸発させ、その際の潜熱を利用して小麦粉を冷却することが可能となるからである。
タンク50A内の内圧上限値は、タンク50A内の内圧の上限値であり、この値を越えると真空ポンプ71Aを駆動する。
タンク50A内の内圧基準値および内圧上限値は、設定画面により手動で設定されていてもよいし自動で設定されてもよい。
【0056】
図7は、上記実施形態の加湿装置80を示す正面模式図である。
小麦粉供給システム1は、供給槽であるホールディングビン50に加湿装置80が設けられていてもよい。
加湿装置80は、ホールディングビン50のタンク50Aに取り付けられたタンク50A内を加湿するための装置であり、ミストおよび水蒸気を噴霧ないし噴射供給する噴射装置であるノズル80Aと、貯水槽であるタンク80B(図示なし)と、水を5℃以上100℃未満の範囲で加熱または冷却する加熱冷却装置80C(図示なし)とを有する。
【0057】
水の蒸発潜熱は、そのときの水温によって異なっており、目標の水温に低下させるまでに必要な水分量が異なる。よって、小麦粉の冷却期間において水分量が十分でないときは、加湿装置80によりタンク50A内にノズル80Aから水分を補給することで冷却時間を短縮することが可能となる。
【0058】
(材料粉体冷却制御の流れ)
図8は、上記実施形態の材料粉体冷却制御の流れを示すフロー図である。
本実施形態に係る小麦粉供給システム1を用いた材料粉体の冷却制御方法について説明を行う。この冷却制御方法は、所定のタイミング、例えば小麦粉の冷却を開始するタイミングで実行される。
【0059】
小麦粉の冷却を開始する場合、最初に制御装置3は、加温部材50Bを駆動してタンク50Aの内壁を加温する(ステップ1−1)。
次に制御装置3は、バルブ51を開放し、バルブ52およびバルブ53を閉鎖し(ステップ1−2)、バルブ75A,75Bを操作して真空ポンプ71Bによる排気ラインを開通させる(ステップ1−3)。
さらに制御装置3は、撹拌モータ542を駆動して撹拌軸541を回転させ、撹拌羽根543をタンク50A内で回転させる(ステップ1−4)。撹拌羽根543がタンク50A内で回転すると小麦粉の上下層が入れ替わり小麦粉間に隙間が形成され、下層の小麦粉の水分の蒸発を促進することが可能となる。
次に制御装置3は真空ポンプ71Bを作動させる(ステップ1−5)。真空ポンプ71Bを作動させると、タンク50Aの中の水蒸気は、フィルタ72Aを通って不要な小麦粉を含む微粒子が除去され、コールドトラップ73を通って水分が除去される。タンク50Aの内圧が徐々に低下する。
そして制御装置3は圧力センサ76にてホールディングビン50内を確認し、タンク50Aの内圧が所定の内圧値まで減圧した場合、バルブ75A,75Bを操作して今度は真空ポンプ71Aによる排気ラインを開通させ、真空ポンプ71Bを停止する(ステップ1−6)。
その後、制御装置3は真空ポンプ71Aを作動させる(ステップ1−7)。真空ポンプ71Aを作動させると、さらにタンク50A内が減圧され、真空ポンプ71Bの場合と同様にタンク50A内の水蒸気は、フィルタ72Aを通って不要な小麦粉を含む微粒子が除去され、コールドトラップ73を通って水分が除去される。
制御装置3は、圧力センサ76にてホールディングビン50内の圧力を確認し、タンク50Aの内圧が内圧基準値以下まで減圧した場合(ステップ1−8)には、真空ポンプ71Aを停止してタンク50A内の減圧状態を維持する(ステップ1−9)。
真空ポンプ71Aが停止した後も真空ポンプ71Aに至る排気ラインは開通している。よって、タンク50Aから排出された気体はコールドトラップ73により水分が除去され、真空ポンプ71Aが停止した後もホールディングビン50の内圧がさらに減圧する。
ホールディングビン50内の圧力が材料の水分蒸発が生じる圧力に達すると、小麦粉の温度の低下が始まる。小麦粉の温度が所望の温度に到達するまでの期間、ホールディングビン50内の圧力を維持し、小麦粉を冷却する。
制御装置3は、ホールディングビン50内の圧力を常に監視し、ホールディングビン50の内圧が内圧上限値以上になった場合(ステップ1−10)、再度真空ポンプ71Aを稼働する(ステップ1−11)。
小麦粉の冷却を終了する場合(ステップ1−12)、制御装置3は撹拌モータ542を停止し、大気開放口57,57を開放してタンク50Aの内圧を常圧に戻す(ステップ1−13)。
大気開放口57,57を開放すると、タンク50Aの下部からタンク50Aに空気が流れ込み、その空気に押されて、小麦粉がタンク50A内で上方へ押し上げられる。
【0060】
(材料粉体排出制御の流れ)
図9は、上記実施形態の材料粉体排出制御を示すフロー図である。
本実施形態に係る小麦粉供給システム1を用いた材料粉体の排出制御方法について説明を行う。この排出制御方法は、所定のタイミング、例えば小麦粉の排出を行うタイミングで実行される。
【0061】
小麦粉の排出を行う場合、最初に制御装置3はバルブ53を開く(ステップ2−1)。
次に制御装置3は撹拌モータ542を駆動し撹拌軸541を回転させ、撹拌羽根543をタンク50A内で回転させる(ステップ2−2)。撹拌羽根543がタンク50A内で回転すると小麦粉の排出をうながすことができる。
そして制御装置3は、第2の加振部材56,56を駆動する(ステップ2−3)。第2の加振部材56,56が振動するとタンク50Aに振動が伝わり、タンク50Aの内壁に付着した小麦粉が下方へ落下する。
さらに制御装置3は、第1の加振部材78を駆動する(ステップ2−4)。第1の加振部材78が振動することで、フィルタ72Aに堆積した小麦粉が落下する。
小麦粉の排出を終了する場合(ステップ2−5)、制御装置3は第2の加振部材56,56、第1の加振部材78および撹拌モータ542を停止する(ステップ2−6)。
その後、制御装置3はバルブ53を閉じる(ステップ2−7)。
【0062】
本発明の実施形態においては、食品材料粉体を小麦粉として説明を行ったがコーンスターチ、米粉、蕎麦粉のような微粒子状の食品材料粉体、あるいは米粒、大豆のような小粒状の食品材料粒体でも可能である。
また本発明の実施形態においては、真空装置70や撹拌部材54がホールディングビン50に設けられていたが、同機構をスケール30やミキサ2に設けることも可能である。
本発明は、以上に説明されている実施の形態に限定されるものではなく、すでにいくつかの具体的な例が示されているが、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、実施の形態を変形し、部材を置換し、公知の装置と組み合わせることが可能である。また、実施の形態の小麦粉供給システムにおいて、制御装置による真空ポンプと真空バルブを含む温度調整装置の動作は、一例に過ぎず、例えば、食品材料粉体と食品加工機械の種類に対応して動作の順番を変更するように、食品材料粉体の温度を速やかに所定の温度にできる本発明の効果を得ることができる範囲で設計上の変形を行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、食品加工機械の加工容器に食品材料粉体を供給する供給槽を備えた食品材料粉体の供給装置に適用できる。本発明は、例えば、製麺機、製菓機、製パン機のミキサのような食品材料粉体を加工する食品加工機械の作業の効率を向上させ、食品加工機械の発展に寄与する。
【符号の説明】
【0064】
1 小麦粉供給システム
2 ミキサ
3 制御装置
10 サイロ
20 ユースビン
30 スケール
40 インラインシフタ
50 ホールディングビン(供給槽)
50A タンク
51 バルブ(第1の真空遮断弁)
52 バルブ(第2の真空遮断弁)
53 バルブ(第3の真空遮断弁)
54 撹拌部材
55 点検扉
56 第2の加振部材
57 大気開放口
58 点検窓
59 照明部材
60 ブロワ
70 真空装置
71A,71B 真空ポンプ
72A,72B フィルタ
73 コールドトラップ
75A,75B バルブ
76 圧力センサ
77 ドレンタンク
78 第1の加振部材
80 加湿装置
80A ノズル
80B タンク
80C 加熱冷却装置
【手続補正書】
【提出日】2020年6月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品材料粉体をタンクに一時的に貯留して食品加工機械の加工容器に供給する供給槽と
、前記供給槽の中を真空ポンプにより減圧する真空装置と、前記真空装置を動作させて前
記供給槽の内圧を前記食品材料粉体の水分が蒸発する気圧以下に低下させて前記供給槽の
中の前記食品材料粉体を冷却する制御装置とを有し、前記タンクの内部には前記食品材料
粉体の冷却中に回転駆動する撹拌羽根と、上下方向に伸張した前記撹拌羽根を回転するための主軸が備えられ、
前記撹拌羽根は、前記主軸の周面から間隔を空けて帯状の羽根を前記タンクの内壁に沿うように螺旋状に巻回した形状に形成されており、かつ前記撹拌羽根が旋回するにつれて前記主軸に近づくように渦巻状に形成されていることを特徴とする食品材料粉体の供給装置。
【請求項2】
前記撹拌羽根は、主羽根と補助羽根で構成されていることを特徴とする請求項1記載の
食品材料粉体の供給装置。
【請求項3】
前記真空装置は、前記供給槽の気体排出口に接続されたフィルタと、前記フィルタの気
体排出口に近接して設けられたコールドトラップを備え、前記コールドトラップは、前記食品材料粉体の温度よりも低い温度に冷却されており、前記コールドトラップで回収した排水を一時的に貯留するドレンタンクを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項4】
前記真空装置は、前記フィルタに取り付けられた第1の加振部材を備えたことを特徴と
する請求項3記載の初期品材料粉体の供給装置。
【請求項5】
前記タンクは、下部に大気開放口が設けられていることを特徴とする請求項1から4の
いずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項6】
前記タンクは、加温部材が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか
一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項7】
前記タンクは、中央部に第2の加振部材が設けられていることを特徴とする請求項1か
ら6のいずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記供給槽内の圧力を計測し、前記圧力が基準値以下となった場合に前記真空ポンプを停止して前記供給槽内の減圧状態を保持するように制御を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【手続補正書】
【提出日】2020年9月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品材料粉体をタンクに一時的に貯留して食品加工機械の加工容器に供給する供給槽と、前記供給槽の中を真空ポンプにより減圧する真空装置と、前記真空装置を動作させて前記供給槽の内圧を前記食品材料粉体の水分が蒸発する気圧以下に低下させて前記供給槽の中の前記食品材料粉体を冷却する制御装置とを有し、前記タンクの内部には前記食品材料粉体の冷却中に回転駆動する撹拌羽根と、上下方向に伸張した前記撹拌羽根を回転するための主軸が備えられ、
前記撹拌羽根は、主羽根と補助羽根で構成されており、
前記主羽根および補助羽根は、前記主軸の周面から間隔を空けて帯状の羽根を前記タンクの内壁に沿うように螺旋状に巻回した形状に形成されており、かつ上方から下方に向かって前記撹拌羽根が旋回するにつれて前記主軸に近づくように渦巻状に形成されており、
前記補助羽根は、前記主羽根の下方に設けられ、前記主軸の下端に取り付けられることを特徴とする食品材料粉体の供給装置。
【請求項2】
前記真空装置は、前記供給槽の気体排出口に接続されたフィルタと、前記フィルタの気体排出口に近接して設けられたコールドトラップを備え、前記コールドトラップは、前記食品材料粉体の温度よりも低い温度に冷却されており、前記コールドトラップで回収した排水を一時的に貯留するドレンタンクを備えたことを特徴とする請求項1記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項3】
前記真空装置は、前記フィルタに取り付けられた第1の加振部材を備えたことを特徴とする請求項2記載の初期品材料粉体の供給装置。
【請求項4】
前記タンクは、下部に大気開放口が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項5】
前記タンクは、前記タンクの内壁の温度を前記食品材料粉体の温度よりも高く設定する加温部材が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項6】
前記タンクは、中央部に第2の加振部材が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記供給槽内の圧力を計測し、前記圧力が基準値以下となった場合に前記真空ポンプを停止して前記供給槽内の減圧状態を保持するように制御を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の食品材料粉体の供給装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
点検窓58は、タンク50Aの内部を外部から目視可能とするために設けられた窓であり(
図3)、タンク50Aの上部に設けられている。
点検窓
58は、タンク50Aの開口に機密性を保った状態で無色透明の部材を取り付けて一体的に形成されたものである。無色透明の部材は、ガラスまたはプラスチック等の透明性が高く、減圧状態に耐えうる強度をもった材質が使用可能である。