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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-6952(P2021-6952A)
(43)【公開日】2021年1月21日
(54)【発明の名称】パラメータ調整方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 11/32 20060101AFI20201218BHJP
【FI】
   G05B11/32 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-120833(P2019-120833)
(22)【出願日】2019年6月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 麻希
(72)【発明者】
【氏名】恵木 守
(72)【発明者】
【氏名】大野 悌
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 健治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文明
【テーマコード(参考)】
5H004
【Fターム(参考)】
5H004GA05
5H004GA30
5H004GB15
5H004HA07
5H004HA08
5H004HB07
5H004HB08
5H004KB02
5H004KB04
5H004KB32
(57)【要約】
【課題】フィードバックゲインと速度フィードフォワードゲインを好適に調整する。
【解決手段】制御対象のサーボ制御を行う制御装置の制御パラメータを調整するパラメータ調整方法であって、速度フィードフォワード制御に関連する速度フィードフォワードゲインを所定基準値に設定した状態で、フィードバック信号のフィードバックゲインに関連する所定指標が所定の目標値を満たす範囲で、該フィードバックゲインの上限値を算出する第1ステップと、フィードバックゲインを該上限値より低い調整初期値に設定するとともに、速度フィードフォワードゲインを、設定可能な範囲での最大値に設定する第2ステップと、少なくとも速度フィードフォワードゲインを所定増大値に設定した状態で、フィードバックゲインが上限値を超えない範囲で該フィードバックゲインを調整初期値から高めるように調整する第3ステップと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象のサーボ制御に関連するフィードバック信号がフィードバック入力される一又は複数の制御器を有するフィードバック系を含み、該フィードバック系において速度フィードフォワード制御が可能となるように構成された所定制御構造を有する制御装置の制御パラメータを調整するパラメータ調整方法であって、
前記速度フィードフォワード制御に関連する速度フィードフォワードゲインを所定基準値に設定した状態で、前記フィードバック信号のフィードバックゲインに関連する所定指標が所定の目標値を満たす範囲で、該フィードバックゲインの上限値を算出する第1ステップと、
前記フィードバックゲインを該上限値より低い調整初期値に設定するとともに、少なくとも前記速度フィードフォワードゲインを、前記所定基準値より大きい所定増大値に設定する第2ステップと、
前記速度フィードフォワードゲインを前記所定増大値に設定した状態で、前記フィードバックゲインが前記上限値を超えない範囲で該フィードバックゲインを前記調整初期値から高めるように調整する第3ステップと、
を含む、パラメータ調整方法。
【請求項2】
前記所定増大値は、100%である、
請求項1に記載のパラメータ調整方法。
【請求項3】
前記所定指標は、前記所定制御構造に基づいたサーボ制御が行われたときの、前記制御対象の整定時間に関連する指標であって、
前記上限値は、前記所定指標が、前記所定の目標値である目標整定時間以内となるときの前記フィードバックゲインの値である、
請求項1又は請求項2に記載のパラメータ調整方法。
【請求項4】
前記所定指標は、前記所定制御構造に基づいたサーボ制御が行われたときの、前記制御対象の振動に関連する指標であって、
前記上限値は、前記所定指標が、前記所定の目標値である振動レベル又はそれ以下の前記フィードバックゲインの値である、
請求項1又は請求項2に記載のパラメータ調整方法。
【請求項5】
前記所定指標は、前記所定制御構造に基づいたサーボ制御が行われたときの、該所定制御構造における速度閉ループの周波数応答における閉ループゲイン、又は速度開ループから得られるゲイン又は位相に関する指標であって、
前記上限値は、前記所定指標が、所定のピークゲイン以下となるときの、もしくは所定のゲイン余裕値又は所定の位相余裕値以上となるときの前記フィードバックゲインの値である、
請求項1又は請求項2に記載のパラメータ調整方法。
【請求項6】
前記第3ステップでは、前記フィードバックゲインを前記調整初期値から高めていく過程において、前記制御対象の振動レベルが許容レベルを超えた場合には該振動レベルが該許容レベルに収まる範囲で該フィードバックゲインの値を決定する、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載のパラメータ調整方法。
【請求項7】
前記第1ステップでは、前記サーボ制御における位置比例ゲイン又は速度比例ゲインに基づいたフィルタ処理が行われている状態で、前記フィードバックゲインの前記上限値を算出する、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載のパラメータ調整方法。
【請求項8】
前記第3ステップでは、前記サーボ制御における位置比例ゲイン又は速度比例ゲインに基づいたフィルタ処理が行われていない状態で、前記フィードバックゲインの調整を行う、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載のパラメータ調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボ制御を行う制御装置の制御パラメータを調整するパラメータ調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーボ制御装置は、目標指令にモータ出力を速やかに一致させるためにフィードバック制御とともにフィードフォワード制御を行うように構成される場合がある。この場合、サーボ制御装置に組み込まれているフィードフォワード制御器において、速度フィードフォワードゲインやトルクフィードフォワードゲインを適切に設定することで、モータの加減速度一定時や速度一定時の偏差を零とし、加速度変化時の偏差を可及的に小さくすることができる。しかし、一般に、ユーザはモータの出力を見ながらフィードフォワード制御器に設定する速度フィードフォワードゲイン等の適正値を探る必要があるため、ユーザの負担は小さくない。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、そのようなフィードフォワード制御器における速度フィードフォワードゲイン等を自動的に適切な値に調整する技術が開示されている。当該技術では、目標位置指令とモータの出力(位置出力)との偏差(位置偏差)に基づいて、速度フィードフォワードゲイン等が自動的に調整される。具体的には、速度フィードフォワードゲイン等が初期値の状態でモータが動作され、そのときの偏差に基づいてその初期値が適宜修正され、この速度フィードフォワードゲイン等の繰り返しの変動を経て、上記偏差が最小となる速度フィードフォワードゲイン等が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−18431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のサーボ制御装置では、位置偏差に基づいて速度フィードフォワードゲインが調整される構成である。そのため、位置偏差の結果によっては、速度フィードフォワードゲインを十分に高めることができず、結果として目標指令への追従性を十分に高めることが難しい。また、従来のサーボ制御装置では速度フィードフォワードゲインの調整は行われるものの、サーボ制御におけるフィードバック系のゲイン(フィードバックゲイン)の調整には何ら言及されていない。そのため、サーボ制御全体を考慮したときにモータの出力を想定通りに調整できないおそれがある。すなわち、フィードバックゲインと速度フィードフォワードゲインのバランスを考慮しなければ、最終的にモータ出力を好適にサーボ制御できないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、フィードフォワード制御を含むサーボ制御を行う制御装置において、フィードバックゲインと速度フィードフォワードゲインを好適に調整する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては、上記課題を解決するために、初めに制御装置でのサーボ制御に関連する所定指標が所定の目標値を満たす条件の下で、フィードバックゲインの上限値を算出しておき、その後速度フィードフォワードゲインをより大きな値に設定し直した上で、その上限値を超えない範囲でフィードバックゲインの調整を行う構成を採用した。このよう
な構成により、制御装置により軌道追従誤差の小さいサーボ制御を実現できるフィードバックゲインと速度フィードフォワードゲインの調整が容易になる。
【0008】
具体的に、本発明は、制御対象のサーボ制御に関連するフィードバック信号がフィードバック入力される一又は複数の制御器を有するフィードバック系を含み、該フィードバック系において速度フィードフォワード制御が可能となるように構成された所定制御構造を有する制御装置の制御パラメータを調整するパラメータ調整方法である。そして、当該方法は、前記速度フィードフォワード制御に関連する速度フィードフォワードゲインを所定基準値に設定した状態で、前記フィードバック信号のフィードバックゲインに関連する所定指標が所定の目標値を満たす範囲で、該フィードバックゲインの上限値を算出する第1ステップと、前記フィードバックゲインを該上限値より低い調整初期値に設定するとともに、少なくとも前記速度フィードフォワードゲインを、前記所定基準値より大きい所定増大値に設定する第2ステップと、前記速度フィードフォワードゲインを前記所定増大値に設定した状態で、前記フィードバックゲインが前記上限値を超えない範囲で該フィードバックゲインを前記調整初期値から高めるように調整する第3ステップと、を含む。
【0009】
上記のパラメータ調整方法によって制御パラメータが調整される制御装置は、一又は複数の制御器によるフィードバック系を含む所定制御構造を有するとともに、その所定制御構造は速度フィードフォワード制御が可能となるように構成されている。一又は複数の制御器では、位置比例ゲイン、速度比例ゲイン、速度積分ゲイン等のフィードバックゲインが設定され、これらの設定された値によって所定制御構造によるサーボ制御特性が特徴づけられる。サーボ制御特性としては、上記の所定指標である、制御対象の整定時間や制御時の振動特性等が例示できる。また、速度フィードフォワード制御に関連する速度フィードフォワードゲインは、サーボ制御における制御対象の軌跡追従性に大きく関連する。したがって、制御対象のサーボ制御において、フィードバックゲインと速度フィードフォワードゲインはその制御結果に大きな影響を及ぼし得る制御パラメータとされる。
【0010】
そこで、上記のパラメータ調整方法では、先ず、第1ステップで、速度フィードフォワードゲインを所定基準値に設定した状態で、所定制御構造によるサーボ制御特性が所望の特性を達成するように、すなわち上記所定指標が所定の目標値を満たす範囲で、フィードバックゲインの上限値が算出される。速度フィードフォワードゲインを所定基準値とするのは、制御対象の軌跡追従性が初めから高くなってしまうと所定指標の推移に影響が及び、所定指標を基準としたフィードバックゲインの上限値の算出を正確に行いにくくなるからである。一般的にフィードバックゲインの値は大きいほどサーボ制御上の応答性は高まるが、背反としてサーボ制御の安定性が低下する傾向がある。このような第1ステップにより算出されるフィードバックゲインの上限値は、可及的に好ましいサーボ制御特性を実現し得る閾値であるとの技術的意義を有する。
【0011】
そして、第2ステップでは、フィードバックゲインを、第1ステップで算出した上限値より低い調整初期値に設定した上で、速度フィードフォワードゲインを所定増大値に設定する。この所定増大値は、上記の所定基準値より大きく、制御対象のサーボ制御における軌跡追従性を高めることができる数値である。一例としては、所定増大値としては、100%やそれに近い数値を採用できる。このように、第2ステップでは、制御対象の軌跡追従性を高めるべく速度フィードフォワードゲインを所定増大値に設定するが、その速度フィードフォワードゲインとフィードバックゲインとの相互作用によって、制御対象のサーボ制御において好ましくない状況が不意に発生しないように、フィードバックゲインを比較的低めの調整初期値に設定しておく。その上で、続く第3ステップでは、速度フィードフォワードゲインを所定増大値に設定した状態で、フィードバックゲインを第1ステップで算出された上限値に向かって高くなるように調整していく。このとき、フィードバックゲインが上限値を超えない範囲で、その調整が行われる。
【0012】
このようなパラメータ調整によれば、軌跡追従性と関連性の大きい速度フィードフォワードゲインを所定増大値にするとともに、フィードバックゲインをサーボ制御に関連する所定指標を所定の目標値とする上限値に決定でき、もしくはフィードバックゲインを上限値に可及的に近付けることができ、両制御パラメータの好適な調整が容易に実現される。
【0013】
ここで、上記のパラメータ調整方法において、前記所定指標は、前記所定制御構造に基づいたサーボ制御が行われたときの、前記制御対象の整定時間に関連する指標であってもよい。この場合、前記上限値は、前記所定指標が、前記所定の目標値である目標整定時間以内となるときの前記フィードバックゲインの値であってもよい。また、所定指標の別法として、前記所定指標は、前記所定制御構造に基づいたサーボ制御が行われたときの、前記制御対象の振動に関連する指標であってもよい。この場合、前記上限値は、前記所定指標が、前記所定の目標値である振動レベル又はそれ以下の前記フィードバックゲインの値であってもよい。更に、所定指標の別法として、前記所定指標は、前記所定制御構造に基づいたサーボ制御が行われたときの、該所定制御構造における速度閉ループの周波数応答における閉ループゲイン、又は速度開ループから得られるゲイン又は位相に関する指標であってもよい。この場合、前記上限値は、前記所定指標が、所定のピークゲイン以下となるときの、もしくは所定のゲイン余裕値又は所定の位相余裕値以上となるときの前記フィードバックゲインの値であってもよい。所定指標は、所定制御構造によるサーボ制御特性が所望の特性を達成しているかを判断することができるものであれば、これらの指標以外のものであっても構わない。
【0014】
ここで、上述までのパラメータ調整方法において、前記第3ステップでは、前記フィードバックゲインを前記調整初期値から高めていく過程において、前記制御対象の振動レベルが許容レベルを超えた場合には該振動レベルが該許容レベルに収まる範囲で該フィードバックゲインの値を決定してもよい。このような方法によれば、フィードバックゲインに関し、制御対象の振動レベルを許容範囲に収め得る範囲で可及的に最大の値を設定することができる。
【0015】
また、上述までのパラメータ調整方法において、前記第1ステップでは、前記サーボ制御における位置比例ゲイン又は速度比例ゲインに基づいたフィルタ処理が行われている状態で、前記フィードバックゲインの前記上限値を算出してもよい。このようなフィルタ処理を利用して第1ステップを実行することで、仮に制御対象への位置指令に共振を引き起こす周波数成分が含まれていたとしても、フィードバックゲインの上限値を正確に算出することができ、最終的に得られるフィードバックゲイン及び速度フィードフォワードゲインの良好な調整を実現できる。
【0016】
また、上述までのパラメータ調整方法において、前記第3ステップでは、前記サーボ制御における位置比例ゲイン又は速度比例ゲインに基づいたフィルタ処理が行われていない状態で、前記フィードバックゲインの調整を行ってもよい。当該フィルタ処理を実行していると、制御対象の軌跡追従性が低下する可能性がある。ここで、第3ステップでは、第2ステップで速度フィードフォワードゲインを上記の所定増大値に設定した上でフィードバックゲインの調整が行われるが、これは軌跡追従性の最適化を狙いながらフィードバックゲインの調整を行うものである。その点を考慮すると、第3ステップの実行時にはフィルタ処理をOFFとした状態でフィードバックゲインの調整を行った方が、より好ましい値に調整することができる。
【発明の効果】
【0017】
フィードフォワード制御を含むサーボ制御を行う制御装置において、フィードバックゲインと速度フィードフォワードゲインを好適に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】PLC及びサーボドライバを含む制御システムの概略構成、及び該制御システムに接続されたコンピュータの概略構成を示す図である。
図2】サーボドライバの制御構造、及びコンピュータに形成されたサーボドライバに設定される制御パラメータを調整するための機能部を示す図である。
図3】サーボドライバにおける制御パラメータを調整するための調整処理のフローチャートである。
図4図3に示す調整処理に含まれる第1処理のフローチャートである。
図5図3に示す調整処理に含まれる第2処理のフローチャートである。
図6図3に示す調整処理に含まれる第3処理のフローチャートである。
図7図3に示す調整処理の結果得られた制御パラメータが設定されたサーボドライバによる軌跡追従性を説明する図である。
図8図3に示す調整処理に含まれる第1処理の別形態のフローチャートである。
図9図3に示す調整処理に含まれる第1処理の更に別形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<適用例>
先ず、モータをサーボ制御するための制御システムの構成について、図1に基づいて説明する。図1は当該制御システムの概略構成図である。当該制御システムは、フィールドネットワーク1と、サーボドライバ4と、PLC(Programmable Logic Controller)5と
を備える。サーボドライバ4は、モータ2を有する装置6においてモータ2の出力軸をサーボ制御するための制御装置である。装置6の一例としては、ワークを所定の平面上で搬送する搬送装置が例示できる。また、装置6には、モータ2以外のモータによる制御軸が設けられていてもよい。その場合、1台のサーボドライバ4で2台の制御軸(モータ)を駆動可能に構成されてもよく、別法として、1つの制御軸毎に1台のサーボドライバが配置され、各サーボドライバがフィールドネットワーク1で接続される構成を採用することもできる。このようなサーボドライバ4に対して、フィールドネットワーク1を介して装置6を駆動制御するための指令がPLC5から供給される。なお、フィールドネットワーク1として、例えば、EtherCAT(登録商標)を使用することができる。
【0020】
上記制御システムでは、PLC5から送られてくる制御指令をサーボドライバ4が用いて、モータ2のサーボ制御が行われる。当該サーボ制御は、例えば、モータによる位置決めのための制御である。なお、PLC5から制御指令が供給されたサーボドライバ4は、モータ2に接続されているエンコーダ2aから出力されたフィードバック信号を、信号線L2を介して受けることで、モータ2の出力が制御指令に追従するように、モータ2に電力供給線L1を介して駆動電流を供給する。この供給電流は、交流電源からサーボドライバ4に対して送られる交流電力が利用される。本実施形態では、サーボドライバ4は三相交流を受けるタイプのものであるが、単相交流を受けるタイプのものでもよい。
【0021】
また、サーボドライバ4にはコンピュータ9が電気的に接続されている。当該電気的接続は有線接続でもよく、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルである通信ケーブル8を介して、コンピュータ9がサーボドライバ4に接続される。また、コンピュータ9は、サーボドライバ4に対して無線接続するように構成されてもよい。コンピュータ9は、サーボドライバ4によるモータ2の上記サーボ制御のための制御パラメータを設定及び調整するための装置であり、調整用のプログラムが含まれている。具体的には、コンピュータ9は、演算装置やメモリ、ディスプレイ(表示装置)等を有しており、そこで実行可能な調整用プログラムを有している。この調整用プログラムは、サーボドライバ4によって行われるサーボ制御の目的に応じて、必要な制御パラメータの調整を行う。コンピュ
ータ9による制御パラメータの具体的な調整形態については、後述する。
【0022】
ここで、本実施形態のサーボドライバ4に形成される、サーボ制御のための制御構造について、図2に基づいて説明する。サーボドライバ4は、位置制御器41、速度制御器42、電流制御器43を備えるフィードバック系を有し、それによりモータ2のサーボ制御を行うように構成される。位置制御器41は、例えば、比例制御(P制御)を行う。具体的には、当該P制御では、PLC5からの位置指令と、モータ2における検出位置との偏差である位置偏差に、所定の位置比例ゲインが乗ぜられる。更に、位置制御器41は、PLC5からの位置指令に対して所定の微分処理を施し所定ゲインを乗じた信号を、上記のP制御の出力(位置偏差と所定の位置比例ゲインの積)に加算して速度指令vcmdを算出するように構成されている。すなわち、位置制御器41は、速度フィードフォワード制御を実行できるように構成され、当該所定ゲインは、速度フィードフォワード制御の寄与程度を調整するためのパラメータであり、速度フィードフォワードゲインとされる。本実施形態では、速度フィードフォワードゲインとして、0%〜100%の範囲の任意の値を設定することができる。
【0023】
また、速度制御器42は、例えば、比例積分制御(PI制御)を行う。このPI制御では、速度制御器42は、位置制御器41により算出された速度指令vcmdとモータ2における検出速度(エンコーダ2aの出力が微分器44により微分されて得られる)との偏差である速度偏差の積分量に所定の速度積分ゲインを乗じ、その算出結果と当該速度偏差の和に所定の速度比例ゲインを乗ずることにより、トルク指令τcmdを算出する。また、速度制御器42はPI制御に代えてP制御を行ってもよい。そして、電流制御器43は、速度制御器42により算出されたトルク指令τcmdに基づいて電流指令Ccmdを出力し、それによりモータ2が駆動制御される。
【0024】
また、上記位置制御器41は、PLC5から送られてくる位置指令に関するフィルタ処理を行うフィルタを含んでもよい。当該フィルタ処理については、上記の位置比例ゲイン又は速度比例ゲインに基づいて、例えばカットオフ周波数等のフィルタ性能が調整される。同様に、上記電流制御器43は、トルク指令に関するフィルタ(1次のローパスフィルタ)や一又は複数のノッチフィルタを含み、これらのフィルタによるフィルタ処理を行うように構成されてもよい。コンピュータ9により調整される制御パラメータとして、これらのフィルタの性能に関するパラメータも含まれてよい。
【0025】
このようなサーボドライバ4によるサーボ制御のための制御パラメータ(上記の位置比例ゲイン、速度積分ゲイン、速度比例ゲインを含むフィードバックゲインや、フィルタ処理に関連するパラメータ)を調整するために、調整用プログラムがコンピュータ9で実行される。なお、調整用プログラムの実行により調整された制御パラメータが、装置6を構成するモータ2の駆動に適したものであるか確認することが求められる。そこで、制御パラメータの調整が行われている際のモータ2の動作に関連する情報として、エンコーダ2aからのフィードバック信号やサーボドライバ4の各制御器の信号がコンピュータ9に引き渡され、それらの信号に基づいてモータ2の動作の分析示処理等がコンピュータ9で行われ、その分析結果がそのディスプレイに表示される。
【0026】
ここで、上記調整用プログラムの詳細について、同じく図2に基づいて説明する。図2に示すように、コンピュータ9には、制御パラメータの調整用の機能部として、整定時間計測部91、振動検出部92、上限FBゲイン算出部93、FFゲイン設定部94、FBゲイン調整部95、余裕判定部96が、調整用プログラムの実行により形成される。なお、本実施形態では、「FBゲイン」の表記は、「フィードバックゲイン」を意味し、「FFゲイン」の表記は、「フィードフォワードゲイン」を意味するものとする。
【0027】
整定時間計測部91は、サーボドライバ4によりモータ2のサーボ制御が実行されたときの、サーボ制御特性の一つとしての整定時間を計測する機能部である。整定時間は、モータ2の出力軸の位置が目標位置に到達するようにサーボ制御された場合、目標位置に到達する理論計算上のタイミングから、実際にモータ2の出力軸位置が目標位置から所定の範囲内に収束するまでの経過時間として定義される。一般に、フィードバックゲインの値が高すぎると、出力軸の位置が目標位置を通り過ぎ、その後振動的に推移するハンチング動作が生じたり、一方でフィードバックゲインの値が低すぎると、出力軸の位置が目標位置に到達するまでに時間が掛かりすぎたりする。そこで、モータ2の整定時間は、フィードバックゲインと大きく関連することを考慮して、サーボ制御特性の一つとして、整定時間計測部91は整定時間の計測を行う。
【0028】
また、振動検出部92は、サーボドライバ4によりモータ2のサーボ制御が実行されたときの、サーボ制御特性の一つとしての振動発生を検出する機能部である。振動検出部92により検出される振動は、サーボドライバ4が有するサーボ制御のための各制御器における電気的振動や、エンコーダ2aからのフィードバック信号における振動のうち、フィードバックゲインとの関連性が大きいとされる一又は複数の振動を対象としてもよい。振動検出部92は、例えば、対象となる振動の振幅が、許容される振動レベルを超えた場合に、サーボ制御上好ましくない振動が発生しているとして振動検出の判断を行うことができる。
【0029】
また、余裕判定部96は、サーボドライバ4によりモータ2のサーボ制御が実行されたときの、サーボ制御特性の一つとしての速度閉ループのピークゲイン、又は速度開ループから計算されるゲイン余裕又は位相余裕を判定する機能部である。すなわち、余裕判定部は、サーボ制御時の上記周波数特性が、どの程度安定余裕を有しているかを判定する機能部である。なお、上記の速度閉ループのピークゲイン、速度開ループのゲイン余裕又は位相余裕は、公知の技術により取得できる。
【0030】
上限FBゲイン算出部93は、後述する第1処理(図4を参照)を実行する機能部である。この第1処理は、主に、フィードバックゲインに関連する所定指標に基づいて、フィードバックゲインの上限値を算出する処理である。所定指標としては、フィードバックゲインとの関連性が大きいとされるサーボ制御特性である、整定時間やサーボ制御時の振動が採用される。上述の通り、前者は整定時間計測部91によって取得され、後者は振動検出部92によって取得される。
【0031】
FFゲイン設定部94は、後述する第2処理(図5を参照)を実行する機能部である。この第2処理は、主に、速度フィードフォワードゲインを、高い軌跡追従性を得るための比較的高いゲイン値(本願の所定増大値であり、例えば、100%)に設定した上で、フィードバックゲインを初期値に設定し直す処理である。なお、FFゲイン設定部94は、速度フィードフォワードゲインに加えて、上記制御構造に含まれるトルクフィードフォワードゲインも比較的高い値に設定しても構わない。そして、FBゲイン調整部95は、後述する第3処理(図6を参照)を実行する機能部である。この第3処理は、主に、第2処理で速度フィードフォワードゲインを例えば100%に設定した状態で、フィードバックゲインを次第に高めていき、最終的なフィードバックゲインを決定する処理である。第3処理でのフィードバックゲインの調整では、第1処理で決定された上限値を超えない範囲で、最終的なフィードバックゲインの値が決定される。
【0032】
このような機能部がコンピュータ9に形成されて制御パラメータの調整処理が行われることで、フィードフォワード制御を含むサーボ制御を行うサーボドライバ4において、フィードバックゲインと速度フィードフォワードゲインが好適に調整される。この結果、モータ2のサーボ制御特性を所望の特性とでき、又は可及的に所望の特性に近付けることが
でき、その上で、速度フィードフォワードゲインが100%とされることでモータ2の軌跡追従性が良好なものとなり得る。
【0033】
<制御パラメータの調整処理>
次に、これらの機能部によって実現される、具体的な制御パラメータの調整処理について、図3図6に基づいて説明する。図3は、調整処理の全体の流れを示すフローチャートである。そして、図4は当該調整処理に含まれる第1処理の流れを示すフローチャートであり、図5は当該調整処理に含まれる第2処理の流れを示すフローチャートであり、図6は当該調整処理に含まれる第3処理の流れを示すフローチャートである。図3から理解できるように、調整処理は、第1処理(S101)、第2処理(S102)、第3処理(S103)の順に実行される。
【0034】
調整処理のうち、先ず第1処理について、図4に基づいて説明する。第1処理は、上限FBゲイン算出部93によって実行される。なお、図4に示す第1処理では、フィードバックゲインの上限値を算出するために使用される所定指標は、整定時間計測部91によって計測される整定時間である。先ず、S201では、整定時間の目標値が設定される。一般的な装置6において、整定時間が短いことは目標位置に速やかに到達できることを意味するため、整定時間の目標値が短い方が装置6におけるモータ2のサーボ制御特性が良好とされる。一方で、整定時間を短くするためには、目標位置の近傍における振動的推移を効果的に抑制する必要があり、フィードバックゲインの影響を多分に受けることになる。S201の処理が終了すると、S202へ進む。
【0035】
S202では、速度フィードフォワードゲインを所定の基準値に設定する。この所定の基準値は暫定的な値であり、本実施形態では30%とする。第1処理は、上記の通り、モータ2のサーボ制御特性を所望の特性とするためのフィードバックゲインの上限値を算出することを目的とする。そのため、サーボ制御特性を上記の所定指標を通してより正確に把握するために、速度フィードフォワードゲインを低くして速度フィードフォワード制御の影響を比較的抑制した状態とする。なお、速度フィードフォワードゲインの所定の基準値は30%に限られず、装置6の機械特性などを考慮して適宜選択することができる。S202の処理が終了すると、S203へ進む。
【0036】
S203では、フィードバックゲインを調整初期値に設定する。この調整初期値としては、S204以降の処理が開始されるに当たって急激にモータ2の動作が不安定とならないように、比較的低い値が採用される。その後、S204では、速度フィードフォワードゲインが所定の基準値に設定された状態で、都度のフィードバックゲインに従ってモータ2が駆動される。例えば、当該駆動のために、所定の距離の位置決めを行うサーボ制御のための位置指令がモータ2に与えられる。このモータ駆動が行われている間、サーボドライバ4の各制御器の信号やエンコーダ2aからのフィードバック信号等がコンピュータ9に引き渡されて、モータ2の動作が分析される。その一部として、整定時間計測部91による整定時間の計測が行われる。
【0037】
そして、S205では、計測された整定時間が、S201で設定された目標値を満たすか否かが判定される。S205で肯定判定されると、現時点で設定されているフィードバックゲインは所望のサーボ制御特性、すなわち所望の整定時間を達成する値であることを意味する。そこで、その場合処理はS206へ進み、当該所望の整定時間を達成したフィードバックゲインを上限フィードバックゲインとして算出するとともに、コンピュータ9のメモリ内に保持する。一方で、S205で否定判定されると、現時点で設定されているフィードバックゲインは所望のサーボ制御特性を達成する値ではないことを意味する。そこで、その場合処理はS207へ進み、現時点で設定されているフィードバックゲインを高める。なお、フィードバックゲインの増加幅は適宜採用すればよい。その後、再びS2
04へ進み、高められたフィードバックゲインを適用した状態でモータの駆動が実行される。
【0038】
このように第1処理では、速度フィードフォワードゲインを比較的低く設定した状態で、モータ2のサーボ制御特性を所望の特性とし得るフィードバックゲインの上限値の算出が行われる。そのため、当該上限値とされるフィードバックゲインは、現時点では、必ずしも速度フィードフォワードゲインを高めた場合にそのまま適用できるとは限らない値であることに留意する。
【0039】
第1処理に続いては、第2処理が行われる。第2処理は、FFゲイン設定部94によって実行される。図5に示すように、第2処理では先ずS301でフィードバックゲインが調整初期値に設定される。すなわち、フィードバックゲインの上限値が算出された第1処理に続く第2処理では、改めてそのフィードバックゲインを比較的低い値である調整初期値に戻される。その上で、続くS302では、速度フィードフォワードゲインが、所定の基準値より大きく、軌跡追従性を高められるゲイン値(理想的には、100%)に設定される。すなわち、第1処理では30%とされていた速度フィードフォワードゲインが、第2処理では、一例としてそれより高い値(例えば、100%)に設定される。ただし、制御対象の慣性や粘性が変動するように構成される場合、S302で設定される速度フィードフォワードゲインは100%から適宜調整してもよい。また、このとき、より高い軌跡追従性を得るために、速度フィードフォワードゲインに加えてトルクフィードフォワードゲインにも比較的高いゲイン値を設定してもよい。
【0040】
そして、第2処理に続いては、第3処理が行われる。第3処理は、FBゲイン調整部95によって実行される。図6に示すように、第3処理では先ずS401では、速度フィードフォワードゲインが100%に設定された状態で、現時点で設定されているフィードバックゲインに従ってモータ2が駆動される。当該モータ2の駆動内容は、設定されている制御パラメータによって、モータ2の動作での振動の有無を確認できるものであれば構わない。このモータ駆動が行われている間、サーボドライバ4の各制御器の信号やエンコーダ2aからのフィードバック信号等がコンピュータ9に引き渡されて、モータ2の動作が分析される。その一部として、振動検出部92による振動の検出が行われる。S401の処理が終了すると、S402へ進む。
【0041】
そして、S402では、振動検出部92により振動が検出されたか否かが判定される。S402で肯定判定されると、現時点で設定されているフィードバックゲインは、振動の検出により適正な値よりも高い値となっていることを意味する。そこで、その場合処理はS406へ進み、振動を生じさせたフィードバックゲインよりも低いゲイン、すなわち振動検出部92により振動が検出されていない、直前に設定されたフィードバックゲインが、最終的なフィードバックゲインとして決定される。一方で、S402で否定判定されると、現時点で設定されているフィードバックゲインは振動が検出されるまでは増加させる余地が残されていることを意味する。そこで、その場合処理はS403へ進む。
【0042】
S403では、現時点でのフィードバックゲインの値と、第1処理でコンピュータ9のメモリに保持されているフィードバックゲインの上限値とを比較し、前者が後者未満であるか否かが判定される。すなわち、S403では、前者が後者に到達するまで増加されているか否かが判定されることになる。S403で肯定判定されると、S404でフィードバックゲインが高められ、その後再びS401以降の処理が繰り返される。フィードバックゲインの増加幅は適宜採用すればよい。また、S403で否定判定されると処理はS405へ進む。S405では、フィードバックゲインを上限値に設定する。
【0043】
このように上述までの調整処理によれば、先に所望のサーボ制御特性を実現可能なフィ
ードバックゲインの上限値を決めておき、その上で速度フィードフォワードゲインを、軌跡追従性を高められる値(例えば、100%)にしてフィードバックゲインを調整初期値から引き上げていく。そのため、第3処理において振動が検出されなければ、軌跡追従性と関連性の大きい速度フィードフォワードゲインを、軌跡追従性を高められる値(例えば、100%)にするとともに、フィードバックゲインを、整定時間を所定の目標値とする値に決定できる。すなわち、好適な軌跡追従性と所望の整定時間を両立し得る両制御パラメータの調整が容易に行い得る。
【0044】
ここで、図7に、上記の調整処理に従って調整された速度フィードフォワードゲインとフィードバックゲインが設定された場合のモータ2の追従誤差(位置指令と、実際のモータ2の出力軸の位置との誤差)の推移(線L11で示される推移)と、従来技術によってゲイン調整された場合の追従誤差の推移(線L12で示される推移)とを比較した結果が示されている。なお、前者の速度フィードフォワードゲインは100%であり、後者との速度フィードフォワードゲインは60%となっている。また、前者のフィードバックゲインは後者のフィードバックゲインよりも小さくなっている。このことからも分かるように、軌跡追従性を示す追従誤差については、速度フィードフォワードゲインを高く設定することが有用である。そのため、好適な軌跡追従性と所望の整定時間の両立を可能とする本実施形態の調整処理は、極めて有用な制御パラメータの調整手法である。
【0045】
<変形例1>
位置制御器41において、サーボ制御における位置比例ゲイン又は速度比例ゲインに基づいた、位置指令に対するフィルタ処理が行われている状態で、第1処理におけるフィードバックゲインの上限値の算出が行われてもよい。このような位置指令に対するフィルタ処理が行われると、仮にS204での位置指令に共振を引き起こす周波数成分が含まれていたとしても、フィードバックゲインの上限値を正確に算出することができる。そして、上限値が正確であれば、第3処理において振動が検出されることなく得られたフィードバックゲインは、ユーザの要求する所望のサーボ制御特性を実現し得る適切なフィードバックゲインと言え、好適な軌跡追従性と所望の整定時間の両立が可能となる。
【0046】
<変形例2>
サーボ制御における位置比例ゲイン又は速度比例ゲインに基づいたフィルタ処理が行われていない状態で、第3処理におけるフィードバックゲインの調整が行われてもよい。このようなフィルタ処理を実行していると、軌跡追従性が低下する可能性がある。ここで、第3処理では、高い軌跡追従性と高いフィードバックゲインの両立を図るために、速度フィードフォワードゲインが100%に設定された状態でフィードバックゲインの調整が行われる。そのため、軌跡追従性が低下した状態でフィードバックゲインの調整を行うのは好ましくない。そこで、上記のように、第3処理では上記フィルタ処理をOFFにした状態でFBゲイン調整部95によるフィードバックゲインの調整が行われるのが好ましい。
【0047】
<変形例3>
第1処理の変形例について、図8に基づいて説明する。本変形例の第1処理と図4に示す第1処理とにおいて共通する処理は、同一の参照番号を付してその詳細な説明は省略する。なお、本変形例の第1処理では、図4に示す第1処理に含まれるS201の処理は、含まれていない。これは、本変形例の第1処理での所定指標は、サーボ制御時の振動レベルであり、目標とする振動レベルに関する情報は予めコンピュータ9内に記憶されている。また、モータ2のサーボ制御時の振動は、振動検出部92によって取得される。
【0048】
そして、S204の処理が終了すると、処理はS501へ進む。そして、S501では、S204でのモータ2のサーボ制御時の振動レベルが目標レベル以下であるか否かが判定される。S501で肯定判定されると、振動レベルが比較的低いためまだフィードバッ
クゲインを高める余地が残されていることを意味する。そこで、その場合処理はS207へ進み、現時点で設定されているフィードバックゲインを高める。なお、フィードバックゲインの増加幅は適宜採用すればよい。その後、再びS204へ進み、高められたフィードバックゲインを適用した状態でモータの駆動が実行される。一方で、S501で否定判定されると、現時点で設定されているフィードバックゲインは、振動の検出により適正な値よりも高い値となっていることを意味する。そこで、その場合処理はS502へ進み、振動レベルが目標振動レベル以下となるゲイン、すなわち直前にS501で肯定判定されてFBゲインが高められる前のフィードバックゲインが、最終的なフィードバックゲインとして算出され、それがコンピュータ9のメモリ内に保持される。
【0049】
このような第1処理を経て上記第3処理が行われることで、その第3処理において振動が検出されなければ、軌跡追従性と関連性の大きい速度フィードフォワードゲインを、軌跡追従性を高められる値(例えば、100%)にするとともに、フィードバックゲインを、振動抑制可能な範囲で可及的に高い値に決定できる。すなわち、好適な軌跡追従性と好適な振動抑制を両立し得る両制御パラメータの調整が容易に行い得る。
【0050】
<変形例4>
第1処理の更なる変形例について、図9に基づいて説明する。本変形例の第1処理と図4に示す第1処理とにおいて共通する処理は、同一の参照番号を付してその詳細な説明は省略する。なお、本変形例の第1処理では、図4に示す第1処理に含まれるS201の処理は、含まれていない。これは、本変形例の第1処理での所定指標は、サーボ制御構造における速度閉ループの周波数応答特性におけるゲインピークや、速度開ループから算出されるゲイン余裕又は位相余裕である。ゲインピークを指標とする場合は、その判定基準となる閾値は例えば1dB以下とする。ゲイン余裕を指標とする場合は、その判定基準となる閾値は例えば10dB以上とする。位相余裕を指標とする場合は、その判定基準となる閾値は例えば45度以上とする。これらの基準となる各閾値に関する情報は予めコンピュータ9内に記憶されている。また、モータ2のサーボ制御時のゲインピークやゲイン余裕又は位相余裕は、余裕判定部96によって取得される。
【0051】
そして、S204の処理が終了すると、処理はS601へ進む。そして、S601では、S204でのモータ2のサーボ制御時の、速度閉ループの周波数応答におけるゲインピークや、速度開ループから算出されるゲイン余裕又は位相余裕が、それらの判定基準を満たしているか否かが判定される。S601で肯定判定されると、ゲインピークが比較的小さいため、あるいはゲイン余裕又は位相余裕が比較的大きいため、まだフィードバックゲインを高める余地が残されていることを意味する。そこで、その場合処理はS207へ進み、現時点で設定されているフィードバックゲインを高める。なお、フィードバックゲインの増加幅は適宜採用すればよい。その後、再びS204へ進み、高められたフィードバックゲインを適用した状態でモータの駆動が実行される。一方で、S601で否定判定されると、現時点で設定されているフィードバックゲインは、ゲインピークが比較的大きかったりゲイン余裕又は位相余裕が比較的小さかったりするため、その適正な値よりも高い値となっていることを意味する。そこで、その場合処理はS602へ進み、ゲインピークが対応する基準閾値以下となるゲイン、あるいはゲイン余裕と位相余裕が対応する基準閾値以上となるゲイン、すなわち直前にS601で肯定判定されてFBゲインが高められる前のフィードバックゲインであり所定指標がその判定基準を満たす場合のフィードバックゲインが、最終的なフィードバックゲインとして算出され、それがコンピュータ9のメモリ内に保持される。
【0052】
このような第1処理を経て上記第3処理が行われることで、その第3処理において所定指標が判定基準を満たせば、軌跡追従性と関連性の大きい速度フィードフォワードゲインを、より高い値(例えば、100%)にするとともに、フィードバックゲインを、振動抑
制可能な範囲で可及的に高い値に決定できる。すなわち、好適な軌跡追従性と好適な振動抑制を両立し得る両制御パラメータの調整が容易に行い得る。
【0053】
<付記1>
制御対象のサーボ制御に関連するフィードバック信号がフィードバック入力される一又は複数の制御器(41、42、43)を有するフィードバック系を含み、該フィードバック系において速度フィードフォワード制御が可能となるように構成された所定制御構造を有する制御装置の制御パラメータを調整するパラメータ調整方法であって、
前記速度フィードフォワード制御に関連する速度フィードフォワードゲインを所定基準値に設定した状態で、前記フィードバック信号のフィードバックゲインに関連する所定指標が所定の目標値を満たす範囲で、該フィードバックゲインの上限値を算出する第1ステップ(S101)と、
前記フィードバックゲインを該上限値より低い調整初期値に設定するとともに、少なくとも前記速度フィードフォワードゲインを、前記所定基準値より大きい所定増大値に設定する第2ステップ(S102)と、
前記速度フィードフォワードゲインを前記所定増大値に設定した状態で、前記フィードバックゲインが前記上限値を超えない範囲で該フィードバックゲインを前記調整初期値から高めるように調整する第3ステップ(S103)と、
を含む、パラメータ調整方法。
【符号の説明】
【0054】
1: ネットワーク
2: モータ
4:サーボドライバ
5: PLC
9: コンピュータ
91: 整定時間計測部
92: 振動検出部
93: 上限FBゲイン算出部
94: FFゲイン設定部
95: FBゲイン調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9