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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-70007(P2021-70007A)
(43)【公開日】2021年5月6日
(54)【発明の名称】分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/10 20060101AFI20210409BHJP
【FI】
   B01D46/10 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-200301(P2019-200301)
(22)【出願日】2019年11月1日
(11)【特許番号】特許第6821278号(P6821278)
(45)【特許公報発行日】2021年1月27日
(71)【出願人】
【識別番号】591119624
【氏名又は名称】株式会社御池鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 由和
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀匡
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA19
4D058JB03
4D058KA21
4D058KC43
4D058MA15
4D058MA48
4D058QA11
4D058SA20
(57)【要約】
【課題】小型化が可能な分離装置を提供する。
【解決手段】
分離装置1は、中心軸が略水平方向に向いた円筒形状のケーシング2と、ケーシング2の上部の周面に設けられて投入ダクト4に接続された投入口4aと、ケーシング2の両端面の上部に形成されて排気ダクトに接続された排気口9と、ケーシング2の周面の下端に形成されて被処理物排出ダクト6に接続された被処理物排出口6aを有する。ケーシング2内の分離室8内で回転駆動される回転体3は、回転軸14と、6枚の回転羽根10と、回転羽根10の一端の側縁を互いに連結するフレーム11と、回転羽根10の相互間に形成される分割室に連通する開口12と、開口12を覆うパンチングメタル13を有する。投入口4aから投入されて回転体3の分割室に入った被処理物及び搬送空気は、開口12が排気口9と連通するときに搬送空気が排気され、分割室が下端に達すると被処理物が排出口6aから排出される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送空気で搬送される被処理物を搬送空気から分離する分離装置であって、
中心軸を略水平方向に向けて配置された円筒形状の分離室を内側に有するケーシングと、
上記分離室の周面に形成され、上記搬送空気及び被処理物を分離室内に投入する投入口と、
上記ケーシングの分離室内に上記分離室と同軸に配置された回転軸と、この回転軸の外径側に設けられて径方向に延在し、上記分離室内を周方向の複数の分割室に分割する複数の回転羽根と、上記分離室の少なくとも一方の端面に隣接して配置され、上記複数の回転羽根の少なくとも一方の側縁を固定し、隣り合う上記回転羽根の間に形成される分割室に連通する開口を形成するフレームと、このフレームの開口に固定され、上記搬送空気を透過する一方、搬送空気で搬送された被処理物を捕集する捕集体とを有して上記回転軸回りに回転駆動される回転体と、
上記分離室の少なくとも一方の端面に上記回転体の開口と連通可能に形成され、上記回転体の開口と連通するに伴って、上記回転体の捕集体を通過した微小物と共に分離室内の搬送空気を排出する排気口と、
上記分離室の周面の下部に形成され、上記回転体の捕集体で捕集されて上記分割室内に残った被処理物を排出する被処理物排出口と
を備えることを特徴とする分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載された分離装置において、
上記排気口が、上記分離室の両端面に形成され、
上記回転体のフレームの開口が、上記回転体の両端面に形成されている
ことを特徴とする分離装置。
【請求項3】
請求項1に記載された分離装置において、
上記排気口が、上記回転体の複数の分割室の開口と同時に連通するように形成されていることを特徴とする分離装置。
【請求項4】
請求項1に記載された分離装置において、
上記ケーシングに、上記分離室の上部の周面に開口する第2の排気口と、この第2の排気口に設けられた第2の捕集体とを備えることを特徴とする分離装置。
【請求項5】
請求項1又は4に記載された分離装置において、
上記排気口が、上記分離室の一方の端面に形成され、
上記回転体のフレームの開口が、上記回転体の一方の端面に形成されている
ことを特徴とする分離装置。
【請求項6】
請求項1に記載された分離装置において、
上記ケーシングに、上記分離室の端面に形成された吹出口から上記回転体の捕集体に向かって空気を吹き出すパージノズルが設けられていることを特徴とする分離装置。
【請求項7】
請求項6に記載された分離装置において、
上記パージノズルは、上記回転体が回転するに伴い、上記捕集体の内径側部分から順に外径側部分へ空気を吹き付けるように形成されていることを特徴とする分離装置。
【請求項8】
請求項6に記載された分離装置において、
上記パージノズルの吹出口が、直線状に形成されると共に、上記分離室の径に対して外径側部分が回転体の回転方向に傾斜するように形成されていることを特徴とする分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気で搬送されたプラスチック片等を搬送空気から分離する分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、都市ごみのような寸法の異なる多様な材質の廃棄物を選別する場合、廃棄物を破砕機で破砕した後、選別機によって、ガラス瓶や金属片等の重量物と、プラスチック片や木片等の軽量物と、砂等の細粒物とに選別している。選別機で選別された軽量物のうち、寸法の比較的小さい小片物を、搬送ダクト内を空気で搬送して分離装置に導き、分離装置で搬送空気から分離して収集している。
【0003】
プラスチック片等の小片物を搬送空気から分離する分離装置として、従来、サイクロンセパレータが多く用いられている(例えば、特許文献1)。サイクロンセパレータは、鉛直軸回りの空気の旋回流を形成する逆円錐部と、逆円錐部の上方に連なる円筒部と、円筒部の内側に配置された排出管を有する。円筒部に導かれた搬送空気は、旋回流となって逆円錐部を流れ、逆円錐部を流れる際に生じる遠心力によって小片物が分離される。搬送空気から分離された小片物は、逆円錐部の下端から排出される。一方、小片物が分離された搬送空気は、排出管を通ってサイクロンセパレータから排出され、バグフィルターなどによって微小な塵が分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−105816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、サイクロンセパレータは、搬送空気の鉛直軸回りの旋回流を、小片物を分離可能な程度に継続して生成させるために、逆円錐部の鉛直方向の寸法が比較的大きくなる。したがって、サイクロンセパレータが大型化して、廃棄物処理施設の建屋の大型化を招く問題や、メンテナンス作業が高所作業となって手間と危険を招く問題がある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、小型化が可能な分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の分離装置は、搬送空気で搬送される被処理物を搬送空気から分離する分離装置であって、
中心軸を略水平方向に向けて配置された円筒形状の分離室を内側に有するケーシングと、
上記分離室の周面に形成され、上記搬送空気及び被処理物を分離室内に投入する投入口と、
上記ケーシングの分離室内に上記分離室と同軸に配置された回転軸と、この回転軸の外径側に設けられて径方向に延在し、上記分離室内を周方向の複数の分割室に分割する複数の回転羽根と、上記分離室の少なくとも一方の端面に隣接して配置され、上記複数の回転羽根の少なくとも一方の側縁を固定し、隣り合う上記回転羽根の間に形成される分割室に連通する開口を形成するフレームと、このフレームの開口に固定され、上記搬送空気を透過する一方、搬送空気で搬送された被処理物を捕集する捕集体とを有して上記回転軸回りに回転駆動される回転体と、
上記分離室の少なくとも一方の端面に上記回転体の開口と連通可能に形成され、上記回転体の開口と連通するに伴って、上記回転体の捕集体を通過した微小物と共に分離室内の搬送空気を排出する排気口と、
上記分離室の下部に形成され、上記回転体の捕集体で捕集されて上記分割室内に残った被処理物を排出する被処理物排出口と
を備えることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、中心軸を略水平方向に向けて配置された円筒形状の分離室内で回転体が回転駆動されると共に、被処理物とこの被処理物を搬送する搬送空気が、投入口から分離室内に投入される。分離室内に投入された被処理物及び搬送空気は、回転する回転体の回転羽根と回転羽根との間に形成された分割室に入り、この分割室の回転軸方向の少なくとも一方のフレームに形成された開口から、この開口が分離室の排気口と連通したときに、搬送空気が排出される。このとき、被処理物が、フレームの開口に設けられた捕集体で捕集されて分割室内に残留する。分割室内に残留した被処理物は、回転体が回転して分割室が分離室の下部に達すると、周面に形成された被処理物排出口を通って分割室及び分離室から排出される。このように、本発明の分離装置は、被処理物及び搬送空気を、中心軸を略水平方向に向けて配置された円筒形状の分離室内に導き、回転する回転体で回転軸回りに移動させるに伴って互いに分離するので、鉛直軸回りに旋回する搬送空気の遠心力で被処理物を分離する従来のサイクロンセパレータよりも、高さ方向の寸法を小さくできる。したがって、従来よりも装置の寸法を小さくできる。また、従来のような高所のメンテナンス作業が不要であるので、メンテナンス作業を少ない手間で安全に行うことができる。
【0009】
本発明において、被処理物には、空気で搬送可能な比重を有する物質で形成されたものが該当し、例えば、廃棄物処理の過程で生じるプラスチックや紙等が挙げられる。被処理物の大きさは、例えば、5mm以上30mm以下が、搬送効率や取り扱いの面で好ましい。しかしながら、被処理物には、空気で搬送可能であれば、例えば空き缶等が含まれてもよく、特定の材質には限定されない。また、被処理物の大きさは、空気で搬送可能であれば、特定の寸法には限定されない。
【0010】
一実施形態の分離装置は、上記排気口が、上記分離室の両端面に形成され、
上記回転体のフレームの開口が、上記回転体の両端面に形成されている。
【0011】
上記実施形態によれば、回転体の分割室の搬送空気が、回転体の両端面に形成された開口から、この開口が排気口と連通するときに、排気口を通じてケーシング外に排出される。このように、分離室内で回転駆動される回転体の分割室の両側から、開口と排気口を通して排気が行われるので、ケーシング内における搬送空気の流れが安定する。その結果、搬送空気の流れの脈動や遮断が防止されるので、搬送空気を生成する送風機の負荷を抑えることができる。
【0012】
一実施形態の分離装置は、上記排気口が、上記回転体の複数の分割室の開口と同時に連通するように形成されている。
【0013】
上記実施形態によれば、排気口が回転体の複数の分割室の開口と同時に連通するように形成されているので、回転体の回転に伴い、分割室を区画する回転羽根が排気口を横切っても、開口と排気口との連通状体を保つことができて、排気の流量の変動を少なくできる。したがって、搬送空気の流れの脈動や遮断が防止されて、搬送空気を生成する送風機の負荷を抑えることができる。
【0014】
一実施形態の分離装置は、上記ケーシングに、上記分離室の上部の周面に開口する第2の排気口と、この第2の排気口に設けられた第2の捕集体とを備える。
【0015】
上記実施形態によれば、分割室に被処理物及び搬送空気が導かれる状態で回転体が回転し、分割室の外周側が第2の排気口に連通すると、分割室内の搬送空気が第2の排気口から排出される一方、被処理物が第2の捕集体で捕集されて分割室内に残留する。こうして分離室の周面から排気を行うことにより、回転体の分割室内の搬送空気を効果的に排出することができる。ここで、分離室の周面の第2の排気口から排気を行う場合、回転体の回転羽根の位置によって、投入口から第2の排気口へ至る流れが遮断されることがあるが、分離室の端面から排気を行う第1の排気口と併用することにより、搬送空気の流れの遮断を防止できる。
【0016】
一実施形態の分離装置は、上記排気口が、上記分離室の一方の端面に形成され、
上記回転体のフレームの開口が、上記回転体の一方の端面に形成されている。
【0017】
上記実施形態によれば、回転体の分割室の搬送空気が、回転体の一方の端面に形成された開口が分離室の一方の端面に形成された排気口と連通するときに、上記開口と排気口を通じてケーシング外に排出される。分離装置に供給される被処理物や搬送空気の量に応じて、分離室の端面の排気口及び回転体の端面の開口の数を設定することにより、多様な処理能力の分離装置が得られる。また、分離装置の周辺の機器との位置関係等に応じて、分離室の端面の排気口及び回転体の端面の開口の数を設定することにより、分離装置を高い自由度で設置することができる。
【0018】
一実施形態の分離装置は、上記ケーシングに、上記分離室の端面に形成された吹出口から上記回転体の捕集体に向かって空気を吹き出すパージノズルが設けられている。
【0019】
上記実施形態によれば、ケーシングに設けられたパージノズルにより、分離室の端面の吹出口から回転体の捕集体に向かって空気を吹き出すことにより、搬送空気の流れによって捕集体に付着した被処理物を剥がして効果的に分割室から排出することができる。
【0020】
一実施形態の分離装置は、上記パージノズルは、上記回転体が回転するに伴い、上記捕集体の内径側部分から順に外径側部分へ空気を吹き付けるように形成されている。
【0021】
上記実施形態によれば、パージノズルが、まず捕集体の内径側部分に空気を吹き付け、回転体が回転するに伴って、順に外形側部分に空気を吹き付けるように形成されている。これにより、捕集体に付着した被処理物を内径側部分から外径側部分に向かって順に剥がすことができる。したがって、分離室の径方向の外側に位置する被処理物排出口から、被処理物を効果的に排出させることができる。
【0022】
一実施形態の分離装置は、上記パージノズルの吹出口が、直線状に形成されると共に、上記分離室の径に対して外径側部分が回転体の回転方向に傾斜するように形成されている。
【0023】
上記実施形態によれば、パージノズルの吹出口が、直線状に形成されると共に、分離室の径に対して外径側部分が回転体の回転方向に傾斜するように形成されているので、捕集体の内径側部分から順に外径側部分へ、効果的に空気を吹き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態の分離装置を示す正面図である。
図2】第1実施形態の分離装置を示す側面図である。
図3】第1実施形態の分離装置のB−B’線断面図である。
図4】第1実施形態の分離装置のA−A’線断面図である。
図5】第2実施形態の分離装置を示す正面図である。
図6】第2実施形態の分離装置を示す側面図である。
図7】第2実施形態の分離装置のD−D’線断面図である。
図8】第2実施形態の分離装置のC−C’線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態の分離装置を示す正面図であり、図2は、この分離装置の側面図である。第1実施形態の分離装置は、都市ごみを処理して再資源化を行う廃棄物処理設備に設置され、選別機で選別されて搬送空気で搬送された被処理物を、搬送空気から分離して収集するために用いられる。本実施形態で処理される被処理物は、プラスチックや紙からなり、5mm以上30mm以下の寸法を有する。
【0027】
本実施形態の分離装置1は、中心軸を略水平方向に向けて配置された円筒形状のケーシング2に、搬送空気及び被処理物を投入する投入ダクト4と、分離した搬送空気を排出する排気ダクト5と、分離した被処理物を排出する被処理物排出ダクト6が設けられている。投入ダクト4は、ケーシング2の上部に接線方向に連結され、上流が揺動選別機等の選別機に接続されている。排気ダクト5は、ケーシング2の軸方向の両端面の上部に夫々されて2本設けられており、これらの2本の排気ダクト5,5は下流側で合流してバグフィルターに接続されている。また、排気ダクト5の下流側には吸引ファンが接続されており、分離室8内に搬送空気の流れを形成するようになっている。なお、搬送空気は、投入ダクト4の上流側に接続された送風ファンによって形成されてもよく、或いは、排気ダクト5の下流側の吸引ファンと投入ダクト4の上流側の送風ファンとの両方で形成されてもよい。排気ダクト5,5の下流側に導いた空気は、バグフィルターで清浄化した後に大気中に放出してもよく、或いは、上流側に戻して被処理物の搬送に再度用いるように循環させてもよい。
【0028】
被処理物排出ダクト6は、ケーシング2の周面の下端に連結され、径方向に延在して下端から被処理物を排出する。被処理物排出ダクト6から排出された被処理物は、下方に設置されたコンテナ等で受け取られる。
【0029】
図3は、図2のB−B’線矢視図であり、ケーシング2の内部を、中心軸と直角の鉛直面で切断して示した断面図である。図4は、図1のA−A’線矢視図であり、ケーシング2の内部を、中心軸を通る鉛直面で切断して示した断面図である。
【0030】
ケーシング2内には、中心軸を略水平方向に向けて形成された円筒形状の分離室8が形成されている。この分離室8の上部の周面に、投入ダクト4に連なる投入口4aが形成されている。分離室8の下端の周面には、被処理物排出ダクト6に連なる被処理物排出口6aが形成されている。ケーシング2の両方の端面の上部には、排気ダクト5に連通する排気口9が夫々形成されている。このケーシング2内に、概ね円筒形状の回転体3が、ケーシング2と同軸に収容されている。
【0031】
回転体3は、分離室8と中心軸を一致して配置された回転軸14と、この回転軸の外周に連結された回転軸カバー15と、この回転軸カバー15の外周に固定されて径方向に延在する6枚の回転羽根10,10,10,・・・を有する。なお、回転羽根10の枚数については、選別精度の設定や、投入材料の種類や、排出能力の設定等に応じて、6枚以外の他の枚数に適宜設定することができる。これらの回転羽根10,10,10,・・・は、板状体で形成され、回転軸14の周りに互いに60°の等角度間隔をおいて配列されている。これらの回転羽根10,10,10,・・・で分離室8を分割して、周方向に連なる6個の分割室を形成している。全ての回転羽根10,10,10,・・・の回転軸方向の両端の側縁には、フレーム11が夫々連結されている。フレーム11は、回転羽根10の各々の側縁が固定される径方向部分と、この径方向部分の先端に連なって分離室8の端面の外径側の縁に沿った環状部分を有する。フレーム11の径方向部分と環状部分で囲まれる部分には、回転羽根10,10,10,・・・の相互間に形成される分割室に連通する開口12,12,12,・・・が形成されている。フレーム11は、円板を、回転軸14の貫通する中心部と、開口12の部分とを刳り抜いて形成されている。なお、フレーム11の径方向部分と環状部分を夫々型材で形成してもよい。このフレーム11の複数の開口12には、捕集体としてのパンチングメタル13が各々設けられている。パンチングメタル13は、搬送空気を透過する一方、被処理物を捕集するように、開口の寸法が6mmに設定されている。なお、パンチングメタル13の開口の寸法は、捕集すべき被処理物の寸法に応じて、適宜変更することができる。また、捕集体として、パンチングメタル以外に、スリット状の穴開き板を用いてもよい。回転羽根10の外径側の端縁には、分離室8の周面との間をシールするシール部材として、周面ゴム板17が設けられている。また、回転羽根10の径方向に延びる側縁の両側に沿うように、フレーム11の外側に、分離室8の端面との間をシールするシール部材としての端面ゴム板18が設けられている。シール部材としての周面ゴム板17や端面ゴム板18は、天然ゴムや合成ゴムで形成することができる。また、シール部材は、ゴム以外にウレタン樹脂等の他の材質を使用でき、可撓性を有して回転羽根10と分離室8との間をシールできる材質であれば、その材質は何でもよい。この回転体3は、回転軸14の両側が、ケーシング2に設けられた軸受23,23によって回転自在に支持されている。この回転体3は、図3の矢印Rで示すように、投入口4aにおいて被処理物及び搬送空気の移動方向と同じ方向になるように回転駆動される。
【0032】
回転体3の回転軸14の一端にはスプロケット24が設けられており、このスプロケット24と、モータ26の出力軸に設けられたスプロケット27との間にチェーンが巻き回されている。このモータ26の回転力がチェーンを介して伝達されて、回転体3が回転駆動されるようになっている。
【0033】
ケーシング2の両端面に形成された排気口9,9は、ケーシング2の端面に軸受23で支持された回転軸14を中心とし、2個の弧と2個の辺を有する扇形に形成されている。この扇形の排気口9,9は、中心の角度が120°に形成され、図3に示すように、外形側に投入口4aが形成された角度範囲と、回転軸14を通る鉛直線に関して対称の角度範囲とにわたって形成されている。これにより、排気口9に、ケーシング2内で回転駆動される回転体3の開口12が、同時に2個又は3個連通するように形成されている。なお、排気口9は、同時に回転体3の2個以上の開口12と連通するように形成されていればよく、排気口9が形成される角度範囲は120°に限定されない。また、排気口9の形状は、扇形に限定されない。
【0034】
ケーシング2の両端面の下部には、ケーシング2内で回転する回転体3のパンチングメタル13に向かって空気を吹き出すパージノズル21,21が設けられている。このパージノズル21は、図示しない送風機から空気が供給され、ケーシング2内の分離室8に開口する吹出口22から回転体3に向かって空気を吹き出すように形成されている。パージノズル21の吹出口22は、細長の長方形状を有して鉛直方向に延在するように形成されている。また、パージノズル21の吹出口22は、分離室8の被処理物排出口6aの上方、かつ、分離室8の鉛直方向の径よりも回転体3の回転方向と反対側に偏った位置に形成されている。これにより、パージノズル21の吹出口22は、パージノズル21の中央を通る分離室8の径に対して、外径側部分が、回転体3の回転方向に傾斜している。吹出口22がこのように配置されていることにより、回転体3が回転するに伴って、フレーム11の開口12に設けられたパンチングメタル13に対して、内径側部分から順に外径側部分へ空気を吹き付けるようになっている。これにより、パンチングメタル13に付着した被処理物を、回転体3の内径側から外径側に向かって剥がすことができると共に、パンチングメタル13から剥がした被処理物を、回転体3の径方向の外側に位置する被処理物排出口6aから速やかに排出するようになっている。
【0035】
上記ケーシング2とモータ26は、支持フレーム20によって支持されている。支持フレーム20は、被処理物排出ダクト6から排出された被処理物を受け取るコンテナ等を配置可能な高さに設定することができる。なお、分離装置1の設置高さは、他の条件を満たすように適宜設定することができる。
【0036】
上記構成の分離装置1は、次のように動作する。
【0037】
まず、モータ26が起動され、スプロケット24,27及びチェーンを介して回転軸14に回転力が伝達され、回転体3が回転駆動される。また、図示しない送風機が起動されてパージノズル21に空気が供給され、吹出口22から回転体3に向かって空気が吹き出される。こうして起動された分離装置1に、上流側の選別機等から、被処理物を含んだ被処理物が搬送空気によって搬送され、矢印Eで示されるように投入ダクト4を介して搬送空気と共に投入される。投入された被処理物及び搬送空気は、ケーシング2の分離室8内に導かれると共に、回転駆動されている回転体3の回転羽根10,10の間の分割室に導かれる。回転体3の分割室に導かれた被処理物及び搬送空気のうち、搬送空気は、回転体3の回転に伴って分割室の両端面の開口12,12が排気口9,9と連通する間に、開口12と排気口9を通って分離室8から排出される。分離室8から排出された搬送空気は、矢印Fで示されるように排気ダクト5,5を通り、下流側のバグフィルターに導かれる。
【0038】
一方、被処理物は、回転体3の開口12に設けられたパンチングメタル13で捕集されて、回転体3の分割室内に残留する。回転体3が更に回転すると、回転体3の開口12と排気口9との連通が遮断された後、分割室が被処理物排出口6aと連通し、分割室内の被処理物が重力によって被処理物排出口6aから排出される。また、分割室が被処理物排出口6aと連通する直前に、回転体3の開口12がパージノズル21の吹出口22に臨む位置に到達する。これにより、開口12のパンチングメタル13に、パージノズル21の吹出口22から吹き出された空気が吹き付けられる。その結果、パンチングメタル13に付着していた被処理物が剥がれて、被処理物排出口6aを通って分割室と分離室8から排出される。ケーシング2の分離室8から排出された被処理物は、被処理物排出ダクト6を通り、矢印Gで示すように被処理物排出ダクト6から排出されて、下方のコンテナに収集される。
【0039】
このように、第1実施形態の分離装置1は、被処理物及び搬送空気を、中心軸を略水平方向に向けて配置された円筒形状の分離室8内に導き、回転体3で回転軸14回りに移動させるに伴って互いに分離する。したがって、鉛直軸回りに旋回する搬送空気の遠心力で被処理物を分離する従来のサイクロンセパレータよりも、高さ方向の寸法を小さくでき、従来よりも装置の寸法を小型にできる。その結果、分離装置1は、従来のサイクロンセパレータを設置するスペースよりも小さいスペースに設置できるので、分離装置1を含んで構成される処理設備を比較的小規模にでき、また、処理設備を収容する建屋の大型化を回避できる。また、分離装置1は、従来のサイクロンセパレータよりも高さが低いので、従来のサイクロンセパレータのメンテナンスを行う場合のような高所作業が不要であり、メンテナンス作業を少ない手間で安全に行うことができる。
【0040】
また、本実施形態の分離装置1は、回転体3の分割室の搬送空気が、回転体3の両端面に形成された開口12,12から、この開口12が排気口9と連通するときに、排気口9を通じてケーシング2外に排出される。このように、分離室8内で回転駆動される回転体3の分割室の両側から、開口12と排気口9を通って排気が行われるので、分離室8に導かれて排出される搬送空気の流れが安定する。その結果、搬送空気の流れの脈動や遮断が防止されるので、搬送空気を生成する送風機の負荷を抑えることができる。
【0041】
また、本実施形態の分離装置1は、回転体3が回転する際、排気口9が複数の分割室の開口12,12と連通するので、回転体3の回転に伴って、分割室を区画する回転羽根10が排気口9を横切っても、開口と排気口との連通状体を保つことができて、排気の流量の変動を少なくできる。したがって、搬送空気の流れの脈動や遮断が防止されて、搬送空気を生成する送風機の負荷を抑えることができる。
【0042】
図5は、本発明の第2実施形態の分離装置を示す正面図であり、図6は、第2実施形態の分離装置を示す側面図である。第2実施形態の分離装置は、排気口9が分離室8の一方の端面のみに設けられ、かつ、分離室8の周面の上端に第2の排気口が設けられている点が、第1実施形態の分離装置と異なる。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を用いて、詳細な説明は省略する。
【0043】
第2実施形態の分離装置101は、ケーシング2の上部の第1実施形態よりも多少下方に投入ダクト4が設けられており、ケーシング2の一方の端面に排気ダクト5が設けられている。また、ケーシング2の周面の上端に、第2の排気ダクト50が設けられている。第2の排気ダクト50は、第1の排気ダクト5と下流側で合流してバグフィルターに接続されている。
【0044】
図7は、図6のD−D’線矢視図であり、ケーシング2の内部を、中心軸と直角の鉛直面で切断して示した断面図である。図8は、図5のC−C’線矢視図であり、ケーシング2の内部を、中心軸を通る鉛直面で切断して示した断面図である。
【0045】
ケーシング2内の円筒形状の分離室8の上部の周面に、第2の排気ダクト50に連なる第2の排気口50aが形成されている。この第2の排気口50aには、第2の捕集体としてのパンチングメタル51が設けられている。パンチングメタル51は、搬送空気を透過する一方、被処理物を捕集するように、開口の寸法が6mmに設定されている。なお、パンチングメタル51の開口の寸法は、捕集すべき被処理物の寸法に応じて、適宜変更することができる。
【0046】
分離室8内に収容された回転体3は、6枚の回転羽根10,10,10,・・・の回転軸方向の一方の側縁にフレーム11が連結されており、回転羽根10の他方の側縁は、フレームで連結されることなく分離室8の他端面に対向している。フレーム11には、第1実施形態と同様に、回転羽根10,10,10,・・・の相互間に形成される分割室に連通する開口12,12,12,・・・が形成され、これらの開口12はパンチングメタル13が各々設けられている。これらの開口が、ケーシング2の一端に形成された排気口9と連通するように形成されている。回転羽根10の一方の側縁には、第1実施形態と同様に、フレーム11の外側に、回転羽根10の側縁に沿うように端面ゴム板18が設けられている。回転羽根10の他方の側縁には、この回転羽根10の側縁に端面ゴム板18が直接固定されている。
【0047】
パージノズル21は、ケーシング2の一方の端面であって、回転体3のフレーム11に対向する側の端面に設けられている。
【0048】
第2実施形態の分離装置101は、矢印Eで示されるように、投入ダクト4を介して被処理物と搬送空気が投入され、ケーシング2の分離室8内に導かれると共に、回転駆動されている回転体3の回転羽根10,10の間の分割室に導かれる。回転体3の分割室に導かれた被処理物及び搬送空気のうち、搬送空気は、回転体3の回転に伴って分割室の一端面の開口12が排気口9と連通する間に、開口12と排気口9を通って分離室8から排出され、矢印F1で示されるように排気ダクト5を通って下流側に導かれる。また、搬送空気は、回転体3の回転に伴って分割室の外径側が第2の排気口50aと連通する間に、この第2の排気口50aを通って分離室8から排出され、矢印F2で示されるように第2の排気ダクト50を通って下流側に導かれる。被処理物は、回転体3の開口12に設けられたパンチングメタル13と、排気口50aに設けられたパンチングメタル51で捕集されて、回転体3の分割室内に残留する。回転体3が更に回転すると、回転体3の外径側と第2の排気口50aとの連通と、回転体3の開口12と排気口9との連通とが遮断された後、分割室が被処理物排出口6aと連通し、分割室内の被処理物が重力によって被処理物排出口6aから排出される。分割室が被処理物排出口6aと連通する直前には、回転体3の一端側のフレーム11のパンチングメタル13に、パージノズル21の吹出口22から吹き出された空気が吹き付けられて、パンチングメタル13に付着していた被処理物が剥がれる。回転体3の分割室と分離室8から排出された被処理物は、矢印Gで示すように、被処理物排出ダクト6から排出され、下方のコンテナに収集される。
【0049】
第2実施形態の分離装置101によれば、ケーシング2の一端面に形成された排気口9と、ケーシング2の周面の上端に形成された第2の排気口50aを通して、搬送空気を効果的に排出することができる。また、ケーシング2の一端面に、排気口9に連通する排気ダクト5を設け、ケーシング2の周面の上端に、第2の排気口50aに連通する第2の排気ダクト50を設けているので、例えばケーシング2の他端面側はダクトが無く、他の機器や、建屋の壁に接近して配置することができる。このように、分離装置101を設置する位置の周辺の機器との位置関係や、設置する環境に応じて、排気ダクト5,50の取り回しを自由に設定することができる。
【0050】
上記第2実施形態において、ケーシング2の一端面に第1の排気口9を設けると共に、ケーシング2の周面の上端に第2の排気口50aを設けたが、第2の排気口50aを設けなくてもよく、一端面の排気口9のみを通して搬送空気を排出してもよい。
【0051】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、プラスチックや紙からなる被処理物を取り扱う場合について説明したが、被処理物はプラスチックや紙に限られず、空気で搬送されるものであれば限定されない。また、被処理物の寸法は、5mm以上30mm以下であったが、被処理物の寸法は、搬送空気で搬送される寸法であれば限定されない。また、被処理物は、小片物と共に、空気で搬送可能な他の寸法や他の種類のものが含まれてもよい。例えば、空き缶やポリ袋等が小片物と共に投入されてもよい。
【0052】
また、本発明は、廃棄物処理設備のほか、農業、林業、水産業、畜産業、鉱業、食品工業、繊維工業、木材加工業、紙加工品製造業、パルプ・紙製造業、化学工業及び金属製品製造業等のあらゆる分野の処理設備や製造設備に設置され、被処理物としての各種の物質を搬送空気から分離して収集する分離装置に適用することができる。
【0053】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、多くの変形が、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0054】
1,101 分離装置
2 ケーシング
3 回転体
4 投入ダクト
4a 投入口
5,50 排気ダクト
6 被処理物排出ダクト
6a 被処理物排出口
8 分離室
9,50a 排気口
10 回転羽根
11 フレーム
12 開口
13,51 パンチングメタル
14 回転軸
15 回転軸カバー
17 周面ゴム板
18 端面ゴム板
20 支持フレーム
21 パージノズル
22 吹出口
23 軸受
24,27 スプロケット
26 モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8