【解決手段】複数の料金所ゲートを有する料金所エリアに設けられ、料金所エリアに進入した制御対象車両を通過させる最適通過ゲートを決定する通過ゲート決定装置であって、料金所エリアを走行する車両との通信を行う車両通信部と、複数の料金所ゲートとの通信を行うゲート通信部と、ゲート決定部とを備え、ゲート決定部は、車両通信部を介して、制御対象車両から取得した、車両情報および周辺情報と、ゲート通信部を介して複数の料金所ゲートから取得した、料金所ゲートの稼働状況および料金所ゲートの通過予定車両情報と、に基づいて、最適通過ゲートの決定に必要な複数の条件を設定し、複数の条件に優先度を設け、優先度の高い条件から順に使用して最適通過ゲートの候補を選定し、複数の条件を満たす料金所ゲートを最適通過ゲートとして決定する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態>
<構成>
図1は、本発明に係る実施の形態の通過ゲート決定装置10を備えた料金所エリアの一例を示す図であり、料金所エリアを上方から見た平面図である。
【0011】
図1において、高速道路等の料金所ゲートより十数メートル手前であって、道路幅が増加する地点を料金所エリア開始地点として示している。なお、料金所エリア開始地点はここに限定されるものではなく、以下の各エリアの基準となる地点であれば良い。料金所エリア開始地点を通過するV2X(Vehicle-to-Everything)搭載車両は、車両検出装置20によって検出される。なお、車両検出装置20は、V2X搭載車両とV2X非搭載車両とを区別して検出するものではなく、料金所エリア開始地点を通過する車両は、全て検出する。
【0012】
料金所エリア開始地点から料金所ゲートエリアまでを料金所エリア、料金所ゲートエリアより数メートル手前の区間を直線エリア、料金所エリアから直進エリアを除外した区間を車線変更エリアとして示している。また、料金所ゲート30の各出口には車両センサLSが設けられ、車両センサLSで車両の通過を確認した結果は、料金所ゲート30内の通過車両検出部302(
図2)に送信される。
【0013】
図2は、本発明に係る実施の形態の通過ゲート決定システム100の構成を示す機能ブロック図である。
図2に示すように通過ゲート決定システム100は、通過ゲート決定装置10、車両検出装置20および料金所ゲート30を備え、V2X搭載車両40との間で通信を行って、車両ごとに最適通過ゲートを決定して、通過ゲート情報としてV2X搭載車両40に送信する。また、走行制御用情報もV2X搭載車両40に送信する。
【0014】
通過ゲート決定装置10は、料金所エリアに進入したV2X搭載車両にとって複数のゲートの中から最適通過ゲートを決定する装置であって、車両通信部101、感知情報通信部102、ゲート通信部103、ゲート決定部104、手動運転車両検出部105、地図情報記憶部106、車両情報部107、通過車両情報部108および走行制御用情報生成部109を備えている。
【0015】
車両通信部101は、V2X搭載車両との通信を行い、車両情報として、目的地情報(ゲート通過後の進路情報を含む)、車速、ETC(Electronic Toll Collection System)装着有無、運転状況(自動/手動)と、周辺情報として現在位置(座標)および路面状況を取得する。
【0016】
感知情報通信部102は、車両検出装置20内の感知情報通信部202との通信を行う。ゲート通信部103は、料金所ゲート30内のゲート通信部303との通信を行う。
【0017】
ゲート決定部104は、車両検出装置20で検出したV2X搭載車両からの車両情報および車両周辺情報、料金所ゲート30からの通過ゲート情報(車両情報)、地図情報等に基づいて、最適通過ゲートを決定する。また、決定した最適通過ゲートの情報と入力された情報の一部を、走行制御用情報生成部109に出力する。なお、最適通過ゲートの詳細な決定方法は後述する。
【0018】
手動運転車両検出部105は、V2X搭載車両の運転状況の情報を、車両通信部101を介して取得する。その結果、車両検出装置20で検出したV2X搭載車両が手動運転をしている場合は、料金所エリアに手動運転車両が進入したと判断する。なお、料金所エリアに進入した車両のうち、通過ゲート決定装置10との通信機能を有さない車両、すなわち、V2X非搭載車両は、車両情報および周辺情報は送信して来ないので、当該車両は手動運転車両として扱われる。また、自動運転機能を有さない車両も手動運転車両として扱われる。なお、車両検出装置20で上記のような手動運転車両として扱われる車両を検出した場合は、その情報が感知情報通信部202を介して感知情報通信部102に送られる。感知情報通信部102は、受信した情報を手動運転車両検出部105に入力する。
【0019】
地図情報記憶部106は、車両が走行している料金所エリアの道路に関する地図情報を記憶する。記憶する地図情報には、料金所の位置、道路形状、料金所から先の道路の種別および道路形状、料金所に設置された料金所ゲートの位置等が含まれている。
【0020】
車両情報部107は、車両通信部101を介してV2X搭載車両から得られた車両情報である、目的地情報、車速、ETC装着有無および運転状況(自動/手動)を保持する。
【0021】
通過車両情報部108は、各料金所ゲートにどの車両が通過する予定かを記録した通過車両情報を保持するデータベースであり、キューのデータ構造を用いる。後述するように、料金所ゲート30の通過車両検出部302でゲート通過車両が検出され、新たな通過ゲート情報を受信した場合は、当該料金所ゲート30に対応して記録された1番古い車両情報を削除する。
【0022】
走行制御用情報生成部109は、車両検出装置20でV2X搭載車両を検出し、かつ手動運転車両検出部105と通過車両情報部108で手動運転車両を検出しない場合、料金所エリア開始地点からゲート決定部104で決定した最適通過ゲートとの間の走行経路情報および車速(走行制御用情報)を生成する。一方、車両検出装置20でV2X搭載車両を検出し、かつ手動運転車両検出部105または通過車両情報部108で手動運転車両を検出した場合、走行経路および車速を生成していないことを示す情報を生成する。
【0023】
車両検出装置20は、料金所エリアに進入した車両を検出する車両感知器201と、車両感知器201での感知結果を受けて、通過ゲート決定装置10内の感知情報通信部102に送信する感知情報通信部202と、を備えている。
【0024】
料金所ゲート30は、ゲートを通過した車両の車両情報を通過ゲート情報として一時的に保持するゲート通行情報部301と、料金所エリアを走行するV2X搭載車両がゲートを通過したことを検出する通過車両検出部302と、ゲートを通過した車両の通過ゲート情報を通過ゲート決定装置10に送信するゲート通信部303と、を備えている。
【0025】
ゲート通行情報部301は、通過車両検出部302でゲート通過車両を検出すると、当該車両の通過ゲート情報を、ゲート通信部303を介して通過ゲート決定装置10に送信する。通過ゲート決定装置10では、ゲート通信部303から送信された通過ゲート情報をゲート通信部103を介して受信し、通過車両情報部108に出力する。新たな通過ゲート情報を受信した通過車両情報部108は、当該情報を送信してきた料金所ゲート30に対応する1番古い車両情報を削除する。
【0026】
ゲート通信部303は、料金所ゲート30と通過ゲート決定装置10との間で、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)、光ビーコン等を用いて通信を行う。なお、ゲート通行情報部301は通過ゲート決定装置10内に設けても良い。
【0027】
V2X搭載車両40は、自動運転制御装置400、車両情報取得部401、周辺情報取得部402、通知部406およびアクチュエータ407を備えている。
【0028】
車両情報取得部401は、車両の情報である車両情報を取得する。車両情報には、車両の状態を表す車両状態量が含まれる。車両情報取得部401には、例えば、舵角センサ、車速センサ、ウィンカーセンサ、ライトセンサ、ヨーレートセンサ、加速度センサが含まれる。
【0029】
舵角センサは、自車両のステアリング角を検出する。車速センサは、自車両の走行速度を検出する。ウィンカーセンサは、自車両の方向指示器の指示方向を検出する。ライトセンサは、自車両のライトのオンおよびオフを検出する。ヨーレートセンサは、自車両のヨーレートを検出し、加速度センサは、自車両の加速度を検出する。
【0030】
なお、車両情報取得部401を構成するセンサ群は、上記で例示したセンサに限るものではなく、例えば、ブレーキ、ギア、またはワイパーなどの動作状態を検出するセンサなど、自車両の動作状態を認識することができるものであれば、他のセンサであっても良い。
【0031】
周辺情報取得部402は、自車両の周辺環境の状態を示す周辺情報を取得するセンサ群を有している。周辺情報取得部402のセンサ群としては、例えば、GPS(Global Positioning System)装置、車載通信機、周辺センサ、ナビゲーションシステムなどがある。
【0032】
GPS装置は、複数のGPS衛星からGPS信号を受信して、自車両の位置を測位する。車載通信機は、自車両と他車両との間の車車間通信、または自車両と路側機との間の路車間通信を行う。周辺センサは、ミリ波レーダーおよび超音波ソナーなどの距離感知センサであり、自車両の周辺に存在する他車両、歩行者、建物、および障害物などの物体の位置を検出し、検出した物体が他車両および歩行者などの移動体である場合は、当該移動体の移動速度を検出する。ナビゲーションシステムは、地図情報と、GPS装置で取得した自車両の位置情報とを用いて、地図上に自車両の現在位置を表示する、または自車両の現在位置から目的地までの経路を表示する。地図情報は、例えば車載通信機を用いて外部から取得することができる。
【0033】
なお、周辺情報取得部402を構成するセンサ群は、上記で例示したセンサに限るものではない。例えば車載カメラなど、自車両の周辺の状態を認識することができれば他のセンサであっても良い。
【0034】
自動運転制御装置400は、車両情報取得部401および周辺情報取得部402から得られた車両情報および周辺情報を通過ゲート決定装置10に送信し、通過ゲート決定装置10から、通過ゲート情報および走行制御用情報を受信する車両通信部403と、車両情報、周辺情報および通過ゲート決定装置10より受信した通過ゲート情報および走行制御用情報に基づいて走行経路を生成する走行経路生成部404と、走行経路生成部404で生成した走行経路に従ってアクチュエータ407を制御して、車両の走行制御をする車両制御部405とを有している。
【0035】
車両通信部403は、V2X搭載車両40と通過ゲート決定装置10との間で、例えば、LTE、4G、5G、WiFi、Bluetooth(登録商標)、光ビーコン等を用いて通信を行う。
【0036】
自動運転を実現するには、自動ブレーキ、ACC(Adaptive Cruise Control)などの自動加減速制御、自動駐車制御および車線維持制御などが必要であり、自動運転制御装置400は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサを有し、これらのプロセッサで、図示されない記憶装置に格納されるプログラムを実行することで自動運転を実現する。
【0037】
通知部406は、自動運転制御装置400の車両制御部405から出力される各種の情報、例えば、自動運転のレベル、故障状態、運転権限の移行、車両の状態遷移等を搭乗者に通知する装置であり、液晶表示装置、HUD(Head-Up Display)などの表示装置と、スピーカなどの音声出力装置を有したHMI(Human Machine Interface)で構成される。
【0038】
アクチュエータ407は、例えばステアリング、スロットル、ブレーキ、シフト、ウィンカー等の車両の自動運転を実現するために必要な機器の総称である。
【0039】
<動作>
次に、
図3に示すフローチャートを用いて通過ゲート決定装置10の概略動作について説明する。
【0040】
通過ゲート決定装置10は、一連の処理を開始すると、まず、料金所エリア開始地点を通過するV2X搭載車両の有無を、車両検出装置20を介して確認する(ステップS1)。ステップS1で車両をV2X搭載車両の通過を検出しなかった場合(Noの場合)は、ステップS1を繰り返す。
【0041】
一方、ステップS1でV2X搭載車両を検出した場合(Yesの場合)は、検出した車両(制御対象車両)から、車両通信部101を介して車両情報(目的地情報、車速、ETC装着有無、運転状況(自動/手動))と周辺情報(現在位置、路面状況)を取得する(ステップS2)。
【0042】
そして、ステップS2で取得した車両情報および周辺情報と、通過車両情報部108に記憶された現時点での通過車両情報およびゲート稼働状況に基づいて、ゲート決定部104(
図2)において最適通過ゲートを決定する(ステップS3)。
【0043】
次に、ゲート決定部104は、ステップS3で決定した最適通過ゲートの情報に、ステップS2で取得した車両情報を追加して、通過車両情報部108内の通過車両情報を更新する(ステップS4)。更新した最新の通過車両情報リストから、料金所エリアに手動運転車両がいるか否かを確認する(ステップS5)。
【0044】
料金所エリアに手動運転車両がいない場合(Noの場合)は、制御対象車両に対して、現時点からステップS3で決定した最適通過ゲートまでの走行経路情報を走行制御用情報生成部109で生成する(ステップS6)。
【0045】
この際、車線変更は車線変更エリア内とし、直進エリアからステップS3で決定した最適通過ゲートまでは直進するような走行経路を生成する。なお、走行経路情報には車速情報も含んでいる。
【0046】
さらにステップS3で決定した最適通過ゲートの情報と、ステップS6で生成した走行制御用情報を制御対象車両に送信し(ステップS7)、一連の処理を終了する。
【0047】
一方、ステップS5で料金所エリアに手動運転車両がいることが確認された場合(Yesの場合)は、ステップS3で決定した最適通過ゲートの情報と、走行経路情報および車速情報(走行制御用情報)を生成していないことを示す情報を生成して走行制御用情報として制御対象車両に送信し(ステップS8)、一連の処理を終了する。
【0048】
次に、
図4を用いて最適通過ゲートの決定に必要な条件の一例を説明する。
図4に示すように、最適通過ゲートの決定には、大項目として、例えばゲート種類、安全性、効率性および快適性の条件が挙げられる。安全性については、中項目として衝突リスクの条件が挙げられ、効率性については、中項目として目的地の条件が挙げられる。
【0049】
また、ゲート種類については、小項目として、ゲートの稼働状況、すなわち閉鎖中か稼働中か(閉鎖中/稼働中)、ETCゲートか一般ゲートか(ETC/一般)の条件が挙げられる。
【0050】
安全性については、小項目として、急ブレーキおよび急ハンドルの条件が挙げられ、効率性については、小項目として、ゲート通過後の進路の条件が挙げられ、快適性については、小項目として、車線変更数および混雑度の条件が挙げられる。
【0051】
ゲート種類および安全性の観点においては、通過ゲートに適しているか否かを単独で評価する単独評価対象とする。効率性および快適性の観点においては、各小項目の条件を組み合わせて総合的に評価する総合評価対象とし、最適通過ゲートを決定する。また、7つの小項目には1〜7の優先度が設けられている。優先度は、ゲートの閉鎖中か稼働中か最も高く1であり、急ブレーキおよび急ハンドルがそれぞれ2および3であり、混雑度が最も低い7である。
【0052】
次に、ゲート決定部104(
図2)において、
図4に示した条件を用いて最適通過ゲートを決定する処理について、
図5に示すフローチャートを用いて説明する。なお、
図5に示すフローチャートは、
図3のステップS3の詳細フローに相当する。
【0053】
最適通過ゲートを決定する処理を開始すると、ゲート決定部104は、まず、通過車両情報部108のデータベースから優先度1の各料金所ゲート30の稼働状況の情報を取得する(ステップS31)。稼働状況とは閉鎖中か稼働中かであり、ETCゲートか一般ゲートかまでは問わない。
【0054】
ゲート決定部104は、ステップS31で取得した稼働状況情報より閉鎖中の料金所ゲート30を最適通過ゲートの候補から削除する(ステップS32)。
【0055】
ステップS32で削除されなかった最適通過ゲートの候補において、ゲート決定部104は、料金所エリア開始地点で検出した車両の車速と各料金所ゲート30までの距離から前後加速度を算出する(ステップS33)。
【0056】
すなわち、料金所ゲート30の手前に当該ゲートを通過予定の車両が存在する場合は、制御対象車両から通過予定車両までの距離で前後加速度を算出する。この際、車両通信部101を介して制御対象車両から取得した周辺情報に含まれる路面状況に基づいて、路面が濡れている場合と乾いている場合とで、より厳密に前後加速度を算出する方が望ましい。
【0057】
ステップS33で算出した前後加速度より、ゲート決定部104は、優先度2の急ブレーキの可能性を判断し、料金所ゲート30またはゲートの通過予定車両に衝突の可能性、もしくは衝突を回避するために急ブレーキを要する可能性がある料金所ゲート30は、最適通過ゲートの候補から削除する(ステップS34)。
【0058】
なお、急ブレーキとは、一例として、前後加速度が−0.25G以下の場合とするが、これに限定されるものではない。
【0059】
ステップS32およびステップS34で削除されなかった最適通過ゲートの候補において、制御対象車両の車速と、各最適通過ゲートの候補までの距離に基づいて、車線変更時の左右加速度またはヨー角速度を算出する(ステップS35)。
【0060】
ステップS35で算出した左右加速度またはヨー角速度より、ゲート決定部104は、優先度3の急ハンドルの可能性を判断し、車線変更時に急ハンドルを要する可能性のある料金所ゲート30は、最適通過ゲートの候補から削除する(ステップS36)。
【0061】
なお、急ハンドルとは、一例として左右角速度が±0.25Gまたはヨー角速度が8.5deg/秒の場合とするが、これに限定されるものではない。
【0062】
ここで、前後加速度、左右加速度およびヨー角速度の算出方法は公知であり、上述したそれぞれの数値は、http://www.hrr.mlit.go.jp/library/happyoukai/h27/A/A13.pdfの「交通事故分析におけるETC2.0プローブ情報の活用について」で開示されている。
【0063】
ステップS32、ステップS34およびステップS36で削除されなかった最適通過ゲートの候補について、ゲート決定部104は、通過車両情報部108のデータベースから優先度4のゲートの種類情報を取得する(ステップS37)。
【0064】
そして、車両通信部101を介して制御対象車両から取得したETC装着有無情報とステップS37で取得したゲートの種類情報に基づいて、最適通過ゲートの候補を選定する(ステップS38)。制御対象車両がETCを装着している場合はETC対応ゲート、ETC未装着の場合は一般ゲートを最適通過ゲートの候補として選定する。
【0065】
ステップS32、ステップS34、ステップS36およびステップ38で削除されなかった最適通過ゲートの候補において、ゲート決定部104は、総合評価対象である優先度5の効率性(目的地)および優先度6および7の快適性(車線変更数、混雑度)の観点から1つの最適通過ゲートを決定する(ステップS39)。
【0066】
図6は効率性および快適性の観点におけるゲート決定条件の基準値と重みづけの定義の一例を示す図である。
図6において、ゲート決定条件として効率性の観点では、(1)「ゲート通過後の進路」を挙げており、快適性の観点では、(2)「車線変更数」および(3)「混雑度」を挙げている。
【0067】
基準値としては、(1)の「ゲート通過後の進路」に対しては進行方向に近いゲートブロック順に順位を設定し、(2)の「車線変更数」に対しては各ゲートまでの車線変更数の少ない順に順位を設定し、(3)の「混雑度」に対しては通過予定車両が少ないゲート順に順位を設定している。また、重みづけの値は優先度の高い条件順に5、3、1としている。ただし、
図3に示したステップS2で目的地情報を取得できなかった場合、効率性のゲート通過後の進路については基準値を0とし、ゲート決定の判定基準に使用しない。
【0068】
次に、ゲート決定部104(
図2)において、
図6に示した定義に基づいて最適通過ゲートを決定する処理について、
図7に示すフローチャートを用いて説明する。なお、
図7に示すフローチャートは、
図5のステップS39の詳細フローに相当する。
【0069】
最適通過ゲートを決定する処理を開始すると、ゲート決定部104は、まず、ステップS2(
図3)で取得した制御対象車両の車両情報に目的地情報(ゲート通過後の進路情報含む)が含まれているか否かを確認する(ステップS391)。
【0070】
車両情報に目的地情報が含まれている場合(Yesの場合)は、進行方向に近い料金所ゲート30から順位をつける(ステップS392)。この際、ゲート数を進行方向数で分割したブロックごとに基準値に順位をつける。例えば、
図1に示されるように、料金所ゲート30を通過後の進路が、A方面とB方面である場合、ゲート名G1〜G6で示される6箇所の料金所ゲート30は、3箇所ずつ、2つのブロックに分割される。具体的には、ゲート名G1〜G3のゲートと、G4〜G6のゲートに分割される。
【0071】
一方、車両情報に目的地情報が含まれていない場合(Noの場合)は、基準値を0とし(ステップS393)、ゲート決定の判定基準に使用しない。
【0072】
次に、制御対象車両を基準として、車線変更が少ない料金所ゲート30から基準値に順位をつける(ステップS394)。
【0073】
次に、ゲート決定部104は、通過車両情報部108のデータベースから取得した、通過予定車両情報に基づいて、空いているゲートから基準値に順位をつける(ステップS395)。
【0074】
そして、ゲート決定部104は、設定した各基準値に、
図6の定義に従って重みづけした重みづけ加算値(第1の加算値)を算出し、それらを合計した合計加算値(第2の加算値)を算出し、合計加算値の最も小さいゲートを最適通過ゲートとする(ステップS396)。
【0075】
次に、ステップ396で決定した最適通過ゲートが1つか否かを確認する(ステップS397)。
【0076】
ステップS397で最適通過ゲートが1つであると確認した場合(Yesの場合)、ステップS396で算出した合計加算値が最小となったゲートを最適通過ゲートとする(ステップS398)。
【0077】
一方、ステップS397で最適通過ゲートが複数あることを確認した場合(Noの場合)、優先度の高いゲート決定条件の順に、個々のゲート決定条件において重みづけ加算を行い、重みづけ加算値(第3の加算値)を算出し、算出した加算値が最小となるゲートを最適通過ゲートとする(ステップS399)。
【0078】
図8は通過車両情報部108に記憶されるデータベースの一例であり、一覧表として表している。
図8に示すように、1行目には各料金所ゲート30のゲート名G1〜G6、ゲート種類(閉鎖中/稼働中、ETC/一般)を含むゲート情報が記録されている。
【0079】
各ゲートには3台分の通過予定車両情報が記録でき、左列には車両の識別情報(車両A〜F)、右列には自動運転車両か手動運転車両かのフラグ情報を記録する。識別情報は、例えば料金所エリアに進入時の位置座標での情報を記録する。
【0080】
フラグ情報は、例えば自動運転車両の場合は0、手動運転車両の場合は1を登録する。制御対象車両の最適通過ゲートが決定すると、当該制御対象車両の車両情報をキューのデータ構造に従い、先入れ先出しで記録し、料金所ゲート30の通過車両検出部302でゲート通過車両が検出された場合は、当該料金所ゲート30に対応する1番古い車両情報を削除する。
【0081】
例えば、
図8において、ゲート名G5の料金所ゲート30を車両Aが通過した場合、データベースのゲート名G5の列から車両Aの車両情報(識別情報およびフラグ情報)を削除する。この結果、車両Bの車両情報が1番古い車両情報となる。
【0082】
次に、以上説明した実施の形態の通過ゲート決定システム100において、最適通過ゲートの候補を選定する実例を
図9に示すテーブルを用いて説明する。
【0083】
図1に示すように、車両Gが料金所エリアに進入したことを、車両検出装置20が検出し、通過ゲート決定装置10が認識したものとする。なお、料金所エリアには、車両B〜Fが進入しており、車両Aはゲート名G5の料金所ゲート30を通過し、車両Hは料金所エリアには未だ進入していない。
【0084】
図9に示すように、車両Gは、自動運転車両であり、料金所エリア進入時は車速60km/hで、追い越し車線を走行している。路面状況は乾燥しており、ETCは装着している。目的地情報より、ゲート通過後はA方面へ進行する。この時点でのゲート情報は
図8と同じであり、ゲート名G1の料金所ゲート30は閉鎖中、ゲート名G2〜G5の料金所ゲート30はETCゲートであり、ゲート名G6の料金所ゲート30は一般ゲートである。
【0085】
図5のフローチャートに従い、まず、ステップS32により閉鎖中のゲート名G1の料金所ゲート30を最適通過ゲートの候補から削除する。
【0086】
次に、車両Gは、ゲート名G4の料金所ゲート30を通過予定の車両Eの後方を走行しているので、車両Eとの衝突または衝突を回避するために急ブレーキを踏む必要があるとすると、ステップS34でゲート名G4の料金所ゲート30を最適通過ゲートの候補から削除する。
【0087】
車両Gにとって、急ハンドルが必要となる料金所ゲート30は存在しないとすると、ステップS36で最適通過ゲートの候補から削除される料金所ゲート30は存在しない。
【0088】
また、車両GはETCを装着しているので、ステップ38で一般ゲートであるゲート名G6の料金所ゲート30を最適通過ゲートの候補から削除する。この時点で最適通過ゲートの候補は、ゲート名G2、G3およびG5の3箇所の料金所ゲート30となる。
【0089】
次に、
図7のフローチャートに従った総合評価により最適通過ゲートを決定する実例を説明する。
【0090】
まず、効率性の観点での評価を行う。車両Gは、目的地情報より、ゲート通過後はA方面へ進行するので、進行方向の数でゲート数を分割し、車両Gの進行方向に近いブロックごとに順位をつける。
図1の場合、料金所ゲート30を通過後の進路が、A方面とB方面の2方向であるので、ゲート名G1〜G3の料金所ゲート30はAブロック、ゲート名G4〜G6の料金所ゲート30はBブロックとする。
【0091】
制御対象車両である車両Gは、ゲート通過後、A方向に進行するので、進行方向に近いゲートブロックはAブロック、Bブロックの順となる。従って、ステップS38の時点で残っている最適通過ゲートの候補において効率性の基準値は、G2=1、G3=1、G5=2となる。
【0092】
次に快適性の観点として、車線変更数による評価を行う。
図1に示すように、車両Gは追い越し車線である右側車線を走行しており、ゲート名G2の料金所ゲート30までは2回の車線変更、ゲート名G3の料金所ゲート30までは1回の車線変更、ゲート名G5の料金所ゲート30までは1回の車線変更となるため、車線変更の少ないゲートはゲート名G3、G5、G2の順となる。従って、ステップS38の時点で残っている最適通過ゲートの候補において車線変更数の基準値は、G2=2、G3=1、G5=1となる。
【0093】
次に快適性の観点として、混雑度による評価を行う。
図1に示すように、ゲート名G2の料金所ゲート30には通過予定車両が車両C、Fの2台、ゲート名G3の料金所ゲート30には通過予定車両が車両Dの1台、ゲート名G5の料金所ゲート30には通過予定車両が0台となっているため、空いているゲートはゲート名G5、G3、G2の順となる。従って、ステップS38の時点で残っている最適通過ゲートの候補において混雑度の基準値は、G2=3、G3=2、G5=1となる。
【0094】
以上、3つの観点における基準値に
図6の重みづけ加算を行って重みづけ加算値(第1の加算値)を算出し、それらを合計した各ゲートの合計加算値(第2の加算値)は、G2=15、G3=13、G5=13となる。
【0095】
合計加算値が最も小さいゲートが最適通過ゲートとなるが、車両Gの場合はゲート名G3およびG5の料金所ゲート30で同じ値となっている。この場合は、ステップS399において、優先度の高い順に
図6の各観点の重みづけを行って加算値(第3の加算値)を算出し、最適通過ゲートを決定する。
【0096】
まず、効率性の観点での(1)「ゲート通過後の進路」の基準値は、G3=1、G5=2であるので、それぞれ5を重みづけすることで、G3の加算値は6、G5の加算値は7となるため、車両Gの最適通過ゲートはゲート名G3の料金所ゲート30に決定する。なお、効率性の観点での加算値も同じ場合は、快適性の観点の(2)「車線変更数」の基準値、(3)「混雑度」の基準値の順に優先度に基づいて重みづけを行い、加算値を判定する。
【0097】
なお、以上説明した総合評価の結果を
図10のテーブルに示す。
図10において、1行目には各料金所ゲート30のゲート名G1〜G6、ゲート種類(閉鎖中/稼働中、ETC/一般)を含むゲート情報が記録され、2行目以降は、各観点における、ゲートごとの基準値と、重みづけ加算値を示している。
【0098】
また、
図8に示したように、ゲート名G3の料金所ゲート30には、すでに車両Dの情報が記録されているため、通過車両情報部108は、2番目に車両Gの情報を記録する。料金所エリア内を走行する全てのV2X搭載車両は車両Gも含めて自動運転車両であるとすると、通過ゲート決定装置10は、走行制御用情報生成部109で車両Gまでの料金所エリア内を走行する車両の走行経路を生成し、生成した走行経路と通過ゲート情報を車両通信部101を介して車両Gに送信する。もし料金所エリア内を走行するV2X搭載車両のうち1台でも手動運転車両が存在する、もしくは車両Gが手動運転車両の場合は、ステップS8(
図3)を用いて説明したように、最適通過ゲートと、走行経路および車速を生成していないことを示す情報を生成し車両Gへ送信する。
【0099】
このように、料金所エリアを走行している全てのV2X搭載車両において、同一の判断基準に基づいて、総合的に適切な料金所ゲート30を決定できるので、不必要な車線変更による衝突の防止、渋滞緩和による燃費向上およびドライバーのストレス軽減が期待できる。
【0100】
なお、本発明は、その開示の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。