特開 2021-70514 発泡樹脂製の断熱収納容器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】特開2021-70514(P2021-70514A)

(43)【公開日】2021年5月6日

(54)【発明の名称】発泡樹脂製の断熱収納容器

(51)【国際特許分類】

   B65D 81/38 20060101AFI20210409BHJP

【ＦＩ】

   B65D81/38 B

【審査請求】有

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

【全頁数】7

(21)【出願番号】特願2019-199088(P2019-199088)

(22)【出願日】2019年10月31日

(71)【出願人】

【識別番号】591239003

【氏名又は名称】株式会社サンカ

(74)【代理人】

【識別番号】100091373

【弁理士】

【氏名又は名称】吉井 剛

(74)【代理人】

【識別番号】100097065

【弁理士】

【氏名又は名称】吉井 雅栄

(72)【発明者】

【氏名】神子島 岩男

【テーマコード（参考）】

3E067

【Ｆターム（参考）】

3E067AA11

3E067AB01

3E067BA05A

3E067BB17A

3E067BC06A

3E067BC07A

3E067CA04

3E067CA18

3E067EA18

3E067EA23

3E067EB17

3E067EB27

3E067EE12

3E067EE59

3E067FA01

3E067FC01

3E067GA01

(57)【要約】

【課題】本発明は、従来にない非常に便利で実用的な発泡樹脂製の断熱収納容器を提供することを目的とする。
【解決手段】上部開口型の発泡樹脂材で形成された収納本体１と、前記収納本体１の上部開口部２を着脱自在に閉塞する発泡樹脂材で形成された上蓋体３とから成る発泡樹脂製の断熱収納容器において、前記上蓋体３の縁部に前記収納本体１の前記上部開口部２の縁部に設けられた雌雄テープ４に着脱自在に接触により止着される雌雄テープ４が設けられ、この雌雄テープ４を互いに接触止着させ前記収納本体１の前記上部開口部２の縁部に前記上蓋体３を立設状態に固定保持し得るように構成されたものである。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

上部開口型の発泡樹脂材で形成された収納本体と、前記収納本体の上部開口部を着脱自在に閉塞する発泡樹脂材で形成された上蓋体とから成る発泡樹脂製の断熱収納容器において、前記上蓋体の縁部に前記収納本体の前記上部開口部の縁部に設けられた雌雄テープに着脱自在に接触により止着される雌雄テープが設けられ、この雌雄テープを互いに接触止着させ前記収納本体の前記上部開口部の縁部に前記上蓋体を立設状態に固定保持し得るように構成されていて、前記収納本体から取り外した前記上蓋体をこの開口した収納本体の前記上部開口部の縁部に前記雌雄テープにより立て置き保持し得るように構成されていることを特徴とする発泡樹脂製の断熱収納容器。

【請求項2】

前記雌雄テープの止着強度及び止着面積は、前記上蓋体を前記上部開口部の縁部に立設状態に立て置き保持した状態で、内側へ手で押して倒すことでこの雌雄テープの止着が弱まるか離脱して内側へ徐々に倒れて平伏するように設定されていることを特徴とする請求項１記載の発泡樹脂製の断熱収納容器。

【請求項3】

前記上蓋体には、前記収納本体の前記上部開口部内に入り込む封止用垂下部が設けられていて、この前記上蓋体の封止用垂下部の外側面に前記一方の雌雄テープが設けられ、前記収納本体の前記上部開口部の縁部上面に設けられた前記他方の雌雄テープに前記上蓋体の前記一方の雌雄テープを止着した際、前記上蓋体の縁部が前記収納本体の上端部に設けられた支承部に支持されて立て置き保持がサポートされるように構成されていることを特徴とする請求項１，２のいずれか１項に記載の発泡樹脂製の断熱収納容器。

【請求項4】

前記上蓋体の縁部は、前記封止用垂下部と直交する水平外方向に延設され、前記収納本体の前記上部開口部の縁部に前記上蓋体を立設状態とした際、前記上蓋体の縁部の内面が前記収納本体の前記上部開口部の縁部外側面に設けられた前記支承部に当接することで、前記上蓋体の立て置き保持がサポートされるように構成されていることを特徴とする請求項３記載の発泡樹脂製の断熱収納容器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、発泡樹脂製の断熱収納容器に関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来から、釣りやキャンプなどの屋外レジャーで使用される保冷機能を備えた容器として、例えば特開２００２−２０５３１３号に開示されるような発泡樹脂製の断熱収納容器（以下、従来例）が提案されている。

【0003】

この従来例は、上部開口型の発泡樹脂材で形成された収納本体と、この収納本体の上部開口部を着脱自在に閉塞する発泡樹脂材で形成された上蓋体とから成る構造であり、保冷性に優れ、軽量で持ち運びに便利である。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２００２−２０５３１３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

本発明者は、前述した発泡樹脂製の収納本体と上蓋体とから成る断熱収納容器について開発を進めた結果、従来にない非常に便利で実用的な発泡樹脂製の断熱収納容器を開発した。

【課題を解決するための手段】

【0006】

添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。

【0007】

上部開口型の発泡樹脂材で形成された収納本体１と、前記収納本体１の上部開口部２を着脱自在に閉塞する発泡樹脂材で形成された上蓋体３とから成る発泡樹脂製の断熱収納容器において、前記上蓋体３の縁部に前記収納本体１の前記上部開口部２の縁部に設けられた雌雄テープ４に着脱自在に接触により止着される雌雄テープ４が設けられ、この雌雄テープ４を互いに接触止着させ前記収納本体１の前記上部開口部２の縁部に前記上蓋体３を立設状態に固定保持し得るように構成されていて、前記収納本体１から取り外した前記上蓋体３をこの開口した収納本体１の前記上部開口部２の縁部に前記雌雄テープ４により立て置き保持し得るように構成されていることを特徴とする発泡樹脂製の断熱収納容器に係るものである。

【0008】

また、前記雌雄テープ４の止着強度及び止着面積は、前記上蓋体３を前記上部開口部２の縁部に立設状態に立て置き保持した状態で、内側へ手で押して倒すことでこの雌雄テープ４の止着が弱まるか離脱して内側へ徐々に倒れて平伏するように設定されていることを特徴とする請求項１記載の発泡樹脂製の断熱収納容器に係るものである。

【0009】

また、前記上蓋体３には、前記収納本体１の前記上部開口部２内に入り込む封止用垂下部５が設けられていて、この前記上蓋体３の封止用垂下部５の外側面に前記一方の雌雄テープ４が設けられ、前記収納本体１の前記上部開口部２の縁部上面に設けられた前記他方の雌雄テープ４に前記上蓋体３の前記一方の雌雄テープ４を止着した際、前記上蓋体３の縁部が前記収納本体１の上端部に設けられた支承部６に支持されて立て置き保持がサポートされるように構成されていることを特徴とする請求項１，２のいずれか１項に記載の発泡樹脂製の断熱収納容器に係るものである。

【0010】

また、前記上蓋体３の縁部は、前記封止用垂下部５と直交する水平外方向に延設され、前記収納本体１の前記上部開口部２の縁部に前記上蓋体３を立設状態とした際、前記上蓋体３の縁部の内面７が前記収納本体１の前記上部開口部２の縁部外側面に設けられた前記支承部６に当接することで、前記上蓋体３の立て置き保持がサポートされるように構成されていることを特徴とする請求項３記載の発泡樹脂製の断熱収納容器に係るものである。

【発明の効果】

【0011】

本発明は上述のように構成したから、保冷性に優れ、軽量で持ち運びが楽に行え、しかも、使い勝手が良いなど、非常に便利で実用的な発泡樹脂製の断熱収納容器となる。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】本実施例を示す斜視図である。

【図2】本実施例を示す分解斜視図である。

【図3】本実施例の要部の説明図である。

【図4】本実施例の要部の説明断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0013】

好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。

【0014】

上蓋体３を開放し、この上蓋体３を内外面が側方を向く立てた状態にしてその縁部を収納本体１の上部開口部２の縁部に載置すると、この上蓋体３の縁部に設けられた雌雄テープ４と収納本体１の上部開口部２の縁部に設けられた雌雄テープ４とが接触止着し、この雌雄テープ４の接触止着により収納本体１の上部開口部２の縁部に対する上蓋体３の立設状態が固定保持される。

【0015】

ところで、例えば収納本体１へ収納物を出し入れする場合、前述した従来例をはじめとするこの種の製品においては、上蓋体３を取り外して開放した後は、この上蓋体３を片手で持ったままで行うか、若しくは、上蓋体の内面が汚れないように該上蓋体の外面を下にして適当な場所へ載置して行なうなど、収納本体１から上蓋体３を取り外す度に、この取り外した上蓋体３の取り扱いや置き場に困り、煩わしいという問題があったが、この点、本発明は、前述したように取り外した上蓋体３を収納本体１の上部開口部２の縁部に立設状態とするだけでその状態が固定保持されることになり、前述した問題が生じることはない。

【0016】

また、本発明は、例えば、上蓋体３の縁部（雌雄テープ４が設けられた縁部）を支点側として擺動させるような動作で開放した場合、その支点側とした縁部に設けられた雌雄テープ４を収納本体１の上部開口部２の縁部に設けられた雌雄テープ４にその開放動作のまま接触止着させて固定することで、あたかもヒンジ構造があるかのように開放して素早く固定保持することができる。また、この上蓋体３の閉塞も開放時とは逆の操作により簡易且つ迅速に行える。

【0017】

しかも、この立設状態とした上蓋体３を固定保持する構造が、例えばヒンジ構造や穴にピンを差し込んで止着するような構造ではなく、取り扱いが簡易な雌雄テープ４同士を接触止着させるだけで固定保持が行われる構造の為、前述した作用効果を簡易な構造で確実に奏することができる。

【0018】

以上から、本発明は、発泡樹脂製の収納本体１から取り外した発泡樹脂製の上蓋体３を雌雄テープ４により立て置き保持するという、これまでに無い斬新な使用形態が得られて使い勝手が良く、非常に便利で実用的なものとなる。

【実施例】

【0019】

本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。

【0020】

本実施例は、上部開口型の発泡樹脂材で形成された収納本体１と、この収納本体１の上部開口部２を着脱自在に閉塞する発泡樹脂材で形成された上蓋体３とから成る発泡樹脂製の断熱収納容器である。

【0021】

以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。

【0022】

収納本体１は、図１〜３に図示したように適宜な発泡樹脂材（発泡スチロール）で一体成形された平面視方形状の上部開口部２を有するボックス形状体であり、その上部開口部２は後述する上蓋体３の封止用垂下部５が密着状態で入り込む（嵌入する）寸法に設定されている。

【0023】

この収納本体１の上部開口部２の外周には段部８が凹設されており、また、上部開口部２を構成する四辺の縁部２ａのうち、対向する二辺の縁部２ａ夫々の上面左右位置に雌雄テープ４（ループ部）が設けられている。

【0024】

この左右の雌雄テープ４（ループ部）の間隔は、後述する上蓋体３に設けられる雌雄テープ４（フック部）の間隔と対応した間隔に設定されている。

【0025】

また、この雌雄テープ４の止着強度及び止着面積は、上蓋体３を上部開口部２の縁部２ａに立設状態に立て置き保持した状態で、内側へ手で押して倒すことでこの雌雄テープ４の止着が弱まるか離脱して内側へ徐々に倒れて平伏するように設定されている。

【0026】

また、収納本体１の上部開口部２の縁部２ａにして雌雄テープ４（ループ部）が設けられる縁部２ａ近傍の外側面は、後述する上蓋体３の縁部３ａの内面７が当接することで、上蓋体３の立て置き保持をサポートする支承部６として構成されている。

【0027】

また、この支承部６の外方近傍位置にして前述した収納本体１の上部開口部２の外周に設けられた段部８には凹状部８ａが設けられ、この凹状部８ａは立設状態とした上蓋体３の縁部３ａ（突状部３ａ’）が干渉するのを防止（回避）するための部位である。

【0028】

符号１ａは補強リブを兼ねた指掛け部である。

【0029】

上蓋体３は、図１〜３に図示したように適宜な発泡樹脂材（発泡スチロール）で一体成形された平面視方形状の板状体であり、収納本体１の上部開口部２を閉塞する寸法に設定されている。

【0030】

また、上蓋体３には、収納本体１の上部開口部２内に入り込む封止用垂下部５が設けられている。

【0031】

この封止用垂下部５は、図２に図示したように上蓋体３の周端部における内面所定位置にして周縁を縁取るように所定高さの凸条を繞設して構成されている。

【0032】

また、この上蓋体３の封止用垂下部５にして対向する二辺の外側面左右位置には雌雄テープ４（フック部）が所定間隔を介して設けられている。

【0033】

本実施例では、収納本体１の上部開口部２の縁部２ａ上面に設けられた雌雄テープ４に上蓋体３の雌雄テープ４を止着した際、該上蓋体３を立て置き保持し得るように構成されている。

【0034】

また、上蓋体３の縁部３ａが収納本体１の上端部に設けられた支承部６に支持されて立て置き保持がサポートされるように構成されている。

【0035】

具体的には、上蓋体３の縁部３ａは、封止用垂下部５と直交する水平外方向に延設され、収納本体１の上部開口部２の縁部２ａに上蓋体３を立設状態とした際、上蓋体３の縁部３ａの内面７が収納本体１の上部開口部２の縁部２ａ外側面に設けられた支承部６に当接することで、上蓋体３の立て置き保持がサポートされるように構成されている。

【0036】

この支承部６に当接する部位は、上蓋体３の縁部３ａにおける左右所定位置に突出状態に設けられており、この突状の縁部３ａ（突状部３ａ’）の内面７を支承部６に当接するように構成されている。

【0037】

従って、上蓋体３の立設状態は、雌雄テープ４による接触止着に加え、収納本体１に設けられた支承部６でサポートされることで、外方向（図４中の矢印方向）へ倒れることが阻止される。

【0038】

符号３ｂは把手部である。

【0039】

本実施例は上述のように構成したから、上蓋体３を開放し、この上蓋体３を内外面が側方を向く立てた状態にしてその縁部を収納本体１の上部開口部２の縁部に載置すると、この上蓋体３の縁部に設けられた雌雄テープ４と収納本体１の上部開口部２の縁部に設けられた雌雄テープ４とが接触止着し、この雌雄テープ４の接触止着により収納本体１の上部開口部２の縁部に対する上蓋体３の立設状態が固定保持される。

【0040】

また、本実施例は、例えば、上蓋体３の縁部（雌雄テープ４が設けられた縁部）を支点側として擺動させるような動作で開放した場合、その支点側とした縁部に設けられた雌雄テープ４を収納本体１の上部開口部２の縁部に設けられた雌雄テープ４にその開放動作のまま接触止着させて固定することで、あたかもヒンジ構造があるかのように開放して素早く固定保持することができる。また、この上蓋体３の閉塞も開放時とは逆の操作により簡易且つ迅速に行える。

【0041】

また、本実施例は、この立設状態とした上蓋体３を固定保持する構造が、例えばヒンジ構造や穴にピンを差し込んで止着するような構造ではなく、取り扱いが簡易な雌雄テープ４同士を接触止着させるだけで固定保持が行われる構造の為、前述した作用効果を簡易な構造で確実に奏することができる。

【0042】

よって、本実施例によれば、発泡樹脂製の収納本体１から取り外した発泡樹脂製の上蓋体３を雌雄テープ４により立て置き保持するという、これまでに無い斬新な使用形態が得られて使い勝手が良く、非常に便利で実用的なものとなる。

【0043】

また、本実施例は、雌雄テープ４の止着強度及び止着面積は、上蓋体３を上部開口部２の縁部２ａに立設状態に立て置き保持した状態で、内側へ手で押して倒すことでこの雌雄テープ４の止着が弱まるか離脱して内側へ徐々に倒れて平伏するように設定されているから、上蓋体３を開放した状態から閉塞した状態へゆっくりと伏し動することになり、しかも、上蓋体３の破損も防止される。

【0044】

また、本実施例は、上蓋体３には、収納本体１の上部開口部２内に入り込む封止用垂下部５が設けられていて、この上蓋体３の封止用垂下部５の外側面に一方の雌雄テープ４が設けられ、収納本体１の上部開口部２の縁部上面に設けられた他方の雌雄テープ４に上蓋体３の一方の雌雄テープ４を止着した際、上蓋体３の縁部が収納本体１の上端部に設けられた支承部６に支持されて立て置き保持がサポートされるように構成されているから、上蓋体３の良好な立設状態が得られる。

【0045】

また、本実施例は、上蓋体３の縁部は、封止用垂下部５と直交する水平外方向に延設され、収納本体１の上部開口部２の縁部に上蓋体３を立設状態とした際、上蓋体３の縁部の内面７が収納本体１の上部開口部２の縁部外側面に設けられた支承部６に当接することで、上蓋体３の立て置き保持がサポートされるように構成されているから、前述した作用効果が簡易な構造で確実に奏することになる。

【0046】

尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。

【符号の説明】

【0047】

１ 収納本体
２ 上部開口部
３ 上蓋体
４ 雌雄テープ
５ 封止用垂下部
６ 支承部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】