特開2021-70624(P2021-70624A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-70624(P2021-70624A)
(43)【公開日】2021年5月6日
(54)【発明の名称】エンジンへの水素ガス供給システム
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/02 20060101AFI20210409BHJP
   F17C 7/00 20060101ALI20210409BHJP
   F17C 11/00 20060101ALI20210409BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20210409BHJP
【FI】
   C01B3/02 H
   F17C7/00 A
   F17C11/00 C
   F02M21/02 G
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-115462(P2020-115462)
(22)【出願日】2020年7月3日
(11)【特許番号】特許第6825150号(P6825150)
(45)【特許公報発行日】2021年2月3日
(31)【優先権主張番号】特願2019-196841(P2019-196841)
(32)【優先日】2019年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519375262
【氏名又は名称】株式会社HIT研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100085257
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 有
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅則
(72)【発明者】
【氏名】謝花 義広
(72)【発明者】
【氏名】原田 努
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AA09
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB12
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD01
3E172EB02
3E172FA01
(57)【要約】
【課題】 長期間連続して水素ガスを供給できる水素ガス供給システムを提供する。
【解決手段】
水素ガス供給システム10は、純水を電気分解して水素ガス(酸素ガス)を発生する水素ガス発生装置11と水素吸蔵合金が充填された水素吸蔵合金ボンベ(キャニスター)12を備えている。水素ガス発生装置11で発生した水素ガスはメインライン(配管)13を介して給気ライン7(過給器2を含む)に供給される。メインライン13には水素吸蔵合金ボンベ12内の水素ガスをメインライン13に供給するサブライン14が接続され、メインライン13及びサブライン14には調圧バルブ15,16が設けられている。前記ガバナー3からはエンジンの回転数に関する信号が制御装置17に送られ、この制御装置17からエンジンンの負荷状態に応じた添加水素量を供給するためのバルブ開度に応じた信号が前記調圧バルブ15,16に送られる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの給気ラインに水素ガスを供給する水素ガス供給システムにおいて、この水素ガス供給システムは、電気分解による水素ガス発生装置で発生した水素ガスを給気ラインに送り込むメインラインと、このメインラインに水素吸蔵合金ボンベからの水素ガスを送り込むサブラインとを備えることを特徴とするエンジンへの水素ガス供給システム。
【請求項2】
エンジンの給気ラインに水素ガスを供給する水素ガス供給システムにおいて、この水素ガス供給システムは、電気分解による水素ガス発生装置に一端が接続されるメインラインと、このメインラインの途中に設けられる水素吸蔵合金ボンベとを備え、前記水素ガス発生装置で発生した水素ガスを一旦水素吸蔵合金ボンベ内に送り込み、この水素吸蔵合金ボンベからエンジンへの給気ラインに水素ガスを供給することを特徴とするエンジンへの水素ガス供給システム。
【請求項3】
ガスエンジンのガス燃料供給ラインに水素ガスを供給する水素ガス供給システムにおいて、この水素ガス供給システムは、電気分解による水素ガス発生装置で発生した水素ガスをガス燃料供給ラインに送り込むメインラインと、このメインラインに水素吸蔵合金ボンベからの水素ガスを送り込むサブラインとを備えることを特徴とするエンジンへの水素ガス供給システム。
【請求項4】
ガスエンジンのガス燃料供給ラインに水素ガスを供給する水素ガス供給システムにおいて、この水素ガス供給システムは、電気分解による水素ガス発生装置に一端が接続されるメインラインと、このメインラインの途中に設けられる水素吸蔵合金ボンベとを備え、前記水素ガス発生装置で発生した水素ガスを一旦水素吸蔵合金ボンベ内に送り込み、この水素吸蔵合金ボンベからエンジンへのガス燃料供給ラインに水素ガスを供給することを特徴とするエンジンへの水素ガス供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給気中またはガス燃料供給ラインに水素ガスを供給するシステムに関し、長時間水素ガスの供給を可能にしたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガソリン、ディーゼル或いは重油などの高分子液体燃料を効率良くエンジンで燃焼させる方法として、給気中に微量(0.01〜0.1vol%)の水素を添加することが提案されている。
【0003】
この方法は、燃料が着火する際に給気中の水素ガスにも着火し、水素ガスの火炎伝播速度は高分子液体燃料よりも極めて速いため、水素ガスの燃焼によって高分子液体燃料と給気との混合が促進され、完全燃焼が促進されるというものである。特に、負荷変動の激しい燃焼システムに有効とされる。
【0004】
上記の水素を給気中に微量添加した燃焼を船舶などに適用するには、常時水素を供給する必要がある。常時供給するには、水素製造装置を船舶に搭載するか水素ボンベや水素吸蔵合金を充填したボンベを船舶に搭載することが考えられる。
【0005】
水素を製造する装置としては、特許文献2に記載される電気分解装置が一般的である。この電解分解装置は、純水を多数のセルスタックを連結した電解部で電気分解し、電気分解によって生じた水素ガスと水を気液分離装置に送り込み水素ガスを取り出す構成である。
【0006】
製造された水素ガスは通常ボンベに充填貯蔵されるが、これよりも水素吸蔵合金を詰めたボンベに充填する方が低圧で大量に貯蔵することができる。
特許文献3には、再生可能エネルギーに基づいて発電される電力の余剰分を予測し、この予測余剰電力を用いて水素を製造しボンベなどに充填貯蔵することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6328186号公報
【特許文献2】特開2019−123899号公報
【特許文献3】特開2018−207728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示される運転方法はエンジン負荷が変動する際、多量の燃料が投入されても、極くわずかの、エンジンの運転状態に応じた、水素ガスの最適添加量で完全燃焼させることができるが、船舶などでは極めて大きな排気量のエンジンがあり且つ連続して長期間運転することを考慮すると大量の水素が必要になる。
【0009】
上述した、水の電気分解装置は大量の水素ガスを製造するにはセルスタックの数を増加させる必要があり、また、電解液を用いる電気分解装置は更に大きな容積が必要で、既存の船舶などではエンジンルームなどの限られたスペース内に設置することができない場合がある。
【0010】
また、水素ボンベや水素吸蔵合金ボンベを積み込むことも考えられるが、1週間或いは1ヵ月など長期間運転する場合には、大量のボンベを積み込まなければならず現実的ではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく本願の第1発明にかかるエンジンへの水素ガス供給システムは、エンジンへの給気ラインに水素ガス供給ラインを接続した水素ガス供給システムであって、前記水素ガス供給ラインは電気分解による水素ガス発生装置で発生した水素ガスを給気ラインに送り込むメインラインとこのメインラインに水素吸蔵合金ボンベからの水素ガスを送り込むサブラインとから構成した。
【0012】
本願の第2発明にかかるエンジンへの水素ガス供給システムは、エンジンへの給気ラインに水素ガス供給ラインを接続した水素ガス供給システムであって、前記水素ガス供給ラインの一端には電気分解による水素ガス発生装置が設けられ、前記水素ガス供給ラインの中間には水素吸蔵合金ボンベが設けられ、前記水素ガス発生装置で発生した水素ガスを一旦水素吸蔵合金ボンベ内に送り込み、この水素吸蔵合金ボンベからエンジンへの給気ラインに水素ガスを供給する構成とした。
【0013】
本願の第3発明にかかるエンジンへの水素ガス供給システムは、ガスエンジンへのガス燃料供給ラインに水素ガスを供給する水素ガス供給システムであって、この水素ガス供給システムは、電気分解による水素ガス発生装置で発生した水素ガスをガス燃料供給ラインに送り込むメインラインと、このメインラインに水素吸蔵合金ボンベからの水素ガスを送り込むサブラインとから構成した。
【0014】
また本願の第4発明にかかるエンジンへの水素ガス供給システムは、ガスエンジンのガス燃料供給ラインに水素ガスを供給する水素ガス供給システムにおいて、この水素ガス供給システムは、電気分解による水素ガス発生装置に一端が接続されるメインラインと、このメインラインの途中に設けられる水素吸蔵合金ボンベとを備え、前記水素ガス発生装置で発生した水素ガスを一旦水素吸蔵合金ボンベ内に送り込み、この水素吸蔵合金ボンベからエンジンへのガス燃料供給ラインに水素ガスを供給する構成とした。
【0015】
尚、基本構成は第1発明のようにメインラインとサブラインで水素ガス供給ラインを構成し、余剰の水素ガスが発生した場合には、水素ガス発生装置と水素吸蔵合金ボンベとをつなぐ第3のラインで水素吸蔵合金ボンベに余剰水素を蓄える構成としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本願の水素ガス供給システムによれば、水素ガス発生装置として単位時間当たりの水素発生量が大きなものを選定しなくても、エンジンへの負荷変動に伴って添加水素の必要量が増加しても、当該増加分を水素吸蔵合金ボンベからの水素で補うことができる。したがって、水素ガス発生装置として比較的小型の装置を用いることができ、設置の自由度が高くなる。
【0017】
第2発明に係る水素ガス供給システムによれば、水素吸蔵合金ボンベには常に水素ガス発生装置からの水素ガスが供給されるため、水素吸蔵合金ボンベはストレージの役目をなし、第1発明と同様に、水素ガス発生装置として比較的小型の装置を用いることができ、設置の自由度が高くなる。
【0018】
第3及び第4発明によれば、ガス燃料ラインに水素ガスを供給するシステムとした場合にも連続して長時間の水素ガスの供給が可能になる。
【0019】
複数の水素発生装置を使用してもよい。この場合、エンジン負荷変動に応じて、水素発生装置の稼働台数で対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1発明に係る水素ガス供給システムの全体図。
図2】(a)は第1発明の別実施例に係る水素ガス供給システムの全体図、(b)は水素吸蔵合金ボンベの収納態様の別例を示す図、(c)は複数の水素吸蔵合金ボンベの配置態様の別例を示す図。
図3】(a)は図2に示した実施例の一方の水素吸蔵合金ボンベに水素を充填しつつ水素を給気に供給している状態を示す図、(b)は他方の水素吸蔵合金ボンベに水素を充填しつつ水素を給気に供給している状態を示す図。
図4】第2発明に係る水素ガス供給システムの全体図。
図5】第1発明と第2発明の要素を取り入れた水素ガス供給システムの全体図。
図6】ガス燃料供給ラインに水素ガスを供給するシステムの全体図。
図7】ガス燃料供給ラインに水素ガスを供給するシステムの別例の全体図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は第1発明に係る水素ガス供給システムを舶用ディーゼルエンジンに適用した例を示し、舶用ディーゼルエンジン1は、過給機2及び負荷変動があっても、エンジンの回転数を一定の範囲に保持するためのガバナー3、エンジンの回転を低くする減速機5(低速エンジンでは装備されない)およびプロペラシャフト6(出力軸)を備える。
【0022】
また、エンジン内に外気を取り入れる給気ライン(配管)7の一端は前記過給器2となっており、この過給器2を含めた給気ライン7には水素ガス供給システム10を介して微量の水素ガスが送られる。(過給器を持たないエンジンでは、エアーフィルターに水素ガスを入れる)
【0023】
水素ガス供給システム10は、純水を電気分解して水素ガス(酸素ガス)を発生する水素ガス発生装置11と水素吸蔵合金が充填された水素吸蔵合金ボンベ(キャニスター)12を備えている。
【0024】
水素ガス発生装置11で発生した水素ガスはメインライン(配管)13を介して給気ライン7(過給器2を含む)に供給される。メインライン13には水素吸蔵合金ボンベ12内の水素ガスをメインライン13に供給するサブライン14が接続され、メインライン13及びサブライン14には調圧バルブ15,16が設けられている。
【0025】
前記ガバナー3からはエンジンの回転数に対応する信号が制御装置17に送られ、この制御装置17からエンジンンの負荷状態に応じた添加水素量を供給するためのバルブ開度に応じた信号が前記調圧バルブ15,16に送られる。
【0026】
例えば、エンジンの負荷変動が小さいときには、調圧バルブ15を所定量開とし調圧バルブ16は閉じ、水素吸蔵合金ボンベ12内の水素ガスは使用せず水素ガス発生装置11で発生した水素ガスのみを使用し、エンジンの負荷変動が大きくなったときには、調圧バルブ15、16の両方を開とし、水素吸蔵合金ボンベ12内の水素ガスも使用する。
【0027】
尚、水素吸蔵合金ボンベ12内の水素ガス圧力は約4気圧であり、水素ガス発生装置11で発生した水素ガスの貯留部の圧は約7気圧であるので、水素吸蔵合金ボンベ12内の水素ガスが水素ガス発生装置11側に流れることはない。
【0028】
また、水素吸蔵合金ボンベ12内の水素ガスが無くなった場合には、新たなボンベと交換する。尚、水素吸蔵合金ボンベ12への水素ガスの充填は、高圧(例えば7気圧)の水素発生源とつなげておけばよいので、空になった水素吸蔵合金ボンベ12は水素ガス発生装置11とつなげることで、水素を充填することができる。
【0029】
図2(a)は水素吸蔵合金ボンベ12a、12bを用意することで、水素吸蔵合金ボンベの交換を不要とした構成である。即ち、メインラインを分岐してメインライン13a、13bとし、一方のメインライン13aに三方弁16aを介して水素吸蔵合金ボンベ12aのサブライン14aをつなぎ、他方のメインライン13bに三方弁16bを介して水素吸蔵合金ボンベ12bのサブライン14bをつなげている。
【0030】
水素吸蔵合金ボンベに水素を貯蔵する際には発熱反応を起こし、水素吸蔵合金ボンベから水素を放出する際には吸熱反応を起こす。そこで、図2(b)に示すように、水やゲルなどの温度変化抑制材20を充填したタンク19内に水素吸蔵合金ボンベ12a、12bを入れることが考えられる。
【0031】
或いは、図2(c)に示すように、水素吸蔵合金ボンベ12a、12bを熱伝達性の良い金属ベルトなどを用いて抱き合わせることで、発熱反応と吸熱反応を相殺することも考えられる。
【0032】
そして、水素吸蔵合金ボンベ12aを水素添加に用いる場合には、図3(a)に示すように三方弁21を前記制御装置17からの信号で操作して、水素ガス発生装置11からの水素ガスを水素吸蔵合金ボンベ12bに充填し、これと並行して、水素吸蔵合金ボンベ12aからは必要時にメインライン13aに水素ガスを送り込んで水素ガス発生装置11からの水素ガスに加えて給気に供給する。
【0033】
また、水素吸蔵合金ボンベ12aに水素を充填する場合には、図3(b)に示すように、三方弁20を前記制御装置17からの信号で操作して、水素ガス発生装置11からの水素ガスを水素吸蔵合金ボンベ12aに充填し、これと並行して、水素吸蔵合金ボンベ12bからは必要時にメインライン13bに水素ガスを送り込んで水素ガス発生装置11からの水素ガスに加えて給気に供給する。
【0034】
図4は第2発明に係る水素ガス供給システムを舶用ディーゼルエンジンに適用した例を示している。この例では、メインライン13の途中に水素吸蔵合金ボンベ12を設けている。水素ガス発生装置11で発生した水素ガスは水素吸蔵合金ボンベ12に送られ、この水素吸蔵合金ボンベ12内でいったん貯留された後、メインライン13を介して給気ライン7(過給器2を含む)に送られる。
【0035】
図4に示す水素吸蔵合金ボンベ12は両端にノズルを備え、一方のノズルを水素ガス吐出用、他方のノズルを外部からの水素ガス充填用としている。このような構造の水素吸蔵合金ボンベ12は、図1に示した水素吸蔵合金ボンベ12を2つ用意し、軸と直交する方向にボンベを切断し、ノズルが残っている2つのボンベを溶接することが考えられる。
【0036】
図4で示した例では、常に水素吸蔵合金ボンベ12を介して給気ライン7に水素ガスを供給し、水素吸蔵合金ボンベ12は通常のボンベに比較し大量の水素ガスを貯留することができるため、ストレージの役目をなす。
負荷変動の激しい時間帯では、水素吸蔵合金ボンベ12からの水素ガスの消費は大きくなるが、負荷変動が小さい場合には水素ガスの消費よりも水素ガス発生装置11での水素ガスの発生量が多くなる。この余剰の水素ガスを水素吸蔵合金ボンベ12に供給(例えば7気圧)することで、水素吸蔵合金ボンベ12での貯蔵量を多くすることができ、結果として水素ガス発生装置11としてより小さなものを選定できる。
【0037】
図5に示した例は、第1発明と第2発明の一部を取り入れた構造である。即ち、この例では、メインライン13にサブライン14を接続しているが、更に第3のライン18で水素ガス発生装置11からの水素ガスを水素吸蔵合金ボンベ12に送り込む構造としている。
【0038】
この例では、負荷変動の小さい場合には水素吸蔵合金ボンベ12を介して給気ライン7に水素ガスは送られず、水素ガス発生装置11からの水素ガスのみが送られる。
【0039】
図6は第3発明に係る水素ガス供給システムをメタンを主成分とする天然ガス、プロパン、ブタンガスなどを主成分とする石油ガスなどを燃料とする舶用ディーゼルガスエンジンに適用した例を示し、この第3発明の場合は、燃料ガスの燃焼を促進して完全燃焼化するので、メタンスリップのような課題も生じない。尚、前記実施例と同一の部材については同一の番号を付し説明を省略する。ガスエンジンには、ガス燃料だけでなく、液体燃料との切替燃焼、混焼を行うエンジンも含む。
【0040】
メタンを主成分とする天然ガス燃料、石油ガス燃料は、ガス燃料供給ライン21によりエンジン1に供給される。このガス燃料供給ライン21には、水素ガス供給システム10を介して微量の水素ガスが送られる。ガス燃料の圧力が高い場合には、エジェクターを介して、水素ガスが供給される。水素ガスを混合した燃料ガスは、安全区画においては、二重管構造として、内管としてのガス燃料供給ライン21と外管22との間のスペースには、窒素などの不活性ガスを封入するか、乾燥空気を所定回数換気することにより、安全を保つようにしている。
【0041】
水素ガス発生装置11で発生した水素ガスはメインライン(配管)13を介してガス燃料供給ライン21に供給される。また、この第3発明及び第4発明でも図2に示したような2つ(複数)の水素吸蔵合金ボンベ12を用いることができる。
【0042】
図7図6に示して実施例の変形例を示し、この実施例にあっては、水素ガスを供給するメインライン13をガス燃料供給ライン21に合流させず、メインライン13は給気ライン7に合流させ、ガス燃料供給ライン21は直接エンジン1につなげている。
【符号の説明】
【0043】
1…舶用ディーゼルエンジン、2…過給機、3…ガバナー、5…減速機、6…プロペラシャフト(出力軸)、7…給気ライン(配管)、10…水素ガス供給システム、11…水素ガス発生装置、12…水素吸蔵合金ボンベ(キャニスター)、13…メインライン(配管)、14…サブライン、15,16…調圧バルブ、17…制御装置、18…第3のライン、19…収納タンク、20…温度変化抑制材、21…ガス燃料供給ライン、22…外管。



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2020年10月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの給気ラインまたはガスエンジンのガス燃料供給ラインに水素ガスを供給する水素ガス供給システムにおいて、この水素ガス供給システムは、電気分解による水素ガス発生装置で発生した水素ガスを給気ラインに送り込むメインラインと、このメインラインに水素吸蔵合金ボンベからの水素ガスを送り込むサブラインとを備え、前記エンジンまたはガスエンジンはエンジンン回転数を一定の範囲に保持するためのガバナーを備え、このガバナーからのエンジン回転数に対応する信号が制御装置に送られ、また前記水素吸蔵合金ボンベよりも下流側のサブラインには添加水素の供給量を調整するための調圧バルブが設けられ、この調圧バルブの開度は前記制御装置からのエンジン回転数に応じた信号によって調整されることを特徴とする水素ガス供給システム。
【請求項2】
エンジンの給気ラインまたはガスエンジンのガス燃料供給ラインに水素ガスを供給する水素ガス供給システムにおいて、この水素ガス供給システムは、電気分解による水素ガス発生装置に一端が接続されるメインラインと、このメインラインの途中に設けられる水素吸蔵合金ボンベとを備え、前記水素ガス発生装置で発生した水素ガスを一旦水素吸蔵合金ボンベ内に送り込み、この水素吸蔵合金ボンベからエンジンへの給気ラインに水素ガスを供給するとともに、前記エンジンまたはガスエンジンはエンジンン回転数を一定の範囲に保持するためのガバナーを備え、このガバナーからのエンジン回転数に対応する信号が制御装置に送られ、また前記水素吸蔵合金ボンベよりも下流側のメインラインには添加水素の供給量を調整するための調圧バルブが設けられ、この調圧バルブの開度は前記制御装置からのエンジン回転数に応じた信号によって調整されることを特徴とする水素ガス供給システム。
【手続補正書】
【提出日】2020年12月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの給気ラインまたはガスエンジンのガス燃料供給ラインに水素ガスを供給する水素ガス供給システムにおいて、この水素ガス供給システムは、電気分解による水素ガス発生装置で発生した水素ガスを自らの燃焼によって前記エンジンまたはガスエンジンの燃料と給気との混合を促進し完全燃焼を促進するための物質として給気ラインに送り込むメインラインと、このメインラインに水素吸蔵合金ボンベからの水素ガスを送り込むサブラインとを備え、前記エンジンまたはガスエンジンはエンジンン回転数を一定の範囲に保持するためのガバナーを備え、このガバナーからのエンジン回転数に対応する信号が制御装置に送られ、また前記水素吸蔵合金ボンベよりも下流側のサブラインには添加水素の供給量を調整するための調圧バルブが設けられ、この調圧バルブの開度は前記制御装置からのエンジンの負荷状態に応じた添加水素量を供給するためのバルブ開度に応じた信号によって調整されることを特徴とする水素ガス供給システム。
【請求項2】
エンジンの給気ラインまたはガスエンジンのガス燃料供給ラインに水素ガスを供給する水素ガス供給システムにおいて、この水素ガス供給システムは、電気分解による水素ガス発生装置に一端が接続されるメインラインと、このメインラインの途中に設けられる水素吸蔵合金ボンベとを備え、前記水素ガス発生装置で発生した水素ガスを一旦水素吸蔵合金ボンベ内に送り込み、この水素吸蔵合金ボンベからエンジンへの給気ラインに水素ガスを自らの燃焼によって前記エンジンまたはガスエンジンの燃料と給気との混合を促進し完全燃焼を促進するための物質として供給するとともに、前記エンジンまたはガスエンジンはエンジンン回転数を一定の範囲に保持するためのガバナーを備え、このガバナーからのエンジン回転数に対応する信号が制御装置に送られ、また前記水素吸蔵合金ボンベよりも下流側のメインラインには添加水素の供給量を調整するための調圧バルブが設けられ、この調圧バルブの開度は前記制御装置からのからのエンジンの負荷状態に応じた添加水素量を供給するためのバルブ開度に応じた信号によって調整されることを特徴とする水素ガス供給システム。