【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
<触媒調製>
Y型ゼオライト(ZEOLYST INTERNATIONAL製「CBV720」、以下同じ)を金属前駆体水溶液中に添加し、80℃で、12時間撹拌し、ろ過した。ろ過後、1500mlのイオン交換水で洗浄し(500ml×3回)、80℃で、6時間乾燥し、金属/ゼオライト触媒を調製した。金属/ゼオライト全体に対する金属量が2質量%となるように調製した。
以下の各金属前駆体水溶液10mlを用いて、各金属を担持するゼオライト触媒2gを調製した。
【0052】
Cs/Yゼオライト触媒:3.2×10
−2MのCsNO
3(関東化学株式会社)水溶液。
Na/Yゼオライト触媒:1.8×10
−1MのNaNO
3(富士フイルム和光純薬株式会社製)水溶液。
K/Yゼオライト触媒:1.1×10
−1MのKNO
3(関東化学株式会社製)水溶液。
Rb/Yゼオライト触媒:5.0×10
−2MのRbNO
3(SIGMA−ALDRICH製)水溶液。
Mg/Yゼオライト触媒:1.8×10
−1MのMg(NO
3)
2・6H
2O(富士フイルム和光純薬株式会社)水溶液。
Ca/Yゼオライト触媒:3.2×10
−2MのCa(NO
3)
2・4H
2O(SIGMA−ALDRICH製)水溶液。
Sr/Yゼオライト触媒:4.9×10
−2MのSr(NO
3)
2(SIGMA−ALDRICH製)水溶液。
Ba/Yゼオライト触媒:3.1×10
−2MのBa(NO
3)
2(SIGMA−ALDRICH製)水溶液。
【0053】
(製造例1)
<ベンゾニトリル製造>
製造例1の処方及び評価結果を表1に示す。
Cs/Yゼオライト触媒を用いて、トルエンを酸化して、ベンゾニトリルを製造した。
ベンゾニトリルの製造は、
図1に示す固定床流通式反応装置を用いて行った。
直径6mm(内径4mm)、長さ25mmの反応管に、表1に示す添加量のCs/Yゼオライト触媒を入れ、反応管を電気炉内に配置した。
【0054】
電気炉内で反応管内の試料を、以下の条件で酸化処理した。
触媒:Cs/Yゼオライト触媒
触媒量:表中に記載
反応温度:350℃
反応ガス組成:トルエン:O
2:NH
3:He=0.2:1.0:1.8:5.0(体積比)
トルエン流量:0.2ml/min
反応時間:30〜180分
【0055】
<評価>
反応管から排出される排出ガスをそれぞれ1mlずつサンプリングバルブで採取し、これらを株式会社島津製作所製「GC−2014」を用いて、FID検出器、TCD検出器に導入して、反応生成物を検出した。検出器の詳細は以下の通りである。
FID検出器:a ZB−WAXplus capillary column」、30m×0.25mm×0.25μm、Phenomenex社製、カラム温度は保持時間0〜2分間は110℃で、それ以降は25℃/分の昇温速度で210℃まで昇温し、その後210℃に保持した。
TCD検出器:「a WG−100 column」、GL Science Japan製、カラム温度50℃。
ガスクロマトグラフの測定データは、株式会社島津製作所製「LabSolutions LC/GC」のソフトウェアを用いて解析した。
【0056】
トルエン転化率及びベンゾニトリル選択率は、カーボンバランス(炭素による物質量で判断)一定として行った。
トルエン転化率及びベンゾニトリル選択率は、触媒反応後の物質量(未反応物と生成物)の値を利用して、以下の式から求めた。トルエンは、C
6H
5CH
3と表し、ベンゾニトリルは、PhCNと表す。
【0057】
【数1】
【0058】
[注:C
6H
5CH
3の一個のトルエン分子から7個のCO
2二酸化炭素分子ができる。]
【0059】
NH
3消費量/PhCN生成量は、触媒反応中で、一定時間に一定量の触媒で反応したアンモニアの物質量と生成したベンゾニトリルの物質量で判断し、以下の式から求めた。
【0060】
【数2】
【0061】
アンモニア転化率は、窒素による物質量で判断し、以下の式から求めた。
【0062】
【数3】
【0063】
トルエン転化率、ベンゾニトリル選択率、及びNH
3消費量/PhCN生成量の計算に使われる物質量の求め方は、ガスクロマトグラフによる面積を利用した。
測定対象とする物質の物質量が違う数種類の試料(気体及び液体)をガスクロマトグラフで測定した。測定によって出た面積を用いて、物質量と面積の一次関数を作り、係数を導き出した。それで、導き出した係数を用いて、触媒反応を行う際に検出した面積を係数に掛ける事で対象とする物質量を導き出した。
【0064】
【表1】
【0065】
表中に示すとおり、Cs/Yゼオライト触媒を用いることで、ベンゾニトリル(PhCN)を効率よく生成することができ、さらにNH
3消費量を削減することができた。
また、Cs/Yゼオライト触媒の添加量が0.4g以上であることで、トルエン転化率をより高めることができた。
【0066】
(製造例2)
<ベンゾニトリル製造>
製造例2の処方及び評価結果を表2に示す。
Cs/Yゼオライト触媒を用いて、トルエンを酸化して、ベンゾニトリルを製造した。
表中に示す反応温度とし、下記条件とした以外は、上記製造例1と同様にした。
【0067】
電気炉内で反応管内の試料を、以下の条件で酸化処理した。
触媒:Cs/Yゼオライト触媒
触媒量:0.5g
反応温度:表中に記載
反応ガス組成:トルエン:O
2:NH
3:He=0.2:1.0:1.8:5.0(体積比)
トルエン流量:0.2ml/min
反応時間:30〜180分
【0068】
上記製造例1と同様にして、トルエン転化率、ベンゾニトリル選択率、NH
3消費量/PhCN生成量を求めた。
【0069】
【表2】
【0070】
表中に示すとおり、Cs/Yゼオライト触媒を用いることで、ベンゾニトリル(PhCN)を効率よく生成することができ、さらにNH
3消費量を削減することができた。
また、反応温度が350℃以上であることで、トルエン転化率をより高めることができた。
【0071】
(製造例3)
<ベンゾニトリル製造>
製造例3の処方及び評価結果を表3に示す。
表中に示す触媒を用いて、トルエンを酸化して、ベンゾニトリルを製造した。
表中に示す触媒とし、下記条件とした以外は、上記製造例1と同様にした。
【0072】
電気炉内で反応管内の試料を、以下の条件で酸化処理した。
触媒:表中に記載
触媒量:0.5g
反応温度:350℃
反応ガス組成:トルエン:He:O
2:NH
3=0.2:5.0:1.0:1.8(体積比)
トルエン流量:0.2ml/min
反応時間:30〜180分
【0073】
用いた触媒は、以下の担持体を用いた他は、上記した触媒調製のCs/Yゼオライト触媒と同様にして、調製した。
Zeolyst社製SiO
2/Al
2O
3(30):Yゼオライト、ZEOLYST INTERNATIONAL製「CBV720」。
Zeolyst社製SiO
2/Al
2O
3(12):Yゼオライト、ZEOLYST INTERNATIONAL製「CBV712」。
Zeolyst社製SiO
2/Al
2O
3(5.2):Yゼオライト、ZEOLYST INTERNATIONAL製「CBV500」。
TOSOH社製SiO
2/Al
2O
3(115):Yゼオライト、東ソー株式会社製「HSZ−300シリーズ 385HUA」。
カッコ内は、SiO
2/Al
2O
3のモル比である。
【0074】
上記製造例1と同様にして、トルエン転化率、ベンゾニトリル選択率、NH
3消費量/PhCN生成量を求めた。
【0075】
【表3】
【0076】
表中に示すとおり、Cs/Yゼオライト触媒を用いることで、ベンゾニトリル(PhCN)を効率よく生成することができ、さらにNH
3消費量を削減することができた。
また、ゼオライトのSiO
2/Al
2O
3のモル比が10〜30でよりよい結果が得られた。SiO
2の割合が多くなることで、ベンゾニトリル選択率がより高くなることがわかった。また、NH
3消費量をより削減することができた。
【0077】
(製造例4)
<ベンゾニトリル製造>
製造例4の処方及び評価結果を表4に示す。
表中に示す触媒を用いて、トルエンを酸化して、ベンゾニトリルを製造した。
表中に示す触媒とし、下記条件とした以外は、上記製造例1と同様にした。
【0078】
電気炉内で反応管内の試料を、以下の条件で酸化処理した。
触媒:表中に記載
触媒量:0.2g
反応温度:350℃
反応ガス組成:トルエン:O
2:NH
3:He=0.2:1.0:1.8:5.0(体積比)
トルエン流量:0.2ml/min
反応時間:30〜180分
【0079】
用いた触媒は、以下の担持体を用いた他は、上記した触媒調製のCs/Yゼオライト触媒と同様にして、調製した。
Cs/SiO
2−Al
2O
3:富士フイルム和光純薬株式会社製「ケイ酸アルミニウム、Al
2O
3・3SiO
2」。
Cs/β Zeolite:ZEOLYST INTERNATIONAL製「CP814E」。
Cs/Y Zeolite:上記した触媒調製のCs/Yゼオライト触媒を用いた。
【0080】
上記製造例1と同様にして、トルエン転化率、ベンゾニトリル選択率、NH
3消費量/PhCN生成量を求めた。
【0081】
【表4】
【0082】
表中に示すとおり、担持体がゼオライトである触媒を用いることで、ベンゾニトリル(PhCN)を効率よく生成することができ、さらにNH
3消費量を削減することができた。
また、ゼオライトがY型ゼオライトであることで、トルエン転化率がより改善された。
例4−1は、ゼオライトの組成比SiO
2/Al
2O
3と近い無定形シリカアルミナ(SiO
2・Al
2O
3)を担体に用いているが、ベンゾニトリルは生成されなかった。
【0083】
(製造例5)
<ベンゾニトリル製造>
製造例5の処方及び評価結果を表5に示す。
表中に示す触媒を用いて、トルエンを酸化して、ベンゾニトリルを製造した。
表中に示す触媒とし、下記条件とした以外は、上記製造例1と同様にした。
【0084】
電気炉内で反応管内の試料を、以下の条件で酸化処理した。
触媒:表中に記載
触媒量:0.2g
トルエン流量:0.2ml/min
反応温度:350℃
反応ガス組成:トルエン:O
2:NH
3:He=0.2:1.0:1.8:5.0(体積比)
反応時間:30〜180分
【0085】
用いた触媒は、上記した触媒調製で説明した通りである。
上記製造例1と同様にして、トルエン転化率、ベンゾニトリル選択率、NH
3消費量/PhCN生成量を求めた。
【0086】
【表5】
【0087】
表中に示すとおり、アルカリ金属/ゼオライト触媒を用いることで、ベンゾニトリル(PhCN)を効率よく生成することができ、さらにNH
3消費量を削減することができた。
また、触媒がCs/Yゼオライト触媒であることで、トルエン転化率がより改善され、さらにNH
3消費量をより削減することができた。
【0088】
(製造例6)
<ベンゾニトリル製造>
製造例6の処方及び評価結果を表6に示す。
表中に示す触媒を用いて、トルエンを酸化して、ベンゾニトリルを製造した。
表中に示す触媒とし、下記条件とした以外は、上記製造例1と同様にした。
【0089】
電気炉内で反応管内の試料を、以下の条件で酸化処理した。
触媒:表中に記載
触媒量:0.2g
トルエン流量:0.2ml/min
反応温度:350℃
反応ガス組成:トルエン:O
2:NH
3:He=0.2:1.0:1.8:5.0(体積比)
反応時間:30〜180分
【0090】
用いた触媒は、上記した触媒調製で説明した通りである。
上記製造例1と同様にして、トルエン転化率、ベンゾニトリル選択率、NH
3消費量/PhCN生成量を求めた。
【0091】
【表6】
【0092】
表中に示すとおり、アルカリ土類金属/ゼオライト触媒を用いることで、ベンゾニトリル(PhCN)を効率よく生成することができた。
【0093】
(製造例7)
<芳香族ニトリル化合物の製造>
製造例7の処方及び評価結果を表7に示す。
Cs/Yゼオライト触媒を用いて、表中に示す原料化合物を酸化して、主生成物である芳香族ニトリル化合物を製造した。
表中に示す原料化合物とし、下記条件とした以外は、上記製造例1と同様にした。
【0094】
電気炉内で反応管内の試料を、以下の条件で酸化処理した。
触媒:Cs/Yゼオライト触媒
触媒量:0.4g
反応温度:350℃
反応ガス組成:トルエン:O
2:NH
3:He=0.2:1.0:1.8:5.0(体積比)
トルエン流量:0.2ml/min
反応時間:30〜180分
【0095】
表7に示す原料化合物の詳細は以下の通りである。
p−キシレン:富士フイルム和光純薬株式会社製。
m−キシレン:富士フイルム和光純薬株式会社製。
o−キシレン:富士フイルム和光純薬株式会社製。
【0096】
上記製造例1と同様にして、トルエン転化率に対応する原料化合物の転化率、ベンゾニトリル選択率に対応する主生成物の選択率を求めた。
【0097】
【表7】
【0098】
表中に示すとおり、Cs/Yゼオライト触媒を用いることで、キシレン化合物から芳香族ニトリル化合物を効率よく生成することができた。詳しくは、キシレン化合物において、ベンゼン環に直接結合する2個のメチル基うち1個のみを選択してニトリル化し、シアノトルエン化合物を生成することができた。
p−キシレンは、分子構造から、ゼオライトの孔部に入り込みやすく、原料化合物の転化率が高くなったと考えられる。
【0099】
(製造例8)
<芳香族ニトリル化合物の製造>
製造例8の処方及び評価結果を表8に示す。
Cs/Yゼオライト触媒を用いて、表中に示す原料化合物を酸化して、ベンゾニトリルを製造した。
表中に示す原料化合物とし、下記条件とした以外は、上記製造例1と同様にした。
【0100】
電気炉内で反応管内の試料を、以下の条件で酸化処理した。
触媒:Cs/Yゼオライト触媒
触媒量:0.4g
反応温度:350℃
反応ガス組成:トルエン:O
2:NH
3:He=0.2:1.0:1.8:5.0(体積比)
トルエン流量:0.2ml/min
反応時間:30〜180分
【0101】
表中に示す原料化合物の詳細は以下の通りである。
1−クロロ−3−メチルベンゼン:SIGMA−ALDRICH製。
1−クロロ−4−メチルベンゼン:SIGMA−ALDRICH製。
m−ニトロトルエン:富士フイルム和光純薬株式会社製。
【0102】
上記製造例1と同様にして、トルエン転化率に対応する原料化合物の転化率、ベンゾニトリル選択率に対応する主生成物の選択率を求めた。
【0103】
【表8】
【0104】
表中に示すとおり、Cs/Yゼオライト触媒を用いることで、クロロメチルベンゼン化合物からクロロベンゼンニトリル化合物を効率よく生成することができた。詳しくは、クロロメチルベンゼン化合物において、ベンゼン環に直接結合する1個のメチル基をニトリル化し、クロロベンゾニトリル化合物を生成することができた。
1−クロロ−4−メチルベンゼンは、分子構造から、ゼオライトの孔部に入り込みやすく、原料化合物の転化率が高くなったと考えられる。
また、Cs/Yゼオライト触媒を用いることで、ニトロトルエン化合物からシアノニトロトルエン化合物を効率よく生成することができた。
【0105】
(製造例9)
<ベンゾニトリル製造>
製造例9の処方及び評価結果を表9に示す。
表中に示すトルエン流量とし、トルエンを酸化して、ベンゾニトリルを製造した。
表中に示すトルエン流量とし、下記条件とした以外は、上記製造例1と同様にした。
【0106】
電気炉内で反応管内の試料を、以下の条件で酸化処理した。
触媒:Cs/Yゼオライト触媒
触媒量:0.2g
反応温度:350℃
反応ガス組成(流量比):O
2:NH
3:He=1.0:1.8:5.0(ml/min)
トルエン流量:表中に記載
反応時間:30〜180分
【0107】
上記製造例1と同様にして、トルエン転化率、ベンゾニトリル選択率、NH
3消費量/PhCN生成量を求めた。
【0108】
【表9】
【0109】
表中に示すとおり、Cs/Yゼオライト触媒を用いることで、ベンゾニトリル(PhCN)を効率よく生成することができた。
トルエン流量が速くなると、触媒とトルエンとの接触時間が短くなるため、トルエン転化率が低下したと考えられる。トルエン流量が遅くてもベンゾニトリル選択率は低下しないことからも、トルエン流量が0.20ml/minである場合により良い結果が得られることがわかる。
【0110】
(製造例10)
<ベンゾニトリル製造>
製造例10の処方及び評価結果を表10に示す。
表中に示すCs/Yゼオライト触媒のCs担持量(質量%)とし、トルエンを酸化して、ベンゾニトリルを製造した。
表中に示すCs担持量(質量%)とし、下記条件とした以外は、上記製造例1と同様にした。
【0111】
電気炉内で反応管内の試料を、以下の条件で酸化処理した。
触媒:表中に記載のCs担持量(質量%)のCs/Yゼオライト触媒
触媒量:0.2g
反応温度:350℃
反応ガス組成:トルエン:O
2:NH
3:He=0.2:1.0:1.8:5.0(体積比)
トルエン流量:0.2ml/min
反応時間:30〜180分
【0112】
上記製造例1と同様にして、トルエン転化率、ベンゾニトリル選択率、NH
3消費量/PhCN生成量を求めた。
【0113】
【表10】
【0114】
表中に示すとおり、Cs/Yゼオライト触媒を用いることで、ベンゾニトリル(PhCN)を効率よく生成することができた。
トルエン転化率は、Cs/Yゼオライト触媒全量に対しCs担持量(質量%)が1質量%以上でより良好であり、1質量%〜3質量%でさらに良好であった。Cs担持量が少ないと、触媒活性が低下することが、反応性低下の一因と考えられる。また、Cs担持量が多いと、低反応性のCsサイトが形成されそれが増えてしまい触媒活性が低下するものと考えられる。
【0115】
(製造例11)
<ベンゾニトリル製造>
製造例11の処方及び評価結果を表11に示す。
表中に示す反応温度とし、トルエンを酸化して、ベンゾニトリルを製造した。
表中に示す反応温度とし、下記条件とした以外は、上記製造例1と同様にした。
【0116】
電気炉内で反応管内の試料を、以下の条件で酸化処理した。
触媒:Cs/Yゼオライト触媒
触媒量:0.2g
反応温度:表中に記載
反応ガス組成:トルエン:O
2:NH
3:He=0.2:1.0:1.8:5.0(体積比)
トルエン流量:0.2ml/min
反応時間:30〜180分
【0117】
上記製造例1と同様にして、トルエン転化率、ベンゾニトリル選択率、NH
3消費量/PhCN生成量を求めた。
【0118】
【表11】
【0119】
表中に示すとおり、Cs/Yゼオライト触媒を用いることで、ベンゾニトリル(PhCN)を効率よく生成することができ、さらにNH
3消費量を削減することができた。
また、反応温度が350℃以上であることで、トルエン転化率をより高めることができた。
また、反応温度が低い方が、ベンゾニトリル選択率がより高かった。反応温度が高くなると、過剰な酸化、副反応等が進行して、副生成物が生成するからと考えられる。
この点から、反応温度は330〜400℃が好ましく、340〜370℃がより好ましい。
【0120】
(製造例12)
上記した製造例1−2の例(製造例11−3の例と同じ)について、反応時間に対するトルエン転化率及びベンゾニトリル選択率を測定した。結果を
図2に示す。
図2に示す通り、Cs/Yゼオライト触媒を用いることで、長時間にわたって、ベンゾニトリル(PhCN)を効率よく生成することができた。
【0121】
(製造例13)
上記した製造例1−2の例(製造例11−3の例と同じ)について、Cs担持前のY型ゼオライト、反応前のCs/Yゼオライト触媒、及び4時間反応後のCs/Yゼオライト触媒について、XRD分析をした。
XRD結果から、Cs担持前のY型ゼオライトに対して、反応前のCs/Yゼオライト触媒でも、4時間反応後のCs/Yゼオライト触媒でも、ピーク変化に有意差は確認されなかった。このことから、Csの担持によっても、長時間の反応後においても、Y型ゼオライトの骨格は変化せず安定に保たれており、Cs/Yゼオライト触媒は化学変化せず、長時間にわたって触媒活性を備えることがわかる。また、反応後のCs/Yゼオライト触媒を再利用する用途にも適用可能であることがわかる。