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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-71876(P2021-71876A)
(43)【公開日】2021年5月6日
(54)【発明の名称】静電容量式タッチパネルの操作ノブ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20210409BHJP
   G06F 3/0362 20130101ALI20210409BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20210409BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20210409BHJP
【FI】
   G06F3/03 400F
   G06F3/0362 461
   G06F3/041 560
   G06F3/044 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-197583(P2019-197583)
(22)【出願日】2019年10月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095636
【弁理士】
【氏名又は名称】早崎 修
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 友彦
(72)【発明者】
【氏名】岡村 量
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA09
5B087BC13
5B087BC34
(57)【要約】
【課題】 操作ノブに備えられる複数のノブ電極間を導電板で接続することによる入力位置の誤検出を防止する静電容量式タッチパネルの操作ノブを提供する。
【解決手段】
絶縁ノブ本体に取り付けられる全てのノブ電極の各リング接触部の少なくともその一部をノブ本体の上端から10mm以内の外側面にリング状に露出させる。操作者が操作ノブを摘んで操作する際に、操作者の指が全てのノブ電極のリング接触部に触れて、全てのノブ電極が接地されるので、静電容量式タッチパネルは、複数の各ノブ電極の位置を確実に検出できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の検出電極が配線された静電容量式タッチパネルの検出面の上方に配置される絶縁性のノブ本体と、
前記ノブ本体に取り付けられるノブ電極とを備え、
前記ノブ電極に対向する前記検出面の位置で前記検出電極の静電容量が変化することから、前記静電容量式タッチパネルが、前記検出面上の前記操作ノブの入力位置を検出する静電容量式タッチパネルの操作ノブであって、
前記ノブ本体に、複数の前記ノブ電極が互いに絶縁して取り付けられ、
複数の前記各ノブ電極は、それぞれ、前記ノブ本体の外側面に露出するリング接触部と、前記リング接触部に電気接続し、底面部が前記ノブ本体の底部に配置される導電ピンとを有し、
前記絶縁ノブ本体に取り付けられる全ての前記ノブ電極のリング接触部は、少なくともその一部が、操作ノブを掴む操作者の指が触れる前記ノブ本体の上端から所定の距離以内の外側面にリング状に露出することを特徴とする静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【請求項2】
前記所定の距離は、10mm以内であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【請求項3】
いずれかの前記ノブ電極の前記リング接触部は、細長帯状導電板から形成され、細長帯状導電板の表面が前記ノブ本体の外側面に沿って露出することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【請求項4】
前記ノブ本体の最上段に取り付けられる前記リング接触部は、前記ノブ本体の上面に沿って取り付けられる導電板で形成され、前記ノブ本体の外側面と上面に露出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【請求項5】
前記ノブ本体は、上方から前記タッチパネルの検出面を目視する貫通孔が穿設されることにより筒状に形成され、
いずれかの前記ノブ電極の前記導電ピンは、他の前記ノブ電極の前記リング接触部に対向する軸部の外径が、前記底面部の外径に比べて小径となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【請求項6】
前記ノブ本体に、操作者に応じた特定の数の前記ノブ電極が互いに絶縁して取り付けられることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式タッチパネルの検出面上に配置され、検出面に沿って移動させることにより静電容量式タッチパネルへ入力操作を行う静電容量式タッチパネルの操作ノブに関し、更に詳しくは、複数のノブ電極が取り付けられた静電容量式タッチパネルの操作ノブに関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量式タッチパネルは、操作ノブのノブ電極が接近することにより、検出電極の浮遊容量(ノブ電極と検出電極間の静電容量)が増大することに着目し、静電容量が変化した検出電極の配線位置から操作ノブの検出面上の入力位置を検出している。例えば、相互容量方式で入力位置を検出するタッチパネルでは、タッチパネルの検出面のX方向に沿って交流検出信号を出力する複数本の駆動電極Tyと、Y方向沿って 交流検出信号を検出する複数の検出電極Rxがそれぞれの交差位置(x、y)で互いに絶縁して配線されている。いずれかの交差位置(x、y)に操作者が手に持って接地された操作ノブのノブ電極が接近すると、その交差位置(x、y)の駆動電極Tyに出力される交流検出信号の一部が、駆動電極Tyと操作ノブのノブ電極間の静電容量を介して操作者に流れ、その交差位置(x、y)の検出電極Rxから検出する交流検出信号の検出電圧V(x、y)が低下する。従って、タッチパネルは、交流検出信号を出力した駆動電極Tyと交流検出信号の検出電圧V(x、y)が低下した検出電極Rxとの交差位置(x、y)から操作ノブの入力位置を検出している。
【0003】
一方、操作ノブの特定の回転軸周りの回転入力操作を検出するために、複数のノブ電極を配置した操作ノブや、3つ以上のノブ電極を操作ノブ毎に操作ノブの異なる位置に配置し、静電容量式タッチパネルで検出する各電ノブ極の相対位置から特定の操作ノブを判別可能とする操作ノブが特許文献1、特許文献2等で知られている。
【0004】
以下、特許文献1に記載の静電容量式タッチパネルの操作ノブ100を、図11図12を用いて説明する。図11(a)は、操作ノブ100の斜視図であり、導電性の側板部101aと絶縁樹脂製の底板部101bとからなる円筒枡形のケース101と、底板部101b上に立設され、それぞれ周囲の一部が側板部101aに電気接続する3本のロッド状のノブ電極102a、102b、102cとから構成されている。3本のノブ電極102a、102b、102cは、円形の底板部101bの中心周りの同心円上に120度間隔で底板部101bに取り付けられているので、同図(b)に示すように、3本のノブ電極102a、102b、102c間の間隔は等しく、各ノブ電極102a、102b、102cの位置を頂点とする正三角形が形成される。
【0005】
操作ノブ100は、底板部101bを静電容量式タッチパネル(以下、単にタッチパネルという)110の検出面110a上に配置し、検出面110aの平面上を移動操作してタッチパネル110への入力操作を行うもので、検出面110aとノブ電極102の間に介在するケース101の底板部101bは、図11(c)に示すように、タッチパネル110においてノブ電極102による静電容量の変化を検出可能な程度に充分に薄い構造となっている。
【0006】
操作者の一部が接地されているとして、操作ノブ100を入力操作する操作者の指が導電性の側板部101aに触れると、側板部101aを介して3本のノブ電極102a、102b、102cが接地され、検出面110a上のノブ電極102a、102b、102cが配置された位置での検出電極との静電容量が変化し、図12に示すように、タッチパネル110は、検出面110aの各ノブ電極102a、102b、102cの位置をそれぞれタッチ点T1、T2、T3として検出する。また、ノブ電極102が上述位置に配置されていない、例えば、操作ノブ100によらず、操作者の2本の指を直接、検出面110aに接近させて入力操作すると、同様にその2本の指の各位置での静電容量が変化するので、タッチパネル110は、検出面110aの2本の指が接近する位置をタッチ点T4、T5として検出する。
【0007】
操作ノブ100を用いた入力操作において、タッチパネル110で検出される3点のタッチ点T1、T2、T3を頂点とする形状は、操作ノブ100に特有の正三角形となるので、3点の各タッチ点T1、T2、T3間の距離が等間隔である場合に、操作ノブ100による入力操作と判別し、タッチ点T1、T2、T3の位置を操作ノブ100の入力位置として検出する。一方、少なくとも2点の他のタッチ点Tとの距離が等距離とならないタッチ点T4やタッチ点T5は、正三角形の頂点となり得ないので、操作ノブ100以外の指等の入力操作と判別する。これにより、操作者毎にノブ電極間の位置が異なる操作ノブ100を割り当てれば、タッチパネル110で検出する複数のタッチ点Tの相対位置から、特定の操作者による入力操作を判別できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6391893号公報
【特許文献2】再公表特許WO2016/166793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の通り、操作ノブに取り付けられた複数のノブ電極の検出面上の位置を、タッチパネル側で高精度に検出するためには、全てのノブ電極が接地接続される必要があり、従来の操作ノブ100では、操作者が触れて接地される導電板(側板部101a)に全てノブ電極102a、102b、102cを電気接続させている。
【0010】
しかしながら、複数の電極102a、102b、102cが共通の導電板で短絡していると、いずれかのノブ電極が近接する交差位置(x、y)に配線された駆動電極Ty若しくは検出電極Rxと、他のノブ電極が近接する交差位置(x’、y’)に配線された駆動電極Ty’若しくは検出電極Rx’とが、ノブ電極間を短絡する導電板を介して容量結合し、操作者が操作せずに単にタッチパネルの検出面上に操作ノブを配置しただけでも、操作ノブによる入力操作と誤検出する場合が生じた。すなわち、いずれかのノブ電極を操作者が触れていない場合であっても、そのノブ電極に近接する交差位置(x、y)に配線された駆動電極Tyに出力される交流検出信号の一部が、他のノブ電極に近接する交差位置(x’、y’)に配線された低インピーダンスで接地接続する駆動電極Ty’や検出電極Rx’に流れ、上記交差位置(x、y)に配線される検出電極Rxから検出される検出電圧V(x、y)が低下することから、その交差位置(x、y)を電極の入力位置と誤検出するという問題があった。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、操作ノブに備えられる複数のノブ電極間を導電板で接続することによる入力位置の誤検出を防止する静電容量式タッチパネルの操作ノブを提供することを目的とする。
【0012】
また、複数のノブ電極を、入力操作の際に接地させるために導電板で接続する必要のない静電容量式タッチパネルの操作ノブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するため、請求項1の静電容量式タッチパネルの操作ノブは、多数の検出電極が配線された静電容量式タッチパネルの検出面の上方に配置される絶縁性のノブ本体と、ノブ本体に取り付けられるノブ電極とを備え、ノブ電極に対向する検出面の位置で検出電極の静電容量が変化することから、静電容量式タッチパネルが、検出面上の操作ノブの入力位置を検出する静電容量式タッチパネルの操作ノブであって、ノブ本体に、複数のノブ電極が互いに絶縁して取り付けられ、複数の各ノブ電極は、それぞれ、ノブ本体の外側面に露出するリング接触部と、リング接触部に電気接続し、底面部がノブ本体の底部に配置される導電ピンとを有すし、
前記絶縁ノブ本体に取り付けられる全ての前記ノブ電極のリング接触部は、少なくともその一部が、操作ノブを掴む操作者の指が触れる前記ノブ本体の上端から所定の距離以内の外側面にリング状に露出することを特徴とする。
【0014】
操作ノブが検出面上に配置されているだけでは、複数のノブ電極は接地されず、各ノブ電極間が短絡していることもないので、静電容量式タッチパネルは、操作ノブの入力位置を誤検出しない。
【0015】
操作者が操作ノブを入力操作する際には、全てのノブ電極の各リング接触部が、操作ノブを掴む操作者の指が触れるノブ本体の上端から所定の距離以内の外側面に露出するので、全てのノブ電極に操作者の指が確実に触れて接地される。接地された各ノブ電極は、導電ピンの底面部が検出面に近接して対向し、検出面の位置に配線された検出電極の静電容量が大きく変化する。
【0016】
請求項2の静電容量式タッチパネルの操作ノブは、所定の距離は、10mm以内であることを特徴とする。
【0017】
操作者が操作ノブを入力操作する際には、全てのノブ電極の各リング接触部がノブ本体の上端から10mm以内の外側面に露出するので、全てのノブ電極に操作者の指が確実に触れて接地される。接地された各ノブ電極は、導電ピンの底面部が検出面に近接して対向し、検出面の位置に配線された検出電極の静電容量が大きく変化する。
【0018】
請求項3の静電容量式タッチパネルの操作ノブは、いずれかの電極のリング接触部が、細長帯状導電板から形成され、細長帯状導電板の表面がノブ本体の外側面に沿って露出することを特徴とする。
【0019】
いずれかの電極のリング接触部は、細長帯状導電板の表面がノブ本体の外側面に沿って露出するので、上下で対向する他の電極のリング接触部との間に大きい静電容量は生じない。
【0020】
請求項4の静電容量式タッチパネルの操作ノブは、ノブ本体の最上段に取り付けられるリング接触部が、ノブ本体の上面に沿って取り付けられる導電板で形成され、ノブ本体の外側面と上面に露出することを特徴とする。
【0021】
操作者がノブ本体を持って入力操作する際には、全てのノブ電極が操作者の指に触れて接地され、複数の全てのノブ電極の位置が検出される。また、操作者がノブ本体の上面に指を触れて入力操作する際には、最上段にリング接触部が取り付けられたノブ電極のみが操作者の指に触れて接地され、そのノブ電極の位置のみが検出される。
【0022】
請求項5の静電容量式タッチパネルの操作ノブは、ノブ本体が、上方からタッチパネルの検出面を目視する貫通孔が穿設されることにより筒状に形成され、 いずれかのノブ電極の導電ピンは、他のノブ電極のリング接触部に対向する軸部の外径が、底面部の外径に比べて小径となっていることを特徴とする。
【0023】
ノブ本体が筒状に形成されることによって、いずれかのノブ電極の導電ピンは、他のノブ電極のリング接触部に接近するが、他のノブ電極のリング接触部に対向する軸部の外径が小径であるので、水平方向で対向する他の電極のリング接触部との間に大きい静電容量は生じない。
【0024】
請求項6の静電容量式タッチパネルの操作ノブは、ノブ本体に、操作者に応じた特定の数のノブ電極が互いに絶縁して取り付けられることを特徴とする。
【0025】
操作者に応じて異なる数のノブ電極がノブ本体に取り付けられるので、静電容量式タッチパネルは、ノブ電極の入力位置を検出した検出数から、操作ノブを操作する操作者を特定できる。
【発明の効果】
【0026】
請求項1と請求項2の発明によれば、操作者が操作ノブを入力操作しない限り、複数のノブ電極間が電気接続することがないので、検出面上に操作ノブを配置しただけでは、入力位置を誤検出しない。
【0027】
また、操作ノブに、導電板を配置することなく、入力操作の際に全てのノブ電極が接地され、静電容量式タッチパネルは検出面上の各ノブ電極の位置を確実に検出できる。
【0028】
請求項3の発明によれば、上下で対向する他の電極のリング接触部とは、外側面の上下方向で一組のノブ電極のリング接触部が10mm以内の絶縁間隔で隣接しても、小面積で対向するので、誤検出が生じるような大きさの静電容量で結合することがない。
【0029】
請求項4の発明によれば、静電容量式タッチパネルが単数のノブ電極の入力位置を検出するか、複数のノブ電極の入力位置を検出するかで、操作ノブへの入力操作を判別できる。
【0030】
請求項5の発明によれば、操作者は、貫通孔を通して、静電容量式タッチパネルの検出面を通して表示される表示を見ながら、操作ノブを持って入力操作することができる。
【0031】
また、ノブ電極の入力位置を確実に検出するように、検出面に対向する導電ピンの底面部を所定の大きさの外径としても、他のノブ電極のリング接触部に対向する軸部の外径が底面部に比べて小径であるので、他の電極のリング接触部との間で大きい静電容量で容量結合することがない。
【0032】
請求項6の発明によれば、静電容量式タッチパネルは、操作者毎の操作ノブの入力操作を判別し、検出した操作ノブの入力位置を操作者毎に処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の第1実施の形態に係る静電容量式タッチパネルの操作ノブ1の斜視図である。
図2】操作ノブ1の側面図である。
図3】ノブ電極3Aの第1導電ピン6Aとノブ電極3Bの第2導電ピン6Bに沿って切断した操作ノブ1の縦断面図である。
図4】操作ノブ1の分解斜視図である。
図5】ノブ電極3Aの斜視図である。
図6】ノブ電極3Bの斜視図である。
図7】ノブ電極3Cの斜視図である。
図8】ノブ本体2を除いたノブ電極3A、3B、3Cの斜視図である。
図9】(a)は、静電容量式タッチパネル10の検出面10A上に配置された2種類の操作ノブ1A、1Bを、(b)は、静電容量式タッチパネル10が検出した2種類の操作ノブ1A、1Bのノブ電極3A、3B、3Cの検出位置11A、11B、11Cを、それぞれ示す説明図である。
図10】静電容量式タッチパネルの操作ノブ1の他の入力操作方法を示す斜視図である。
図11】従来の静電容量式タッチパネルの操作ノブ100の(a)は斜視図、(b)は、底面図、(c)は、縦断面図である。
図12】静電容量式タッチパネルで従来の操作ノブ100の入力操作と操作者の指による入力操作を判別する方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の第1実施の形態に係る静電容量式タッチパネルの操作ノブ1を、図1乃至図9を用いて説明する。これらの図に示すように、操作ノブ1は、静電容量式タッチパネル(以下、タッチパネルという)10の検出面10A上に配置して、その配置位置を入力位置としてタッチパネル10へ入力する補助入力装置であり、以下、検出面10Aに直交する鉛直方向を上下方向として各部を説明する。
【0035】
操作ノブ1のうち、図1乃至図4に示す操作ノブ1Aは、絶縁性の合成樹脂で形成されたノブ本体2に、3種類の第1ノブ電極3Aと、第2ノブ電極3Bと、第3ノブ電極3Cとが互いに絶縁して取り付けられている。
【0036】
このうち、ノブ本体2の上面に沿って取り付けられる第1ノブ電極3Aは、図5に示すように、水平面に沿った薄肉の導電性金属板からなるリング状の第1リング接触部4Aと、第1リング接触部4Aの内側から下方に向かってコの字状に一体に連設された連結片5Aと、連結片5Aの下方に固定され、電気接続する第1導電ピン6Aとから構成される。第1導電ピン6Aは、更に、円板部6A1と、円板部6A1の中心から上方に一体に立設される軸部6A2とからなり、底面部となる円板部6A1の大きさは、タッチパネル10の検出面10Aに沿って配線される図示しない検出電極との間に形成される静電容量の変化をタッチパネル10で検出可能な十分な大きさとなっている。一方、軸部6A2は、第1ノブ電極3Aがノブ本体2に取り付けられた際に、他の第2ノブ電極3Bや第3ノブ電極3Cと一定長さの絶縁間隔で隔てられるように円板部6A1の外径より小径となっている。このように構成された第1導電ピン6Aは、第1連結片5Aと軸部6A2の上面から中心軸に沿って下方に螺刻されたネジ穴にネジ12Aをネジ止めして、第1リング接触部4Aに電気接続するとともに固定される。
【0037】
ノブ本体2の中段に取り付けられる第2ノブ電極3Bは、図6に示すように、水平面に沿った薄肉の導電性金属板から形成され、第1リング接触部4Aと外径が同一のリング状の第2リング接触部4Bと、第2リング接触部4Bの内側から水平面に沿って中心方向に一体に連設された第2連結舌片5Bと、第2連結舌片5Bに固定され、電気接続する第2導電ピン6Bとから構成される。第2導電ピン6Bは、更に、円板部6A1と同一外径の円板部6B1と、円板部6B1の中心から上方に一体に立設される軸部6B2とからなり、軸部6B2は、第2ノブ電極3Bがノブ本体2に取り付けられた際に、第3ノブ電極3Cと一定長さの絶縁間隔で隔てられるように円板部6B1の外径より小径となっている。この第2導電ピン6Bは、第2連結舌片5Bと軸部6B2の上面から中心軸に沿って下方に螺刻されたネジ穴にネジ12Bをネジ止めして、第2リング接触部4Bに電気接続するとともに固定される。
【0038】
また、ノブ本体2の最下段に取り付けられる第3ノブ電極3Cは、図7に示すように、薄肉の導電性金属板の幅広の表面が鉛直方向に沿った円筒状で、円筒状の外径が第1リング接触部4A及び第2リング接触部4Bの外径に等しい第3リング接触部4Cと、第3リング接触部4Cの円筒状の上端から水平面に沿って中心方向に一体に連設された第3連結舌片5Cと、第3連結舌片5Cに固定され、電気接続する第3導電ピン6Cとから構成される。第3導電ピン6Cも、円板部6A1と同一外径の円板部6C1と、円板部6C1の中心から上方に一体に立設される軸部6C2とからなっている。この第3導電ピン6Cは、第3連結舌片5Cと軸部6C2の上面から中心軸に沿って下方に螺刻されたネジ穴にネジ12Cをネジ止めして、第3リング接触部4Cに電気接続するとともに固定される。
【0039】
ノブ本体2は、図4に示すように、鉛直方向の中心軸周りに円筒形に形成され、外側面の下方から第3ノブ電極3Cの第3リング接触部4Cを配置する下段部2A1と、下段部2A1より外径が小径となった上段部2A2が形成された円筒ハウジング2Aと、円筒状の第3リング接触部4C内に遊嵌され、鉛直方向に積層される第3リング接触部4Cと第2リング接触部4B間を絶縁する円筒状の下段スペーサ2Bと、第2ノブ電極3Bの第2リング接触部4B及び第1ノブ電極3Aの第1リング接触部4Aの外径に等しい円筒状に形成され、鉛直方向に積層される第2リング接触部4Bと第1リング接触部4Aの間に配置される上段スペーサ2Cとで構成される。
【0040】
これにより、ノブ本体2に鉛直方向に互いに絶縁して積層される第1ノブ電極3Aの第1リング接触部4A、第2ノブ電極3Bの第2リング接触部4B及び第3ノブ電極3Cの第3リング接触部4Cは、ノブ本体2の外側面の全周に露出する。積層状態で、第1リング接触部4A、上段スペーサ2C、第2リング接触部4B及び下段スペーサ2Bの鉛直方向の厚さは、少なくとも10mm未満となるよう、各部の大きさが設定され、ノブ本体2の上端から下方に10mm以内の外周面に、第1ノブ電極3Aの第1リング接触部4A、第2ノブ電極3Bの第2リング接触部4B及び第3ノブ電極3Cの第3リング接触部4Cの一部が露出する。これにより、操作者が操作ノブ1Aを入力操作する際には、自然にノブ本体2を上方から摘み、少なくともノブ本体2の上部から10mm以下の外側面に指が触れるので、その範囲で露出する第1リング接触部4Aと第2リング接触部4Bと第3リング接触部4Cのいずれも操作者の指が触れて接地される。
【0041】
円筒ハウジング2Aの中心軸周りで異なる3カ所の位置に、それぞれ上段部2A2から底面まで貫通する第1貫通孔7A、第2貫通孔7B及び第3貫通孔7Cが穿設されている。このうち、第1貫通孔7Aは、図3に示すように、第1ノブ電極3Aの連結片5Aと、連結片5Aの下方に固定される第1導電ピン6Aとを挿通させるもので、大径の円板部6A1を底面に露出させて収容するために下方の内径は大径となっている。
【0042】
また、第2貫通孔7Bは、円筒ハウジング2Aの中心軸について第1貫通孔7Aの対称位置に穿設され、第2ノブ電極3Bの第2連結舌片5Bと、第2連結舌片5Bの下方に固定される第2導電ピン6Bを収容する。第2貫通孔7Bの下方も、大径の円板部6B1を底面に露出させて収容するために大径となっている。
【0043】
第3貫通孔7Cは、円筒ハウジング2Aの中心軸周りで、第1貫通孔7A及び第2貫通孔7Bと重ならない任意の位置に穿設され、第3ノブ電極3Cの第3連結舌片5Cと、第3連結舌片5Cの下方に固定される第3導電ピン6Cを収容する。第3貫通孔7Cの下方も、大径の円板部6C1を底面に露出させて収容するために大径となっている。
【0044】
従って、操作ノブ1Aの各ノブ電極3A、3B、3Cの円板部6A1、6B1、6C1は、図9(a)に示すタッチパネル10の検出面10A上の3カ所の異なる位置に対向する。
【0045】
図4に示すように、円筒ハウジング2Aの上面に沿って取り付けられるリング状の第1リング接触部4Aの内側には、上方からリング状の絶縁性若しくは導電性のトップカバー8が積層される。これにより、トップカバー8で覆われる第1リング接触部4Aの周囲がノブ本体2の上面に露出し、操作者はノブ本体2の上方から第1リング接触部4Aに触れて、 第1ノブ電極3Aのみを接地させることもできる。
【0046】
トップカバー8と円筒ハウジング2Aの中心側の開口が鉛直方向で連通することにより、操作ノブ1Aを通してタッチパネル10の検出面10Aが目視可能で、ここでは円筒ハウジング2A内にウレキサイト(テレビ石)9を配置し、透明なタッチパネル10を通して検出面10Aに表示される表示を、操作ノブ1Aの上面に表示させている。
【0047】
このように構成された操作ノブ1Aの組立は、初めに第3貫通孔7Cの下方から第3導電ピン6Cの軸部6C2を挿通するとともに、第3貫通孔7Cに第3連結舌片5Cを位置決めしながら、円筒ハウジング2Aの下段部2A1に上方から第3リング接触部4Cを配置し、第3貫通孔7C内で重ねられる第3連結舌片5Cと軸部6C2をネジ12Cでネジ止めして、第3ノブ電極3Cを円筒ハウジング2Aに取り付ける。
【0048】
続いて、第3リング接触部4C内に上方から下段スペーサ2Bを配置した後、下段スペーサ2B上に第2リング接触部4Bを配置するとともに、第2貫通孔7Bの下方から第2導電ピン6Bの軸部6B2を挿通し、第2貫通孔7B内で重ねられる第2連結舌片5Bと軸部6B2をネジ12Bでネジ止めして、第2ノブ電極3Bを円筒ハウジング2Aに取り付ける。
【0049】
その後、第2リング接触部4B上に上段スペーサ2Cを配置し、更にその上方から、連結片5Aを第1貫通孔7Aに収容して回転方向に位置決めした第1リング接触部4Aを重ねる。同時に、第1貫通孔7Aの下方から第1導電ピン6Aの軸部6A2を挿通し、第1貫通孔7A内で重ねられる第1連結舌片5Aと軸部6A2をネジ12Aでネジ止めして、第1ノブ電極3Aを円筒ハウジング2Aに取り付ける。
【0050】
全てのノブ電極3A、3B、3Cをノブ本体2に取り付けた後、上方から円筒ハウジング2Aの開口にウレキサイト9を圧入し、第1リング接触部4A上にトップカバー8を配置し、トップカバー8と円筒ハウジング2Aの間に、積層された第1リング接触部4A、上段スペーサ2C、第2リング接触部4B、下段スペーサ2B及び第3リング接触部4Cを挟持した状態で、トップカバー8と円筒ハウジング2Aにそれぞれ螺合する連結ネジ13、14で共締めし、操作ノブ1Aの全体を一体に組み立てる。
【0051】
ノブ本体2に取り付けられるノブ電極3の数は、各ノブ電極3が互いに絶縁されてノブ電極3の上部から10mm以下の範囲の外側面に露出すれば任意であり、操作ノブ1を操作する操作者毎にノブ本体2に取り付けられるノブ電極3の数を関連づけることもできる。例えば、操作者Aに3つのノブ電極3A、3B、3Cがノブ本体2に取り付けられた操作ノブ1Aを割り当て、操作者Bに、ノブ電極3Cが取り付けられず、2つのノブ電極3A、3Bのみがノブ本体2に取り付けられた操作ノブ1Bを割り当てれば、タッチパネル10において、操作者Aと操作者Bのいずれの入力操作であるかを判別できる。
【0052】
以下、この判別方法を図9で説明すると、初めに操作者Aと操作者Bがいずれも操作ノブ1A、操作ノブ1Bによる入力操作を行わず、図9(a)に示すように、単にタッチパネル10の検出面10A上に操作ノブ1A、操作ノブ1Bを配置した状態では、操作ノブ1Aの各ノブ電極3A、3B、3Cと操作ノブ1Aの一組のノブ電極3A、3B間は相互に絶縁され、接地されてもいないので、タッチパネル10の検出電極に、ノブ電極3A、3B、3Cが接近していても、検出電極についての静電容量(浮遊容量)が大きく変化することがなく、操作ノブ1A、操作ノブ1Bによる入力操作と誤検出することがない。
【0053】
操作者Aが、図9(a)に示す検出面10A上の位置に配置された操作ノブ1Aを持って入力操作すると、操作者Aの指がノブ本体2の上方から10mm未満の幅で外側面に露出する全ての第1リング接触部4A、第2リング接触部4B、第3リング接触部4Cに触れ、各ノブ電極3A、3B、3Cは操作者Aを介して接地される。その結果、接地された各ノブ電極3A、3B、3Cの円板部6A1、6B1、6C1と、各円板部6A1、6B1、6C1に対向する検出面10Aの位置に配線された検出電極との間の静電容量が増加し、タッチパネル10は、静電容量が変化した検出電極の配線位置から、図9(b)に示すように、操作ノブ1Aの各ノブ電極3A、3B、3Cの検出位置11A、11B、11Cを検出する。
【0054】
また、操作者Bが、図9(a)に示す検出面10A上の位置に配置された操作ノブ1Bを持って入力操作すると、操作者Bの指がノブ本体2の上方から10mm未満の幅で外側面に露出する第1リング接触部4Aと第2リング接触部4Bに触れ、各ノブ電極3A、3Bは操作者Bを介して接地される。その結果、接地されたノブ電極3A、3Bの円板部6A1、6B1と、各円板部6A1、6B1に対向する検出面10Aの位置に配線された検出電極との間の静電容量が増加し、タッチパネル10は、静電容量が変化した検出電極の配線位置から、図9(b)に示すように、操作ノブ1Bの各ノブ電極3A、3Bの検出位置11A、11Bを検出する。
【0055】
ここで、タッチパネル10は、検出面10A上の所定幅(例えば、各ノブ電極3A、3B、3C間の最大間隔よりわずかに大きい幅)の検出領域15を仮想設定しておき、ノブ電極3の検出位置11を検出した場合に、検出領域に含まれる検出位置の数によって、操作ノブ1を判定する。すなわち、検出領域15内に3カ所の検出位置11A、11B、11Cを検出した場合には、操作ノブ1Aの入力操作であると判定し、検出された各検出位置11A、11B、11Cから、操作者Aが入力操作した操作ノブ1Aの入力位置を検出する。また、検出領域15内に2カ所の検出位置11A、11Bを検出した場合には、操作ノブ1Bの入力操作であると判定し、検出された各検出位置11A、11Bから、操作者Bが入力操作した操作ノブ1Bの入力位置を検出する。
【0056】
上述の実施の形態に係る操作ノブ1は、図10に示すように、円筒形の枡形ホルダー20内に回転自在に収容し、タッチパネル10に回転入力操作を行うものであってもよい。例えば、この枡形ホルダー20には、上方から操作ノブ1を遊嵌し、操作ノブ1を円筒形の中心軸周りで回転自在に案内する凹部が凹設されている。凹部の深さは、操作ノブ1を枡形ホルダー20に収容した際に、全てのノブ電極3A、3B、3Cのリング接触部4A、4B、4Cが枡形ホルダー20から上方に突出するノブ本体2の外側面にリンク状に露出する深さとなっている。従って、操作者が枡形ホルダー20内に収容した操作ノブ1を摘んで回転操作すると、操作ノブ1掴む操作者の指が全てのリング接触部4A、4B、4C触れ、接地された操作ノブ1の各ノブ電極3A、3B、3Cが操作ノブ1の中心軸周りで回転し、これによりタッチパネル10は、検出領域内のノブ電極3の検出位置11の数と各検出位置の相対移動位置とから、特定の操作ノブ1の回転操作と回転位置を検出できる。
【0057】
また、上述の実施の形態では、操作ノブ1の上方から検出面10Aを通した表示を目視できるように、複数のノブ電極3が取り付けられるノブ本体2を円筒形としたが、必ずしも円筒形とする必要はなく、また、その外側面は円筒面に限らず種々のことなる形状であってもよい。
【0058】
また、ノブ本体2が筒形でなければ、いずれかのノブ電極3のリング接触部4と、その中心軸側に鉛直方向に配置される他のノブ電極の導電ピン6の軸部とに十分な絶縁間隔を形成できるので、必ずしも導電ピン6の軸部を底面部より小径とする必要はない。
【0059】
また、ノブ本体2の上面を平坦面としたが、操作ノブ1をつかむ操作者の指がノブ本体2の外側面に触れる形状であれば、ノブ本体2の上面に多少の凹凸があってもよい。
【0060】
また、複数のノブ電極3の各円板部6A1、6B1、6C1を同一の大きさとしているが、操作ノブ1毎にその大きさを変えて、タッチパネルで検出する電極の大きさから特定の操作ノブ1を判別することもできる。
【0061】
また、複数の操作ノブ1A、1Bを判別するために操作ノブ1に複数のノブ電極3が取り付けられているが、操作ノブ1の回転入力操作を検出するために、複数のノブ電極3が取り付けられた操作ノブ1にも本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、静電容量式タッチパネルにおいて、操作ノブの種類を判別するために複数のノブ電極が取り付けられた静電容量式タッチパネルの操作ノブに適している。
【符号の説明】
【0063】
1 静電容量式タッチパネルの操作ノブ
2 ノブ本体
3 ノブ電極
3A 第1ノブ電極
3B 第2ノブ電極
3C 第3ノブ電極
4 リング接触部
6導電ピン
10 静電容量式タッチパネル
10A 検出面
11 ノブ電極3の検出位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021年2月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の検出電極が配線された静電容量式タッチパネルの検出面の上方に配置される絶縁性のノブ本体と、
前記ノブ本体に取り付けられるノブ電極とを備え、
前記ノブ電極に対向する前記検出面の位置で前記検出電極の静電容量が変化することから、前記静電容量式タッチパネルが、前記検出面上の前記操作ノブの入力位置を検出する静電容量式タッチパネルの操作ノブであって、
前記ノブ本体に、複数の前記ノブ電極が互いに絶縁して取り付けられ、
複数の前記各ノブ電極は、それぞれ、前記ノブ本体の外側面に露出するリング接触部と、前記リング接触部に電気接続し、底面部が前記ノブ本体の底部に配置される導電ピンとを有し、
前記絶縁ノブ本体に取り付けられる全ての前記ノブ電極のリング接触部は、少なくともその一部が、操作ノブを掴む操作者の指が触れる前記ノブ本体の上端から所定の距離以内の外側面にリング状に露出し、
前記ノブ本体の最上段に取り付けられる前記リング接触部は、前記ノブ本体の上面に沿って取り付けられる導電板で形成され、前記ノブ本体の外側面と上面に露出することを特徴とする静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【請求項2】
前記所定の距離は、10mm以内であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【請求項3】
いずれかの前記ノブ電極の前記リング接触部は、細長帯状導電板から形成され、細長帯状導電板の表面が前記ノブ本体の外側面に沿って露出することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【請求項4】
前記ノブ本体に、操作者に応じた特定の数の前記ノブ電極が互いに絶縁して取り付けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【請求項5】
多数の検出電極が配線された静電容量式タッチパネルの検出面の上方に配置される絶縁性のノブ本体と、
前記ノブ本体に取り付けられるノブ電極とを備え、
前記ノブ電極に対向する前記検出面の位置で前記検出電極の静電容量が変化することから、前記静電容量式タッチパネルが、前記検出面上の前記操作ノブの入力位置を検出する静電容量式タッチパネルの操作ノブであって、
前記ノブ本体に、複数の前記ノブ電極が互いに絶縁して取り付けられ、
複数の前記各ノブ電極は、それぞれ、前記ノブ本体の外側面に露出するリング接触部と、前記リング接触部に電気接続し、底面部が前記ノブ本体の底部に配置される導電ピンとを有し、
前記絶縁ノブ本体に取り付けられる全ての前記ノブ電極のリング接触部は、少なくともその一部が、操作ノブを掴む操作者の指が触れる前記ノブ本体の上端から所定の距離以内の外側面にリング状に露出し、
前記ノブ本体は、上方から前記タッチパネルの検出面を目視する貫通孔が穿設されることにより筒状に形成され、
いずれかの前記ノブ電極の前記導電ピンは、他の前記ノブ電極の前記リング接触部に対向する軸部の外径が、前記底面部の外径に比べて小径となっていることを特徴とする静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【請求項6】
前記所定の距離は、10mm以内であることを特徴とする請求項5に記載の静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【請求項7】
いずれかの前記ノブ電極の前記リング接触部は、細長帯状導電板から形成され、細長帯状導電板の表面が前記ノブ本体の外側面に沿って露出することを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【請求項8】
前記ノブ本体に、操作者に応じた特定の数の前記ノブ電極が互いに絶縁して取り付けられることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルの操作ノブ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式タッチパネルの検出面上に配置され、検出面に沿って移動させることにより静電容量式タッチパネルへ入力操作を行う静電容量式タッチパネルの操作ノブに関し、更に詳しくは、複数のノブ電極が取り付けられた静電容量式タッチパネルの操作ノブに関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量式タッチパネルは、操作ノブのノブ電極が接近することにより、検出電極の浮遊容量(ノブ電極と検出電極間の静電容量)が増大することに着目し、静電容量が変化した検出電極の配線位置から操作ノブの検出面上の入力位置を検出している。例えば、相互容量方式で入力位置を検出するタッチパネルでは、タッチパネルの検出面のX方向に沿って交流検出信号を出力する複数本の駆動電極Tyと、Y方向沿って 交流検出信号を検出する複数の検出電極Rxがそれぞれの交差位置(x、y)で互いに絶縁して配線されている。いずれかの交差位置(x、y)に操作者が手に持って接地された操作ノブのノブ電極が接近すると、その交差位置(x、y)の駆動電極Tyに出力される交流検出信号の一部が、駆動電極Tyと操作ノブのノブ電極間の静電容量を介して操作者に流れ、その交差位置(x、y)の検出電極Rxから検出する交流検出信号の検出電圧V(x、y)が低下する。従って、タッチパネルは、交流検出信号を出力した駆動電極Tyと交流検出信号の検出電圧V(x、y)が低下した検出電極Rxとの交差位置(x、y)から操作ノブの入力位置を検出している。
【0003】
一方、操作ノブの特定の回転軸周りの回転入力操作を検出するために、複数のノブ電極を配置した操作ノブや、3つ以上のノブ電極を操作ノブ毎に操作ノブの異なる位置に配置し、静電容量式タッチパネルで検出する各電ノブ極の相対位置から特定の操作ノブを判別可能とする操作ノブが特許文献1、特許文献2等で知られている。
【0004】
以下、特許文献1に記載の静電容量式タッチパネルの操作ノブ100を、図11図12を用いて説明する。図11(a)は、操作ノブ100の斜視図であり、導電性の側板部101aと絶縁樹脂製の底板部101bとからなる円筒枡形のケース101と、底板部101b上に立設され、それぞれ周囲の一部が側板部101aに電気接続する3本のロッド状のノブ電極102a、102b、102cとから構成されている。3本のノブ電極102a、102b、102cは、円形の底板部101bの中心周りの同心円上に120度間隔で底板部101bに取り付けられているので、同図(b)に示すように、3本のノブ電極102a、102b、102c間の間隔は等しく、各ノブ電極102a、102b、102cの位置を頂点とする正三角形が形成される。
【0005】
操作ノブ100は、底板部101bを静電容量式タッチパネル(以下、単にタッチパネルという)110の検出面110a上に配置し、検出面110aの平面上を移動操作してタッチパネル110への入力操作を行うもので、検出面110aとノブ電極102の間に介在するケース101の底板部101bは、図11(c)に示すように、タッチパネル110においてノブ電極102による静電容量の変化を検出可能な程度に充分に薄い構造となっている。
【0006】
操作者の一部が接地されているとして、操作ノブ100を入力操作する操作者の指が導電性の側板部101aに触れると、側板部101aを介して3本のノブ電極102a、102b、102cが接地され、検出面110a上のノブ電極102a、102b、102cが配置された位置での検出電極との静電容量が変化し、図12に示すように、タッチパネル110は、検出面110aの各ノブ電極102a、102b、102cの位置をそれぞれタッチ点T1、T2、T3として検出する。また、ノブ電極102が上述位置に配置されていない、例えば、操作ノブ100によらず、操作者の2本の指を直接、検出面110aに接近させて入力操作すると、同様にその2本の指の各位置での静電容量が変化するので、タッチパネル110は、検出面110aの2本の指が接近する位置をタッチ点T4、T5として検出する。
【0007】
操作ノブ100を用いた入力操作において、タッチパネル110で検出される3点のタッチ点T1、T2、T3を頂点とする形状は、操作ノブ100に特有の正三角形となるので、3点の各タッチ点T1、T2、T3間の距離が等間隔である場合に、操作ノブ100による入力操作と判別し、タッチ点T1、T2、T3の位置を操作ノブ100の入力位置として検出する。一方、少なくとも2点の他のタッチ点Tとの距離が等距離とならないタッチ点T4やタッチ点T5は、正三角形の頂点となり得ないので、操作ノブ100以外の指等の入力操作と判別する。これにより、操作者毎にノブ電極間の位置が異なる操作ノブ100を割り当てれば、タッチパネル110で検出する複数のタッチ点Tの相対位置から、特定の操作者による入力操作を判別できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6391893号公報
【特許文献2】再公表特許WO2016/166793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の通り、操作ノブに取り付けられた複数のノブ電極の検出面上の位置を、タッチパネル側で高精度に検出するためには、全てのノブ電極が接地接続される必要があり、従来の操作ノブ100では、操作者が触れて接地される導電板(側板部101a)に全てノブ電極102a、102b、102cを電気接続させている。
【0010】
しかしながら、複数の電極102a、102b、102cが共通の導電板で短絡していると、いずれかのノブ電極が近接する交差位置(x、y)に配線された駆動電極Ty若しくは検出電極Rxと、他のノブ電極が近接する交差位置(x’、y’)に配線された駆動電極Ty’若しくは検出電極Rx’とが、ノブ電極間を短絡する導電板を介して容量結合し、操作者が操作せずに単にタッチパネルの検出面上に操作ノブを配置しただけでも、操作ノブによる入力操作と誤検出する場合が生じた。すなわち、いずれかのノブ電極を操作者が触れていない場合であっても、そのノブ電極に近接する交差位置(x、y)に配線された駆動電極Tyに出力される交流検出信号の一部が、他のノブ電極に近接する交差位置(x’、y’)に配線された低インピーダンスで接地接続する駆動電極Ty’や検出電極Rx’に流れ、上記交差位置(x、y)に配線される検出電極Rxから検出される検出電圧V(x、y)が低下することから、その交差位置(x、y)を電極の入力位置と誤検出するという問題があった。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、操作ノブに備えられる複数のノブ電極間を導電板で接続することによる入力位置の誤検出を防止する静電容量式タッチパネルの操作ノブを提供することを目的とする。
【0012】
また、複数のノブ電極を、入力操作の際に接地させるために導電板で接続する必要のない静電容量式タッチパネルの操作ノブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するため、請求項1の静電容量式タッチパネルの操作ノブは、多数の検出電極が配線された静電容量式タッチパネルの検出面の上方に配置される絶縁性のノブ本体と、ノブ本体に取り付けられるノブ電極とを備え、ノブ電極に対向する検出面の位置で検出電極の静電容量が変化することから、静電容量式タッチパネルが、検出面上の操作ノブの入力位置を検出する静電容量式タッチパネルの操作ノブであって、ノブ本体に、複数のノブ電極が互いに絶縁して取り付けられ、複数の各ノブ電極は、それぞれ、ノブ本体の外側面に露出するリング接触部と、リング接触部に電気接続し、底面部がノブ本体の底部に配置される導電ピンとを有し
前記絶縁ノブ本体に取り付けられる全ての前記ノブ電極のリング接触部は、少なくともその一部が、操作ノブを掴む操作者の指が触れる前記ノブ本体の上端から所定の距離以内の外側面にリング状に露出し、
ノブ本体の最上段に取り付けられるリング接触部は、ノブ本体の上面に沿って取り付けられる導電板で形成され、ノブ本体の外側面と上面に露出することを特徴とする。
【0014】
操作ノブが検出面上に配置されているだけでは、複数のノブ電極は接地されず、各ノブ電極間が短絡していることもないので、静電容量式タッチパネルは、操作ノブの入力位置を誤検出しない。
【0015】
操作者が操作ノブを入力操作する際には、全てのノブ電極の各リング接触部が、操作ノブを掴む操作者の指が触れるノブ本体の上端から所定の距離以内の外側面に露出するので、全てのノブ電極に操作者の指が確実に触れて接地される。接地された各ノブ電極は、導電ピンの底面部が検出面に近接して対向し、検出面の位置に配線された検出電極の静電容量が大きく変化する。
【0016】
操作者がノブ本体を持って入力操作する際には、全てのノブ電極が操作者の指に触れて接地され、複数の全てのノブ電極の位置が検出される。また、操作者がノブ本体の上面に指を触れて入力操作する際には、最上段にリング接触部が取り付けられたノブ電極のみが操作者の指に触れて接地され、そのノブ電極の位置のみが検出される。
【0017】
請求項2と請求項6の静電容量式タッチパネルの操作ノブは、所定の距離は、10mm以内であることを特徴とする。
【0018】
操作者が操作ノブを入力操作する際には、全てのノブ電極の各リング接触部がノブ本体の上端から10mm以内の外側面に露出するので、全てのノブ電極に操作者の指が確実に触れて接地される。接地された各ノブ電極は、導電ピンの底面部が検出面に近接して対向し、検出面の位置に配線された検出電極の静電容量が大きく変化する。
【0019】
請求項3と請求項7の静電容量式タッチパネルの操作ノブは、いずれかの電極のリング接触部が、細長帯状導電板から形成され、細長帯状導電板の表面がノブ本体の外側面に沿って露出することを特徴とする。
【0020】
いずれかの電極のリング接触部は、細長帯状導電板の表面がノブ本体の外側面に沿って露出するので、上下で対向する他の電極のリング接触部との間に大きい静電容量は生じない。
【0021】
請求項4と請求項8の静電容量式タッチパネルの操作ノブは、ノブ本体に、操作者に応じた特定の数のノブ電極が互いに絶縁して取り付けられることを特徴とする。
【0022】
操作者に応じて異なる数のノブ電極がノブ本体に取り付けられるので、静電容量式タッチパネルは、ノブ電極の入力位置を検出した検出数から、操作ノブを操作する操作者を特定できる。
【0023】
請求項5の静電容量式タッチパネルの操作ノブは、多数の検出電極が配線された静電容量式タッチパネルの検出面の上方に配置される絶縁性のノブ本体と、ノブ本体に取り付けられるノブ電極とを備え、ノブ電極に対向する検出面の位置で検出電極の静電容量が変化することから、静電容量式タッチパネルが、検出面上の操作ノブの入力位置を検出する静電容量式タッチパネルの操作ノブであって、ノブ本体に、複数のノブ電極が互いに絶縁して取り付けられ、複数の各ノブ電極は、それぞれ、ノブ本体の外側面に露出するリング接触部と、リング接触部に電気接続し、底面部がノブ本体の底部に配置される導電ピンとを有し、
絶縁ノブ本体に取り付けられる全てのノブ電極のリング接触部は、少なくともその一部が、操作ノブを掴む操作者の指が触れる前記ノブ本体の上端から所定の距離以内の外側面にリング状に露出し、
ノブ本体が、上方からタッチパネルの検出面を目視する貫通孔が穿設されることにより筒状に形成され、いずれかのノブ電極の導電ピンは、他のノブ電極のリング接触部に対向する軸部の外径が、底面部の外径に比べて小径となっていることを特徴とする。
【0024】
ノブ本体が筒状に形成されることによって、いずれかのノブ電極の導電ピンは、他のノブ電極のリング接触部に接近するが、他のノブ電極のリング接触部に対向する軸部の外径が小径であるので、水平方向で対向する他の電極のリング接触部との間に大きい静電容量は生じない。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明によれば、静電容量式タッチパネルが単数のノブ電極の入力位置を検出するか、複数のノブ電極の入力位置を検出するかで、操作ノブへの入力操作を判別できる。
【0026】
請求項1と請求項2の発明によれば、操作者が操作ノブを入力操作しない限り、複数のノブ電極間が電気接続することがないので、検出面上に操作ノブを配置しただけでは、入力位置を誤検出しない。
【0027】
また、操作ノブに、導電板を配置することなく、入力操作の際に全てのノブ電極が接地され、静電容量式タッチパネルは検出面上の各ノブ電極の位置を確実に検出できる。
【0028】
請求項3又は請求項7の発明によれば、上下で対向する他の電極のリング接触部とは、外側面の上下方向で一組のノブ電極のリング接触部が10mm以内の絶縁間隔で隣接しても、小面積で対向するので、誤検出が生じるような大きさの静電容量で結合することがない。
【0029】
請求項4又は請求項8の発明によれば、静電容量式タッチパネルは、操作者毎の操作ノブの入力操作を判別し、検出した操作ノブの入力位置を操作者毎に処理できる。
【0030】
請求項5の発明によれば、操作者は、貫通孔を通して、静電容量式タッチパネルの検出面を通して表示される表示を見ながら、操作ノブを持って入力操作することができる。
【0031】
また、ノブ電極の入力位置を確実に検出するように、検出面に対向する導電ピンの底面部を所定の大きさの外径としても、他のノブ電極のリング接触部に対向する軸部の外径が底面部に比べて小径であるので、他の電極のリング接触部との間で大きい静電容量で容量結合することがない。
【0032】
請求項5と請求項6の発明によれば、操作者が操作ノブを入力操作しない限り、複数のノブ電極間が電気接続することがないので、検出面上に操作ノブを配置しただけでは、入力位置を誤検出しない。
【0033】
また、操作ノブに、導電板を配置することなく、入力操作の際に全てのノブ電極が接地され、静電容量式タッチパネルは検出面上の各ノブ電極の位置を確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施の形態に係る静電容量式タッチパネルの操作ノブ1の斜視図である。
図2】操作ノブ1の側面図である。
図3】ノブ電極3Aの第1導電ピン6Aとノブ電極3Bの第2導電ピン6Bに沿って切断した操作ノブ1の縦断面図である。
図4】操作ノブ1の分解斜視図である。
図5】ノブ電極3Aの斜視図である。
図6】ノブ電極3Bの斜視図である。
図7】ノブ電極3Cの斜視図である。
図8】ノブ本体2を除いたノブ電極3A、3B、3Cの斜視図である。
図9】(a)は、静電容量式タッチパネル10の検出面10A上に配置された2種類の操作ノブ1A、1Bを、(b)は、静電容量式タッチパネル10が検出した2種類の操作ノブ1A、1Bのノブ電極3A、3B、3Cの検出位置11A、11B、11Cを、それぞれ示す説明図である。
図10】静電容量式タッチパネルの操作ノブ1の他の入力操作方法を示す斜視図である。
図11】従来の静電容量式タッチパネルの操作ノブ100の(a)は斜視図、(b)は、底面図、(c)は、縦断面図である。
図12】静電容量式タッチパネルで従来の操作ノブ100の入力操作と操作者の指による入力操作を判別する方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の第1実施の形態に係る静電容量式タッチパネルの操作ノブ1を、図1乃至図9を用いて説明する。これらの図に示すように、操作ノブ1は、静電容量式タッチパネル(以下、タッチパネルという)10の検出面10A上に配置して、その配置位置を入力位置としてタッチパネル10へ入力する補助入力装置であり、以下、検出面10Aに直交する鉛直方向を上下方向として各部を説明する。
【0036】
操作ノブ1のうち、図1乃至図4に示す操作ノブ1Aは、絶縁性の合成樹脂で形成されたノブ本体2に、3種類の第1ノブ電極3Aと、第2ノブ電極3Bと、第3ノブ電極3Cとが互いに絶縁して取り付けられている。
【0037】
このうち、ノブ本体2の上面に沿って取り付けられる第1ノブ電極3Aは、図5に示すように、水平面に沿った薄肉の導電性金属板からなるリング状の第1リング接触部4Aと、第1リング接触部4Aの内側から下方に向かってコの字状に一体に連設された連結片5Aと、連結片5Aの下方に固定され、電気接続する第1導電ピン6Aとから構成される。第1導電ピン6Aは、更に、円板部6A1と、円板部6A1の中心から上方に一体に立設される軸部6A2とからなり、底面部となる円板部6A1の大きさは、タッチパネル10の検出面10Aに沿って配線される図示しない検出電極との間に形成される静電容量の変化をタッチパネル10で検出可能な十分な大きさとなっている。一方、軸部6A2は、第1ノブ電極3Aがノブ本体2に取り付けられた際に、他の第2ノブ電極3Bや第3ノブ電極3Cと一定長さの絶縁間隔で隔てられるように円板部6A1の外径より小径となっている。このように構成された第1導電ピン6Aは、第1連結片5Aと軸部6A2の上面から中心軸に沿って下方に螺刻されたネジ穴にネジ12Aをネジ止めして、第1リング接触部4Aに電気接続するとともに固定される。
【0038】
ノブ本体2の中段に取り付けられる第2ノブ電極3Bは、図6に示すように、水平面に沿った薄肉の導電性金属板から形成され、第1リング接触部4Aと外径が同一のリング状の第2リング接触部4Bと、第2リング接触部4Bの内側から水平面に沿って中心方向に一体に連設された第2連結舌片5Bと、第2連結舌片5Bに固定され、電気接続する第2導電ピン6Bとから構成される。第2導電ピン6Bは、更に、円板部6A1と同一外径の円板部6B1と、円板部6B1の中心から上方に一体に立設される軸部6B2とからなり、軸部6B2は、第2ノブ電極3Bがノブ本体2に取り付けられた際に、第3ノブ電極3Cと一定長さの絶縁間隔で隔てられるように円板部6B1の外径より小径となっている。この第2導電ピン6Bは、第2連結舌片5Bと軸部6B2の上面から中心軸に沿って下方に螺刻されたネジ穴にネジ12Bをネジ止めして、第2リング接触部4Bに電気接続するとともに固定される。
【0039】
また、ノブ本体2の最下段に取り付けられる第3ノブ電極3Cは、図7に示すように、薄肉の導電性金属板の幅広の表面が鉛直方向に沿った円筒状で、円筒状の外径が第1リング接触部4A及び第2リング接触部4Bの外径に等しい第3リング接触部4Cと、第3リング接触部4Cの円筒状の上端から水平面に沿って中心方向に一体に連設された第3連結舌片5Cと、第3連結舌片5Cに固定され、電気接続する第3導電ピン6Cとから構成される。第3導電ピン6Cも、円板部6A1と同一外径の円板部6C1と、円板部6C1の中心から上方に一体に立設される軸部6C2とからなっている。この第3導電ピン6Cは、第3連結舌片5Cと軸部6C2の上面から中心軸に沿って下方に螺刻されたネジ穴にネジ12Cをネジ止めして、第3リング接触部4Cに電気接続するとともに固定される。
【0040】
ノブ本体2は、図4に示すように、鉛直方向の中心軸周りに円筒形に形成され、外側面の下方から第3ノブ電極3Cの第3リング接触部4Cを配置する下段部2A1と、下段部2A1より外径が小径となった上段部2A2が形成された円筒ハウジング2Aと、円筒状の第3リング接触部4C内に遊嵌され、鉛直方向に積層される第3リング接触部4Cと第2リング接触部4B間を絶縁する円筒状の下段スペーサ2Bと、第2ノブ電極3Bの第2リング接触部4B及び第1ノブ電極3Aの第1リング接触部4Aの外径に等しい円筒状に形成され、鉛直方向に積層される第2リング接触部4Bと第1リング接触部4Aの間に配置される上段スペーサ2Cとで構成される。
【0041】
これにより、ノブ本体2に鉛直方向に互いに絶縁して積層される第1ノブ電極3Aの第1リング接触部4A、第2ノブ電極3Bの第2リング接触部4B及び第3ノブ電極3Cの第3リング接触部4Cは、ノブ本体2の外側面の全周に露出する。積層状態で、第1リング接触部4A、上段スペーサ2C、第2リング接触部4B及び下段スペーサ2Bの鉛直方向の厚さは、少なくとも10mm未満となるよう、各部の大きさが設定され、ノブ本体2の上端から下方に10mm以内の外周面に、第1ノブ電極3Aの第1リング接触部4A、第2ノブ電極3Bの第2リング接触部4B及び第3ノブ電極3Cの第3リング接触部4Cの一部が露出する。これにより、操作者が操作ノブ1Aを入力操作する際には、自然にノブ本体2を上方から摘み、少なくともノブ本体2の上部から10mm以下の外側面に指が触れるので、その範囲で露出する第1リング接触部4Aと第2リング接触部4Bと第3リング接触部4Cのいずれも操作者の指が触れて接地される。
【0042】
円筒ハウジング2Aの中心軸周りで異なる3カ所の位置に、それぞれ上段部2A2から底面まで貫通する第1貫通孔7A、第2貫通孔7B及び第3貫通孔7Cが穿設されている。このうち、第1貫通孔7Aは、図3に示すように、第1ノブ電極3Aの連結片5Aと、連結片5Aの下方に固定される第1導電ピン6Aとを挿通させるもので、大径の円板部6A1を底面に露出させて収容するために下方の内径は大径となっている。
【0043】
また、第2貫通孔7Bは、円筒ハウジング2Aの中心軸について第1貫通孔7Aの対称位置に穿設され、第2ノブ電極3Bの第2連結舌片5Bと、第2連結舌片5Bの下方に固定される第2導電ピン6Bを収容する。第2貫通孔7Bの下方も、大径の円板部6B1を底面に露出させて収容するために大径となっている。
【0044】
第3貫通孔7Cは、円筒ハウジング2Aの中心軸周りで、第1貫通孔7A及び第2貫通孔7Bと重ならない任意の位置に穿設され、第3ノブ電極3Cの第3連結舌片5Cと、第3連結舌片5Cの下方に固定される第3導電ピン6Cを収容する。第3貫通孔7Cの下方も、大径の円板部6C1を底面に露出させて収容するために大径となっている。
【0045】
従って、操作ノブ1Aの各ノブ電極3A、3B、3Cの円板部6A1、6B1、6C1は、図9(a)に示すタッチパネル10の検出面10A上の3カ所の異なる位置に対向する。
【0046】
図4に示すように、円筒ハウジング2Aの上面に沿って取り付けられるリング状の第1リング接触部4Aの内側には、上方からリング状の絶縁性若しくは導電性のトップカバー8が積層される。これにより、トップカバー8で覆われる第1リング接触部4Aの周囲がノブ本体2の上面に露出し、操作者はノブ本体2の上方から第1リング接触部4Aに触れて、 第1ノブ電極3Aのみを接地させることもできる。
【0047】
トップカバー8と円筒ハウジング2Aの中心側の開口が鉛直方向で連通することにより、操作ノブ1Aを通してタッチパネル10の検出面10Aが目視可能で、ここでは円筒ハウジング2A内にウレキサイト(テレビ石)9を配置し、透明なタッチパネル10を通して検出面10Aに表示される表示を、操作ノブ1Aの上面に表示させている。
【0048】
このように構成された操作ノブ1Aの組立は、初めに第3貫通孔7Cの下方から第3導電ピン6Cの軸部6C2を挿通するとともに、第3貫通孔7Cに第3連結舌片5Cを位置決めしながら、円筒ハウジング2Aの下段部2A1に上方から第3リング接触部4Cを配置し、第3貫通孔7C内で重ねられる第3連結舌片5Cと軸部6C2をネジ12Cでネジ止めして、第3ノブ電極3Cを円筒ハウジング2Aに取り付ける。
【0049】
続いて、第3リング接触部4C内に上方から下段スペーサ2Bを配置した後、下段スペーサ2B上に第2リング接触部4Bを配置するとともに、第2貫通孔7Bの下方から第2導電ピン6Bの軸部6B2を挿通し、第2貫通孔7B内で重ねられる第2連結舌片5Bと軸部6B2をネジ12Bでネジ止めして、第2ノブ電極3Bを円筒ハウジング2Aに取り付ける。
【0050】
その後、第2リング接触部4B上に上段スペーサ2Cを配置し、更にその上方から、連結片5Aを第1貫通孔7Aに収容して回転方向に位置決めした第1リング接触部4Aを重ねる。同時に、第1貫通孔7Aの下方から第1導電ピン6Aの軸部6A2を挿通し、第1貫通孔7A内で重ねられる第1連結舌片5Aと軸部6A2をネジ12Aでネジ止めして、第1ノブ電極3Aを円筒ハウジング2Aに取り付ける。
【0051】
全てのノブ電極3A、3B、3Cをノブ本体2に取り付けた後、上方から円筒ハウジング2Aの開口にウレキサイト9を圧入し、第1リング接触部4A上にトップカバー8を配置し、トップカバー8と円筒ハウジング2Aの間に、積層された第1リング接触部4A、上段スペーサ2C、第2リング接触部4B、下段スペーサ2B及び第3リング接触部4Cを挟持した状態で、トップカバー8と円筒ハウジング2Aにそれぞれ螺合する連結ネジ13、14で共締めし、操作ノブ1Aの全体を一体に組み立てる。
【0052】
ノブ本体2に取り付けられるノブ電極3の数は、各ノブ電極3が互いに絶縁されてノブ電極3の上部から10mm以下の範囲の外側面に露出すれば任意であり、操作ノブ1を操作する操作者毎にノブ本体2に取り付けられるノブ電極3の数を関連づけることもできる。例えば、操作者Aに3つのノブ電極3A、3B、3Cがノブ本体2に取り付けられた操作ノブ1Aを割り当て、操作者Bに、ノブ電極3Cが取り付けられず、2つのノブ電極3A、3Bのみがノブ本体2に取り付けられた操作ノブ1Bを割り当てれば、タッチパネル10において、操作者Aと操作者Bのいずれの入力操作であるかを判別できる。
【0053】
以下、この判別方法を図9で説明すると、初めに操作者Aと操作者Bがいずれも操作ノブ1A、操作ノブ1Bによる入力操作を行わず、図9(a)に示すように、単にタッチパネル10の検出面10A上に操作ノブ1A、操作ノブ1Bを配置した状態では、操作ノブ1Aの各ノブ電極3A、3B、3Cと操作ノブ1Aの一組のノブ電極3A、3B間は相互に絶縁され、接地されてもいないので、タッチパネル10の検出電極に、ノブ電極3A、3B、3Cが接近していても、検出電極についての静電容量(浮遊容量)が大きく変化することがなく、操作ノブ1A、操作ノブ1Bによる入力操作と誤検出することがない。
【0054】
操作者Aが、図9(a)に示す検出面10A上の位置に配置された操作ノブ1Aを持って入力操作すると、操作者Aの指がノブ本体2の上方から10mm未満の幅で外側面に露出する全ての第1リング接触部4A、第2リング接触部4B、第3リング接触部4Cに触れ、各ノブ電極3A、3B、3Cは操作者Aを介して接地される。その結果、接地された各ノブ電極3A、3B、3Cの円板部6A1、6B1、6C1と、各円板部6A1、6B1、6C1に対向する検出面10Aの位置に配線された検出電極との間の静電容量が増加し、タッチパネル10は、静電容量が変化した検出電極の配線位置から、図9(b)に示すように、操作ノブ1Aの各ノブ電極3A、3B、3Cの検出位置11A、11B、11Cを検出する。
【0055】
また、操作者Bが、図9(a)に示す検出面10A上の位置に配置された操作ノブ1Bを持って入力操作すると、操作者Bの指がノブ本体2の上方から10mm未満の幅で外側面に露出する第1リング接触部4Aと第2リング接触部4Bに触れ、各ノブ電極3A、3Bは操作者Bを介して接地される。その結果、接地されたノブ電極3A、3Bの円板部6A1、6B1と、各円板部6A1、6B1に対向する検出面10Aの位置に配線された検出電極との間の静電容量が増加し、タッチパネル10は、静電容量が変化した検出電極の配線位置から、図9(b)に示すように、操作ノブ1Bの各ノブ電極3A、3Bの検出位置11A、11Bを検出する。
【0056】
ここで、タッチパネル10は、検出面10A上の所定幅(例えば、各ノブ電極3A、3B、3C間の最大間隔よりわずかに大きい幅)の検出領域15を仮想設定しておき、ノブ電極3の検出位置11を検出した場合に、検出領域に含まれる検出位置の数によって、操作ノブ1を判定する。すなわち、検出領域15内に3カ所の検出位置11A、11B、11Cを検出した場合には、操作ノブ1Aの入力操作であると判定し、検出された各検出位置11A、11B、11Cから、操作者Aが入力操作した操作ノブ1Aの入力位置を検出する。また、検出領域15内に2カ所の検出位置11A、11Bを検出した場合には、操作ノブ1Bの入力操作であると判定し、検出された各検出位置11A、11Bから、操作者Bが入力操作した操作ノブ1Bの入力位置を検出する。
【0057】
上述の実施の形態に係る操作ノブ1は、図10に示すように、円筒形の枡形ホルダー20内に回転自在に収容し、タッチパネル10に回転入力操作を行うものであってもよい。例えば、この枡形ホルダー20には、上方から操作ノブ1を遊嵌し、操作ノブ1を円筒形の中心軸周りで回転自在に案内する凹部が凹設されている。凹部の深さは、操作ノブ1を枡形ホルダー20に収容した際に、全てのノブ電極3A、3B、3Cのリング接触部4A、4B、4Cが枡形ホルダー20から上方に突出するノブ本体2の外側面にリンク状に露出する深さとなっている。従って、操作者が枡形ホルダー20内に収容した操作ノブ1を摘んで回転操作すると、操作ノブ1掴む操作者の指が全てのリング接触部4A、4B、4C触れ、接地された操作ノブ1の各ノブ電極3A、3B、3Cが操作ノブ1の中心軸周りで回転し、これによりタッチパネル10は、検出領域内のノブ電極3の検出位置11の数と各検出位置の相対移動位置とから、特定の操作ノブ1の回転操作と回転位置を検出できる。
【0058】
また、上述の実施の形態では、操作ノブ1の上方から検出面10Aを通した表示を目視できるように、複数のノブ電極3が取り付けられるノブ本体2を円筒形としたが、必ずしも円筒形とする必要はなく、また、その外側面は円筒面に限らず種々のことなる形状であってもよい。
【0059】
また、ノブ本体2が筒形でなければ、いずれかのノブ電極3のリング接触部4と、その中心軸側に鉛直方向に配置される他のノブ電極の導電ピン6の軸部とに十分な絶縁間隔を形成できるので、必ずしも導電ピン6の軸部を底面部より小径とする必要はない。
【0060】
また、ノブ本体2の上面を平坦面としたが、操作ノブ1をつかむ操作者の指がノブ本体2の外側面に触れる形状であれば、ノブ本体2の上面に多少の凹凸があってもよい。
【0061】
また、複数のノブ電極3の各円板部6A1、6B1、6C1を同一の大きさとしているが、操作ノブ1毎にその大きさを変えて、タッチパネルで検出する電極の大きさから特定の操作ノブ1を判別することもできる。
【0062】
また、複数の操作ノブ1A、1Bを判別するために操作ノブ1に複数のノブ電極3が取り付けられているが、操作ノブ1の回転入力操作を検出するために、複数のノブ電極3が取り付けられた操作ノブ1にも本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、静電容量式タッチパネルにおいて、操作ノブの種類を判別するために複数のノブ電極が取り付けられた静電容量式タッチパネルの操作ノブに適している。
【符号の説明】
【0064】
1 静電容量式タッチパネルの操作ノブ
2 ノブ本体
3 ノブ電極
3A 第1ノブ電極
3B 第2ノブ電極
3C 第3ノブ電極
4 リング接触部
6導電ピン
10 静電容量式タッチパネル
10A 検出面
11 ノブ電極3の検出位置