【課題】本発明は、チップマウンターの設置環境からの異物、部材からの発塵、装置自身からの発塵を押さえ、異物による不良を抑制したチップマウンター、電子回路基板の製造方法、およびパワーモジュールの製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】梱包テープ2に収納されたチップ部品3を取り出して基板8に搭載するチップマウンターであって、吸着ポイント10に向けて送り出される梱包テープ2が走行するテープ走行レール9と、吸着ポイント10において梱包テープ2からチップ部品3を吸着することによって取り出す吸着搭載アーム6と、吸着搭載アーム6によって梱包テープ2から取り出されたチップ部品3に対して気体を吹き付ける異物除去ヘッド17とを備え、吸着ポイント10は壁62およびエアーカーテン231によって囲まれ、異物除去ヘッド17によってチップ部品3に吹き付けられる気体はエアーカーテン231内の気体である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<前提技術>
本発明の実施の形態を説明する前に、本発明の前提となる技術について説明する。
図11は、梱包テープ2の平面図である。
図12は、
図11における線分B−Bに沿った梱包テープ2の断面図、即ち梱包テープ2の長手方向に沿った断面図である。
図13は、
図11における線分C−Cに沿った梱包テープ2の断面図、即ち梱包テープ2の短手方向に沿った断面図である。なお、
図11において図の見易さのためにカバーテープ4の記載を省略している。
【0011】
梱包テープ2は、キャリアテープ1とカバーテープ4を備える。
図12および
図13に示すように、キャリアテープ1には、チップ部品3を収納するポケット11と呼ばれる窪みが、テープの長手方向に等間隔で形成されている。参考のために、
図11から
図13においてチップ部品3を二点鎖線で示す。
【0012】
また、キャリアテープ1には、テープを送る際に用いられる複数の送り穴30がテープの片側若しくは両側に形成されている。
図11においては、送り穴30はテープの片側に形成されている。
【0013】
キャリアテープ1の各ポケット11の底には貫通孔12が設けられている。貫通孔12は、例えば、ポケット11内のチップ部品3の有無を検査する際に用いられる。
【0014】
互いに隣接するポケット11間およびポケット11の周囲において、キャリアテープ1の長手方向にキャリアテープ1に凹み31が形成されている。これは、キャリアテープ1へのカバーテープ4の接着の強度を調整するためである。互いに隣接するポケット11間およびポケット11の周囲にもカバーテープ4が接着されると、接着面積が大きくなるため、キャリアテープ1からカバーテープ4を剥離する際に剥離性が低下する。また、剥離性が低下すると、キャリアテープ1からカバーテープ4を剥離する際に振動が生じて、ポケット11からチップ部品3が飛び出す可能性がある。
【0015】
キャリアテープ1の各ポケット11にチップ部品3が配置された後、キャリアテープ1の各ポケット11を覆うようにカバーテープ4が配置される。この状態においてカバーテープ4を加熱することで、キャリアテープ1にカバーテープ4が接着または融着される。
【0016】
各ポケット11にチップ部品3が収納された梱包テープ2は、後述する
図14に示すテープリール5と呼ばれるリールに巻き付けられて、チップマウンターにセットされる。
【0017】
図14から
図16は、前提技術におけるチップマウンター200の構成を示す模式図である。
図14は、吸着搭載アーム6が吸着ポイント10に位置する状態を示す。
図15は、吸着搭載アーム6が検査部104に位置する状態を示す。
図16は、吸着搭載アーム6が搭載ポイント15に位置する状態を示す。なお、吸着搭載アーム6は、上部が駆動機構を有する駆動部20に固定されており、駆動部20がレール19に沿って移動することによって位置を変えることが可能である。
【0018】
前提技術におけるチップマウンター200は、フィーダー部102、検査部104および搭載部105を備える。フィーダー部102のうち、吸着搭載アーム6の吸着ヘッド7によりチップ部品3を吸着する部分を、特に吸着部103と呼ぶ。
【0019】
フィーダー部102はテープリール5を備える。フィーダー部102は、テープリール5を回転させることにより梱包テープ2を送り出す。吸着ポイント10に対してチップ部品3を供給する吸着部103は、テープ走行レール9と吸着搭載アーム6を備える。テープ走行レール9において、吸着ポイント10に向けて送り出される梱包テープ2が走行する。
【0020】
梱包テープ2は、トップテープガイド16に挟まれた状態でテープ走行レール9上を移動する。トップテープガイド16は、テープ走行レール9の上部から梱包テープ2を挟み、チップ部品3が吸着される際に、キャリアテープ1が浮き上がって吸着不良となることを防ぐ。また、トップテープガイド16の一部には開口部が設けられ、この開口部においてカバーテープ4がキャリアテープ1から剥がされる。これにより、ポケット11からチップ部品3が露出する。キャリアテープ1から剥がされたカバーテープ4は、図示しないリールに巻き取られる。
【0021】
図14に示すように、吸着搭載アーム6は、吸着ポイント10において、カバーテープ4が剥がされた状態のキャリアテープ1のポケット11からチップ部品3を吸着することによって取り出す。吸着搭載アーム6の先端には吸着ヘッド7が搭載されている。吸着ヘッド7は可撓性を有する吸盤形状をしており、低圧状態になった吸着ヘッド7によってチップ部品3が吸着される。吸着搭載アーム6は、吸着時、移送時、搭載時に伸び縮みして、吸着ポイント10、搭載ポイント15に合わせて吸着ヘッド7の高さを上下させる。
【0022】
吸着ヘッド7の動作は、吸着搭載アーム6に取り付けられた吸排気機構28によって行われる。具体的には、吸排気機構28は、チップ部品3を吸着する際は、吸気することによって吸着ヘッド7の圧力を減圧する。また、吸排気機構28は、搭載部105においてチップ部品3を搭載する際は、排気することによって吸着ヘッド7を加圧する。吸排気機構28と吸着搭載アーム6とは、エアーチューブ291で繋がれている。
【0023】
検査部104は、吸着ポイント10と搭載ポイント15の間に設けられる。検査部104は光学検査ユニット18を備える。
図15に示すように、光学検査ユニット18は、チップ部品3の吸着位置を画像検査して、吸着ヘッド7とチップ部品3との相対位置を計算する。そして、検査部104は、基板8上の搭載ポイント15に対するチップ部品3の位置ずれを補正する。具体的には、光学検査ユニット18が計算した吸着ヘッド7とチップ部品3との相対位置が基準位置からずれている場合、検査部104は、当該ずれを補正して搭載ポイント15にチップ部品3が搭載されるように駆動部20または吸着搭載アーム6の動きを制御する。ここで、基準位置とは、搭載ポイント15にチップ部品3が搭載されるような、吸着ヘッド7とチップ部品3との相対位置のことをいう。すなわち、吸着ヘッド7とチップ部品3との相対位置が基準位置である場合、検査部104は、ずれを補正しない。
【0024】
搭載部105は搭載ステージ32を備える。搭載ステージ32には基板8が配置される。図示しないインローダーとアウトローダーによって搭載ステージ32に対して基板8が導入、排出される。基板8にはランドが形成されている。ランドは、基板8表面の回路パターンに、接合材料として、はんだペースト又は導電性樹脂ペースト等が塗布されて形成される。
図16に示すように、吸着搭載アーム6は、搭載ステージ32に配置された基板8上のランドに対して、チップ部品3を搭載する。このとき、基板8のランドとチップ部品3の端子(図示せず)の位置が合致するように搭載される。
【0025】
前提技術におけるチップマウンター200においては、チップマウンター200が稼動する作業空間に浮遊する異物が、チップ部品3とともに基板8に実装される可能性があった。また、チップ部品3から発塵する異物が、チップ部品3とともに基板8に実装される可能性があった。また、梱包テープ2のポケット11に内包された異物が、チップ部品3とともに基板8に実装される可能性があった。チップ部品3とともに異物が基板8に実装されることにより、製造される電子回路基板の外観の不良および電気的特性の不良が生じる問題があった。
【0026】
近年のチップ部品3の小型化に伴い、チップ部品3の端子の間隔が狭くなっている。梱包テープ2に収納されたチップ部品3の端子間に、微小な異物が存在する場合がある。チップ部品3とともに微小な異物が基板8に実装されると、端子間の絶縁性が低下し、製造される電子回路基板の電気的特性および信頼性に影響を及ぼすことが問題となっている。また、基板8のランドとチップ部品3の端子とをはんだ接合する際、微小な異物に添ってはんだ成分が延びることによって、端子間に必要な絶縁距離が縮まり、製造される電子回路基板の絶縁性が低下する問題があった。以下で説明する本発明の各実施形態は、以上のような課題を解決するものである。
【0027】
<実施の形態1>
図1から
図3は、本実施の形態1におけるチップマウンター100の構成を示す模式図である。
図1は、吸着搭載アーム6が吸着ポイント10に位置する状態を示す。
図2は、吸着搭載アーム6が吸着ポイント10から検査部104に移動する途中の状態を示す。
図3は、吸着搭載アーム6が搭載ポイント15に位置する状態を示す。
【0028】
本実施の形態1におけるチップマウンター100は、フィーダー部102、検査部104および搭載部105を備える。フィーダー部102のうち、吸着搭載アーム6の吸着ヘッド7によりチップ部品3を吸着する部分を、特に吸着部103と呼ぶ。
【0029】
図4は、チップマウンター100の吸着部103の構成を示す模式図である。チップマウンター100の吸着部103は、前提技術におけるチップマウンター200に対して、キャビティークリーニング機構13をさらに備える。
【0030】
図5は、キャビティークリーニング機構13の構成を示す模式図である。キャビティークリーニング機構13は、吸引孔14を備える。吸引孔14はテープ走行レール9を貫通する孔である。吸引孔14は、吸着ポイント10よりも上流において、テープ走行レール9の、カバーテープ4が剥がされていない状態のキャリアテープ1が走行する部分に、ポケット11の底面に設けられた貫通孔12と重なるように配置される。キャビティークリーニング機構13によって吸引される空気の流れを矢印A1で示す。矢印A1で示されるように、キャビティークリーニング機構13で吸引される空気は、吸着ポイント10近くのキャリアテープ1とカバーテープ4の剥離部分から取り込まれ、キャリアテープ1とカバーテープ4の間の凹み31を経て、ポケット11の内部、貫通孔12、吸引孔14の順に通過して、チップマウンター100の外部に排出される。
【0031】
図6は、
図5の線分A−Aに沿った断面図である。本実施の形態1においてトップテープガイド16は、テープ走行レール9の貫通孔12の上部に配置される。梱包テープ2の左右において、テープ走行レール9とトップテープガイド16とが嵌合している。
図6に示すように、テープ走行レール9とトップテープガイド16が嵌合していることにより、テープ走行レール9とトップテープガイド16との接触面は、疑似的な密閉形状となる。これにより、テープ走行レール9とトップテープガイド16との隙間からの空気の流入が抑制されるため、キャビティークリーニング機構13は、矢印A1で空気の流れが示されるように、梱包テープ2のポケット11の内部を効率的に吸引できる。従って、梱包テープ2のポケット11内の異物(キャリアテープ切断時のバリ、キャリアテープ梱包時の環境異物等)を効率よく排除できる。
【0032】
図7は、
図6との比較例を示す図である。
図7においてトップテープガイド16は平板状である。トップテープガイド16が平板状で、テープ走行レール9と嵌合しない形状である場合、矢印A2で示すように、テープ走行レール9とトップテープガイド16との隙間から空気が流入する。これにより、梱包テープ2のポケット11の内部の吸引効率が悪くなり、異物除去の効果が低下する。
【0033】
キャビティークリーニング機構13の動作タイミングについて説明する。梱包テープ2は、吸着ポイント10に向けてポケット11単位で移動と停止を繰り返しながら送り出される。キャビティークリーニング機構13は、梱包テープ2の移動が停止して吸着搭載アーム6によってチップ部品3がポケット11から取り出された後、梱包テープ2の移動が開始するまでの間にポケット11の内部の吸引を行う。つまり、キャビティークリーニング機構13は、梱包テープ2の移動が停止していて、かつ、吸着搭載アーム6によるチップ部品3の取り出しが終わった後に、梱包テープ2のポケット11の内部の吸引を行う。
【0034】
図1に示すように、本実施の形態1におけるチップマウンター100は、前提技術におけるチップマウンター200に対して、異物除去ヘッド17をさらに備える。異物除去ヘッド17は、吸着搭載アーム6の吸着ヘッド7によって梱包テープ2から取り出されて吸着されているチップ部品3に対して、気体を吹き付ける。
【0035】
図2に示すように、異物除去ヘッド17は、吸着ポイント10から後述する検査部104へチップ部品3が吸着搭載アーム6の吸着ヘッド7によって吸着されて移動している途中において、チップ部品3に対して気体の吹き付けを行う。つまり、検査部104による位置ずれの検出が行われる前に、異物除去ヘッド17による吹き付けが行われる。
【0036】
図8は、吸着搭載アーム6に取り付けられた吸排気機構28の構成を示す模式図である。吸着搭載アーム6の吸着ヘッド7による吸着と、異物除去ヘッド17による気体の吹き付けは、共通の吸排気機構28によって行われる。吸排気機構28は、吸排気ポンプ281と、吸排気制御弁282を備える。吸排気制御弁282の吸気側は、フィルター284およびエアーチューブ291を介して吸着ヘッド7に接続される。ここで、フィルター284は異物を除去するためのフィルターである。吸排気制御弁282の排気側は、フィルター283およびエアーチューブ292を介して異物除去ヘッド17に接続される。ここで、フィルター283はオイルミストを除去するためのフィルターである。
【0037】
図1に示すように、本実施の形態1におけるチップマウンター100は、前提技術におけるチップマウンター200に対して、駆動部集塵機構21をさらに備える。駆動部集塵機構21は、駆動部20がレール19に沿って移動する際に、駆動部20の駆動機構とレール19との摩擦により発生する塵を集塵する。
【0038】
図8に示すように、吸着搭載アーム6の吸着ヘッド7による吸着と、駆動部集塵機構21による吸引とは、共通の吸排気機構28によって行われる。吸排気制御弁282の吸気側は、エアーチューブ291を介して吸着ヘッド7に接続され、さらにエアーチューブ293を介して駆動部集塵機構21にも接続される。
【0039】
図1から
図3に示すように、本実施の形態1におけるチップマウンター100の吸着ポイント10は、壁62およびエアーカーテン231によって囲まれている。なお、エアーカーテン231は紙面に対して吸着ポイント10の手前側および吸着ポイント10の奥側にも配置されている。また、異物除去ヘッド17によるチップ部品3に対する気体の吹き付けは、壁62およびエアーカーテン231で囲まれた領域外で行ってもよく、壁62およびエアーカーテン231で囲まれた領域内で行ってもよい。このとき、異物除去ヘッド17によってチップ部品3に吹き付けられる気体は、壁62およびエアーカーテン231で囲まれた領域内の気体である。
【0040】
図1から
図3に示すように、本実施の形態1におけるチップマウンター100は、前提技術におけるチップマウンター200に対して、空気導入部51と空気排出部52をさらに備える。空気導入部51は、吸着ポイント10の上部に配置され、エアーカーテン231で囲まれた吸着ポイント10に外気を導入する。空気導入部51は、チップマウンター100の吸着部103の装置天井61に設けられる。装置天井61にはフィルター241が配置される。フィルター241を介することによって、装置天井61の下部の吸着ポイント10に清浄化された外気が導入される。空気排出部52は、吸着ポイント10の下部に配置され、例えばダクトによってエアーカーテン231で囲まれた領域の気体を、チップマウンター100の外部に排出する。
【0041】
図1から
図3に示すように、チップ部品3が吸着される吸着ポイント10と、チップ部品3が基板8に搭載される搭載ポイント15との間には、エアーカーテン231,232が配置される。つまり、吸着搭載アーム6が、吸着ポイント10から検査部104を経由して搭載ポイント15に向かって移動する際に、吸着搭載アーム6に吸着されたチップ部品3は、エアーカーテン231,232を通過する。
【0042】
また、
図3に示すように、搭載ポイント15はエアーカーテン232,233によって囲まれている。なお、
図3においてエアーカーテンは紙面に対して搭載ポイント15の手前側および搭載ポイント15の奥側にも配置されている。搭載部105の装置天井63にはフィルター242が配置され、フィルター242を介して装置天井63から清浄化された外気が搭載ポイント15に導入される。
【0043】
図9は、チップマウンター100の搭載部105の構成を示す模式図である。搭載部105において、搭載ステージ32に基板8を移動させるためにインローダー33が配置されている。また、搭載ステージ32からチップマウンター100の外部に基板8を移動するためにアウトローダー34が配置されている。なお、図示していないが、載置ステージ32からアウトローダー34に基板8を移動させる手段が配置されている。当該手段は、インローダー33から載置ステージ32に基板8を移動させる手段として兼用してもよい。
【0044】
搭載部105はさらに、吹き付け機構26と集塵機構27を備える。吹き付け機構26は、インローダー33上の基板8に対して気体を吹き付ける。集塵機構27は、インローダー33上の基板8に吹き付けられた気体を吸引する。
【0045】
図10は、チップマウンター100の上面図である。
図10に示すように、吸着部103および搭載部105の周囲にエアーカーテンが配置される代わりに、吸着部103、検査部104、および搭載部105の全体を壁62で囲んでもよい。なお、
図10において、吸着部103と搭載部105の間には、エアーカーテン231,232が配置される。
【0046】
<実施の形態2>
本実施の形態2におけるチップマウンターは、前提技術におけるチップマウンター200に対して、実施の形態1で説明したキャビティークリーニング機構13をさらに備える。また、本実施の形態2におけるチップマウンターは、実施の形態1で説明したトップテープガイド16を備える。なお、実施の形態1におけるチップマウンター100は、キャビティークリーニング機構13およびトップテープガイド16以外の機構も備えていたが、本実施の形態2におけるチップマウンターは、キャビティークリーニング機構13およびトップテープガイド16以外の構成は、前提技術と同じである。
【0047】
本実施の形態2におけるチップマウンターは、梱包テープ2に収納されたチップ部品3を取り出して基板8に搭載するチップマウンターであって、梱包テープ2は、複数のチップ部品3のそれぞれを収納する複数のポケット11を備えたキャリアテープ1と、複数のポケット11のそれぞれの開口を塞ぐカバーテープ4と、を備え、複数のポケット11のそれぞれの底面には貫通孔12が設けられ、チップマウンターは、吸着ポイント10に向けて送り出される梱包テープ2が走行するテープ走行レール9と、吸着ポイント10において、カバーテープ4が剥がされた状態のキャリアテープ1のポケット11からチップ部品3を吸着することによって取り出す吸着搭載アーム6と、キャビティークリーニング機構13と、を備え、キャビティークリーニング機構13は、吸着ポイント10よりも上流において、テープ走行レール9の、カバーテープ4が剥がされていない状態のキャリアテープ1が走行する部分に貫通孔12と重なるように配置された吸引孔14を備え、キャビティークリーニング機構13は、吸引孔14および貫通孔12を通してポケット11の内部を吸引する。
【0048】
キャビティークリーニング機構13を設けることによって、梱包テープ2内に収納されたチップ部品3に付着している異物、キャリアテープ1のポケット11に存在する異物を除去することが可能となる。ここで異物とは、例えばキャリアテープ1の切断時に生じたバリ、キャリアテープ梱包時にポケット11に入り込んだ環境異物等である。従って、チップ部品3とともに異物が基板8に実装されることを抑制可能であるため、チップマウンターにより製造された電子回路基板の電気的特性の劣化等を抑制するこが可能となる。
【0049】
また、本実施の形態2におけるチップマウンターは、テープ走行レール9との間で梱包テープ2を挟み込むように配置されたトップテープガイド16をさらに備える。実施の形態1で説明したように、トップテープガイド16は、テープ走行レール9の貫通孔12の上部に配置され、梱包テープ2の左右において、テープ走行レール9とトップテープガイド16とが嵌合している。
【0050】
梱包テープ2の左右において、テープ走行レール9とトップテープガイド16とが嵌合していることによって、キャビティークリーニング機構13が、トップテープガイド16とテープ走行レール9の隙間から入り込む空気を吸い込むことが抑制される。従って、吸着ポイント10側の開口部から、キャリアテープ1とカバーテープ4の間にできる空間を通してキャビティークリーニング機構13が吸引する空気の量が増えるため、梱包テープ2内の異物を効率よく排除できる。
【0051】
また、本実施の形態2におけるチップマウンターにおいて、実施の形態1で説明したように、梱包テープ2は吸着ポイント10に向けてポケット11単位で移動と停止を繰り返しながら送り出され、キャビティークリーニング機構13は、梱包テープ2の移動が停止して吸着搭載アーム6によってチップ部品3がポケット11から取り出された後、梱包テープ2の移動が開始するまでの間にポケット11の内部の吸引を行う。
【0052】
キャビティークリーニング機構13による吸引を連続的に作動した場合、キャリアテープ1がテープ走行レール9に吸い付くため、キャリアテープ1の移動が困難となる。また、チップ部品3を吸着搭載アーム6により吸着する時に、キャリアテープ1とカバーテープ4の間にできる空間への気流により、チップ部品3がずれて吸着エラーを起こす可能性がある。そこで、吸着搭載アーム6によってチップ部品3がポケット11から取り出された後、梱包テープ2の移動が開始するまでの間にキャビティークリーニング機構13による吸引を行う。つまり、梱包テープ2が移動している間および吸着搭載アーム6によりポケット11からチップ部品3の取り出しが行われている間は、キャビティークリーニング機構13による吸引を行わない。これにより、上記不具合を避けることが可能となる。
【0053】
<実施の形態3>
本実施の形態3におけるチップマウンターは、前提技術におけるチップマウンター200に対して、実施の形態1で説明した異物除去ヘッド17をさらに備える。なお、実施の形態1におけるチップマウンター100は、異物除去ヘッド17以外の機構も備えていたが、本実施の形態3におけるチップマウンターは、異物除去ヘッド17以外の構成は、前提技術と同じである。
【0054】
本実施の形態3におけるチップマウンターは、梱包テープ2に収納されたチップ部品3を取り出して基板8に搭載するチップマウンターであって、吸着ポイント10に向けて送り出される梱包テープ2が走行するテープ走行レール9と、吸着ポイント10において、梱包テープ2からチップ部品3を吸着することによって取り出す吸着搭載アーム6と、吸着搭載アーム6によって梱包テープ2から取り出されて吸着されているチップ部品3に対して、気体を吹き付ける異物除去ヘッド17と、を備える。
【0055】
チップ部品3が吸着搭載アーム6に吸着された状態において、異物除去ヘッド17によって気体を吹き付けることにより、チップ部品3の端子間などに付着している異物を除去することが可能である。従って、チップ部品3とともに異物が基板8に実装されることを抑制可能であるため、チップマウンターにより製造された電子回路基板の電気的特性の劣化等を抑制するこが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態3におけるチップマウンターにおいて、実施の形態1で説明したように、異物除去ヘッド17は吸着搭載アーム6に取り付けられ、吸着搭載アーム6による吸着と、異物除去ヘッド17による気体の吹き付けとが、吸着搭載アームに取り付けられた共通の吸排気機構28によって行われる。
【0057】
異物除去ヘッド17が吸着搭載アーム6とは別の場所に固定されて配置されている場合、吸着搭載アーム6は異物除去ヘッド17まで移動して吹き付けを行う必要がある。一方、本実施の形態3においては、異物除去ヘッド17は吸着搭載アーム6に取り付けられるため、吸着搭載アーム6によりチップ部品3の移動を行いながら、同時に吹き付けも行うことが可能となる。従って、吸着搭載アーム6の移動経路の自由度が向上し、チップ部品3の搭載に関するタクトタイムを短縮することが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態3におけるチップマウンターにおいて、実施の形態1で説明したように、吸着搭載アーム6はその先端に吸着ヘッド7を備え、吸着ヘッド7によって吸着されているチップ部品3の吸着ヘッド7からの位置ずれを検出し、基板8にチップ部品3が搭載される際に位置ずれを補正する検査部104をさらに備え、異物除去ヘッド17によるチップ部品3に対する気体の吹き付けは、検査部104により位置ずれの検出が行われる前に実行される。
【0059】
異物除去ヘッド17によるチップ部品3に対する気体の吹き付けを行うと、チップ部品3が動いて、吸着ヘッド7に対する位置がずれる可能性がある。検査部104による位置ずれの検出を行った後に、異物除去ヘッド17による吹き付けを行って位置ずれが生じてしまうと、この位置ずれを補正することができない。そこで、検査部104により位置ずれの検出が行われる前に、異物除去ヘッド17による吹き付けを行うことが好ましい。これにより、吹き付けによりチップ部品3の位置ずれが生じたとしても、検査部104によってその位置ずれを補正することが可能となる。
【0060】
<実施の形態4>
本実施の形態4におけるチップマウンターは、前提技術におけるチップマウンター200に対して、実施の形態1で説明した駆動部集塵機構21をさらに備える。なお、実施の形態1におけるチップマウンター100は、駆動部集塵機構21以外の機構も備えていたが、本実施の形態4におけるチップマウンターは、駆動部集塵機構21以外の構成は、前提技術と同じである。
【0061】
本実施の形態4におけるチップマウンターは、梱包テープ2に収納されたチップ部品3を取り出して基板8に搭載するチップマウンターであって、吸着ポイント10に向けて送り出される梱包テープ2が走行するテープ走行レール9と、吸着ポイント10において、梱包テープ2からチップ部品3を吸着することによって取り出す吸着搭載アーム6と、吸着搭載アーム6の本体をレール19に沿って移動させる駆動部20と、駆動部20の駆動機構とレール19との摩擦により発生する塵を集塵する駆動部集塵機構21と、を備える。
【0062】
駆動部20がレール19に沿って移動する際に、レール19と駆動部20の駆動機構との摩擦、摩耗によって生じる異物を集塵、排出することによって、搭載部105の汚染、基板8への異物の付着を抑制することができる。従って、チップ部品3とともに異物が基板8に実装されることを抑制可能であるため、チップマウンターにより製造された電子回路基板の電気的特性の劣化等を抑制するこが可能となる。
【0063】
また、本実施の形態4におけるチップマウンターにおいて、実施の形態1で説明したように、吸着搭載アーム6による吸着と駆動部集塵機構21による吸引とが共通の吸排気機構28によって行われる。
【0064】
吸着搭載アーム6による吸着と駆動部集塵機構21による吸引とを共通の吸排気機構28によって行うため、駆動部集塵機構21用に吸気機構を新たに設ける必要が無い。従って、チップマウンターの構造を簡素化して部品を削減できる。また、駆動部20が駆動する吸着搭載アーム6の質量増加を抑制できる。
【0065】
<実施の形態5>
本実施の形態5におけるチップマウンターは、前提技術におけるチップマウンター200に対して、実施の形態1で説明した異物除去ヘッド17をさらに備える。また、実施の形態1で説明したように、本実施の形態5におけるチップマウンターの吸着ポイント10は壁62およびエアーカーテン231によって囲まれており、搭載ポイント15はエアーカーテン232,233によって囲まれている。また、実施の形態1で説明したように、本実施の形態5におけるチップマウンターは、吸着ポイント10の上部に配置された空気導入部51および吸着ポイント10の下部に配置された空気排出部52と、搭載ポイント15の上部に配置された装置天井63とを備える。なお、実施の形態1におけるチップマウンター100は、異物除去ヘッド17、壁62、エアーカーテン231、空気導入部51および空気排出部52以外の機構も備えていたが、本実施の形態5におけるチップマウンターは、異物除去ヘッド17、壁62、エアーカーテン231、空気導入部51および空気排出部52以外の構成は、前提技術と同じである。
【0066】
本実施の形態5におけるチップマウンターは、梱包テープ2に収納されたチップ部品3を取り出して基板8に搭載するチップマウンターであって、吸着ポイント10に向けて送り出される梱包テープ2が走行するテープ走行レール9と、吸着ポイント10において、梱包テープ2からチップ部品3を吸着することによって取り出す吸着搭載アーム6と、吸着搭載アーム6によって梱包テープ2から取り出されたチップ部品3に対して、気体を吹き付ける異物除去ヘッド17とを備え、吸着ポイント10は壁62およびエアーカーテン231によって囲まれ、異物除去ヘッド17によってチップ部品3に吹き付けられる気体は、エアーカーテン231内の気体である。
【0067】
吸着ポイント10の周囲を壁62およびエアーカーテン231で囲むことによって、吸着ポイント10を外気と遮断して、外部からの異物がチップ部品3に付くことを抑制できる。また、外気と遮断された空気を異物除去ヘッド17によってチップ部品3に吹き付けることで、チップ部品3に付着している異物も除去することが可能である。従って、チップ部品3とともに異物が基板8に実装されることを抑制可能であるため、チップマウンターにより製造された電子回路基板の電気的特性の劣化等を抑制するこが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態5におけるチップマウンターは、実施の形態1で説明したように、吸着ポイント10の上部に配置され、エアーカーテン231で囲まれた吸着ポイント10に外気を導入する空気導入部51と、吸着ポイント10の下部に配置され、エアーカーテン231で囲まれた領域の気体を排出する空気排出部52と、をさらに備える。
【0069】
吸着ポイント10を壁62およびエアーカーテン231で囲み、吸着ポイント10の上部から清浄化された外気を取り込み、吸着ポイント10の下部から排出することによって、吸着ポイント10周辺に空気の流れを作ることができる。これにより、吸着ポイント10周辺に存在する異物をチップマウンター外部に排出することが可能となるため、吸着搭載アーム6、駆動部20などに付着した異物が、搭載ポイント15に運ばれることを抑制可能である。
【0070】
また、本実施の形態5におけるチップマウンターにおいて、実施の形態1で説明したように、空気導入部51にフィルター241が配置され、外気は空気導入部51のフィルター241を通過して吸着ポイント10に導入される。
【0071】
エアーカーテン231内に、フィルター241を通して清浄化された外気が導入されるため、異物除去ヘッド17によってチップ部品3に清浄化された空気を吹き付けることが可能となる。従って、異物除去ヘッド17用に空気清浄機構を設けることが不要となるため、装置の複雑化および設備コストの増大を抑制可能である。また、本実施の形態におけるチップマウンターにおいて、実施の形態1で説明したキャビティークリーニング機構13を配置することが可能である。この場合、フィルター241で清浄化された空気でポケット11内部を吸引することが可能となり、ポケット11内部の異物を効果的に除去することが可能である。
【0072】
また、本実施の形態5におけるチップマウンターにおいて、実施の形態1で説明したように、吸着ポイント10と、チップ部品3が基板8に搭載される搭載ポイント15との間にエアーカーテン231,232が配置され、チップ部品3を吸着した吸着搭載アーム6は、エアーカーテン231,232を通過する。
【0073】
吸着ポイント10と搭載ポイント15の間の吸着搭載アーム6の移動経路に対して垂直な面にエアーカーテン232を配置することによって、吸着ポイント10と搭載ポイント15の間を、吸着搭載アーム6に付着した異物が運ばれることを抑制可能である。なお、エアーカーテン231を吸着搭載アーム6の移動経路に対して垂直な面に配置してもよい。
【0074】
<実施の形態6>
本実施の形態6におけるチップマウンターは、前提技術におけるチップマウンター200に対して、実施の形態1で説明したように、チップ部品3が基板8に搭載される搭載ポイント15がエアーカーテン232,233によって囲まれている。なお、実施の形態1におけるチップマウンター100は、搭載ポイント15がエアーカーテン232,233によって囲まれる構成以外の機構も備えていたが、本実施の形態6におけるチップマウンターは、搭載ポイント15がエアーカーテン232,233によって囲まれる構成以外は、前提技術と同じである。
【0075】
本実施の形態6におけるチップマウンターは、梱包テープ2に収納されたチップ部品3を取り出して基板8に搭載するチップマウンターであって、吸着ポイント10に向けて送り出される梱包テープ2が走行するテープ走行レール9と、吸着ポイント10において、梱包テープ2からチップ部品3を吸着することによって取り出す吸着搭載アーム6と、を備え、チップ部品3が基板8に搭載される搭載ポイント15はエアーカーテン232,233によって囲まれる。
【0076】
搭載ポイント15はエアーカーテン232,233によって囲まれることによって、搭載ポイント15の周辺に異物が入り込むことが抑制されるため、搭載ポイント15の清浄を確保することが可能である。従って、チップ部品3とともに異物が基板8に実装されることを抑制可能であるため、チップマウンターにより製造された電子回路基板の電気的特性の劣化等を抑制するこが可能となる。
【0077】
<実施の形態7>
本実施の形態7におけるチップマウンターは、前提技術におけるチップマウンター200に対して、実施の形態1の
図10で説明したように、チップ部品3が吸着搭載アーム6に吸着される吸着ポイント10およびチップ部品3が基板8に搭載される搭載ポイント15を含む空間の周囲が壁62で囲まれている。なお、実施の形態1におけるチップマウンター100は、吸着ポイント10および搭載ポイント15を含む空間の周囲が壁62で囲まれている構成以外の機構も備えていたが、本実施の形態6におけるチップマウンターは、吸着ポイント10および搭載ポイント15を含む空間の周囲が壁62で囲まれている構成以外は、前提技術と同じである。
【0078】
本実施の形態7におけるチップマウンターは、梱包テープ2に収納されたチップ部品3を取り出して基板8に搭載するチップマウンターであって、吸着ポイント10に向けて送り出される梱包テープ2が走行するテープ走行レール9と、吸着ポイント10において、梱包テープ2からチップ部品3を吸着することによって取り出す吸着搭載アーム6と、を備え、チップ部品3が吸着搭載アーム6に吸着される吸着ポイント10およびチップ部品3が基板8に搭載される搭載ポイント15を含む空間の周囲が壁62で囲まれる。
【0079】
吸着ポイント10および搭載ポイント15を含む空間の周囲を壁62で囲んで1つの空間とすることによって、吸着ポイント10および搭載ポイント15に対して外部から異物が入り込むことを抑制可能である。また、吸着ポイント10と搭載ポイント15で外気の導入部、フィルター241,242を共用することにより、設備コストを低減することが可能である。
【0080】
<実施の形態8>
本実施の形態8におけるチップマウンターは、前提技術におけるチップマウンター200に対して、実施の形態1の
図9で説明したように、インローダー33と吹き付け機構26と集塵機構27をさらに備える。インローダー33は、チップ部品3が基板8に搭載される搭載ポイント15に基板8を移動させる。吹き付け機構26は、インローダー33上の基板8に対して気体を吹き付ける。集塵機構27は、基板8に吹き付けられた気体を吸引する。なお、実施の形態1におけるチップマウンター100は、吹き付け機構26および集塵機構27以外の機構も備えていたが、本実施の形態8におけるチップマウンターは、吹き付け機構26および集塵機構27以外の構成は、前提技術と同じである。
【0081】
本実施の形態8におけるチップマウンターは、梱包テープ2に収納されたチップ部品3を取り出して基板8に搭載するチップマウンターであって、吸着ポイント10に向けて送り出される梱包テープ2が走行するテープ走行レール9と、吸着ポイント10において、梱包テープ2からチップ部品3を吸着することによって取り出す吸着搭載アーム6と、インローダー33と、インローダー33上の基板8に対して気体を吹き付ける吹き付け機構26と、インローダー33上の基板8に吹き付けられた気体を吸引する集塵機構27と、を備える。
【0082】
吹き付け機構26と集塵機構27を設けることにより、インローダー33により外部から運ばれて来る基板8に付着している異物を除去することが可能である。従って、チップ部品3とともに異物が基板8に実装されることを抑制可能であるため、チップマウンターにより製造された電子回路基板の電気的特性の劣化等を抑制するこが可能となる。
【0083】
以上で説明した実施の形態1から8のチップマウンターによって基板8にチップ部品3が搭載される。そして、チップ部品3が搭載された基板8が加熱されることにより、基板8上のランドに配置された接合材料が溶融して、基板8上のランドとチップ部品3の端子とが電気的に接合する。このようにして、電気的特性の劣化等が抑制されて信頼性の高い電子回路基板が製造される。
【0084】
電子回路基板は、例えば、スイッチング素子を駆動するための電子回路基板である。スイッチング素子は、例えば電力変換用のスイッチング素子であり、SiC又はGaNを含むパワー半導体である。スイッチング素子は、例えばIGBT(insulated gate bipolar transistor)、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)などである。このように、本実施の形態1から8のチップマウンターによって製造された電子回路基板と、スイッチング素子とを組み合わせて、電気的特性の劣化等が抑制されて信頼性の高いパワーモジュールを構成することが可能である。
【0085】
なお、実施の形態2から8のそれぞれにおいて前提技術におけるチップマウンターに付加した構成は、自由に組み合わせることが可能である。本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。