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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-72531(P2021-72531A)
(43)【公開日】2021年5月6日
(54)【発明の名称】無線電波調査システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/08 20090101AFI20210409BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20210409BHJP
   H04B 17/391 20150101ALI20210409BHJP
【FI】
   H04W24/08
   H04B17/309
   H04B17/391
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-197837(P2019-197837)
(22)【出願日】2019年10月30日
(71)【出願人】
【識別番号】594021728
【氏名又は名称】株式会社エステック
(71)【出願人】
【識別番号】314009445
【氏名又は名称】尾崎 眞啓
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】山本 新次
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 眞啓
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD44
5K067HH22
5K067LL02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低コスト、迅速、かつ高品位に電波障害の原因を推定できる無線電波調査システムを提供する。
【解決手段】無線電波調査システム1は、調査領域に分散して配置した複数の通信端末3と解析サーバー5とを有する。通信端末3は、無線電波を受信する端末側受信部7と、端末側受信部7で受信した電波情報を送信する端末側送信部10とを有する。解析サーバー5は、複数の通信端末3に関係する位置情報、電波情報、空間情報、周辺情報に基づいて調査領域の電波受信に影響を与える原因を推定する原因推定部とを有する。通信端末3はさらに、端末側電波状態異常検出部51と、端末側異常状態制御部52とを有し、異常を検出した通信端末の電波情報に係る検出情報量を定常時よりも多くなるように制御する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調査領域に分散して配置した複数の通信端末とネットワーク上の解析サーバーとを有する無線電波調査システムであって、
前記通信端末は、調査対象に係る無線電波を受信する少なくとも一つの種類の端末側受信部と、前記ネットワーク上の前記解析サーバーに前記端末側受信部で受信した電波情報を送信する端末側送信部とを有しており、
前記無線電波調査システムは、前記複数の通信端末の位置情報を記憶する位置情報記憶部と、時間経過によって時系列的に得られる前記電波情報を前記複数の通信端末毎及び電波種類毎に記憶する電波情報記憶部と、前記複数の通信端末が配置された位置の空間情報を記憶する空間情報記憶部と、前記複数の通信端末が配置された位置の周辺情報を記憶する周辺情報記憶部と、前記位置情報、前記電波情報、前記空間情報、前記周辺情報に基づいて前記調査領域の電波受信に影響を与える原因を推定する原因推定部と、
少なくとも1つの前記通信端末の電波受信状態の異常を検出する端末側電波状態異常検出部と、異常を検出した前記通信端末の前記電波情報に係る検出情報量を定常時よりも多くなるように制御する端末側異常状態制御部とを有していることを特徴とする無線電波調査システム。
【請求項2】
前記検出情報量を多くすることを、前記異常を検出した前記通信端末と前記解析サーバーとの前記電波情報に関する単位時間当たりのデータ通信量を多くすることで行われる、請求項1に記載の無線電波調査システム。
【請求項3】
前記データ通信量の増加が前記通信端末からの電波受信データ送信間隔を定常時に比べて短く設定することによって行われる、請求項2に記載の無線電波調査システム。
【請求項4】
少なくとも異常を検出した前記通信端末を含んで電波受信レベルをその時間領域において表示する時間領域表示部を有している、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の無線電波調査システム。
【請求項5】
少なくとも異常を検出した前記通信端末を含んで周囲範囲の空間配置を表示する空間領域表示部を有している、請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の無線電波調査システム。
【請求項6】
システムの使用者又はシステムの指示によって異常を検出した前記通信端末の前記時間領域及び/又は前記空間領域表示においてどの通信端末であるかを識別できるように表示する相互連携部を有している、請求項4〜請求項5のいずれか一つに記載の無線電波調査システム。
【請求項7】
前記異常状態検出部によって検出されて、前記検出情報量の増えた前記電波情報と、前記通信端末が配置された所定空間内に存在する情報端末の運転情報と、に基づいて、前記原因推定部が前記調査領域の電波受信に影響を与える原因を推定する、請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載の無線電波調査システム。
【請求項8】
前記周囲範囲に関する情報を記憶する周囲範囲情報記憶部を有しており、前記周囲範囲が予め決められた値又は算出された値によって設定される、請求項5に記載の無線電波調査システム。
【請求項9】
調査対象に係る無線電波が複数種類あり、前記通信端末は、前記複数種類に対応する複数種類の前記端末側受信部を有しており、前記複数個の前記端末側受信部の内、一の種類の無線電波が他の種類の無線電波の受信に影響を与える度合いを検出する影響度検出部と、検出された影響度に基づいて、本システムが受信異常の原因を推定しようとする無線電波に対する少なくとも一つの他の種類の無線電波による悪影響を与える原因を推定する原因推定部とを有する、請求項1〜請求項8のいずれか一つに記載の無線電波調査システム。
【請求項10】
前記複数の通信端末を、スマートフォンなどの汎用型の携帯通信端末で構成し、前記汎用型の携帯通信端末に前記通信端末が行う処理を実行させるソフトウエアを予めインストールした、請求項1〜請求項9のいずれか一つに記載の無線電波調査システム。
【請求項11】
前記複数の通信端末を、部屋や屋外に常設される常設型通信端末で構成した、請求項1〜請求項9のいずれか一つに記載の無線電波調査システム。
【請求項12】
前記調査領域を調査する場合に、前記複数の通信端末を、一時的に設けられる携帯通信端末と、部屋や屋外に常設される常設型通信端末とを共に使用することで構成した、請求項1〜請求項11のいずれか一つに記載の無線電波調査システム。
【請求項13】
前記原因推定部は、電波情報の異常を検出する異常電波情報検出部と、過去に蓄積された異常時の前記位置情報、前記電波情報、前記空間情報、前記周辺情報と正常時の前記位置情報、前記電波情報、前記空間情報、前記周辺情報を入力データとして、教師データとしての異常の原因を与えて機械学習を行って得られた異常原因推定モデルとを有し、前記異常電波情報検出部によって検出された時に、前記位置情報、前記電波情報、前記空間情報、前記周辺情報を入力データとして、前記異常原因推定モデルによって現在の状態における異常の原因を推定する、請求項1〜請求項12のいずれか一つに記載の無線電波調査システム。
【請求項14】
前記異常が周期的異常であり、前記異常電波情報検出部が周期的異常を検出する周期的異常電波情報検出部であり、前記異常原因推定モデルが周期的異常原因推定モデルである、請求項13に記載の無線電波調査システム。
【請求項15】
前記通信端末が複数の常設型通信端末であり、前記端末側受信部が未確認電波源から発せられる無線電波を受信する機能を備えており、前記未確認電波源が監視領域に侵入したことを前記複数の常設型通信端末から得られる複数の受信情報に基づいて検出する未確認電波源検出部を備えている、請求項1〜請求項14のいずれか一つに記載の無線電波調査システム。
【請求項16】
前記未確認電波源検出部は前記複数の常設型通信端末からの電波情報の変化を時系列的に補足する電波情報変化補足部を備えている、請求項15に記載の無線電波調査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LAN等の各種規格の無線電波受信状況を調査する無線電波調査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記無線電波調査としては、アクセスポイント設置前の電波状況の調査、及びアクセスポイント設置後の現在の電波状況の調査であるサイトサーベイ(site survey)が良く知られている。
サイトサーベイは、一般にアクセスポイント設置前に侵入波がどのような状況なのかを確認し、アクセスポイント設置後に新規導入したアクセスポイントが計算し、設計した通りの電波環境なのかを確認する調査である。
【0003】
例えば、ビル内のオフィスに無線LAN(Local Area Network)を設け、オフィス内の各電子機器を無線で連結することは一般に行われている。この場合も、サイトサーベイにより、電波環境が良くなる場所にアクセスポイントを設置することができる。
従来のサイトサーベイでは、下記特許文献1に例示するように、専門の調査員が特殊な装置(携帯測定器や測定台車)を用いて、受信状況を示すコンピュータ画面を見ながら、複数の場所で電波環境を調査することが行われていた。
【0004】
一方、日本政府は「IOT」「AI」「ビックデータ」の3つの技術を推奨し、21世紀の指針として第4次産業革命を目指すと発表し、積極的に社会インフラと法整備を行うことを目指している。
今後、「IOT」の進展によって日本は言うに及ばず、世界中に無線によって情報伝達する機器の数が激増することが考えられ、無線ネットワークがあらゆる分野に広がっていくと考えられている。
したがって、無線受信が的確に行われているか否かの調査に対する要望は年々、高まっていくと予想されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−125951号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記サイトサーベイをとっても、専門の調査員が行う調査には熟練とノウハウが必要であり、測定にかかる時間と経済コストも高くなる課題があった。
無線LANだけでなく、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、その他の各種の無線規格は今後も増えていくことが予想され、干渉や混信の発生をいかに回避するかが課題となっている。
また、次世代モバイル通信「5G」ではWi−Fiなみの低電力で10Gbpsの超高速通信が実現される予定であり、有線で繋がれていた電子機器間の情報伝達が無線化することが高まり、上記特許文献1のような人的作業で対応することが数量的に難しくなっている。
このような現状から、今後、無線障害のトラブルが頻発することが憂慮されている。
一方、上記サイトサーベイにおいて、オフィス単位や調査領域単位において無線電波受信状況や、不審な無線電波による障害が発生している状態を調査地域が広くても、できるだけ即座に検出し、その異常状況をサイトサーベイ関係者に分かりやすい形で知らせることができる技術が望まれていたが、そのような技術は存在しないのが現状であった。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の現状及び各課題を解決することができる無線電波調査システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、低コスト、迅速、かつ高品位に電波障害の原因を推定できる無線電波調査システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、例えば、広い調査領域を有しており、大量のデータを処理する場合でも低コストで異常検知を行うことができる無線電波調査システムを提供することにある。
上記に記載した以外の発明の課題、その解決手段及びその効果は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る無線電波調査システムにおいて、「基本となる技術構成1」は、調査領域に分散して配置した複数の通信端末とネットワーク上の解析サーバーとを有する無線電波調査システムであって、
前記通信端末は、調査対象に係る無線電波を受信する少なくとも一つの種類の端末側受信部と、前記ネットワーク上の前記解析サーバーに前記端末側受信部で受信した電波情報を送信する端末側送信部とを有しており、
前記無線電波調査システムは、前記複数の通信端末の位置情報を記憶する位置情報記憶部と、時間経過によって時系列的に得られる前記電波情報を前記複数の通信端末毎に記憶する電波情報記憶部と、前記複数の通信端末が配置された位置の空間情報を記憶する空間情報記憶部と、前記電波情報と前記空間情報に基づいて前記各通信端末の電波受信に関する異常を検出する電波異常検出部とを有していることを特徴とする。
前記「基本となる技術構成1」であれば、調査領域内に通信端末が複数個分散して配置するとともに、例えば、必要であれば、長い期間において継続的に時間経過を伴った電波情報を通信端末毎に得られる。また、電波異常検出部が、前記電波情報と前記空間情報に基づいて各通信端末の電波受信に関する異常を検出するので、異常検知を時間的にも空間的にも分かりやすい形で簡単に把握できる。
また、「基本となる技術構成2」は、調査領域に分散して配置した複数の通信端末とネットワーク上の解析サーバーとを有する無線電波調査システムであって、
前記通信端末は、調査対象に係る無線電波を受信する少なくとも一つの種類の端末側受信部と、前記ネットワーク上の前記解析サーバーに前記端末側受信部で受信した電波情報を送信する端末側送信部とを有しており、
前記無線電波調査システムは、前記複数の通信端末の位置情報を記憶する位置情報記憶部と、時間経過によって時系列的に得られる前記電波情報を前記複数の通信端末毎及び電波種類毎に記憶する電波情報記憶部と、前記複数の通信端末が配置された位置の空間情報を記憶する空間情報記憶部と、前記複数の通信端末が配置された位置の周辺情報を記憶する周辺情報記憶部と、前記位置情報、前記電波情報、前記空間情報、前記周辺情報に基づいて前記調査領域の電波受信に影響を与える原因を推定する原因推定部とを有することを特徴とする。
なお、上記「基本となる技術構成1」又は「基本となる技術構成2」に対して、それぞれ下記各他の形態のいずれか一つを組み合わせて別の実施形態を構成することも可能である。
本発明に係る無線電波調査システムは、調査領域に分散して配置した複数の通信端末とネットワーク上の解析サーバーとを有する無線電波調査システムであって、
前記通信端末は、調査対象に係る無線電波を受信する少なくとも一つの種類の端末側受信部と、前記ネットワーク上の前記解析サーバーに前記端末側受信部で受信した電波情報を送信する端末側送信部とを有しており、
前記無線電波調査システムは、前記複数の通信端末の位置情報を記憶する位置情報記憶部と、時間経過によって時系列的に得られる前記電波情報を前記複数の通信端末毎及び電波種類毎に記憶する電波情報記憶部と、前記複数の通信端末が配置された位置の空間情報を記憶する空間情報記憶部と、前記複数の通信端末が配置された位置の周辺情報を記憶する周辺情報記憶部と、前記位置情報、前記電波情報、前記空間情報、前記周辺情報に基づいて前記調査領域の電波受信に影響を与える原因を推定する原因推定部と、
少なくとも1つの前記通信端末の電波受信状態の異常を検出する端末側電波状態異常検出部と、異常を検出した前記通信端末の前記電波情報に係る検出情報量を定常時よりも多くなるように制御する端末側異常状態制御部とを有していることを特徴とする。
なお、前記原因推定部は機械学習を用いた機械学習部を含んで構成することができる。
【0009】
空間情報には、サイトサーベイに通常、考慮される「木造、鉄筋、コンクリート等の躯体情報」がある。
空間情報には、例えば、オフィスなどの部屋が何階にあるかという情報、ビル又は部屋内の間取り情報、階段、庭の位置、部屋内の電子機器、インターネット等に接続可能な情報端末の位置及びその位置の変更、部屋内のレイアウト変更などの構造物に関する情報が含まれる。なお、前記電子機器が部屋内位置をネットワーク的に把握できる電子機器であれば、さらに好ましい。この空間情報の把握は、本特許出願に係る他の請求項に係る発明においても同様に適用できる。
空間情報の一種である構造物情報としては、地下鉄構内、電車内、船内等の構造物の内部情報が含まれる。
周辺情報としては、部屋のあるビルの回りの地理情報、建物情報、道路配置などの情報が例示できる。
【0010】
本発明に係る構成であれば、調査領域内に通信端末が複数個分散して配置するとともに、例えば、必要であれば、長い期間において継続的に時間経過を伴った電波情報を通信端末毎及び電波種類毎に得られるので、長期的な電波受信の変動及び異常を検出することができる。また、原因推定部は、位置情報、空間情報、電波情報のみならず、例えば、外部の地理的状況、地図的状況に関する情報である周辺情報を加味して、期間継続的な電波情報に基づいて各種電波受信の障害になる原因を推定するので、人の経験や熟練度に影響を受けず、色々な可能性を広範囲に自動検討でき、電波受信障害の原因を精度良く推定することができる。
また、少なくとも1つの通信端末が電波受信状態の異常があった状態を、端末側電波状態異常検出部が検出して、端末側異常状態制御部が異常を検出した通信端末の前記検出情報量を定常時よりも多くなるように制御するので、異常状態において定常状態に比べて詳しいデータを送信又は記憶できる。したがって、原因推定部の推定精度を高めることができる。
【0011】
本発明に係る他の形態は、前記検出情報量を多くすることを、前記異常を検出した前記通信端末と前記解析サーバーとの前記電波情報に関する単位時間当たりのデータ通信量を多くすることで行われることを特徴とする。
この構成であれば、多数の通信端末を有するシステムであっても、異常状態でない定常状態の時はデータ通信量を増やす必要がないので、解析サーバー側の処理能力が比較的低い場合でも対処できる利点がある。
本発明に係る他の形態は、前記データ通信量の増加が前記通信端末からの電波受信データ送信間隔を定常時に比べて短く設定することによって行われることを特徴とする。
この構成であれば、簡単な構成でデータ通信量を増加させることを実現できる。
【0012】
本発明に係る他の形態は、少なくとも異常を検出した前記通信端末を含んで電波受信レベルをその時間領域において表示する時間領域表示部を有していることを特徴とする。
この構成であれば、異常時に設定された短い時間間隔において、異常に係る通信端末の時間的推移を把握しやすくなる。
【0013】
本発明に係る他の形態は、少なくとも異常を検出した前記通信端末を含んで周囲範囲の空間配置を表示する空間領域表示部を有していることを特徴とする。
異常を検出した通信端末の周囲範囲は、部屋の中、ビルの中などの調査範囲や、予め設定された半径などの所定距離内にある調査範囲等が例示できる。簡単には、周囲範囲を前記調査領域に設定してもよい。
この構成であれば、空間領域表示部が少なくとも異常を検出した通信端末を含んで周囲の空間配置を表示するので、異常が起こった通信端末の設置位置などの空間配置を把握しやすくなる。
【0014】
本発明に係る他の形態は、システムの使用者又はシステムの指示によって異常を検出した前記通信端末の前記時間領域及び/又は前記空間領域表示においてどの通信端末であるかを識別できるように表示する相互連携部を有していることを特徴とする。
この構成であれば、相互連携部によって時間領域及び/又は空間領域の表示において、異常を検出した通信端末の識別を分かりやすい形で行うことができる。また、相互連携部によって時間領域と空間領域を相互にリンクした状態で表示できるので、使用者において異常の把握程度を高めることができる。
【0015】
本発明に係る他の形態は、前記異常状態検出部によって検出されて、前記検出情報量の増えた前記電波情報と、前記通信端末が配置された所定空間内に存在する情報端末の運転情報と、に基づいて、前記原因推定部が前記調査領域の電波受信に影響を与える原因を推定することを特徴とする。
情報端末に起因する運転情報とは、その情報端末の停止、起動、ある特定機能状態への移行などの運転、通信等に関する情報などが例示できる。
この構成であれば、各種の情報機器に関する影響も加えた原因推定を行うことができる。
【0016】
本発明に係る他の形態は、前記周囲範囲に関する情報を記憶する周囲範囲情報記憶部を有しており、前記周囲範囲が予め決められた値又は算出された値によって設定されることを特徴とする。
なお、「周囲範囲情報」という概念は、異常を検出した通信端末に対してどこまでの領域まで通信端末を時間領域や空間領域の表示において含めるかを決める情報としても把握できるものである。
この構成であれば、異常を検出した通信端末を含んで周囲の空間配置を表示する場合に、異常状況に対応した「周囲範囲情報」の程度を好ましい範囲に設定するバリエーションを増やすことができる。
【0017】
本発明に係る他の形態は、調査対象に係る無線電波が複数種類あり、前記通信端末は、前記複数種類に対応する複数種類の前記端末側受信部を有しており、前記複数個の前記端末側受信部の内、一の種類の無線電波が他の種類の無線電波の受信に影響を与える度合いを検出する影響度検出部と、検出された影響度に基づいて、本システムが受信異常の原因を推定しようとする無線電波に対する少なくとも一つの他の種類の無線電波による悪影響を与える原因を推定する原因推定部とを有することを特徴とする。
なお、この形態においても、前記原因推定部は機械学習を用いた機械学習部を含んで構成することができる。
【0018】
この構成であれば、影響度検出部が一の種類の無線電波が他の種類の無線電波の受信に影響を与える度合いを検出し、原因推定部が検出された影響度に基づいて、異常原因を推定しようとする無線電波に対する少なくとも一つの他の種類の電波の悪影響を与える原因を推定する。通信端末が複数種類の無線電波を受信できる複数種類の前記端末側受信部を有しているので、例えば、無線LANとブルートゥースなどの混信等の無線異常の原因を簡単かつ正確に特定できる。
【0019】
本発明に係る他の形態は、前記複数の通信端末を、スマートフォンなどの汎用型の携帯通信端末で構成し、前記汎用型の携帯通信端末に前記通信端末が行う処理を実行させるソフトウエアを予めインストールしたことを特徴とする。
この構成であれば、前記複数の通信端末を、スマートフォンなどの汎用型の携帯通信端末で構成したので、本システム専用の通信端末を製造するよりも安価に無線電波調査システムを構築できる。
【0020】
本発明に係る他の形態は、前記複数の通信端末を、部屋や屋外に常設される常設型通信端末で構成したことを特徴とする。
この構成であれば、常設されているので装置が故障するまで、例えば10年〜20年でも電波受信障害の原因を探求できる電波情報を解析サーバーに送信することができる。
【0021】
本発明に係る他の形態は、前記調査領域を調査する場合に、前記複数の通信端末を、一時的に設けられる携帯通信端末と、部屋や屋外に常設される常設型通信端末とを共に使用することで構成したことを特徴とする。
この構成であれば、携帯通信端末と常設型通信端末とを共に利用しているので、短期的な調査と長期的な調査を組み合わせることにより、詳細に受信状況を把握することができる。つまり、長期期間に渡る電波情報と、例えば、何かトラブルが起こった場合に新しく設けた携帯通信端末から得られる電波情報とを組み合わせることで、より詳細な調査を可能にできる。
【0022】
本発明に係る他の形態は、前記原因推定部は、電波情報の異常を検出する異常電波情報検出部と、過去に蓄積された異常時の前記位置情報、前記電波情報、前記空間情報、前記周辺情報と、正常時の前記位置情報、前記電波情報、前記空間情報、前記周辺情報を入力データとして、教師データとしての異常の原因を与えて機械学習を行って得られた異常原因推定モデルとを有し、前記異常電波情報検出部によって検出された時に、前記位置情報、前記電波情報、前記空間情報、前記周辺情報を入力データとして、前記異常原因推定モデルによって現在の状態における異常の原因を推定することを特徴とする。
この構成であれば、過去の異常のデータの蓄積に基づいて現在の異常を検出できる時間域において推定するので、人間の判断よりも原因の推定時間を著しく短縮することができる。異常を検出するとほぼ同時のリアルタイムで発生原因を推定することも可能である。また、機械学習によって生成された異常原因推定モデルは、位置情報、電波情報、空間情報、周辺情報を人間の先入観なく、関係づけるので人間の精度よりも原因推定の確度を高くすることが可能になる。
【0023】
なお、常設型通信端末を採用した顧客に対して、場所や測定箇所等の個人情報を明らかにしないという契約で正常情報と異常情報を集めることができるならば、システムを採用した顧客全体の情報から、教師あり学習に必要な多量の数の異常と正常のデータセット(前記位置情報、前記電波情報、前記空間情報、前記周辺情報)を蓄積及び取得することは、比較的簡単に行えるものである。
【0024】
本発明に係る他の形態は、前記異常が周期的異常であり、前記異常電波情報検出部が周期的異常を検出する周期的異常電波情報検出部であり、前記異常原因推定モデルが周期的異常原因推定モデルであることを特徴とする。
周期的な異常の原因の一例としては、Wi−Fi機能等が搭載されているバスの運行による電波障害、各種通信機能を備えた電車や移動体の通過などの影響がある。
毎回毎回、全く新しい原因の電波受信障害が起こることは稀であり、人間及び機械の活動に伴う電波受信障害は、人間及び機械の活動に伴って周期的に繰り返すことが多い。したがって、この構成であれば、周期的異常原因推定モデルを機械学習によってコンピュータ処理を行うことで、多くの電波受信に関する問題を短時間で解決できる可能性を高めることができる。
【0025】
本発明に係る他の形態は、前記通信端末が複数の常設型通信端末を含み、前記端末側受信部がWi−Fi機能を有する通信端末が使用する無線電波を受信する機能を備えており、不審な携帯端末が監視領域に侵入したことを前記複数の常設型通信端末から得られる複数の受信情報に基づいて検出する不審通信端末検出部を備えていることを特徴とする。
上記構成に関連して、前記通信端末が複数の常設型通信端末であり、前記端末側受信部が未確認電波源から発せられる無線電波を受信する機能を備えており、前記未確認電波源が監視領域に侵入したことを前記複数の常設型通信端末から得られる複数の受信情報に基づいて検出する未確認電波源検出部を備えている構成にすることもできる。
なお、この形態においても、不審通信端末検出部又は未確認電波源検出部は、常設型通信端末における位置情報、少なくとも一種類の電波情報、空間情報、周辺情報を利用した機械学習部を含んで構成することができる。
この構成であれば、不審通信端末検出部又は未確認電波源検出部が、不審な携帯端末又は未確認電波源が監視領域に侵入したことを複数の常設型通信端末から得られる複数の受信情報に基づいて検出することができる。特に、常設型通信端末の設置によって、正常な状態を予め把握することが可能なので、不審なWi−Fi機能を有する通信端末又は未確認電波源が侵入したことを正確かつ迅速に検出できる。
【0026】
本発明に係る他の形態は、前記不審通信端末検出部又は未確認電波源検出部は前記複数の常設型通信端末からの電波情報の変化を時系列的に補足する電波情報変化補足部を備えていることを特徴とする。
この構成であれば、不審な通信端末又は未確認電波源が監視領域に侵入した時から、監視領域を移動すれば、その移動に伴って複数の常設型通信端末の受信電波の受信強度は変化する。その変化を補足することで、例えば、侵入時から、不審な通信端末の移動経路を特定することが可能になり、不審な通信端末又は未確認電波源の現在位置などの情報を精度良く、かつ迅速に検出することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、低コスト、迅速、かつ高品位に電波障害の原因を推定できる無線電波調査システムを提供できた。
本発明によれば、例えば、広い調査領域を有しており、大量のデータを処理する場合でも低コストで異常検知を行うことができる無線電波調査システムを提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態において、調査領域に複数個設けられる通信端末を説明するためのブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態において、解析サーバーを説明するためのブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態において、通信端末が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の第1実施形態において、解析サーバーが行う処理の一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1実施形態において、複数の通信端末をビル内に配置した一例を示す図である。
図6】(a)(b)はそれぞれ本発明の第1実施形態に係る周辺情報の一例を説明するための図である。
図7】本発明の第2実施形態において、解析サーバーの一例を説明するためのブロック図である。
図8】本発明の第2実施形態において、一例として天井に設けられた常設型通信端末を示す斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態を説明するための図であり、電波情報に係る周期的パターンの検出例を説明するための図である。
図10】本発明の第3実施形態において、野良Wi−Fiのような不審な通信端末が監視領域に侵入したことを検出する解析サーバーの一例のブロック図である。
図11】本発明の第3実施形態において、不審な通信端末の検出を説明するための模式図である。
図12】本発明の第4実施形態において使用する通信端末の構成の一例を示すブロック図である。
図13】本発明の第4実施形態において、解析サーバーの一例を示すブロック図である。
図14】本発明の第4実施形態において、端末側電波状態異常検出部の検出する自社無線アクセスポイントの異常を説明するための図である。
図15】本発明の第4実施形態において、端末側電波状態異常検出部の検出する未確認無線アクセスポイントの異常を説明するための図である。
図16】本発明の第4実施形態において、システムにおいて異常と判別する閾値とアラートメールの設定画面の一例を示す図である。
図17】本発明の第4実施形態において、空間領域表示の一例を示した表示画面を示す図である。
図18】本発明の第4実施形態において、時間領域表示の一例を示した表示画面を示す図である。
図19】本発明の第4実施形態において、異常時における通信端末の検出情報量を定常時より多くする実施形態の処理の一例を示すフローチャートである。
図20】本発明の第4実施形態を説明するための図であり、図20(a)は定常時のデータ送信処理を説明するための図であり、図20(b)は異常時のデータ送信処理を説明するための図である。
図21】本発明の第4実施形態において、時間領域表示と空間領域表示の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、図面を参照しながら本発明の無線電波調査システムの実施形態についてさらに詳細に説明する。
本発明において、無線電波調査システムはアクセスポイントからの無線電波を受信する通信端末や電子機器等においてその受信状態を、ある程度の長さを持った時間幅(例えば、3日、一週間など)で調査することを目的とするシステムである。
この明細書における「無線電波」には、無線LANに使用されるアクセスポイントのように到達する距離が短い無線電波も、基地局のように数十キロに亘るような到達する距離が長い無線電波も含めることができる。
【0030】
[第1実施形態]
図1図6は、本発明の第1実施形態に係る無線電波調査システム1を説明するための図である。
図1及び図2に示すように、この無線電波調査システム1は、調査領域2に分散して配置した複数の通信端末3,3,…,3図2参照:以下、通信端末3と略称する)と、ネットワーク4上の解析サーバー5とを有している。
調査領域2とは、顧客の要望に応じてオフィスの無線LANによる受信状態の良くない部屋の箇所、外部電波との混信などを調査したい範囲を特定した領域である。この実施形態では無線LANによる調査範囲を設定する構成が例示してある。
図1に示すように、通信端末3は無線電波を受信する少なくとも一つの種類の端末側受信部7を有している。例えば、無線LANを対象とするアクセスポイントからの無線を受信する第1受信部7aと、ブルートゥース無線を受信する第2受信部7bと、外部アンテナ7dと接続する接続端子を備えた第3受信部7cとを備えている。内蔵無線LANとは異なる規格の無線を受信する場合に外部アンテナ7dを用いて第3受信部7cによって受信する。
通信端末3には、各受信部7a〜7cから受信した受信電波を処理する受信電波処理部8と、処理して必要な情報を記憶する端末側記憶部9と、端末側送信部10と、有機ELディスプレイなどの表示部11とを有している。
なお、本明細書において、ネットワーク4とは、インターネット、イントラネット(Intranet)、クラウドなどの広く使用される通信網や情報伝達系を含む概念で使用している。
【0031】
図2に示すように、解析サーバー5は、サーバー側受信部13とサーバー側送信部14を有している。
解析サーバー5は、各種情報を記憶する記憶部として、複数の通信端末3の位置情報を記憶する位置情報記憶部15と、時間経過によって得られる電波情報を複数の通信端末3毎及び電波種類毎にそれぞれ記憶する電波情報記憶部16と、複数の通信端末3が配置された位置の空間情報を記憶する空間情報記憶部17と、複数の通信端末3が配置された位置の周辺情報を記憶する周辺情報記憶部18と、正常電波情報記憶部19と、異常電波情報記憶部20と、告知情報記憶部21とを有している。
【0032】
また、解析サーバー5は、異常状態検出部22と原因推定部24を有している。
この実施形態では、異常状態検出部22は、受信レベル検出部23を含んで構成してある。
受信レベル検出部23は受信部7a〜7cのうち、例えば仮に、無線LANを監視すべき無線電波として設定した時に何らかの原因により外部無線電波が第1閾値を超えたときに、自社の無線環境に悪影響を及ぼすと判別して、告知情報記憶部21に記憶されている文言を選定して、担当者に警告を発するように構成してある。また、自社の無線LANの受信出力が第2閾値よりも低下した場合は、該当する無線LANへの接続が困難であると判別して、告知情報記憶部21に記憶されている文言を選定して、担当者に警告を発するように構成してある。
原因推定部24は、図2に示す構成では、一の種類の無線電波が他の種類の無線電波の受信に影響を与える度合いを検出する影響度検出部25を有している。
【0033】
影響度検出部25の影響度は、例えば、無線LANとブルートゥースとの干渉、無線LANと他の規格の無線電波(以下、他規格無線電波と称す)との干渉、ブルートゥースと他規格無線電波の干渉による受信電波の混信等の悪影響を検出するための指標となる数値、又はデータである。この影響度は、例えば、無線LAN電波強度とブルートゥース電波強度の相関を取る等の処理によって解析サーバー5の影響度検出部25によって算出されるものである。
【0034】
例えば、ブルートゥースがオンになった場合だけ、ある配置位置に置かれた通信端末3の受信状態が非常に悪くなった場合には、その通信端末3の配置された位置近くのブルートゥース機器の影響を受けていると原因を推定できる。
他規格無線電波と無線LANとの干渉を解析する場合でも、本実施形態では調査領域2において分散されて複数個の通信端末3が配置されているので、通信端末3間の干渉の程度の差、相関などを取ることによって、干渉している電波に係る基地局を推定することも可能になる。このような推定ができると、電波異常の対策を取りやすくなる。
【0035】
図3は第1受信部7a〜第3受信部7cが受信する3つの種類の無線電波に対応して、主に受信電波処理部8がそれぞれの種類の無線電波において行う処理の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、調査領域2(図2参照、以下同様)におかれた通信端末3毎にそのGPSによる位置情報、ビルの2階の角部屋というような空間情報と、周辺情報を各データベースから読み込み(ステップSP1)、電波種類毎に電波受信状況などの電波情報に対応させて所定時間間隔で端末側記憶部9に記憶し(ステップSP2)、所定時間毎に解析サーバー5に少なくとも電波情報を送信(ステップSP3)して処理を終了する。なお、空間情報と周辺情報は解析サーバー5から読み込んだ方が良い場合も多い。
【0036】
図4は、解析サーバー5の処理の一例を示すフローチャートである。
図4において、調査領域2(図2参照、以下同様)と調査する無線電波を設定し(ステップSP31)、測定する各通信端末3を認識し(ステップSP32)、空間情報と周辺情報をデータベースから取り込み又はアクセスして得て(ステップSP33)、所定期間、各通信端末の各種電波情報を受信し(ステップSP34)、異常状態検出部22が、受信電波状況が各通信端末3のそれぞれの無線電波において正常の範囲か異常の範囲であるかを判別し(ステップSP35)、正常であると判別された場合は、正常電波情報記憶部19に正常電波情報を記憶し(ステップSP36)、異常であると判別された場合は、異常電波情報記憶部20に異常電波情報を記憶し(ステップSP37)、例えば受信レベルが極度に低下したという緊急性を要する異常については異常状態検出部22が受信レベル検出部23などの各種検出部により検知して、調査依頼者に解析サーバー5が自動告知を行う(ステップSP38)。
そして、異常状態検出部22による情報によって原因推定部24がプログラム処理に従って所定処理手順で原因を推定し(ステップSP39)、推定原因を担当者に告知するとともに通信端末3の表示部11に表示する(ステップSP40)。
【0037】
第1実施形態に係る処理についてさらに説明する。
図5はビル内の複数の部屋にまたがる領域を調査領域2として設定した例を示す図である。
図5に示すように、複数の部屋の各所に本無線調査ソフトをインストールしたスマートフォンのような小型携帯型の通信端末3を設置する。そのような通信端末3が配置される箇所は一つの部屋の各所や、図5に示すように階段に設ける構成も採用できる。図5に示す形態では、調査領域2内に2つの通信端末3を配置した場合を示しているが、勿論、調査領域2内に多数個の通信端末3を設置することも可能である。
通信端末3をスマートフォンによって構成してあるので、前記した特開2006−125951号に開示された測定台車のような測定機器が測定しずらい箇所や位置、例えば、部屋の壁面、階段などにも設けることができるとともに、設ける高さ位置も自由に設定することができる。例えば、必要であれば、天井位置、天井裏などの箇所にも設けることができ、測定の精度を高めることができる。
【0038】
図6は本実施形態の構成によって得られる利益を説明するための図であり、図6(a)は調査領域であるビルの回りの地理的状況を示した平面図、図6(b)は2つのビルの壁が接近している場合を示す正面図である。
図6(a)に示すように、調査領域2であるビル28に対して、そのビル28の近くに道路29があり、その道路29には所定時間間隔でバス(図示せず)が通ることが予め周辺情報に記録されているとする。バスにはWi−Fi機能のあるアクセスポイントが設置されていることがあるので、バスの通過によって調査ビル28内の道路29に近い側の部屋が無線LANの受信状態が悪くなる可能性がある。また、近くに各種電波を発生する工場等の施設30がある場合には、その影響も無視できない。
【0039】
また、図6(b)に示すように2つのビル31とビル32との壁の距離Dが非常に狭く、ビル31,32同士が接近している場合には、隣のビルのアクセスポイントの電波が混信する可能性がある。
このような回りの環境を含めた詳細な周辺情報を予め把握し、記憶しておくことにより、複数の通信端末3が調査領域2に広がって配置されていることと相まって、コンピュータが自動的に異常原因を推定する場合の予測程度を高めることができる。
周辺情報には各種行事、例えば、コンサートや、お祭りなど、人が多く集まる行事情報や、周辺に存在する場所や施設に関係する各種予定に関する情報も含めることができる。
周りが森林に囲まれている一軒家や、周りが完全な空き地の場合と、近接して道路、ビル又は施設がある場合とでは、電波障害の生じる原因に大きな差があることは明らかである。また、人の出入りなども電波障害が起こる原因を引き起こす可能性はある。
本実施形態のように、汎用のスマートフォンを使用すれば、安価であり、自社のアクセスポイントの既存の設定が悪い場合も含めて、ビル内の個々の場所の受信障害の原因を特定しやすくなる。
【0040】
[第2実施形態]
図7図9は、それぞれ本発明の第2実施形態に係る無線電波調査システム1を説明するための図である。
この第2実施形態は2つの特徴点を有している。第1の特徴は複数の常設型通信装置27,27,…,27を設ける点と、第2の特徴は機械学習を用いて周期的電波異常の原因を推定する点である。
第2実施形態でも、複数の通信端末3の構成は第1実施形態の図1に示した構成と同じ構成が採用できる。この第2実施形態では、
(1)スマートフォンのような小型携帯型の複数の通信端末3に代えて、複数の常設型通信装置27,27,…,27だけを設けた構成、
(2)小型携帯型の通信端末3と常設型通信装置27とを共に調査領域2内に設けた構成、
の2つの形態を採用することができる。図7のブロック図では小型携帯型の通信端末3と常設型通信装置27を共に設けた構成が示してある。この場合、常設型通信装置27は長期間継続的な調査であり、小型携帯型の通信端末3は突発的異常による調査となることが多い。
【0041】
図8に示す構成では、常設型通信装置27は天井に一定面積毎に複数個、好ましくは多数個設けられることが好ましい。例えば、100mの天井ならば3個〜4個程度設けることもできる。
このように、常設型通信装置27を設ける箇所は天井のみならず、壁、床等が例示できる。照明機器などの天井埋め込み型の電気機具26に付設して、その電気機具26の電源を常設型通信装置27の電源として使用することもできる。
一般に、大事な空間において無線電波の通信障害が起こらないように、365日間、24時間、常時、監視したい又は通信障害等のトラブルが発生した場合はすぐにその原因を知りたいという強い要望もあるので、常設型通信装置27を設ける本第2実施形態を採用することによる顧客の利益は大きい。
【0042】
次に、図7を参照しつつ、機械学習を用いることを特徴とする解析サーバー5の構成について説明する。
この第2実施形態の解析サーバー5は、原因推定部24と、電波情報の周期的異常を検出する周期的異常電波情報検出部34と、過去に蓄積された異常時の位置情報、電波情報、空間情報、周辺情報と、正常時の位置情報、電波情報、空間情報、周辺情報を入力データとして、教師データとしての周期的異常の発生原因を与えて機械学習を行って得られた周期的異常原因推定モデル35とを有している。
また、解析サーバー5には周期的な異常があった場合にそのときの電波情報を記憶する異常電波情報記憶部20と、正常な電波情報を適宜、抽出して記憶する正常電波情報記憶部19を備えている。
【0043】
図9に一例として示すように、電波情報から抽出した強度データなどの特性値の異常パターン37が一定間隔で繰り返し出現するか否かを常時、周期的異常電波情報検出部34が監視していることになる。
つまり、このシステムでは、まず、異常な電波状態を強度レベル、相関係数、電波情報の形状等の特性値を用いて、周期的な異常が繰り返し出現しているか否かを判別し、周期的な異常があると判別された場合は、その電波情報や異常の特性値や抽出データなどを異常電波情報記憶部20に記憶する。また、その周期的異常の発生時の位置情報、電波情報、空間情報、周辺情報をリンクさせて記憶する。
【0044】
そして、教示学習によるモデル作りをディープラーニング等のような機械学習手法を用いて、過去に蓄積された周期的異常時の電波情報、位置情報、電波情報、空間情報、周辺情報と、過去に蓄積された正常時の電波情報、位置情報、電波情報、空間情報、周辺情報を入力データとして、教師データとしてのその周期的な異常が生じる原因を与えてモデルを構築する。教師データとなる周期的異常としては、ブルートゥース電波の検出、電気機器のオンオフ、近くを定時刻に走るWi−Fi機能等が搭載されているバス等の運行、航空管制レーダ、気象レーダ、近くの施設や工場の電波発信、近接したビルで定まった時刻に電波を発する所定作業を行うこと、などが例示できる。
つまり、過去の電波情報の蓄積情報から、位置情報、電波情報、空間情報、周辺情報が、どういう場合に、どのような原因になるかの確からしさを推定できるモデルを作るのである。
そして、現実の運用においては、周期的異常電波情報検出部34によって周期的異常があると検出された時における位置情報、電波情報、空間情報、周辺情報を入力データとして、周期的異常原因推定モデル35に基づいて現在の状態における周期的異常の発生原因を推定する。
【0045】
例えば、バスや一部の各種車両にはWi−Fi機能を有するものもあるので、所定時間間隔でノイズが出る場合は、周辺情報に必ず、バスや車が通る道路があるはずなので、道路があるという周辺情報を持っているとモデルはその状態をいち早く認識でき、周期的異常があったと周期的異常電波情報検出部34が認識してから短時間又はほぼリアルタイムで原因を推定して担当者にその推定した原因を送信することができる。
バスの運行のような分かりやすい周期的異常は本解析サーバー5を利用しなくても人が解析することができるが、その人の熟練度や人的費用による運用コストの問題があるので、本システムでコンピュータ処理することが好ましい。
なお、周期的異常には、人の動きが関係するものも多い。例えば、3月、4月には進学、就職などにより部屋に入る人が変わることが多く、空間情報や周辺情報にビル内の新入居情報などがあれば、異常も発見しやすくなる。
【0046】
上記第2実施形態では周期的な電波情報の異常を例に取って説明したが、周期的でない異常も同様に実施できる。例えば、一般的なアクセスポイント同士の混信や、隣の部屋との混信や、突発的な電波異常の発生も考慮した総合的な原因推定モデルを構築することもできる。そのような場合、人間には予想できないような電波異常の現象の原因を推定することもできる。
【0047】
[第3実施形態]
図10は、本発明の第3実施形態に係る無線電波調査システム1を説明するための解析サーバーの説明図である。
この第3実施形態の特徴は、ビル、ホール、会議場、軍事施設に接続する道路等の重要な場所や地域に複数の常設型通信端末27(図8参照)を設ける。その常設型通信端末27の端末側受信部7(図2参照)は、未確認電波源の無線電波を受信する機能を備えている。そのような未確認電波源の一例としてはWi−Fi機能を有する通信端末が挙げられる。また、必要により、解析サーバー5に不審通信端末検出部40を設け、不審な通信端末が監視領域に侵入したことを検出する。なお、不審通信端末検出部40は未確認電波源検出部としても把握できる。
【0048】
また、不審通信端末検出部40又は未確認電波源検出部は、必要により、各無線情報の時間経過による電波情報の変化を補足する電波情報変化補足部41を備えることも可能である。
一例を挙げれば、図11に示すように、ビル42の入り口43や玄関ホール44の天井や床に複数の常設型通信端末27を設置しておき、新規な電波発信を複数の常設型通信端末27で受信して、当該ビル42内で認識又は登録されていない不審な通信端末45又は未確認電波源の移動経路46(図11において太線で示す)を検出するように構成する。
【0049】
[第4実施形態]
図12図21はそれぞれ第4実施形態を説明するための図面である。
<通信端末3の構成>
図12は本実施形態に使用する通信端末3の構成の一例を示すブロック図である。
図12において、端末側電波状態異常検出部51、端末側異常状態制御部52は本実施形態が実施される全ての通信端末3にソフトウエア手段などにより予め備え付けられている。
端末側電波状態異常検出部51は、少なくとも1つの通信端末の電波受信状態の異常を検出する機能があり、端末側異常状態制御部52は、異常を検出した通信端末の電波情報に係る検出情報量を定常時よりも多くなるように制御する機能がある。
端末側異常状態制御部52は、解析サーバー5等の上位又は連携する管理コンピュータ部(図示せず)に端末異常信号を送信することもできる。
【0050】
端末側電波状態異常検出部52の検出する異常は、大別して2つある。
一つ目は図14に示す自社無線に起因する異常であり、2つ目は図15に示す未確認無線に起因する異常である。
図14及び図15において実線60は自社無線アクセスポイント(AP)の受信レベルの変化を示す線、破線61は未確認無線APの受信レベルの変化を示す線である。
【0051】
図16は異常と判別する閾値とアラートメールの設定画面の一例である。
自社アクセスポイントの異常検出とみなす閾値(例えば−60db以下に出力が下がる)及び自社以外アクセスポイントの出現検知となるチャンネルと電波出力の閾値(例えば1チャンネルから6チャンネルを監視し−50db以上の電波出力が発生した場合)をそれぞれシステム使用者の入力によって設定できるようになっている。
自社アクセスポイントは図14に示すように、自社無線APの閾値を例えば−30db以下と設定すれば、システムを−30db以下になると異常と認識するように設定できる。
自社以外アクセスポイントは図15に示すように、未確認無線APが図16の閾値を例えば−50db以上と設定すれば、システムは−50db以上の未確認無線APが存在すれば、異常と認識するように設定できる。
なお、図16に示すように、自社以外アクセスポイントの監視チャネルは監視するチャネルの範囲を設定できる入力欄である。
【0052】
<解析サーバー5の構成>
図13は本実施形態に採用できる解析サーバー5の一例を示したブロック図である。
図13に示すように、解析サーバー5には時間領域表示部54、空間領域表示部55、相互連携部56、周囲情報記憶部57を含んで構成してある。
時間領域表示部54、空間領域表示部55、相互連携部56は、表示を制御する素子、機器やソフトウエア手段で構成される。
相互連携部56は、図17図18の切換表示や各通信端末の対応表示を行うコンピュータプログラム手段等で構成される。
分散型コンピュータシステムでは、解析サーバー5上に上記時間領域表示部54、空間領域表示部55、相互連携部56が存在せず、上記時間領域表示部54、空間領域表示部55、相互連携部56をローカルな端末のデスクトップ型コンピュータ、携帯型コンピュータに配置することも可能である。処理能力が高い仕様であると、上記携帯型コンピュータには、前記した異常を検出する通信端末を含めることが可能である。
【0053】
周囲範囲情報記憶部57に記憶される周囲範囲情報は、例えば以下のような情報である。
まず、最も簡単な例は、電波の調査領域に配設された通信端末を全て含む端末番号情報である。例えば、図17に示す7個の通信端末3が調べようとする部屋58の調査領域内の1〜7の端末番号情報である。
他には、電波異常の程度に応じて時間領域又は空間領域の表示される調査領域の大きさをシステムが自動で変化させることも可能である。
その場合は、電波の異常程度レベル情報記憶部(図示せず)とその異常程度レベル情報に基づいて、予め設定された調査領域を拡大又は縮小する周囲範囲設定部(図示せず)とを備えることになる。
例えば、軽微な異常とシステムが判別すれば、表示する通信端末の数を例えば10個に設定し、重大な異常と判別すれば30個にするようなイメージである。
【0054】
<時間領域と空間領域について>
本明細書において、「時間領域」とは時間的、時系列的に情報、データが記憶されていくような情報を扱う概念として使用しており、「空間領域」とは2次元領域、3次元空間に配置、記憶等された情報を扱う概念として使用している。
図17は空間領域表示の一例を示した表示画面を示す図であり、図18は時間領域表示の一例を示した表示画面を示す図である。図17は、電波の調査領域である部屋58内に7個の携帯通信端末3を所定時間又は所定期間、設置した状態を示している。
【0055】
<定常時と異常時の処理の違いについて>
主に図19に基づいて、本実施形態において定常時と異常時の処理の違いについて説明する。
図19は上記構成のシステムにおいて、異常時における通信端末の検出情報量を定常時より多くする実施形態の作用を示すフローチャートである。
図19において各通信端末3(図12参照)において、受信電波レベルは異常状態であるか否かを判別し(ステップSP51)、定常状態であると判別された場合は、図20(a)に示す特定の時間内の代表値の受信電波レベルを定常送信時間間隔で送信する(ステップSP52)。代表値としては特定の時間の平均値が例示できる。
【0056】
一方、定常状態でないと判別された場合は、異常電波を検出した通信端末を特定する情報やその他の付随する端末異常信号を解析サーバー5等に送信し(ステップSP53)、異常受信データをリアルタイム又は短い時間間隔である即時データとして、解析サーバー5などに送信する(ステップSP54)。
【0057】
また、異常電波レベルを確認してから、常に異常受信状態を脱したか否かを判別しており(ステップSP55)、異常受信状態を脱していないと判別された場合は、ステップSP54の即時データの送信処理に戻り、異常受信データを送信し続け、異常受信状態を脱したと判別された場合は、ステップSP51の判別処理に戻る。
なお、異常受信状態を脱したと判別する受信レベルは、定常状態であると判別する受信レベルと異ならせてもよい。また、異常受信状態を脱したと判別する他の要素として、安定状態が継続する時間も考慮されることが好ましい。
【0058】
定常時と異常時の処理の違いについて、さらに説明する。
本実施形態では、多数の通信端末から無線電波情報がネットワーク上の解析サーバー5へ送信され、通信端末3の数や電波情報量、送信頻度によっては、膨大な情報が解析サーバー5へ送出されることが想定される。しかし、異常のない平穏な無線環境の場合、電波情報に大きな変化はなく、ほぼ同じデータを送出するため、通信量やデータ保存領域において、多数の無用なデータを扱うことになってしまう課題がある。
【0059】
そこで、通信端末側で受信データに変化がない場合には、一定の時間で区切って平滑化を行い、集計したデータを解析サーバーに送出する仕組みを追加して、分析データの効率化を図る。この平滑化(平均化とも言える)は前記代表値を得る一例である。
但し、無線環境に何らかの障害が発生した場合には、大きな情報の揺れが発生するので、この際には平滑化を行わず、即時情報を送出する仕組みにして、障害発生時に余裕を持って詳細なデータを保存できるようにする。
【0060】
図20(a)は定常時のデータ送信処理を説明するための図である。
この設定例では−50db〜−60dbの範囲を定常レベルとして設定されており、受信電波がこの定常レベルであれば、特定の時間、例えば180秒)に一度、−55dbという代表値を解析サーバー5等へ送信する。
図20(b)は異常時のデータ送信処理を説明するための図である。
図20(b)に示すように、例えば、−60dbを超えた場合には、その超えた時間範囲Tiにおいて、異常電波の変動などを示す即時データを解析サーバー5に送信する。
【0061】
<時間領域表示部54と空間領域表示部55の連携処理>
次に、時間領域表示部54、空間領域表示部55、相互連携部56が主に行う処理について主に図21に基づいて説明する。
まず、図19のステップSP53で送信された端末異常信号であるか否か?又は、システムの使用者が特定の通信端末を表示に関して指定したか否かを判別し(ステップSP71)、端末異常信号の送信がなく、かつ使用者の指定がない場合は、ステップSP71の判別処理を繰り返し、端末異常信号の送信又は使用者の指定のいすれか少なくとも1つの条件を満たせば、特定された通信端末の周囲範囲情報を取得し(ステップSP72)、特定された通信端末の周囲範囲の通信端末を特定し(ステップSP73)、時間領域、空間領域の少なくとも一方を表示して(ステップSP74)、一連のシステム処理に戻る。
なお、使用者が時間領域表示を先に指定すれば、時間領域表示を先に行い、使用者が空間領域表示を先に指定すれば、空間領域表示を先に行う。
【0062】
上記連携処理についてさらに説明する。
連携処理の一例として、本実施形態であれば通信端末の配置マップ機能を実現することができる。
前記したように通信端末3(図17参照)の配置場所として、調査領域を含む部屋58(図17参照)の配置場所の図面データを取り込み、また、各通信端末3の配置場所を空間情報記憶部17(図2参照)に記憶しておく。このような図面情報と連携した位置情報があると、異常発生時にどの通信端末付近で障害が発生しているかの特定を迅速に行える。
【0063】
一方、時間領域表示の一例である図18のグラフからは通信端末3の配置位置が分らない。そこで、図17のように配置位置の図面データを取り込み、図面上へ各通信端末3の配置場所をマーキングする。図17の各通信端末3の時間推移を示す線を指定することで、図17に示す配置場所の当該通信端末3のマークにジャンプすることができ、電波障害を検出している通信端末3の部屋内の位置、ビル等内の空間位置を迅速に特定することができる。
【0064】
例えば、一例を示すと、図18に大きな谷のような検出信号レベルの落ち込みを示す電波異常が生じた通信端末3の番号が「1」〜「7」内の番号「5」であったときに、番号「5」の時間軸上の線にカーソルなどの指示手段を合わせてクリック等の指定を行うと、図17に示す丸で囲まれた表示にカーソル位置が行くことや、番号「5」に対応する端末マークが点滅等することで部屋58のどの位置にその異常があった通信端末3が存在するか使用者は即座に知ることができる。
逆に、図17に示す丸で囲まれた通信端末3をクリックすれば、図18に示す時間領域表示の対応する線にジャンプすることで、使用者の空間領域と時間領域における異常把握のレベルを即座に高めることができる。
【0065】
なお、使用者の指定がなくとも、システム自身が異常判別時に、異常を検出した通信端末がどの端末であるかを時間領域表示と空間領域表示のいずれか少なくとも一方を自動的に表示するように構成することも可能である。
図17に示すような表示は、△△ビルの第2階の第203号室というような部屋の図面情報と、GPS等で判明する端末位置情報を画像の層(レイヤ)としてシステムが自動的に重ね合わせること等で表示することができる。
【0066】
本発明は上記実施形態以外にも本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形を行うことが可能である。
(1)前記実施形態では機械学習において教師あり学習を基本にして説明したが、教師あり学習で作成した原因推定モデルを日々、蓄積される正常電波情報及び異常電波情報に基づいて修正していく原因推定モデルも採用することができる。
(2)第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態は本明細書の請求項1に束縛されない独立の発明として認識することも可能である。
(3)図2に示す影響度検出部25の検出データ(又は算出データ)を請求項6に示す発明において、異常原因推定モデルの入力データとすることもできる。影響度検出部25の検出データ(又は算出データ)は前処理されたデータなので、それらのデータを考慮することで、異常原因推定モデルの生成において、精度が高くなる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、前記した原因推定部の存在によって、位置情報、空間情報、電波情報のみならず、例えば、外部の地理的状況、地図的状況に関する情報である周辺情報を加味して、期間継続的な電波情報に基づいて各種電波受信の障害になる原因を推定するので、人の経験や熟練度に影響を受けず、色々な可能性を広範囲に自動検討でき、電波受信障害の原因を精度良く推定することができる有用な発明である。また、明細書に記載の各実施形態の構成を採用することにより、近い将来、無線障害のトラブルが頻発する問題を解消することができる発明であるから、産業上の利用可能性があることは明らかである。
【符号の説明】
【0068】
1:無線電波調査システム
2:調査領域
3:複数の通信端末
4:ネットワーク
5:解析サーバー
7:端末側受信部
10:端末側送信部
15:位置情報記憶部
16:電波情報記憶部
17:空間情報記憶部
18:周辺情報記憶部
24:原因推定部
25:影響度検出部
27:常設型通信端末
34:周期的異常電波情報検出部(異常電波情報検出部の一例)
35:周期的異常原因推定モデル(異常原因推定モデルの一例)
40:不審通信端末検出部(未確認電波源検出部)
41:電波情報変化補足部
51:端末側電波状態異常検出部
52:端末側異常状態制御部
54:時間領域表示部
55:空間領域表示部
56:相互連携部
57:周囲範囲情報記憶部
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