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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-73204(P2021-73204A)
(43)【公開日】2021年5月13日
(54)【発明の名称】グアニンリッチオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   C07H 21/00 20060101AFI20210416BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20210416BHJP
【FI】
   C07H21/00ZNA
   C12N15/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2021-1315(P2021-1315)
(22)【出願日】2021年1月7日
(62)【分割の表示】特願2018-500530(P2018-500530)の分割
【原出願日】2016年7月6日
(31)【優先権主張番号】62/189,832
(32)【優先日】2015年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15177520.2
(32)【優先日】2015年7月20日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】304042375
【氏名又は名称】クロス バイオサイエンシズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘンネケ, フランク
(72)【発明者】
【氏名】キンツラー, マティーアス
(72)【発明者】
【氏名】サウダン, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン, ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】ラカン, イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ラン レ, チィ
【テーマコード(参考)】
4C057
【Fターム(参考)】
4C057AA18
4C057BB01
4C057DD01
4C057MM01
4C057MM09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】オリゴヌクレオチドの合成方法、具体的には高含有量のグアニンモノマーを含むオリゴヌクレオチドの合成方法を提供する。
【解決手段】オリゴヌクレオチドの合成の際に、ヌクレオシドホスホロアミダイトを、汎用担体、第一のヌクレオシド、又は伸長オリゴヌクレオチドにカップリングさせる方法であって、前記オリゴヌクレオチドが、3つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの領域を含み、前記方法が、以下を含む方法。
(i)カップリング溶液を生成する工程であって、前記カップリング溶液が、(a)前記ヌクレオシドホスホロアミダイトと、(b)活性化試薬と、(c)1つ又は複数の溶媒であって、その1つがN,N−ジメチルホルムアミドである、工程と、
(ii)前記カップリング溶液を、前記汎用担体、前記第一のヌクレオシド、又は前記伸長オリゴヌクレオチドと接触させる工程。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴヌクレオチドの合成の際に、ヌクレオシドホスホロアミダイトを、汎用担体、第一のヌクレオシド、又は伸長オリゴヌクレオチドにカップリングさせる方法であって、前記オリゴヌクレオチドが、3つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの領域を含み、前記方法が、
(i)カップリング溶液を生成する工程であって、前記カップリング溶液が、
(a)前記ヌクレオシドホスホロアミダイトと、
(b)活性化試薬と、
(c)1つ又は複数の溶媒であって、1つ又は複数の前記溶媒の1つがN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)である、工程と、
(ii)前記カップリング溶液を、前記汎用担体、前記第一のヌクレオシド、又は前記伸長オリゴヌクレオチドと接触させる工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記DMFの容積が、前記1つ又は複数の溶媒の全容積の25%に等しいか又はそれより高く、好ましくは33%に等しいか又はそれより高く、更に好ましくは50%に等しいか又はそれより高い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数の溶媒が、DMF及びアセトニトリルを含むか、好ましくはそれらからなり、前記DMFのアセトニトリルに対する比率(v/v)が、1:3から3:1の間である、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ又は複数の溶媒が、DMF及びアセトニトリルからなり、前記DMFのアセトニトリルに対する比率(v/v)が、1:1である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又は複数の溶媒が、厳密に1つの溶媒からなり、前記厳密に1つの溶媒がDMFである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記活性化試薬が、
(a)4,5−ジシアノイミダゾール(DCI);
(b)5−エチルチオ−1H−テトラゾール(ETT);
(c)5−ベンジルチオ−1H−テトラゾール(BTT);又は
(d)5−(3,5−ビス−トリフルオロメチル)フェニル−1H−テトラゾール(活性化剤42)
から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記カップリング溶液が、
(a)前記ヌクレオシドホスホロアミダイトと、
(b)5−エチルチオ−1H−テトラゾール(ETT)である、前記活性化試薬と、
(c)DMFである、厳密に1種類の溶媒と、
を含むか、好ましくはそれらからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第一のヌクレオシド及び/又は前記伸長オリゴヌクレオチドが、担体に固定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記担体が、ポリスチレン担体であり、前記ポリスチレン担体が、ジビニルベンゼンによって架橋される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記担体が、リンカーを更に含み、前記リンカーが、次式Iによって、表され、
式中、Xが、前記担体を表し、好ましくはXが、ジビニルベンゼンによって架橋された前記ポリスチレン担体を表す、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも30%のグアニンモノマーを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記オリゴヌクレオチドが、3つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの第一の領域と、3つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの第二の領域とを含み、前記第一の領域が、前記オリゴヌクレオチドの3’−末端に位置し、前記第二領域が前記オリゴヌクレオチドの5’−末端に位置する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記オリゴヌクレオチドが、
(a)GGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号3);
(b)GGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号4);
(c)GGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号5);
(d)GGGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号6);
(e)GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGG(配列番号7);
(f)GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGG(配列番号8);
(g)GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGG(配列番号9);
(h)GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号1);及び
(i)GGGGGGCGACGACGATCGTCGTCGGGGGGG(配列番号10)
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号1からなる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
オリゴヌクレオチドの製造方法であって、前記方法が、
(i)ヌクレオシドホスホロアミダイトを第一のヌクレオシドにカップリングさせる工程であって、前記カップリングが、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を含む、工程と、
(ii)工程(i)の生成物を酸化することによって伸長オリゴヌクレオチドを生成する工程と、
(iii)ヌクレオシドホスホロアミダイトを、脱保護の後、工程(ii)の生成物にカップリングさせる工程であって、前記カップリングが、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を含む、工程と、
(iv)工程(iii)の生成物を酸化することによって伸長オリゴヌクレオチドを生成すル工程と、
(v)前記伸長オリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドの配列を含むまで工程(iii)及び(iv)を繰り返す工程と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴヌクレオチドの合成方法、具体的には高含有量のグアニンモノマーを含むオリゴヌクレオチドの合成方法に関する。より詳細には、本発明は、オリゴヌクレオチドの合成の際に、ヌクレオシドホスホロアミダイトを、汎用担体、第一のヌクレオシド、又は伸長オリゴヌクレオチドにカップリングさせる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学的に合成されたDNA及びRNA(「オリゴヌクレオチド」)並びにそれらの類似体は、大部分の分子生物学応用に用いられる。オリゴヌクレオチドの合成方法は、30年超にわたって利用されてきており(Agarwalら、Nature,227:27−34(1970)を参照)、現在でも最も一般的なオリゴヌクレオチドの合成方法は、ホスホロアミダイト化学を通して行われている(そのそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる、McBrideら、Tetrahedron Lett.,24:245−248(1983);Beaucageら、Curr Protoc Nucleic Acid Chem 3.3.1−3.3.20 (2000);米国特許第5,750,666号を参照されたい)。
【0003】
ホスホロアミダイトの合成は、通常、3’−末端ヌクレオチドから開始し、5’−末端ヌクレオチドが結合するまで繰り返される4工程で構成される一連のサイクルを通して進行する。しかし、適切な立体構造の第一のヌクレオシド及びヌクレオシドホスホロアミダイトを選択することにより、5’−3’方向のホスホロアミダイト合成を確立させることは、当業者の通常技能の範囲内である。本明細書で開示される方法は、3’−5’方向の合成が一般に好ましい、両方向の合成に適用可能である。
【0004】
この4工程は、脱保護、カップリング、キャッピング及び安定化(一般に酸化又は硫化)である。一変更形態では、脱保護工程中にレシピエントヌクレオチドの五炭糖の5’−炭素に結合したトリチル基が、ジクロロメタン又はトルエンなどの適切な溶媒中のトリクロロ酢酸(TCA)又はジクロロ酢酸(DCA)によって取り除かれ、反応性のヒドロキシル基を残す。次に、ホスホロアミダイトモノマーがカップリング工程で付加される。弱酸であるテトラゾールなどの活性化剤を用いて、カップリングヌクレオシドホスホロアミダイトと反応させ、テトラゾリルホスホロアミダイト中間体を形成する。この中間体は、次にこのレシピエントのヒドロキシル基と反応し、5’から3’への結合が形成される。このテトラゾールが再構成され、このプロセスが継続する。カップリングの失敗は、5’−末端上に反応性ヒドロキシル基をなおも有するオリゴヌクレオチドをもたらす。これらのオリゴヌクレオチドが次のサイクルに対して反応性のままとなる(ヌクレオチドが欠落したオリゴヌクレオチドを生成する)ことを防止するために、それらのオリゴヌクレオチドを、無水酢酸とN−メチルイミダゾールの混合物などのアセチル化試薬による不可逆的なキャッピングによって更なる合成から取り除く。この試薬は、オリゴヌクレオチドをキャッピングするために、遊離のヒドロキシル基のみと反応する。酸化工程において、この成長するオリゴヌクレオチドと直前に付加されたヌクレオチドの間のホスファイト結合は、典型的に、テトラヒドロフラン(THF)及び水中の穏和な酸化剤としてヨウ素の存在により安定化される。水は、酸素供与体として作用し、ヨウ素は、リンが結合した付加化合物を形成する。付加化合物は、水によって分解され、安定なホスホトリエステル結合を残す。
【0005】
ホスホロアミダイト合成に対して、合成時間を減少し、高収率の生成物を生成するために多くの著しい改変が行われている。合成するために同様に追加の改変を必要とする改変ホスホロアミダイトモノマーが開発されている。
【0006】
しかし、ある特定のオリゴヌクレオチドの合成では、いくつかの問題が依然として残っている。1つの課題は、グアニン(G)−リッチオリゴヌクレオチドの合成である。G−リッチ領域を有するオリゴヌクレオチドは、さまざまな応用にとって非常に有望である。G−リッチオリゴヌクレオチドは、一般的に、分子生物学及び医薬品において有用な応用を有する複雑な構造に折り畳まれる。密に充填された4本鎖構造(例えば、トロンビンアプタマー)に折り畳まれるさまざまなアプタマーが選択されている。核酸におけるG−リッチリピートは、ある特定の一価又はニ価の金属イオンの存在下で、さまざまな生物学的役割を有するこれらの4重鎖を形成する。(それぞれの全体が本明細書に組み込まれる、Dengら、PNAS(2001),98,13665−13670;Jinら、PNAS(1992),89,8832−8836;及びLee,Nucleic Acids Research(1990),18,6057−6060を参照されたい)。
【0007】
特に連続するグアニン残基を有するグアニン(G)−リッチオリゴヌクレオチドの高品質合成は、おそらくカップリング工程において活性化ホスホロアミダイトが5’−ヒドロキシル基に近づきにくいために、達成することが困難である。特に、担体に結合して保護されたG−リッチオリゴマーは、ある特定の長さ又は基本的な組成物に到達した後、アセトニトリル中で何らかの凝集を起こすか又は溶解性の問題を有し、このことが、おそらく5’−ヒドロキシル基に近づきにくい原因となる。これは、例えば、1つ若しくは複数の末端グアニン(G)−残基などの1つ若しくは複数のヌクレオチドを欠損するオリゴヌクレオチド、又は1つ若しくは複数のグアニン(G)−残基などの1つ若しくは複数のヌクレオチドをさらに有するオリゴヌクレオチドなどの不純物及び合成の失敗をもたらす。しかし、これらの不純物及び合成の失敗によって、これらの不純物の精製及び分離が難しいために所望の完全長生成物(FLP)が減少し、FLPからの合成の失敗が起こる。
【0008】
オリゴヌクレオチドの合成のための標準的な溶媒は、アセトニトリルである。しかし、国際公開第2008/073960号は、オリゴヌクレオチドの合成方法、特にホスホロアミダイト化学を用いたG−リッチオリゴヌクレオチドの合成方法を提案し、極性非プロトン性溶媒などの代替溶媒の使用を示唆している。特にグアニンモノマーに富むオリゴマーの凝集又は溶解性の課題を改善するために、カップリング工程中のスルホランの使用が示唆されている。典型的に、スルホランは、オリゴマー、特にグアニン残基の含有量が高いオリゴマーに対してより良好な溶解性を提供するために、アセトニトリルとの1:1溶媒混合物中で用いられる。
【0009】
国際公開第2008/073960号は、不純物の量及び合成の失敗を減少させて、合成された粗G−リッチオリゴヌクレオチドの品質を改善することができたものの、依然として、この重要なクラスのオリゴヌクレオチドの合成を、特に不純物及び合成の失敗を減少することに関して、並びに所望のオリゴヌクレオチド生成物に対する純度及び収率に関して、更に改善する必要がある。
【0010】
本発明者らは、今回、驚くべきことにホスホロアミダイト化学を用いたG−リッチオリゴヌクレオチドの合成に対して、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を、好ましくはアセトニトリルとの溶媒混合物中で、更に好ましくは単独の溶媒として使用することによって、不純物及び合成の失敗を減少するだけでなく、更に、高純度及び高収率の合成オリゴヌクレオチドが得られることを見出した。特に、本発明の方法を用いて得られた粗オリゴヌクレオチドの品質がより良好であることにより、この粗製物の精製が容易となり、したがって、高純度及び高収率の合成オリゴヌクレオチドが得られる。このため、本発明の方法は、より大規模の製造を可能にするだけでなく、オリゴヌクレオチドが、治療上の使用を含む薬学的使用のために意図される場合、本発明の方法は、特に重要である。
【0011】
したがって、第一の態様では、本発明は、オリゴヌクレオチドの合成の際に、ヌクレオシドホスホロアミダイトを、汎用担体、第一のヌクレオシド、又は伸長オリゴヌクレオチドにカップリングさせる方法であって、前記オリゴヌクレオチドが、3つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの領域を含み、前記方法が、(i)カップリング溶液を生成する工程であって、前記カップリング溶液が、(a)前記ヌクレオシドホスホロアミダイトと、(b)活性化試薬と、(c)1つ又は複数の溶媒とを含み、前記1つ又は複数の溶媒の1つが、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)であり、好ましくは前記DMFの容積が、前記1つ又は複数の溶媒の全容積の25%に等しいか又はそれより高く、更に好ましくは33%に等しいか又はそれより高く、及びなお更に好ましくは50%に等しいか又はそれより高い、工程と、(ii)前記カップリング溶液を前記汎用担体、前記第一のヌクレオシド、又は前記伸長オリゴヌクレオチドと接触させる工程と、
を含む方法を提供する。
【0012】
特に、オリゴヌクレオチドの合成の際に、ヌクレオシドホスホロアミダイトを、汎用担体、第一のヌクレオシド、又は伸長オリゴヌクレオチドにカップリングさせるために、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を、好ましくはアセトニトリルとの溶媒混合物中で、更に好ましくは単独の溶媒として使用することが、大いに有益であることが見出されている。
【0013】
本発明の理論に束縛されるものではないが、DMFは、G−リッチオリゴヌクレオチドによって典型的に形成される4重鎖構造の形成を回避すると予想され、したがって鎖伸長の際に次のアミダイトのカップリングを容易にすると考えられている。凝集を軽減することに加えて、本発明の方法は、グアニンモノマーに富むオリゴヌクレオチドに対してより良好な溶解性を提供すると考えられている。
【0014】
第二の態様では、本発明は、オリゴヌクレオチドの製造方法であって、本発明の前記第一の態様に従って、オリゴヌクレオチドの合成の際に、ヌクレオシドホスホロアミダイトを、汎用担体、第一のヌクレオシド、又は伸長オリゴヌクレオチドにカップリングさせるために、本明細書に記載される方法のうちのいずれか一つを含む、方法を提供する。
【0015】
第三の態様では、本発明は、オリゴヌクレオチドの製造方法であって、前記方法が、(i)ヌクレオシドホスホロアミダイトを、汎用担体又は第一のヌクレオシドにカップリングさせる工程であって、前記カップリングが、本発明の前記第一の態様に従って、オリゴヌクレオチドの合成の際に、ヌクレオシドホスホロアミダイトを、第一のヌクレオシドにカップリングさせるために、本明細書に記載される方法のうちのいずれか一つを含む、工程と、(ii)工程(i)の生成物を酸化することによって伸長オリゴヌクレオチドを生成する工程と、(iii)脱保護の後、ヌクレオシドホスホロアミダイトを工程(ii)の生成物にカップリングさせる工程であって、前記カップリングが、本発明における前記第一の態様の方法を含む、工程と、(iv)工程(iii)の生成物を酸化することによって伸長オリゴヌクレオチドを生成する工程と、(v)前記伸長オリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドの配列を含むまで工程(iii)及び工程(iv)を繰り返す工程と、を含む方法を提供する。
【0016】
本発明の更なる態様及びその好ましい実施形態は、本明細書が進行するにつれて明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
特に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての科学用語及び専門用語は、本発明が属する分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。
【0018】
「オリゴヌクレオチド」本明細書で用いられるとき、用語「オリゴヌクレオチド」は、2つ又はそれ超のヌクレオチド、好ましくは6から200ヌクレオチド、更に好ましくは10から100、及び更により好ましくは20から約100ヌクレオチド、更により好ましくは20から50、及びなお更に好ましくは20から40ヌクレオチドを含む核酸配列を意味する。非常に好ましくはオリゴヌクレオチドは、約30ヌクレオチドを含み、より好ましくはオリゴヌクレオチドは、厳密に30ヌクレオチドを含み、最も好ましくはオリゴヌクレオチドは、厳密に30ヌクレオチドからなる。更に好ましいオリゴヌクレオチドは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40ヌクレオチドからなる。オリゴヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドであり、好ましくは、(a)非改変RNA又は非改変DNA、及び(b)改変RNA又は改変DNAから選択される。改変は、当業者に公知の骨格又はヌクレオチド類似体を含み得る。好ましいヌクレオチド改変/類似体は、ホスホロチオエート改変又はアルキルホスホロチオエート改変である。ホスホジエステル結合ヌクレオチドのみからなる非改変オリゴヌクレオチドに加えて、ホスホロチオエート化ヌクレオチドは、細胞又は生物での分解から保護され、したがって好ましいヌクレオチド改変である。更に、ホスホジエステル結合ヌクレオチド及びホスホロチエート化ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドが包含される。本明細書で用いられる用語「オリゴヌクレオチド」は、典型的に及び好ましくは一本鎖デオキシリボヌクレオチドを意味する。典型的に、オリゴヌクレオチドは、3つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの領域を含む。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個連続するグアニンモノマーの第一の領域を含み、本明細書において好ましくは前記第一の領域は、前記オリゴヌクレオチドの3’−末端に位置する。更に好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個連続するグアニンモノマーの第二の領域を含み、好ましくは前記第二の領域は、前記オリゴヌクレオチドの5’−末端に位置する。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、少なくとも30%のグアニンモノマーを含む。更に好ましいオリゴヌクレオチドは、以下に定義される少なくとも1つのポリG鎖を含む。より好ましいオリゴヌクレオチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の前記ポリG鎖を含む。非常に好ましいオリゴヌクレオチドは、厳密に2つのポリG鎖を含み、好ましくは前記2つのポリG鎖の1つは、前記オリゴヌクレオチドの5’末端又は3’末端に位置する。更により好ましいオリゴヌクレオチドは、厳密に2つのポリG鎖を含み、前記2つのポリG鎖の1つが、前記オリゴヌクレオチドの5’末端に位置し、前記2つのポリG鎖の1つが、前記オリゴヌクレオチドの3’末端に位置する。非常に好ましいオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つ、好ましくは1、2、3又は4つのCpGモチーフを含む非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドである。より一層好ましいオリゴヌクレオチドは、パリンドローム配列を含み、好ましくは前記パリンドローム配列は、少なくとも1つ、好ましくは1、2、3又は4つのCpGモチーフを含む。より一層好ましいオリゴヌクレオチドは、パリンドローム配列を含み、好ましくは前記パリンドローム配列は、配列GACGATCGTC(配列番号2)を含むか、又は好ましくはそれからなる。より一層好ましいオリゴヌクレオチドは、パリンドローム配列を含み、前記パリンドローム配列は、その5’末端でポリG鎖に隣接し、前記パリンドローム配列は、その3’末端でポリG鎖に隣接し、好ましくは前記パリンドローム配列は、GACGATCGTC(配列番号:2)である。非常に好ましいオリゴヌクレオチドは、パリンドローム配列を含み、前記パリンドローム配列は、その5’末端で少なくとも3から10、好ましくは4から10のグアノシン単位に隣接し、前記パリンドローム配列は、その3’末端で少なくとも3から10、好ましくは4から10のグアノシン単位に隣接し、好ましくは前記パリンドローム配列は、GACGATCGTC(配列番号2)である。
【0019】
「ポリG鎖」:本明細書で用いられる、用語「ポリG鎖」は、少なくとも3連続グアノシン残基からなるオリゴヌクレオチドのセグメントを意味する。好ましいポリG鎖は、3から25、好ましくは4から20、より好ましくは4から15及び最も好ましくは4から10個連続するグアノシン単位からなる。更に好ましいポリG鎖は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個連続するグアノシン単位からなる。
【0020】
「CpGモチーフ」:本明細書で用いられる、用語「CpGモチーフ」は、少なくとも1つの非メチル化シトシン、グアニンジヌクレオチドを含有するオリゴデオキシヌクレオチドを意味し、好ましくは、前記CGジヌクレオチドはホスホジエステル結合している。
【0021】
「非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド」:本明細書で用いられる、用語「非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド」又は「CpG」は、少なくとも1つのCpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチド、好ましくはオリゴデスオキシヌクレオチドを意味する。好ましくは、CpGは、3’にグアノシンが続く非メチル化シトシンを含有する一本鎖オリゴデスオキシヌクレオチドに関し、前記非メチル化シトシン及び前記グアノシンは、リン酸結合によって連結し、好ましくは前記リン酸結合は、ホスホジエステル結合又はホスホロチオエート結合であり、更に好ましくは前記リン酸結合は、ホスホジエステル結合である。
【0022】
第一の態様では、本発明は、オリゴヌクレオチドの合成の際に、ヌクレオシドホスホロアミダイトを、汎用担体、第一のヌクレオシド、又は伸長オリゴヌクレオチドにカップリングさせる方法であって、前記オリゴヌクレオチドが、3つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの領域を含み、前記方法が、(i)カップリング溶液を生成する工程であって、前記カップリング溶液が、(a)前記ヌクレオシドホスホロアミダイトと、(b)活性化試薬と、(c)1つ又は複数の溶媒とを含み、前記1つ又は複数の溶媒の1つが、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)である、工程と、(ii)前記カップリング溶液を、前記汎用担体、前記第一のヌクレオシド、又は前記伸長オリゴヌクレオチドと接触させる工程と、
を含む方法を提供する。
【0023】
好ましい実施形態では、前記DMFの容積は、前記1つ又は複数の溶媒の全体積の25%に等しいか又はそれより高く、好ましくは33%に等しいか又はそれより高い。別の好ましい実施形態では、前記DMFの体積は、前記1つ又は複数の溶媒の全容積の50%に等しいか又はそれより高い。
【0024】
別の好ましい実施形態では、前記1つ又は複数の溶媒は、アセトニトリルを更に含み、前記アセトニトリルの体積は、前記1つ又は複数の溶媒の全容積の75%より低いか又は多くてそれに等しく、好ましくは67%より低いか又は多くてそれに等しく、更に好ましくは50%より低いか又は多くてそれに等しい。
【0025】
別の好ましい実施形態では、前記1つ又は複数の溶媒は、DMF及びアセトニトリルを含み、好ましくはそれらからなり、前記DMFのアセトニトリルに対する比率(v/v)は、1:3から3:1の間である。別の好ましい実施形態では、前記1つ又は複数の溶媒は、DMF及びアセトニトリルからなり、前記DMFのアセトニトリルに対する比率(v/v)は、1:1である。
【0026】
別の好ましい実施形態では、前記DMFの容積は、前記1つ又は複数の溶媒の全容積の67%に等しいか又はそれより高く、好ましくは75%に等しいか又はそれより高く、更に好ましくは90%に等しいか又はそれより高い。
【0027】
非常に好ましい実施形態では、前記1つ又は複数の溶媒は、DMFである、厳密に1つの溶媒からなる。このため、非常に好ましい実施形態では、前記カップリング溶液は、DMFである、厳密に1つの溶媒を含む。好ましくは、前記DMFは、少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、なおより好ましくは少なくとも99.5%、及びなおより好ましくは少なくとも99.8%の純度を有する。
【0028】
適切な活性化剤は、当業者に公知であり、例えば、それぞれが参考として本明細書に組み込まれる、米国特許第6,031,092号及び米国特許第6,476,216号に記載されている。好ましい実施形態では、前記活性化試薬は、(a)4,5−ジシアノイミダゾール(DCI);(b)5−エチルチオ−1H−テトラゾール(ETT);(c)5−ベンジルチオ−1H−テトラゾール(BTT);又は(d)5−(3,5−ビス−トリフルオロメチル)フェニル−1H−テトラゾール(活性化剤42)から選択される。別の好ましい実施形態では、前記活性化試薬がは(a)5−エチルチオ−1H−テトラゾール(ETT);(b)5−ベンジルチオ−1H−テトラゾール(BTT);又は(c)5−(3,5−ビス−トリフルオロメチル)フェニル−1H−テトラゾール(活性化剤42)から選択され、好ましくは前記活性化試薬は、5−エチルチオ−1H−テトラゾール(ETT)である。別の好ましい実施形態では、前記活性化試薬は、4,5−ジシアノイミダゾール(DCI)又は5−エチルチオ−1H−テトラゾール(ETT)である。非常に好ましい実施形態では、前記活性化試薬は、5−エチルチオ−1H−テトラゾール(ETT)である。なお非常に好ましい実施形態では、前記カップリング溶液は、(a)前記ヌクレオシドホスホロアミダイト;(b)5−エチルチオ−1H−テトラゾール(ETT)である前記活性化試薬、;及び(c)DMFである、厳密に1つの溶媒、を含み、好ましくはそれらからなる。別の好ましい実施形態では、前記カップリング溶液中の前記活性化試薬の濃度は、0.05から0.90Mであり、好ましくは前記カップリング溶液中の前記活性化試薬の濃度は、0.40から0.80Mである。
【0029】
更に好ましい実施形態では、前記カップリング溶液中の前記ヌクレオシドホスホロアミダイトの濃度は、少なくとも0.03Mであり、好ましくは前記カップリング溶液中の前記ヌクレオシドホスホロアミダイトの濃度は、0.03から0.60Mであり、更に好ましくは前記カップリング溶液中の前記ヌクレオシドホスホロアミダイトの濃度は、0.03から0.30Mである。
【0030】
更に好ましい実施形態では、前記第一のヌクレオシド及び/又は前記伸長オリゴヌクレオチドは、担体上で固定され、好ましくは、前記担体は、(a)ポリマー担体、好ましくはポリスチレン担体;及び(b)シリカ担体、好ましくは多孔質ガラス(controlled poreglass(CPG))担体から選択される。更に好ましい実施形態では、前記第一のヌクレオシド及び/又は前記伸長オリゴヌクレオチドは、担体上で固定され、好ましくは、前記担体は、(a)ポリスチレン担体;及び(b)シリカ担体、好ましくは多孔質ガラス(controlled poreglass(CPG))担体から選択される。いくつかのポリマービーズ担体は、それぞれの全体が本明細書に組み込まれる、以下の特許において開示される。:米国特許第6,016,895号;米国特許第6,043,353号;米国特許第6,300,486号;米国特許第8,541,599号;及び米国特許第8,153,725号B2。
【0031】
非常に好ましい実施形態では、前記担体はポリスチレン担体である。更に非常に好ましい実施形態では、前記担体は、ジビニルベンゼンによって架橋されたポリスチレン担体であり、好ましくは前記ポリスチレン担体は、官能性ヒドロキシル基によって特徴づけられ、;更に好ましくは前記ポリスチレン担体は、約80から90μmの平均粒子サイズを有する。前記担体は、当業者に公知である。本発明に関してこれらの好ましい担体の1つは、日東電工株式会社(Nitto Denko Corporation)のNittoPhase(登録商標)HL固相担体である。これらは、本発明において提供される実施例に使用されている。
【0032】
かかる担体は、当該技術分野において一般に用いられ、典型的に及び好ましくはリンカーを更に含み、典型的に及び好ましくはスクシナート−リンカー又はスクシナート部分を含むリンカーである。したがって、本発明の好ましい実施形態では、前記担体は、リンカーを更に含み、好ましくは前記リンカーは、スクシナート部分を含む。
【0033】
非常に好ましい実施形態では、担体は、次式Iによって表されるリンカーであって
式中、Xが、前記担体を表し、式中、好ましくはXが、ジビニルベンゼンによって架橋された前記ポリスチレン担体を表す、
リンカーを含む。
【0034】
非常に好ましい実施形態では、前記担体は、リンカーを更に含み、前記担体は、ポリスチレン担体であり、前記ポリスチレン担体は、ジビニルベンゼンによって架橋され、及び前記リンカーは、次式Iによって表され、式中、Xが、ジビニルベンゼンによって架橋された前記ポリスチレン担体を表す。前記リンカーを有する非常に好ましい前記担体は、200から400μmol/gの好ましいローディング量(loading capacity)が可能である。実施例の章で用いられる前記リンカーを有する前記担体(NPHL250)は、更に非常に好ましく、リンカーを有する前記担体は、250μmol/gのローディング量(loading capacity)が可能である。これらの非常に好ましい担体とリンカーの組合せは、92058 カリフォルニア州 オーシャンサイド(Oceanside)のKinovate Life Sciences, Inc.から市販されており、名称はUnyLinker(商標) loaded NittoPhase(登録商標)HL&NittoPhase(登録商標)固相担体である。
【0035】
オリゴマーの固相合成用のさまざまなリンカーが記載され、当業者に公知である。本発明の好ましいリンカー及び担体とリンカーの組合せは、その全体が参照として本明細書に組み込まれる、国際公開第2005/049621号に開示される。更に、これらのリンカー及び担体/リンカーの組合せの合成は、また国際公開第2005/049621号にも記載される。
【0036】
この担体とリンカーの組合せに加えて、当業者に公知の合成プライマーは、典型的に、実際に合成されるオリゴヌクレオチドの配列に応じて適切なヌクレオシドを含み得る。これらの合成プライマーは、典型的に、適切な前記ヌクレオシドを、前記リンカーを通して前記担体に共有結合により連結することによって調製される。多数の前記合成プライマーは、市販品を購入することもできる。
【0037】
好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのポリG鎖を含む。別の好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、少なくとも30%のグアニンモノマーを含む。更に好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、少なくとも40%のグアニンモノマーを含む。別の好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、少なくとも50%のグアニンモノマーを含む。
【0038】
更に好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、3つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの第一の領域を含有する。更に好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、4つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの第一の領域を含有する。更に好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、5つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの第一の領域を含有する。別の好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個連続するグアニンモノマーの第一の領域を含む。好ましくは、前記第一の領域は、前記オリゴヌクレオチドの3’−末端に位置する。
【0039】
更に好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、3つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの第二の領域を含有する。更に好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、4つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの第二の領域を含有する。更に好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、5つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの第二の領域を含有する。別の好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個連続するグアニンモノマーの第二の領域を含む。好ましくは、前記第二の領域は、前記オリゴヌクレオチドの5’−末端に位置する。
【0040】
別の好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、3つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの第一の領域と、3つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの第二の領域とを含み、前記第一の領域は、前記オリゴヌクレオチドの3’−末端に位置し、前記第二領域は、前記オリゴヌクレオチドの5’−末端に位置する。
【0041】
別の好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、4つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの第一の領域と、4つ又はそれ超連続するグアニンモノマーの第二の領域とを含み、前記第一の領域は、前記オリゴヌクレオチドの3’−末端に位置し、前記第二の領域は、前記オリゴヌクレオチドの5’−末端に位置する。
【0042】
更に好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、10から50、好ましくは20から40、及び最も好ましくは30ヌクレオチドモノマーを含む。
【0043】
更に好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、パリンドローム配列を含み、好ましくは前記パリンドローム配列は、GACGATCGTC(配列番号2)である。別の好ましい実施形態では、前記パリンドローム配列は、その5’−末端で少なくとも4個及び多くて20、好ましくは多くて10個のグアノシン単位に隣接する。別の好ましい実施形態では、前記パリンドローム配列は、その3’−末端で少なくとも4及び最大で20、好ましくは多くて10のグアノシン単位に隣接する。
【0044】
更に好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、:(a)GGGGACGATC GTCGGGGGG(配列番号3);(b)GGGGGACGAT CGTCGGGGGG(配列番号4);(c)GGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号5);(d)GGGGGGGACG ATCGTCGGGG GG(配列番号6);(e)GGGGGGGGAC GATCGTCGGG GGGG(配列番号7);(f)GGGGGGGGGA CGATCGTCGG GGGGGG(配列番号8);(g)GGGGGGGGGG ACGATCGTCG GGGGGGGG(配列番号9);(h)GGGGGGGGGG GACGATCGTC GGGGGGGGGG(配列番号1);及び(i)GGGGGGCG ACGACGAT CGTCGTCG GGGGGG(配列番号10)からなる群から選択されるヌクレオチドの配列を含むか又は好ましくはそれらからなる。非常に好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、配列番号1を含むか又は好ましくはそれからなる。更に好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、配列番号10である。
【0045】
更に好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、デオキシヌクレオチドであり、好ましくは前記デオキシヌクレオチドは、ホスホジエステル結合モノマーのみからなる。より好ましくは、前記オリゴヌクレオチドは、配列番号1を含むか好ましくはそれからなり、前記オリゴヌクレオチドが、デオキシヌクレオチドであり、前記デオキシヌクレオチドは、ホスホジエステル結合モノマーのみからなる。
【0046】
更なる態様では、本発明は、オリゴヌクレオチドの製造方法であって、オリゴヌクレオチドの合成の際に、ヌクレオシドホスホロアミダイトを、汎用担体、第一のヌクレオシド、又は伸長オリゴヌクレオチドにカップリングさせるために、本明細書に記載される方法のうちのいずれか一つを含む、方法に関する。
【0047】
更なる態様では、本発明は、オリゴヌクレオチドの製造方法であって、(i)ヌクレオシドホスホロアミダイトを第一のヌクレオシドにカップリングさせる工程であって、前記カップリングが、オリゴヌクレオチドの合成の際にヌクレオシドホスホロアミダイトを第一のヌクレオシドにカップリングさせるために、本明細書に記載される方法のうちのいずれか一つを含む工程と、(ii)工程(i)の生成物を酸化することによって伸長オリゴヌクレオチドを生成する工程と、(iii)典型的に及び好ましくは脱保護の後、工程(ii)の生成物にヌクレオシドホスホロアミダイトをカップリングさせる工程であって、前記カップリングが、オリゴヌクレオチドの合成の際に、ヌクレオシドホスホロアミダイトを伸長オリゴヌクレオチドにカップリングさせるために、本明細書に記載される方法のうちのいずれか一つを含む工程と、;(iv)工程(iii)の生成物を酸化することによって伸長オリゴヌクレオチドを生成する工程と、(v)前記伸長オリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドの配列を含むまで工程(iii)及び工程(iv)を繰り返す工程とを含む、方法に関する。
【0048】
好ましい実施形態では、前記方法は、変性条件下で前記オリゴヌクレオチドを精製する工程を更に含み、好ましくは前記変性条件は、10から14のpH、好ましくは10から13のpH、より好ましくは約12のpH、最も好ましくは12のpHによって特徴づけられる。
【0049】
更に好ましい実施形態では、前記方法は、10から14のpH、好ましくは10から13のpH、より好ましくは約12のpH、最も好ましくは12のpHで前記オリゴヌクレオチドを精製する工程を更に含む。
【0050】
更に好ましい実施形態では、前記精製は、陰イオン交換クロマトグラフィによって実施され、好ましくは前記陰イオン交換クロマトグラフィは、第四級アミン基で官能化された陰イオン交換マトリックスを用いて実施され、更に好ましくは前記陰イオン交換マトリックスは、ポリスチレン、ポリスチレン/ジビニルベンゼン又はポリメタクリレートから選択される材料で構成され、更に一層好ましくは前記材料は、ポリスチレン/ジビニルベンゼンである。
【0051】
更に好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、前記第一のヌクレオシドに関して少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、なお好ましくは少なくとも25%、更により好ましくは少なくとも30%のモル収率で生成される。
【0052】
更に好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドの純度は、少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、及び最も好ましくは少なくとも95%である。
【0053】
本明細書に開示される本発明の方法は、オリゴヌクレオチド、特に例えばポリ−Gが隣接する非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドなどのG−リッチオリゴヌクレオチドの大規模合成に適している。かかる化合物は、特に薬学的応用に用いられる。
【0054】
本明細書に引用した刊行物、特許出願、及び特許を含むすべての参照は、あたかもそれぞれの参照が、参照として組み込まれることを個別にかつ具体的に示され、本明細書にその全体が記述されることと同程度に参照として本明細書に組み込まれる。
【0055】
記述する本発明の文脈内において、用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」及び「その」及び類似の言及の使用は、(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)本明細書でそれ以外であると示されている場合を除き、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の双方を含むと解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」は、特に記載のない限り、制約のない用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書において値の範囲に関する記述は、本明細書でそれ以外であると示されている場合を除き、ただ単にこの範囲に含まれるそれぞれの分離した値を個別に指す短縮方法としての役割を有すると意図され、それぞれの分離した値は、あたかもその値が、個別に本明細書に記述されるがごとく、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書でそれ以外であると示されている場合を除き又は本文と明らかに矛盾する場合を除き、任意の適切な順番で実施することができる。本明細書で提供される、任意の及びすべての実施例、又は例示的な言語の使用(例えば、「such as」)は、特に主張しない限りただ単に本発明をより明らかにすると意図され、本発明の範囲について制限を課すものではない。本明細書におけるいかなる表現も、請求されていない要素を、本発明の実践に必須であるとして示すものと解釈すべきではない。
【0056】
以下の実施例は、本発明を更に示すが、当然ながら、その範囲を制限するものとなんら解釈されるべきではない。
【0057】
実施例
以下の実施例は、本発明を更に示すが、その範囲を制限するものとなんら解釈されるべきではない。
【0058】
以下の略称は、特にこの実施例の章及び本明細書全体を通して用いられている。
ACN アセトニトリル
CNET シアノエチル保護基
CV カラム容積
DCA ジクロロ酢酸
DCI ジシアノイミダゾール
DEA ジエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
eq 当量
ETT 3−エチルチオ−1H−テトラゾール
FLP 完全長生成物
HPLC 高速液体クロマトグラフィ
NMI N−メチルイミダゾール
NPHL 250 Nittophase high loaded unylin ker 250
OD 光学密度
TBA Tert−ブチルアミン
UV 紫外線
【0059】
ジメチルホルムアミド(DMF)をアクロスオーガニクス(Acros Organics)(サーモフィッシャー・サイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)のブランド)から購入し、純度は99.8%であった。Nittophase high loaded unylinker 250(NPHL 250)をカリフォルニア州 オーシャンサイド(Oceanside)のKinovate Life Sciences,Inc.から購入した。
【0060】
実施例1
本実施例は、さまざまな溶媒と共溶媒の組合せの存在下でのオリゴヌクレオチドG10(配列番号1)の合成を記載する。本実施例は、ACN/DMFの溶媒混合物及び純粋なDMFが、完全長生成物の純度の点でACN/スルホランより優れていることを証明する。本実施例は、更に純粋なDMFが、オリゴヌクレオチドの全収率の点でACN/DMFより優れていることを証明する。
【0061】
活性化剤としてDCIを用いたACN/スルホラン中の合成
本実施例は、固相合成担体としてNittophase High Loaded Unylinker 250(NPHL 250)を用いた、Akta 100 OligoPilot上における、1.51mmolのオリゴヌクレオチドG10(配列番号1)の脱トリチル化合成を記載する。ACN/スルホラン(1:1v/v)中で膨潤させた57.7mlの合成担体(担体密度:0.109g/ml)を合成カラム(カラム直径3.5cm、カラム高さ6cm)に充填し、ACN(64.1ml/分、2CV)を用いた合成前洗浄の後、以下の合成サイクルを用いた。:(1)トルエン中のDCAを用いた脱トリチル化(第一サイクル:トルエン中10%のDCA、32.9ml/分;後続サイクル:トルエン中の3%のDCA、64.1ml/分;2CV)、続いてACNによる洗浄(32.1ml/分で2CV及び64.1ml/分で2CV);(2)ACN/スルホランを用いたコンディショニング(1:1v/v;32.9ml/分、1.5CV);(3)カップリング(活性化剤:ACN/スルホラン(1:1v/v)中の0.7MのDCI;デオキシヌクレオシドホスホロアミダイト(2.0eq/担体):ACN/スルホラン(1:1v/v)中の0.2M;充填容積:30.2ml(15.1mlアミダイト+15.1ml活性化剤)、充填流速:53.1ml/分;押出し容積:8ml、押出し流速:53.1ml/分;再利用時間:10分、再利用流速:48.1ml/分)、続いてACN洗浄(1CV、64.1ml/分);(4)0.2CVのCapA(NMI/ピリジン/ACN、2:3:5v/v/v)/ACN(1:1v/v)、続いて0.75CV(v/v)の1:1CapA/CapB(イソ酪酸無水物/ACN1:1v/v)を用いた酸化前キャッピング、接触時間2.5分、充填/押出し流速:17.3ml/分、押出し容積:1.1ml、洗浄容積:1CV、洗浄流速:64.1ml/分;(5)0.5CVのCapAを用いた酸化前押出し(34.8ml/分);(6)ピリジン/水(9:1v/v)中の50mMのI2(3eq)を用いた酸化、充填容積:90.6ml、接触時間:2.6分、充填/押出し流速:34.8ml/分、酸化押出し容積:1.1CV、続いてACN洗浄(1CV、64.1ml/分);(7)1.5CVのACN/スルホランを用いたキャッピング前コンディショニング(1:1v/v、32.9ml/分);(8)0.2CVのCapA/ACN(1:1v/v)、続いて0.75CVの1:1(v/v)CapA/CapBを用いたキャッピング、接触時間2.5分、充填/押出し流速:17.3ml/分、押出し容積:1.1CV、洗浄容積:1CV、洗浄流速:64.1ml/分。2CVのACN(64.1ml/分)を用いた最後のカラム洗浄及び最後の脱トリチル化の後、このCNET保護基をACN中の20%のDEAを用いてこのホスホジエステル結合から取り除いた(5CV、接触時間10分、続いて4CVのACNを用いて洗浄(96.2ml/分))。振とう台上のボトル内で、50°Cで4CV以上の28から30%のアンモニアを用いて、24時間以上処理することによって、開裂及び脱保護を行い、続いて、40OD/ml未満のUV読み取りが得られるまで、それぞれ1CVの水での洗浄工程を繰り返す。
【0062】
260nmでの吸光度測定によってODを決定した。オリゴヌクレオチドの収率(OD/μmol)を表1に示す。
【0063】
粗オリゴヌクレオチドの純度を決定するために陰イオン交換分析をWaters Alliance HPLC システムを用いて、30°CでDionex DNAPac PA200の4x250mmのカラム上で実施した。サンプルをHPLC緩衝液A(20mMのNaOH)中で6.25OD/mlとなるように希釈し、その20μlをカラムに注入し、25から40%のHPLC緩衝液B(20mMのNaOH、1.5MのNaCl、40%のメタノール)の勾配を5分間用いて、続いて40から55%の緩衝液Bの勾配を35分間用いて、1ml/分の流速で分離した。完全長生成物(%)を表1に示す。
【0064】
活性化剤としてDCIを用いたACN/DMF中の合成
本実施例は、固相合成担体としてNittophase High Loaded Unylinker 250(NPHL 250)を用いた、Akta 100 OligoPilot上における、1.51mmolの配列番号1の脱トリチル化合成を記載する。ACN/DMF(1:1v/v)中で膨潤させた57.7mlの合成担体、(担体密度:0.109g/ml)を合成カラム(カラム直径3.5cm、カラム高さ6cm)に充填し、ACN(64.1ml/分、2CV)を用いた合成前洗浄の後、以下の合成サイクルを用いた。:(1)トルエン中のDCAを用いた脱トリチル化(第一サイクル:トルエン中10%のDCA、32.9ml/分;後続サイクル:トルエン中3%のDCA、64.1ml/分;2CV)、続いてACN洗浄(32.1ml/分で2CV及び64.1ml/分で2CV);(2)ACN/DMFを用いたコンディショニング(1:1v/v;32.9ml/分、1.5CV);(3)カップリング(活性化剤:ACN/DMF中の0.7MのDCI(1:1v/v);デオキシヌクレオシドホスホロアミダイト(2.0eq/担体):ACN/DMF(1:1v/v)中の0.2M;充填容積:30.2ml(15.1mlアミダイト+15.1ml活性化剤)、充填流速:53.1ml/分;押出し容積:8ml、押出し流速:53.1ml/分;再利用時間:10分、再利用流速:48.1ml/分)、続いてACN洗浄(1CV、64.1ml/分);(4)0.2CVのCapA(NMI/ピリジン/ACN、2:3:5v/v/v)/ACN(1:1v/v)、続いて0.75CV(v/v)の1:1CapA/CapB(イソ酪酸無水物/ACN1:1v/v)を用いた酸化前キャッピング、接触時間2.5分、充填/押出し流速:17.3ml/分、押出し容積:1.1ml、洗浄容積:1CV、洗浄流速:64.1ml/分;(5)0.5CVのCapAを用いた酸化前押出し(34.8ml/分);(6)ピリジン/水(9:1v/v)中の50mMのI2(3eq)を用いた酸化、充填容積:90.6ml、接触時間:2.6分、充填/押出し流速:34.8ml/分、酸化押出し容積:1.1CV、続いてACN洗浄(1CV、64.1ml/分);(7)1.5CVのACN/DMFを用いたキャッピング前コンディショニング(1:1v/v、32.9ml/分);(8)0.2CVのCapA/ACN(1:1v/v)、続いて0.75CVの1:1(v/v)CapA/CapBを用いたキャッピング、接触時間2.5分、充填/押出し流速:17.3ml/分、押出し容積:1.1CV、洗浄容積:1CV、洗浄流速:64.1ml/分。2CVのACN(64.1ml/分)を用いた最後のカラム洗浄及び最後の脱トリチル化の後、このCNET保護基をACN中の20%のDEAを用いてこのホスホジエステル結合から取り除いた(5CV、接触時間45分以上、続いて4CVのACNを用いて洗浄(96.2ml/分))。50°Cで4CV以上の28から30%のアンモニアを用いて、カラム上で再循環させることによって、開裂及び脱保護が達成され、続いて、40OD/ml未満のUV読み取りが、到達されるまで、それぞれ1CVの水での洗浄工程を繰り返す。
【0065】
260nmでの吸光度測定によって、ODを決定した。オリゴヌクレオチドの収率(OD/μmol)を表1に示す。
【0066】
粗オリゴヌクレオチドの純度を決定するために、陰イオン交換分析を、Waters Alliance HPLC システムを用いて、30°CでDionex DNAPac PA200の4x250mmのカラム上で実施した。サンプルをHPLC緩衝液A(20mMのNaOH)中に6.25OD/mlまで希釈し、その20μlをこのカラムに注入し、5分の間に25から40%のHPLC緩衝液B(20mMのNaOH、1.5MのNaCl、40%のメタノール)の勾配を5分間用いて、続いて35分の間に40から55%の緩衝液Bの勾配を35分間用いて、1ml/分の流速で分離した。この完全長生成物(%)を表1に示す。
【0067】
活性化剤としてDCIを用いたDMF中の合成
本実施例は、固相合成担体としてNittophase High Loaded Unylinker 250(NPHL 250)を用いた、Akta 100 OligoPilot上における、1.51mmolの配列番号1の脱トリチル化合成を記載する。DMF中で膨潤させた57.7mlの合成担体、(担体密度:0.109g/ml)を合成カラム(カラム直径3.5cm、カラム高さ6cm)に充填し、ACN(64.1ml/分、2CV)を用いた合成前洗浄の後、以下の合成サイクルを用いた。:(1)トルエン中のDCAを用いた脱トリチル化(第一サイクル:トルエン中10%のDCA、32.9ml/分;後続サイクル:トルエン中3%のDCA、64.1ml/分;2CV)、続いてACN洗浄(32.1ml/分で2CV及び64.1ml/分で2CV);(2)DMFを用いたコンディショニング(32.9ml/分、1.5CV);(3)カップリング(活性化剤:DMF中の0.7MのDCI;デオキシヌクレオシドホスホロアミダイト(2.0eq/担体):DMF中の0.2M;充填容積:30.2ml(15.1mlアミダイト+15.1ml活性化剤)、充填流速:53.1ml/分;押出し容積:8ml、押出し流速:53.1ml/分;再利用時間:10分、再利用流速:48.1ml/分)、続いてACN洗浄(1CV、64.1ml/分);(4)0.2CVのCapA(NMI/ピリジン/ACN、2:3:5v/v/v)/ACN(1:1v/v)、続いて0.75CV(v/v)の1:1CapA/CapB(イソ酪酸無水物/ACN1:1v/v)を用いた酸化前キャッピング、接触時間2.5分、充填/押出し流速:17.3ml/分、押出し容積:1.1ml、洗浄容積:1CV、洗浄流速:64.1ml/分;(5)0.5CVのCapAを用いた酸化前押出し(34.8ml/分);(6)ピリジン/水(9:1v/v)中の50mMのI2(3eq)を用いた酸化、充填容積:90.6ml、接触時間:2.6分、充填/押出し流速:34.8ml/分、酸化押出し容積:1.1CV、続いてACN洗浄(1CV、64.1ml/分);(7)1.5CVのDMFを用いたキャッピング前コンディショニング(32.9ml/分);(8)0.2CVのCapA/ACN(1:1v/v)、続いて0.75CVの1:1(v/v)CapA/CapBを用いたキャッピング、接触時間2.5分、充填/押出し流速:17.3ml/分、押出し容積:1.1CV、洗浄容積:1CV、洗浄流速:64.1ml/分。2CVのACN(64.1ml/分)を用いた最後のカラム洗浄及び最後の脱トリチル化の後、CNET保護基をACN中の20%のTBAを用いてホスホジエステル結合から取り除いた(5CV、接触時間45分以上、続いて4CVのACNを用いて洗浄(96.2ml/分))。50°Cで4CV以上の28から30%のアンモニアを用いて、カラム上で再循環させることによって、開裂及び脱保護が達成され、続いて、40OD/ml未満のUV読み取りが到達されるまで、それぞれ1CVの水での洗浄工程を繰り返す。
【0068】
260nmでの吸光度測定によって、ODを決定した。オリゴヌクレオチドの収率(OD/μmol)を表1に示す。
【0069】
粗オリゴヌクレオチドの純度を決定するために陰イオン交換分析をWaters Alliance HPLC システムを用いて、30°CでDionex DNAPac PA200の4x250mmのカラム上で実施した。サンプルをHPLC緩衝液A(20mMのNaOH)中で6.25OD/mlとなるように希釈し、その20μlをカラムに注入し、25から40%のHPLC緩衝液B(20mMのNaOH、1.5MのNaCl、40%のメタノール)の勾配を5分間使用して、続いて40から55%の緩衝液Bの勾配を35分間用いて、1ml/分の流速で分離した。この完全長生成物(%)を表1に示す。
【0070】
データは、共溶媒としてDMFを用いたとき(57.9%)、及び溶媒として純粋なDMFを用いたとき(56.3%)、粗製物合成におけるFLPの純度が、最も高いことを証明する。更に、全収率は、溶媒として純粋なDMFを用いたとき、最も高い(181OD/μmol)。更に、ACN/スルホランの代わりにDMFを用いたとき、G10−1n及びG10+1n、すなわち目的とするFLPに加えて、1つ若しくは複数のG残基が少ない化合物又は1つ若しくは複数のG残基を含む化合物などの不純物及び合成の失敗が、顕著に減少する。後者は、G10+1nに関して特にあてはまり、FLPからG10+1n化合物を分離することが困難であることにより、非常に有益である。
【表1】
【0071】
実施例2
本実施例は、活性化剤としてETTを用いた純粋なDMFの存在下での配列番号1の合成を記載する。本実施例は、オリゴヌクレオチドの収率及び完全長生成物の純度の点からDCIよりETTが優れていることを示す。
【0072】
活性化剤としてETTを用いたDMF中の合成
本実施例は、固相合成担体としてNittophase High Loaded Unylinker 250(NPHL250)を用いた、Akta 100 OligoPilot上における、1.26mmolの配列番号1の脱トリチル化合成を記載する。DMF中で膨潤させた48.1mlの合成担体、(担体密度:0.109g/ml)を合成カラム(カラム直径3.5cm、カラム高さ5cm)に充填し、ACN(424cm/時、2CV)を用いた合成前洗浄の後、以下の合成サイクルを用いた。:(1)トルエン中のDCAを用いた脱トリチル化(第一サイクル:トルエン中10%のDCA、50cm/時;後続サイクル:トルエン中の3%のDCA、424cm/時;2CV)、続いてACN洗浄(200cm/時で2CV、424cm/時で2CV);(2)DMFを用いたコンディショニング(205cm/時、1.5CV);(3)カップリング(活性化剤:DMF中の0.6MのETT;デオキシヌクレオシドホスホロアミダイト(2.0eq/担体):DMF中の0.2M;充填容積:26.4ml(12.6mlアミダイト+13.8ml活性化剤)、充填流速:19.3ml/分;押出し容積:8ml、押出し流速:120cm/時;再利用時間:10分、再利用流速:212cm/時)、続いてACN洗浄(1CV、424cm/時);(4)0.5CVのCapAを用いた酸化前押出し(NMI/ピリジン/ACN、2:3:5v/v/v、29.0ml/分);(5)ピリジン/水(9:1v/v)中の50mMのI2(3当量)を用いた酸化、充填容積:75.5ml、接触時間:2.6分、充填/押出し流速:29.0ml/分、酸化押出し容積:1.1CV、続いてACN洗浄(1CV、424cm/時);(6)1.5CVのDMFを用いたキャッピング前コンディショニング(205cm/時);(7)0.2CVのCapA/ACN(1:1v/v)、続いて0.75CVの1:1(v/v)CapA/CapB(イソ酪酸無水物/ACN、1:4v/v)を用いたキャッピング、接触時間2.5分、充填/押出し流速:14.4ml/分、押出し容積:1.1CV、洗浄容積:1CV、洗浄流速:424cm/時。最後の脱トリチル化の後、CNET保護基を、ACN中の20%のTBAを用いてこのホスホジエステル結合から取り除いた(5CV、接触時間45分以上、続いて4CVのACNを用いて洗浄(424cm/時))。50°Cで5CVの28から30%のアンモニアを用いて、16から24時間、カラム上で再循環させることによって、開裂及び脱保護が達成され、続いて、40OD/ml未満のUV読み取りが到達されるまで、それぞれ1CVの水での洗浄工程を繰り返す。
【0073】
260nmでの吸光度測定によって、ODを決定した。オリゴヌクレオチドの収率(OD/μmol)を表2に示す。
【0074】
粗オリゴヌクレオチドの純度を決定するために陰イオン交換分析をWaters Alliance HPLC システムを用いて、30°CでDionex DNAPac PA200の4x250mmのカラム上で実施した。サンプルをHPLC緩衝液A(20mMのNaOH)中に6.25OD/mlとなるように希釈し、その20μlをこのカラムに注入し、25から40%のHPLC緩衝液B(20mMのNaOH、1.5MのNaCl、40%のメタノール)の勾配を5分間用いて、続いて40から55%の緩衝液Bの勾配を35分間用いて、1ml/分の流速で分離した。完全長生成物(%)について活性化剤としてDCIを用いた実施例1の合成と比較して表2に示す。データは、活性化剤としてETTを用いることによって、粗オリゴヌクレオチドの収率及びFLPの純度の双方が、更に大きく増加することを証明する。加えて、G10−1n及びG10+1n、すなわち目的とするFLPに加えて、1つ若しくは複数のG残基が少ない化合物、又は1つ若しくは複数のG残基を含む化合物などの不純物及び合成の失敗が、活性化剤としてDCIを用いた合成と比較して更に減少する。
【表2】
【0075】
実施例3
本実施例は、105mmol規模での実施例2の合成を記載する。本実施例は、このプロセスが製造規模に拡大可能であることを証明する。
【0076】
本実施例は、固相合成担体としてNittophase High Loaded Unylinker 250(NPHL 250)を用いた、GE OligoProcessオリゴヌクレオチド合成装置上における、105mmolの配列番号1の脱トリチル化合成を記載する。DMF中で膨潤させた3.85リットルの合成担体、(担体密度:9.17ml/g)を合成カラム(カラム直径35cm、カラム高さ4cm)に充填し、ACN(424cm/時、2CV)を用いた合成前洗浄の後、以下の合成サイクルを用いた。:(1)トルエン中のDCAを用いた脱トリチル化(第一サイクル:トルエン中10%のDCA、62cm/時;後続サイクル:トルエン中の3%のDCA、424cm/時;2CV)、続いてACN洗浄(200cm/時で2CV及び424cm/時で2CV);(2)DMFを用いたコンディショニング(205cm/時、1.5CV);(3)カップリング(活性化剤:DMF中の0.6MのETT;デオキシヌクレオシドホスホロアミダイト(2.0eq/担体):DMF中の0.2M;充填容積:2.21L(52.4%活性化剤容積)、充填流速:1.68L/分;押出し流速:1.68L/分;再利用時間:10分、再利用流速:3.40L/分)、続いてACN洗浄(1CV、424cm/時);(4)0.5CVのCapAを用いた酸化前押出し(NMI/ピリジン/ACN、2:3:5v/v/v、2.42L/分);(5)ピリジン/水(9:1v/v)中の50mMのI2(3eq)を用いた酸化、充填容積:6.30L、接触時間:2.6分、充填/押出し流速:2.42L/分、酸化押出し容積:1.1CV、続いてACN洗浄(1CV、424cm/時);(6)1.5CVのDMFを用いたキャッピング前コンディショニング(205cm/時);(7)0.2CVのCapA/ACN(1:1v/v)、続いて0.75CVの1:1(v/v)CapA/CapB(イソ酪酸無水物/ACN、1:4v/v)を用いたキャッピング、接触時間2.5分、充填/押出し流速:1.15L/分、押出し容積:1.1CV、洗浄容積:1CV、洗浄流速:424cm/時。最後の脱トリチル化及び最後のカラム洗浄(2CVのACN、424cm/時)の後、このCNET保護基をACN中の20%のTBAを用いて、このホスホジエステル結合から取り除いた(5CV、45分以上の接触時間、続いて4CVのACNを用いて洗浄(424cm/時))。50°Cで5CVの28から30%のアンモニアを用いて、16から24時間、カラム上で再循環させることによって、開裂及び脱保護が達成され、続いて、40OD/ml未満のUV読み取りが到達されるまで4CV以上の水で洗浄した。
【0077】
260nmでの吸光度測定によって、ODを決定した。
【0078】
粗オリゴヌクレオチドの純度を決定するために陰イオン交換分析をWaters Alliance HPLC システムを用いて、30°CでDionex DNAPac PA200の4x250mmのカラム上で実施した。サンプルをHPLC緩衝液A(20mMのNaOH)中で6.25OD/mlとなるように希釈し、その20μlをカラムに注入し、25から40%のHPLC緩衝液B(20mMのNaOH、1.5MのNaCl、40%のメタノール)の勾配を5分間使用して、続いて40から55%の緩衝液Bの勾配を35分間用いて、1ml/分の流速で分離した。
【0079】
粗オリゴヌクレオチドの収率は、66.7%のFLP含量を有する178OD/μmol(最大値の51.6%)であり、この好ましいプロセスが製造規模に拡大可能であることを示す。
【0080】
実施例4
本実施例は、実施例2に記載される合成された粗オリゴヌクレオチドの精製を記載する。本実施例は、好ましい方法を用いて合成された粗オリゴヌクレオチドを高純度に精製することができることを証明する。
【0081】
実施例2に記載のとおり合成された粗オリゴヌクレオチドの2つのバッチを混合し、この精製プロセスに供するための1回供給分を作製した。混合した粗オリゴヌクレオチドのプール中におけるFLPの純度は、66.5%であると決定された。7.5cmの直径のカラムに20cmのベッド高さまでSource15Q陰イオン交換マトリックスを充填し(圧縮係数1)、3CV以上の緩衝液B(25mMのNaOH、2MのNaCl)を用いて、100cm/時の流速で洗浄し、続いて3CV以上の緩衝液A(25mMのNaOH)を用いて、100cm/時の流速で平衡化した。混合した粗オリゴヌクレオチドを500OD/mlの濃度、100cm/時の流速でロードし、続いて、UVシグナルが、ベースラインに戻るまで、1CV以上の緩衝液Aを用いて、100cm/時で洗浄工程を行った。溶出させるため、10%の緩衝液Bから44%の緩衝液Bの勾配を100cm/時の流速で17CVを超えて適用し、画分サイズは、0.5CVであった。OD(260nmでの吸収測定)及びFLP純度(陰イオン交換HPLC)に関して分析した画分のモックプールの分析結果を表3に示す。モックプールは、94%の範囲の高純度FLP及び71から84%の高FLP回収率を示す。
【表3】
【0082】
画分17から31を限外ろ過/透析濾過を通して更に処理するためにプールし(分子量カットオフ:3000)、凍結乾燥することによって、純度93.0%のFLP(1%のG10−1n及び0.53%のG10+1n)を有する6.6gのオリゴヌクレオチド(水分に対して補正済み)を得た。この全体的な処理の収率は2.6g/mmol(19%)であった。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]
【手続補正書】
【提出日】2021年2月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【外国語明細書】
2021073204000001.pdf