【解決手段】ニッケル酸化物でなる正極と、マグネシウム合金でなる負極と、正極と負極の間に設けられたセパレータと、正極と負極の間に充填されるアルカリ性の電解質とからなり、電解質がマグネシウムイオンとキレート錯体を作るリガンドを含むことを特徴とする。リガンドが、エチレンジアミン四酢酸であることが好ましい。
【背景技術】
【0002】
近年、電子・電気機器は、利便性を高めるために、小型化、軽量化、薄型化、および高機能化が年々着実に進んでおり、これに伴い、これらの機器の電源として用いられる電池には、小さく、軽く、薄型で、高容量、特に充電可能な二次電池であることが求められてきた。
このような要求に応えた小型二次電池がニッケル・カドミウム蓄電池(ニッカド電池)の2.5倍の電気容量(重量エネルギー密度が60〜120Wh/kg、体積エネルギー密度が140〜200Wh/L)を持ったニッケル・水素充電池であった。これは正極材料にニッケル、負極材料に水素吸蔵合金であるミッシュメタルを使用するNi−MHタイプと呼ばれるものであった。その後さらに電気容量の大きなリチウムイオン二次電池が開発されたため、携帯機器分野ではシェアーを奪われたが、乾電池の分野ではニッカド電池に代わり主流となっている。電気自動車・ハイブリッドカーの分野ではさらに大型のニッケル・水素充電池が開発され、水素を高圧タンクに貯蔵し水素を陰極に供給するNi−H
2タイプが検討されている。車載用のニッケル・水素充電池は、体積エネルギー密度が小さいため、大容量の電気を得ようとすると、その形状が大きくなる問題がある。
ニッケル・水素充電池が自動車のモータの駆動電源として使用される理由は後述するリチウムイオン充電池より爆発の危険性が少ないからである。一方、ニッケル・水素充電池の最大の欠点は、ニッケル・水素蓄電池に継ぎ足し充電すると放電中に、一時的に電圧が降下するメモリー現象を起こすことであり、そのため、充電のたびに終止電圧まで急速放電してから再び充電しなければならないことである。
【0003】
ニッケル・水素充電池に続いて登場したのがリチウムイオン二次電池である。リチウムイオン二次電池は、正極にリチウム遷移金属複合酸化物、負極に炭素材料、電解質に有機溶媒などの非水電解質を用い、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行うものである。リチウムイオン二次電池の強みは、ニッケル・水素電池の2倍の重量エネルギー密度(100〜243Wh/kg)及び3倍の体積エネルギー密度(250〜676Wh/L)であり、瞬く間に電子・電気器具分野ではニッケル水素電池を席巻した。しかしながら、エネルギー密度が高いゆえに、充電時に異常発熱し、発火事故まで起こしたため、その対策を迫られている。
【0004】
他方、負極に金属マグネシウムを使用し、正極に空気中の酸素を使用する空気マグネシウム電池がある。空気電池および燃料電池の一種であり、電池の放電によって生成される水酸化マグネシウムを太陽熱を利用してマグネシウムに再生すれば、「マグネシウム循環社会」となる旨の構想が提案され注目をあつめたが、未だ完成の域に達していない。これは、マグネシウム電極の表面に水酸化マグネシウムが不動態を形成し、発電を停止させるからである。発生する水酸化マグネシウムが電解質に溶解しやすくするための補助剤を加えることで回避する方策や(特許文献1、2参照)や電極にマグネシウムにカルシウムを混ぜた合金を使用し、水酸化物イオンをカルシウムがマグネシウムから奪い不導態の形成を抑制する試みがなされているが、いずれの試みも十分な効果を上げるに至っていない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、携帯電話、デジタルカメラ・ビデオ、携帯音楽プレーヤー、ノートパソコンの専用電池等の各種電子・電気機器類用の二次電池、電気自動車やハイブリッドカーのモータや内装機器類を駆動する二次電池等、乾電池から人工衛星や宇宙探査機にまでに利用できるニッケル−マグネシウム電池に関する。
本発明のニッケル−マグネシウム電池は、上に列記した多くのニーズに応えられるように多様な形状で提供することができる。例えば、単一形、単二形、単三形、単四形、ボタン形、角形、箱形、その他産業用の特殊品がある。
本発明のニッケル−マグネシウム電池は、ニッケル酸化物からなる正極と、マグネシウム合金からなる負極と、正極と負極の間に設けられたセパレータと、正極と負極の間に充填されるアルカリ性の電解質とからなり、電解質がマグネシウムイオンとキレートを作るリガンドを含むことを特徴とする。
図1は本願発明の一実施形態である角型のニッケル−マグネシウム電池の断面図である。
図1において、符号1はニッケル−マグネシウム電池、10は正極、20は負極と、30はセパレータ、40は電解質、50は触媒層、60は活性炭の層である。
【0013】
正極10はニッケル酸化物からなる多孔質成形体である。正極10では負極20で発生した電子(e
−)がセルの中を移動し、正極10で電子(e
−)と空気中の酸素(О
2)と反応させる。この場合、酸素(О
2)の取り込みが律速段階となるため、正極は酸素を吸収しやすくするように多孔質であることが好ましい。
正極10に使用されるニッケ酸化物としては、水酸化ニッケル(Ni(OH)
2)、酸化水酸化ニッケル(NiООH)又は酸化二ッケル(NiO)が挙げられる。
電極の鋳造方法として特に制限はないが、セラミックスの成形・焼結法が応用できる。例えば、ニッケル酸化物の粉体を金型に入れて加圧成形し、焼結炉の中で焼き固めればよい。また、合成樹脂を溶融しニッケル酸化物の粉体を混合した混合物を射出成型した成形品を加熱焼結して樹脂を除去する方法も利用できる。
【0014】
負極20は金属マグネシウム(Mg)からなり、放電時には、その表面においてアルカリ性の電解質40と反応して、マグネシウムイオン(Mg
2+)と電子(e
−)になる。電子(e
−)はセル内を正極10に向かって移動する。負極20は純度99%以上の金属マグネシウム(Mg)で製造することも可能であるが、軟弱で硬度不足になる虞があるため、通常は2〜10%のアルミニウム(Al)と1%程度の亜鉛(Zn)を混合した合金が使用される。負極から溶出したマグネシウムイオン(Mg
2+)は周囲の水酸化物イオン(ОH
−)と反応して難溶性の水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)となり不動態を形成する。不動態の形成を妨害するために、負極20はカルシウムを含有した難燃性マグネシウム合金であることが好ましい。カルシウムの混入量は負極20の重量に対し通常1〜5%程度である。カルシウムの混入量が1重量%未満では、不動態形成を妨害する効果が十分得られない虞があり、5%を超えると電極が脆くなりひび割れを起こす虞がある。
カルシウム(Ca)はマグネシウム(Mg)よりもイオン化傾向が小さいためマグネシウム(Mg)よりもイオン化しやすい。このため水酸化物イオン(ОH
−)をマグネシウム(Mg)より奪うことができるため、水酸化物イオン(ОH
−)が結びつく相手を変えた瞬間に電極のマグネシウム(Mg
2+)が溶け出し、不動態の形成を遅らせることができる。
【0015】
負極20と正極10の間にはセパレータ30が設けられる。セパレータ30は負極側と正極側を区分するために設けられるもので、放電時には電子(e
−)が負極側から正極側へ移行し、充電時には正極側から負極側へ電子(e
−)が移行する。このため、セパレータ30は非極性の多孔質膜であることが好ましい。
セパレータ30に使用される素材としては、ガラスウール、ロックウール、スラッジウール等の無機繊維を原料とした不織布、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート、ポリウレタン等の合成繊維を原料とした織布又は不織布、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等のフッ素化樹脂やセルロースアセテートを原料としたメンブランフィルター、セルロース等の天然素材を原料とした綿布又は和紙、を挙げることができる。
中でも、純粋なセルロースでなる和紙は、ニッケル−マグネシウム電池1のセパレータ30として好ましく使用できる。
【0016】
正極10と負極20の間には電解質40が充填される。電解質40にはアルカリ性の水溶液が使用される。酸性の電解質では電極のマグネシウム(Mg)と反応し水素(H
2)を発生して自己放電してしまう。
アルカリ性の電解質40は塩基性化合物を水に溶解すればよい。使用される塩基性物質としては水溶液がアルカリ性を示すものであれば特に制限はないが、価格及び入手のしやすさから、通常、水酸化カリウム(KOH)、又は水酸化ナトリウム(NaOH)が使用され、その濃度は0.3〜32%である。
アルカリ性の電解質40を使用すると、マグネシウム(Mg)と水酸化物イオン(OH
−)とが反応して水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)と電子(e
−)が生成する。電子(e
−)は正極10に向かって移動するが、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)は水溶解度が低く100mLの水に1.2mgしか熔解しないため、負極の表面に水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)が析出する。これが不動態になり反応が停止する。
この問題を解決するために、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)を水に溶解させる補助剤の研究も行われているが、未だ実用化できるものは開発されていない。
本願発明は、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)を溶解させるのではなく、マグネシウムイオン(Mg
2+)をキレート錯体として電解質の系外に隔離することにより不導体形成を防止したものである
【0017】
本発明のニッケル−マグネシウム電池1の電解質40はマグネシウムイオン(Mg
2+)とキレートを作るリガンド(配位子)を含むことを特徴とする。キレートとは、複数の配位座を持つリガンド(配位子)による金属イオンへの結合である。キレート結合でできている化合物をキレート錯体と呼ぶ。マグネシウムイオン(Mg
2+)のキレート錯体ば、錯体分子(Mg
2+)の中心にマグネシウムイオン(Mg
2+)が位置し、それを共有電子を持つリガンド(配位子)が取り囲んで錯化合物を形成する。キレート錯体は配位子が複数の配位座を持って金属を包み込んでいるため、配位している物質から金属を分離しにくくなる。これをキレート効果といい、マグネシウムイオン(Mg
2+)を電解質溶液の系外に隔離する原理である。
金属キレートには、金属の性質により配位子の数が2、4又は6と決まっており、マグネシウム(Mg)は6である。このためマグネシウムイオン(Mg
2+)のキレート錯体の構造は正八面体を取る。正八面体を形成する六座配位子のリガンド(配位子)として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA:(HOCOCH
2)
2NCH
2CH
2N(CH
2COOH)
2)が知られている。
【0018】
図2にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)によるマグネシウムイオン(Mg
2+)のキレート錯体の構造を示した、マグネシウムイオン(Mg
2+)はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の2つの窒素(N)と4つの酸素(O)によって配位されている。
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)はアルカリ水溶液に自由に溶解する。本発明の電解質中のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の濃度は、0.5〜50重量%であり、好ましくは3〜30重量%であり、より好ましくは6〜24重量%である。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の濃度が0.5重量%未満ではキレートを作れるマグネシウムイオン(Mg
2+)の量が少なく、不動態の生成を十分に抑制できない虞がある。一方、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の濃度が50重量%以上になると、電解質40に溶解している水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)が析出し始めるため、電解質の機能が低下する虞がある。
【0019】
マグネシウム(Mg)の粉末は水と反応して激しく水素(H
2)を発生する。負極20を形成するマグネシウム(Mg)は金属塊のためアルカリ性の電解質40と激しく反応することはないが、穏やかに反応して水素(H
2)を発生する。発生した水素(H
2)はセルの中に滞留するため電池の性能を劣化させる虞があり、さらに、セル内に水素ガスが蓄積するとセルが膨張し液漏れを起こす虞がある。電池性能の劣化及び液漏れ事故を防止するために、負極20の周囲に触媒を担持したカーボンの微粒子でなる触媒層50が形成されることがよい。
負極20の周囲に形成された触媒層50は、負極20のマグネシウム(Mg)と電解質40の水の反応によって生じた水素(H
2)を、水素イオン(H
+)と電子(e
−)とに変換し、水素イオン(H
+)は電解質40の水酸化物イオン(ОH
−)と反応させて水(H
2О)とし、電子(e
−)は正極10に移動させる。
負極20の周囲に形成される触媒層50に担持される触媒は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)等の貴金属を含む触媒より選ばれた1種以上であることが好ましい。貴金属触媒は金属の微粒子であってもよく、また、貴金属触媒を配位結合したキレート触媒であってもよい。中でも、酸化白金(PtO
2)の微粒子(アダムス触媒)を還元してできる白金黒触媒が好ましく利用できる。触媒のカーボンへの担持方法は、例えば、塩化白金酸(H
2PtCl
6)または塩化白金酸アンモニウム((NH
4)
2PtCl
6)を硝酸ナトリウム(NaNO
3)に溶融させた状態でナノサイズのカーボンに浸漬して白金を担持させた後、水洗して硝酸塩を除去して酸化白金(PtO)とし、水素(H
2)又はホルムアルデヒド(HCHO)で還元して白金黒(Pt)を調製すればよい。
触媒を担持したカーボンは負極20の表面に水又は500℃以下の沸点を有する液体を介して塗布され、アルゴン(Ar)又は窒素(N
2)雰囲気下でマグネシウム合金の融点付近(500〜1000℃)で焼成することにより負極20の表面に触媒層を定着することができる。
触媒層50に含まれる触媒の量は、負極20重量の0.001%程度である。
【0020】
正極10とセパレータ30の間には活性炭の層60が形成される。この活性炭の層60はセルの構造を維持する支持体であると同時に負極20より移動してくる電子(e
−)のプールである。
本発明のニッケル−マグネシウム電池1の律速段階は正極10における酸素(О
2)の取り込みにある。このため負極20で生成し、正極10に移動した電子(e
−)は酸化される順番を待つことになる。活性炭は導電性のSP
2結合型炭素と不導電性のSP
3結合型炭素の混合物であり、全体としては不導電性である。SP
3結合型炭素の端部は、結合相手がいない共有結合枝が数多く存在しており。この未結合枝が待機中の電子(e
−)を滞留するものと考えられる。
正極10とセパレータ30の間の活性炭の層60は正極10及ぶ負極20に供給される電子(e
−)の量を調製するため、充電時に正極10及び負極20で起きる激しい酸化・還元反応を緩衝することにより、安全性を確保することができる。
【0021】
本発明のニッケル−マグネシウム電池1の放電時及び充電時に起きる化学反応を化学式で示すと次のとおりである。
〔放電〕
・負極 Mg+2OH
− −> Mg(OH)
2+2e
−
・電解質 Mg(OH)
2+EDTA −> EDTA−Mg
2++2OH
−
・正極 O
2+2H
2O+4e
− −> 4OH
−
〔充電〕
・正極 NiOOH+H
2O+e
− −> Ni(OH)
2+OH
−
・電解質 EDTA−Mg
2++2e
− −> Mg+EDTA
・負極 Mg(OH)
2+2e
− −> Mg+2OH
−
放電時、負極20においては、マグネシウム(Mg)と電解質中の水酸化物イオン(ОH
−)とが反応して水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)と電子(e
−)になる。電子(e
−)は電解質40の中を正極10に向かって移動する。
水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)によりマグネシウムイオン(Mg
2+)のキレート錯体(EDTA−Mg
2+)となり、電解質40の中に存在しているイオンとの相互作用は極端に小さくなる。
放電時、正極10においては、大気中の酸素(O
2)と電解質中の水(H
2O)と、負極20から移動してきた電子(e
−)が一緒になり水酸化物イオン(OH
−)になる反応が起きる。
一方、充電時に正極10では供給された電子(e
−)を使い、酸化水酸化ニッケル(NiOOH)が水酸化ニッケル(Ni(OH)
2)になり、電解質中ではキレート錯体(EDTA−Mg
2+)として存在していたマグネシウムイオン(Mg
2+)が供給された電子(e
−)と結びついて金属マグネシウム(Mg)となり、キレート錯体(EDTA−Mg
2+)を形成していたエチレンジアミン四酢酸(EDTA)はマグネシウムイオン(Mg)を放出してフリーの状態となる。
充電時、負極20においては水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)が供給された電子を使い、金属マグネシウム(Mg)と水酸化物イオン(OH
−)に変換される。
〔実施例1〕
【0022】
以下に、本発明の本発明のニッケル−マグネシウム電池の実施例について説明する。
正極
水酸化ニッケル(住友金属鉱山株式会社製:ニッケル粉)を粉砕乾燥して調整した酸化水酸化ニッケルの微粉末を加圧成形して多孔質のニッケル板を作成し、これをプレス加工して幅100mm、縦1000mm、横1500mmの箱形の容器(セル)を作成した。これを210℃で窒素雰囲気下で焼結して正極とした。
負極
カルシウムを4%、アルミニウムを7%、亜鉛を1%含む難燃性マグネシウム合金(株式会社栗本鐵工所製)の板(厚さ2.5mm)から縦950mm、横1450mmの長方形に切り出し負極とした。
触媒層
塩化白金酸(H
2PtCl
6・6H
2O:米山薬品工業株式会社製)を硝酸ナトリウム(NaNO
3:和光純薬株式会社製)に溶融し、カーボンブラック(三菱化学株式会社製、銘柄:No.44)に浸漬して白金を担持させた後、水洗して硝酸塩を除去して酸化白金(PtO)とし、ホルムアルデヒド(HCHO:和光純薬株式会社製)に浸漬した。60℃で1時間拡販して還元して白金黒(Pt)を調製した。この懸濁液に負極の両面に塗布した後、500℃で窒素雰囲気下で加熱して触媒層を定着させた。
【0023】
セパレータ
表面に触媒層を定着させた負極は、手漉き和紙(美濃紙)で包装され、正極のニッケル酸化物でできたセルの中心に配された。
電解質
脱イオン水に水酸化カリウム(和光純薬株式会社製)とエチレンジアミン四酢酸(EDTA:東京化成工業株式会社製)を溶解し、24重量%水酸化カリウムと16%のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含むアルカリ性の電解質を調整した。このアルカリ性の電解液に、活性炭(クラレケミカル株式会社製、製品名:クラレコール(登録商標)、銘柄:PW、標準粒度:150μm以下)を懸濁させて、正極と負極の間のスペースに流し込み、電解質を含浸した活性炭層を形成した。
【0024】
正極と負極に端子となるリードを設け電流計、電圧計及び抵抗を接続して発電量を測定した。
その結果、本発明のニッケル−マグネシウム電池は、重量エネルギー密度が515Wh/kg、体積エネルギー密度が550Wh/Lが得られ、従来のリチウムイオン二次電池のおよそ2倍の電力容量有することがわかった。