【課題】簡素で安価な構成でありながら、ユーザが薬等の保存対象物を所定の時期に使用したかどうかを高い確度で推定して、その結果をユーザに提示することのできる保存容器ならびに保存対象物使用支援システムを提供すること。
【解決手段】互いに着脱可能に連結される複数の収納容器12,13,14と蓋体11とからなる保存容器1であり、蓋体11は、開閉状態に応じて接点の離接状態が変化する開閉検出スイッチ115と制御部116を備え、制御部116は、蓋体11の開閉状態の情報と、検出した開閉状態が閉状態から開状態へと変化した時点からの経過時間の情報または変化した時点の時刻の情報とを含む履歴情報を、表示手段を備える電子機器へ無線通信によって送信する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているスマート薬ケースは、上述のとおり、ランプやスピーカによってユーザに服用を促すものであって、これらによる報知が発生した際には、ユーザが終了ボタンを押下することで報知を終了させる構成となっている。すなわち、このスマート薬ケースの構成は、ユーザに対して服用を促す報知を与えたことを契機として、「ユーザが薬を服用するはずである」という期待を前提としたものである。しかしながら、ユーザが終了ボタンを押下した後に、薬を服用することを忘れる可能性があるため、実際に薬を服用したかどうかに関する確度は必ずしも高くはない。
【0007】
特許文献1に開示されているスマート薬ケースにおける課題は、ユーザが終了ボタンと押下する行為と、ユーザが薬を服用する行為との間に、行為としての関連性がない点にある。そのため、終了ボタンを押下した後に、薬を服用することを忘れる虞がある。上述したような、定期的に薬や栄養補助剤等を服用することについてユーザの支援を行う場合、より重要なことは、服用すべき時期にユーザが実際にそれらを服用したかどうかの事実を、できるだけ正確に推定してユーザに提示することにある。ユーザにこのような提示を行うことで、上述したような所定の時期における、服用忘れ、あるいは、二重服用を効果的に防ぐことができる。
【0008】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであって、簡素で安価な構成でありながら、例えば、薬や栄養補助剤等あるいは粉ミルク等の保存対象物を、ユーザが所定の時期に実際に使用(服用)したかどうかを高い確度で推定して、その結果をユーザに提示することのできる保存容器と保存対象物使用支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明による保存容器は、保存対象物を収納する複数の収納容器と、前記収納容器の開口部に取り付けられる蓋体と、からなる保存容器であって、複数の前記収納容器のそれぞれが、前記蓋体と着脱可能に係合する第1係合部と、前記収納容器の底部に設けられ、他の前記収納容器の前記第1係合部と着脱可能に係合して、他の前記収納容器との間を連結する第2係合部と、を備え、前記蓋体は、前記蓋体の開閉状態に応じて接点の離接状態が変化する開閉検出スイッチと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記開閉検出スイッチの離接状態に基づいて前記蓋体の開閉状態を検出し、検出した開閉状態が、閉状態から開状態へと変化した時点からの経過時間の情報、または、閉状態から開状態へと変化した時点の時刻の情報を取得し、検出した前記蓋体の開閉状態の情報と、取得した前記経過時間の情報または前記時刻の情報と、を含む履歴情報を記憶し、記憶した前記履歴情報を、表示手段を備える電子機器へと無線通信によって送信する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、収納容器に対する蓋体の開閉状態を検出するので、保存対象物を保存容器から取り出す際にユーザが必然的に行う、収納容器から蓋体を取り外す行為を検出することができる。ユーザが、収納容器から蓋体を取り外す行為と、薬を服用する行為との間には密接な関連性があるため、ユーザが保存対象物を実際に使用したこと、すなわち、例えば、薬や栄養補助剤等を実際に服用した、あるいは、粉ミルク等を実際に使用したことを、高い確度で推定することができる。
【0011】
また、複数の収納容器を任意に着脱可能に連結できるため、保存対象物を使用する所定の周期に応じた所定の個数の収納容器を連結させるとともに、それぞれの収納容器に所定の時期ごとに使用する保存対象物の所定の単位分量を入れることで、所定の時期に、所定の単位分量に対して過不足なく保存対象物を使用することができる。
【0012】
また、検出した蓋体の開閉状態の情報と、取得した経過時間の情報または時刻の情報と、を含む履歴情報を、例えばスマートフォン等、表示手段を備える電子機器へ無線通信によって送信することで、電子機器の表示手段上に、保存対象物の使用履歴を表示することができる。この表示を見ることで、ユーザが保存対象物を実際に使用したかどうかを忘れた場合であっても、使用したかどうかを確認することができる。
【0013】
本発明による保存容器において、前記開閉検出スイッチは、前記収納容器に対向して配設され、前記収納容器に対する蓋体の開閉状態に応じて接点の離接状態が変化するものであり、前記蓋体は、前記収納容器に対向して所定の位置に配設された識別スイッチを備え、前記収納容器は、それぞれに応じて、有無を含めて個数および/または位置を異ならせて、前記蓋体が閉状態にあるときに前記識別スイッチに対向して位置するように配設され、その有無に応じて前記識別スイッチの接点の離接状態に変化を生じさせる凹形状または凸形状をなす識別構造部を備え、前記制御部は、前記識別スイッチの離接状態に基づいて前記収納容器を識別し、前記履歴情報は、識別した前記収納容器の識別情報を含む態様であってよい。
【0014】
収納容器の識別を行うことで、所定の周期内のそれぞれの所定の時期を特定した上で、保存対象物の実際の使用について推定することができる。また、収納容器を成形する際に凹形状または凸形状をなす識別構造部を形成するとともに、この識別構造部と蓋体に設けた識別スイッチとによって収納容器を識別するため、収納容器に識別のための特段の部材等を追加する必要がなく、簡素で安価な構成とすることができる。
【0015】
本発明による保存容器において、前記開閉検出スイッチは、前記収納容器に対向して配設され、前記収納容器に対する蓋体の開閉状態に応じて接点の離接状態が変化するものであり、複数の前記収納容器は、いずれも有底円筒形状をなし、前記第1係合部と前記蓋体との間、および、前記第1係合部と前記第2係合部との間は、相互に螺合する構造であり、前記収納容器は、それぞれに応じて、有無を含めて個数を異ならせて、前記蓋体に対向する所定の位置に配設され、前記蓋体と前記第1係合部との間の螺合の進行に伴って、前記開閉検出スイッチの接点の離接状態に変化を生じさせる凹形状または凸形状をなす識別構造部を備え、前記制御部は、前記開閉検出スイッチの接点の離接状態が変化した回数に基づいて前記収納容器を識別し、前記履歴情報は、識別した前記収納容器の識別情報を含む態様であってよい。
【0016】
上述した構成と同様に、収納容器の識別を行うことで、所定の周期内のそれぞれの所定の時期を特定した上で、保存対象物の実際の使用について推定することができる。また、収納容器を成形する際に凹形状または凸形状をなす識別構造部を形成するとともに、この識別構造部と蓋体の開閉検出スイッチとによって収納容器を識別するため、収納容器に識別のための特段の部材等を追加する必要がない。さらには、上述した構成のように識別スイッチを追加する必要がなく、開閉検出スイッチのみを用いて識別することができるため、より簡素で安価な構成とすることができる。
【0017】
本発明による保存容器において、前記制御部は、前記蓋体の開閉状態の情報と前記収納容器を識別した識別情報とに係る所定の条件を予め保存しているとともに、前記履歴情報に含まれる前記蓋体の開閉状態の情報と前記収納容器を識別した識別情報とが、前記所定の条件に合致するかどうかを判定し、判定した結果を前記電子機器へと無線通信によって送信する、態様であってよい。
【0018】
この態様によれば、蓋体の開閉状態の情報と収納容器を識別した識別情報とに基づいて、ユーザが保存対象物を所定の時期に使用することに対して支障を来すことが想定される条件を所定の条件として予め設定して保存しておいた上で、この所定の条件と、保存容器の使用中に取得した履歴情報に含まれる蓋体の開閉状態の情報と収納容器を識別した識別情報とが合致したことを判定することで、ユーザに対して、電子機器の表示手段を介して、保存対象物の補充を促す等、ある所定の時期に保存対象物を使用した後、次回の保存対象物の使用に支障を来さないようにするための報知を行うことができる。
【0019】
本発明による保存容器において、前記保存対象物が、粒状体または粉末または液体であって、前記蓋体は、前記収納容器の前記第1係合部と係合し、前記収納容器の開口部よりも小さい開口部であって、前記保存対象物が自重によって前記収納容器から出る量を制限する制限開口部を備える第1蓋体と、前記制限開口部に取り付けられ、前記開閉検出スイッチと前記制御部とを備える第2蓋体と、からなり、前記開閉検出スイッチは、前記第1蓋体に対向して配設され、前記第1蓋体に対する第2蓋体の開閉状態に応じて接点の離接状態が変化するものである、態様であってよい。
【0020】
保存容器内に粉ミルク等のような粉末やミルク等の液体を保存した場合、これらを使用するに当たって、保存容器を傾けて収納容器から出して別の容器に移す際に、制限開口部によって出る量が制限されるため、保存対象物をこぼしたりすることなく容易に別の容器へ移すことができる。
【0021】
本発明による保存容器と、前記保存容器から送信される前記履歴情報を受信するとともに、受信した前記履歴情報に基づく表示を行う表示手段を備える電子機器と、を含む保存対象物使用支援システムの態様であってよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡素で安価な構成でありながら、例えば薬や栄養補助剤等あるいは粉ミルク等の保存対象物を、ユーザが所定の時期に実際に使用(服用)したかどうかを高い確度で推定して、その結果をユーザに提示することのできる保存容器と保存対象物使用支援システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、本発明の第1実施例に係る保存容器1について、
図1から
図5を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施例に係る保存容器1の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す保存容器1を分解して示した図である。
図3は、
図4と
図5に示す断面の部位を特定するための図である。
図4は、
図1に示す保存容器1の縦断面を示した図であって、
図3に示すA−A線に沿う断面を示したものである。
図5は、
図1に示す保存容器1の要部断面を示した図であって、
図3に示すB−B線に沿う断面を示したものである。
【0025】
保存容器1は、第1収納容器12、第2収納容器13、第3収納容器14の3つの収納容器を積み重ねて連結させた上で、最上段に位置する第1収納容器12の開口部121に蓋体11を係合させてなる態様のものである。保存容器1における典型的な保存対象物は、ユーザが定期的に服用するべき薬または栄養補助剤である。以下、特に断らない限り、第1実施例に係る保存容器1の保存対象物が、朝食後/昼食後/夕食後の1日3回の服用が指定されている薬であるものとして説明する。
【0026】
第1収納容器12、第2収納容器13、第3収納容器14は、いずれも、薬を収納することができる有底の円筒形状を呈しており、保存容器としての使用に耐えうる強度を有して、例えばアクリルやABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)等の合成樹脂によって形成されている。これら3つの収納容器は、後述する第1識別構造部124、第2識別構造部134、第3識別構造部144の部分が相違することを除いて、いずれも同一の形状である。
【0027】
第1収納容器12、第2収納容器13、第3収納容器14は、いずれも、同一の形状をなす第1係合部と第2係合部とを有する。代表して、第1収納容器12における第1係合部122と第2係合部123について詳述する。第1係合部122は、第1収納容器12の開口部121の周縁に設けられており、他の収納容器の第2係合部と螺合可能な雄螺子をなしている(雄螺子構造の図示は省略している)。また、第1係合部122は、後述する蓋体11の裏面側に設けられている蓋体係合部113とも螺合可能である。第2係合部123は、第1収納容器12の底部に設けられており、他の収納容器の第1係合部と螺合可能な雌螺子をなしている(雌螺子構造の図示は省略している)。第1収納容器12と係合させる他の収納容器との間、あるいは、第1収納容器12と蓋体11との間で、相互に螺合を進行あるいは退行する方向に回転させることで、相互に着脱可能に係合させることができる。
【0028】
なお、第1係合部122と第2係合部123との間の係合に係る構造について、本実施例では螺合構造としているが、これに限定されるものではない。例えば、弾性的に変位可能な爪部である係止部と、係止部が係合する被係止部からなる、いわゆるスナップフィット構造等、相互間を着脱可能に係合する他の構造を好適に適用できる。なお、スナップフィット構造を適用した場合は、収納容器の形状を、円筒形状に代えて、開口部から見た形状が多角形を呈する多角筒形状とする等、円筒形状以外の任意の形状にすることもできる。
【0029】
第1収納容器12の開口部121の周縁の円筒状の壁部には、1つの凹形状をなす第1識別構造部124が設けられている。同様に、第2収納容器13の開口部の周縁の円筒状の壁部には、第1収納容器12の第1識別構造部124に対応する位置に対して開口部の中心を介して対向する位置に、1つの凹形状をなす第2識別構造部134が設けられている。第3収納容器14には、第1収納容器12の第1識別構造部124に対応する位置と第2収納容器13の第2識別構造部134に対応する位置に、2つの凹形状をなす第3識別構造部144a,144bが設けられている。第1識別構造部124、第2識別構造部134、および、第3識別構造部144a,144bは、それぞれ、第1収納容器12、第2収納容器13および第3収納容器14に対して、蓋体11が十分に螺合された閉状態にあるときに、後述する蓋体11に配設されている識別スイッチ117a,117bの位置に対応するように設けられている。
【0030】
蓋体11は、上側が蓋状に閉じている円筒形状をなす蓋体外装111と、円筒形状をなす蓋体内装112とを螺合してなる。蓋体内装112には、後述する通り、電源としてのコイン電池が装着されている。コイン電池が消耗した際には、蓋体外装111を蓋体内装112から取り外すことで、コイン電池を交換することができる。
【0031】
蓋体外装111と蓋体内装112は、いずれも、収納容器と同様に、保存容器としての使用に耐えうる強度を有して、例えばアクリルやABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)等の合成樹脂によって形成されている。蓋体内装112の下部には、それぞれの収納容器の第1係合部122と螺合する雌螺子をなす蓋体係合部113が設けられている(雌螺子構造の図示は省略している)。
【0032】
蓋体内装112は、その平面部に、電子基板114と、1つの開閉検出スイッチ115と、2つの識別スイッチ117a,117bとを備えている。電子基板114の上には、電源としてのコイン電池と、後述するマイクロコンピュータからなる制御部116とを備えている。
【0033】
開閉検出スイッチ115は、蓋体内装112の平面部に対して垂直方向の変位を検出可能なスイッチであって、第1収納容器12における開口部121の周縁の円筒状の壁部の上面に対向して配設され、制御部116と電気的に接続されている。蓋体11が収納容器に対して十分に螺合されて、蓋体11が閉じている状態において、開閉検出スイッチ115の下端部が第1収納容器12の開口部121の周縁の第1係合部122をなす円筒状の壁部の上面に当接することで、弾性的な変位が生じて接点がオンする(
図5参照)。他方、蓋体11が開いている状態においては接点がオフとなる。このように、収納容器に対する蓋体11の開閉状態に応じて、開閉検出スイッチ115の接点の離接状態が変化する。後述する制御部116が開閉検出スイッチ115の接点の離接状態を検出することで、蓋体11が開閉状態を検出することができる。なお、開閉検出スイッチ115の接点の離接状態について、上述した例とは反対に、蓋体11が閉じている状態において接点がオフし、蓋体11が開いている状態において接点がオンする態様であってもよい。
【0034】
2つの識別スイッチ117a,117bは、蓋体11が第3収納容器14に対して十分に螺合されて、蓋体11が閉じている状態において、第3収納容器14に設けられた2つの第3識別構造部144a,144bに、それぞれ対応した位置となるように配設されている。いずれも、図示しない接続手段によって、電子基板114上の制御部116と電気的に接続されている。
【0035】
2つの識別スイッチ117a,117bは、いずれも、上述した開閉検出スイッチ115と同様に、第1収納容器12における開口部121の周縁の円筒状の壁部の上面に対向して配設され、制御部116と電気的に接続されている。すなわち、蓋体11が閉じている状態において、識別スイッチ117a,117bに対応する位置に凹形状からなる識別構造部がなければ、識別スイッチ117a,117bの下端部が収納容器の開口部121の周縁の第1係合部122をなす円筒状の壁部の上面に当接して弾性的な変位が生じて接点がオンする。他方、識別スイッチ117a,117bに対応する位置に識別構造部があれば、識別スイッチ117a,117bに弾性的な変位が生じないため接点はオフとなる。このように、識別構造部の有無に応じて、識別スイッチ117a,117bの接点の離接状態が変化する。3つの収納容器はそれぞれ異なる識別構造部を備えているため、後述する制御部116が識別スイッチ117a,117bの接点の離接状態を検出することで、収納容器を識別することができる。なお、識別スイッチ117a,117bの接点の離接状態について、上述した例とは反対に、識別構造部があれば接点がオフし、識別構造部がなれば接点がオンする態様であってもよい。
【0036】
上述した例では、第1収納容器12には、1つの凹形状をなす第1識別構造部124を、第2収納容器13には、同じく1つの凹形状をなす第2識別構造部134を、互いに異なる位置となるように配設したが、いずれか一方の収納容器の識別構造部、例えば、第1収納容器12の第1識別構造部124を配設しない態様としてもよい。この場合、識別スイッチ117a,117bの両方がオンしていることをもって、第1収納容器12であることを識別することができる。すなわち、収納容器の識別構造部について、2つの識別スイッチ117a,117bを用いる場合であれば、識別構造部を設けないものが1通り、1つの識別構造部を設けるものにおいては、互いに識別構造部の位置を異ならせて配設したものが2通り、2つの識別構造部を設けるものが1通り、合わせて最大で4通りの収納容器の識別が可能である。このように、収納容器のそれぞれに応じて、識別構造部の有無を含めた個数および/または位置を異ならせて、識別構造部を配設することで収納容器を識別する。
【0037】
上述した保存容器における識別構造部は凹形状をなすものであったが、これを凸形状にすることもできる。具体的には、蓋体11が閉じている状態において、この凸形状の識別構造部と識別スイッチ117a,117bの下端部とが当接することで、識別スイッチ117a,117bの接点がオンまたはオフし、他方、この凸形状の識別構造部と識別スイッチ117a,117bの下端部とが当接しない場合は、当接した場合とは逆に接点がオフまたはオンするような所定の位置関係に識別スイッチ117a,117bを配設する。このような態様であっても、上述の凹形状の識別構造部の場合と同様に、識別スイッチ117a,117bの接点の離接状態を検出することで、収納容器を識別することができる。
【0038】
識別スイッチ117a,117bによって、3つの収納容器が識別されるので、それぞれの収納容器と服用する時期とを対応付けておくことで、所定の周期内である1日の間のうち、朝食後、昼食後、夕食後のうちのどの時期に服用したか、あるいは、服用していないかについて、所定の時期ごとに推定することができる。なお、本実施例では3つの収納容器を連結しているが、連結する収納容器の個数の他の例として、1日1回服用する薬の1週間分、すなわち7つの収納容器を連結させることも挙げられる。この場合は、7通りの収納容器を識別するために、識別構造部の凹形状の数を3つとする必要があり、これに応じて、識別スイッチも3つ必要となる。
【0039】
制御部116は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(以下、「BLE」と略称する)による無線通信を行うための制御回路等を備えたマイクロコンピュータである。なお、無線通信の方法はBLEに限定されるものではなく、Wi−Fi(登録商標)等の他の無線通信の方法も好適に応用可能である。ただし、本実施例に係る保存容器の場合のように電池から電力を得る場合は、BLEのように消費電力の少ない無線通信方法が好適である。
【0040】
制御部116は、記憶領域として、主に処理プログラム等を保持するための不揮発性記憶領域と、取得したデータ等を一時的に保持する揮発性記憶領域とを備えている。また、制御部116は、いわゆるタイマを備えており、所定の事象が発生したことを電気的に検出した後の経過時間を計時して、その情報を取得することができる。
【0041】
制御部116の不揮発性記憶領域には、定期的に開閉検出スイッチ115の離接状態を検知するによって蓋体11が開状態にあるか閉状態にあるかを検出する機能、当該機能によって検出した結果が閉状態から開状態へと変化した時点からの経過時間の情報を取得する機能、識別スイッチ117a,117bの離接状態に基づいて収納容器を識別して識別情報を取得する機能、検出した蓋体11の開閉状態の情報と、取得した経過時間の情報と、収納容器の識別情報とを含む履歴情報を生成して揮発性記憶領域または不揮発性記憶領域に記憶する機能、記憶した履歴情報をBLEによって送信する機能、を実行するための処理プログラムが保持されている。
【0042】
制御部116は、蓋体11の開閉状態の変化と、その変化が生じた時点からの経過時間と、収納容器の識別情報とを含む履歴情報を、BLEによって、ユーザが保有しているBLE通信に対応したスマートフォンやタブレット等、表示手段41を備える電子機器4へ向けて送信する。履歴情報を受信した電子機器4は、その表示手段41上に、薬の服用履歴を表示することができる。ユーザが、所定の時期に薬を実際に服用したかどうかを忘れた場合であっても、この表示を見ることで、服用したかどうかを確認することができる。
【0043】
また、ユーザが保有しているスマートフォンから、LTE(登録商標)等のデータ通信網を介して薬の服用履歴を送信することで、遠方に居住するユーザの家族の保有するスマートフォン等、あるいは、ユーザの疾病に係る主治医の保有するスマートフォン等にも薬の服用履歴を表示させることができる。このようにすれば、ユーザの家族は、ユーザが定期的に薬を服用していることを確認することができるので、ユーザの安否を知ることができる。また、主治医は、ユーザが薬を服用していることを確認することができ、次回のユーザの診察の際、薬の服用状況を加味して診断を下すことができる。
【0044】
このような薬の服用履歴を表示する際において、履歴情報に含まれる、蓋体11が閉状態から開状態になった時点を薬の服用時点として表示するとともに、服用時点の間の経過時間をそのまま表示しても、服用履歴の情報として有用である。この場合は、例えば、「直近の服用時点は今から1時間前、その前の服用時点は、さらにその3時間前」のような表示をすることになる。この服用履歴の表示について、例えばスマートフォン等のように電子機器4の内部で現在時刻が把握できている場合は、保存容器から送信された履歴情報を電子機器4が受信した時点の時刻と上述の経過時間とから電子機器4の内部で演算を行うことで、それぞれの服用時点の時刻を表示するようにしてもよい。
【0045】
なお、制御部116を構成する他の例として、現在時刻を示す時計機能を備えるマイクロコンピュータを用いることもできる。この場合は、上述した所定の事象が発生した後の経過時間を計時して取得することに代えて、所定の事象が発生した時刻情報を取得することができる。すなわち、上述した経過時間の情報に代えて、時刻情報を含む履歴情報を生成して記憶するともに、この履歴情報をBLEによって電子機器4へ向けて送信することができる。この場合は、上述したスマートフォン等の電子機器4の内部で現在時刻と経過時間とから演算を行うことなく、それぞれの服用時点の時刻を表示することができる。
【0046】
さらに、制御部116の不揮発性記憶領域には、蓋体11の開閉状態の情報と収納容器を識別した識別情報とに係る所定の条件が予め書き込まれて保存されているともに、上述した機能によって生成して記憶した履歴情報に含まれる蓋体11の開閉状態の情報と収納容器を識別した識別情報とが、この所定の条件に合致するかどうかを判定する機能、および、判定した結果をBLEによって送信する機能、を実行するための処理プログラムが保持されている。
【0047】
具体的には、蓋体11の開閉状態の情報と収納容器の識別情報とに係る所定の条件として、「蓋体11の開閉状態が閉状態から開状態となる前の識別情報と、蓋体11の開閉状態が開状態から閉状態となったときの識別情報とが同じであった場合を判定する」ことの条件を保存しておく。この条件は、ユーザが保存容器から薬を取り出すために、最上段の収納容器から蓋体11を取り外した(すなわち、蓋体11の開閉状態が閉状態から開状態となった)後に、収納容器に蓋体11を取り付けた(すなわち、蓋体11の開閉状態が開状態から閉状態となった)ときに、再び、最上段に位置していた同じ収納容器に蓋体11を取り付けたことを判定するための条件である。
【0048】
履歴情報に含まれる蓋体11の開閉状態の情報と収納容器を識別した識別情報とが、この所定の条件に合致した場合、ユーザが最上段の収納容器から薬を取り出して、それを服用した後、既に空になっている最上段の収納容器に再び蓋体11を取り付けてしまった可能性が高い。この状態のままで、次回の服用の時期を迎えた場合、蓋体11を取り外しても収納容器には薬が入っていないため服用に支障を来す。そのため、このような場合には、次回の服用の時期を迎えた際に、最上段の収納容器から服用するべき薬を取り出すことができるように、事態を是正するべきことをユーザに報知することが望まれる。
【0049】
本実施例に係る保存容器1では、保存容器1の使用中に取得した履歴情報が、この所定の条件に合致することが判定された場合には、その判定した結果を電子機器4へと無線送信する。これを受信した電子機器4は、表示手段41上に「既に空になっている最上段の収納容器を取り外すとともに、まだ薬が入っている次段の収納容器に蓋体を取り付ける」ことを促す内容のメッセージを表示する。このようにすることで、ユーザに対して事態の是正を促すことができ、次回の薬の服用に支障を来さないようにするための報知を行うことができる。
【0050】
上述した制御部116における各機能を実現するための処理プログラムについては、周知な技術であるため説明を省略する。
【0051】
なお、制御部116を構成する他の例として、例えば、BLEによる無線通信を行う機能のみを担う通信専用のマイクロコンピュータと、それ以外の制御部116の機能を担うとともに必要な情報を通信専用のマイクロコンピュータへ提供するためのマイクロコンピュータとの2つのマイクロコンピュータを用いる等、制御部116を複数のマイクロコンピュータで構成することができる。
【0052】
上述のように構成された保存容器の使用方法、および、保存容器を用いた保存対象物使用支援システムについて説明する。
【0053】
保存容器1を使用するユーザには、表示手段41を備える電子機器4としてのスマートフォンに適合するアプリケーションソフトウェアが提供される。このアプリケーションソフトウェアは、スマートフォンが保存容器1から送信される履歴情報を受信する機能と、スマートフォン内で把握している現在時刻の情報から得られる履歴情報を受信した時点の時刻の情報と履歴情報に含まれている経過時間の情報から演算を行うことで薬を服用した時刻を取得する機能と、薬を服用した時刻と収納容器の識別情報とをスマートフォンの画面上に表示する機能と、LTEデータ通信網を介して、薬を服用した時刻と収納容器の識別情報とを他の電子機器へ向けて送信する機能と、を備えている。ユーザは、自身が保有するスマートフォンに、予め、このアプリケーションソフトウェアをインストールする。
【0054】
保存容器1を最初に使用するに当たって、ユーザは、予め、朝食後に飲む単位分量の薬を最上段の第1収納容器12に、昼食後に飲む単位分量の薬を中段の第2収納容器13に、夕食後に飲む単位分量の薬を最下段の第3収納容器14に、それぞれ入れる。このようにすることで、服用する際に1つの収納容器から取り出した薬を服用すれば、必然的に1回に服用すべき薬の単位分量に対して過不足なく服用できる。その上で、これら3つの収納容器を順に連結させて、所定の周期である1日分の薬を保存容器1の中に保存する。
【0055】
保存容器1に薬を保存した後、最初に薬を服用するべき時期が朝食後であったとすると、ユーザは、朝食後に、最上段に位置する第1収納容器12から蓋体11を取り外して、第1収納容器12内から薬を取り出して服用する。このとき、制御部116は、蓋体11が閉状態から開状態となったことの検出、開状態へ変化した後の経過時間の計時、および、収納容器の識別を行った上で、これらの情報を記憶する。経過時間の情報は、経過時間の単位計時タイミングごとに上書きして記憶される。
【0056】
ユーザは、服用した後、空になった最上段の第1収納容器12を取り外して、第1収納容器12に単位分量の薬を補充した上で、保存容器1の最下段に連結させる。以降、薬を服用するごとに、空になった最上段の収納容器に薬を補充して最下段へ連結し直すことを繰り返す。このように、薬を服用した都度、補充することで、収納容器が連結されている順序が入れ替わるってしまうことを未然に防ぐことができる。なお、このように薬を服用した都度、補充する以外に、例えば、朝食後に最上段の第1収納容器12の薬を服用し、それ以降、服用する都度の補充をしないで順次服用して、夕食後の服用を終えて3つの収納容器12,13,14がいずれも空になった後に、一度に3つの収納容器に薬を補充してもよい。この場合は、薬を補充した後の3つの収納容器12,13,14の順序に留意して、これらを連結させる。
【0057】
上述した、最初にユーザが薬を収納容器12,13,14に入れることに代えて、ユーザが薬局等で薬を購入する際に、薬局等が服用するべき日数に対応する複数個の保存容器1の3つの収納容器12,13,14のそれぞれに単位分量の薬を入れて、その複数の保存容器1をユーザに渡す態様であってもよい。この態様の場合は、ユーザが複数の保存容器1内の全ての薬を服用し終えた後、空になった複数の保存容器1を薬局等へ持ち込み、再度、薬局等が保存容器1に薬を入れてもよい。
【0058】
ユーザが、薬を服用したかどうかを忘れた場合には、スマートフォン上で上述したアプリケーションソフトウェアを起動して、スマートフォンの画面に表示された薬の服用履歴を確認することで、薬を服用したこと、または、服用していないことを確認することができる。このとき、LTEデータ通信網を介して、事前に送信先として登録していたユーザの家族や主治医の保有するスマートフォン等にも服用履歴が表示される。家族や主治医が、ユーザが薬の服用を忘れていることに気が付いた場合には、ユーザに連絡を取ることで、薬の服用を促すことができる。また、ユーザの家族が遠方に居住している場合には、服用履歴に基づいてユーザの安否を確認することができる。
【0059】
次に、本発明の第2実施例に係る保存容器2について、
図6を用いて説明する。なお、第2実施例に係る保存容器2の外観は、概ね第1実施例に係る保存容器1と同一であるため、外観を示す斜視図等は省略している。
図6において、第1実施例と同一の部位については、第1実施例の説明において用いた符号と同一の符号を付して示している。以下、主に、第1実施例と相違する点について説明する。
【0060】
図6に示す第2実施例に係る保存容器2は、第1実施例と同様に、有底円筒形状を呈する第1収納容器22、第2収納容器23、第3収納容器24を連結させた上で、最上段に位置する第1収納容器22の開口部221に蓋体11を係合させてなる態様のものである。3つの収納容器は、後述する第1識別構造部224、第2識別構造部234、第3識別構造部244の部分が相違することを除いて同一の形状であることも、第1実施例と同様である。
【0061】
蓋体11において、蓋体内装112には、第1実施例と同様に、制御部116と、1つの開閉検出スイッチ115が備えられている。開閉検出スイッチ115は、第1収納容器22における開口部221の周縁の円筒状の壁部の上面に対向して配設され、蓋体11が閉じている状態において、この開閉検出スイッチ115の下端部が収納容器の開口部221の周縁の第1係合部222をなす円筒状の壁部の上面に当接して、弾性的な変位が生じて接点がオンすることで、蓋体11が閉状態であることを検出することが可能である。ただし、第1実施例に係る保存容器1に備えられていた2つの識別スイッチ117a,117bが備えられていない点で相違する。
【0062】
それぞれの収納容器には、第1実施例と同様に、蓋体係合部113または他の収納容器の第1係合部と螺合可能な雄螺子をなす第1係合部222が開口部221の周縁に設けられており(雄螺子構造の図示は省略している)、他の収納容器の第1係合部と螺合可能な雌螺子をなす第2係合部が底部に設けられている(雌螺子構造の図示は省略している)。第2実施例に係る保存容器においては、第1係合部と蓋体係合部との間、および、第1係合部と第2係合部との間を係合する手段が、相互に螺合する構造に限定される。
【0063】
第2実施例に係る保存容器2と第1実施例に係る保存容器1との間の相違点は、それぞれの収納容器の開口部の周縁に配設された識別構造部の構成にある。第2実施例に係る保存容器2のそれぞれの収納容器の開口部の周縁の円筒状の壁部において、識別構造部は、蓋体11と収納容器とが十分に螺合した状態で開閉検出スイッチ115の下端部が当接する箇所に対して、螺合回転方向に沿った直前の所定の範囲内に、開閉検出スイッチ115の下端部が当接しない深さ、すなわち、開閉検出スイッチ115の接点がオフするに足りる深さの凹形状として設けられている。なお、この所定の範囲内においては、螺合の途中であっても、開閉検出スイッチ115の下端部が開口部221の周縁の円筒状の壁部の上面に当接して接点がオンの状態となるよう、開閉検出スイッチ115の接点ストロークと、螺合の回転に伴う軸方向への進行寸法(ピッチ)とが調整されている。
【0064】
識別構造部について、さらに詳述する。第1収納容器22には、1つの凹形状からなる第1識別構造部224が設けられている。第2収納容器23には、第1識別構造部224と同一の位置に配設された凹形状に加えて、その凹形状から所定の間隔をおいて、さらにもう1つの凹形状を形成した2つの凹形状からなる第2識別構造部234が設けられている。第3収納容器24には、第1識別構造部224と第2識別構造部234と同一の位置に配設された2つの凹形状に加えて、さらにもう1つの凹形状を形成した3つの凹形状からなる第3識別構造部244が設けられている。
【0065】
このような凹形状の識別構造部によれば、蓋体11と第1係合部222との間の螺合の進行に伴って、開閉検出スイッチ115の接点の離接状態に変化を生じさせることができる。すなわち、第1収納容器22と蓋体11とを螺合させる場合は、開閉検出スイッチ115の下端部が第1識別構造部224を通過することに伴って、十分に螺合して、開閉検出スイッチ115がオンの状態に至るまでに、開閉検出スイッチ115接点がオンからオフとなった後にオフからオンとなるような離接状態の変化が1回発生する。第2収納容器23の場合は、第2識別構造部234によって、同様の離接状態の変化が2回発生し、第3収納容器24の場合は、第3識別構造部244によって、同様の離接状態の変化が3回発生する。制御部116は、この開閉検出スイッチ115の接点の離接状態の変化の回数に基づいて収納容器を識別することができる。
【0066】
上述した例では、第1収納容器22には、1つの凹形状をなす第1識別構造部224を設けたが、例えば、この第1識別構造部224を配設しない態様としてもよい。この場合は、上述した開閉検出スイッチ115接点がオンからオフとなった後にオフからオンとなるような離接状態の変化の発生を伴わずに、十分に螺合した状態に至ることになるので、このような離接状態の変化の発生を伴わずに、開閉検出スイッチ115がオフからオンとなったことをもって、第1収納容器22であることを識別することができる。このように、収納容器のそれぞれに応じて、識別構造部の有無を含めた個数を異ならせて識別構造部を配設することで、収納容器を識別する。
【0067】
このように、それぞれの収納容器に応じて設けられた凹形状からなる識別構造部によって、開閉検出スイッチ115の接点の離接状態を変化させることで、第1実施例のように収納容器を識別するための識別スイッチを用いることなく、開閉検出スイッチ115のみで識別構造部の数を識別することができるため、より簡素で安価な構成で保存容器2を識別することができる。なお、開閉検出スイッチ115の接点の離接状態について、上述した例とは反対に、蓋体11が閉じている状態において接点がオフし、蓋体11が開いている状態において接点がオンする態様であってもよい。
【0068】
上述した保存容器2における識別構造部は凹形状をなすものであったが、これを凸形状にすることもできる。具体的には、蓋体と収納容器とが十分に螺合して、蓋体が閉じている状態において開閉検出スイッチの下端部が当接する位置に、完全な閉状態を検出するための凸形状を設けた上で、完全に螺合するに至る少し前の範囲に、開閉検出スイッチの下端部が当接するような凸形状をなす所定数の識別構造部を設ける。この凸形状の識別構造部と開閉検出スイッチの下端部とが当接した場合は、開閉検出スイッチの接点がオフまたはオンし、他方、この凸形状の識別構造部と開閉検出スイッチの下端部とが当接しない場合は、当接した状態とは逆に接点がオフまたはオンするように識別構造部を配設する。このようにすることで、螺合の進行に伴って開閉検出スイッチの接点が識別構造部の数に応じてオン/オフ(または、オフ/オン)するので、この離接状態が変化した回数を検出することで、上述の凹形状の識別構造部の場合と同様に、収納容器を識別することができる。
【0069】
次に、本発明の第3実施例に係る保存容器3について、
図7を用いて説明する。なお、第3実施例に係る保存容器3の外観は、概ね第1実施例に係る保存容器1と同一であるため、外観を示す斜視図等は省略している。以下、主に、第1実施例と相違する点について説明する。
【0070】
図7に示す第3実施例に係る保存容器3は、第1実施例と同様に、有底円筒形状を呈し、互いに同一な形状をなす第1収納容器32、第2収納容器33、第3収納容器34を連結させた上で、最上段に位置する第1収納容器32に蓋体31を係合させてなる態様のものである。
【0071】
保存容器3における蓋体31は、第1蓋体311と第2蓋体312とからなる。第1蓋体311は、第1収納容器32と係合するとともに、その中央部に、円錐台形状を呈して、先端が第1収納容器32の開口部よりも小さい細口に開口する制限開口部311aを有している。保存対象物が粒状体である場合は、制限開口部311aは、その粒状体が十分に通過できる程度の大きさの開口とされる。制限開口部311aは、保存対象物が、その自重によって、第1収納容器32、第2収納容器33、第3収納容器34から出る量を制限する。
【0072】
第2蓋体312は、制限開口部311aの先端部と螺合して取り付けられるものであって(螺合構造の図示は省略している)、第1実施例に係る保存容器1に係る開閉検出スイッチ115と制御部116と同様の開閉検出スイッチと制御部とを備えている(いずれも図示は省略している)。開閉検出スイッチは、第1蓋体311に対向して配設されており、第1実施例に係る保存容器1に係る開閉検出スイッチ115と同様に、第1蓋体311に対する第2蓋体312の開閉状態に応じて接点の離接状態が変化する。
【0073】
保存容器3における典型的な保存対象物は、乳幼児に与えるべき粉ミルク、あるいは、液体状のミルクである。これらを使用するに当たって、保存容器を傾けて収納容器から出して別の容器に移す際に、制限開口部311aによって出る量が制限されるとともに、制限開口部311aの先端が細口となっているため、保存対象物をこぼしたりすることなく容易に別の容器へ移すことができる。なお、保存容器3の保存対象物として、粉ミルクやミルクの他に、複数ないし多数の粒状体を呈する薬や栄養補助剤等も好適である。
【0074】
保存容器3の各収納容器に粉ミルクを保存して、定期的に乳幼児に授乳させる目的で使用する場合、例えばスマートフォン上で、上述したものと同様のアプリケーションソフトウェアを起動して、スマートフォンの画面に表示された粉ミルクの使用履歴を確認することで、乳幼児に授乳させたこと、または、授乳させていないことを確認することができる。このとき、LTEデータ通信網を介して、事前に送信先として登録していた家族の保有するスマートフォン等にも履歴が表示されるので、例えば、母親と父親とが交代で乳幼児に授乳させる場合、両者間で授乳させた履歴を共有することができるため有用である。