【実施例】
【0027】
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0028】
[実施例1]
実施例1では、まず、40Wの強度のマイクロ波を72時間の照射時間にわたって肥料に事前照射し、EW肥料を生成した。ここで肥料は、成分としてケイ酸を30%、苦土を5%、それぞれ含むものを用いた 。なお、ケイ酸、苦土以外の成分も含有している。
【0029】
なお、マイクロ波の照射は、肥料の上方から単位面積当たり一様な強度で照射した。ここで、肥料の下方に誘導体セラミック板等のマイクロ波反射体を置く、肥料の周囲をアルミニウム等で囲う、その他の手段により、肥料のマイクロ波の吸収を効率化することも可能である。
【0030】
次に、市販の一般的な有機肥料(以下「普通肥料」という)300gに対してEW肥料を約15g加えて、EW混合肥料を生成し、当該EW混合肥料をプランター内の土壌に撒いた。そして、
図2(a)に示すように、当該土壌にピーマン及びトマトの苗を植えて、生育状況を観察した。
図2(a)において、右側に植えられているものがピーマンの苗であり、左側に植えられているものがトマトの苗である。
【0031】
また、EW肥料を用いたものと比較するために、EW肥料を加えない普通肥料300gをプランター内の土壌に撒いて、
図2(b)示すように、
図2(a)に示すピーマン及びトマトの苗と略同じ大きさの苗を土壌に植えてコントロールグループとし、生育状況を観察した。
【0032】
図3(a)及び
図3(b)には、
図2(a)及び
図2(b)に示す状態からそれぞれ40日程度経過した状態を示す。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、ピーマンの苗は、EW肥料を用いたものの方が、EW肥料を用いないものよりも約10cm長く伸びている。また、トマトの苗は、EW肥料を用いたものの方が、EW肥料を用いないものよりも、葉が大きく成長している。
【0033】
図4(a)、
図4(b)には、
図3(a)、
図3(b)に示す状態からそれぞれ20日程度経過した状態を示す。
図4(a)、
図4(b)に示すように、ピーマンの苗は、EW肥料を用いたものの方が、EW肥料を用いないものよりも2倍近く伸びている。
【0034】
以上より、EW肥料を加えた肥料を用いた土壌で育成した苗の方が、EW肥料を加えない普通肥料を用いた土壌で育成した苗よりも、早期にかつ大きく成長することが確認できた。
【0035】
[実施例2]
実施例2では、40Wの強度のマイクロ波を72時間の照射時間にわたって肥料に事前照射し、EW肥料を生成した。
【0036】
次に、育てる苗1株に付き、普通肥料約50gに対してEW肥料を約3g加えて、約53gのEW混合肥料を生成した。当該EW混合肥料をプランター内の土壌に撒き、その10日後に当該土壌にナスの苗を植えて、生育状況を観察した。同時に、生育状況を比較するコントロールグループとするために、同様の大きさのナスの苗を、1株につき普通肥料を53g撒いた土壌に植えて、生育状況を観察した。
【0037】
図5には、ナスの苗を植えてから所定期間が経過した後の状態を示す。
図5の左側に示す植物がEW肥料を用いた土壌で育成したナスの苗であり、右側に示す植物がEW肥料を加えていない普通肥料を用いた土壌で育成したナスの苗である。
【0038】
EW肥料を用いて育てた苗は、当初から葉が大きく、順調に育った。連日35度近い猛暑が続いた際には、普通肥料を用いて育てた苗は成長が止まったが、EW肥料を用いて育てた苗は葉が大きく育ち、普通肥料を用いて育てたものよりも約2倍ほどの大きさとなっている。
【0039】
[実施例3]
実施例3では、40Wの強度のマイクロ波を72時間の照射時間にわたって肥料に事前照射し、EW肥料を生成した。
【0040】
次に、実施例2と同様に、育てる苗1株に付き、普通肥料約50gに対してEW肥料を約3g加えて、約53gのEW混合肥料を生成した。当該EW混合肥料をプランター内の土壌に撒き、当該土壌にキュウリの苗を植えて、生育状況を観察した。同時に、生育状況を比較するコントロールグループとするために、同様の大きさのキュウリの苗を、1株につき普通肥料を53g撒いた土壌に植えて、生育状況を観察した。
【0041】
図6には、キュウリの苗を植えてから1ケ月が経過した後の状態を示す。
図6の上側に示す植物がEW肥料を用いた土壌で育成したキュウリの苗であり、下側に示す植物がEW肥料を加えない普通肥料を用いた土壌で育成したキュウリの苗である。
図6に示すように、EW肥料を用いた土壌で育成した苗の方が、普通肥料を用いた土壌で育成した苗よりも早期に大きく成長している。
【0042】
[実施例4]
実施例4では、40Wの強度のマイクロ波を60時間の照射時間にわたって肥料に事前照射し、EW肥料を生成した。
【0043】
そして、2つのプランター内の同じ成分の土壌に、花卉であるアフリカンデイジー及びペチュニアを植栽し、一方のプランター脇に白いビニールで細長く包んだEW肥料200gを置き、所定時間が経過した後の花の状態を比較した。
【0044】
図7には、植栽から2週間経過した後の花の状態を示す。
図7(a)は、土壌にEW肥料を置いた方の花の状態を示す図であり、
図7(b)は、EW肥料を置かない方の花の状態を示す図である。これらの図に示すように、プランター脇にEW肥料200gを置いた方の花は、EW肥料を置かない方の花よりも長く本来の花の形を維持する現象が見られた。
【0045】
[実施例5]
実施例5では、40Wの強度のマイクロ波を60時間の照射時間にわたって肥料に事前照射し、EW肥料を生成した。
【0046】
次に、普通肥料300gに対してEW肥料を10g加えてEW混合肥料を生成し、当該EW混合肥料を土壌に撒き、当該土壌でブロッコリーを育てた。
【0047】
また、EW肥料を用いたものと比較するために、EW肥料を加えない普通肥料300gを土壌に撒いてコントロールグループとし、当該土壌でブロッコリーを育てた。
【0048】
図8には、同じ期間だけ育成し、収穫期となったブロッコリーの状況を示す。
図8の右側に示すものが、EW肥料を用いた土壌で育成したブロッコリーであり、左側に示すものがEW肥料を加えない普通肥料を用いた土壌で育成したブロッコリーである。
図8に示すように、EW肥料を用いた土壌で育成したブロッコリーの方が、普通肥料を用いた土壌で育成したブロッコリーよりも2倍以上に成長している。
【0049】
[実施例6]
実施例6では、100Wの強度のマイクロ波を60時間の照射時間にわたって肥料に事前照射し、EW肥料を生成した。
【0050】
そして、市販の有機肥料200gに対してEW肥料を10g加えてEW混合肥料を生成し、当該EW混合肥料を土壌に撒き、当該土壌でスイカを育てた。また、EW肥料を用いたものと比較するために、EW肥料を加えない普通肥料200gを土壌に撒いてコントロールグループとし、当該土壌でスイカを育てた。
【0051】
図9には、同一期間育成し、収穫期となったスイカの状態を示す。
図9の右側に示すものが、EW肥料を用いた土壌で育成したスイカであり、左側に示すものがEW肥料を加えない普通肥料を用いた土壌で育成したスイカである。
【0052】
普通肥料を用いた土壌で育成したスイカは直径が15cmに成長したのに対して、EW肥料を用いた土壌で育成したスイカは直径が25cmに成長し、体積にして4.5倍もの大きさとなった。また、普通肥料を用いた土壌で育成したスイカの糖度は7.5度であったのに対して、EW肥料を用いた土壌で育成したスイカは糖度が10度であり、普通肥料を用いた土壌で育成したスイカよりも2.5度上昇していた。
【0053】
[実施例7]
実施例7では、100Wの強度のマイクロ波を60時間の照射時間にわたって肥料に事前照射し、EW肥料を生成した。なお、60時間の照射を連続せず、30時間の照射の後、18時間の非照射の時間を挟み、その後に再び30時間照射するものとし、合計78時間の間に照射した。
【0054】
次に、市販の有機肥料300gに対してEW肥料を約10g加えてEW混合肥料を生成し、当該EW混合肥料を土壌に撒き、当該土壌でキュウリを育てた。また、EW肥料を用いたものと比較するために、EW肥料を加えない普通肥料300gを土壌に撒いてコントロールグループとし、当該土壌でキュウリを育てた。
【0055】
図10には、同じ期間育成したキュウリを示す。
図10の左側に示すものが、EW肥料を用いた土壌で育成したキュウリであり、右側に示すものがEW肥料を加えない普通肥料を用いた土壌で育成したキュウリである。同図に示すように、EW肥料を用いた土壌で育成したキュウリの方が、普通肥料を用いた土壌で育成したキュウリよりも早期に大きく成長している。
【0056】
以上の実施例に示されるように、マイクロ波を事前照射した肥料を用いて植物を育成することで、植物に直接マイクロ波を照射しなくても、マイクロ波の影響を植物に与え植物の育成を促すことができる。
【0057】
以上複数の実施例において、最小で2400Whの照射によって効果を得ることができている。2400Wh以上の照射を72時間以内の短時間で行えば、具体的な照射強度や照射の連続/間歇にかかわらず、マイクロ波の効果が肥料に残り、効果を有すると考えられる。