(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-75835(P2021-75835A)
(43)【公開日】2021年5月20日
(54)【発明の名称】局所摩擦ずれ緩和シートおよび局所摩擦ずれ緩和方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/00 20060101AFI20210423BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20210423BHJP
A47C 31/10 20060101ALI20210423BHJP
A47C 27/15 20060101ALI20210423BHJP
A61G 7/057 20060101ALI20210423BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20210423BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20210423BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20210423BHJP
【FI】
A41D13/00 102
A47C7/62 Z
A47C31/10
A47C27/15 Z
A61G7/057
A41D13/08
A41D13/05 112
A61F13/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-183397(P2020-183397)
(22)【出願日】2020年11月2日
(31)【優先権主張番号】特願2019-203057(P2019-203057)
(32)【優先日】2019年11月8日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】519054987
【氏名又は名称】中村 義▲徳▼
(74)【代理人】
【識別番号】100174780
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 敦史
(72)【発明者】
【氏名】中村 義▲徳▼
【テーマコード(参考)】
3B011
3B084
3B096
4C040
【Fターム(参考)】
3B011AB08
3B011AC05
3B084JA03
3B084JA06
3B084JC06
3B096AB09
3B096AB10
3B096AD07
3B096AD08
4C040AA01
(57)【要約】
【課題】様々な部位に対して適用でき、常に使用可能な、局所の摩擦ずれを緩和する局所摩擦ずれ緩和シートを提供する。
【解決手段】身体の局所に貼付し、その局所に生じる摩擦ずれを緩和する局所摩擦ずれ緩和シート1は、身体の側に位置し、第1面側接触対象物に当接する第1面と、第1面と反対側に位置し、第2面側接触対象物に当接する第2面と、を備えている。第2面の第2面側接触対象物に対する摩擦係数(JIS K7125に規定される方法に準拠して測定されたもの)を0.4以下とすることにより、第2面側接触対象物が局所の表面と略平行にずれた際に、第2面が第2面側接触対象物の表面を滑らせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の局所に貼付し、当該局所に生じる摩擦ずれを緩和する局所摩擦ずれ緩和シートであって、
前記身体の側に位置し、第1面側接触対象物に当接する第1面と、
前記第1面と反対側に位置し、第2面側接触対象物に当接する第2面と、を備え、
前記第2面の前記第2面側接触対象物に対する摩擦係数(JIS K7125に規定される方法に準拠して測定されたもの)が0.4以下である局所摩擦ずれ緩和シート。
【請求項2】
前記第2面の前記第2面側接触対象物に対する摩擦係数は、前記第1面側の前記第1面側接触対象物に対する摩擦係数(JIS K7125に規定される方法に準拠して測定されたもの)よりも小さい請求項1記載の局所摩擦ずれ緩和シート。
【請求項3】
前記第1面側接触対象物が前記局所に貼付されたドレッシングであり、
前記第1面の前記ドレッシングに対する摩擦係数は、当該ドレッシングの前記局所に対する摩擦係数より小さい請求項1または2記載の局所摩擦ずれ緩和シート。
【請求項4】
身体の局所に生じる摩擦ずれを緩和する局所摩擦ずれ緩和方法であって、
請求項1から4のいずれか一項に記載の局所摩擦ずれ緩和シートを用意するステップと、
前記第1面が前記身体側となるように、少なくとも前記局所摩擦ずれ緩和シートの周縁近傍を前記局所に貼付するステップと、を備えた局所摩擦ずれ緩和方法。
【請求項5】
前記第1面側接触対象物がドレッシングであり、
前記貼付するステップにおいて、前記局所摩擦ずれ緩和シートを前記ドレッシングに対して固定されないよう当該局所摩擦ずれ緩和シートを前記局所に貼付する請求項4記載の局所摩擦ずれ緩和方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体と衣類や寝具等との間の摩擦により局所的に生じるずれを緩和する局所摩擦ずれ緩和シート、特に、身体に貼付する局所摩擦ずれ緩和シートに関する。
【背景技術】
【0002】
介護や看護等の現場では、ベッドや車いす等の上で多くの時間を過ごす人に生じる褥瘡、いわゆる、床ずれが問題となっている。褥瘡は、同じ姿勢を長時間にわたって続けることにより、皮膚の特定部位、具体的には、褥瘡は仙骨,足踵,大転子等の飛び出した骨の近傍に生じる。
【0003】
褥瘡の原因は、圧迫やずれ等であることが判明している。飛び出した骨と寝具等との間にある皮膚には大きな荷重がかかるため、その部位は圧迫され、血流が悪くなる。そのため、圧迫された皮膚とその皮膚を支える組織とが壊死し、褥瘡となる。また、ずれは、電動ベッドの背上げをしたときや、ベッドの上で横方向に身体を移動させたとき等に、皮膚とベッド等との間に生じる摩擦のために、皮膚が身体の移動に追随できていない状態である。ずれが生じた状態の皮膚や皮膚を支える組織には身体表面と平行な方向に力が加わることにより痛みが生じ、弱い圧力でも褥瘡が生じることが判明している。
【0004】
従来、褥瘡を予防したり、褥瘡を治療したりする際には、例えば、特許文献1に開示されるように、特定部位に加わる圧力を小さくすることが行われていた。このように特定部位に加わる圧力を小さくすることにより、圧迫により生じる褥瘡を予防等することは可能である。しかしながら、上述したように、ずれが生じた部位では小さな圧力でも褥瘡が生じるため、褥瘡をより効果的に予防するためには、ずれに対する対処が重要である。
【0005】
そのため、スライディングシートやスライディンググローブ等の用具を用いて、皮膚等に生じたずれを取り除くことが行われている。また、特許文献2には、リクライニングシートに着座した際に生じるずれを防止するためのシートカバーが開示されている。このシートカバーは、人体に面した前面部と背もたれに面した背面部とを上端で連結して形成され、前記背面部の上部を背もたれに固定する固定部を備え、前記前面部及び前記背面部の互いに接する面に低摩擦係数部材を配して、前記前面部の外面に高摩擦係数部材を配している。そのため、安楽座位から後傾位に移行する際には、前面部の外面の摩擦力によって体幹の降下が抑制される。一方、後傾位から安楽座位に復帰する際には、前面部の内面と背面部の内面との摩擦力が小さいため、前面部が背面部に対して上昇する。従って、臀部ずれ力を低減し、褥瘡を予防することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019−136202号公報
【特許文献2】特開2017−079986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようなスライディングシートやスライディンググローブを使用すれば、皮膚等に生じたずれを解消することができる。しかしながら、これは介護者や看護者が行わなければならないため、適時にずれを解消することが困難であり、ずれが生じた状態が継続する可能性がある。また、介護者等には負担をかけることになる。
【0008】
また、特許文献2のシートカバーを用いれば、リクライニングシートを使用した際の臀部ずれ力を低減することができる。しかしながら、ベッドに臥床している際や他の部位に生じるずれを低減することができない。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、様々な部位に対して適用でき、常に使用可能な、局所の摩擦ずれを緩和する局所摩擦ずれ緩和シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る、身体の局所に貼付し、当該局所に生じる摩擦ずれを緩和する局所摩擦ずれ緩和シートは、前記身体の側に位置し、第1面側接触対象物に当接する第1面と、前記第1面と反対側に位置し、第2面側接触対象物に当接する第2面と、を備え、前記第2面の前記第2面側接触対象物に対する摩擦係数(JIS K7125に規定される方法に準拠して測定されたもの)が0.4以下である。
【0011】
この構成では、着衣や寝具等に当接する第2面の第2面側接触対象物に対する摩擦係数が上述のような低摩擦係数であるため、着衣や寝具等の第2面側接触対象物が局所の表面と略平行にずれた場合であっても、第2面が第2面側接触対象物の表面を滑るため、その局所に生じる摩擦が小さくなり、ずれの発生を抑制することができる。なお、本発明における着衣とは、衣服,靴下,おむつ等、身体の局所を覆うように装着するものであり、寝具等とは、布団、マットレス、座布団、クッション、車椅子等、局所摩擦ずれ緩和シートの使用者が多くの時間を費やす際に、身体を支えるものである。また、着衣または寝具等が局所の表面と略平行にずれるとは、これらが相対的にずれることを言い、いずれに力が作用する場合でもよい。
【0012】
本発明に係る局所摩擦ずれ緩和シートの好適な実施形態の一つでは、前記第2面の前記第2面側接触対象物に対する摩擦係数は、前記第1面側の前記第1面側接触対象物に対する摩擦係数(JIS K7125に規定される方法に準拠して測定されたもの)よりも小さい。
【0013】
このように第1面側と第2面側との摩擦係数を設定することにより、局所にその表面に略平行な力が作用した場合には、第2面側がより滑りやすくなっている。そのため、局所に作用する力を低減することができる。
【0014】
本発明に係る局所摩擦ずれ緩和シートの好適な実施形態の一つでは、前記第1面側接触対象物が前記局所に貼付されたドレッシングであり、前記第1面の前記ドレッシングに対する摩擦係数は、当該ドレッシングの前記局所に対する摩擦係数より小さい。
【0015】
本発明に係る局所摩擦ずれ緩和シートを褥瘡が生じている部位に使用する場合には、褥瘡をドレッシング(第1面側接触対象物の例)で覆い、その上から局所摩擦ずれ緩和シートを使用する。この場合、局所摩擦ずれ緩和シートに、局所の表面と略平行な力が作用する場合がある。そのとき、その力によってドレッシングがずれると、褥瘡を悪化させたり、褥瘡への治療効果を弱めたりするおそれがある。そのため、第1面の第1面側接触対象物であるドレッシングに対する摩擦係数を上述のように設定しておけば、ドレッシングがずれるのを抑制することができ、褥瘡の悪化を防ぎ、褥瘡への治療効果を維持することができる。
【0016】
また、本発明は、身体の局所に生じる摩擦ずれを緩和する局所摩擦ずれ緩和方法をも権利範囲としており、そのような局所摩擦ずれ緩和方法は、上述のいずれかの局所摩擦ずれ緩和シートを用意するステップと、前記第1面が前記身体側となるように、少なくとも前記局所摩擦ずれ緩和シートの周縁近傍を前記局所に貼付するステップと、を備えている。
【0017】
この局所摩擦ずれ緩和方法は、局所摩擦ずれ緩和シートと同様な作用効果を奏する。
【0018】
本発明の発明者らの実験によって、局所摩擦ずれ緩和シートが第1面側接触対象物であるドレッシングに対して滑ることにより、局所の摩擦ずれの緩和効果が高いことが判明している。そのため、本発明に係る局所摩擦ずれ緩和方法の好適な実施形態の一つでは、前記第1面側接触対象物がドレッシングであり、前記貼付するステップにおいて、前記局所摩擦ずれ緩和シートを前記ドレッシングに対して固定されないよう当該局所摩擦ずれ緩和シートを前記局所に貼付する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】局所摩擦ずれ緩和シートの(a)平面図、(b)断面図である。
【
図2】局所摩擦ずれ緩和シートの使用状態を示す平面図である。
【
図3】JIS K7125による摩擦係数試験方法を示す図である。
【
図4】局所摩擦ずれ緩和シートの使用状態を示す図である。
【
図5】皮膚内部のずれ力等の試験方法を示す図である。
【
図6】
図5の試験方法により測定した摩擦力の時系列変化を示すグラフである。
【
図7】(a)褥瘡が生じている患部の写真、(b)局所摩擦ずれ緩和シートを使用後の患部の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0021】
図1(a)は、本実施形態における局所摩擦ずれ緩和シート1の平面図であり、
図1(b)は
図1(a)のB−B断面線における断面図である。
図1(b)に示すように、局所摩擦ずれ緩和シート1は、シート状の基材11,基材11の一方の面上に形成された第1層12,基材11の他方の面上に形成された第2層13を備えている。本実施形態では、基材11はナイロンタフタを用いている。また、第1層12および第2層13はそれぞれ基材11上にウレタンおよびシリコーン樹脂を薄くコーティングすることにより形成されている。第1層12の外面を第1面12a、第2層13の外面を第2面13aと称する。
【0022】
後述するように、局所摩擦ずれ緩和シート1は、第1面12aが身体側となるように、ずれを緩和したい部位または、褥瘡が生じている部位(以下、対象部位と総称する)に貼付する。すなわち、第1面12aは皮膚やドレッシング3(後述)に当接し、第2面13aは着衣や寝具等に当接する。局所摩擦ずれ緩和シート1を対象部位に貼付した状態で、着衣や寝具等が局所摩擦ずれ緩和シート1に対して相対的に対象部位の表面と略平行方向にずれた場合や、局所摩擦ずれ緩和シート1がドレッシング3や皮膚に対して対象部位の表面と略平行方向にずれた場合には、対象部位に対してずれを生じさせるおそれがある。それを防止するために、本実施形態では、第1面12aの第1面側接触対象物に対する摩擦係数(以下、第1摩擦係数と称する)および第2面13aの第2面側接触対象物に対する摩擦係数(以下、第2摩擦係数と称する)はいずれも小さく設定している。具体的な値は後述する。
【0023】
第1摩擦係数は、局所摩擦ずれ緩和シート1を対象部位に貼付した状態で、局所摩擦ずれ緩和シート1がドレッシング3や皮膚に対して対象部位の表面と略平行方向にずれた場合に、ドレッシング3や皮膚を引っ張らないように、第1面12aがドレッシング3や皮膚上を滑る程度の大きさとしている。なお、局所にドレッシング3を貼付している場合には、ドレッシング3が本発明の第1面側接触対象物に相当し、ドレッシング3を使用していない場合には、局所の皮膚が本発明の第1面側接触対象物に相当する。
【0024】
一方、第2摩擦係数は、局所摩擦ずれ緩和シート1を対象部位に貼付した状態で、着衣や寝具等が局所摩擦ずれ緩和シート1に対して相対的に対象部位の表面と略平行方向にずれた場合に、局所摩擦ずれ緩和シート1が引っ張られないように、第2面13aが着衣や寝具等の上を滑る程度の大きさとしている。なお、局所が着衣で覆われている場合には、着衣が本発明の第2面側接触対象物に相当し、局所が着衣で覆われていない場合には、寝具等が本発明の第2面側接触対象物に相当する。
【0025】
より具体的には、第2摩擦係数(JIS K7125に規定される方法に準拠して測定されたもの)は0.4以下が好ましく、より好ましくは0.3以下である。一方、第1摩擦係数(JIS K7125に規定される方法に準拠して測定されたもの)は、第2摩擦係数と同等であっても構わないし、それよりも若干大きくても構わない。本実施形態では、第1摩擦係数は、第2摩擦係数よりも若干大きくしている。本実施形態では、ベッドシーツ(コットン100%)に対する、第2面の摩擦係数は約0.34、第1面の摩擦係数は約0.45である。当然ながら、これらの摩擦係数はこれらに限定されるものではなく、本発明の目的を達する限りにおいて適宜変更可能である。
【0026】
図1(a)に示すように、第1面12aには指標Mが表示されている。具体的には、第2面13a側から見た際に通常の文字等となるように、指標Mは第1面12aに鏡文字として印刷されている。後述すように、本実施形態における局所摩擦ずれ緩和シート1は透見性を有しているため、使用者は第2面13a側からこの指標Mを視認することができ、第1面12aと第2面13aとを区別することができる。また、指標Mを第2面13aに印刷すると第2面13aの摩擦係数を増大させるおそれがあるが、指標Mを第1面12aに形成することによって、それを防止している。
【0027】
本実施形態では、局所摩擦ずれ緩和シート1は縦14cm、横24cmの大きさであり、比較的大きなサイズとしている。使用する際には、そのままの大きさで用いても構わないし、対象部位によって適切な大きさに裁断してから用いても構わない。本実施形態では、
図1(a)に示すように、局所摩擦ずれ緩和シート1を裁断する際の目安となるような複数の破線Lを第1面12a上に表示している。この破線Lも指標Mと同様に第2面13a側から視認することができる。なお、ずれを緩和した部位とは、例えば、仙骨,足踵,大転子等の飛び出した骨の近傍等の褥瘡が生じやすい部分である。
【0028】
局所摩擦ずれ緩和シート1は身体に貼付するものであり、特に、褥瘡が生じている部位に使用する場合には、患部の蒸れ防止の観点から、通気性は非常に重要である。本実施形態では、局所摩擦ずれ緩和シート1の水蒸気透過性(通気性)は、500g/(m
2・day)としている。また、局所摩擦ずれ緩和シート1を貼付した状態で皮膚等の状態を観察するためには透見性も重要である。本実施形態における局所摩擦ずれ緩和シート1は、対象部位に貼付した状態で、ドレッシング3や皮膚の状態を観察可能な程度の透見性を有している。さらに、本実施形態における局所摩擦ずれ緩和シート1は、形状保持性を有しており、使用後に洗浄しても元の形状を有しているため、使用、洗浄を数回繰り返すことができる。
【0029】
なお、使用方法によっては、通気性、透見性、形状保持性の全てを備える必要はない。例えば、褥瘡が生じていない部位の摩擦ずれを緩和する、すなわち、褥瘡を予防する目的であれば、通気性や透見性はある程度低くすることもできる。また、繰り返して使用しない場合には、形状保持性は低くても構わない。
【0030】
図2を用いて、本発明に係る局所摩擦ずれ緩和シート1の使用方法を説明する。本発明に係る局所摩擦ずれ緩和シート1は、対象部位2を覆うように身体に貼付する。なお、褥瘡が生じている部位に使用する場合には、ガーゼ等のドレッシングの代替として用いるのではなく、ガーゼ等のドレッシング3を用いた上で、その上を覆うように貼付する。以下の説明では、褥瘡が生じている部位に局所摩擦ずれ緩和シート1を使用する場合を説明する。なお、局所摩擦ずれ緩和シート1を褥瘡の予防に使用する場合には、ドレッシング3は使用する必要がない。
【0031】
先ず、対象部位2をガーゼ等のドレッシング3で覆って保護する(
図2(a))。次に、ドレッシング3を完全に覆うことができるように、ドレッシング3よりも少し大きめの局所摩擦ずれ緩和シート1を用意し、ドレッシング3とともに対象部位2を覆う(
図2(b))。このとき、指標Mによっていずれの面が第2面13aであるかを確認し、第1面12aを身体側に位置させ、第2面13aを身体とは反対側、すなわち、着衣や寝具等の側に位置させる。
【0032】
第1面12aの第1摩擦係数は非常に小さいため、局所摩擦ずれ緩和シート1自体には粘着性はない。そのため、本実施形態では、固定テープ4により、局所摩擦ずれ緩和シート1を身体に貼付する。具体的には、局所摩擦ずれ緩和シート1の対向する2辺を固定テープ4で固定する(
図2(c))。なお、局所摩擦ずれ緩和シート1の4辺を固定テープ4で固定しても構わないが、通気性の観点から2辺を固定することが好ましい。また、固定テープ4としては、皮膚への刺激が少ない医療用テープを用いるのが好ましい。
【0033】
本実施形態では、第2面13aの第2摩擦係数は小さくなっているため、第2面13aへの固定テープ4の粘着性が小さくなっている。そのため、第2面13aのうち、固定テープ4を貼り付ける部分をサンドペーパー等で擦って、その部分の摩擦係数を大きくしておくのが好ましい。
【0034】
このようにして、局所摩擦ずれ緩和シート1全体が身体に固定されるのではなく、局所摩擦ずれ緩和シート1の縁辺のみが身体に固定される。そのため、局所摩擦ずれ緩和シート1の固定されていない中央部分は身体およびドレッシングに対して変位可能となっている。
【0035】
〔摩擦係数試験〕
以下に、種々の素材間の摩擦係数の測定試験の結果を示す。この測定試験はJIS K7125(プラスチック-フィルムおよびシート摩擦係数試験方法)に則って行ったものである。具体的には、
図3に示すように、テーブル100の上にシート状の試験サンプル101を載置する。試験サンプル101の上にはシート状の接触対象材料102を載置し、さらに接触対象材料102の上には治具103を載置する。なお、治具103の重さは200gである。治具103の1つの側面にはテーブル100の上面と平行に張られたワイヤ104が接続されている。ワイヤ104はプーリー105によって上方に向かって案内され、その端部はロードセル(図示せず)等に接続され、100m/minの速度となる引張力が付与される。なお、JIS K7125においては、接触対象材料102の上に試験サンプル101を載置するのが一般的であるが、そのよう配置すると、接触対象材料102がウレタンフォームのように荷重に対して変形する素材の場合には、測定される摩擦係数への影響が大きくなるおそれがあるため、上述の配置としている。
【0036】
表1は、接触対象材料をベッドシーツ(コットン100%)とし、試験サンプルを変更した試験結果である。なお、以下の表に示す試験結果は、5回の測定値の(平均値)±(標準偏差)を示している。表1に示す測定試験では、試験サンプルとして、本発明に係る局所摩擦ずれ緩和シート(以下、本発明品と称する)、マルチフィックス(登録商標)ロール(アルケア社製のサージカルフィルム)、リモイス(登録商標)パッド(アルケア社製の高すべり性スキンケアパッド)、ふぉーむらいと(登録商標、ConvaTech社製の創傷ケア品)、ジェントルエイド(スミス・アンド・ネフュー社製の創傷ケア品)を用いている。また、以下の説明では、本発明品の第2面を表、第1面を裏と表記している。
【0038】
この試験結果から、本発明品の表側(第2面側)は他製品と比較して静摩擦係数、動摩擦係数ともに小さくなっていることが分かる。すなわち、これらの試験サンプルを局所に貼付し、接触対象材料であるコットン100%のベッドシーツに当接させ、ベッドシーツに局所に対して略平行への力を作用させた場合には、本発明品の表(第2面)が、最も滑りやすくなっている。
【0039】
表2は、試験サンプルをベッドシーツ(コットン100%)とし、接触対象材料を変更した試験結果である。また、表3は試験サンプルを本発明品の表側とし、接触対象材料を変更した試験結果である。
【表2】
【表3】
【0040】
これらの試験結果から、本発明品の表側はベッドシーツ(コットン100%)と比較して、全ての接触対象材料に対する静摩擦係数、動摩擦係数はともに圧倒的に小さくなっていることが分かる。また、本発明品の第2面の着衣(衣類1から衣類6)に対する摩擦係数は、着衣のベッドシーツに対する摩擦係数よりも小さいことが分かる。すなわち、本発明品の第2面が第2面側接触対象物としての着衣に当接し、さらに着衣がベッドシーツに当接している場合に、ベッドシーツに局所と略平行な力が作用した際に、本発明品が着衣に対して滑りやすいことが分かる。
【0041】
表4は、接触対象物を健常者の皮膚とした際の各試験サンプルの摩擦係数を示している。なお、エスアイエイド(登録商標)はアルケア株式会社のドレッシングである。また、表5は接触対象物をエスアイエイドとした際の本発明品の摩擦係数である。
【表4】
【表5】
【0042】
図4に示すように、本発明に係る局所摩擦ずれ緩和シートの使用方法は一般的に、4種類を想定することができる。
図4(a),(b)はドレッシングを用いた状態であり、一般的には褥瘡が生じている部位に使用する場合である。これらは、その部位が着衣に覆われているか否かが異なっている。一方、
図4(c),(d)はドレッシングを用いない状態であり、一般的には局所の褥瘡の予防に使用する場合である。これらも、その部位が着衣に覆われているか否かが異なっている。なお、いずれの場合も本発明品は、第1面が上側、すなわち、肌側となるように配置している。
【0043】
図4(a)のモデルにおいて、本発明品の第1面のドレッシング(第1面側接触対象物)に対する摩擦係数をσ1(第1摩擦係数)、本発明品の第2面の着衣(第2面側接触対象物)に対する摩擦係数をσ2(第2摩擦係数)、ドレッシングの肌に対する摩擦係数をσ3、着衣のシーツ等に対する摩擦係数をσ4とする。このとき上の試験結果からσ2<σ1、σ2<σ4、σ1<σ3なる関係が導かれる。すなわち、このような状態の人体に対して、肌と略平行な力が作用した際には、σ1が最も小さいために、本発明品が着衣に対して最初に滑り出すこととなる。
【0044】
図4(b)のモデルにおいて、本発明品の第1面のドレッシング(第1面側接触対象物)に対する摩擦係数をσ1(第1摩擦係数)、本発明品の第2面のシーツ等(第2面側接触対象物)に対する摩擦係数をσ2(第2摩擦係数)、ドレッシングの肌に対する摩擦係数をσ3とする。このとき上の試験結果からσ2<σ1、σ1<σ3なる関係が導かれる。すなわち、このような状態の人体に対して、肌と略平行な力が作用した際には、σ1が最も小さいために、本発明品がシーツ等に対して最初に滑り出すこととなる。
【0045】
なお、上述したように表4は健常者の皮膚を用いた試験結果であり、実際にドレッシングとともに本発明に係る局所摩擦ずれ緩和シートを使用するのは褥瘡が生じている局所であるため、実際に使用する際のσ3の値は表4の値よりも大きくなると考えられる。
【0046】
図4(c)のモデルにおいて、本発明品の第1面の肌(第1面側接触対象物)に対する摩擦係数をσ1(第1摩擦係数)、本発明品の第2面の着衣(第2面側接触対象物)に対する摩擦係数をσ2(第2摩擦係数)、着衣のシーツ等に対する摩擦係数をσ4とする。このとき上の試験結果からσ2<σ1、σ2<σ4なる関係が導かれる。すなわち、このような状態の人体に対して、肌と略平行な力が作用した際には、σ1が最も小さいために、本発明品が着衣に対して最初に滑り出すこととなる。
【0047】
図4(d)のモデルにおいて、本発明品の第1面の肌(第1面側接触対象物)に対する摩擦係数をσ1(第1摩擦係数)、本発明品の第2面のシーツ等(第2面側接触対象物)に対する摩擦係数をσ2(第2摩擦係数)とする。このとき上の試験結果からσ2<σ1なる関係が導かれる。すなわち、このような状態の人体に対して、肌と略平行な力が作用した際には、σ1が最も小さいために、本発明品がシーツ等に対して最初に滑り出すこととなる。
【0048】
このように、いずれのモデルにおいても、第2摩擦係数が最も小さいため、本発明に係る局所摩擦ずれ緩和シートが第2面側接触対象物に対して滑りやすくなっており、局所に滑り力が作用しにくくなっている。
【0049】
次に、本発明に係る局所摩擦ずれ緩和シート1によるずれの緩和を確認するための試験を以下に示す。本試験は、
図5に示す試験装置を用いて行った。この試験装置では、テーブル100の上に接触対象材料102としてのコットン100%のベッドシーツを敷き、その上に試験サンプル101を載置している。さらに、試験サンプル101の上にはドレッシング107を挟んで皮膚モデル106を載置し、その上に治具103を載置している。この治具103は、板状のリードプレート103aと、その上に載置された重り103bと、から構成されている。リードプレート103aの側端面にはワイヤ104が水平方向に接続されている。ワイヤ104は、プーリー105によって上方に案内され、その端部はロードセル(図示せず)等に接続され、引張力が付与される。
【0050】
スキンモデル106は、2液硬化型のポリウレタン製であり、厚さ10mmの略直方体状である。スキンモデル106は、その下端面から3mmの位置にキャビティ106aが形成されている。このキャビティ106aの内部には、3軸触覚センサ(図示せず)が内挿されており、皮膚モデル106内部のずれ力等を測定することができる。なお、本試験では、ドレッシング107として上述のエスアイエイドを使用した。
【0051】
この試験装置を用いて測定した摩擦係数、皮膚モデル106内のずれ力を以下に示す。なお、以下の表に示す試験結果は、5回の測定値の(平均値)±(標準偏差)を示している。この表中において試験サンプルなしとは、試験サンプル101を使用せずに、接触対象材料102とドレッシング107とが接触する状態である。また、接着とあるのは本発明品とドレッシング107とを固定した状態である。なお、本試験はJIS K7125とは試験環境が異なっているため、表6の摩擦係数と表1から表5の摩擦係数とは異なっている。
【表6】
【0052】
この試験結果から、本発明品が皮膚内部のずれ力を低減する効果を奏することが確認できる。特に、本発明品の表(第2面)を接触対象材料102側とした場合に、ずれ力が小さくなっていることが分かる。すなわち、本発明品を使用する場合には、摩擦係数が小さい方を第2面、すなわち、衣服や寝具等に接する側とすることが好ましいことを示している。
【0053】
また、
図6はこの試験による摩擦力の時系列変化を示すグラフである。表面と裏面とのグラフを比較すると、最初の数秒は同様の値を示しているが、10秒を過ぎた辺りから裏面の摩擦力が非常に増大し、30秒程度経過した時点でようやく滑りが安定している。
【0054】
次に、本発明品とドレッシングとを接着した場合と接着しない場合とを比較する。表面と表面接着とのグラフを比較すると、10秒を過ぎた辺りからは同様の値を示しているが、1,2秒の辺りを見ると、表面接着のグラフにピークが立っているのが見られる。裏面接着も同様である。これらの結果からすると、力が作用する初期では、本発明品がドレッシングに対して滑ることが摩擦力の低減に重要であることが分かる。したがって、本発明品を局所に貼付する際には、ドレッシングに対して固定されないように貼付することが好ましい。
【0055】
次に、本発明に係る局所摩擦ずれ緩和シート1によって、ずれが緩和されるメカニズムを説明する。ずれは、皮膚等に荷重がかかった状態で身体が寝具等に対して平行に移動する際に、皮膚が衣服や寝具等との間の摩擦力によって引っ張られることにより生じる。この摩擦力は摩擦係数と垂直抗力との積である。
【0056】
身体に局所摩擦ずれ緩和シート1を貼付した場合と貼付しない場合とを比較すると、いずれの場合も垂直抗力は同じであるため、摩擦力は摩擦係数の大きさによって決定される。上述したように、本発明に係る局所摩擦ずれ緩和シート1では、衣服や寝具等の側に位置する第2面13aの摩擦係数が低くなっている。そのため、衣服や寝具等と局所摩擦ずれ緩和シート1との間の摩擦力は小さくなり、局所摩擦ずれ緩和シート1は衣服や寝具等の上を滑るような状態となる。これにより、皮膚等に作用する引張力が極めて小さくなり、ずれを緩和することができる。例えば、第2面13aの摩擦係数を0.24とすると、皮膚に綿平織シーツが触れている状態と、皮膚に局所摩擦ずれ緩和シート1を貼付した状態とでは、皮膚に作用する引張力(摩擦力)を1/4に低減することができる。
【0057】
また、本実施形態における局所摩擦ずれ緩和シート1では、身体側に位置する第1面12aの摩擦係数も小さくなっているため、局所摩擦ずれ緩和シート1自体に身体表面と平行な引張力が生じた場合でも、局所摩擦ずれ緩和シート1と皮膚やドレッシング3との間の摩擦力は小さくなる。そのため、皮膚やドレッシング3に対して作用する引張力が小さくなり、ドレッシング3の変位,よじれ,ずれ,瘡面からの剥離脱落等が発生しにくくなる。これにより、ドレッシング3の変位等による患部への不用意な悪影響を抑制したり、ドレッシング3の効果を維持強化したりすることができ、褥瘡への治療の効果を高めることができる。
【0058】
さらに、皮膚の着衣やシーツ等に対する摩擦係数は局所摩擦ずれ緩和シート1の第1摩擦係数および第2摩擦係数よりもはるかに大きいと考えられるため、局所摩擦ずれ緩和シート1を貼付している局所の周囲により大きな摩擦力が作用し、局所摩擦ずれ緩和シート1を貼付した局所への摩擦力がより小さくなる。そのため、上述した局所摩擦ずれ緩和シート1自体の作用効果がより高くなる。
【0059】
図7(a)は褥瘡が生じている仙骨近傍の写真である。
図7(b)は、褥瘡の治療をしつつ、患部を覆うように本実施形態における局所摩擦ずれ緩和シート1を1週間程度貼付した患部の写真である。写真からも、局所摩擦ずれ緩和シート1を貼付することにより、ずれが緩和され、褥瘡が治癒に向かっていることが分かる。
【0060】
このように、本発明に係る局所摩擦ずれ緩和シート1を用いることにより、皮膚等に生じるずれを緩和し、褥瘡の発生を抑制することができる。また、褥瘡が発生した後であっても、皮膚にずれが緩和され、ドレッシングに対する引張力も緩和することができるため、患部の悪化を防ぎ、治療の効果を高めることができる。
【0061】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態では、局所摩擦ずれ緩和シート1を、基材1と、その両面に形成された平滑層12,13と、により構成したが、基材の表面が本発明の目的を達する程度の摩擦係数であれば、基材のみで構成しても構わない。
【0062】
(2)上述の実施形態では、基材1をナイロンタフタとし、第1層12をウレタン、第2層13をシリコーン樹脂としたが、本発明の目的を達する限りにおいて他の素材を用いても構わない。
【0063】
(3)上述の実施形態では、第1面12aおよび第2面13aはいずれも低摩擦係数を有したが、第2面13aの摩擦係数は高くても構わない。
【0064】
(4)上述の実施形態では、指標Mを第2面13aに表示したが、第1面12aもしくは第1面12aおよび第2面13aに表示しても構わない。また、第1面12aと第2面13aとを区別できるものであれば、指標Mの表示方法も適宜変更可能である。上述の実施形態では、指標Mは文字として表示したが、図形として表示しても構わないし、触覚で認知できるような凹凸で表現されたもの等も用いることができる。
【0065】
(5)上述の実施形態では、固定テープ4によって局所摩擦ずれ緩和シート1を身体に貼付したため、局所摩擦ずれ緩和シート1の中央部分は身体に固定されていない状態であったが、褥瘡が生じていない部位に使用する場合には、粘着剤等を使用して、局所摩擦ずれ緩和シート1全体を身体に貼付しても構わない。
【0066】
上述の実施形態では、局所摩擦ずれ緩和シート1の第1面12aの摩擦係数と第2面13aの摩擦係数とを異ならせたが、同一としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、多くの時間をベッドや車椅子の上で費やす人の局所に生じる摩擦ずれを緩和し、褥瘡の予防や褥瘡の悪化を防止することに利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
L:破線
M:指標
1:局所摩擦ずれ緩和シート
11:基材
12:第1層
12a:第1面
13:第2層
13a:第2面
2:対象部位
3:ドレッシング
4:固定テープ
【手続補正書】
【提出日】2021年3月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の局所に貼付し、当該局所に生じる摩擦ずれを緩和する局所摩擦ずれ緩和シートであって、
前記身体の側に位置し、第1面側接触対象物に当接する第1面と、
前記第1面と反対側に位置し、第2面側接触対象物に当接する第2面と、を備え、
前記第2面の前記第2面側接触対象物に対する摩擦係数(JIS K7125に規定される方法に準拠して測定されたもの)が0.4以下であり、
前記第2面の前記第2面側接触対象物に対する摩擦係数は、前記第1面側の前記第1面側接触対象物に対する摩擦係数(JIS K7125に規定される方法に準拠して測定されたもの)よりも小さく、
前記第1面側接触対象物が前記局所に貼付されたドレッシングであり、
前記第1面の前記ドレッシングに対する摩擦係数は、当該ドレッシングの前記局所に対する摩擦係数より小さい局所摩擦ずれ緩和シート。
【請求項2】
身体の局所に生じる摩擦ずれを緩和する局所摩擦ずれ緩和方法であって、
請求項1記載の局所摩擦ずれ緩和シートを用意するステップと、
前記第1面が前記身体側となるように、少なくとも前記局所摩擦ずれ緩和シートの周縁近傍を前記局所に貼付するステップと、を備えた局所摩擦ずれ緩和方法。
【請求項3】
前記第1面側接触対象物がドレッシングであり、
前記貼付するステップにおいて、前記局所摩擦ずれ緩和シートを前記ドレッシングに対して固定されないよう当該局所摩擦ずれ緩和シートを前記局所に貼付する請求項2記載の局所摩擦ずれ緩和方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る、身体の局所に貼付し、当該局所に生じる摩擦ずれを緩和する局所摩擦ずれ緩和シートは、前記身体の側に位置し、第1面側接触対象物に当接する第1面と、前記第1面と反対側に位置し、第2面側接触対象物に当接する第2面と、を備え、前記第2面の前記第2面側接触対象物に対する摩擦係数(JIS K7125に規定される方法に準拠して測定されたもの)が0.4以下であ
り、前記第2面の前記第2面側接触対象物に対する摩擦係数は、前記第1面側の前記第1面側接触対象物に対する摩擦係数(JIS K7125に規定される方法に準拠して測定されたもの)よりも小さく、前記第1面側接触対象物が前記局所に貼付されたドレッシングであり、前記第1面の前記ドレッシングに対する摩擦係数は、当該ドレッシングの前記局所に対する摩擦係数より小さい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、このように第1面側と第2面側との摩擦係数を設定することにより、局所にその表面に略平行な力が作用した場合には、第2面側がより滑りやすくなっている。そのため、局所に作用する力を低減することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】