【解決手段】本発明は植物性ポリエステルフィラメント糸とその製造方法を開示する。この植物性ポリエステルマスターバッチは植物抽出物を0.1〜1.5%含む。この製造方法は、PETスライスを加熱して熔融し、まず抗酸化剤と分散剤を加えて攪拌し、次に保護剤と植物抽出物を加えて混合し、最後に変性剤を加えて均一に混合して、得られた混合物を押し出して造粒する、植物性ポリエステルマスターバッチの製造工程を含む。本発明の植物性ポリエステルフィラメント糸は、ポリエステル繊維の高い機械的強度とともに、植物抽出物のダニ抑制機能をも備えるため、良好な抗菌・脱臭性や耐摩耗性を有し、弾性が高く、手触りも快適で、ピリングしにくく、汚れにくい。
PETスライスを加熱熔融し、まず抗酸化剤と分散剤を加えて攪拌し、次に保護剤と植物抽出物を加えて混合し、最後に変性剤を加えて均一に混合し、得られた混合物を押し出して造粒する植物性ポリエステルマスターバッチの製造工程を含むことを特徴とする植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法。
質量比として、PETスライス:抗酸化剤:分散剤:保護剤:変性剤=100:0.1〜0.5:0.1〜0.3:0.4〜0.8:0.1〜0.4であることを特徴とする請求項2に記載の植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法。
PETスライスを250〜260℃に加熱し、抗酸化剤と分散剤を加えて、500〜700rad/minの速度で10〜15分間攪拌し、次に保護剤と植物抽出物の混合物を加えて、20〜40分間高速混合し、最後に変性剤を加えて、220〜230℃に冷却し、得られた混合物を押し出して造粒することにより、植物性ポリエステルマスターバッチを得ることを特徴とする請求項2又は3に記載の植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法。
前記抗酸化剤は、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)と亜鉛粉末とを1:2〜5の質量比で含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法。
前記分散剤は、トリポリリン酸ナトリウムと、エチレンジアミン四酢酸とピロリン酸テトラナトリウムとを1:1〜4:2〜4の質量比で含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法。
前記変性剤は、1:3〜5の質量比でエチレンビスステアリン酸アミドとシリコーンオイルとを含むことを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法。
PETスライスと植物性ポリエステルマスターバッチを均一に混合し、スクリューで押し出して熔融し、紡糸ノズルから熔融物を押し出してスピニングすることにより、植物性ポリエステルフィラメント糸が得られることを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
理論上、植物抽出物を含むポリエステル繊維は、植物抽出物の機能作用とポリエステル繊維の特性をともに具備することにより、用途が幅広いが、実際の生産中において以下のような問題がある。
【0004】
一、他の機能性材料と混合使用されると、ポリエステル繊維の性状が簡単に変化され、例えばポリエステル繊維の弾性や耐摩耗性などの指標に影響する。二、各種機能性材料の間の適合性が悪く、従来方法を用いて植物抽出物を熔融PETに直接添加すれば、植物抽出物が凝集しやすく、熔融物中への分散が不均一であり、高温酸化されやすい。三、植物抽出物が添加されたPET熔融物が紡糸口金から押し出された後、膨張ゾーンが生じやすいため、従来の植物性ポリエステルマスターバッチは、紡糸工程においての剥離性が悪い。紡糸口金の穴を離れる熔融物の形態が膨張ゾーンの出現により影響され、ボードに付着しやすく、紡糸工程の正常生産に影響する。
【0005】
また、ポリエステル繊維が人工合成繊維の一種として、欠点もある。例えば、ポリエステル繊維製の生地は、長期間に使用されると、ピリングが発生するとともに、静電やほこりが付着しやすく、見た目や快適性に影響する。しかし、従来の技術に良い改善方法がないため、ポリエステル繊維の使用が影響された。
【0006】
発明名称が「植物抽出物を含むポリエステル繊維」である中国特許出願(出願番号:CN201811438662.1)に開示された繊維が良好な天然機能性、より高い乾燥熱収縮率、破断荷重と弾性延伸率を有する。耐摩耗性も大幅に向上し、毒性がなく、不燃性で、安全で環境にやさしい。主に植物性ポリエステル繊維の機械的強度の問題が解決されるが、従来のポリエステル繊維の欠点である、ピリングやファズが発生しやすく、静電やほこりが付着しやすいという欠点が解決できない。
【0007】
従って、植物性、抗菌・脱臭性、良い耐摩耗性、高い弾力性を有し、手触りが良く、ピリングが発生しにくく、汚れにくいポリエステルフィラメントの発明が期待される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記した課題を解決するために、本発明は植物性ポリエステルフィラメント糸及びその製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、植物抽出物を0.1〜1.5%含む植物性ポリエステルフィラメント糸を提供する。
【0010】
好ましくは、植物抽出物は、ペパーミント抽出物、バレリアン抽出物、ラベンダー抽出物、よもぎ抽出物及び海藻抽出物の一つ又は組み合わせである。他の植物抽出物であっても良いが、詳細の説明を略する。
【0011】
また、植物性ポリエステルマスターバッチの製造工程を含む植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法も提供する。前記製造工程においては、PETスライスを加熱して熔融し、まず抗酸化剤と分散剤を加えて攪拌し、次に保護剤と植物抽出物を加えて,高速混合し、最後に変性剤を加え、均一に混合して得られた混合物を押し出して造粒する。
【0012】
質量比として、PETスライス:抗酸化剤:分散剤:保護剤:変性剤=100:0.1〜0.5:0.1〜0.3:0.4〜0.8:0.1〜0.4であることが好ましい。
【0013】
PETスライスを250〜260℃に加熱し、抗酸化剤と分散剤を加えて、500〜700rad/minの速度で10〜15分間攪拌し、次に保護剤と植物抽出物の混合物を加えて、20〜40分間高速混合し、最後に変性剤を加えて、220〜230℃に冷却し、得られた混合物を押し出して造粒することにより、植物性ポリエステルマスターバッチを得ることが好ましい。
【0014】
抗酸化剤は、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)と亜鉛粉末とを1:2〜5の質量比で含むことが好ましい。
【0015】
分散剤は、トリポリリン酸ナトリウムと、エチレンジアミン四酢酸とピロリン酸テトラナトリウムとを1:1〜4:2〜4の質量比で含むことが好ましい。
【0016】
保護剤は、ナノカーボンパウダーと架橋キトサン多孔質ミクロスフェアとを1:1〜4の質量比で含むことが好ましい。
【0017】
架橋キトサン多孔質ミクロスフェアは、下記工程を介して得られる。
【0018】
質量比としてキトサン:酢酸溶液=1:95〜100となるようにキトサンを質量パーセント濃度2〜5%の酢酸溶液に溶解し、静置して気泡を除去し、均一で透明なキトサン溶液を調製する工程。
【0019】
質量比として流動パラフィン:ナノシリカ:乳化剤=50〜60:2〜5:1となるように乳化剤を液体パラフィンとナノシリカに加え、均一に攪拌して乳化分散剤を調製する工程。
【0020】
攪拌しながら、乳化分散剤にキトサン溶液を滴下し、40〜50℃までに加熱し、均一に混合した後、ホルムアルデヒドを添加して、反応系のpHを4〜5に調整し、反応温度を2〜3時間維持して、反応終了後、産物を水で洗浄し、20〜30%の水酸化ナトリウム溶液に浸し、水で洗浄して、架橋キトサン多孔質ミクロスフェアが得られる工程。
【0021】
質量比として、キトサン溶液:乳化分散剤:ホルムアルデヒド=100:50〜55:4〜8であることが好ましい。
【0022】
変性剤は、1:3〜5の質量比でエチレンビスステアリン酸アミドとシリコーンオイルとを含むことが好ましい。
【0023】
PETスライスと植物性ポリエステルマスターバッチを均一に混合し、スクリューで押し出して熔融し、紡糸ノズルから熔融物を押し出してスピニングすることにより、植物性ポリエステルフィラメント糸が得られることが好ましい。
従来の技術と比較して、本発明は以下の利点を有する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の植物性ポリエステルフィラメント糸は、ポリエステル繊維のより高い機械的強度と、植物抽出物のダニ抑制及び抗菌特性、抑菌性及び脱臭性、良好な耐摩耗性を有し、弾性が高く、手触りが快適で、ピリングしにくく、汚れにくく、破断荷重は6.8〜7.8cN/dtex、弾性係数は90〜101cN/dtex、破断伸長率は12〜18%、耐摩耗性が高く、2000回耐摩耗性往復試験機による損失は0.001g未満であり、ダニ抑制率は90%以上に達することが可能であり、大腸菌と黄色ブドウ球菌に対する抗菌率は両方とも98%以上である。
【0025】
本発明の植物性ポリエステルフィラメント糸より作った生地のポイントツーポイント抵抗(point to point resistance)及び帯電量のデータは、A類静電防止衣類の標準に達し、ピリングしにくく、静電もせず、ほこりも付着しないので、ピリング、静電及びほこりが付着しやすいという従来のポリエステル繊維の問題を有効に解決でき、ポリエステル繊維の適用範囲を拡大する。
【0026】
本発明の植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法において、抗酸化剤の添加により、高温熔融物に植物抽出物が添加される時の変色を防止でき、初期段階で抗酸化剤を添加することにより、熔融PET繊維の耐酸化性をより強くなれる。植物抽出物が後期で添加されると、植物抽出物の高温変色をよりよく防止でき、色ムラの状況が防止できる。
【0027】
本発明の植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法において、分散剤の添加により、植物抽出物がPET熔融物中に迅速で且均一に分散できる。よって、植物抽出物の凝集により、PET熔融物の局所的な高温によって、架橋三度ポリマーが形成され、熔融物の色が暗くなり、液体からコロイドに変化することが防止できる。
【0028】
本発明の植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法において、保護剤としてナノカーボン粉末及び自作の架橋キトサン多孔質ミクロスフェアが用いられ、ナノカーボン粉末及び架橋キトサンミクロスフェアの表面は多くの微細孔を有することにより、植物抽出物は微細孔でコーティングされることができ、植物抽出物の炭化が回避できる。特に、好ましい工程によって、保護剤と植物抽出物が熔融物に添加される前に均一に混合されたことにより、植物抽出物は保護剤の微細孔に完全に入ることができ、植物抽出物の炭化がよりよく防止できる。
【0029】
本発明の植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法において、変性剤が添加されることにより、熔融物の剥離性が改善され、紡糸口金に押し出された後の膨張ゾーンの出現による熔融物の付着現象が回避でき、紡糸工程の正常生産とシルク品質が確保できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一つの実施案により、植物性ポリエステルフィラメント糸を提供する。当該植物性ポリエステルフィラメント糸が0.1〜1.5%の植物抽出物を含む。ポリエステル繊維にとって、植物抽出物は不純物であり、含有量が多すぎると、製造工程中の分散性が悪くなり、凝集しやすく、又、不純物を含む熔融物の剥離性が悪く、紡糸口金に付着しやすく、紡糸に影響する。
【0031】
一つの実施例において、植物抽出物は、ペパーミント抽出物、バレリアン抽出物、ラベンダー抽出物、ワームウッド抽出物、キチン抽出物及び海藻抽出物の一つまたは組み合わせであり、他の植物抽出物であっても良いが、詳細の説明を略す。
【0032】
本発明のもう一つの実施案において、植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法も提供し、以下の工程を含む。
【0033】
一、植物性ポリエステルマスターバッチの製造工程であって、PETスライスを250〜260℃に加熱し、抗酸化剤と分散剤を加えて、500〜700rad/minの速度で10〜15分間攪拌し、次に保護剤と植物抽出物の混合物を加えて、20〜40分間高速混合し、最後に変性剤を加えて、220〜230℃に冷却し、得られた混合物を押し出して造粒することにより、植物性ポリエステルマスターバッチを得る。
【0034】
PETスライス、抗酸化剤、分散剤、保護剤と変性剤の質量比が100:0.1〜0.5:0.1〜0.3:0.4〜0.8:0.1〜0.4である。
【0035】
植物抽出物は、ペパーミント抽出物、バレリアン抽出物、ラベンダー抽出物、ワームウッド抽出物、キチン抽出物及び海藻抽出物の一つまたは組み合わせである。
【0036】
植物抽出物は市販のものを使っても良いが、自作でも良い。抽出方法は、水抽出、酸抽出、又はアルコール抽出であっても良い。
【0037】
抗酸化剤は、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)と亜鉛粉末とを1:2〜5の質量比で含む。抗酸化剤の役割は、植物抽出物を高温熔融物に添加する時の変色を防ためである。初期段階で抗酸化剤を添加すると、熔融PET繊維の酸化に対する耐性を増強できる。 後期段階において植物抽出物を添加すれば、植物抽出物の高温変色をよりよく防ぎ、色ムラの出現を防止できる。
【0038】
分散剤は、トリポリリン酸ナトリウムと、エチレンジアミン四酢酸とピロリン酸テトラナトリウムとを1:1〜4:2〜4の質量比で含む。分散剤の役割は、植物抽出物をPET熔融物に迅速かつ均一に分散させることで、植物抽出物の凝集により、PET熔融物の局所的な高温によって、架橋三度ポリマーを形成し、熔融物の色を暗くなり、液体からコロイドに変化して、紡糸後の繊維の機械的特性に影響し、紡糸後の繊維の色不均一で、暗色点状物があることを防止する。
【0039】
保護剤は、ナノカーボンパウダーと架橋キトサン多孔質ミクロスフェアとを1:1〜4の質量比で含む。
【0040】
架橋キトサン多孔質ミクロスフェアが下記工程を介して得られる。
【0041】
質量比としてキトサン:酢酸溶液=1:95〜100となるようにキトサンを質量パーセント濃度2〜5%の酢酸溶液に溶解し、静置して気泡を除去し、均一で透明なキトサン溶液を調製する工程と、
【0042】
質量比として流動パラフィン:ナノシリカ:乳化剤=50〜60:2〜5:1となるように乳化剤を液体パラフィンとナノシリカに加え、均一に攪拌して乳化分散剤を調製する工程と、
【0043】
攪拌しながら、乳化分散剤にキトサン溶液を滴下し、40〜50℃に加熱し、均一に混合した後、ホルムアルデヒドを添加して、反応系のpHを4〜5に調整し、反応温度を2〜3時間維持して、反応終了後、産物を水で洗浄し、20〜30%の水酸化ナトリウム溶液に浸し、水で洗浄して、架橋キトサン多孔質ミクロスフェアが得られる工程とである。
【0044】
質量比として、キトサン溶液:乳化分散剤:ホルムアルデヒド=100:50〜55:4〜8である。
【0045】
架橋キトサン多孔質ミクロスフェアは、従来の逆乳化架橋法を用いてキトサン酢酸溶液を乳化剤及び分散剤に添加し、ナノシリカは機械的攪拌によりキトサン分子の周囲に完全に分散させる。次に、架橋剤を添加し、pH条件を調整することによりキトサンをボールに架橋する。反応中においてナノシリカ粒子をロードする。これらの粒子はキトサンミクロスフェア上の特定の位置を占め、粒子は均一であるので、架橋が完了した後、ナノシリカが水酸化ナトリウム溶液によって除去され、架橋キトサン多孔質ミクロスフェアが得られる。かつ細孔は均一であり、植物抽出物を微細孔に充填して、熔融物を添加した後の植物抽出物の炭化を防ぐことができる。
【0046】
保護剤の役割は、植物抽出物の炭化を防ぐことであり、ナノカーボンパウダーと架橋キトサンミクロスフェアの表面に多くの微細孔があり、植物抽出物が微細孔に覆われることができるためである。好ましい工程は、保護剤と植物抽出物を均一に混合してから、熔融物に加えることであり、これにより、植物抽出物は保護剤の微細孔に完全に入ることができて、植物抽出物の炭化をよりよく防ぐことができる。
【0047】
変性剤は、1:3〜5の質量比でエチレンビスステアリン酸アミドとシリコーンオイルとを含む。変性剤の添加により、熔融物の剥離性が高められ、紡糸口金から押し出された後の膨張ゾーンの出現による熔融物の粘着現象が回避でき、正常生産と紡糸工程の品質が保証できる。
【0048】
二、PETスライスと植物性ポリエステルマスターバッチとを均一に混合し、スクリューにより押し出して熔融させ、熔融物をスピニングノズルから押し出す。スピニングノズルの直径は5〜50μmである。熔融紡糸して、植物性ポリエステルフィラメント糸が得られる。PETスライスと植物性ポリエステルマスターバッチの好ましい質量比は2-50:1である。PETスライスと植物性ポリエステルマスターバッチを使用して紡糸を混合することにより、植物性ポリエステルフィラメント糸においての植物抽出物の有効含有量を確保できるとともに、植物性ポリエステルマスターバッチの生産が減らされ、生産効率を向上できる。
【0049】
下記の実施例に基づいて、本発明をさらに説明する。
【0050】
実施例1
0.1%の植物抽出物を含む植物性ポリエステルフィラメント糸。
【0051】
実施例2
1.5%の植物抽出物を含む植物性ポリエステルフィラメント糸。
【0052】
実施例3
0.5%の植物抽出物を含む植物性ポリエステルフィラメント糸。
【0053】
実施例4
1.0%の植物抽出物を含む植物性ポリエステルフィラメント糸。
【0054】
実施例5
1.2%の植物抽出物を含む植物性ポリエステルフィラメント糸。
【0055】
実施例6
植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法であり、以下の工程を含む。
【0056】
一、PETスライスを250〜260℃に加熱し、抗酸化剤と分散剤を加えて、500rad/minの速度で10分間攪拌し、次に保護剤と植物抽出物の混合物を加えて、20分間高速混合し、最後に変性剤を加えて、230℃に冷却し、得られた混合物を押し出して造粒することにより、植物性ポリエステルマスターバッチを得る。
【0057】
質量比として、PETスライス:抗酸化剤:分散剤:保護剤:変性剤=100:0.1:0.1:0.4:0.5:0.1である
【0058】
抗酸化剤は、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)と亜鉛粉末とを1:2の質量比で含む。
【0059】
分散剤は、トリポリリン酸ナトリウムと、エチレンジアミン四酢酸とピロリン酸テトラナトリウムとを1:1:2の質量比で含む。
【0060】
保護剤は、ナノカーボンパウダーと架橋キトサン多孔質ミクロスフェアとを1:1の質量比で含む。
【0061】
架橋キトサン多孔質ミクロスフェアが下記工程より得られる。
【0062】
質量比としてキトサン:酢酸溶液=1:95となるようにキトサンを質量パーセント濃度2%の酢酸溶液に溶解し、静置して気泡を除去し、均一で透明なキトサン溶液を調製する工程。
【0063】
質量比として流動パラフィン:ナノシリカ:乳化剤=50:2:1となるように乳化剤を液体パラフィンとナノシリカに加え、均一に攪拌して乳化分散剤を調製する工程。
【0064】
攪拌しながら、乳化分散剤にキトサン溶液を滴下し、40℃に加熱し、均一に混合した後、ホルムアルデヒドを添加して、反応系のpHを4に調整し、反応温度を2時間維持して、反応終了後、産物を水で洗浄し、20%の水酸化ナトリウム溶液に浸し、水で洗浄して、架橋キトサン多孔質ミクロスフェアが得られる工程。
【0065】
質量比として、キトサン溶液:乳化分散剤:ホルムアルデヒド=100:50:4である。
【0066】
変性剤は、1:3の質量比でエチレンビスステアリン酸アミドとシリコーンオイルとを含む。
【0067】
二、4:1の質量比でPETスライスと植物性ポリエステルマスターバッチを均一に混合し、スクリューで押し出して熔融し、紡糸ノズルから熔融物を押し出してスピニングすることにより、0.1%の植物抽出物を含む植物性ポリエステルフィラメント糸が得られる。
【0068】
実施例7
植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法であり、以下の工程を含む。
【0069】
一、PETスライスを250〜260℃に加熱し、抗酸化剤と分散剤を加えて、700rad/minの速度で15分間攪拌し、次に保護剤と植物抽出物の混合物を加えて、40分間高速混合し、最後に変性剤を加えて、220℃に冷却し、得られた混合物を押し出して造粒することにより、植物性ポリエステルマスターバッチを得る。
【0070】
質量比として、PETスライス:抗酸化剤:分散剤:保護剤:変性剤=100:0.5:0.3:0.4:5:0.4である。
【0071】
抗酸化剤は、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)と亜鉛粉末とを1:5の質量比で含む。
【0072】
分散剤は、トリポリリン酸ナトリウムと、エチレンジアミン四酢酸とピロリン酸テトラナトリウムとを1:4:4の質量比で含む。
【0073】
保護剤は、ナノカーボンパウダーと架橋キトサン多孔質ミクロスフェアとを1:4の質量比で含む。
【0074】
架橋キトサン多孔質ミクロスフェアが下記工程より得られる。
【0075】
質量比としてキトサン:酢酸溶液=1:100となるようにキトサンを質量パーセント濃度5%の酢酸溶液に溶解し、静置して気泡を除去し、均一で透明なキトサン溶液を調製する工程。
【0076】
質量比として流動パラフィン:ナノシリカ:乳化剤=60:5:1となるように乳化剤を液体パラフィンとナノシリカに加え、均一に攪拌して乳化分散剤を調製する工程。
【0077】
攪拌しながら、乳化分散剤にキトサン溶液を滴下し、50℃に加熱し、均一に混合した後、ホルムアルデヒドを添加して、反応系のpHを5に調整し、反応温度を3時間維持して、反応終了後、産物を水で洗浄し、30%の水酸化ナトリウム溶液に浸し、水で洗浄して、架橋キトサン多孔質ミクロスフェアが得られる工程。
【0078】
質量比として、キトサン溶液:乳化分散剤:ホルムアルデヒド=100:55:8である。
【0079】
変性剤は、1:5の質量比でエチレンビスステアリン酸アミドとシリコーンオイルとを含む。
【0080】
二、4:1の質量比でPETスライスと植物性ポリエステルマスターバッチを均一に混合し、スクリューで押し出して熔融し、紡糸ノズルから熔融物を押し出してスピニングすることにより、1.0%の植物抽出物を含む植物性ポリエステルフィラメント糸が得られる。
【0081】
実施例8
植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法であり、以下の工程を含む。
【0082】
一、PETスライスを250〜260℃に加熱し、抗酸化剤と分散剤を加えて、600rad/minの速度で12分間攪拌し、次に保護剤と植物抽出物の混合物を加えて、30分間高速混合し、最後に変性剤を加えて、225℃に冷却し、得られた混合物を押し出して造粒することにより、植物性ポリエステルマスターバッチを得る
【0083】
質量比として、PETスライス:抗酸化剤:分散剤:保護剤:変性剤=100:0.2:0.2:0.5:4.5:0.2である。
【0084】
抗酸化剤は、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)と亜鉛粉末とを1:3の質量比で含む。
【0085】
分散剤は、トリポリリン酸ナトリウムと、エチレンジアミン四酢酸とピロリン酸テトラナトリウムとを1:2:3の質量比で含む。
【0086】
保護剤は、ナノカーボンパウダーと架橋キトサン多孔質ミクロスフェアとを1:2の質量比で含む。
【0087】
架橋キトサン多孔質ミクロスフェアが下記工程より得られる。
【0088】
質量比としてキトサン:酢酸溶液=1:96となるようにキトサンを質量パーセント濃度3%の酢酸溶液に溶解し、静置して気泡を除去し、均一で透明なキトサン溶液を調製する工程。
【0089】
質量比として流動パラフィン:ナノシリカ:乳化剤=56:4:1となるように乳化剤を液体パラフィンとナノシリカに加え、均一に攪拌して乳化分散剤を調製する工程。
【0090】
攪拌しながら、乳化分散剤にキトサン溶液を滴下し、45℃に加熱し、均一に混合した後、ホルムアルデヒドを添加して、反応系のpHを4.5に調整し、反応温度を2.5時間維持して、反応終了後、産物を水で洗浄し、24%の水酸化ナトリウム溶液に浸し、水で洗浄して、架橋キトサン多孔質ミクロスフェアが得られる工程。
【0091】
質量比として、キトサン溶液:乳化分散剤:ホルムアルデヒド=100:52:6である。
【0092】
変性剤は、1:4の質量比でエチレンビスステアリン酸アミドとシリコーンオイルとを含む。
【0093】
二、2:1の質量比でPETスライスと植物性ポリエステルマスターバッチを均一に混合し、スクリューで押し出して熔融し、紡糸ノズルから熔融物を押し出してスピニングすることにより、1.5%の植物抽出物を含む植物性ポリエステルフィラメント糸が得られる。
【0094】
実施例9
植物性ポリエステルフィラメント糸の製造方法であり、以下の工程を含む。
【0095】
一、PETスライスを250〜260℃に加熱し、抗酸化剤と分散剤を加えて、550rad/minの速度で14分間攪拌し、次に保護剤と植物抽出物の混合物を加えて、25分間高速混合し、最後に変性剤を加えて、225℃に冷却し、得られた混合物を押し出して造粒することにより、植物性ポリエステルマスターバッチを得る。
【0096】
質量比として、PETスライス:抗酸化剤:分散剤:保護剤:変性剤=100:0.4:0.15:0.5:4:0.3である。
【0097】
抗酸化剤は、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)と亜鉛粉末とを1:4の質量比で含む。
【0098】
分散剤は、トリポリリン酸ナトリウムと、エチレンジアミン四酢酸とピロリン酸テトラナトリウムとを1:3:2.5の質量比で含む。
【0099】
保護剤は、ナノカーボンパウダーと架橋キトサン多孔質ミクロスフェアとを1:3の質量比で含む。
【0100】
架橋キトサン多孔質ミクロスフェアが下記工程より得られる。
【0101】
質量比としてキトサン:酢酸溶液=1:98となるようにキトサンを質量パーセント濃度4%の酢酸溶液に溶解し、静置して気泡を除去し、均一で透明なキトサン溶液を調製する工程。
【0102】
質量比として流動パラフィン:ナノシリカ:乳化剤=58:4:1となるように乳化剤を液体パラフィンとナノシリカに加え、均一に攪拌して乳化分散剤を調製する工程。
【0103】
攪拌しながら、乳化分散剤にキトサン溶液を滴下し、48℃に加熱し、均一に混合した後、ホルムアルデヒドを添加して、反応系のpHを4.5に調整し、反応温度を2時間維持して、反応終了後、産物を水で洗浄し、28%の水酸化ナトリウム溶液に浸し、水で洗浄して、架橋キトサン多孔質ミクロスフェアが得られる工程。
【0104】
質量比として、キトサン溶液:乳化分散剤:ホルムアルデヒド=100:54:5である。
【0105】
変性剤は、1:3.5の質量比でエチレンビスステアリン酸アミドとシリコーンオイルとを含む。
【0106】
二、7:1の質量比でPETスライスと植物性ポリエステルマスターバッチを均一に混合し、スクリューで押し出して熔融し、紡糸ノズルから熔融物を押し出してスピニングすることにより、0.5%の植物抽出物を含む植物性ポリエステルフィラメント糸が得られる。
【0107】
実施例1〜9の植物性ポリエステルフィラメント糸にペパーミント抽出物、バレリアン抽出物、ラベンダー抽出物、よもぎ抽出物及び海藻抽出物の一つ又は組み合わせが含まれる。
【0108】
本発明の実施例6〜9で製造された植物抽出物を含む植物性ポリエステルフィラメント糸の検出指数は表1のように示される。抗菌率がGB/T20944.3-2008テキスタイルの抗菌特性方法により検出され、振動法、ダニ抑制率の検出標準がGB/T24253-2009テキスタイルのダニ抑制特性方法により評価される。
【0109】
実施例6〜9で製造された植物性ポリエステルフィラメント糸の検出データ
【表1】
【0110】
表1のデータから分かるように、本発明の植物抽出物を含む植物性ポリエステルフィラメント糸の各指標がポリエステル繊維の正常指標要件に達し、適切な破断荷重、弾性係数及び破断伸長率を有し、破断荷重が6.8〜7.8 cN/dtexであり、弾性係数が90〜101 cN/dtexであり、破断伸長率が12〜18%、耐摩耗性も高く、安定し、耐摩耗性往復試験機を使用する2000回の損失は0.001g未満である。本発明の植物抽出物を含む植物性ポリエステルフィラメント糸繊維は植物抽出物の添加により、抗菌及びダニ抑制機能も有する。ダニ抑制率が90%以上であり、大腸菌と黄色ブドウ球菌に対する抗菌率が98%以上である。
【0111】
工程において、抗酸化剤、分散剤、保護剤及び変性剤の役割を比較するように、比較例を設けて、実施例7のパラメーターは適切であるので、実施例7を参照し、具体的に、
【0112】
比較例1は、実施例7の調製方法を採用し、抗酸化剤を添加さず、他の工程には変更がない。
【0113】
比較例2は、実施例7の調製方法を採用し、分散剤は添加さず、他の工程には変更がない。
【0114】
比較例3は、実施例7の調製方法を採用し、保護剤を添加さず、他の工程には変更がない。
【0115】
比較例4は、実施例7の調製方法を採用し、変性剤を添加さず、他の工程には変更がない。
【0116】
比較例1〜4で製造した植物性ポリエステルフィラメント糸の検出データ及びその工程の状況が表2に示めされる。
【0117】
比較例1〜4の植物性ポリエステルフィラメント糸の検出データ
【表2】
【0118】
表2のデータから分かるように、比較例1の破断荷重、弾性係数、破断伸長率及び耐摩耗性と実施例7とは相当であるが、抗酸化剤が添加されないことにより、植物抽出物が高温変色を発生するので、色ムラが出現し、植物抽出物の抗菌性も低下する。
【0119】
比較例2のダニ抑制と抗菌性が影響されないが、植物抽出物の凝集により、PET熔融物の局所的な高温によって、架橋三度ポリマーが形成され、熔融物の色が暗くなり、液体からコロイドに変化するので、紡糸後の繊維の機械的性質に影響する。紡糸後の繊維の色が不均一で、暗色点状物がある。
【0120】
比較例3の破断荷重、弾性係数、破断伸長率及び耐摩耗性と実施例7とは相当であり、繊維の機械的性質に影響しないが、保護剤が添加されないことにより、紡糸後のダニ抑制と抗菌性が低い。植物抽出物を添加した後に炭化が起こり、すべての植物抽出物がPETメルトにスムーズに添加されなかったためである。
【0121】
比較例4の検出データと実施例7との間にあまり差がないが、生産工程中の熔融物の剥離性が非常に悪く、熔融紡糸後のボードに付着しやすい。スムーズに紡糸するように、紡糸口金の表面にシリコーンオイルを連続的に噴霧する必要があり、噴霧するシリコーンオイルの量を制御しにくい。噴霧しすぎると、紡糸の質量に影響し、噴霧して足りない場合、ボードに付着しやすく、複数回停車して、ボードを清潔する必要がある。
【0122】
実施例6〜9で製造された植物性ポリエステルフィラメント糸が、耐摩耗性試験において、2000回耐摩耗性往復試験機の損失は0.001g未満であり、優れた耐摩耗性を有する。また実験過程中に静電現象がなく、実施例6〜9で製造された植物性ポリエステルフィラメント糸に対し、抗静電性について研究して、実施例6〜9で製造された植物性ポリエステルフィラメント糸を従来方法を採用して生地に編んで、GB 12014-2009静電防止衣類の標準に従って、帯電性試験を実施する。ポイントツーポイント抵抗と帯電量とのデータは表3のようである。
【0123】
実施例6〜9で製造された植物性ポリエステルフィラメント糸の帯電性試験の結果
【表3】
【0124】
表3のデータから分かるように、実施例6〜9で製造された植物性ポリエステルフィラメント糸のポイントツーポイント抵抗と帯電量とのデータがA類静電防止衣類の標準に達し、ピリングしにくく、静電とほこりが付着しにくいことは、本発明が得られた予測できない効果である。